(商標権の設定の登録)
2 第四十条第一項の規定による登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。
3 前項の登録があつたときは、商標権者の氏名又は名称及び住所又は居所、登録番号並びに設定の登録の年月日を商標公報に掲載しなければならない。
(存続期間)
第十九条 商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。
2 商標権の存続期間は、更新登録の出願により更新することができる。ただし、その登録商標が第四条第一項第一号から第三号まで、第五号、第七号又は第十六号に掲げる商標に該当するものとなつているときは、この限りでない。
(存続期間の更新登録)
第二十条 商標権の存続期間の更新登録の出願をする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては代表者の氏名
2 更新登録の出願は、商標権の存続期間の満了前六月から三月までの間にしなければならない。
3 更新登録の出願をする者がその責に帰することができない理由により前項に規定する期間内にその出願をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日以内でその期間の経過後二月以内にその出願をすることができる。
4 商標権の存続期間の更新登録の出願があつたときは、存続期間は、更新されたものとみなす。ただし、その出願について拒絶をすべき旨の査定が確定し、又は商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、この限りでない。
第二十一条 審査官は、商標権の存続期間の更新登録の出願が次の各号の一に該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その出願に係る登録商標が第十九条第二項ただし書の規定に該当するとき。
2 審査官は、商標権の存続期間の更新登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、更新登録をすべき旨の査定をしなければならない。
第二十二条 第十四条並びに特許法第四十八条(審査官の除斥)、第五十条(拒絶理由の通知)及び第六十三条(査定の方式)の規定は、商標権の存続期間の更新登録の出願の審査に準用する。
(存続期間の更新の登録)
第二十三条 第四十条第二項の規定による登録料の納付があつたときは、商標権の存続期間を更新した旨の登録をする。
2 第十八条第三項の規定は、前項の登録があつた場合に準用する。
(商標権の移転)
第二十四条 商標権の移転は、その指定商品が二以上あるときは、指定商品ごとに分割してすることができる。ただし、分割しようとする指定商品がその分割しようとする指定商品以外の指定商品のいずれかに類似しているときは、この限りでない。
2 連合商標に係る商標権は、分離して移転することができない。
3 商標権を譲り受けるには、通商産業省令で定めるところにより、その旨を日刊新聞紙に公告しなければならない。
4 商標権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)の登録は、前項の規定による公告があつた日から三十日を経過した後でなければ、することができない。
5 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関又は公益に関する団体であつて営利を目的としないものの商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、譲渡することができない。
6 公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者の商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、その事業とともにする場合を除き、移転することができない。
(商標権の効力)
第二十五条 商標権者は、指定商品について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
(商標権の効力が及ばない範囲)
第二十六条 商標権の効力は、次に掲げる商標には、及ばない。
一 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
二 当該指定商品又はこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格又は生産、加工若しくは使用の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標
三 当該指定商品又はこれに類似する商品について慣用されている商標
2 前項第一号の規定は、商標権の設定の登録があつた後、不正競争の目的で、自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を用いた場合は、適用しない。
(登録商標等の範囲)
第二十七条 登録商標の範囲は、願書に添附した書面に表示した商標に基いて定めなければならない。
2 指定商品の範囲は、願書の記載に基いて定めなければならない。
第二十八条 商標権の効力については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
2 特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。
3 前項に規定するもののほか、判定に関する手続は、政令で定める。
(他人の意匠権等との関係)
第二十九条 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の意匠登録出願に係る他人の意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、指定商品のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。
(専用使用権)
第三十条 商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない。
2 専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品について登録商標の使用をする権利を専有する。
3 専用使用権は、商標権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 特許法第七十七条第四項及び第五項(質権の設定等)、第九十七条第二項(放棄)並びに第九十八条第一項第二号及び第二項(登録の効果)の規定は、専用使用権に準用する。
(通常使用権)
第三十一条 商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない。
2 通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品について登録商標の使用をする権利を有する。
3 通常使用権は、商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては、商標権者及び専用使用権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 特許法第七十三条第一項(共有)、第九十四条第二項(質権の設定)、第九十七条第三項(放棄)並びに第九十九条第一項及び第三項(登録の効果)の規定は、通常使用権に準用する。
(先使用による商標の使用をする権利)
第三十二条 他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品又はこれに類似する商品についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際(第十三条第一項において準用する特許法第四十条の規定により、又は第十七条において、若しくは第五十六条第一項において準用する特許法第百五十九条第一項において、若しくは第六十一条において準用する特許法第百七十四条第一項において準用する同法第百五十九条第一項において、それぞれ準用する同法第五十三条第四項の規定により、その商標登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの商標登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現にその商標が自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品についてその商標の使用をする場合は、その商品についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
2 当該商標権者又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品と自己の業務に係る商品との混同を防ぐのに適当な表示を附すべきことを請求することができる。
(無効審判の請求登録前の使用による商標の使用をする権利)
第三十三条 次の各号の一に該当する者が第四十六条第一項の審判の請求の登録前に商標登録が同項各号の一に該当することを知らないで日本国内において指定商品又はこれに類似する商品について当該登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、その商標が自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたときは、その者は、継続してその商品についてその商標の使用をする場合は、その商品についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
一 同一又は類似の指定商品について使用をする同一又は類似の商標についての二以上の商標登録のうち、その一を無効にした場合における原商標権者
二 商標登録を無効にして同一又は類似の指定商品について使用をする同一又は類似の商標について正当権利者に商標登録をした場合における原商標権者
三 前二号に掲げる場合において、第四十六条第一項の審判の請求の登録の際現にその無効にした商標登録に係る商標権についての専用使用権又はその商標権若しくは専用使用権についての第三十一条第四項において準用する特許法第九十九条第一項の効力を有する通常使用権を有する者
2 当該商標権者又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。
(質権)
第三十四条 商標権、専用使用権又は通常使用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該指定商品について当該登録商標の使用をすることができない。
2 特許法第九十六条(物上代位)の規定は、商標権、専用使用権又は通常使用権を目的とする質権に準用する。
3 特許法第九十八条第一項第三号及び第二項(登録の効果)の規定は、商標権又は専用使用権を目的とする質権に準用する。
4 特許法第九十九条第三項(登録の効果)の規定は、通常使用権を目的とする質権に準用する。
(特許法の準用)
第三十五条 特許法第七十三条(共有)、第七十六条(相続人がない場合の特許権の消滅)、第九十七条第一項(放棄)並びに第九十八条第一項第一号及び第二項(登録の効果)の規定は、商標権に準用する。