裁判所法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第287号
公布年月日: 昭和25年12月20日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

連合国最高司令官の覚書により日本の裁判権が拡大され、占領軍要員を除く在日連合国人に対する民事・刑事裁判権を行使できるようになった。この信頼に応えるため、適正かつ迅速な裁判の実施が必要となり、事件審理促進のための制度改善を進めることとなった。今回の改正案は、下級裁判所裁判官の職務代行範囲の拡張と、簡易裁判所の裁判権拡張を主な内容とする。これにより、高等・地方・家庭裁判所の裁判官については全国的に、簡易裁判所の裁判官については高等裁判所管轄区域内で、相互に職務代行を可能とし、また簡易裁判所の民事裁判権を訴訟物価額三万円以下まで拡張することで、事件の迅速処理を図るものである。

参照した発言:
第9回国会 衆議院 法務委員会 第2号

審議経過

第9回国会

衆議院
(昭和25年11月30日)
(昭和25年12月1日)
参議院
(昭和25年12月1日)
衆議院
(昭和25年12月2日)
(昭和25年12月4日)
参議院
(昭和25年12月4日)
衆議院
(昭和25年12月5日)
(昭和25年12月6日)
(昭和25年12月6日)
参議院
(昭和25年12月7日)
(昭和25年12月8日)
(昭和25年12月10日)
衆議院
(昭和25年12月10日)
裁判所法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年十二月二十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百八十七号
裁判所法の一部を改正する法律
裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
第十九條に次の一項を加える。
前項の規定により当該高等裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、他の高等裁判所又はその管轄区域内の地方裁判所若しくは家庭裁判所の判事に当該高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。
第二十八條に次の一項を加える。
前項の規定により当該地方裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、その地方裁判所の所在地を管轄する高等裁判所以外の高等裁判所の管轄区域内の地方裁判所、家庭裁判所又はその高等裁判所の裁判官に当該地方裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
第三十三條第一項第一号中「五千円」を「三万円」に、同條同項第二号中「又は刑法第二百三十五條の罪若しくはその未遂罪」を「、刑法第百八十六條の罪、同法第二百三十五條の罪若しくはその未遂罪又は同法第二百五十二條若しくは第二百五十六條の罪」に、同條第二項中「刑法第二百三十五條の罪若しくはその未遂罪」を「刑法第百三十條の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六條の罪、同法第二百三十五條の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二條、第二百五十四條若しくは第二百五十六條の罪、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二十七條乃至第二十九條の罪若しくは質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第三十條乃至第三十二條の罪」に改める。
第三十六條に次の一項を加える。
前項の規定により当該簡易裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する高等裁判所は、同項に定める裁判官以外のその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官又は地方裁判所の判事に当該簡易裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
附 則
1 この法律のうち、第三十三條の改正規定は公布の日から起算して三十日を経過した日から、その他の規定は公布の日から施行する。
2 第三十三條の改正規定の施行前に地方裁判所に訴又は公訴の提起があつた事件については、同條の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。
法務総裁 大橋武夫
内閣総理大臣 吉田茂
裁判所法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年十二月二十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百八十七号
裁判所法の一部を改正する法律
裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
第十九条に次の一項を加える。
前項の規定により当該高等裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、他の高等裁判所又はその管轄区域内の地方裁判所若しくは家庭裁判所の判事に当該高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。
第二十八条に次の一項を加える。
前項の規定により当該地方裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、その地方裁判所の所在地を管轄する高等裁判所以外の高等裁判所の管轄区域内の地方裁判所、家庭裁判所又はその高等裁判所の裁判官に当該地方裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
第三十三条第一項第一号中「五千円」を「三万円」に、同条同項第二号中「又は刑法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪」を「、刑法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪又は同法第二百五十二条若しくは第二百五十六条の罪」に、同条第二項中「刑法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪」を「刑法第百三十条の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二十七条乃至第二十九条の罪若しくは質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条乃至第三十二条の罪」に改める。
第三十六条に次の一項を加える。
前項の規定により当該簡易裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する高等裁判所は、同項に定める裁判官以外のその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官又は地方裁判所の判事に当該簡易裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
附 則
1 この法律のうち、第三十三条の改正規定は公布の日から起算して三十日を経過した日から、その他の規定は公布の日から施行する。
2 第三十三条の改正規定の施行前に地方裁判所に訴又は公訴の提起があつた事件については、同条の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。
法務総裁 大橋武夫
内閣総理大臣 吉田茂