第十七條 懲戒裁判所ハ檢事ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ懲戒裁判ヲ開始スヘキヤ否ヲ決定ス但シ職權ヲ以テスル場合ニ於テハ檢事ノ意見ヲ聽クヘシ
第十八條 檢事ハ裁判手續ノ開始ヲ拒ミタル懲戒裁判所ノ決定ニ對シテハ七日ノ期間內ニ抗吿裁判所ニ抗吿ヲ爲スコトヲ得
第十九條 抗吿裁判所ハ檢事ノ意見ヲ聽キタル後抗吿ヲ裁判ス若シ抗吿ヲ正當ナリト認メタルトキハ裁判手續開始ノ決定ヲ爲シ管轄懲戒裁判所ヲシテ其ノ後ノ手續ヲ爲サシムヘシ
第二十條 開始決定ニハ懲戒スヘキ所爲及證據ヲ開示スヘシ
第二十二條 懲戒裁判所ニ於テ下調ヲ必要ナリト決定スルトキハ懲戒裁判所長ハ懲戒裁判ヲ開始シタル院ノ判事若ハ管轄區域內ノ地方裁判所ノ判事ニ下調ヲ命スヘシ
第二十三條 下調ノ命ヲ受ケタル判事ハ必要ナル證據ヲ集取スヘシ
受命判事ハ被吿ヲ呼出シテ事實ヲ陳述セシムルコトヲ得
第二十四條 受命判事ハ證人訊問其ノ他證據集取ヲ他ノ裁判所ノ判事ニ囑託スルコトヲ得
第二十五條 受命判事ハ下調結了ノ後調書及一切ノ證據ヲ懲戒裁判所長ニ差出シ裁判所長ハ二十四時內ニ檢事ニ之ヲ送付スヘシ
第二十六條 檢事ハ三日內ニ意見ヲ付シ記錄ヲ懲戒裁判所長ニ還付スヘシ
第二十七條 懲戒裁判所ハ下調ヲ十分ナリト思料スルトキハ口頭辯論ヲ爲スノ決定ヲ爲シ又ハ免訴ノ判決ヲ爲スヘシ
免訴ノ理由ナキモ現時裁判ニ著手スルコトヲ得サルトキハ訴追停止ノ決定ヲ爲スヘシ
第二十九條 懲戒裁判所長ハ口頭辯論ノ期日ヲ定メ被吿ヲ呼出スヘシ
第三十一條 口頭辯論ハ裁判所書記開始決定ヲ朗讀スルヲ以テ始マルモノトス
裁判長ハ先ツ被吿ヲ審訊シ次テ證據調ヲ爲シ檢事及被吿ヲシテ證據ノ結果ニ付辯論ヲ爲サシメ被吿ニ最終ノ發言ヲ許スヘシ
第三十二條 懲戒裁判所ハ被吿若ハ檢事ノ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ更ニ證據ヲ提出セシムルコトヲ適當ナリトスルトキハ之カ爲必要ナル命令ヲ發シ且辯論ヲ他日ニ延期スルコトヲ得
第三十三條 被吿ハ他人ヲシテ辯護セシメ又ハ代理人ヲ用井ルコトヲ得
第三十四條 懲戒裁判所ハ事件ノ辯論既ニ十分ナリトスルトキハ之ヲ終結シ評議判決スヘシ
第三十五條 判決ハ卽時ニ之ヲ言渡ス若シ卽時ニ之ヲ言渡スコト能ハサルトキハ七日內ニ判決ヲ被吿及檢事ニ送達スヘシ
第三十六條 被吿又ハ代理人辯論期日ニ出頭セスト雖判決ヲ言渡スコトヲ得
第三十七條 評議及言渡ニ關シテハ裁判所構成法ノ規程ニ從ヒ證據ノ判斷ニ關シテハ治罪法ノ規程ニ從フ
第三十八條 被吿及檢事ハ十四日ノ期間內ニ控訴ノ申立ヲ爲スコトヲ得但シ其ノ期間ハ判決言渡ヨリ起算ス若シ被吿出頭セサルトキハ判決ノ送達アリタルヨリ起算ス
第三十九條 控訴ノ申立ハ判決ヲ受ケタル懲戒裁判所ニ之ヲ爲スヘシ
控訴狀ハ控訴ノ申立ヲ爲シタルヨリ十四日ノ期間內ニ之ヲ差出スヘシ
第四十條 懲戒裁判所ハ控訴ノ申立及控訴狀ノ謄本ヲ對手人ニ送達スヘシ
對手人ハ送達ヲ受ケタルヨリ十四日ノ期間內ニ答辯書ヲ差出スコトヲ得
第四十一條 懲戒裁判所ハ前條ノ期間經過シタル後其ノ書類ヲ控訴裁判所ニ送付スヘシ
控訴裁判所長ハ口頭辯論ノ期日ヲ定メ被吿ヲ呼出スヘシ
第四十二條 控訴裁判所ハ第一審ニ於テ申出テサル證據ヲ提出シタルトキハ之ヲ取調フヘシ若シ第一審ニ於テ訊問シタル證人ノ再訊問ヲ申立テタルトキハ其ノ重要ノ㸃ニ於テ陳述ヲ異ニシ又ハ新ナル重要ノ事實ヲ證言セントノ推測十分ナルトキニ限リ之ヲ許ス
第四十三條 第二審ニ於ケル裁判手續ハ第三十條乃至第三十七條ノ規程ヲ適用ス
第四十四條 控訴ヲ理由ナシトスルトキハ判決ヲ以テ之ヲ棄却シ其ノ費用ヲ控訴人ニ負擔セシムヘシ
控訴ヲ理由アリトスルトキハ第一審判決言渡ヲ取消シ控訴裁判所更ニ判決ヲ爲シ且其ノ費用ニ付裁判ヲ爲スヘシ
控訴完結ノ後其ノ記錄ハ第二審ニ於テ爲シタル判決ノ認證アル謄本ト共ニ原裁判所ニ之ヲ還付スヘシ
第四十五條 調書ノ調製期間ノ計算及書類ノ送達ニ付テハ治罪法ノ規程ニ從フ
第四十六條 懲戒裁判所ノ裁判ハ確定ノ後ニ非サレハ之ヲ執行スルコトヲ得ス
第四十七條 懲戒裁判確定シタルトキハ懲戒裁判所長ハ司法大臣ニ事件ノ情況ヲ報吿シ且判決ノ謄本ヲ差出スヘシ
第四十八條 懲戒裁判所減俸轉所若ハ停職ノ裁判ヲ言渡シタルトキハ司法大臣其ノ執行ノ手續ヲ爲ス