裁判所法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第91号
公布年月日: 昭和32年5月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

裁判所法改正の趣旨は、大きく二点ある。第一に、家庭裁判所調査官の養成・研修のため、最高裁判所に家庭裁判所調査官研修所を設置する。これは、家庭裁判所調査官が家事事件や少年保護事件の調査等において重要な職責を担うにもかかわらず、その専門知識習得の機会が限られているためである。第二に、裁判所速記官及び裁判所速記官補の制度を新設する。これは、民事・刑事訴訟法改正後の交互尋問制度の採用や、刑事における公判中心主義の徹底により、証人尋問等の内容が複雑化し、より詳細な記録が必要となったためである。

参照した発言:
第26回国会 衆議院 法務委員会 第19号

審議経過

第26回国会

参議院
(昭和32年3月26日)
衆議院
(昭和32年3月27日)
参議院
(昭和32年3月28日)
衆議院
(昭和32年4月5日)
(昭和32年4月12日)
(昭和32年4月16日)
(昭和32年4月16日)
参議院
(昭和32年4月18日)
(昭和32年4月23日)
(昭和32年4月24日)
衆議院
(昭和32年5月19日)
参議院
(昭和32年5月19日)
裁判所法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年五月一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第九十一号
裁判所法の一部を改正する法律
裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
第十四条の二中「裁判所書記官の」を「裁判所書記官及び裁判所速記官の」に改める。
第十四条の三を第十四条の四とし、第十四条の二の次に次の一条を加える。
第十四条の三(家庭裁判所調査官研修所) 家庭裁判所調査官の研究及び修養並びにその養成に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に家庭裁判所調査官研修所を置く。
第五十六条の五を第五十六条の七とし、第五十六条の四を第五十六条の六とし、第五十六条の三の次に次の二条を加える。
第五十六条の四(家庭裁判所調査官研修所教官) 最高裁判所に家庭裁判所調査官研修所教官を置く。
家庭裁判所調査官研修所教官は、上司の指揮を受けて、家庭裁判所調査官研修所における研究及び修養の指導並びに養成を掌る。
第五十六条の五(家庭裁判所調査官研修所長) 最高裁判所に家庭裁判所調査官研修所長を置き、家庭裁判所調査官研修所教官の中から、最高裁判所が、これを補する。
家庭裁判所調査官研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、家庭裁判所調査官研修所の事務を掌理し、家庭裁判所調査官研修所の職員を指揮監督する。
第六十条の二の次に次の二条を加える。
第六十条の三(裁判所速記官) 各裁判所に裁判所速記官を置く。
裁判所速記官は、裁判所の事件に関する速記及びこれに関する事務を掌る。
裁判所速記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。
第六十条の四(裁判所速記官補) 各裁判所に裁判所速記官補を置く。
裁判所速記官補は、上司の命を受けて、裁判所速記官の事務を補助する。
第六十五条中「裁判所書記官補」の下に「、裁判所速記官、裁判所速記官補」を加える。
附則第三項中「裁判所調査官」を「家庭裁判所調査官研修所教官又は裁判所調査官」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 各裁判所は、当分の間、最高裁判所の定めるところにより、裁判所速記官補に裁判所速記官の職務を行わせることができる。
3 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
第六条第六号中「裁判所書記官研修所教官」の下に「、家庭裁判所調査官研修所教官」を、「裁判所書記官補」の下に「、裁判所速記官、裁判所速記官補」を加える。
法務大臣 中村梅吉
内閣総理大臣 岸信介