(出願日に関する特例)
第十二条の二 特定国に対する第七条第一項の出願に相当する出願(以下「特定国出願」という。)をした者又はその承継人が特定国出願のうち最先の出願をした日(以下「特定国への出願日」という。)の翌日から一年以内に当該特定国出願に係る品種につき同項の出願をした場合には、その出願は、第十一条の規定の適用については、特定国への出願日にされたものとみなす。
(出願品種の審査)
第十二条の三 農林水産大臣は、出願者に対し出願品種の審査のために必要な資料の提出を求めることができる。
農林水産大臣は、出願品種の審査をするに当たつては、その職員に現地調査又は栽培試験を行わせるものとする。ただし、出願品種の審査上その必要がないと認められる場合は、この限りでない。
農林水産大臣は、前項の規定による現地調査又は栽培試験を関係行政機関、学校その他適当と認める者に依頼することができる。
(品種登録)
第十二条の四 農林水産大臣は、第七条第一項の出願がこの法律及びこの法律に基づく命令に規定する要件を満たすものであると認めたときは、品種登録をしなければならない。
品種登録の有効期間は、十五年(第十条第二項に規定する品種にあつては、十八年)とする。
品種登録は、品種登録簿に品種の名称、植物体の特性、有効期間、品種登録を受ける者の氏名又は名称及び住所その他農林水産省令で定める事項を記載してするものとする。
農林水産大臣は、第一項の規定による品種登録をしたときは、農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
(品種登録の効力)
第十二条の五 品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)の植物体の全部又は一部については、当該登録品種について品種登録を受けている者(以下「品種登録者」という。)以外の者は、業として次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該登録品種の植物体の全部又は一部を種苗として、有償で譲渡し、若しくは有償で譲渡する旨の申出をし、又は有償で譲渡する目的をもつて、生産し、若しくは輸入すること。
二 当該登録品種が、通常種苗以外のものとされているその植物体の一部を利用しても極めて容易に繁殖する農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する場合にあつては、当該植物体の一部を繁殖させて得られる植物体の全部又は一部を有償で譲渡すること(前号に掲げる行為を除く。)。
三 当該登録品種が固定品種である場合にあつては、当該登録品種の植物体と他の固定品種の植物体とを交雑させて得られる種子又は胞子を種苗として、有償で譲渡し、若しくは有償で譲渡する旨の申出をし、又は有償で譲渡する目的をもつて、生産し、若しくは輸入すること。
次の各号に掲げる者は、前項の規定にかかわらず、業として当該各号に定める行為をすることができる。
一 品種登録者から前項各号に掲げる行為をすることについての許諾(その許諾の後に品種登録者の名義の変更(相続その他の一般承継による場合を除く。)があつた場合にあつては、農林水産省令で定めるところにより品種登録簿に記載された許諾に限る。)を得た者 当該許諾の内容に従つてする同項各号に掲げる行為
二 登録品種の育成をした者よりも先に当該登録品種と同一の品種の育成をした者 前項各号に掲げる行為
三 交雑品種の植物体を得るために交雑させる植物体が属する固定品種(以下「親品種」という。)についての品種登録者 当該交雑品種で品種登録を受けているものの植物体の全部又は一部についてする前項第一号に掲げる行為
四 交雑品種についての品種登録者で当該交雑品種につきその親品種よりも先に品種登録を受けたもの 当該親品種で品種登録を受けているものの植物体についてする当該交雑品種に係る前項第三号に掲げる行為
五 登録品種の育成をする方法についての特許権を有する者又はその特許につき専用実施権若しくは通常実施権を有する者で当該特許に係る方法により植物体の全部又は一部を生産するもの 当該植物体の全部又は一部についてする前項各号に掲げる行為
六 前号の特許権の消滅後において同号の特許に係る方法により植物体の全部又は一部を生産する者 当該植物体の全部又は一部についてする前項各号に掲げる行為
七 従業者等又はその承継人が職務育成品種についての品種登録を受けている場合におけるその従業者等に係る使用者等又はその一般承継人 当該職務育成品種の植物体の全部又は一部についてする前項各号に掲げる行為
八 次に掲げる植物体の全部又は一部を種苗として譲り受けた者 当該譲受けに係る植物体の全部又は一部を、その数を増加させることなく、種苗として、有償で譲渡し、又は有償で譲渡する旨の申出をすること。
イ 品種登録者が業として有償で譲渡した植物体の全部又は一部
ロ 第十二条の八第六項に規定する裁定を受けた者が当該裁定で定めるところにより有償で譲渡した植物体の全部又は一部
ハ 前各号に掲げる者が業としてする当該各号に定める行為により譲渡された植物体の全部又は一部
品種登録者は、登録品種の植物体の全部又は一部につき第一項の規定に違反して同項各号に掲げる行為をしている者に対し、その行為をやめるべきことを請求することができる。ただし、損害賠償を請求することを妨げない。
(品種名称の使用制限)
第十二条の六 登録品種の種苗を業として販売する場合には、当該登録品種の名称以外の名称を使用してはならない。
登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として販売する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。
(品種登録者の名義の変更)
第十二条の七 品種登録者の名義は、相続その他の事由により変更することができる。
品種登録者の名義の変更は、相続その他の一般承継による場合を除き、品種登録簿に登録しなければ、その効力を生じない。
第九条第二項の規定は、相続その他の一般承継による品種登録者の名義の変更について準用する。
(裁定)
第十二条の八 登録品種の植物体の全部若しくは一部につき第十二条の五第一項第一号若しくは第三号に掲げる行為が継続して二年以上適当にされていないとき、又は当該行為がされることが公共の利益のため特に必要であるときは、当該登録品種の植物体の全部又は一部につき業として当該行為をしようとする者は、当該登録品種についての品種登録者に対し当該行為をすることについての許諾につき協議を求めることができる。
前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、同項に規定する者は、農林水産大臣の裁定を申請することができる。
農林水産大臣は、前項の規定による申請があつたときは、その旨を当該申請に係る品種登録者に対し、文書をもつて通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
農林水産大臣は、登録品種の植物体の全部又は一部につき第十二条の五第一項第一号又は第三号に掲げる行為がされることが公共の利益のため特に必要である場合を除き、当該行為が適当にされていないことについて正当な理由がある場合は、当該行為をすることについての許諾をすべき旨の裁定をしてはならない。
農林水産大臣は、第二項の裁定をしようとするときは、農業資材審議会の意見を聴かなければならない。
第十二条の五第一項第一号又は第三号に掲げる行為をすることについての許諾をすべき旨の裁定においては、第二項の規定による申請をした者がすることができる当該行為の内容並びに対価及びその支払の方法を定めなければならない。
農林水産大臣は、第二項の裁定をしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
前項の規定により第六項に規定する裁定の通知があつたときは、当該裁定で定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。
(登録品種の調査)
第十二条の九 農林水産大臣は、登録品種の植物体の特性が保持されているかどうかについて調査の必要があると認める場合は、品種登録者に対し登録品種の植物体の全部又は一部その他の資料の提出を求めることができる。
農林水産大臣は、前項に規定する場合には、その職員に現地調査又は栽培試験を行わせるものとする。
(品種登録の取消し)
第十二条の十 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、品種登録を取り消さなければならない。
一 登録品種の植物体の特性が品種登録をした時における植物体の特性と異なることとなつたことが判明したとき。
二 品種登録者が第十二条の十二第四項又は第五項の期間内に各年分の登録料を納付しないとき。
農林水産大臣は、次に掲げる場合には、品種登録を取り消すことができる。
一 第七条第一項の出願がこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する要件を満たしていなかつたことが判明したとき。
二 品種登録者が、正当な理由がないのに、前条第一項の規定により提出を求められた資料を提出せず、又は同条第二項の規定による現地調査を拒んだとき。
農林水産大臣は、第一項第一号又は前項の規定による品種登録の取消しをしようとするときは、当該品種登録に係る品種登録者に対し、その理由を文書をもつて通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
農林水産大臣は、第一項又は第二項の規定による品種登録の取消しをしたときは、その旨を、当該品種登録に係る品種登録者に通知するとともに、公示しなければならない。
(品種登録の消除等)
第十二条の十一 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、品種登録簿につき、品種登録を消除しなければならない。
二 前条第一項又は第二項の規定により品種登録を取り消したとき。
この法律に定めるもののほか、品種登録及び品種登録簿に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
(出願料及び登録料)
第十二条の十二 品種登録の出願者は、一件につき三万円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の出願料を納付しなければならない。
品種登録者は、第十二条の四第二項に規定する十五年又は十八年の各年について、一件ごとに、五万円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の登録料を納付しなければならない。
前二項の規定は、これらの規定により出願料又は登録料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
第二項の規定による第一年分の登録料は、第十二条の四第四項の規定による公示があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
第二項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。