朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ帝國議會ノ協贊ヲ經タル衆議院議員選擧法改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十四年五月五日
內閣總理大臣 子爵 加藤高明
遞信大臣 犬養毅
陸軍大臣 宇垣一成
海軍大臣 財部彪
外務大臣 男爵 幣原喜重郞
內務大臣 若槻禮次郞
文部大臣 岡田良平
鐵道大臣 仙石貢
大藏大臣 濱口雄幸
司法大臣 小川平吉
商工大臣 野田卯太郞
農林大臣 岡崎邦輔
法律第四十七號
衆議院議員選擧法
第一章 選擧ニ關スル區域
第一條 衆議院議員ハ各選擧區ニ於テ之ヲ選擧ス
選擧區及各選擧區ニ於テ選擧スヘキ議員ノ數ハ別表ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 投票區ハ市町村ノ區域ニ依ル
地方長官特別ノ事情アリト認ムルトキハ市町村ノ區域ヲ分チテ數投票區ヲ設ケ又ハ數町村ノ區域ヲ合セテ一投票區ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ投票區ヲ設ケタルトキハ地方長官ハ直ニ之ヲ告示スヘシ
第二項ノ規定ニ依リ設クル投票區ノ投票ニ關シ本法ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三條 開票區ハ郡市ノ區域ニ依ル
地方長官特別ノ事情アリト認ムルトキハ郡市ノ區域ヲ分チテ數開票區ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票區ヲ設ケタルトキハ地方長官ハ直ニ之ヲ告示スヘシ
第二項ノ規定ニ依リ設クル開票區ノ開票ニ關シ本法ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第四條 行政區畫ノ變更ニ因リ選擧區ニ異動ヲ生スルモ現任議員ハ其ノ職ヲ失フコトナシ
第二章 選擧權及被選擧權
第五條 帝國臣民タル男子ニシテ年齡二十五年以上ノ者ハ選擧權ヲ有ス
帝國臣民タル男子ニシテ年齡三十年以上ノ者ハ被選擧權ヲ有ス
第六條 左ニ揭クル者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス
一 禁治產者及準禁治產者
二 破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三 貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セサル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭クル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭クル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第七條 華族ノ戶主ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス
陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未タ入營セサル者及歸休下士官兵ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セス兵籍ニ編入セラレタル學生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)及志願ニ依リ國民軍ニ編入セラレタル者亦同シ
第八條 選擧事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テ被選擧權ヲ有セス
第九條 在職ノ宮內官、判事、朝鮮總督府判事、臺灣總督府法院判官、關東廳法院判官、南洋廳判事、檢事、朝鮮總督府檢事、臺灣總督府法院檢察官、關東廳法院檢察官、南洋廳檢事、陸軍法務官、海軍法務官、行政裁判所長官、行政裁判所評定官、會計檢査官、收稅官吏及警察官吏ハ被選擧權ヲ有セス
第十條 官吏及待遇官吏ハ左ニ揭クル者ヲ除クノ外在職中議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
一 國務大臣
二 內閣書記官長
三 法制局長官
四 各省政務次官
五 各省參與官
六 內閣總理大臣祕書官
七 各省祕書官
第十一條 北海道會議員及府縣會議員ハ衆議院議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第三章 選擧人名簿
第十二條 町村長ハ每年九月十五日ノ現在ニ依リ其ノ日迄引續キ一年以上其ノ町村內ニ住居ヲ有スル者ノ選擧資格ヲ調査シ選擧人名簿二本ヲ調製シ十月十五日迄ニ之ヲ郡長ニ送付スヘシ
郡長ハ町村長ヨリ送付シタル名簿ヲ調査シ其ノ修正スヘキモノハ修正ヲ加ヘ一本ハ十月三十一日迄ニ之ヲ町村長ニ返付スヘシ
市長ハ每年九月十五日ノ現在ニ依リ其ノ日迄引續キ一年以上其ノ市內ニ住居ヲ有スル者ノ選擧資格ヲ調査シ十月三十一日迄ニ選擧人名簿ヲ調製スヘシ
第一項又ハ前項ノ住居ニ關スル要件ヲ具備セサル選擧人ハ選擧人名簿ニ登錄セラルルコトヲ得ス
選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名、住居及生年月日等ヲ記載スヘシ
第一項又ハ第三項ノ住居ニ關スル期間ハ行政區畫變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第十三條 郡長及市町村長ハ十一月五日ヨリ十五日間郡市役所、町村役場又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ縱覽ニ供スヘシ
郡長及市町村長ハ縱覽開始ノ日ヨリ少クトモ三日前ニ縱覽ノ場所ヲ告示スヘシ
第十四條 選擧人名簿ニ脫漏又ハ誤載アリト認ムルトキハ選擧人ハ理由書及證憑ヲ具ヘ其ノ修正ヲ郡市長ニ申立ツルコトヲ得
縱覽期限ヲ經過シタルトキハ前項ノ申立ヲ爲スコトヲ得ス
第十五條 郡市長ニ於テ前條ノ申立ヲ受ケタルトキハ其ノ理由及證憑ヲ審査シ申立ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ決定スヘシ其ノ申立ヲ正當ナリト決定シタルトキハ直ニ選擧人名簿ヲ修正シ其ノ旨ヲ申立人及關係人ニ通知シ併セテ之ヲ告示スヘシ其ノ申立ヲ正當ナラスト決定シタルトキハ其ノ旨ヲ申立人ニ通知スヘシ
前項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキハ郡長ハ直ニ其ノ旨ヲ關係町村長ニ通知スヘシ
前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ町村長ハ直ニ名簿ヲ修正シ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第十六條 前條郡市長ノ決定ニ不服アル申立人又ハ關係人ハ郡市長ヲ被告トシ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ七日以內ニ地方裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項裁判所ノ判決ニ對シテハ控訴スルコトヲ得ス但シ大審院ニ上告スルコトヲ得
第十七條 選擧人名簿ハ十二月二十日ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ次年ノ十二月十九日迄之ヲ据置クヘシ但シ確定判決ニ依リ修正スヘキモノハ郡市長ニ於テ直ニ之ヲ修正シ其ノ旨ヲ告示スヘシ
前項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキハ郡長ハ直ニ其ノ旨ヲ關係町村長ニ通知スヘシ
前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ町村長ハ直ニ名簿ヲ修正シ其ノ旨ヲ告示スヘシ
天災事變其ノ他ノ事故ニ因リ必要アルトキハ更ニ選擧人名簿ヲ調製スヘシ
前項選擧人名簿ノ調製及其ノ期日、縱覽確定ニ關スル期日、期間等ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第四章 選擧、投票及投票所
第十八條 總選擧ハ議員ノ任期終リタル日ノ翌日之ヲ行フヲ例トス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テハ議員ノ任期終リタル日ヨリ五日以內ニ之ヲ行フコトヲ妨ケス
議會開會中又ハ議會閉會ノ日ヨリ二十五日以內ニ議員ノ任期終ル場合ニ於テハ總選擧ハ議會閉會ノ日ヨリ二十六日以後三十日以內ニ之ヲ行フ
衆議院解散ヲ命セラレタル場合ニ於テハ總選擧ハ解散ノ日ヨリ三十日以內ニ之ヲ行フ
總選擧ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定メ少クトモ二十五日前ニ之ヲ公布ス
第十九條 選擧ハ投票ニ依リ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十條 市町村長ハ投票管理者ト爲リ投票ニ關スル事務ヲ擔任ス
第二十一條 投票所ハ市役所、町村役場又ハ投票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
第二十二條 投票管理者ハ選擧ノ期日ヨリ少クトモ五日前ニ投票所ヲ告示スヘシ
第二十三條 投票所ハ午前七時ニ開キ午後六時ニ閉ツ
第二十四條 議員候補者ハ各投票區ニ於ケル選擧人名簿ニ記載セラレタル者ノ中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ投票立會人一人ヲ定メ選擧ノ期日ノ前日迄ニ投票管理者ニ屆出ツルコトヲ得但シ議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ其ノ屆出テタル投票立會人ハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ニ依ル投票立會人三人ニ達セサルトキ若ハ三人ニ達セサルニ至リタルトキ又ハ投票立會人ニシテ參會スル者投票所ヲ開クヘキ時刻ニ至リ三人ニ達セサルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セサルニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ投票區ニ於ケル選擧人名簿ニ記載セラレタル者ノ中ヨリ三人ニ達スル迄ノ投票立會人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知シ投票ニ立會ハシムヘシ
投票立會人ハ正當ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコトヲ得ス
第二十五條 選擧人ハ選擧ノ當日自ラ投票所ニ到リ選擧人名簿ノ對照ヲ經テ投票ヲ爲スヘシ
投票管理者ハ投票ヲ爲サムトスル選擧人ノ本人ナリヤ否ヤヲ確認スルコト能ハサルトキハ其ノ本人ナル旨ヲ宣言セシムヘシ其ノ宣言ヲ爲ササル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
第二十六條 投票用紙ハ選擧ノ當日投票所ニ於テ之ヲ選擧人ニ交付スヘシ
第二十七條 選擧人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ議員候補者一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スヘシ
投票用紙ニハ選擧人ノ氏名ヲ記載スルコトヲ得ス
第二十八條 投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
第二十九條 選擧人名簿ニ登錄セラレサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但シ選擧人名簿ニ登錄セラルヘキ確定判決書ヲ所持シ選擧ノ當日投票所ニ到ル者アルトキハ投票管理者ハ之ヲシテ投票ヲ爲サシムヘシ
第三十條 選擧人名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名簿ニ登錄セラルルコトヲ得サル者ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選擧ノ當日選擧權ヲ有セサル者ナルトキ亦同シ
自ラ議員候補者ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
第三十一條 投票ノ拒否ハ投票立會人ノ意見ヲ聽キ投票管理者之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ヲ受ケタル選擧人不服アルトキハ投票管理者ハ假ニ投票ヲ爲サシムヘシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムヘシ
投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ同シ
第三十二條 投票所ヲ閉ツヘキ時刻ニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ旨ヲ告ケテ投票所ノ入口ヲ鎖シ投票所ニ在ル選擧人ノ投票結了スルヲ待チテ投票函ヲ閉鎖スヘシ
投票函閉鎖後ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
第三十三條 選擧人ニシテ勅令ノ定ムル事由ニ因リ選擧ノ當日自ラ投票所ニ到リ投票ヲ爲シ能ハサルヘキコトヲ證スル者ノ投票ニ關シテハ第二十五條、第二十六條、第二十七條第一項、第二十九條但書及第三十一條ノ規定ニ拘ラス勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三十四條 投票管理者ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル顚末ヲ記載シ投票立會人ト共ニ之ニ署名スヘシ
第三十五條 投票管理者ハ一人又ハ數人ノ投票立會人ト共ニ町村ノ投票區ニ於テハ投票ノ翌日迄ニ、市ノ投票區ニ於テハ投票ノ當日投票函、投票錄及選擧人名簿ヲ開票管理者ニ送致スヘシ
第三十六條 島嶼其ノ他交通不便ノ地ニシテ前條ノ期日ニ投票函ヲ送致スルコト能ハサル情況アリト認ムルトキハ地方長官ハ適宜ニ其ノ投票ノ期日ヲ定メ開票ノ期日迄ニ其ノ投票函、投票錄及選擧人名簿ヲ送致セシムルコトヲ得
第三十七條 天災其ノ他避クヘカラサル事故ニ因リ投票ヲ行フコトヲ得サルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ投票管理者ハ選擧長ヲ經テ地方長官ニ其ノ旨ヲ屆出ツヘシ此ノ場合ニ於テハ地方長官ハ更ニ期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムヘシ但シ其ノ期日ハ少クトモ五日前ニ之ヲ告示セシムヘシ
第三十八條 第七十五條又ハ第七十九條ノ選擧ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選擧ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第三十九條 何人ト雖選擧人ノ投票シタル被選擧人ノ氏名ヲ陳述スルノ義務ナシ
第四十條 投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ保持シ必要ナル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ請求スルコトヲ得
第四十一條 選擧人、投票所ノ事務ニ從事スル者、投票所ヲ監視スル職權ヲ有スル者及警察官吏ニ非サレハ投票所ニ入ルコトヲ得ス
第四十二條 投票所ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧騷ニ涉リ又ハ投票ニ關シ協議若ハ勸誘ヲ爲シ其ノ他投票所ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ投票管理者ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ投票所外ニ退出セシムヘシ
第四十三條 前條ノ規定ニ依リ投票所外ニ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ爲スコトヲ得但シ投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ爲サシムルコトヲ妨ケス
第五章 開票及開票所
第四十四條 郡市長ハ開票管理者ト爲リ開票ニ關スル事務ヲ擔任ス
第四十五條 開票所ハ郡市役所又ハ開票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
第四十六條 開票管理者ハ豫メ開票ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第四十七條 第二十四條ノ規定ハ開票立會人ニ之ヲ準用ス
第四十八條 開票管理者ハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日ノ翌日開票所ニ於テ開票立會人立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算スヘシ
第四十九條 前條ノ計算終リタルトキハ開票管理者ハ先ツ第三十一條第二項及第四項ノ投票ヲ調査シ開票立會人ノ意見ヲ聽キ其ノ受理如何ヲ決定スヘシ
開票管理者ハ開票立會人ト共ニ投票區每ニ投票ヲ點檢スヘシ
投票ノ點檢終リタルトキハ開票管理者ハ直ニ其ノ結果ヲ選擧長ニ報告スヘシ
第五十條 選擧人ハ其ノ開票所ニ就キ開票ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得
第五十一條 投票ノ效力ハ開票立會人ノ意見ヲ聽キ開票管理者之ヲ決定スヘシ
第五十二條 左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒサルモノ
二 議員候補者ニ非サル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選擧權ナキ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
五 議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載シタルモノ但シ官位、職業、身分、住居又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
六 議員候補者ノ氏名ヲ自書セサルモノ
七 議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカヲ確認シ難キモノ
八 衆議院議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
前項第八號ノ規定ハ第七十五條又ハ第七十九條ノ規定ニ依ル選擧ノ場合ニ限リ之ヲ適用ス
第五十三條 投票ハ有效無效ヲ區別シ議員ノ任期間開票管理者ニ於テ之ヲ保存スヘシ
第五十四條 開票管理者ハ開票錄ヲ作リ開票ニ關スル顚末ヲ記載シ開票立會人ト共ニ署名シ投票錄ト併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第五十五條 選擧ノ一部無效ト爲リ更ニ選擧ヲ行ヒタル場合ノ開票ニ於テハ其ノ投票ノ效力ヲ決定スヘシ
第五十六條 第三十七條ノ規定ハ但書ヲ除キ開票ニ之ヲ準用ス
第五十七條 開票所ノ取締ニ付テハ第四十條乃至第四十二條ノ規定ヲ準用ス
第六章 選擧會
第五十八條 地方長官ハ各選擧區內ニ於ケル郡市長ノ中ニ就キ選擧長ヲ定ムヘシ但シ一縣一選擧區タル場合ニ於テハ其ノ地方長官ヲ、一市一選擧區タル場合ニ於テハ其ノ市長ヲ選擧長トス
選擧長ハ選擧會ニ關スル事務ヲ擔任ス
第五十九條 選擧會ハ選擧長ノ屬スル縣廳若ハ郡市役所又ハ選擧長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク
第六十條 選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第六十一條 第二十四條ノ規定ハ選擧立會人ニ之ヲ準用ス
第六十二條 選擧長ハ總テノ開票管理者ヨリ第四十九條第三項ノ報告ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日選擧會ヲ開キ選擧立會人立會ノ上其ノ報告ヲ調査スヘシ
選擧ノ一部無效ト爲リ更ニ選擧ヲ行ヒタル場合ニ於テ第四十九條第三項ノ報告ヲ受ケタルトキハ選擧長ハ前項ノ例ニ依リ選擧會ヲ開キ他ノ部分ノ報告ト共ニ更ニ之ヲ調査スヘシ
第六十三條 選擧人ハ其ノ選擧會ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得
第六十四條 選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル顚末ヲ記載シ選擧立會人ト共ニ署名シ第四十九條第三項ノ報告ニ關スル書類ト併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第六十五條 第三十七條ノ規定ハ但書ヲ除キ選擧會ニ之ヲ準用ス
第六十六條 選擧會場ノ取締ニ付テハ第四十條乃至第四十二條ノ規定ヲ準用ス
第七章 議員候補者及當選人
第六十七條 議員候補者タラムトスル者ハ選擧ノ期日ノ公布又ハ告示アリタル日ヨリ選擧ノ期日前七日迄ニ其ノ旨ヲ選擧長ニ屆出ツヘシ
選擧人名簿ニ記載セラレタル者他人ヲ議員候補者ト爲サムトスルトキハ前項ノ期間內ニ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ期間內ニ屆出アリタル議員候補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超ユル場合ニ於テ其ノ期間ヲ經過シタル後議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ前二項ノ例ニ依リ選擧ノ期日ノ前日迄議員候補者ノ屆出又ハ推薦屆出ヲ爲スコトヲ得
議員候補者ハ選擧長ニ屆出ヲ爲スニ非サレハ議員候補者タルコトヲ辭スルコトヲ得ス
前四項ノ屆出アリタルトキ又ハ議員候補者ノ死亡シタルコトヲ知リタルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第六十八條 議員候補者ノ屆出又ハ推薦屆出ヲ爲サムトスル者ハ議員候補者一人ニ付二千圓又ハ之ニ相當スル額面ノ國債證書ヲ供託スルコトヲ要ス
議員候補者ノ得票數其ノ選擧區內ノ議員ノ定數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ十分ノ一ニ達セサルトキハ前項ノ供託物ハ政府ニ歸屬ス
議員候補者選擧ノ期日前十日以內ニ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス但シ被選擧權ヲ有セサルニ至リタル爲議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六十九條 有效投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選人トス但シ其ノ選擧區內ノ議員ノ定數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ四分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
當選人ヲ定ムルニ當リ得票數同シキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡モ亦同シキトキハ選擧會ニ於テ選擧長抽籤シテ之ヲ定ム
第八十一條又ハ第八十三條ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選人ヲ定メ得ル場合ニ於テハ選擧會ヲ開キ之ヲ定ムヘシ
當選人當選ヲ辭シタルトキ、死亡者ナルトキ又ハ第七十條ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ第一項但書ノ得票者ニシテ當選人ト爲ラサリシ者ノ中ニ就キ當選人ヲ定ムヘシ
當選人第八十四條ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果又ハ第百三十六條ノ規定ニ依リ當選無效ト爲リタルトキハ選擧會ヲ開キ其ノ第七十四條ノ規定ニ依ル當選承諾屆出期限前ナル場合ニ於テハ前項ノ例ニ依リ其ノ屆出期限經過後ナル場合ニ於テハ第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選人ト爲ラサリシ者ノ中ニ就キ當選人ヲ定ムヘシ
前三項ノ場合ニ於テ第一項但書ノ得票者ニシテ當選人ト爲ラサリシ者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ之ヲ當選人ト定ムルコトヲ得ス
第七十條 當選人選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セサルニ至リタルトキハ當選ヲ失フ
第七十一條 第六十七條第一項乃至第三項ノ規定ニ依ル屆出アリタル議員候補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超エサルトキハ其ノ選擧區ニ於テハ投票ヲ行ハス
前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトヲ要セサルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ投票管理者ニ通知シ併セテ之ヲ告示シ且地方長官ニ報告スヘシ
投票管理者前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第一項ノ場合ニ於テハ選擧長ハ選擧ノ期日ヨリ五日以內ニ選擧會ヲ開キ議員候補者ヲ以テ當選人ト定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ議員候補者ノ被選擧權ノ有無ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スヘシ
第七十二條 當選人定リタルトキハ選擧長ハ直ニ當選人ニ當選ノ旨ヲ告知シ同時ニ當選人ノ氏名ヲ告示シ且當選人ノ氏名、得票數及其ノ選擧ニ於ケル有效投票ノ總數其ノ他選擧ノ顚末ヲ地方長官ニ報告スヘシ
當選人ナキトキ又ハ當選人其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セサルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且之ヲ地方長官ニ報告スヘシ
第七十三條 當選人當選ノ告知ヲ受ケタルトキハ其ノ當選ヲ承諾スルヤ否ヤヲ選擧長ニ屆出ツヘシ
一人ニシテ數選擧區ノ當選ヲ承諾スルコトヲ得ス
選擧長第一項ノ規定ニ依ル屆出ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ地方長官ニ報告スヘシ
第七十四條 當選人當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ當選承諾ノ屆出ヲ爲ササルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
第七十五條 左ニ揭クル事由ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選人ヲ定メ得ルトキヲ除クノ外地方長官ハ選擧ノ期日ヲ定メ少クトモ十四日前ニ之ヲ告示シ更ニ選擧ヲ行ハシムヘシ但シ同一人ニ關シ左ニ揭クル其ノ他ノ事由ニ依リ又ハ第七十九條第六項ノ規定ニ依リ選擧ノ期日ヲ告示シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
一 當選人ナキトキ又ハ當選人其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セサルトキ
二 當選人當選ヲ辭シタルトキ又ハ死亡者ナルトキ
三 當選人第七十條ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキ
四 第八十一條又ハ第八十三條ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果當選人ナキニ至リ又ハ當選人其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セサルニ至リタルトキ
五 當選人第八十四條ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果當選無效ト爲リタルトキ
六 當選人第百三十六條ノ規定ニ依リ當選無效ト爲リタルトキ
第九章ノ規定ニ依ル訴訟ノ出訴期間ハ前項ノ規定ニ依ル選擧ヲ行フコトヲ得ス其ノ出訴アリタル場合ニ於テ訴訟繫屬中亦同シ
第一項ノ選擧ノ期日ハ第九章ノ規定ニ依ル訴訟ノ出訴期間滿了ノ日、其ノ出訴アリタル場合ニ於テハ地方長官第八十六條第一項ノ規定ニ依リ訴訟繫屬セサルニ至リタル旨ノ大審院長ノ通知ヲ受ケタル日又ハ第百四十三條ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日ヲ超ユルコトヲ得ス
第一項各號ノ一ニ該當スル事由議員ノ任期ノ終ル前六月以內ニ生シタルトキハ第一項ノ選擧ハ之ヲ行ハス
第七十六條 當選人當選ヲ承諾シタルトキハ地方長官ハ直ニ當選證書ヲ付與シ其ノ氏名ヲ告示シ且之ヲ內務大臣ニ報告スヘシ
第七十七條 第九章ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果選擧若ハ當選無效ト爲リタルトキ又ハ當選人第百三十六條ノ規定ニ依リ當選無效ト爲リタルトキハ地方長官ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第八章 議員ノ任期及補闕
第七十八條 議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ期日ヨリ之ヲ起算ス但シ議會開會中ニ任期終ルモ閉會ニ至ル迄在任ス
第七十九條 議員ニ闕員ヲ生スルモ其ノ闕員ノ數同一選擧區ニ於テ二人ニ達スル迄ハ補闕選擧ハ之ヲ行ハス
議員ニ闕員ヲ生シタルトキハ內務大臣ハ議院法第八十四條ノ規定ニ依ル衆議院議長ノ通牒ヲ受ケタル日ヨリ五日以內ニ地方長官ニ對シ其ノ旨ヲ通知スヘシ
地方長官ハ前項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタルトキハ其ノ闕員ト爲リタル議員カ第七十四條ノ規定ニ依ル當選承諾屆出ノ期限前ニ於テ闕員ト爲リタル者ナル場合ニ於テ第六十九條第一項但書ノ得票者ニシテ當選人ト爲ラサリシ者アルトキ又ハ其ノ期限經過後ニ於テ闕員ト爲リタル者ナル場合ニ於テ第六十九條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選人ト爲ラサリシ者アルトキハ直ニ議員闕員ト爲リタル旨ヲ選擧長ニ通知スヘシ
選擧長ハ前項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ第六十九條第四項乃至第六項ノ規定ヲ準用シ當選人ヲ定ムヘシ
地方長官ハ第二項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル場合ニ於テ第三項ノ規定ノ適用アルトキ及同一人ニ關シ第七十五條ノ規定ニ依リ選擧ノ期日ヲ告示シタルトキヲ除クノ外其ノ闕員ノ數同一選擧區ニ於テ二人ニ達スルヲ待チ最後ニ第二項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ補闕選擧ヲ行ハシムヘシ
補闕選擧ノ期日ハ地方長官少クトモ十四日前ニ之ヲ告示スヘシ
第七十五條第二項乃至第四項ノ規定ハ補闕選擧ニ之ヲ準用ス
第八十條 補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
第九章 訴訟
第八十一條 選擧ノ效力ニ關シ異議アル選擧人又ハ議員候補者ハ選擧長ヲ被告トシ選擧ノ日ヨリ三十日以內ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得
第八十二條 選擧ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ及ホスノ虞アル場合ニ限リ裁判所ハ其ノ選擧ノ全部又ハ一部ノ無效ヲ判決スヘシ
第八十三條ノ規定ニ依ル訴訟ニ於テモ其ノ選擧前項ノ場合ニ該當スルトキハ裁判所ハ其ノ全部又ハ一部ノ無效ヲ判決スヘシ
第八十三條 當選ヲ失ヒタル者當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ當選人ヲ被告トシ第七十二條第一項及第二項ノ告示ノ日ヨリ三十日以內ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得但シ第六十九條第一項但書ニ定メタル得票ニ達シタリトノ理由、第六十九條第六項若ハ第七十條ノ規定ニ該當セストノ理由又ハ第七十一條第五項ノ決定違法ナリトノ理由ニ因リ出訴スル場合ニ於テハ選擧長ヲ被告トスヘシ
前項ノ規定ニ依ル訴訟ノ裁判確定前當選人死亡シタルトキハ檢事ヲ被告トス
第八十四條 第百十條ノ規定ニ依リ當選ヲ無效ナリト認ムル選擧人又ハ議員候補者ハ當選人ヲ被告トシ第七十二條第一項ノ告示ノ日ヨリ三十日以內ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得
第百三十六條ノ規定ニ依リ選擧事務長カ第百十二條又ハ第百十三條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルニ因リ當選ヲ無效ナリト認ムル選擧人又ハ議員候補者ハ當選人ヲ被告トシ其ノ裁判確定ノ日ヨリ三十日以內ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得
第八十五條 裁判所ハ本章ノ規定ニ依ル訴訟ヲ裁判スルニ當リ檢事ヲシテ口頭辯論ニ立會ハシムヘシ
第八十六條 本章ノ規定ニ依ル訴訟ノ提起アリタルトキハ大審院長ハ其ノ旨ヲ內務大臣及關係地方長官ニ通知スヘシ訴訟ノ繫屬セサルニ至リタルトキ亦同シ
本章ノ規定ニ依ル訴訟ニ付判決アリタルトキハ大審院長ハ其ノ判決書ノ謄本ヲ內務大臣ニ送付スヘシ帝國議會開會中ナルトキハ併セテ之ヲ衆議院議長ニ送付スヘシ
第八十七條 本章ノ規定ニ依ル訴訟ヲ提起セムトスル者ハ保證金トシテ三百圓又ハ之ニ相當スル額面ノ國債證書ヲ供託スルコトヲ要ス
原告敗訴ノ場合ニ於テ裁判確定ノ日ヨリ七日以內ニ裁判費用ヲ完納セサルトキハ保證金ヲ以テ之ニ充當シ仍足ラサルトキハ之ヲ追徵ス
第十章 選擧運動
第八十八條 議員候補者ハ選擧事務長一人ヲ選任スヘシ但シ議員候補者自ラ選擧事務長ト爲リ又ハ推薦屆出者(推薦屆出者數人アルトキハ其ノ代表者)議員候補者ノ承諾ヲ得テ選擧事務長ヲ選任シ若ハ自ラ選擧事務長ト爲ルコトヲ妨ケス
議員候補者ノ承諾ヲ得スシテ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲シタル者ハ前項但書ノ承諾ヲ得ルコトヲ要セス
議員候補者ハ文書ヲ以テ通知スルコトニ依リ選擧事務長ヲ解任スルコトヲ得選擧事務長ヲ選任シタル推薦屆出者ニ於テ議員候補者ノ承諾ヲ得タルトキ亦同シ
選擧事務長ハ文書ヲ以テ議員候補者及選任者ニ通知スルコトニ依リ辭任スルコトヲ得
選擧事務長ノ選任者(自ラ選擧事務長ト爲リタル者ヲ含ム以下之ニ同シ)ハ直ニ其ノ旨ヲ選擧區內警察官署ノ一ニ屆出ツヘシ
選擧事務長ニ異動アリタルトキハ前項ノ規定ニ依リ屆出ヲ爲シタル者直ニ其ノ屆出ヲ爲シタル警察官署ニ其ノ旨ヲ屆出ツヘシ
第九十五條ノ規定ニ依リ選擧事務長ニ代リテ其ノ職務ヲ行フ者ハ前項ノ例ニ依リ屆出ツヘシ其ノ之ヲ罷メタルトキ亦同シ
第八十九條 選擧事務長ニ非サレハ選擧事務所ヲ設置シ又ハ選擧委員若ハ選擧事務員ヲ選任スルコトヲ得ス
選擧事務長ハ文書ヲ以テ通知スルコトニ依リ選擧委員又ハ選擧事務員ヲ解任スルコトヲ得
選擧委員又ハ選擧事務員ハ文書ヲ以テ選擧事務長ニ通知スルコトニ依リ辭任スルコトヲ得
選擧事務長選擧事務所ヲ設置シ又ハ選擧委員若ハ選擧事務員ヲ選任シタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ前條第五項ノ屆出アリタル警察官署ニ屆出ツヘシ選擧事務所又ハ選擧委員若ハ選擧事務員ニ異動アリタルトキ亦同シ
第九十條 選擧事務所ハ議員候補者一人ニ付七箇所ヲ超ユルコトヲ得ス
選擧ノ一部無效ト爲リ更ニ選擧ヲ行フ場合又ハ第三十七條ノ規定ニ依リ投票ヲ行フ場合ニ於テハ選擧事務所ハ前項ニ揭クル數ヲ超エサル範圍內ニ於テ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ノ定メタル數ヲ超ユルコトヲ得ス
地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)前項ノ規定ニ依リ選擧事務所ノ數ヲ定メタル場合ニ於テハ選擧ノ期日ノ告示アリタル後直ニ之ヲ告示スヘシ
第九十一條 選擧事務所ハ選擧ノ當日ニ限リ投票所ヲ設ケタル場所ノ入口ヨリ三町以內ノ區域ニ之ヲ置クコトヲ得ス
第九十二條 休憩所其ノ他之ニ類似スル設備ハ選擧運動ノ爲之ヲ設クルコトヲ得ス
第九十三條 選擧委員及選擧事務員ハ議員候補者一人ニ付通シテ五十人ヲ超ユルコトヲ得ス
第九十條第二項及第三項ノ規定ハ選擧委員及選擧事務員ニ關シ之ヲ準用ス
第九十四條 選擧事務長選擧權ヲ有セサル者ナルトキ又ハ第九十九條第二項ノ規定ニ依リ選擧運動ヲ爲スコトヲ得サル者ナルトキハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ハ直ニ其ノ解任又ハ退任ヲ命スヘシ
第八十九條第一項ノ規定ニ違反シテ選擧事務所ノ設置アリト認ムルトキハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ハ直ニ其ノ選擧事務所ノ閉鎖ヲ命スヘシ第九十條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル定數ヲ超エテ選擧事務所ノ設置アリト認ムルトキハ其ノ超過シタル數ノ選擧事務所ニ付亦同シ
前條ノ規定ニ依ル定數ヲ超エテ選擧委員又ハ選擧事務員ノ選任アリト認ムルトキハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ハ直ニ其ノ超過シタル數ノ選擧委員又ハ選擧事務員ノ解任ヲ命スヘシ選擧委員又ハ選擧事務員選擧權ヲ有セサル者ナルトキ又ハ第九十九條第二項ノ規定ニ依リ選擧運動ヲ爲スコトヲ得サル者ナルトキ其ノ選擧委員又ハ選擧事務員ニ付亦同シ
第九十五條 選擧事務長故障アルトキハ選任者代リテ其ノ職務ヲ行フ
推薦屆出者タル選任者モ亦故障アルトキハ議員候補者ノ承諾ヲ得スシテ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲シタル場合ヲ除クノ外議員候補者代リテ其ノ職務ヲ行フ
第九十六條 議員候補者、選擧事務長、選擧委員又ハ選擧事務員ニ非サレハ選擧運動ヲ爲スコトヲ得ス但シ演說又ハ推薦狀ニ依ル選擧運動ハ此ノ限ニ在ラス
第九十七條 選擧事務長、選擧委員又ハ選擧事務員ハ選擧運動ノ爲ニ要スル飮食物、船車馬等ノ供給又ハ旅費、休泊料其ノ他ノ實費ノ辨償ヲ受クルコトヲ得演說又ハ推薦狀ニ依リ選擧運動ヲ爲ス者其ノ運動ヲ爲スニ付亦同シ
選擧事務員ハ選擧運動ヲ爲スニ付報酬ヲ受クルコトヲ得
第九十八條 何人ト雖投票ヲ得若ハ得シメ又ハ得シメサルノ目的ヲ以テ戶別訪問ヲ爲スコトヲ得ス
何人ト雖前項ノ目的ヲ以テ連續シテ個個ノ選擧人ニ對シ面接シ又ハ電話ニ依リ選擧運動ヲ爲スコトヲ得ス
第九十九條 選擧權ヲ有セサル者ハ選擧事務長、選擧委員又ハ選擧事務員ト爲ルコトヲ得ス
選擧事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其ノ關係區域內ニ於ケル選擧運動ヲ爲スコトヲ得ス
第百條 內務大臣ハ選擧運動ノ爲頒布シ又ハ揭示スル文書圖畫ニ關シ命令ヲ以テ制限ヲ設クルコトヲ得
第十一章 選擧運動ノ費用
第百一條 立候補準備ノ爲ニ要スル費用ヲ除クノ外選擧運動ノ費用ハ選擧事務長ニ非サレハ之ヲ支出スルコトヲ得ス但シ議員候補者、選擧委員又ハ選擧事務員ハ選擧事務長ノ文書ニ依ル承諾ヲ得テ之ヲ支出スルコトヲ妨ケス
議員候補者、選擧事務長、選擧委員又ハ選擧事務員ニ非サル者ハ選擧運動ノ費用ヲ支出スルコトヲ得ス但シ演說又ハ推薦狀ニ依ル選擧運動ノ費用ハ此ノ限ニ在ラス
第百二條 選擧運動ノ費用ハ議員候補者一人ニ付左ノ各號ノ額ヲ超ユルコトヲ得ス
一 選擧區內ノ議員ノ定數ヲ以テ選擧人名簿確定ノ日ニ於テ之ニ記載セラレタル者ノ總數ヲ除シテ得タル數ヲ四十錢ニ乘シテ得タル額
二 選擧ノ一部無效ト爲リ更ニ選擧ヲ行フ場合ニ於テハ選擧區內ノ議員ノ定數ヲ以テ選擧人名簿確定ノ日ニ於テ關係區域ノ選擧人名簿ニ記載セラレタル者ノ總數ヲ除シテ得タル數ヲ四十錢ニ乘シテ得タル額
三 第三十七條ノ規定ニ依リ投票ヲ行フ場合ニ於テハ前號ノ規定ニ準シテ算出シタル額但シ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)必要アリト認ムルトキハ之ヲ減額スルコトヲ得
地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ハ選擧ノ期日ノ公布又ハ告示アリタル後直ニ前項ノ規定ニ依ル額ヲ告示スヘシ
第百三條 選擧運動ノ爲財產上ノ義務ヲ負擔シ又ハ建物、船車馬、印刷物、飮食物其ノ他ノ金錢以外ノ財產上ノ利益ヲ使用シ若ハ費消シタル場合ニ於テハ其ノ義務又ハ利益ヲ時價ニ見積リタル金額ヲ以テ選擧運動ノ費用ト看做ス
第百四條 左ノ各號ニ揭クル費用ハ之ヲ選擧運動ノ費用ニ非サルモノト看做ス
一 議員候補者カ乘用スル船車馬等ノ爲ニ要シタル費用
二 選擧ノ期日後ニ於テ選擧運動ノ殘務整理ノ爲ニ要シタル費用
三 選擧委員又ハ選擧事務員ノ支出シタル費用ニシテ議員候補者又ハ選擧事務長ト意思ヲ通シテ支出シタル費用以外ノモノ但シ第百一條第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
四 第六十七條第一項乃至第三項ノ屆出アリタル後議員候補者、選擧事務長、選擧委員又ハ選擧事務員ニ非サル者ノ支出シタル費用ニシテ議員候補者又ハ選擧事務長ト意思ヲ通シテ支出シタル費用以外ノモノ但シ第百一條第二項ノ規定ノ適用ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
五 立候補準備ノ爲ニ要シタル費用ニシテ議員候補者若ハ選擧事務長ト爲リタル者ノ支出シタル費用又ハ其ノ者ト意思ヲ通シテ支出シタル費用以外ノモノ
第百五條 選擧事務長ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ帳簿ヲ備ヘ之ニ選擧運動ノ費用ヲ記載スヘシ
第百六條 選擧事務長ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ選擧運動ノ費用ヲ精算シ選擧ノ期日ヨリ十四日以內ニ第八十八條第五項ノ屆出アリタル警察官署ヲ經テ之ヲ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ニ屆出ツヘシ
地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ハ前項ノ規定ニ依リ屆出アリタル選擧運動ノ費用ヲ告示スヘシ
第百七條 選擧事務長ハ前條第一項ノ屆出ヲ爲シタル日ヨリ一年間選擧運動ノ費用ニ關スル帳簿及書類ヲ保存スヘシ
前項ノ帳簿及書類ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百八條 警察官吏ハ選擧ノ期日後何時ニテモ選擧事務長ニ對シ選擧運動ノ費用ニ關スル帳簿又ハ書類ノ提出ヲ命シ、之ヲ檢査シ又ハ之ニ關スル說明ヲ求ムルコトヲ得
第百九條 選擧事務長辭任シ又ハ解任セラレタル場合ニ於テハ遲滯ナク選擧運動ノ費用ノ計算ヲ爲シ新ニ選擧事務長ト爲リタル者ニ對シ、新ニ選擧事務長ト爲リタル者ナキトキハ第九十五條ノ規定ニ依リ選擧事務長ノ職務ヲ行フ者ニ對シ選擧事務所、選擧委員、選擧事務員其ノ他ニ關スル事務ト共ニ其ノ引繼ヲ爲スヘシ第九十五條ノ規定ニ依リ選擧事務長ノ職務ヲ行フ者事務ノ引繼ヲ受ケタル後新ニ選擧事務長定リタルトキ亦同シ
第百十條 議員候補者ノ爲支出セラレタル選擧運動ノ費用カ第百二條第二項ノ規定ニ依リ告示セラレタル額ヲ超エタルトキハ其ノ議員候補者ノ當選ヲ無效トス但シ議員候補者及推薦屆出者カ選擧事務長又ハ之ニ代リテ其ノ職務ヲ行フ者ノ選任及監督ニ付相當ノ注意ヲ爲シ且選擧事務長又ハ之ニ代リテ其ノ職務ヲ行フ者ニ於テ選擧運動ノ費用ノ支出ニ付過失ナカリシトキハ此ノ限ニ在ラス
第十二章 罰則
第百十一條 詐僞ノ方法ヲ以テ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者又ハ第二十五條第二項ノ場合ニ於テ虛僞ノ宣言ヲ爲シタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百十二條 左ノ各號ニ揭クル行爲ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 當選ヲ得若ハ得シメ又ハ得シメサル目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ對シ金錢、物品其ノ他ノ財產上ノ利益若ハ公私ノ職務ノ供與、其ノ供與ノ申込若ハ約束ヲ爲シ又ハ饗應接待、其ノ申込若ハ約束ヲ爲シタルトキ
二 當選ヲ得若ハ得シメ又ハ得シメサル目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ對シ其ノ者又ハ其ノ者ノ關係アル社寺、學校、會社、組合、市町村等ニ對スル用水、小作、債權、寄附其ノ他特殊ノ直接利害關係ヲ利用シテ誘導ヲ爲シタルトキ
三 投票ヲ爲シ若ハ爲ササルコト、選擧運動ヲ爲シ若ハ止メタルコト又ハ其ノ周旋勸誘ヲ爲シタルコトノ報酬ト爲ス目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ對シ第一號ニ揭クル行爲ヲ爲シタルトキ
四 第一號若ハ前號ノ供與、饗應接待ヲ受ケ若ハ要求シ、第一號若ハ前號ノ申込ヲ承諾シ又ハ第二號ノ誘導ニ應シ若ハ之ヲ促シタルトキ
五 前各號ニ揭クル行爲ニ關シ周旋又ハ勸誘ヲ爲シタルトキ
第百十三條 左ノ各號ニ揭クル行爲ヲ爲シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 議員候補者タルコト若ハ議員候補者タラムトスルコトヲ止メシムル目的ヲ以テ議員候補者若ハ議員候補者タラムトスル者ニ對シ又ハ當選ヲ辭セシムル目的ヲ以テ當選人ニ對シ前條第一號又ハ第二號ニ揭クル行爲ヲ爲シタルトキ
二 議員候補者タルコト若ハ議員候補者タラムトスルコトヲ止メタルコト、當選ヲ辭シタルコト又ハ其ノ周旋勸誘ヲ爲シタルコトノ報酬ト爲ス目的ヲ以テ議員候補者タリシ者、議員候補者タラムトシタル者又ハ當選人タリシ者ニ對シ前條第一號ニ揭クル行爲ヲ爲シタルトキ
三 前二號ノ供與、饗應接待ヲ受ケ若ハ要求シ、前二號ノ申込ヲ承諾シ又ハ第一號ノ誘導ニ應シ若ハ之ヲ促シタルトキ
四 前各號ニ揭クル行爲ニ關シ周旋又ハ勸誘ヲ爲シタルトキ
第百十四條 前二條ノ場合ニ於テ收受シタル利益ハ之ヲ沒收ス其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第百十五條 選擧ニ關シ左ノ各號ニ揭クル行爲ヲ爲シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 選擧人、議員候補者、議員候補者タラムトスル者、選擧運動者又ハ當選人ニ對シ暴行若ハ威力ヲ加ヘ又ハ之ヲ拐引シタルトキ
二 交通若ハ集會ノ便ヲ妨ケ又ハ演說ヲ妨害シ其ノ他僞計詐術等不正ノ方法ヲ以テ選擧ノ自由ヲ妨害シタルトキ
三 選擧人、議員候補者、議員候補者タラムトスル者、選擧運動者若ハ當選人又ハ其ノ關係アル社寺、學校、會社、組合、市町村等ニ對スル用水、小作、債權、寄附其ノ他特殊ノ利害關係ヲ利用シテ選擧人、議員候補者、議員候補者タラムトスル者、選擧運動者又ハ當選人ヲ威逼シタルトキ
第百十六條 選擧ニ關シ官吏又ハ吏員故意ニ其ノ職務ノ執行ヲ怠リ又ハ職權ヲ濫用シテ選擧ノ自由ヲ妨害シタルトキハ三年以下ノ禁錮ニ處ス
官吏又ハ吏員選擧人ニ對シ其ノ投票セムトシ又ハ投票シタル被選擧人ノ氏名ノ表示ヲ求メタルトキハ三月以下ノ禁錮又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百十七條 選擧事務ニ關係アル官吏、吏員、立會人又ハ監視者選擧人ノ投票シタル被選擧人ノ氏名ヲ表示シタルトキハ二年以下ノ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス其ノ表示シタル事實虛僞ナルトキ亦同シ
第百十八條 投票所又ハ開票所ニ於テ正當ノ事由ナクシテ選擧人ノ投票ニ關涉シ又ハ被選擧人ノ氏名ヲ認知スルノ方法ヲ行ヒタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
法令ノ規定ニ依ラスシテ投票函ヲ開キ又ハ投票函中ノ投票ヲ取出シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第百十九條 投票管理者、開票管理者、選擧長、立會人若ハ選擧監視者ニ暴行若ハ脅迫ヲ加ヘ、選擧會場、開票所若ハ投票所ヲ騷擾シ又ハ投票、投票函其ノ他關係書類ヲ抑留、毀壞若ハ奪取シタル者ハ四年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
第百二十條 多衆聚合シテ第百十五條第一號又ハ前條ノ罪ヲ犯シタル者ハ左ノ區別ニ從テ處斷ス
一 首魁ハ一年以上七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
二 他人ヲ指揮シ又ハ他人ニ率先シテ勢ヲ助ケタル者ハ六月以上五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
三 附和隨行シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第百十五條第一號又ハ前條ノ罪ヲ犯ス爲多衆聚合シ當該公務員ヨリ解散ノ命ヲ受クルコト三囘以上ニ及フモ仍解散セサルトキハ首魁ハ二年以下ノ禁錮ニ處シ其ノ他ノ者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第百二十一條 選擧ニ關シ銃砲、刀劒、棍棒其ノ他人ヲ殺傷スルニ足ルヘキ物件ヲ携帶シタル者ハ二年以下ノ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
警察官吏又ハ憲兵ハ必要ト認ムル場合ニ於テ前項ノ物件ヲ領置スルコトヲ得
第百二十二條 前條ノ物件ヲ携帶シテ選擧會場、開票所又ハ投票所ニ入リタル者ハ三年以下ノ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第百二十三條 前二條ノ罪ヲ犯シタル場合ニ於テハ其ノ携帶シタル物件ヲ沒收ス
第百二十四條 選擧ニ關シ多衆集合シ若ハ隊伍ヲ組ミテ往來シ又ハ煙火、松明ノ類ヲ用ヒ若ハ鐘皷、喇叭ノ類ヲ鳴ラシ旗幟其ノ他ノ標章ヲ用フル等氣勢ヲ張ルノ行爲ヲ爲シ警察官吏ノ制止ヲ受クルモ仍其ノ命ニ從ハサル者ハ六月以下ノ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百二十五條 演說又ハ新聞紙、雜誌、引札、張札其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルニ拘ラス第百十二條、第百十三條、第百十五條、第百十八條乃至第百二十二條及前條ノ罪ヲ犯サシムル目的ヲ以テ人ヲ煽動シタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス但シ新聞紙及雜誌ニ在リテハ仍其ノ編輯人及實際編輯ヲ擔當シタル者ヲ罰ス
第百二十六條 演說又ハ新聞紙、雜誌、引札、張札其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルニ拘ラス左ノ各號ニ揭クル行爲ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス新聞紙及雜誌ニ在リテハ前條但書ノ例ニ依ル
一 當選ヲ得又ハ得シムル目的ヲ以テ議員候補者ノ身分、職業又ハ經歷ニ關シ虛僞ノ事項ヲ公ニシタルトキ
二 當選ヲ得シメサル目的ヲ以テ議員候補者ニ關シ虛僞ノ事項ヲ公ニシタルトキ
第百二十七條 選擧人ニ非サル者投票ヲ爲シタルトキハ一年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
氏名ヲ詐稱シ其ノ他詐僞ノ方法ヲ以テ投票ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
投票ヲ僞造シ又ハ其ノ數ヲ增減シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
選擧事務ニ關係アル官吏、吏員、立會人又ハ監視者前項ノ罪ヲ犯シタルトキハ五年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第百二十八條 立會人正當ノ事故ナクシテ本法ニ定メタル義務ヲ缺クトキハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百二十九條 第九十六條若ハ第九十八條ノ規定ニ違反シタル者又ハ第九十四條ノ規定ニ依ル命令ニ從ハサル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百三十條 第九十條第一項第二項ノ規定ニ依ル定數ヲ超エ若ハ第九十一條ノ規定ニ違反シテ選擧事務所ヲ設置シタル者又ハ第九十二條ノ規定ニ違反シテ休憩所其ノ他之ニ類似スル設備ヲ設ケタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十三條ノ規定ニ依ル定數ヲ超エテ選擧委員又ハ選擧事務員ノ選任ヲ爲シタル者亦前項ニ同シ
第百三十一條 第八十九條第一項、第九十九條又ハ第百九條ノ規定ニ違反シタル者ハ六月以下ノ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百三十二條 第八十八條第五項乃至第七項又ハ第八十九條第四項ノ屆出ヲ怠リタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者亦前項ニ同シ
第百三十三條 選擧事務長又ハ選擧事務長ニ代リ其ノ職務ヲ行フ者第百二條第二項ノ規定ニ依リ告示セラレタル額ヲ超エ選擧運動ノ費用ヲ支出シ又ハ第百一條第一項但書ノ規定ニ依ル承諾ヲ與ヘテ支出セシメタルトキハ一年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百三十四條 第百一條ノ規定ニ違反シテ選擧運動ノ費用ヲ支出シタル者ハ一年以下ノ禁錮ニ處ス
第百三十五條 左ノ各號ニ揭クル行爲ヲ爲シタル者ハ六月以下ノ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第百五條ノ規定ニ違反シテ帳簿ヲ備ヘス又ハ帳簿ニ記載ヲ爲サス若ハ之ニ虛僞ノ記入ヲ爲シタルトキ
二 第百六條第一項ノ屆出ヲ怠リ又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタルトキ
三 第百七條第一項ノ規定ニ違反シテ帳簿又ハ書類ヲ保存セサルトキ
四 第百七條第一項ノ規定ニ依リ保存スヘキ帳簿又ハ書類ニ虛僞ノ記入ヲ爲シタルトキ
五 第百八條ノ規定ニ依ル帳簿若ハ書類ノ提出若ハ檢査ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケ又ハ說明ノ求ニ應セサルトキ
第百三十六條 當選人其ノ選擧ニ關シ本章ニ揭クル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルトキハ其ノ當選ヲ無效トス選擧事務長第百十二條又ハ第百十三條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルトキ亦同シ但シ選擧事務長ノ選任及監督ニ付相當ノ注意ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第百三十七條 本章ニ揭クル罪ヲ犯シタル者ニシテ罰金ノ刑ニ處セラレタル者ニ在リテハ其ノ裁判確定ノ後五年間、禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ニ在リテハ其ノ裁判確定ノ後刑ノ執行ヲ終ル迄又ハ刑ノ時效ニ因ル場合ヲ除クノ外刑ノ執行ノ免除ヲ受クル迄ノ間及其ノ後五年間衆議院議員及選擧ニ付本章ノ規定ヲ準用スル議會ノ議員ノ選擧權及被選擧權ヲ有セス禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ニ付其ノ裁判確定ノ後刑ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ間亦同シ
前項ニ規定スル者ト雖情狀ニ因リ裁判所ハ刑ノ言渡ト同時ニ前項ノ規定ヲ適用セス又ハ其ノ期間ヲ短縮スル旨ノ宣告ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ規定ハ第六條第五號ノ規定ニ該當スル者ニハ之ヲ適用セス
第百三十八條 第百二十七條第三項及第四項ノ罪ノ時效ハ一年ヲ經過スルニ因リテ完成ス
前項ニ揭クル罪以外ノ本章ノ罪ノ時效ハ六月ヲ經過スルニ因リテ完成ス但シ犯人逃亡シタルトキハ其ノ期間ハ一年トス
第十三章 補則
第百三十九條 選擧ニ關スル費用ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百四十條 議員候補者又ハ推薦屆出者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ選擧區內ニ在ル選擧人ニ對シ選擧運動ノ爲ニスル通常郵便物ヲ選擧人一人ニ付一通ヲ限リ無料ヲ以テ差出スコトヲ得
公立學校其ノ他勅令ヲ以テ定ムル營造物ノ設備ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ演說ニ依ル選擧運動ノ爲其ノ使用ヲ許可スヘシ
第百四十一條 選擧ニ關スル訴訟ニ付テハ本法ニ規定シタルモノヲ除クノ外民事訴訟ノ例ニ依ル選擧ニ關スル訴訟ニ付テハ裁判所ハ他ノ訴訟ノ順序ニ拘ラス速ニ其ノ裁判ヲ爲スヘシ
第百四十二條 第十二章ニ揭クル罪ニ關スル刑事訴訟ニ付テハ上告裁判所ハ刑事訴訟法第四百二十二條第一項ノ期間ニ依ラサルコトヲ得
第百四十三條 當選人其ノ選擧ニ關シ第十二章ニ揭クル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルトキ又ハ選擧事務長第百十二條若ハ第百十三條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルトキハ裁判所ノ長ハ其ノ旨ヲ全內務大臣及關係地方長官ニ通知スヘシ
第百四十四條 町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス
第百四十五條 郡長ヲ置カサル地ニ於テハ本法中郡ニ關スル規定ハ島司又ハ北海道廳支廳長ノ管轄區域ニ、郡長ニ關スル規定ハ島司又ハ北海道廳支廳長ニ、郡役所ニ關スル規定ハ島廳又ハ北海道廳支廳ニ之ヲ適用ス
市制第六條ノ市ニ於テハ本法中市ニ關スル規定ハ區ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ、市役所ニ關スル規定ハ區役所ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ本法中町村ニ關スル規定ハ町村ニ準スヘキモノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ニ準スヘキ者ニ、町村役場ニ關スル規定ハ町村役場ニ準スヘキモノニ之ヲ適用ス
第百四十六條 交通至難ノ島嶼其ノ他ノ地ニ於テ本法ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第百四十七條 第三十三條ノ規定ニ依ル投票ニ付テハ其ノ投票ヲ管理スヘキ者ハ之ヲ投票管理者、其ノ投票ヲ記載スヘキ場所ハ又ヲ投票所、其ノ投票ニ立會フヘキ者ハ之ヲ投票立會人ト看做シ第十二章ノ規定ヲ適用ス
第百四十八條 本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六號布告刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者、同法ノ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ハ之ヲ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス
第百四十九條 明治十三年第三十六號布告刑法第二編第四章第九節ノ規定ハ衆議院議員ノ選擧ニ關シテハ之ヲ適用セス
第百五十條 本法ハ東京府小笠原島竝北海道廳根室支廳管內占守郡、新知郡、得撫郡及色丹郡ニハ當分ノ內之ヲ施行セス
附 則
本法ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行ス
本法ニ依リ初テ議員ヲ選擧スル場合ニ於テ第十八條ノ規定ニ依リ難キトキハ勅命ヲ以テ別ニ總選擧ノ期日ヲ定ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル總選擧ニ必要ナル選擧人名簿ニ關シ第十二條、第十三條、第十五條又ハ第十七條ニ規定スル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ勅令ヲ以テ別ニ其ノ期日又ハ期間ヲ定ム但シ其ノ選擧人名簿ハ次ノ選擧人名簿確定迄其ノ效力ヲ有ス
別表
   選擧區
議員數
 東京府
  第一區
麴町區
五人
芝區
麻布區
赤坂區
四谷區
牛込區
  第二區
神田區
五人
小石川區
本鄕區
下谷區
  第三區
日本橋區
四人
京橋區
淺草區
  第四區
本所區
四人
深川區
  第五區
荏原郡
五人
豐多摩郡
大島島廳管內
八丈島廳管內
  第六區
北豐島郡
五人
南足立郡
南葛飾郡
  第七區
八王子市
三人
西多摩郡
南多摩郡
北多摩郡
 京都府
  第一區
上京區
五人
下京區
  第二區
愛宕郡
三人
葛野郡
乙訓郡
紀伊郡
宇治郡
久世郡
綴喜郡
相樂郡
南桑田郡
北桑田郡
船井郡
  第三區
天田郡
三人
何鹿郡
加佐郡
與謝郡
中郡
竹野郡
熊野郡
 大阪府
  第一區
西區
三人
  第二區
南區
三人
  第三區
東區
四人
北區
  第四區
西成區
四人
東成區
  第五區
三島郡
四人
豐能郡
南河內郡
中河內郡
北河內郡
  第六區
堺市
三人
岸和田市
泉北郡
泉南郡
 神奈川縣
  第一區
橫濱市
三人
  第二區
橫須賀市
四人
川崎市
久良岐郡
橘樹郡
都筑郡
三浦郡
鎌倉郡
  第三區
高座郡
四人
中郡
足柄上郡
足柄下郡
愛甲郡
津久井郡
 兵庫縣
  第一區
神戶市
五人
  第二區
尼崎市
四人
武庫郡
川邊郡
有馬郡
津名郡
三原郡
  第三區
明石市
三人
明石郡
美嚢郡
加東郡
多可郡
加西郡
加古郡
印南郡
  第四區
姬路市
四人
飾磨郡
神崎郡
揖保郡
赤穗郡
佐用郡
宍粟郡
  第五區
城崎郡
三人
出石郡
養父郡
朝來郡
美方郡
氷上郡
多紀郡
 長崎縣
  第一區
長崎市
五人
西彼杵郡
北高來郡
南高來郡
對馬島廳管內
  第二區
佐世保市
四人
東彼杵郡
北松浦郡
南松浦郡
壹岐郡
 新潟縣
  第一區
新潟市
三人
西蒲原郡
佐渡郡
  第二區
北蒲原郡
四人
中蒲原郡
東蒲原郡
岩船郡
  第三區
長岡市
五人
南蒲原郡
三島郡
古志郡
北魚沼郡
南魚沼郡
刈羽郡
  第四區
高田市
三人
中魚沼郡
東頸城郡
中頸城郡
西頸城郡
 埼玉縣
  第一區
川越市
四人
北足立郡
入間郡
  第二區
此企郡
四人
秩父郡
兒玉郡
大里郡
  第三區
北埼玉郡
三人
南埼玉郡
北葛飾郡
 群馬縣
  第一區
前橋市
五人
桐生市
勢多郡
利根郡
佐波郡
新田郡
山田郡
邑樂郡
  第二區
高崎市
四人
群馬郡
多野郡
北甘樂郡
碓氷郡
吾妻郡
 千葉縣
  第一區
千葉市
四人
千葉郡
市原郡
東葛飾郡
君津郡
  第二區
印旛郡
三人
海上郡
匝瑳郡
香取郡
  第三區
長生郡
四人
山武郡
夷隅郡
安房郡
 茨城縣
  第一區
水戶市
四人
東茨城郡
西茨城郡
鹿島郡
行方郡
稻敷郡
北相馬郡
  第二區
那珂郡
三人
久慈郡
多賀郡
  第三區
新治郡
四人
筑波郡
眞壁郡
猿島郡
結城郡
 栃木縣
  第一區
宇都宮市
五人
河內郡
上都賀郡
鹽谷郡
那須郡
  第二區
足利市
四人
芳賀郡
下都賀郡
安蘇郡
足利郡
 奈良縣
五人
 三重縣
  第一區
津市
五人
四日市市
桑名郡
員辨郡
三重郡
鈴鹿郡
河藝郡
安濃郡
一志郡
阿山郡
名賀郡
  第二區
宇治山田市
四人
飯南郡
多氣郡
度會郡
志摩郡
北牟婁郡
南牟婁郡
 愛知縣
  第一區
名古屋市
五人
  第二區
愛知郡
三人
東春日井郡
西春日井郡
知多郡
  第三區
一宮市
三人
丹羽郡
葉栗郡
中島郡
海部郡
  第四區
岡崎市
三人
碧海郡
幡豆郡
額田郡
西加茂郡
東加茂郡
  第五區
豐橋市
三人
北設樂郡
南設樂郡
寶飯郡
渥美郡
八名郡
 靜岡縣
  第一區
靜岡市
五人
淸水市
庵原郡
安倍郡
志太郡
榛原郡
小笠郡
  第二區
沼津市
四人
賀茂郡
田方郡
駿東郡
富士郡
  第三區
濱松市
四人
磐田郡
周智郡
濱名郡
引佐郡
 山梨縣
五人
 滋賀縣
五人
 岐阜縣
  第一區
岐阜市
三人
稻葉郡
山縣郡
武儀郡
郡上郡
  第二區
大垣市
三人
羽島郡
海津郡
養老郡
不破郡
安八郡
揖斐郡
本巢郡
  第三區
加茂郡
三人
可兒郡
土岐郡
惠那郡
益田郡
大野郡
吉城郡
 長野縣
  第一區
長野市
三人
更級郡
上高井郡
下高井郡
上水內郡
下水內郡
  第二區
上田市
三人
南佐久郡
北佐久郡
小縣郡
埴科郡
  第三區
諏訪郡
四人
上伊那郡
下伊那郡
  第四區
松本市
三人
西筑摩郡
東筑摩郡
南安曇郡
北安曇郡
 宮城縣
  第一區
仙臺市
五人
刈田郡
柴田郡
伊具郡
亙理郡
名取郡
宮城郡
黑川郡
加美郡
志田郡
遠田郡
  第二區
玉造郡
三人
栗原郡
登米郡
桃生郡
牡鹿郡
本吉郡
 福島縣
  第一區
福島市
三人
郡山市
信夫郡
伊達郡
安達郡
安積郡
  第二區
若松市
五人
岩瀨郡
南會津郡
北會津郡
耶麻郡
河沼郡
大沼郡
東白川郡
西白河郡
石川郡
田村郡
  第三區
石城郡
三人
雙葉郡
相馬郡
 岩手縣
  第一區
盛岡市
三人
巖手郡
紫波郡
下閉伊郡
九戶郡
二戶郡
  第二區
稗貫郡
四人
和賀郡
膽澤郡
江刺郡
西磐井郡
東磐井郡
氣仙郡
上閉伊郡
 靑森縣
  第一區
靑森市
三人
東津輕郡
上北郡
下北郡
三戶郡
  第二區
弘前市
三人
西津輕郡
中津輕郡
南津輕郡
北津輕郡
 山形縣
  第一區
山形市
四人
米澤市
南村山郡
東村山郡
西村山郡
南置賜郡
東置賜郡
西置賜郡
  第二區
鶴岡市
四人
北村山郡
最上郡
東田川郡
西田川郡
飽海郡
 秋田縣
  第一區
秋田市
四人
鹿角郡
北秋田郡
山本郡
南秋田郡
河邊郡
  第二區
由利郡
三人
仙北郡
平鹿郡
雄勝郡
 福井縣
四人
 石川縣
  第一區
金澤市
三人
江沼郡
能美郡
石川郡
  第二區
河北郡
三人
羽咋郡
鹿島郡
鳳至郡
珠洲郡
 富山縣
  第一區
富山市
三人
上新川郡
中新川郡
下新川郡
婦負郡
  第二區
高岡市
三人
射水郡
氷見郡
東礪波郡
西礪波郡
 鳥取縣
四人
 島根縣
  第一區
松江市
三人
八束郡
能義郡
仁多郡
大原郡
簸川郡
隱岐島廳管內
  第二區
飯石郡
三人
安濃郡
邇摩郡
邑智郡
那賀郡
美濃郡
鹿足郡
 岡山縣
  第一區
岡山市
五人
御津郡
赤磐郡
和氣郡
邑久郡
上道郡
眞庭郡
苫田郡
勝田郡
英田郡
久米郡
  第二區
兒島郡
五人
都窪郡
淺口郡
小田郡
後月郡
吉備郡
上房郡
川上郡
阿哲郡
 廣島縣
  第一區
廣島市
四人
佐伯郡
安佐郡
山縣郡
高田郡
  第二區
吳市
四人
安藝郡
賀茂郡
豐田郡
  第三區
尾道市
五人
福山市
御調郡
世羅郡
沼隈郡
深安郡
蘆品郡
神石郡
甲奴郡
雙三郡
比婆郡
 山口縣
  第一區
下關市
四人
宇部市
厚狹郡
豐浦郡
美禰郡
大津郡
阿武郡
  第二區
大島郡
五人
玖珂郡
熊毛郡
都濃郡
佐波郡
吉敷郡
 和歌山縣
  第一區
和歌山市
三人
海草郡
那賀郡
伊都郡
  第二區
有田郡
三人
日高郡
西牟婁郡
東牟婁郡
 德島縣
  第一區
德島市
三人
名東郡
勝浦郡
那賀郡
海部郡
名西郡
  第二區
板野郡
三人
阿波郡
麻植郡
美馬郡
三好郡
 香川縣
  第一區
高松市
三人
大川郡
木田郡
小豆郡
香川郡
  第二區
丸龜市
三人
綾歌郡
仲多度郡
三豐郡
 愛媛縣
  第一區
松山市
三人
溫泉郡
伊豫郡
上浮穴郡
喜多郡
  第二區
今治市
三人
越智郡
周桑郡
新居郡
宇摩郡
  第三區
宇和島市
三人
西宇和郡
東宇和郡
北宇和郡
南宇和郡
 高知縣
  第一區
高知市
三人
安藝郡
香美郡
長岡郡
土佐郡
  第二區
吾川郡
三人
高岡郡
幡多郡
 福岡縣
  第一區
福岡市
四人
糟屋郡
宗像郡
朝倉郡
筑紫郡
早良郡
糸島郡
  第二區
若松市
五人
八幡市
戶畑市
遠賀郡
鞍手郡
嘉穗郡
  第三區
久留米市
五人
大牟田市
浮羽郡
三井郡
三瀦郡
八女郡
山門郡
三池郡
  第四區
小倉市
四人
門司市
企救郡
田川郡
京都郡
筑上郡
 大分縣
  第一區
大分市
四人
大分郡
北海部郡
南海部郡
大野郡
直入郡
玖珠郡
日田郡
  第二區
別府市
三人
西國東郡
東國東郡
速見郡
下毛郡
宇佐郡
 佐賀縣
  第一區
佐賀市
三人
佐賀郡
神崎郡
三養基郡
小城郡
  第二區
東松浦郡
三人
西松浦郡
杵島郡
藤津郡
 熊本縣
  第一區
熊本市
五人
飽託郡
玉名郡
鹿本郡
菊池郡
阿蘇郡
  第二區
宇土郡
五人
上益城郡
下益城郡
八代郡
葦北郡
球磨郡
天草郡
 宮崎縣
五人
 鹿兒島縣
  第一區
鹿兒島市
五人
鹿兒島郡
揖宿郡
川邊郡
熊毛郡
日置郡
  第二區
薩摩郡
四人
出水郡
伊佐郡
姶良郡
囎唹郡
  第三區
肝屬郡
三人
大島島廳管內
 沖繩縣
五人
 北海道
  第一區
札幌市
四人
小樽市
石狩支廳管內
後志支廳管內
  第二區
旭川市
四人
上川支廳管內
宗谷支廳管內
留萌支廳管內
  第三區
函館市
三人
檜山支廳管內
渡島支廳管內
  第四區
室蘭市
五人
空知支廳管內
膽振支廳管內
浦河支廳管內
  第五區
釧路市
四人
河西支廳管內
釧路國支廳管內
根室支廳管內
網走支廳管內
 本表ハ十年間ハ之ヲ更正セス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ帝国議会ノ協賛ヲ経タル衆議院議員選挙法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十四年五月五日
内閣総理大臣 子爵 加藤高明
逓信大臣 犬養毅
陸軍大臣 宇垣一成
海軍大臣 財部彪
外務大臣 男爵 幣原喜重郎
内務大臣 若槻礼次郎
文部大臣 岡田良平
鉄道大臣 仙石貢
大蔵大臣 浜口雄幸
司法大臣 小川平吉
商工大臣 野田卯太郎
農林大臣 岡崎邦輔
法律第四十七号
衆議院議員選挙法
第一章 選挙ニ関スル区域
第一条 衆議院議員ハ各選挙区ニ於テ之ヲ選挙ス
選挙区及各選挙区ニ於テ選挙スヘキ議員ノ数ハ別表ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 投票区ハ市町村ノ区域ニ依ル
地方長官特別ノ事情アリト認ムルトキハ市町村ノ区域ヲ分チテ数投票区ヲ設ケ又ハ数町村ノ区域ヲ合セテ一投票区ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ投票区ヲ設ケタルトキハ地方長官ハ直ニ之ヲ告示スヘシ
第二項ノ規定ニ依リ設クル投票区ノ投票ニ関シ本法ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三条 開票区ハ郡市ノ区域ニ依ル
地方長官特別ノ事情アリト認ムルトキハ郡市ノ区域ヲ分チテ数開票区ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票区ヲ設ケタルトキハ地方長官ハ直ニ之ヲ告示スヘシ
第二項ノ規定ニ依リ設クル開票区ノ開票ニ関シ本法ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第四条 行政区画ノ変更ニ因リ選挙区ニ異動ヲ生スルモ現任議員ハ其ノ職ヲ失フコトナシ
第二章 選挙権及被選挙権
第五条 帝国臣民タル男子ニシテ年齢二十五年以上ノ者ハ選挙権ヲ有ス
帝国臣民タル男子ニシテ年齢三十年以上ノ者ハ被選挙権ヲ有ス
第六条 左ニ掲クル者ハ選挙権及被選挙権ヲ有セス
一 禁治産者及準禁治産者
二 破産者ニシテ復権ヲ得サル者
三 貧困ニ因リ生活ノ為公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セサル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ掲クル罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相当スル期間ヲ経過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未満ノ禁錮ノ刑ニ処セラレ又ハ前号ニ掲クル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第七条 華族ノ戸主ハ選挙権及被選挙権ヲ有セス
陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未タ入営セサル者及帰休下士官兵ヲ除ク)及戦時若ハ事変ニ際シ召集中ノ者ハ選挙権及被選挙権ヲ有セス兵籍ニ編入セラレタル学生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)及志願ニ依リ国民軍ニ編入セラレタル者亦同シ
第八条 選挙事務ニ関係アル官吏及吏員ハ其ノ関係区域内ニ於テ被選挙権ヲ有セス
第九条 在職ノ宮内官、判事、朝鮮総督府判事、台湾総督府法院判官、関東庁法院判官、南洋庁判事、検事、朝鮮総督府検事、台湾総督府法院検察官、関東庁法院検察官、南洋庁検事、陸軍法務官、海軍法務官、行政裁判所長官、行政裁判所評定官、会計検査官、収税官吏及警察官吏ハ被選挙権ヲ有セス
第十条 官吏及待遇官吏ハ左ニ掲クル者ヲ除クノ外在職中議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
一 国務大臣
二 内閣書記官長
三 法制局長官
四 各省政務次官
五 各省参与官
六 内閣総理大臣秘書官
七 各省秘書官
第十一条 北海道会議員及府県会議員ハ衆議院議員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第三章 選挙人名簿
第十二条 町村長ハ毎年九月十五日ノ現在ニ依リ其ノ日迄引続キ一年以上其ノ町村内ニ住居ヲ有スル者ノ選挙資格ヲ調査シ選挙人名簿二本ヲ調製シ十月十五日迄ニ之ヲ郡長ニ送付スヘシ
郡長ハ町村長ヨリ送付シタル名簿ヲ調査シ其ノ修正スヘキモノハ修正ヲ加ヘ一本ハ十月三十一日迄ニ之ヲ町村長ニ返付スヘシ
市長ハ毎年九月十五日ノ現在ニ依リ其ノ日迄引続キ一年以上其ノ市内ニ住居ヲ有スル者ノ選挙資格ヲ調査シ十月三十一日迄ニ選挙人名簿ヲ調製スヘシ
第一項又ハ前項ノ住居ニ関スル要件ヲ具備セサル選挙人ハ選挙人名簿ニ登録セラルルコトヲ得ス
選挙人名簿ニハ選挙人ノ氏名、住居及生年月日等ヲ記載スヘシ
第一項又ハ第三項ノ住居ニ関スル期間ハ行政区画変更ノ為中断セラルルコトナシ
第十三条 郡長及市町村長ハ十一月五日ヨリ十五日間郡市役所、町村役場又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選挙人名簿ヲ縦覧ニ供スヘシ
郡長及市町村長ハ縦覧開始ノ日ヨリ少クトモ三日前ニ縦覧ノ場所ヲ告示スヘシ
第十四条 選挙人名簿ニ脱漏又ハ誤載アリト認ムルトキハ選挙人ハ理由書及証憑ヲ具ヘ其ノ修正ヲ郡市長ニ申立ツルコトヲ得
縦覧期限ヲ経過シタルトキハ前項ノ申立ヲ為スコトヲ得ス
第十五条 郡市長ニ於テ前条ノ申立ヲ受ケタルトキハ其ノ理由及証憑ヲ審査シ申立ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ヲ決定スヘシ其ノ申立ヲ正当ナリト決定シタルトキハ直ニ選挙人名簿ヲ修正シ其ノ旨ヲ申立人及関係人ニ通知シ併セテ之ヲ告示スヘシ其ノ申立ヲ正当ナラスト決定シタルトキハ其ノ旨ヲ申立人ニ通知スヘシ
前項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキハ郡長ハ直ニ其ノ旨ヲ関係町村長ニ通知スヘシ
前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ町村長ハ直ニ名簿ヲ修正シ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第十六条 前条郡市長ノ決定ニ不服アル申立人又ハ関係人ハ郡市長ヲ被告トシ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ七日以内ニ地方裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項裁判所ノ判決ニ対シテハ控訴スルコトヲ得ス但シ大審院ニ上告スルコトヲ得
第十七条 選挙人名簿ハ十二月二十日ヲ以テ確定ス
選挙人名簿ハ次年ノ十二月十九日迄之ヲ据置クヘシ但シ確定判決ニ依リ修正スヘキモノハ郡市長ニ於テ直ニ之ヲ修正シ其ノ旨ヲ告示スヘシ
前項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキハ郡長ハ直ニ其ノ旨ヲ関係町村長ニ通知スヘシ
前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ町村長ハ直ニ名簿ヲ修正シ其ノ旨ヲ告示スヘシ
天災事変其ノ他ノ事故ニ因リ必要アルトキハ更ニ選挙人名簿ヲ調製スヘシ
前項選挙人名簿ノ調製及其ノ期日、縦覧確定ニ関スル期日、期間等ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第四章 選挙、投票及投票所
第十八条 総選挙ハ議員ノ任期終リタル日ノ翌日之ヲ行フヲ例トス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テハ議員ノ任期終リタル日ヨリ五日以内ニ之ヲ行フコトヲ妨ケス
議会開会中又ハ議会閉会ノ日ヨリ二十五日以内ニ議員ノ任期終ル場合ニ於テハ総選挙ハ議会閉会ノ日ヨリ二十六日以後三十日以内ニ之ヲ行フ
衆議院解散ヲ命セラレタル場合ニ於テハ総選挙ハ解散ノ日ヨリ三十日以内ニ之ヲ行フ
総選挙ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定メ少クトモ二十五日前ニ之ヲ公布ス
第十九条 選挙ハ投票ニ依リ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十条 市町村長ハ投票管理者ト為リ投票ニ関スル事務ヲ担任ス
第二十一条 投票所ハ市役所、町村役場又ハ投票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
第二十二条 投票管理者ハ選挙ノ期日ヨリ少クトモ五日前ニ投票所ヲ告示スヘシ
第二十三条 投票所ハ午前七時ニ開キ午後六時ニ閉ツ
第二十四条 議員候補者ハ各投票区ニ於ケル選挙人名簿ニ記載セラレタル者ノ中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ投票立会人一人ヲ定メ選挙ノ期日ノ前日迄ニ投票管理者ニ届出ツルコトヲ得但シ議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ其ノ届出テタル投票立会人ハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ニ依ル投票立会人三人ニ達セサルトキ若ハ三人ニ達セサルニ至リタルトキ又ハ投票立会人ニシテ参会スル者投票所ヲ開クヘキ時刻ニ至リ三人ニ達セサルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セサルニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ投票区ニ於ケル選挙人名簿ニ記載セラレタル者ノ中ヨリ三人ニ達スル迄ノ投票立会人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知シ投票ニ立会ハシムヘシ
投票立会人ハ正当ノ事故ナクシテ其ノ職ヲ辞スルコトヲ得ス
第二十五条 選挙人ハ選挙ノ当日自ラ投票所ニ到リ選挙人名簿ノ対照ヲ経テ投票ヲ為スヘシ
投票管理者ハ投票ヲ為サムトスル選挙人ノ本人ナリヤ否ヤヲ確認スルコト能ハサルトキハ其ノ本人ナル旨ヲ宣言セシムヘシ其ノ宣言ヲ為ササル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ス
第二十六条 投票用紙ハ選挙ノ当日投票所ニ於テ之ヲ選挙人ニ交付スヘシ
第二十七条 選挙人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ議員候補者一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スヘシ
投票用紙ニハ選挙人ノ氏名ヲ記載スルコトヲ得ス
第二十八条 投票ニ関スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ定ムル点字ハ之ヲ文字ト看做ス
第二十九条 選挙人名簿ニ登録セラレサル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ス但シ選挙人名簿ニ登録セラルヘキ確定判決書ヲ所持シ選挙ノ当日投票所ニ到ル者アルトキハ投票管理者ハ之ヲシテ投票ヲ為サシムヘシ
第三十条 選挙人名簿ニ登録セラレタル者選挙人名簿ニ登録セラルルコトヲ得サル者ナルトキハ投票ヲ為スコトヲ得ス選挙ノ当日選挙権ヲ有セサル者ナルトキ亦同シ
自ラ議員候補者ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ス
第三十一条 投票ノ拒否ハ投票立会人ノ意見ヲ聴キ投票管理者之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ヲ受ケタル選挙人不服アルトキハ投票管理者ハ仮ニ投票ヲ為サシムヘシ
前項ノ投票ハ選挙人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムヘシ
投票立会人ニ於テ異議アル選挙人ニ対シテモ亦前二項ニ同シ
第三十二条 投票所ヲ閉ツヘキ時刻ニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ旨ヲ告ケテ投票所ノ入口ヲ鎖シ投票所ニ在ル選挙人ノ投票結了スルヲ待チテ投票函ヲ閉鎖スヘシ
投票函閉鎖後ハ投票ヲ為スコトヲ得ス
第三十三条 選挙人ニシテ勅令ノ定ムル事由ニ因リ選挙ノ当日自ラ投票所ニ到リ投票ヲ為シ能ハサルヘキコトヲ証スル者ノ投票ニ関シテハ第二十五条、第二十六条、第二十七条第一項、第二十九条但書及第三十一条ノ規定ニ拘ラス勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三十四条 投票管理者ハ投票録ヲ作リ投票ニ関スル顛末ヲ記載シ投票立会人ト共ニ之ニ署名スヘシ
第三十五条 投票管理者ハ一人又ハ数人ノ投票立会人ト共ニ町村ノ投票区ニ於テハ投票ノ翌日迄ニ、市ノ投票区ニ於テハ投票ノ当日投票函、投票録及選挙人名簿ヲ開票管理者ニ送致スヘシ
第三十六条 島嶼其ノ他交通不便ノ地ニシテ前条ノ期日ニ投票函ヲ送致スルコト能ハサル情況アリト認ムルトキハ地方長官ハ適宜ニ其ノ投票ノ期日ヲ定メ開票ノ期日迄ニ其ノ投票函、投票録及選挙人名簿ヲ送致セシムルコトヲ得
第三十七条 天災其ノ他避クヘカラサル事故ニ因リ投票ヲ行フコトヲ得サルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ投票管理者ハ選挙長ヲ経テ地方長官ニ其ノ旨ヲ届出ツヘシ此ノ場合ニ於テハ地方長官ハ更ニ期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムヘシ但シ其ノ期日ハ少クトモ五日前ニ之ヲ告示セシムヘシ
第三十八条 第七十五条又ハ第七十九条ノ選挙ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選挙ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第三十九条 何人ト雖選挙人ノ投票シタル被選挙人ノ氏名ヲ陳述スルノ義務ナシ
第四十条 投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ保持シ必要ナル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ請求スルコトヲ得
第四十一条 選挙人、投票所ノ事務ニ従事スル者、投票所ヲ監視スル職権ヲ有スル者及警察官吏ニ非サレハ投票所ニ入ルコトヲ得ス
第四十二条 投票所ニ於テ演説討論ヲ為シ若ハ喧騒ニ渉リ又ハ投票ニ関シ協議若ハ勧誘ヲ為シ其ノ他投票所ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ投票管理者ハ之ヲ制止シ命ニ従ハサルトキハ投票所外ニ退出セシムヘシ
第四十三条 前条ノ規定ニ依リ投票所外ニ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ為スコトヲ得但シ投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ為サシムルコトヲ妨ケス
第五章 開票及開票所
第四十四条 郡市長ハ開票管理者ト為リ開票ニ関スル事務ヲ担任ス
第四十五条 開票所ハ郡市役所又ハ開票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
第四十六条 開票管理者ハ予メ開票ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第四十七条 第二十四条ノ規定ハ開票立会人ニ之ヲ準用ス
第四十八条 開票管理者ハ総テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日ノ翌日開票所ニ於テ開票立会人立会ノ上投票函ヲ開キ投票ノ総数ト投票人ノ総数トヲ計算スヘシ
第四十九条 前条ノ計算終リタルトキハ開票管理者ハ先ツ第三十一条第二項及第四項ノ投票ヲ調査シ開票立会人ノ意見ヲ聴キ其ノ受理如何ヲ決定スヘシ
開票管理者ハ開票立会人ト共ニ投票区毎ニ投票ヲ点検スヘシ
投票ノ点検終リタルトキハ開票管理者ハ直ニ其ノ結果ヲ選挙長ニ報告スヘシ
第五十条 選挙人ハ其ノ開票所ニ就キ開票ノ参観ヲ求ムルコトヲ得
第五十一条 投票ノ効力ハ開票立会人ノ意見ヲ聴キ開票管理者之ヲ決定スヘシ
第五十二条 左ノ投票ハ之ヲ無効トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒサルモノ
二 議員候補者ニ非サル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選挙権ナキ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
五 議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載シタルモノ但シ官位、職業、身分、住居又ハ敬称ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
六 議員候補者ノ氏名ヲ自書セサルモノ
七 議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカヲ確認シ難キモノ
八 衆議院議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
前項第八号ノ規定ハ第七十五条又ハ第七十九条ノ規定ニ依ル選挙ノ場合ニ限リ之ヲ適用ス
第五十三条 投票ハ有効無効ヲ区別シ議員ノ任期間開票管理者ニ於テ之ヲ保存スヘシ
第五十四条 開票管理者ハ開票録ヲ作リ開票ニ関スル顛末ヲ記載シ開票立会人ト共ニ署名シ投票録ト併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第五十五条 選挙ノ一部無効ト為リ更ニ選挙ヲ行ヒタル場合ノ開票ニ於テハ其ノ投票ノ効力ヲ決定スヘシ
第五十六条 第三十七条ノ規定ハ但書ヲ除キ開票ニ之ヲ準用ス
第五十七条 開票所ノ取締ニ付テハ第四十条乃至第四十二条ノ規定ヲ準用ス
第六章 選挙会
第五十八条 地方長官ハ各選挙区内ニ於ケル郡市長ノ中ニ就キ選挙長ヲ定ムヘシ但シ一県一選挙区タル場合ニ於テハ其ノ地方長官ヲ、一市一選挙区タル場合ニ於テハ其ノ市長ヲ選挙長トス
選挙長ハ選挙会ニ関スル事務ヲ担任ス
第五十九条 選挙会ハ選挙長ノ属スル県庁若ハ郡市役所又ハ選挙長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク
第六十条 選挙長ハ予メ選挙会ノ場所及日時ヲ告示スヘシ
第六十一条 第二十四条ノ規定ハ選挙立会人ニ之ヲ準用ス
第六十二条 選挙長ハ総テノ開票管理者ヨリ第四十九条第三項ノ報告ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日選挙会ヲ開キ選挙立会人立会ノ上其ノ報告ヲ調査スヘシ
選挙ノ一部無効ト為リ更ニ選挙ヲ行ヒタル場合ニ於テ第四十九条第三項ノ報告ヲ受ケタルトキハ選挙長ハ前項ノ例ニ依リ選挙会ヲ開キ他ノ部分ノ報告ト共ニ更ニ之ヲ調査スヘシ
第六十三条 選挙人ハ其ノ選挙会ノ参観ヲ求ムルコトヲ得
第六十四条 選挙長ハ選挙録ヲ作リ選挙会ニ関スル顛末ヲ記載シ選挙立会人ト共ニ署名シ第四十九条第三項ノ報告ニ関スル書類ト併セテ議員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第六十五条 第三十七条ノ規定ハ但書ヲ除キ選挙会ニ之ヲ準用ス
第六十六条 選挙会場ノ取締ニ付テハ第四十条乃至第四十二条ノ規定ヲ準用ス
第七章 議員候補者及当選人
第六十七条 議員候補者タラムトスル者ハ選挙ノ期日ノ公布又ハ告示アリタル日ヨリ選挙ノ期日前七日迄ニ其ノ旨ヲ選挙長ニ届出ツヘシ
選挙人名簿ニ記載セラレタル者他人ヲ議員候補者ト為サムトスルトキハ前項ノ期間内ニ其ノ推薦ノ届出ヲ為スコトヲ得
前二項ノ期間内ニ届出アリタル議員候補者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ヲ超ユル場合ニ於テ其ノ期間ヲ経過シタル後議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ前二項ノ例ニ依リ選挙ノ期日ノ前日迄議員候補者ノ届出又ハ推薦届出ヲ為スコトヲ得
議員候補者ハ選挙長ニ届出ヲ為スニ非サレハ議員候補者タルコトヲ辞スルコトヲ得ス
前四項ノ届出アリタルトキ又ハ議員候補者ノ死亡シタルコトヲ知リタルトキハ選挙長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第六十八条 議員候補者ノ届出又ハ推薦届出ヲ為サムトスル者ハ議員候補者一人ニ付二千円又ハ之ニ相当スル額面ノ国債証書ヲ供託スルコトヲ要ス
議員候補者ノ得票数其ノ選挙区内ノ議員ノ定数ヲ以テ有効投票ノ総数ヲ除シテ得タル数ノ十分ノ一ニ達セサルトキハ前項ノ供託物ハ政府ニ帰属ス
議員候補者選挙ノ期日前十日以内ニ議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス但シ被選挙権ヲ有セサルニ至リタル為議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六十九条 有効投票ノ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス但シ其ノ選挙区内ノ議員ノ定数ヲ以テ有効投票ノ総数ヲ除シテ得タル数ノ四分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
当選人ヲ定ムルニ当リ得票数同シキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢モ亦同シキトキハ選挙会ニ於テ選挙長抽籤シテ之ヲ定ム
第八十一条又ハ第八十三条ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果更ニ選挙ヲ行フコトナクシテ当選人ヲ定メ得ル場合ニ於テハ選挙会ヲ開キ之ヲ定ムヘシ
当選人当選ヲ辞シタルトキ、死亡者ナルトキ又ハ第七十条ノ規定ニ依リ当選ヲ失ヒタルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ第一項但書ノ得票者ニシテ当選人ト為ラサリシ者ノ中ニ就キ当選人ヲ定ムヘシ
当選人第八十四条ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果又ハ第百三十六条ノ規定ニ依リ当選無効ト為リタルトキハ選挙会ヲ開キ其ノ第七十四条ノ規定ニ依ル当選承諾届出期限前ナル場合ニ於テハ前項ノ例ニ依リ其ノ届出期限経過後ナル場合ニ於テハ第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選人ト為ラサリシ者ノ中ニ就キ当選人ヲ定ムヘシ
前三項ノ場合ニ於テ第一項但書ノ得票者ニシテ当選人ト為ラサリシ者選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セサルニ至リタルトキハ之ヲ当選人ト定ムルコトヲ得ス
第七十条 当選人選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セサルニ至リタルトキハ当選ヲ失フ
第七十一条 第六十七条第一項乃至第三項ノ規定ニ依ル届出アリタル議員候補者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ヲ超エサルトキハ其ノ選挙区ニ於テハ投票ヲ行ハス
前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトヲ要セサルトキハ選挙長ハ直ニ其ノ旨ヲ投票管理者ニ通知シ併セテ之ヲ告示シ且地方長官ニ報告スヘシ
投票管理者前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第一項ノ場合ニ於テハ選挙長ハ選挙ノ期日ヨリ五日以内ニ選挙会ヲ開キ議員候補者ヲ以テ当選人ト定ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ議員候補者ノ被選挙権ノ有無ハ選挙立会人ノ意見ヲ聴キ選挙長之ヲ決定スヘシ
第七十二条 当選人定リタルトキハ選挙長ハ直ニ当選人ニ当選ノ旨ヲ告知シ同時ニ当選人ノ氏名ヲ告示シ且当選人ノ氏名、得票数及其ノ選挙ニ於ケル有効投票ノ総数其ノ他選挙ノ顛末ヲ地方長官ニ報告スヘシ
当選人ナキトキ又ハ当選人其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セサルトキハ選挙長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且之ヲ地方長官ニ報告スヘシ
第七十三条 当選人当選ノ告知ヲ受ケタルトキハ其ノ当選ヲ承諾スルヤ否ヤヲ選挙長ニ届出ツヘシ
一人ニシテ数選挙区ノ当選ヲ承諾スルコトヲ得ス
選挙長第一項ノ規定ニ依ル届出ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ地方長官ニ報告スヘシ
第七十四条 当選人当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ当選承諾ノ届出ヲ為ササルトキハ其ノ当選ヲ辞シタルモノト看做ス
第七十五条 左ニ掲クル事由ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ更ニ選挙ヲ行フコトナクシテ当選人ヲ定メ得ルトキヲ除クノ外地方長官ハ選挙ノ期日ヲ定メ少クトモ十四日前ニ之ヲ告示シ更ニ選挙ヲ行ハシムヘシ但シ同一人ニ関シ左ニ掲クル其ノ他ノ事由ニ依リ又ハ第七十九条第六項ノ規定ニ依リ選挙ノ期日ヲ告示シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
一 当選人ナキトキ又ハ当選人其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セサルトキ
二 当選人当選ヲ辞シタルトキ又ハ死亡者ナルトキ
三 当選人第七十条ノ規定ニ依リ当選ヲ失ヒタルトキ
四 第八十一条又ハ第八十三条ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果当選人ナキニ至リ又ハ当選人其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セサルニ至リタルトキ
五 当選人第八十四条ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果当選無効ト為リタルトキ
六 当選人第百三十六条ノ規定ニ依リ当選無効ト為リタルトキ
第九章ノ規定ニ依ル訴訟ノ出訴期間ハ前項ノ規定ニ依ル選挙ヲ行フコトヲ得ス其ノ出訴アリタル場合ニ於テ訴訟繋属中亦同シ
第一項ノ選挙ノ期日ハ第九章ノ規定ニ依ル訴訟ノ出訴期間満了ノ日、其ノ出訴アリタル場合ニ於テハ地方長官第八十六条第一項ノ規定ニ依リ訴訟繋属セサルニ至リタル旨ノ大審院長ノ通知ヲ受ケタル日又ハ第百四十三条ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日ヲ超ユルコトヲ得ス
第一項各号ノ一ニ該当スル事由議員ノ任期ノ終ル前六月以内ニ生シタルトキハ第一項ノ選挙ハ之ヲ行ハス
第七十六条 当選人当選ヲ承諾シタルトキハ地方長官ハ直ニ当選証書ヲ付与シ其ノ氏名ヲ告示シ且之ヲ内務大臣ニ報告スヘシ
第七十七条 第九章ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果選挙若ハ当選無効ト為リタルトキ又ハ当選人第百三十六条ノ規定ニ依リ当選無効ト為リタルトキハ地方長官ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スヘシ
第八章 議員ノ任期及補闕
第七十八条 議員ノ任期ハ四年トシ総選挙ノ期日ヨリ之ヲ起算ス但シ議会開会中ニ任期終ルモ閉会ニ至ル迄在任ス
第七十九条 議員ニ闕員ヲ生スルモ其ノ闕員ノ数同一選挙区ニ於テ二人ニ達スル迄ハ補闕選挙ハ之ヲ行ハス
議員ニ闕員ヲ生シタルトキハ内務大臣ハ議院法第八十四条ノ規定ニ依ル衆議院議長ノ通牒ヲ受ケタル日ヨリ五日以内ニ地方長官ニ対シ其ノ旨ヲ通知スヘシ
地方長官ハ前項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタルトキハ其ノ闕員ト為リタル議員カ第七十四条ノ規定ニ依ル当選承諾届出ノ期限前ニ於テ闕員ト為リタル者ナル場合ニ於テ第六十九条第一項但書ノ得票者ニシテ当選人ト為ラサリシ者アルトキ又ハ其ノ期限経過後ニ於テ闕員ト為リタル者ナル場合ニ於テ第六十九条第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選人ト為ラサリシ者アルトキハ直ニ議員闕員ト為リタル旨ヲ選挙長ニ通知スヘシ
選挙長ハ前項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ第六十九条第四項乃至第六項ノ規定ヲ準用シ当選人ヲ定ムヘシ
地方長官ハ第二項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル場合ニ於テ第三項ノ規定ノ適用アルトキ及同一人ニ関シ第七十五条ノ規定ニ依リ選挙ノ期日ヲ告示シタルトキヲ除クノ外其ノ闕員ノ数同一選挙区ニ於テ二人ニ達スルヲ待チ最後ニ第二項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ補闕選挙ヲ行ハシムヘシ
補闕選挙ノ期日ハ地方長官少クトモ十四日前ニ之ヲ告示スヘシ
第七十五条第二項乃至第四項ノ規定ハ補闕選挙ニ之ヲ準用ス
第八十条 補闕議員ハ其ノ前任者ノ残任期間在任ス
第九章 訴訟
第八十一条 選挙ノ効力ニ関シ異議アル選挙人又ハ議員候補者ハ選挙長ヲ被告トシ選挙ノ日ヨリ三十日以内ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得
第八十二条 選挙ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選挙ノ結果ニ異動ヲ及ホスノ虞アル場合ニ限リ裁判所ハ其ノ選挙ノ全部又ハ一部ノ無効ヲ判決スヘシ
第八十三条ノ規定ニ依ル訴訟ニ於テモ其ノ選挙前項ノ場合ニ該当スルトキハ裁判所ハ其ノ全部又ハ一部ノ無効ヲ判決スヘシ
第八十三条 当選ヲ失ヒタル者当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ当選人ヲ被告トシ第七十二条第一項及第二項ノ告示ノ日ヨリ三十日以内ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得但シ第六十九条第一項但書ニ定メタル得票ニ達シタリトノ理由、第六十九条第六項若ハ第七十条ノ規定ニ該当セストノ理由又ハ第七十一条第五項ノ決定違法ナリトノ理由ニ因リ出訴スル場合ニ於テハ選挙長ヲ被告トスヘシ
前項ノ規定ニ依ル訴訟ノ裁判確定前当選人死亡シタルトキハ検事ヲ被告トス
第八十四条 第百十条ノ規定ニ依リ当選ヲ無効ナリト認ムル選挙人又ハ議員候補者ハ当選人ヲ被告トシ第七十二条第一項ノ告示ノ日ヨリ三十日以内ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得
第百三十六条ノ規定ニ依リ選挙事務長カ第百十二条又ハ第百十三条ノ罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタルニ因リ当選ヲ無効ナリト認ムル選挙人又ハ議員候補者ハ当選人ヲ被告トシ其ノ裁判確定ノ日ヨリ三十日以内ニ大審院ニ出訴スルコトヲ得
第八十五条 裁判所ハ本章ノ規定ニ依ル訴訟ヲ裁判スルニ当リ検事ヲシテ口頭弁論ニ立会ハシムヘシ
第八十六条 本章ノ規定ニ依ル訴訟ノ提起アリタルトキハ大審院長ハ其ノ旨ヲ内務大臣及関係地方長官ニ通知スヘシ訴訟ノ繋属セサルニ至リタルトキ亦同シ
本章ノ規定ニ依ル訴訟ニ付判決アリタルトキハ大審院長ハ其ノ判決書ノ謄本ヲ内務大臣ニ送付スヘシ帝国議会開会中ナルトキハ併セテ之ヲ衆議院議長ニ送付スヘシ
第八十七条 本章ノ規定ニ依ル訴訟ヲ提起セムトスル者ハ保証金トシテ三百円又ハ之ニ相当スル額面ノ国債証書ヲ供託スルコトヲ要ス
原告敗訴ノ場合ニ於テ裁判確定ノ日ヨリ七日以内ニ裁判費用ヲ完納セサルトキハ保証金ヲ以テ之ニ充当シ仍足ラサルトキハ之ヲ追徴ス
第十章 選挙運動
第八十八条 議員候補者ハ選挙事務長一人ヲ選任スヘシ但シ議員候補者自ラ選挙事務長ト為リ又ハ推薦届出者(推薦届出者数人アルトキハ其ノ代表者)議員候補者ノ承諾ヲ得テ選挙事務長ヲ選任シ若ハ自ラ選挙事務長ト為ルコトヲ妨ケス
議員候補者ノ承諾ヲ得スシテ其ノ推薦ノ届出ヲ為シタル者ハ前項但書ノ承諾ヲ得ルコトヲ要セス
議員候補者ハ文書ヲ以テ通知スルコトニ依リ選挙事務長ヲ解任スルコトヲ得選挙事務長ヲ選任シタル推薦届出者ニ於テ議員候補者ノ承諾ヲ得タルトキ亦同シ
選挙事務長ハ文書ヲ以テ議員候補者及選任者ニ通知スルコトニ依リ辞任スルコトヲ得
選挙事務長ノ選任者(自ラ選挙事務長ト為リタル者ヲ含ム以下之ニ同シ)ハ直ニ其ノ旨ヲ選挙区内警察官署ノ一ニ届出ツヘシ
選挙事務長ニ異動アリタルトキハ前項ノ規定ニ依リ届出ヲ為シタル者直ニ其ノ届出ヲ為シタル警察官署ニ其ノ旨ヲ届出ツヘシ
第九十五条ノ規定ニ依リ選挙事務長ニ代リテ其ノ職務ヲ行フ者ハ前項ノ例ニ依リ届出ツヘシ其ノ之ヲ罷メタルトキ亦同シ
第八十九条 選挙事務長ニ非サレハ選挙事務所ヲ設置シ又ハ選挙委員若ハ選挙事務員ヲ選任スルコトヲ得ス
選挙事務長ハ文書ヲ以テ通知スルコトニ依リ選挙委員又ハ選挙事務員ヲ解任スルコトヲ得
選挙委員又ハ選挙事務員ハ文書ヲ以テ選挙事務長ニ通知スルコトニ依リ辞任スルコトヲ得
選挙事務長選挙事務所ヲ設置シ又ハ選挙委員若ハ選挙事務員ヲ選任シタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ前条第五項ノ届出アリタル警察官署ニ届出ツヘシ選挙事務所又ハ選挙委員若ハ選挙事務員ニ異動アリタルトキ亦同シ
第九十条 選挙事務所ハ議員候補者一人ニ付七箇所ヲ超ユルコトヲ得ス
選挙ノ一部無効ト為リ更ニ選挙ヲ行フ場合又ハ第三十七条ノ規定ニ依リ投票ヲ行フ場合ニ於テハ選挙事務所ハ前項ニ掲クル数ヲ超エサル範囲内ニ於テ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ノ定メタル数ヲ超ユルコトヲ得ス
地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)前項ノ規定ニ依リ選挙事務所ノ数ヲ定メタル場合ニ於テハ選挙ノ期日ノ告示アリタル後直ニ之ヲ告示スヘシ
第九十一条 選挙事務所ハ選挙ノ当日ニ限リ投票所ヲ設ケタル場所ノ入口ヨリ三町以内ノ区域ニ之ヲ置クコトヲ得ス
第九十二条 休憩所其ノ他之ニ類似スル設備ハ選挙運動ノ為之ヲ設クルコトヲ得ス
第九十三条 選挙委員及選挙事務員ハ議員候補者一人ニ付通シテ五十人ヲ超ユルコトヲ得ス
第九十条第二項及第三項ノ規定ハ選挙委員及選挙事務員ニ関シ之ヲ準用ス
第九十四条 選挙事務長選挙権ヲ有セサル者ナルトキ又ハ第九十九条第二項ノ規定ニ依リ選挙運動ヲ為スコトヲ得サル者ナルトキハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ハ直ニ其ノ解任又ハ退任ヲ命スヘシ
第八十九条第一項ノ規定ニ違反シテ選挙事務所ノ設置アリト認ムルトキハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ハ直ニ其ノ選挙事務所ノ閉鎖ヲ命スヘシ第九十条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル定数ヲ超エテ選挙事務所ノ設置アリト認ムルトキハ其ノ超過シタル数ノ選挙事務所ニ付亦同シ
前条ノ規定ニ依ル定数ヲ超エテ選挙委員又ハ選挙事務員ノ選任アリト認ムルトキハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ハ直ニ其ノ超過シタル数ノ選挙委員又ハ選挙事務員ノ解任ヲ命スヘシ選挙委員又ハ選挙事務員選挙権ヲ有セサル者ナルトキ又ハ第九十九条第二項ノ規定ニ依リ選挙運動ヲ為スコトヲ得サル者ナルトキ其ノ選挙委員又ハ選挙事務員ニ付亦同シ
第九十五条 選挙事務長故障アルトキハ選任者代リテ其ノ職務ヲ行フ
推薦届出者タル選任者モ亦故障アルトキハ議員候補者ノ承諾ヲ得スシテ其ノ推薦ノ届出ヲ為シタル場合ヲ除クノ外議員候補者代リテ其ノ職務ヲ行フ
第九十六条 議員候補者、選挙事務長、選挙委員又ハ選挙事務員ニ非サレハ選挙運動ヲ為スコトヲ得ス但シ演説又ハ推薦状ニ依ル選挙運動ハ此ノ限ニ在ラス
第九十七条 選挙事務長、選挙委員又ハ選挙事務員ハ選挙運動ノ為ニ要スル飲食物、船車馬等ノ供給又ハ旅費、休泊料其ノ他ノ実費ノ弁償ヲ受クルコトヲ得演説又ハ推薦状ニ依リ選挙運動ヲ為ス者其ノ運動ヲ為スニ付亦同シ
選挙事務員ハ選挙運動ヲ為スニ付報酬ヲ受クルコトヲ得
第九十八条 何人ト雖投票ヲ得若ハ得シメ又ハ得シメサルノ目的ヲ以テ戸別訪問ヲ為スコトヲ得ス
何人ト雖前項ノ目的ヲ以テ連続シテ個個ノ選挙人ニ対シ面接シ又ハ電話ニ依リ選挙運動ヲ為スコトヲ得ス
第九十九条 選挙権ヲ有セサル者ハ選挙事務長、選挙委員又ハ選挙事務員ト為ルコトヲ得ス
選挙事務ニ関係アル官吏及吏員ハ其ノ関係区域内ニ於ケル選挙運動ヲ為スコトヲ得ス
第百条 内務大臣ハ選挙運動ノ為頒布シ又ハ掲示スル文書図画ニ関シ命令ヲ以テ制限ヲ設クルコトヲ得
第十一章 選挙運動ノ費用
第百一条 立候補準備ノ為ニ要スル費用ヲ除クノ外選挙運動ノ費用ハ選挙事務長ニ非サレハ之ヲ支出スルコトヲ得ス但シ議員候補者、選挙委員又ハ選挙事務員ハ選挙事務長ノ文書ニ依ル承諾ヲ得テ之ヲ支出スルコトヲ妨ケス
議員候補者、選挙事務長、選挙委員又ハ選挙事務員ニ非サル者ハ選挙運動ノ費用ヲ支出スルコトヲ得ス但シ演説又ハ推薦状ニ依ル選挙運動ノ費用ハ此ノ限ニ在ラス
第百二条 選挙運動ノ費用ハ議員候補者一人ニ付左ノ各号ノ額ヲ超ユルコトヲ得ス
一 選挙区内ノ議員ノ定数ヲ以テ選挙人名簿確定ノ日ニ於テ之ニ記載セラレタル者ノ総数ヲ除シテ得タル数ヲ四十銭ニ乗シテ得タル額
二 選挙ノ一部無効ト為リ更ニ選挙ヲ行フ場合ニ於テハ選挙区内ノ議員ノ定数ヲ以テ選挙人名簿確定ノ日ニ於テ関係区域ノ選挙人名簿ニ記載セラレタル者ノ総数ヲ除シテ得タル数ヲ四十銭ニ乗シテ得タル額
三 第三十七条ノ規定ニ依リ投票ヲ行フ場合ニ於テハ前号ノ規定ニ準シテ算出シタル額但シ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)必要アリト認ムルトキハ之ヲ減額スルコトヲ得
地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ハ選挙ノ期日ノ公布又ハ告示アリタル後直ニ前項ノ規定ニ依ル額ヲ告示スヘシ
第百三条 選挙運動ノ為財産上ノ義務ヲ負担シ又ハ建物、船車馬、印刷物、飲食物其ノ他ノ金銭以外ノ財産上ノ利益ヲ使用シ若ハ費消シタル場合ニ於テハ其ノ義務又ハ利益ヲ時価ニ見積リタル金額ヲ以テ選挙運動ノ費用ト看做ス
第百四条 左ノ各号ニ掲クル費用ハ之ヲ選挙運動ノ費用ニ非サルモノト看做ス
一 議員候補者カ乗用スル船車馬等ノ為ニ要シタル費用
二 選挙ノ期日後ニ於テ選挙運動ノ残務整理ノ為ニ要シタル費用
三 選挙委員又ハ選挙事務員ノ支出シタル費用ニシテ議員候補者又ハ選挙事務長ト意思ヲ通シテ支出シタル費用以外ノモノ但シ第百一条第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
四 第六十七条第一項乃至第三項ノ届出アリタル後議員候補者、選挙事務長、選挙委員又ハ選挙事務員ニ非サル者ノ支出シタル費用ニシテ議員候補者又ハ選挙事務長ト意思ヲ通シテ支出シタル費用以外ノモノ但シ第百一条第二項ノ規定ノ適用ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
五 立候補準備ノ為ニ要シタル費用ニシテ議員候補者若ハ選挙事務長ト為リタル者ノ支出シタル費用又ハ其ノ者ト意思ヲ通シテ支出シタル費用以外ノモノ
第百五条 選挙事務長ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ帳簿ヲ備ヘ之ニ選挙運動ノ費用ヲ記載スヘシ
第百六条 選挙事務長ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ選挙運動ノ費用ヲ精算シ選挙ノ期日ヨリ十四日以内ニ第八十八条第五項ノ届出アリタル警察官署ヲ経テ之ヲ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ニ届出ツヘシ
地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ハ前項ノ規定ニ依リ届出アリタル選挙運動ノ費用ヲ告示スヘシ
第百七条 選挙事務長ハ前条第一項ノ届出ヲ為シタル日ヨリ一年間選挙運動ノ費用ニ関スル帳簿及書類ヲ保存スヘシ
前項ノ帳簿及書類ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百八条 警察官吏ハ選挙ノ期日後何時ニテモ選挙事務長ニ対シ選挙運動ノ費用ニ関スル帳簿又ハ書類ノ提出ヲ命シ、之ヲ検査シ又ハ之ニ関スル説明ヲ求ムルコトヲ得
第百九条 選挙事務長辞任シ又ハ解任セラレタル場合ニ於テハ遅滞ナク選挙運動ノ費用ノ計算ヲ為シ新ニ選挙事務長ト為リタル者ニ対シ、新ニ選挙事務長ト為リタル者ナキトキハ第九十五条ノ規定ニ依リ選挙事務長ノ職務ヲ行フ者ニ対シ選挙事務所、選挙委員、選挙事務員其ノ他ニ関スル事務ト共ニ其ノ引継ヲ為スヘシ第九十五条ノ規定ニ依リ選挙事務長ノ職務ヲ行フ者事務ノ引継ヲ受ケタル後新ニ選挙事務長定リタルトキ亦同シ
第百十条 議員候補者ノ為支出セラレタル選挙運動ノ費用カ第百二条第二項ノ規定ニ依リ告示セラレタル額ヲ超エタルトキハ其ノ議員候補者ノ当選ヲ無効トス但シ議員候補者及推薦届出者カ選挙事務長又ハ之ニ代リテ其ノ職務ヲ行フ者ノ選任及監督ニ付相当ノ注意ヲ為シ且選挙事務長又ハ之ニ代リテ其ノ職務ヲ行フ者ニ於テ選挙運動ノ費用ノ支出ニ付過失ナカリシトキハ此ノ限ニ在ラス
第十二章 罰則
第百十一条 詐偽ノ方法ヲ以テ選挙人名簿ニ登録セラレタル者又ハ第二十五条第二項ノ場合ニ於テ虚偽ノ宣言ヲ為シタル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第百十二条 左ノ各号ニ掲クル行為ヲ為シタル者ハ二年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 当選ヲ得若ハ得シメ又ハ得シメサル目的ヲ以テ選挙人又ハ選挙運動者ニ対シ金銭、物品其ノ他ノ財産上ノ利益若ハ公私ノ職務ノ供与、其ノ供与ノ申込若ハ約束ヲ為シ又ハ饗応接待、其ノ申込若ハ約束ヲ為シタルトキ
二 当選ヲ得若ハ得シメ又ハ得シメサル目的ヲ以テ選挙人又ハ選挙運動者ニ対シ其ノ者又ハ其ノ者ノ関係アル社寺、学校、会社、組合、市町村等ニ対スル用水、小作、債権、寄附其ノ他特殊ノ直接利害関係ヲ利用シテ誘導ヲ為シタルトキ
三 投票ヲ為シ若ハ為ササルコト、選挙運動ヲ為シ若ハ止メタルコト又ハ其ノ周旋勧誘ヲ為シタルコトノ報酬ト為ス目的ヲ以テ選挙人又ハ選挙運動者ニ対シ第一号ニ掲クル行為ヲ為シタルトキ
四 第一号若ハ前号ノ供与、饗応接待ヲ受ケ若ハ要求シ、第一号若ハ前号ノ申込ヲ承諾シ又ハ第二号ノ誘導ニ応シ若ハ之ヲ促シタルトキ
五 前各号ニ掲クル行為ニ関シ周旋又ハ勧誘ヲ為シタルトキ
第百十三条 左ノ各号ニ掲クル行為ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
一 議員候補者タルコト若ハ議員候補者タラムトスルコトヲ止メシムル目的ヲ以テ議員候補者若ハ議員候補者タラムトスル者ニ対シ又ハ当選ヲ辞セシムル目的ヲ以テ当選人ニ対シ前条第一号又ハ第二号ニ掲クル行為ヲ為シタルトキ
二 議員候補者タルコト若ハ議員候補者タラムトスルコトヲ止メタルコト、当選ヲ辞シタルコト又ハ其ノ周旋勧誘ヲ為シタルコトノ報酬ト為ス目的ヲ以テ議員候補者タリシ者、議員候補者タラムトシタル者又ハ当選人タリシ者ニ対シ前条第一号ニ掲クル行為ヲ為シタルトキ
三 前二号ノ供与、饗応接待ヲ受ケ若ハ要求シ、前二号ノ申込ヲ承諾シ又ハ第一号ノ誘導ニ応シ若ハ之ヲ促シタルトキ
四 前各号ニ掲クル行為ニ関シ周旋又ハ勧誘ヲ為シタルトキ
第百十四条 前二条ノ場合ニ於テ収受シタル利益ハ之ヲ没収ス其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハサルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
第百十五条 選挙ニ関シ左ノ各号ニ掲クル行為ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
一 選挙人、議員候補者、議員候補者タラムトスル者、選挙運動者又ハ当選人ニ対シ暴行若ハ威力ヲ加ヘ又ハ之ヲ拐引シタルトキ
二 交通若ハ集会ノ便ヲ妨ケ又ハ演説ヲ妨害シ其ノ他偽計詐術等不正ノ方法ヲ以テ選挙ノ自由ヲ妨害シタルトキ
三 選挙人、議員候補者、議員候補者タラムトスル者、選挙運動者若ハ当選人又ハ其ノ関係アル社寺、学校、会社、組合、市町村等ニ対スル用水、小作、債権、寄附其ノ他特殊ノ利害関係ヲ利用シテ選挙人、議員候補者、議員候補者タラムトスル者、選挙運動者又ハ当選人ヲ威逼シタルトキ
第百十六条 選挙ニ関シ官吏又ハ吏員故意ニ其ノ職務ノ執行ヲ怠リ又ハ職権ヲ濫用シテ選挙ノ自由ヲ妨害シタルトキハ三年以下ノ禁錮ニ処ス
官吏又ハ吏員選挙人ニ対シ其ノ投票セムトシ又ハ投票シタル被選挙人ノ氏名ノ表示ヲ求メタルトキハ三月以下ノ禁錮又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第百十七条 選挙事務ニ関係アル官吏、吏員、立会人又ハ監視者選挙人ノ投票シタル被選挙人ノ氏名ヲ表示シタルトキハ二年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス其ノ表示シタル事実虚偽ナルトキ亦同シ
第百十八条 投票所又ハ開票所ニ於テ正当ノ事由ナクシテ選挙人ノ投票ニ関渉シ又ハ被選挙人ノ氏名ヲ認知スルノ方法ヲ行ヒタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
法令ノ規定ニ依ラスシテ投票函ヲ開キ又ハ投票函中ノ投票ヲ取出シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第百十九条 投票管理者、開票管理者、選挙長、立会人若ハ選挙監視者ニ暴行若ハ脅迫ヲ加ヘ、選挙会場、開票所若ハ投票所ヲ騒擾シ又ハ投票、投票函其ノ他関係書類ヲ抑留、毀壊若ハ奪取シタル者ハ四年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
第百二十条 多衆聚合シテ第百十五条第一号又ハ前条ノ罪ヲ犯シタル者ハ左ノ区別ニ従テ処断ス
一 首魁ハ一年以上七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
二 他人ヲ指揮シ又ハ他人ニ率先シテ勢ヲ助ケタル者ハ六月以上五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
三 附和随行シタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第百十五条第一号又ハ前条ノ罪ヲ犯ス為多衆聚合シ当該公務員ヨリ解散ノ命ヲ受クルコト三回以上ニ及フモ仍解散セサルトキハ首魁ハ二年以下ノ禁錮ニ処シ其ノ他ノ者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第百二十一条 選挙ニ関シ銃砲、刀剣、棍棒其ノ他人ヲ殺傷スルニ足ルヘキ物件ヲ携帯シタル者ハ二年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
警察官吏又ハ憲兵ハ必要ト認ムル場合ニ於テ前項ノ物件ヲ領置スルコトヲ得
第百二十二条 前条ノ物件ヲ携帯シテ選挙会場、開票所又ハ投票所ニ入リタル者ハ三年以下ノ禁錮又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第百二十三条 前二条ノ罪ヲ犯シタル場合ニ於テハ其ノ携帯シタル物件ヲ没収ス
第百二十四条 選挙ニ関シ多衆集合シ若ハ隊伍ヲ組ミテ往来シ又ハ煙火、松明ノ類ヲ用ヒ若ハ鐘鼓、喇叭ノ類ヲ鳴ラシ旗幟其ノ他ノ標章ヲ用フル等気勢ヲ張ルノ行為ヲ為シ警察官吏ノ制止ヲ受クルモ仍其ノ命ニ従ハサル者ハ六月以下ノ禁錮又ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第百二十五条 演説又ハ新聞紙、雑誌、引札、張札其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルニ拘ラス第百十二条、第百十三条、第百十五条、第百十八条乃至第百二十二条及前条ノ罪ヲ犯サシムル目的ヲ以テ人ヲ煽動シタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス但シ新聞紙及雑誌ニ在リテハ仍其ノ編輯人及実際編輯ヲ担当シタル者ヲ罰ス
第百二十六条 演説又ハ新聞紙、雑誌、引札、張札其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルニ拘ラス左ノ各号ニ掲クル行為ヲ為シタル者ハ二年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス新聞紙及雑誌ニ在リテハ前条但書ノ例ニ依ル
一 当選ヲ得又ハ得シムル目的ヲ以テ議員候補者ノ身分、職業又ハ経歴ニ関シ虚偽ノ事項ヲ公ニシタルトキ
二 当選ヲ得シメサル目的ヲ以テ議員候補者ニ関シ虚偽ノ事項ヲ公ニシタルトキ
第百二十七条 選挙人ニ非サル者投票ヲ為シタルトキハ一年以下ノ禁錮又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
氏名ヲ詐称シ其ノ他詐偽ノ方法ヲ以テ投票ヲ為シタル者ハ二年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
投票ヲ偽造シ又ハ其ノ数ヲ増減シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
選挙事務ニ関係アル官吏、吏員、立会人又ハ監視者前項ノ罪ヲ犯シタルトキハ五年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第百二十八条 立会人正当ノ事故ナクシテ本法ニ定メタル義務ヲ欠クトキハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第百二十九条 第九十六条若ハ第九十八条ノ規定ニ違反シタル者又ハ第九十四条ノ規定ニ依ル命令ニ従ハサル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第百三十条 第九十条第一項第二項ノ規定ニ依ル定数ヲ超エ若ハ第九十一条ノ規定ニ違反シテ選挙事務所ヲ設置シタル者又ハ第九十二条ノ規定ニ違反シテ休憩所其ノ他之ニ類似スル設備ヲ設ケタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第九十三条ノ規定ニ依ル定数ヲ超エテ選挙委員又ハ選挙事務員ノ選任ヲ為シタル者亦前項ニ同シ
第百三十一条 第八十九条第一項、第九十九条又ハ第百九条ノ規定ニ違反シタル者ハ六月以下ノ禁錮又ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第百三十二条 第八十八条第五項乃至第七項又ハ第八十九条第四項ノ届出ヲ怠リタル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第百条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者亦前項ニ同シ
第百三十三条 選挙事務長又ハ選挙事務長ニ代リ其ノ職務ヲ行フ者第百二条第二項ノ規定ニ依リ告示セラレタル額ヲ超エ選挙運動ノ費用ヲ支出シ又ハ第百一条第一項但書ノ規定ニ依ル承諾ヲ与ヘテ支出セシメタルトキハ一年以下ノ禁錮又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第百三十四条 第百一条ノ規定ニ違反シテ選挙運動ノ費用ヲ支出シタル者ハ一年以下ノ禁錮ニ処ス
第百三十五条 左ノ各号ニ掲クル行為ヲ為シタル者ハ六月以下ノ禁錮又ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第百五条ノ規定ニ違反シテ帳簿ヲ備ヘス又ハ帳簿ニ記載ヲ為サス若ハ之ニ虚偽ノ記入ヲ為シタルトキ
二 第百六条第一項ノ届出ヲ怠リ又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタルトキ
三 第百七条第一項ノ規定ニ違反シテ帳簿又ハ書類ヲ保存セサルトキ
四 第百七条第一項ノ規定ニ依リ保存スヘキ帳簿又ハ書類ニ虚偽ノ記入ヲ為シタルトキ
五 第百八条ノ規定ニ依ル帳簿若ハ書類ノ提出若ハ検査ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケ又ハ説明ノ求ニ応セサルトキ
第百三十六条 当選人其ノ選挙ニ関シ本章ニ掲クル罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタルトキハ其ノ当選ヲ無効トス選挙事務長第百十二条又ハ第百十三条ノ罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタルトキ亦同シ但シ選挙事務長ノ選任及監督ニ付相当ノ注意ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第百三十七条 本章ニ掲クル罪ヲ犯シタル者ニシテ罰金ノ刑ニ処セラレタル者ニ在リテハ其ノ裁判確定ノ後五年間、禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ニ在リテハ其ノ裁判確定ノ後刑ノ執行ヲ終ル迄又ハ刑ノ時効ニ因ル場合ヲ除クノ外刑ノ執行ノ免除ヲ受クル迄ノ間及其ノ後五年間衆議院議員及選挙ニ付本章ノ規定ヲ準用スル議会ノ議員ノ選挙権及被選挙権ヲ有セス禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ニ付其ノ裁判確定ノ後刑ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ間亦同シ
前項ニ規定スル者ト雖情状ニ因リ裁判所ハ刑ノ言渡ト同時ニ前項ノ規定ヲ適用セス又ハ其ノ期間ヲ短縮スル旨ノ宣告ヲ為スコトヲ得
前二項ノ規定ハ第六条第五号ノ規定ニ該当スル者ニハ之ヲ適用セス
第百三十八条 第百二十七条第三項及第四項ノ罪ノ時効ハ一年ヲ経過スルニ因リテ完成ス
前項ニ掲クル罪以外ノ本章ノ罪ノ時効ハ六月ヲ経過スルニ因リテ完成ス但シ犯人逃亡シタルトキハ其ノ期間ハ一年トス
第十三章 補則
第百三十九条 選挙ニ関スル費用ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百四十条 議員候補者又ハ推薦届出者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ選挙区内ニ在ル選挙人ニ対シ選挙運動ノ為ニスル通常郵便物ヲ選挙人一人ニ付一通ヲ限リ無料ヲ以テ差出スコトヲ得
公立学校其ノ他勅令ヲ以テ定ムル営造物ノ設備ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ演説ニ依ル選挙運動ノ為其ノ使用ヲ許可スヘシ
第百四十一条 選挙ニ関スル訴訟ニ付テハ本法ニ規定シタルモノヲ除クノ外民事訴訟ノ例ニ依ル選挙ニ関スル訴訟ニ付テハ裁判所ハ他ノ訴訟ノ順序ニ拘ラス速ニ其ノ裁判ヲ為スヘシ
第百四十二条 第十二章ニ掲クル罪ニ関スル刑事訴訟ニ付テハ上告裁判所ハ刑事訴訟法第四百二十二条第一項ノ期間ニ依ラサルコトヲ得
第百四十三条 当選人其ノ選挙ニ関シ第十二章ニ掲クル罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタルトキ又ハ選挙事務長第百十二条若ハ第百十三条ノ罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタルトキハ裁判所ノ長ハ其ノ旨ヲ全内務大臣及関係地方長官ニ通知スヘシ
第百四十四条 町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同処理スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス
第百四十五条 郡長ヲ置カサル地ニ於テハ本法中郡ニ関スル規定ハ島司又ハ北海道庁支庁長ノ管轄区域ニ、郡長ニ関スル規定ハ島司又ハ北海道庁支庁長ニ、郡役所ニ関スル規定ハ島庁又ハ北海道庁支庁ニ之ヲ適用ス
市制第六条ノ市ニ於テハ本法中市ニ関スル規定ハ区ニ、市長ニ関スル規定ハ区長ニ、市役所ニ関スル規定ハ区役所ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ本法中町村ニ関スル規定ハ町村ニ準スヘキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準スヘキ者ニ、町村役場ニ関スル規定ハ町村役場ニ準スヘキモノニ之ヲ適用ス
第百四十六条 交通至難ノ島嶼其ノ他ノ地ニ於テ本法ノ規定ヲ適用シ難キ事項ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第百四十七条 第三十三条ノ規定ニ依ル投票ニ付テハ其ノ投票ヲ管理スヘキ者ハ之ヲ投票管理者、其ノ投票ヲ記載スヘキ場所ハ又ヲ投票所、其ノ投票ニ立会フヘキ者ハ之ヲ投票立会人ト看做シ第十二章ノ規定ヲ適用ス
第百四十八条 本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六号布告刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者、同法ノ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者ハ之ヲ六年未満ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者ト看做ス
第百四十九条 明治十三年第三十六号布告刑法第二編第四章第九節ノ規定ハ衆議院議員ノ選挙ニ関シテハ之ヲ適用セス
第百五十条 本法ハ東京府小笠原島並北海道庁根室支庁管内占守郡、新知郡、得撫郡及色丹郡ニハ当分ノ内之ヲ施行セス
附 則
本法ハ次ノ総選挙ヨリ之ヲ施行ス
本法ニ依リ初テ議員ヲ選挙スル場合ニ於テ第十八条ノ規定ニ依リ難キトキハ勅命ヲ以テ別ニ総選挙ノ期日ヲ定ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル総選挙ニ必要ナル選挙人名簿ニ関シ第十二条、第十三条、第十五条又ハ第十七条ニ規定スル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ勅令ヲ以テ別ニ其ノ期日又ハ期間ヲ定ム但シ其ノ選挙人名簿ハ次ノ選挙人名簿確定迄其ノ効力ヲ有ス
別表
   選挙区
議員数
 東京府
  第一区
麹町区
五人
芝区
麻布区
赤坂区
四谷区
牛込区
  第二区
神田区
五人
小石川区
本郷区
下谷区
  第三区
日本橋区
四人
京橋区
浅草区
  第四区
本所区
四人
深川区
  第五区
荏原郡
五人
豊多摩郡
大島島庁管内
八丈島庁管内
  第六区
北豊島郡
五人
南足立郡
南葛飾郡
  第七区
八王子市
三人
西多摩郡
南多摩郡
北多摩郡
 京都府
  第一区
上京区
五人
下京区
  第二区
愛宕郡
三人
葛野郡
乙訓郡
紀伊郡
宇治郡
久世郡
綴喜郡
相楽郡
南桑田郡
北桑田郡
船井郡
  第三区
天田郡
三人
何鹿郡
加佐郡
与謝郡
中郡
竹野郡
熊野郡
 大阪府
  第一区
西区
三人
  第二区
南区
三人
  第三区
東区
四人
北区
  第四区
西成区
四人
東成区
  第五区
三島郡
四人
豊能郡
南河内郡
中河内郡
北河内郡
  第六区
堺市
三人
岸和田市
泉北郡
泉南郡
 神奈川県
  第一区
横浜市
三人
  第二区
横須賀市
四人
川崎市
久良岐郡
橘樹郡
都筑郡
三浦郡
鎌倉郡
  第三区
高座郡
四人
中郡
足柄上郡
足柄下郡
愛甲郡
津久井郡
 兵庫県
  第一区
神戸市
五人
  第二区
尼崎市
四人
武庫郡
川辺郡
有馬郡
津名郡
三原郡
  第三区
明石市
三人
明石郡
美嚢郡
加東郡
多可郡
加西郡
加古郡
印南郡
  第四区
姫路市
四人
飾磨郡
神崎郡
揖保郡
赤穂郡
佐用郡
宍粟郡
  第五区
城崎郡
三人
出石郡
養父郡
朝来郡
美方郡
氷上郡
多紀郡
 長崎県
  第一区
長崎市
五人
西彼杵郡
北高来郡
南高来郡
対馬島庁管内
  第二区
佐世保市
四人
東彼杵郡
北松浦郡
南松浦郡
壱岐郡
 新潟県
  第一区
新潟市
三人
西蒲原郡
佐渡郡
  第二区
北蒲原郡
四人
中蒲原郡
東蒲原郡
岩船郡
  第三区
長岡市
五人
南蒲原郡
三島郡
古志郡
北魚沼郡
南魚沼郡
刈羽郡
  第四区
高田市
三人
中魚沼郡
東頸城郡
中頸城郡
西頸城郡
 埼玉県
  第一区
川越市
四人
北足立郡
入間郡
  第二区
此企郡
四人
秩父郡
児玉郡
大里郡
  第三区
北埼玉郡
三人
南埼玉郡
北葛飾郡
 群馬県
  第一区
前橋市
五人
桐生市
勢多郡
利根郡
佐波郡
新田郡
山田郡
邑楽郡
  第二区
高崎市
四人
群馬郡
多野郡
北甘楽郡
碓氷郡
吾妻郡
 千葉県
  第一区
千葉市
四人
千葉郡
市原郡
東葛飾郡
君津郡
  第二区
印旛郡
三人
海上郡
匝瑳郡
香取郡
  第三区
長生郡
四人
山武郡
夷隅郡
安房郡
 茨城県
  第一区
水戸市
四人
東茨城郡
西茨城郡
鹿島郡
行方郡
稲敷郡
北相馬郡
  第二区
那珂郡
三人
久慈郡
多賀郡
  第三区
新治郡
四人
筑波郡
真壁郡
猿島郡
結城郡
 栃木県
  第一区
宇都宮市
五人
河内郡
上都賀郡
塩谷郡
那須郡
  第二区
足利市
四人
芳賀郡
下都賀郡
安蘇郡
足利郡
 奈良県
五人
 三重県
  第一区
津市
五人
四日市市
桑名郡
員弁郡
三重郡
鈴鹿郡
河芸郡
安濃郡
一志郡
阿山郡
名賀郡
  第二区
宇治山田市
四人
飯南郡
多気郡
度会郡
志摩郡
北牟婁郡
南牟婁郡
 愛知県
  第一区
名古屋市
五人
  第二区
愛知郡
三人
東春日井郡
西春日井郡
知多郡
  第三区
一宮市
三人
丹羽郡
葉栗郡
中島郡
海部郡
  第四区
岡崎市
三人
碧海郡
幡豆郡
額田郡
西加茂郡
東加茂郡
  第五区
豊橋市
三人
北設楽郡
南設楽郡
宝飯郡
渥美郡
八名郡
 静岡県
  第一区
静岡市
五人
清水市
庵原郡
安倍郡
志太郡
榛原郡
小笠郡
  第二区
沼津市
四人
賀茂郡
田方郡
駿東郡
富士郡
  第三区
浜松市
四人
磐田郡
周智郡
浜名郡
引佐郡
 山梨県
五人
 滋賀県
五人
 岐阜県
  第一区
岐阜市
三人
稲葉郡
山県郡
武儀郡
郡上郡
  第二区
大垣市
三人
羽島郡
海津郡
養老郡
不破郡
安八郡
揖斐郡
本巣郡
  第三区
加茂郡
三人
可児郡
土岐郡
恵那郡
益田郡
大野郡
吉城郡
 長野県
  第一区
長野市
三人
更級郡
上高井郡
下高井郡
上水内郡
下水内郡
  第二区
上田市
三人
南佐久郡
北佐久郡
小県郡
埴科郡
  第三区
諏訪郡
四人
上伊那郡
下伊那郡
  第四区
松本市
三人
西筑摩郡
東筑摩郡
南安曇郡
北安曇郡
 宮城県
  第一区
仙台市
五人
刈田郡
柴田郡
伊具郡
亘理郡
名取郡
宮城郡
黒川郡
加美郡
志田郡
遠田郡
  第二区
玉造郡
三人
栗原郡
登米郡
桃生郡
牡鹿郡
本吉郡
 福島県
  第一区
福島市
三人
郡山市
信夫郡
伊達郡
安達郡
安積郡
  第二区
若松市
五人
岩瀬郡
南会津郡
北会津郡
耶麻郡
河沼郡
大沼郡
東白川郡
西白河郡
石川郡
田村郡
  第三区
石城郡
三人
双葉郡
相馬郡
 岩手県
  第一区
盛岡市
三人
巌手郡
紫波郡
下閉伊郡
九戸郡
二戸郡
  第二区
稗貫郡
四人
和賀郡
胆沢郡
江刺郡
西磐井郡
東磐井郡
気仙郡
上閉伊郡
 青森県
  第一区
青森市
三人
東津軽郡
上北郡
下北郡
三戸郡
  第二区
弘前市
三人
西津軽郡
中津軽郡
南津軽郡
北津軽郡
 山形県
  第一区
山形市
四人
米沢市
南村山郡
東村山郡
西村山郡
南置賜郡
東置賜郡
西置賜郡
  第二区
鶴岡市
四人
北村山郡
最上郡
東田川郡
西田川郡
飽海郡
 秋田県
  第一区
秋田市
四人
鹿角郡
北秋田郡
山本郡
南秋田郡
河辺郡
  第二区
由利郡
三人
仙北郡
平鹿郡
雄勝郡
 福井県
四人
 石川県
  第一区
金沢市
三人
江沼郡
能美郡
石川郡
  第二区
河北郡
三人
羽咋郡
鹿島郡
鳳至郡
珠洲郡
 富山県
  第一区
富山市
三人
上新川郡
中新川郡
下新川郡
婦負郡
  第二区
高岡市
三人
射水郡
氷見郡
東礪波郡
西礪波郡
 鳥取県
四人
 島根県
  第一区
松江市
三人
八束郡
能義郡
仁多郡
大原郡
簸川郡
隠岐島庁管内
  第二区
飯石郡
三人
安濃郡
邇摩郡
邑智郡
那賀郡
美濃郡
鹿足郡
 岡山県
  第一区
岡山市
五人
御津郡
赤磐郡
和気郡
邑久郡
上道郡
真庭郡
苫田郡
勝田郡
英田郡
久米郡
  第二区
児島郡
五人
都窪郡
浅口郡
小田郡
後月郡
吉備郡
上房郡
川上郡
阿哲郡
 広島県
  第一区
広島市
四人
佐伯郡
安佐郡
山県郡
高田郡
  第二区
呉市
四人
安芸郡
賀茂郡
豊田郡
  第三区
尾道市
五人
福山市
御調郡
世羅郡
沼隈郡
深安郡
芦品郡
神石郡
甲奴郡
双三郡
比婆郡
 山口県
  第一区
下関市
四人
宇部市
厚狭郡
豊浦郡
美祢郡
大津郡
阿武郡
  第二区
大島郡
五人
玖珂郡
熊毛郡
都濃郡
佐波郡
吉敷郡
 和歌山県
  第一区
和歌山市
三人
海草郡
那賀郡
伊都郡
  第二区
有田郡
三人
日高郡
西牟婁郡
東牟婁郡
 徳島県
  第一区
徳島市
三人
名東郡
勝浦郡
那賀郡
海部郡
名西郡
  第二区
板野郡
三人
阿波郡
麻植郡
美馬郡
三好郡
 香川県
  第一区
高松市
三人
大川郡
木田郡
小豆郡
香川郡
  第二区
丸亀市
三人
綾歌郡
仲多度郡
三豊郡
 愛媛県
  第一区
松山市
三人
温泉郡
伊予郡
上浮穴郡
喜多郡
  第二区
今治市
三人
越智郡
周桑郡
新居郡
宇摩郡
  第三区
宇和島市
三人
西宇和郡
東宇和郡
北宇和郡
南宇和郡
 高知県
  第一区
高知市
三人
安芸郡
香美郡
長岡郡
土佐郡
  第二区
吾川郡
三人
高岡郡
幡多郡
 福岡県
  第一区
福岡市
四人
糟屋郡
宗像郡
朝倉郡
筑紫郡
早良郡
糸島郡
  第二区
若松市
五人
八幡市
戸畑市
遠賀郡
鞍手郡
嘉穂郡
  第三区
久留米市
五人
大牟田市
浮羽郡
三井郡
三瀦郡
八女郡
山門郡
三池郡
  第四区
小倉市
四人
門司市
企救郡
田川郡
京都郡
筑上郡
 大分県
  第一区
大分市
四人
大分郡
北海部郡
南海部郡
大野郡
直入郡
玖珠郡
日田郡
  第二区
別府市
三人
西国東郡
東国東郡
速見郡
下毛郡
宇佐郡
 佐賀県
  第一区
佐賀市
三人
佐賀郡
神崎郡
三養基郡
小城郡
  第二区
東松浦郡
三人
西松浦郡
杵島郡
藤津郡
 熊本県
  第一区
熊本市
五人
飽託郡
玉名郡
鹿本郡
菊池郡
阿蘇郡
  第二区
宇土郡
五人
上益城郡
下益城郡
八代郡
葦北郡
球磨郡
天草郡
 宮崎県
五人
 鹿児島県
  第一区
鹿児島市
五人
鹿児島郡
揖宿郡
川辺郡
熊毛郡
日置郡
  第二区
薩摩郡
四人
出水郡
伊佐郡
姶良郡
囎唹郡
  第三区
肝属郡
三人
大島島庁管内
 沖縄県
五人
 北海道
  第一区
札幌市
四人
小樽市
石狩支庁管内
後志支庁管内
  第二区
旭川市
四人
上川支庁管内
宗谷支庁管内
留萌支庁管内
  第三区
函館市
三人
檜山支庁管内
渡島支庁管内
  第四区
室蘭市
五人
空知支庁管内
胆振支庁管内
浦河支庁管内
  第五区
釧路市
四人
河西支庁管内
釧路国支庁管内
根室支庁管内
網走支庁管内
 本表ハ十年間ハ之ヲ更正セス