第三十九條 (最高裁判所の裁判官の任免)最高裁判所長官は、内閣の指名に基いて、天皇がこれを任命する。
内閣は、第一項の指名又は第二項の任命を行うには、裁判官任命諮問委員会に諮問しなければならない。
裁判官任命諮問委員会に関する規程は、政令でこれを定める。
最高裁判所長官及び最高裁判所判事の任命は、國民の審査に関する法律の定めるところにより國民の審査に付される。
第四十條(下級裁判所の裁判官の任免) 高等裁判所長官、判事、判事補及び簡易裁判所判事は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。
第一項の裁判官は、その官に任命された日から十年を経過したときは、その任期を終えるものとし、再任されることができる。
第四十一條(最高裁判所の裁判官の任命資格) 最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者の中からこれを任命し、そのうち少くとも十人は、十年以上第一号及び第二号に掲げる職の一若しくは二に在つた者又は左の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算して二十年以上になる者でなければならない。
五年以上前項第一号及び第二号に掲げる職の一若しくは二に在つた者又は十年以上同項第一号乃至第六号に掲げる職の一若しくは二以上に在つた者が判事補、裁判所調査官、最高裁判所事務総長、裁判所事務官、司法研修所教官、司法次官、司法事務官又は少年審判官の職に在つたときは、その在職は、同項の規定の適用については、これを同項第三号乃至第六号に掲げる職の在職とみなす。
前二項の規定の適用については、第一項第三号乃至第五号及び前項に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。
三年以上第一項第六号の大学の法律学の教授又は助教授の職に在つた者が簡易裁判所判事、檢察官又は弁護士の職に就いた場合においては、その簡易裁判所判事、檢察官(副檢事を除く。)又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない。
第四十二條(高等裁判所長官及び判事の任命資格) 高等裁判所長官及び判事は、左の各号に掲げる職の一又は二以上に在つてその年数を通算して十年以上になる者の中からこれを任命する。
六 前條第一項第六号の大学の法律学の教授又は助教授
前項の規定の適用については、三年以上同項各号に掲げる職の一又は二以上に在つた者が裁判所事務官又は司法事務官の職に在つたときは、その在職は、これを同項各号に掲げる職の在職とみなす。
前二項の規定の適用については、第一項第二号乃至第五号及び前項に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。
三年以上前條第一項第六号の大学の法律学の教授又は助教授の職に在つた者が簡易裁判所判事、檢察官又は弁護士の職に就いた場合においては、その簡易裁判所判事、檢察官(副檢事を除く。)又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない。司法修習生の修習を終えないで簡易裁判所判事又は檢察官に任命された者の第六十六條の試驗に合格した後の簡易裁判所判事、檢察官(副檢事を除く。)又は弁護士の職に在つた年数についても、同樣とする。
第四十三條(判事補の任命資格) 判事補は、司法修習生の修習を終えた者の中からこれを任命する。
第四十四條(簡易裁判所判事の任命資格) 簡易裁判所判事は、高等裁判所長官若しくは判事の職に在つた者又は左の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算して、三年以上になる者の中からこれを任命する。
四 裁判所調査官、裁判所事務官、司法研修所教官、司法事務官又は少年審判官
五 第四十一條第一項第六号の大学の法律学の教授又は助教授
前項の規定の適用については、同項第二号乃至第四号に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。
司法修習生の修習を終えないで檢察官に任命された者の第六十六條の試驗に合格した後の檢察官(副檢事を除く。)又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない。
第四十五條(簡易裁判所判事の選考任命) 多年司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経驗のある者は、前條第一項に掲げる者に該当しないときでも、簡易裁判所判事選考委員会の選考を経て、簡易裁判所判事に任命されることができる。
簡易裁判所判事選考委員会に関する規程は、最高裁判所がこれを定める。
第四十六條(任命の欠格事由) 他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者の外、左の各号の一に該当する者は、これを裁判官に任命することができない。
第四十七條(補職) 下級裁判所の裁判官の職は、最高裁判所がこれを補する。
第四十八條(身分の保障) 裁判官は、公の彈劾又は國民の審査に関する法律による場合及び別に法律で定めるところにより心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合を除いては、その意思に反して、免官、轉官、轉所、職務の停止又は報酬の減額をされることはない。
第四十九條(懲戒) 裁判官は、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。
第五十條(定年) 最高裁判所の裁判官は、年齢七十年、下級裁判所の裁判官は、年齢六十五年に達した時に退官する。
第五十一條(報酬) 裁判官の受ける報酬については、別に法律でこれを定める。
第五十二條(政治運動等の禁止) 裁判官は、在任中、左の行爲をすることができない。
一 國会若しくは地方公共團体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。
二 最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に從事すること。
三 商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。