(目的)
第一条 この法律は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Cの知的所有権の貿易関連の側面に関する協定に基づき特定農林水産物等の名称の保護に関する制度を確立することにより、特定農林水産物等の生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与し、併せて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「農林水産物等」とは、次に掲げる物をいう。ただし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品、同条第三項に規定する化粧品及び同条第九項に規定する再生医療等製品に該当するものを除く。
三 農林水産物(第一号に掲げるものを除く。)であって、政令で定めるもの
四 農林水産物を原料又は材料として製造し、又は加工したもの(第二号に掲げるものを除く。)であって、政令で定めるもの
2 この法律において「特定農林水産物等」とは、次の各号のいずれにも該当する農林水産物等をいう。
一 特定の場所、地域又は国を生産地とするものであること。
二 品質、社会的評価その他の確立した特性(以下単に「特性」という。)が前号の生産地に主として帰せられるものであること。
3 この法律において「地理的表示」とは、特定農林水産物等の名称(当該名称により前項各号に掲げる事項を特定することができるものに限る。)の表示をいう。
4 この法律において「生産」とは、農林水産物等が出荷されるまでに行われる一連の行為のうち、農林水産物等に特性を付与し、又は農林水産物等の特性を保持するために行われる行為をいい、「生産地」とは、生産が行われる場所、地域又は国をいい、「生産業者」とは、生産を業として行う者をいう。
5 この法律において「生産者団体」とは、生産業者を直接又は間接の構成員(以下単に「構成員」という。)とする団体(法人でない団体にあっては代表者又は管理人の定めのあるものに限り、法令又は定款その他の基本約款において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)であって、農林水産省令で定めるものをいう。
6 この法律において「生産行程管理業務」とは、生産者団体が行う次に掲げる業務をいう。
一 農林水産物等について第七条第一項第二号から第八号までに掲げる事項を定めた明細書(以下単に「明細書」という。)の作成又は変更を行うこと。
二 明細書を作成した農林水産物等について当該生産者団体の構成員たる生産業者が行うその生産が当該明細書に適合して行われるようにするため必要な指導、検査その他の業務を行うこと。