(特別会計)
第十七條 地方公営企業の経理は、第二條第一項に掲げる事業ごとに特別会計を設けて行い、その経費は、当該事業の経営に伴う収入をもつて充てなければならない。但し、同條同項に掲げる事業を二以上経営する地方公共団体においては、議会の議決を経て二以上の事業を通じて一の特別会計を設けることができる。
(一般会計又は他の特別会計からの繰入金)
第十八條 地方公共団体は、地方公営企業について災害の復旧その他特別の事由に因り必要がある場合においては、予算の定めるところにより、一般会計又は他の特別会計からの繰入金による収入をもつて当該企業の経費に充てることができる。
2 前項の規定による繰入金に相当する金額は、翌年度以降において、予算の定めるところにより、当該繰入金を繰り入れた一般会計又は他の特別会計に繰りもどさなければならない。但し、一般会計又は他の特別会計において支出すべきものを当該企業の特別会計において支出したことに因る繰入金その他特別の事由に因る繰入金については、議会の議決を経て、当該繰入金を繰り入れた一般会計又は他の特別会計に繰りもどさないことができる。
(事業年度)
第十九條 地方公営企業の事業年度は、地方公共団体の会計年度による。
(計理の方法)
第二十條 地方公営企業においては、その企業の経営成績を明らかにするため、収益及び費用をその発生の事実に基いて計理しなければならず、且つ、その企業の財政状態を明らかにするため、資産、資本及び負債の増減及び異動をその都度記録し、及び整理しなければならない。
2 前項の資産、資本及び負債については、政令で定めるところにより、その内容を明らかにしなければならない。
(料金)
第二十一條 地方公共団体は、地方公営企業の給付について料金を徴収することができる。
2 前項の料金は、公正妥当なものでなければならず、且つ、これを決定するに当つては、地方公営企業の収支の均衡を保持させるように適切な考慮が払われなければならない。
(企業債)
第二十二條 地方公共団体が、地方公営企業の建設、改良等に要する資金に充てるため起す地方債(以下「企業債」という。)については、行政庁の許可を必要としない。
(償還期限を定めない企業債)
第二十三條 地方公共団体は、企業債のうち、地方公営企業の建設に要する資金に充てるものについては、償還期限を定めないことができる。この場合においては、当該地方公営企業の毎事業年度における利益剰余金の状況に応じ、特別利息をつけることができる。
(予算)
第二十四條 地方公共団体の長は、当該地方公営企業の管理者が作成した予算の見積に基いて毎事業年度地方公営企業の予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならない。
2 業務量の増加に因り地方公営企業の業務のため直接必要な経費に不足を生じたときは、管理者は、当該業務量の増加に因り増加する収入に相当する金額を当該企業の業務のため直接必要な経費に使用することができる。この場合においては、遅滞なく、管理者は、当該地方公共団体の長にその旨を報告するものとし、報告を受けた地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。
(財政計画に関する書類)
第二十五條 地方公共団体の長は、地方公営企業の予算を議会に提出する場合においては、当該地方公営企業の管理者が作成した当該予算の実施計画、当該年度の事業計画及び資金計画その他財政計画の参考となるべき事項に関する書類をあわせて提出しなければならない。
(予算の繰越)
第二十六條 予算に定めた地方公営企業の建設又は改良に要する経費のうち、年度内に支払義務が生じなかつたものがある場合においては、管理者は、その額を翌年度に繰り越して使用することができる。この場合においては、管理者は、地方公共団体の長に繰越額の使用に関する計画について報告するものとし、報告を受けた地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。
(出納及び現金の保管)
第二十七條 地方公営企業の業務に係る出納は、管理者が行う。
2 管理者は、地方公営企業の業務に係る現金を政令で定める金融機関で当該地方公共団体の長が指定したものに預け入れて保管しなければならない。但し、管理者は、当該地方公共団体の長が定めた額を限度として現金を自ら保管することができる。
(企業出納員及び現金取扱員)
第二十八條 地方公営企業を経営する地方公共団体に、当該地方公営企業の業務に係る出納その他の会計事務をつかさどらせるため、企業出納員及び現金取扱員を置く。
2 企業出納員及び現金取扱員は、第十五條の職員のうちから、管理者が命ずる。
3 企業出納員は、管理者の命を受けて、出納その他の会計事務をつかさどる。
4 現金取扱員は、上司の命を受けて、企業管理規程で定めた額を限度として当該地方公営企業の業務に係る現金の出納に関する事務をつかさどる。
5 管理者は、その事務の一部を企業出納員に委任することができる。
(一時借入金)
第二十九條 管理者は、予算内の支出をするため、一時の借入をすることができる。
2 前項の規定による借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。但し、資金不足のため償還することができない場合においては、償還することができない金額を限度として、これを借り換えることができる。
3 前項但書の規定により借り換えた借入金は、一年以内に償還しなければならない。但し、借入金をもつてこれを償還するようなことをしてはならない。
(決算)
第三十條 管理者は、毎事業年度終了後二月以内に当該地方公営企業の決算を作成し、証書類、当該年度の事業報告書及び政令で定めるその他の書類をあわせて当該地方公共団体の長に提出しなければならない。
2 前項の規定による決算及び同項の規定によりあわせて提出すべき書類の提出を受けたときは、地方公共団体の長は、これらを監査委員の審査に付し、その意見をつけて、遅くとも当該事業年度終了後三月を経過した後において最初に招集される議会の認定に付さなければならない。
3 第一項の決算について作成すべき書類は、当該年度の予算の区分に従つて作成した決算報告書並びに損益計算書、剰余金計算書又は欠損金計算書、剰余金処分計算書又は欠損金処理計算書及び貸借対照表とし、その様式は、総理府令で定める。
4 地方公営企業について、地方自治法第二百四十四條第二項の規定による議会の指定があつたときは、第二項の規定に基く地方公共団体の長の決算及び第一項の規定によりあわせて提出すべき書類の議会への提出をもつて地方自治法第二百四十四條第二項の規定による普通地方公共団体の長の貸借対照表その他必要な書類の提出とみなす。
(計理状況の報告)
第三十一條 管理者は、毎月末日をもつて試算表その他当該企業の計理状況を明らかにするために必要な書類を作成し、翌月十日までに当該地方公共団体の長に提出しなければならない。
(剰余金の処分)
第三十二條 地方公営企業の決算上利益剰余金を生じた場合において、前事業年度から繰り越した欠損金があるときは、これをその補てんに充て、なお、残額があるときは、その残額の二十分の一を下らない金額を利益準備金として積み立てなければならない。
2 各事業年度において生じた資本剰余金は、資本準備金、再評価積立金その他の科目に積み立てなければならない。
3 第一項に規定するものの外、利益剰余金の処分については、別に予算に定があるものを除き、議会の議決を経て定めなければならない。
4 第一項の利益準備金は、企業債の償還その他條例で定める支出に充てる場合を除く外、処分することができない。
5 第二項の資本準備金及び再評価積立金は、政令で定める場合を除く外、処分することができない。
(資産の取得、管理及び処分)
第三十三條 地方公営企業の用に供する資産の取得、管理及び処分は、管理者が行う。但し、條例で定める重要な資産の取得及び処分は、当該地方公共団体の長の承認を受けなければならない。
(契約)
第三十四條 地方公共団体が地方公営企業の業務に関して売買、貸借、請負その他の契約を結ぶ場合においては、公告して一般競争入札の方法に準じて申込をさせ、最低若しくは最高の価額によつて申込をした者又は申込をした者であつて価額その他の條件について公正な協議がととのつた者とこれをしなければならない。但し、法令又は條例で定める場合においては、この限りでない。
(政令への委任)
第三十五條 この章に定めるものを除く外、地方公営企業の財務に関し必要な事項は、政令で定める。