裁判所法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第96号
公布年月日: 昭和25年4月14日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

裁判所書記官の職責の重要性増大と事務の複雑化に対応するため、最高裁判所に裁判所書記官研修所を新設し、研究・修養・養成を行うこととした。また、少年保護司制度を改め、家庭裁判所に少年調査官及び少年調査官補を置くこととした。さらに、法廷等の秩序維持のため、裁判長または裁判官が必要と認める場合に警察官等の派出を要求できることとした。これらの改正により、裁判所書記官の素質向上と充実を図り、司法機能を十分に発揮させるとともに、少年事件の適切な処理と法廷の秩序維持を確保することを目的としている。

参照した発言:
第7回国会 衆議院 法務委員会 第12号

審議経過

第7回国会

参議院
(昭和25年3月3日)
衆議院
(昭和25年3月6日)
参議院
(昭和25年3月13日)
衆議院
(昭和25年3月16日)
(昭和25年3月18日)
(昭和25年3月22日)
(昭和25年3月23日)
参議院
(昭和25年4月4日)
(昭和25年4月5日)
衆議院
(昭和25年4月8日)
(昭和25年5月3日)
参議院
(昭和25年5月2日)
裁判所法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九十六号
裁判所法等の一部を改正する法律
第一條 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
第十四條の二を第十四條の三とし、第十四條の次に次の一條を加える。
第十四條の二(裁判所書記官研修所) 裁判所書記官の研究及び修養並びにその養成に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に裁判所書記官研修所を置く。
第四十一條第二項中「司法研修所教官、」の下に「裁判所書記官研修所教官、」を加える。
第四十二條第一項第五号中「又は司法研修所教官」を「、司法研修所教官又は裁判所書記官研修所教官」に改める。
第四十四條第一項第四号中「司法研修所教官、」の下に「裁判所書記官研修所教官、」を加える。
第五十五條第二項中「、二級又は三級」を削る。
第五十六條第一項中「一級の」を削る。
第五十六條の二を第五十六條の四、第五十六條の三を第五十六條の五とし、第五十六條の次に次の二條を加える。
第五十六條の二(裁判所書記官研修所教官) 最高裁判所に別に法律で定める員数の裁判所書記官研修所教官を置く。
裁判所書記官研修所教官は、一級又は二級とする。
裁判所書記官研修所教官は、上司の指揮を受けて、裁判所書記官研修所における研究及び修養の指導並びに養成を掌る。
第五十六條の三(裁判所書記官研修所長) 最高裁判所に裁判所書記官研修所長を置き、一級の裁判所書記官研修所教官の中から、最高裁判所が、これを補する。
裁判所書記官研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、裁判所書記官研修所の事務を掌理し、裁判所書記官研修所の職員を指揮監督する。
第六十一條の二中「少年保護司」を「少年調査官」に、「上席少年保護司」を「上席少年調査官」に改め、同條第一項を次のように改める。
各家庭裁判所に通じて別に法律で定める員数の少年調査官を置く。
第六十一條の二第一項の次に次の一項を加える。
少年調査官は、一級又は二級とする。
第六十一條の二の次に次の一條を加える。
第六十一條の三(少年調査官補) 各家庭裁判所に通じて別に法律で定める員数の少年調査官補を置く。
少年調査官補は、二級又は三級とする。
少年調査官補は、上司の命を受けて、少年調査官の事務を補助する。
第六十五條を次のように改める。
第六十五條(勤務裁判所の指定) 裁判所調査官、裁判所事務官(事務局長たるものを除く。)、裁判所書記官、裁判所書記官補、少年調査官、少年調査官補及び裁判所技官の勤務する裁判所は、最高裁判所の定めるところにより最高裁判所、各高等裁判所、各地方裁判所又は各家庭裁判所がこれを定める。
第七十一條の次に次の一條を加える。
第七十一條の二(警察官等の派出要求) 裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における秩序を維持するため必要があると認めるときは、都道府県国家地方警察本部の長又は市町村警察長(特別区の存する区域の警察長を含む。)に警察官又は警察吏員の派出を要求することができる。法廷における秩序を維持するため特に必要があると認めるときは、開廷前においてもその要求をすることができる。
前項の要求により派出された警察官又は警察吏員は、法廷における秩序の維持につき、裁判長又は一人の裁判官の指揮を受ける。
第七十二條第二項中「前項」を「前二項」に改め、同條第一項の次に次の一項を加える。
前條の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第七十三條中「前二條」を「第七十一條又は前條」に改める。
附則第三項中「司法研修所教官」の下に「又は裁判所書記官研修所教官」を加える。
第二條 検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第十九條第一項第三号中「若しくは司法研修所教官」を「、司法研修所教官若しくは裁判所書記官研修所教官」に改める。
第三條 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第五條第二号中「司法研修所」の下に「、裁判所書記官研修所」を加える。
第四條 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
第六條第六号中「最高裁判所長官秘書官、」の下に「最高裁判所判事秘書官、」を、「司法研修所教官、」の下に「裁判所書記官研修所教官、高等裁判所長官秘書官、」を、「裁判所事務官、」の下に「裁判所書記官、裁判所書記官補、少年調査官、少年調査官補、」を加え、同條第七号を「七 中央更生保護委員会、地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の職員」に改める。
第五條 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。
「少年保護司」を「少年調査官」に改める。
附 則
1 この法律のうち、裁判所法第六十一條の二、第六十一條の三及び第六十五條の改正規定、検察審査会法第六條第六号の改正規定中少年調査官及び少年調査官補に関するもの並びに少年法の改正規定は公布の日から起算して三十日を経過した日から、その他の部分は公布の日から施行する。
2 この法律の公布の日から起算して三十日を経過した際現に少年保護司に補せられている裁判所事務官で、少年調査官に任命されないものは、別に辞令を発せられないときは、裁判所事務官を兼ねて少年調査官補に任命され、且つ、現にその者の勤務する裁判所に勤務することを命ぜられたものとみなす。
3 各家庭裁判所は、当分の間、最高裁判所の定めるところにより、少年調査官補に少年調査官の職務を行わせることができる。
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂
裁判所法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九十六号
裁判所法等の一部を改正する法律
第一条 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
第十四条の二を第十四条の三とし、第十四条の次に次の一条を加える。
第十四条の二(裁判所書記官研修所) 裁判所書記官の研究及び修養並びにその養成に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に裁判所書記官研修所を置く。
第四十一条第二項中「司法研修所教官、」の下に「裁判所書記官研修所教官、」を加える。
第四十二条第一項第五号中「又は司法研修所教官」を「、司法研修所教官又は裁判所書記官研修所教官」に改める。
第四十四条第一項第四号中「司法研修所教官、」の下に「裁判所書記官研修所教官、」を加える。
第五十五条第二項中「、二級又は三級」を削る。
第五十六条第一項中「一級の」を削る。
第五十六条の二を第五十六条の四、第五十六条の三を第五十六条の五とし、第五十六条の次に次の二条を加える。
第五十六条の二(裁判所書記官研修所教官) 最高裁判所に別に法律で定める員数の裁判所書記官研修所教官を置く。
裁判所書記官研修所教官は、一級又は二級とする。
裁判所書記官研修所教官は、上司の指揮を受けて、裁判所書記官研修所における研究及び修養の指導並びに養成を掌る。
第五十六条の三(裁判所書記官研修所長) 最高裁判所に裁判所書記官研修所長を置き、一級の裁判所書記官研修所教官の中から、最高裁判所が、これを補する。
裁判所書記官研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、裁判所書記官研修所の事務を掌理し、裁判所書記官研修所の職員を指揮監督する。
第六十一条の二中「少年保護司」を「少年調査官」に、「上席少年保護司」を「上席少年調査官」に改め、同条第一項を次のように改める。
各家庭裁判所に通じて別に法律で定める員数の少年調査官を置く。
第六十一条の二第一項の次に次の一項を加える。
少年調査官は、一級又は二級とする。
第六十一条の二の次に次の一条を加える。
第六十一条の三(少年調査官補) 各家庭裁判所に通じて別に法律で定める員数の少年調査官補を置く。
少年調査官補は、二級又は三級とする。
少年調査官補は、上司の命を受けて、少年調査官の事務を補助する。
第六十五条を次のように改める。
第六十五条(勤務裁判所の指定) 裁判所調査官、裁判所事務官(事務局長たるものを除く。)、裁判所書記官、裁判所書記官補、少年調査官、少年調査官補及び裁判所技官の勤務する裁判所は、最高裁判所の定めるところにより最高裁判所、各高等裁判所、各地方裁判所又は各家庭裁判所がこれを定める。
第七十一条の次に次の一条を加える。
第七十一条の二(警察官等の派出要求) 裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における秩序を維持するため必要があると認めるときは、都道府県国家地方警察本部の長又は市町村警察長(特別区の存する区域の警察長を含む。)に警察官又は警察吏員の派出を要求することができる。法廷における秩序を維持するため特に必要があると認めるときは、開廷前においてもその要求をすることができる。
前項の要求により派出された警察官又は警察吏員は、法廷における秩序の維持につき、裁判長又は一人の裁判官の指揮を受ける。
第七十二条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
前条の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第七十三条中「前二条」を「第七十一条又は前条」に改める。
附則第三項中「司法研修所教官」の下に「又は裁判所書記官研修所教官」を加える。
第二条 検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第十九条第一項第三号中「若しくは司法研修所教官」を「、司法研修所教官若しくは裁判所書記官研修所教官」に改める。
第三条 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第五条第二号中「司法研修所」の下に「、裁判所書記官研修所」を加える。
第四条 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
第六条第六号中「最高裁判所長官秘書官、」の下に「最高裁判所判事秘書官、」を、「司法研修所教官、」の下に「裁判所書記官研修所教官、高等裁判所長官秘書官、」を、「裁判所事務官、」の下に「裁判所書記官、裁判所書記官補、少年調査官、少年調査官補、」を加え、同条第七号を「七 中央更生保護委員会、地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の職員」に改める。
第五条 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。
「少年保護司」を「少年調査官」に改める。
附 則
1 この法律のうち、裁判所法第六十一条の二、第六十一条の三及び第六十五条の改正規定、検察審査会法第六条第六号の改正規定中少年調査官及び少年調査官補に関するもの並びに少年法の改正規定は公布の日から起算して三十日を経過した日から、その他の部分は公布の日から施行する。
2 この法律の公布の日から起算して三十日を経過した際現に少年保護司に補せられている裁判所事務官で、少年調査官に任命されないものは、別に辞令を発せられないときは、裁判所事務官を兼ねて少年調査官補に任命され、且つ、現にその者の勤務する裁判所に勤務することを命ぜられたものとみなす。
3 各家庭裁判所は、当分の間、最高裁判所の定めるところにより、少年調査官補に少年調査官の職務を行わせることができる。
法務総裁 殖田俊吉
内閣総理大臣 吉田茂