商標法施行法
法令番号: 法律第百二十八号
公布年月日: 昭和34年4月13日
法令の形式: 法律
商標法施行法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年四月十三日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百二十八号
商標法施行法
(商標法の施行期日)
第一条 商標法(昭和三十四年法律第百二十七号。以下「新法」という。)は、昭和三十五年四月一日から施行する。
(商標法の廃止)
第二条 商標法(大正十年法律第九十九号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
(商標権)
第三条 旧法による商標権、標章権又は団体標章権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法による商標権となつたものとみなす。ただし、その効力は、旧法第八条第二項の規定により効力が及ばないこととされた部分には、及ばない。
2 前項ただし書の規定は、第七条第一項の規定により従前の例によりした商標登録又は標章登録をすべき旨の査定又は審決に係る商標権に準用する。
3 旧法第一条第三項の規定(第七条第一項の規定により従前の例による場合を含む。)により商標に施すべき色を限定して受けた登録に係る登録商標については、新法第七十条第一項及び第三項の規定は、適用しない。
(標章の使用をする権利)
第四条 旧法第九条第一項の規定による標章の使用をする権利であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第三十二条第一項の規定による商標の使用をする権利となつたものとみなす。
第五条 旧法第二十五条第一項の規定による商標の使用をする権利であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第七条第八項の規定によりその例によるものとされた旧法第二十五条第一項の規定による商標の使用をする権利は当該審決が確定した日において、新法第三十三条第一項の規定による商標の使用をする権利となつたものとみなす。
(存続期間)
第六条 第三条第一項の規定により新法により商標権となつたものとみなされた旧法による商標権、標章権及び団体標章権(次条第一項の規定により従前の例によりした商標登録又は標章登録をすべき旨の査定又は審決に係るものを含む。)の存続期間(次条第三項の規定により従前の例によりした存続期間更新登録後のものを含む。)については、なお従前の例による。ただし、その存続期間の更新については、この限りでない。
(係属中の手続)
第七条 新法の施行の際現に係属している商標登録出願又は標章登録出願(抗告審判に係属しているものを含む。)については、その商標登録出願又は標章登録出願について査定又は審決が確定するまでは、なお従前の例による。
2 新法の施行の際現に係属している団体標章登録出願(抗告審判に係属しているものを含む。)は、商標登録出願とみなして前項の規定を適用する。
3 新法の施行の際現に係属している商標権の存続期間更新登録の出願(抗告審判に係属しているものを含む。)については、その出願について査定又は審決が確定するまでは、なお従前の例による。
4 新法の施行の際現に係属している標章権又は団体標章権の存続期間更新登録の出願(抗告審判に係属しているものを含む。)は、商標権の存続期間更新登録の出願とみなして前項の規定を適用する。
5 第一項の規定により従前の例によりした標章登録をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その査定又は審決は、新法による商標登録をすべき旨の査定又は審決とみなす。
6 新法の施行の際現に係属して商標権についての旧法第二十二条第一項第一号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判については、なお従前の例による。ただし、新法の施行の際現に係属している商標権についての同号の審判(新法の施行の際現に事件が抗告審判に係属しており、新法の施行後差し戻されて審判に係属した場合におけるその審判を含む。)については、その審判の審決を抗告審判の審決と、審判請求書の却下の決定を抗告審判の請求書の却下の決定とみなす。
7 新法の施行の際現に係属している標章権又は団体標章権についての旧法第二十二条第一項第一号の審判(旧法第三十一条第一項の規定による団体標章の登録の取消に係るものを除く。)又はその審判の審決に対する抗告審判は、商標権についての同号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判とみなして前項の規定を適用する。
8 新法の施行の際現に係属している旧法第二十二条第一項第二号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判については、なお従前の例による。
9 新法の施行の際現に係属している商標権についての旧法第二十二条第一項第三号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判については、なお従前の例による。
10 第六項ただし書の規定は、前二項の場合に準用する。
11 新法の施行の際現に係属している標章権又は団体標章権についての旧法第二十二条第一項第三号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判は、商標権についての同号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判とみなして第九項の規定を適用する。
12 第六項から前項までの規定は、新法の施行の際現に係属している旧法第二十四条又は同条において準用する特許法(大正十年法律第九十六号)第百二十八条第一項において準用する同法第百二十一条第一項の再審に準用する。
13 第一項から第四項まで、第六項から第九項まで及び前二項に規定する手続以外の手続(旧法第三十一条第一項の規定による団体標章の登録の取消に係るものを除く。)であつて、新法の施行の際現に特許庁に係属しているものについては、なお従前の例による。
(商標登録出願により生じた権利等の承継)
第八条 新法の施行前にした商標登録出願により生じた権利、標章登録出願により生じた権利又は団体標章登録出願により生じた権利の承継(相続その他の一般承継を除く。)であつて、新法の施行の際現に特許庁長官に届出をしてないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(商標権等の移転)
第九条 新法の施行前にした商標権、標章権又は団体標章権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)であつて、新法の施行の際現に登録してないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(無効審判)
第十条 旧法によりした商標登録(第七条第一項の規定により従前の例によりしたものを含み、旧商標法(明治四十二年法律第二十五号。以下「四十二年法」という。)によりしたものを除く。)についての新法第四十六条第一項の審判又はその審判又はその審判の確定審決に対する再審においては、旧法第十六条第一項の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有し、同項に規定する場合に限り、その商標登録を無効にすることができる。
2 前項に規定する商標登録についての旧法第二十二条第一項第二号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判の確定審決(第七条第八項の規定により従前の例によりした当該審決であつて、確定したものを含む。)に対する再審であつて、新法の施行後に請求したものにおいても、前項と同様とする。
3 第一項に規定する商標登録については、旧法第二十三条の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
4 四十二年法によりした商標登録についての新法第四十六条第一項の審判又はその審判の確定審決に対する再審においては、旧法第四十二条前段の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有し、同条前段に規定する場合に限り、その商標登録を無効にすることができる。
5 前項に規定する商標登録についての旧法第二十二条第一項第二号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判の確定審決(第七条第八項の規定により従前の例によりした当該審決であつて確定したものを含む。)に対する再審であつて、新法の施行後に請求したものにおいても、前項と同様とする。
6 第四項に規定する商標登録については、旧法第四十二条後段及び第四十三条の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
7 旧法によりした標章登録及び団体標章登録(第七条第一項の規定により従前の例によりしたものを含む。)は、旧法によりした商標登録とみなして前六項の規定を適用する。
第十一条 前条の規定は、旧法によりした商標権、標章権又は団体標章権の存続期間更新の登録(第七条第三項の規定により従前の例によりしたものを含む。)に準用する。
(登録料)
第十二条 新法の施行前にすでに納付し又は納付すべきであつた登録料については、なお従前の例による。
2 新法第四十二条の規定は、新法の施行前に納付した登録料(前項の規定により従前の例により納付したものを含む。)についても、適用する。
(団体標章の使用者)
第十三条 旧法第二十七条第一項の団体員又は旧法第三十三条の営業者であつて、新法の施行の際現に団体標章の使用をすることができるものは、当該商標権についての新法第三十一条第一項の規定による通常使用権を有するものとみなす。
(処分)
第十四条 旧法によりした処分、手続その他の行為(第七条第一項、第三項、第六項、第八項、第九項(これらの規定を同条第十二項において準用する場合を含む。)又は第十三項の規定により従前の例によりしたものを含む。)は、新法中にこれに相当する規定があるときは、新法によりしたものとみなす。
(罰則の適用)
第十五条 新法の施行前にした行為及び第七条第一項、第三項、第六項、第八項、第九項(これらの規定を同条第十二項において準用する場合を含む。)又は第十三項の規定により従前の例によるものとされた手続に係る新法の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則
この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。
法務大臣 愛知揆一
通商産業大臣 高碕達之助
内閣総理大臣 岸信介