第一條 從來ノ治安裁判所ハ裁判所構成法ニ定メタル區裁判所トシ從來ノ始審裁判所ハ裁判所構成法ニ定メタル地方裁判所トシ又從來ノ控訴院大審院ハ裁判所構成法ニ定メタル控訴院大審院トス
第二條 始審裁判所從來ノ檢事局ハ裁判所構成法ニ定メタル地方裁判所ノ檢事局トス控訴院大審院ノ檢事局モ亦同シ
第三條 區裁判所ノ管轄區域ヲ爲ス町村ノ變更ハ之ヲ區裁判所管轄區域ニ及ホスモノトス
第四條 裁判所構成法實施前他ノ裁判所第一審トシテ受理シタル民事訴訟及刑事訴訟ニシテ同法ニ依リ區裁判所ノ管轄ニ屬シタルモノハ現在ノ儘相當ノ區裁判所ニ移ルモノトス既ニ爲シタル裁判ハ區裁判所之ヲ爲シタルモノト看做ス
第五條 裁判所構成法ニ依リ地方裁判所ノ第二審ニ屬スヘキモ既ニ控訴院ニ於テ受理シタル事件ハ控訴院之ヲ裁判スヘシ又控訴院ノ管轄ニ屬スヘキモ既ニ大審院ニ於テ受理シタル民事刑事ノ上吿ハ大審院之ヲ裁判スヘシ
第六條 裁判所構成法實施前重罪裁判所ニ於テ受理シタル刑事訴訟ハ現在ノ儘相當ノ地方裁判所ニ移ルモノトス既ニ爲シタル裁判ハ地方裁判所之ヲ爲シタルモノト看做ス
第七條 裁判所構成法實施前始審裁判所ニ於テ受理シタル郡長區長戶長又ハ市長町長村長ニ對スル民事訴訟ハ同法ニ依リ區裁判所ノ管轄ニ屬スヘキモノト雖其ノ地方裁判所之ヲ裁判シ控訴院ニ於テ受理シタル官廳ニ對スル民事訴訟ハ其ノ控訴院之ヲ裁判スヘシ
第八條 裁判所構成法實施前高等法院ニ於テ受理シタル刑事訴訟ハ現在ノ儘相當ノ裁判所ニ移ルモノトス高等法院ニ於テ裁判スヘキ事件ヲ通常裁判所ニ於テ受理シタルモノモ亦同シ
第九條 明治十八年第三十一號布吿違警罪卽決例ハ裁判所構成法ノ爲ニ變更ヲ受クルコトナシ
第十條 明治十八年第十二號布吿普通治罪法陸軍治罪法海軍治罪法交涉ノ件處分法ハ裁判所構成法ノ爲ニ變更ヲ受クルコトナシ
第十一條 明治二十一年勅令第六十四號ハ仍効力ヲ有ス
區裁判所出張所ニ於テ判事差支アルトキハ裁判所書記ヲシテ登記事務ヲ取扱ハシムルコトヲ得
北海道及島嶼ニシテ區裁判所遠隔ノ地方ニ於テ司法大臣ハ郡長町長又ハ村長ニ委任シテ登記事務ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第十二條 東京地方裁判所管內小笠原島及伊豆七島ニ於テ民事刑事ノ訴訟ニシテ區裁判所ノ裁判權ニ屬スルモノ及非訟事件ハ裁判所設置マテ島吏之ヲ取扱フ但シ刑事訴訟ノ手續ハ便宜之ヲ取扱フコトヲ得
第十三條 沖繩縣ニ於テ民事刑事ノ訴訟及非訟事件ニシテ區裁判所及地方裁判所ノ裁判權ニ屬スルモノハ裁判所設置マテ同縣官吏之ヲ取扱フ但シ控訴院ノ裁判權ニ屬スルモノハ長崎控訴院ノ管轄トス
第十四條 樺戶空知釧路ノ集治監ノ囚人罪ヲ犯シ輕罪以下ニ該ル者ノ裁判ニ關ル明治十五年第十六號第四十一號及明治十八年第四十二號布吿ハ仍効力ヲ有ス
第十五條 明治二十一年勅令第七十一號淸國竝ニ朝鮮國駐在領事裁判規則ハ裁判所構成法ノ爲ニ變更ヲ受クルコトナシ
第十六條 裁判所構成法實施ノ際在職ノ裁判官檢察官ハ同法第二編第一章ノ要件ヲ必要トセス
第十七條 裁判所構成法實施ノ際在職ノ書記ハ同法第二編第四章第八十九條ノ要件ヲ必要トセス
第十八條 裁判所構成法實施後三年間ハ司法大臣ハ試補實地修習ノ時間ヲ一年六箇月マテニ減縮スルコトヲ得
明治十七年太政官達第百二號判事登用規則及明治二十年勅令第三十七號文官試驗試補及見習規則ニ依リ試補ト爲リタル者ハ第二囘試驗ヲ要セスシテ之ヲ判事又ハ檢事ニ任スルコトヲ得
第十九條 裁判所構成法實施後一年間ハ司法大臣ハ同法第二編第二章第六十九條及第七十條ノ規程ニ拘ラス補職ヲ爲スコトヲ得
第二十條 三年以上裁判官又ハ檢察官ノ職ヲ奉シタル者又ハ三年以上舊參事院議官又ハ議官補ノ職ヲ奉シタル者又ハ三年以上法制局參事官ノ職ヲ奉シタル者又ハ三年以上司法省高等官(會計局ノ高等官ヲ除ク)ノ職ヲ奉シタル者ハ裁判所構成法實施後一年間ハ之ヲ判事又ハ檢事ニ任スルコトヲ得
第二十一條 裁判所構成法第二編第二章第七十四條及第七十五條ハ檢事ニモ亦之ヲ適用ス