刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第36号
公布年月日: 平成18年5月8日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年、公務執行妨害罪や窃盗罪の検挙件数が急増している中、これらの罪の法定刑が自由刑に限られているため、起訴判断が困難な事例が少なくない。また業務上過失致死傷罪等の罰金刑相当事案では、現在の法定刑では適正な科刑が困難な状況にある。これらの状況を踏まえ、公務執行妨害罪、窃盗罪等に罰金刑を新設し、業務上過失致死傷罪等の罰金刑の上限額を引き上げるなどの法定刑の見直しを行う。また、略式命令の限度額の引き上げや、財産刑の執行に関する手続の整備を行うため、刑法及び刑事訴訟法の一部改正を行うものである。

参照した発言:
第164回国会 参議院 法務委員会 第7号

審議経過

第164回国会

参議院
(平成18年4月4日)
(平成18年4月6日)
(平成18年4月7日)
衆議院
(平成18年4月18日)
(平成18年4月21日)
(平成18年4月25日)
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十八年五月八日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第三十六号
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律
(刑法の一部改正)
第一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第十八条第六項を次のように改める。
6 罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置一日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に一日未満の端数を生じるときは、これを一日とする。)とする。
第十八条第七項及び第八項を削る。
第九十五条第一項中「又は禁錮」を「若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」に改める。
第二百十一条第一項中「五十万円」を「百万円」に改める。
第二百三十五条中「懲役」の下に「又は五十万円以下の罰金」を加える。
(刑事訴訟法の一部改正)
第二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第四百六十一条中「五十万円」を「百万円」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(経過措置)
第二条 次に掲げる罰金又は科料の執行(労役場留置の執行を含む。)については、第一条の規定による改正後の刑法第十八条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
一 この法律の施行前にした行為について科せられた罰金又は科料
二 刑法第四十八条第二項の規定により併合罪として処断された罪にこの法律の施行前に犯したものと施行後に犯したものがある場合において、これらの罪に当たる行為について科せられた罰金
(裁判所法の一部改正)
第三条 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
第三十三条第一項第二号中「、刑法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪又は同法」を「又は刑法第百八十六条、」に、「第三十一条の三第一項第三号」を「第三十一条の三第一項第四号」に改める。
法務大臣 杉浦正健
内閣総理大臣 小泉純一郎