(管理及び処分の総轄)
第十條 大藏大臣は、必要があると認めるときは、各省各廳の長に対し、その所管に属する國有財産について、その状況に関する資料若しくは報告を求め、実地監査をし、又は閣議の決定を経て、用途の変更、用途の廃止、所管換その他必要な措置を求めることができる。
第十一條 大藏大臣は、各省各廳の長の所管に属する國有財産につき、その現況に関する記録を備え、常時その状況を明らかにして置かなければならない。
第十二條 各省各廳の長が、國有財産の所管換を受けようとするときは、当該財産を所管する各省各廳の長及び大藏大臣に協議しなければならない。
第十三條 公共福祉用財産又は皇室用財産とする目的で財産を取得し、又は公共福祉用財産若しくは皇室用財産以外の國有財産をこれらの財産としようとするときは、國会の議決を経なければならない。公共福祉用財産又は皇室用財産の用途を廃止しようとするときも同樣とする。
第十四條 左に掲げる場合においては、当該國有財産を所管する各省各廳の長は、大藏大臣に協議しなければならない。
一 公用財産又は企業用財産とする目的で土地又は建物を取得しようとするとき。
二 普通財産を公用財産又は企業用財産としようとするとき。
三 公用財産を企業用財産とし、又は企業用財産を公用財産としようとするとき。
四 公用財産又は企業用財産である土地又は建物の用途を変更しようとするとき。
五 公用財産又は企業用財産である建物を移築しようとするとき。
六 公用財産又は企業用財産である土地又は建物について、所属を異にする会計の間において所属替をしようとするとき。
2 前項第一号、第四号及び第五号の規定は、政令で定める特別会計に属するものについては、これを適用しない。
(異なる会計間の所管換等)
第十五條 公用財産、企業用財産及び普通財産を、所属を異にする会計の間において、所管換若しくは所属替をし、又は所属を異にする会計をして使用させるときは、当該会計間において有償として整理するものとする。但し、國において直接道路、河川、水路、港湾その他公共の用に供する財産であつて公共福祉用財産以外のもの(以下公共物という。)又は公共福祉用財産とする目的をもつてこれをする場合は、この限りでない。
(職員の行爲の期限)
第十六條 國有財産に関する事務に從事する職員は、その取扱に係る國有財産を讓り受け、又は自己の所有物と交換することができない。
2 前項の規定に違反してなした行爲は、これを無効とする。
(國有財産調整審議会)
第十七條 第十條の規定により大藏大臣の求める用途の変更、用途の廃止、所管換その他必要な措置及び第十四條の規定により大藏大臣が協議を受けた重要な事項について、大藏大臣の諮問に應じてこれを調査審議するため、大藏省に國有財産調整審議会を置く。
2 審議会は、会長一人、委員二十人以内でこれを組織する。
4 委員は、衆議院、参議院、総理廳、法務廳、各省、最高裁判所及び会計檢査院(以下各省各廳という。)の職員の中から、内閣でこれを命ずる。
5 前各項に定めるものの外、審議会について必要な事項は、政令でこれを定める。