港湾運送事業法
法令番号: 法律第百六十一号
公布年月日: 昭和26年5月29日
法令の形式: 法律
港湾運送事業法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年五月二十九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十一号
港湾運送事業法
第一章 総則
(目的)
第一條 この法律は、港湾運送に関する秩序の確立及び港湾運送事業における公正な競争の確保を図るとともに、港湾運送の施設の改善に資することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律で「港湾運送」とは、他人の需要に応じ、港湾において、海上運送(日本国有鉄道の経営する航路の船舶による海上運送を除く。)に直接に接続して行う左に掲げる行為をいう。
一 自己の名をもつてする船舶により運送された貨物の船舶からの受取又は船舶により運送されるべき貨物の船舶への引渡
二 船舶への貨物の積込又は船舶からの貨物の取卸
三 船舶により運送された貨物又は船舶により運送されるべき貨物のはしけによる運ぱん
四 船舶により運送された貨物の上屋その他の荷さばき場(以下單に「荷さばき場」という。)へのはん入若しくははしけからの取卸、船舶により運送されるべき貨物の荷さばき場からのはん出若しくははしけへの積込又はこれらの貨物の荷さばき場における保管
2 この法律で「港湾運送事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず港湾運送を行う事業をいう。
3 この法律で「港湾」とは、関税法(明治三十二年法律第六十一号)に規定する開港であつて、政令で指定するものをいう。
(事業の種類)
第三條 港湾運送事業の種類は、左に掲げるものとする。
一 一般港湾運送事業(前條第一項各号に掲げる行為を行う事業)
二 船内荷役事業(前條第一項第二号に掲げる行為を行う事業)
三 はしけ運送事業(前條第一項第三号に掲げる行為を行う事業)
四 沿岸荷役事業(前條第一項第四号に掲げる行為を行う事業)
第二章 港湾運送事業
(登録)
第四條 港湾運送事業を営もうとする者は、港湾ごとに前條各号の種別について、運輸大臣の登録を受けなければならない。
(登録の申請)
第五條 港湾運送事業の登録を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 第三條各号の種別
三 営業所の名称及び位置
四 法人である場合においては、その役員の氏名
2 前項の申請書には、申請者が雇用する労働者及び事業の施設に関する事項その他運輸省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
(登録の実施及び登録の通知)
第六條 運輸大臣は、前條の規定により登録の申請があつた場合においては、次條の規定により登録を拒否する場合を除くの外、遅滯なく、前條第一項各号に掲げる事項並びに登録年月日及び登録番号を港湾運送事業者登録簿に登録しなければならない。
2 運輸大臣は、前項の規定による登録をした場合においては、遅滯なく、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第七條 運輸大臣は、登録の申請者が左の各号の一に該当するときは、その登録を拒否しなければならない。
一 この法律又は職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第四十四條の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 第二十二條の規定により港湾運送事業の登録を取り消され、その取消の日から二年を経過しない者
三 法人であつて、その役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの
四 当該港湾運送事業に必要な労働者及び施設を有しないため、第十六條の規定の違反を生ずると認められる者
2 運輸大臣は、前項の規定による登録の拒否をした場合においては、遅滯なく、理由を附してその旨を登録の申請者に通知しなければならない。
(登録手数料)
第八條 登録の申請者は、三千円以下の範囲内において、政令で定める額の手数料を納めなければならない。
(運賃及び料金)
第九條 港湾運送事業の登録を受けた者(以下「港湾運送事業者」という。)は、運輸省令で定める手続に従い港湾ごとに運賃及び料金を定め、これを実施しようとする日の少くとも三十日前までに、運輸大臣に届け出るとともに、営業所において利用者の見易いようにこれを掲示しなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 利害関係人は、前項の規定により港湾運送事業者が定めた運賃及び料金が不当であると認めるときは、同項の期間内に、運輸大臣に対し、その理由を具して運賃及び料金の変更を港湾運送事業者に命ずべきことを請求することができる。
3 運輸大臣は、前項の請求があつたとき、又は自ら第一項の規定により港湾運送事業者が定めた運賃及び料金が次項各号の基準に適合しないと認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、運賃及び料金の実施を延期すべきことを命ずることができる。
4 運輸大臣は、前項の命令をした場合には、運輸審議会が当該港湾運送事業者に対し、当該港湾で開催する公聽会において、運賃及び料金が左の各号の基準に適合する旨を述べる十分な機会を與えた後、提出する答申を得て、当該運賃及び料金が左の各号の基準に適合するかどうかを審査して運賃及び料金の変更の要否を決定し、変更すべきものと決定したときは、当該港湾運送事業者に対し、理由を示して、運賃及び料金を変更すべきことを命ずることができる。但し、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したときは、この限りでない。
一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。
二 特定の利用者に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
5 第三項の規定による命令があつた場合において、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したとき、又は前項の規定による運輸大臣の決定があつたときは、港湾運送事業者は、その日から当該運賃及び料金(同項の規定により変更の命令があつた場合には、その変更に係る運賃及び料金)を実施することができる。
(運賃及び料金の遵守)
第十條 港湾運送事業者は、前條の規定により実施することとなつた運賃及び料金よりも高額若しくは低額の運賃及び料金を收受してはならず、又は收受した運賃及び料金の拂戻をしてはならない。
(港湾運送約款)
第十一條 一般港湾運送事業の登録を受けた者(以下「一般港湾運送事業者」という。)は、運輸省令で定める手続に従い港湾ごとに港湾運送約款を定め、これを実施しようとする日の三十日前までに運輸大臣に届け出るとともに、営業所において利用者の見易いようにこれを掲示しなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 利害関係人は、前項の規定により一般港湾運送事業者が定めた港湾運送約款が不当であると認めるときは、同項の期間内に、運輸大臣に対し、その理由を具して港湾運送約款の変更を一般港湾運送事業者に命ずべきことを請求することができる。
3 運輸大臣は、前項の請求があつたとき、又は自ら第一項の規定により一般港湾運送事業者が定めた港湾運送約款が次項各号の基準に適合しないと認めるときは、当該一般港湾運送事業者に対し、港湾運送約款の実施を延期すべきことを命ずることができる。
4 運輸大臣は、前項の命令をした場合には、運輸審議会が当該一般港湾運送事業者に対し、当該港湾で開催する公聽会において、港湾運送約款が左の各号の基準に適合する旨を述べる十分な機会を與えた後、提出する答申を得て、当該港湾運送約款が左の各号の基準に適合するかどうかを審査して港湾運送約款の変更の要否を決定し、変更すべきものと決定したときは、当該一般港湾運送事業者に対し、理由を示して、港湾運送約款を変更すべきことを命ずることができる。但し、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したときは、この限りでない。
一 利用者の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二 少くとも貨物の受取及び引渡並びに一般港湾運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
5 第三項の規定による命令があつた場合において、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したとき、又は前項の規定による運輸大臣の決定があつたときは、一般港湾運送事業者は、その日から当該港湾運送約款(同項の規定により変更の命令があつた場合には、その変更に係る港湾運送約款)を実施することができる。
(運賃、料金及び港湾運送約款の掲示)
第十二條 港湾運送事業者は、第九條及び前條の規定により実施することとなつた運賃、料金及び港湾運送約款を営業所において利用者の見易いように掲示しなければならない。
(引渡不能貨物の寄託)
第十三條 一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷受人の費用をもつてこれを倉庫営業者に寄託することができる。
2 一般港湾運送事業者は、前項の規定により貨物を寄託したときは、遅滯なく、その旨を荷受人に通知しなければならない。
(名義利用の禁止)
第十四條 港湾運送事業者は、その名義を他人に港湾運送事業のため利用させてはならない。
(差別取扱等の禁止)
第十五條 港湾運送事業者は、特定の利用者に対し貨物の多寡その他の理由により不当な差別的取扱をしてはならない。
(全部下請の禁止)
第十六條 港湾運送事業者は、港湾運送を引き受けた場合には、第二條第二号、第三号又は第四号の行為の少くとも一部を自ら行わなければならない。
(変更等の届出)
第十七條 港湾運送事業者は、第五條第一項各号に掲げる事項に変更があつたときは、その事由が生じた日から三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 第六條及び第七條の規定は、前項の規定による変更の届出があつた場合に準用する。
3 港湾運送事業者は、その雇用する労働者及び事業の施設で、運輸省令で定めるものを変更したときは、三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(相続及び合併)
第十八條 港湾運送事業者について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その協議により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、港湾運送事業者のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前項の規定により港湾運送事業者の地位を承継した者は、その事由が生じた日から三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業の讓渡)
第十九條 港湾運送事業者が港湾運送事業を讓渡したときは、讓受人は、讓渡人のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前條第二項の規定は、前項の讓渡があつた場合に準用する。
(事業の廃止)
第二十條 港湾運送事業者は、その事業を廃止したときは、三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(登録のまつ消)
第二十一條 運輸大臣は、左の各号に掲げる場合においては、当該港湾運送事業者の登録をまつ消しなければならない。
一 前條の規定による届出があつた場合
二 次條の規定により港湾運送事業の登録を取り消した場合
(事業の停止及び登録の取消)
第二十二條 運輸大臣は、港湾運送事業者が左の各号の一に該当するときは、三箇月以内において当該事業の停止を命じ、又は当該港湾運送事業の登録を取り消すことができる。
一 この法律又はこれに基く処分に違反したとき。
二 第七條第一項第一号又は第三号の規定に該当するに至つたとき。
2 第七條第二項の規定は前項の処分をする場合に準用する。
第三章 港湾運送事業抵当
(港湾運送事業財団の設定)
第二十三條 港湾運送事業者は、抵当権の目的とするため、港湾運送事業財団を設けることができる。
(財団の組成)
第二十四條 港湾運送事業財団は、左に掲げるものであつて、同一の港湾運送事業者に属し、且つ、港湾運送事業に関するものの全部又は一部をもつて組成することができる。
一 上屋、荷役機械その他の荷さばき施設及びその敷地
二 はしけ及び引船
三 事務所その他港湾運送事業のため必要な建物及びその敷地
四 第一号又は前号に掲げる工作物を所有し、又は使用するため他人の不動産の上に存する地上権、登記した賃借権及び第一号又は前号に掲げる土地のために存する地役権
五 港湾運送事業の経営のため必要な器具及び機械
(財団設定の制限)
第二十五條 前條第一号又は第三号に掲げる不動産のいずれもが存しないときは、港湾運送事業者は、港湾運送事業財団を設けることができない。
(工場抵当法の準用)
第二十六條 港湾運送事業財団については、この法律に規定するものの外、工場抵当法(明治三十八年法律第五十四号)中工場財団に関する規定を準用する。この場合において、同法第十七條及び同法第四十五條中「工場所在地」とあるのは、「港湾運送事業法第二十四條第一号又ハ第三号ニ掲クル不動産ノ所在地」と読みかえるものとする。
(財団設定の届出)
第二十七條 港湾運送事業者は、港湾運送事業財団を設定したときは、遅滯なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(財団の存続)
第二十八條 港湾運送事業財団は、その所有者が港湾運送事業者でない者になつたことにより消滅することがない。
第四章 雑則
(訴願)
第二十九條 この法律又はこの法律に基く命令の規定により行政官庁のした処分に不服のある者は、訴願することができる。
(職権の委任)
第三十條 この法律に規定する運輸大臣の職権の一部であつて政令で定めるものは、海運局長(運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第三十九條の海運局の長をいう。)が行う。
(運輸審議会の意見の尊重)
第三十一條 運輸大臣は、第七條第一項の登録の拒否、第九條若しくは第十一條の規定による運賃及び料金若しくは港湾運送約款の変更に係る事項又は第二十二條の処分に関しては、運輸審議会にはかり、その決定を尊重して、処理しなければならない。
(港湾管理者に対する通知等)
第三十二條 運輸大臣は、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港湾管理者(以下單に「港湾管理者」という。)が設立された港湾における第九條又は第十一條の規定による運賃及び料金又は港湾運送約款の変更に係る事項に関しては、当該港湾管理者の意見を聞かなければならない。
2 運輸大臣は、港湾管理者が設立された港湾における港湾運送事業に関し第六條第一項の規定による登録をした場合及び第二十一條の規定による登録のまつ消をした場合においては、その旨を当該港湾管理者に通知しなければならない。
(報告徴收等)
第三十三條 運輸大臣は、この法律の施行を確保するため必要があると認めるときは、港湾運送事業者に、はしけの使用その他事業に関し報告をさせることができる。
2 運輸大臣は、この法律の施行を確保するため必要があると認めるときは、その職員に、港湾運送事業者の事務所若しくは事業場又ははしけ若しくは引船に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 当該職員は、前項の規定により検査をするときは、その身分を示す証票を携帶し、関係人に呈示しなければならない。
4 第二項の検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第五章 罰則
第三十四條 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第四條の規定に違反して港湾運送事業を営んだ者
二 第十四條の規定に違反した者
第三十五條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第九條第一項の規定による届出をしないで、又は同條第三項の延期の命令若しくは同條第四項の変更の命令に違反して、運賃又は料金を收受した者
二 第十條の規定に違反した者
三 第十一條第一項の規定による届出をしないで、又は同條第三項の延期の命令若しくは同條第四項の変更の命令に違反して港湾運送約款を実施した者
四 第十六條の規定に違反した者
五 第二十二條第一項の規定による事業の停止の処分に違反した者
第三十六條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が法人又は人の業務に関して、前二條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本條の刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、この限りでない。
第三十七條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の過料に処する。
一 第九條第一項、第十一條第一項又は第十二條の規定による掲示をせず、又は虚僞の掲示をした者
二 第十七條第一項若しくは同條第三項、第十八條第二項(第十九條第二項において準用する場合を含む。)又は第二十條の規定による届出をせず、又は虚僞の届出をした者
三 第三十三條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
四 第三十三條第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
附 則
(施行期日)
1 この法律施行の期日は、公布の日から九十日をこえない期間内において、政令で定める。
(他の法律の改廃)
2 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三條ノ四中「又ハ自動車交通事業財団登記簿」を「、自動車交通事業財団登記簿又ハ港湾運送事業財団登記簿」に改める。
3 担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第四條第一項第十一号の次に次の一号を加える。
十二 港湾運送事業抵当
4 運輸省設置法の一部を次のように改正する。
第四條第一項第二十七号の次に次の一号を加える。
二十七の二 港湾運送事業の登録をすること。
第六條第一項第十一号の四の次に次の一号を加える。
十一の五 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)の規定により運輸審議会にはかることを要する事項
第二十六條第一項第八号の次に次の一号を加える。
八の二 港湾運送事業の登録に関すること。
第四十條第一項第二十一号の次に次の一号を加える。
二十一の二 港湾運送事業の登録に関すること。
5 海事代理士法(昭和二十六年法律第三十二号)の一部を次のように改正する。
別表第二中第五号の次に次の一号を加える。
五の二 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)
(経過規定)
6 この法律施行の際現に港湾運送事業を営んでいる者は、この法律施行の日から六十日以内は、第四條の規定にかかわらず、当該事業を引き続き営むことができる。その期間内に第五條の規定により登録を申請した場合において、その申請について登録をした旨又は登録を拒否する旨の通知を受ける日までも同様とする。
7 港湾運送事業者又は前項の規定により港湾運送事業を営む者は、第九條及び第十條の規定にかかわらず、この法律施行の日から五箇月間は、第九條の手続を経て定めた運賃及び料金によらないで運賃若しくは料金を收受し、又は收受した運賃若しくは料金の割戻をしてもよい。
8 一般港湾運送事業者又は附則第六項の規定により一般港湾運送事業を営む者は、第十一條の規定にかかわらず、この法律施行の日から五箇月間は、第十一條の規定による手続を経て定めた港湾運送約款によらないで港湾運送の引受をしてもよい。
法務総裁 大橋武夫
大蔵大臣 池田勇人
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂
港湾運送事業法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年五月二十九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十一号
港湾運送事業法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、港湾運送に関する秩序の確立及び港湾運送事業における公正な競争の確保を図るとともに、港湾運送の施設の改善に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「港湾運送」とは、他人の需要に応じ、港湾において、海上運送(日本国有鉄道の経営する航路の船舶による海上運送を除く。)に直接に接続して行う左に掲げる行為をいう。
一 自己の名をもつてする船舶により運送された貨物の船舶からの受取又は船舶により運送されるべき貨物の船舶への引渡
二 船舶への貨物の積込又は船舶からの貨物の取卸
三 船舶により運送された貨物又は船舶により運送されるべき貨物のはしけによる運ぱん
四 船舶により運送された貨物の上屋その他の荷さばき場(以下単に「荷さばき場」という。)へのはん入若しくははしけからの取卸、船舶により運送されるべき貨物の荷さばき場からのはん出若しくははしけへの積込又はこれらの貨物の荷さばき場における保管
2 この法律で「港湾運送事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず港湾運送を行う事業をいう。
3 この法律で「港湾」とは、関税法(明治三十二年法律第六十一号)に規定する開港であつて、政令で指定するものをいう。
(事業の種類)
第三条 港湾運送事業の種類は、左に掲げるものとする。
一 一般港湾運送事業(前条第一項各号に掲げる行為を行う事業)
二 船内荷役事業(前条第一項第二号に掲げる行為を行う事業)
三 はしけ運送事業(前条第一項第三号に掲げる行為を行う事業)
四 沿岸荷役事業(前条第一項第四号に掲げる行為を行う事業)
第二章 港湾運送事業
(登録)
第四条 港湾運送事業を営もうとする者は、港湾ごとに前条各号の種別について、運輸大臣の登録を受けなければならない。
(登録の申請)
第五条 港湾運送事業の登録を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 第三条各号の種別
三 営業所の名称及び位置
四 法人である場合においては、その役員の氏名
2 前項の申請書には、申請者が雇用する労働者及び事業の施設に関する事項その他運輸省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
(登録の実施及び登録の通知)
第六条 運輸大臣は、前条の規定により登録の申請があつた場合においては、次条の規定により登録を拒否する場合を除くの外、遅滞なく、前条第一項各号に掲げる事項並びに登録年月日及び登録番号を港湾運送事業者登録簿に登録しなければならない。
2 運輸大臣は、前項の規定による登録をした場合においては、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第七条 運輸大臣は、登録の申請者が左の各号の一に該当するときは、その登録を拒否しなければならない。
一 この法律又は職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第四十四条の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 第二十二条の規定により港湾運送事業の登録を取り消され、その取消の日から二年を経過しない者
三 法人であつて、その役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの
四 当該港湾運送事業に必要な労働者及び施設を有しないため、第十六条の規定の違反を生ずると認められる者
2 運輸大臣は、前項の規定による登録の拒否をした場合においては、遅滞なく、理由を附してその旨を登録の申請者に通知しなければならない。
(登録手数料)
第八条 登録の申請者は、三千円以下の範囲内において、政令で定める額の手数料を納めなければならない。
(運賃及び料金)
第九条 港湾運送事業の登録を受けた者(以下「港湾運送事業者」という。)は、運輸省令で定める手続に従い港湾ごとに運賃及び料金を定め、これを実施しようとする日の少くとも三十日前までに、運輸大臣に届け出るとともに、営業所において利用者の見易いようにこれを掲示しなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 利害関係人は、前項の規定により港湾運送事業者が定めた運賃及び料金が不当であると認めるときは、同項の期間内に、運輸大臣に対し、その理由を具して運賃及び料金の変更を港湾運送事業者に命ずべきことを請求することができる。
3 運輸大臣は、前項の請求があつたとき、又は自ら第一項の規定により港湾運送事業者が定めた運賃及び料金が次項各号の基準に適合しないと認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、運賃及び料金の実施を延期すべきことを命ずることができる。
4 運輸大臣は、前項の命令をした場合には、運輸審議会が当該港湾運送事業者に対し、当該港湾で開催する公聴会において、運賃及び料金が左の各号の基準に適合する旨を述べる十分な機会を与えた後、提出する答申を得て、当該運賃及び料金が左の各号の基準に適合するかどうかを審査して運賃及び料金の変更の要否を決定し、変更すべきものと決定したときは、当該港湾運送事業者に対し、理由を示して、運賃及び料金を変更すべきことを命ずることができる。但し、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したときは、この限りでない。
一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。
二 特定の利用者に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
5 第三項の規定による命令があつた場合において、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したとき、又は前項の規定による運輸大臣の決定があつたときは、港湾運送事業者は、その日から当該運賃及び料金(同項の規定により変更の命令があつた場合には、その変更に係る運賃及び料金)を実施することができる。
(運賃及び料金の遵守)
第十条 港湾運送事業者は、前条の規定により実施することとなつた運賃及び料金よりも高額若しくは低額の運賃及び料金を収受してはならず、又は収受した運賃及び料金の払戻をしてはならない。
(港湾運送約款)
第十一条 一般港湾運送事業の登録を受けた者(以下「一般港湾運送事業者」という。)は、運輸省令で定める手続に従い港湾ごとに港湾運送約款を定め、これを実施しようとする日の三十日前までに運輸大臣に届け出るとともに、営業所において利用者の見易いようにこれを掲示しなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 利害関係人は、前項の規定により一般港湾運送事業者が定めた港湾運送約款が不当であると認めるときは、同項の期間内に、運輸大臣に対し、その理由を具して港湾運送約款の変更を一般港湾運送事業者に命ずべきことを請求することができる。
3 運輸大臣は、前項の請求があつたとき、又は自ら第一項の規定により一般港湾運送事業者が定めた港湾運送約款が次項各号の基準に適合しないと認めるときは、当該一般港湾運送事業者に対し、港湾運送約款の実施を延期すべきことを命ずることができる。
4 運輸大臣は、前項の命令をした場合には、運輸審議会が当該一般港湾運送事業者に対し、当該港湾で開催する公聴会において、港湾運送約款が左の各号の基準に適合する旨を述べる十分な機会を与えた後、提出する答申を得て、当該港湾運送約款が左の各号の基準に適合するかどうかを審査して港湾運送約款の変更の要否を決定し、変更すべきものと決定したときは、当該一般港湾運送事業者に対し、理由を示して、港湾運送約款を変更すべきことを命ずることができる。但し、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したときは、この限りでない。
一 利用者の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二 少くとも貨物の受取及び引渡並びに一般港湾運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
5 第三項の規定による命令があつた場合において、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したとき、又は前項の規定による運輸大臣の決定があつたときは、一般港湾運送事業者は、その日から当該港湾運送約款(同項の規定により変更の命令があつた場合には、その変更に係る港湾運送約款)を実施することができる。
(運賃、料金及び港湾運送約款の掲示)
第十二条 港湾運送事業者は、第九条及び前条の規定により実施することとなつた運賃、料金及び港湾運送約款を営業所において利用者の見易いように掲示しなければならない。
(引渡不能貨物の寄託)
第十三条 一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷受人の費用をもつてこれを倉庫営業者に寄託することができる。
2 一般港湾運送事業者は、前項の規定により貨物を寄託したときは、遅滞なく、その旨を荷受人に通知しなければならない。
(名義利用の禁止)
第十四条 港湾運送事業者は、その名義を他人に港湾運送事業のため利用させてはならない。
(差別取扱等の禁止)
第十五条 港湾運送事業者は、特定の利用者に対し貨物の多寡その他の理由により不当な差別的取扱をしてはならない。
(全部下請の禁止)
第十六条 港湾運送事業者は、港湾運送を引き受けた場合には、第二条第二号、第三号又は第四号の行為の少くとも一部を自ら行わなければならない。
(変更等の届出)
第十七条 港湾運送事業者は、第五条第一項各号に掲げる事項に変更があつたときは、その事由が生じた日から三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 第六条及び第七条の規定は、前項の規定による変更の届出があつた場合に準用する。
3 港湾運送事業者は、その雇用する労働者及び事業の施設で、運輸省令で定めるものを変更したときは、三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(相続及び合併)
第十八条 港湾運送事業者について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その協議により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、港湾運送事業者のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前項の規定により港湾運送事業者の地位を承継した者は、その事由が生じた日から三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業の譲渡)
第十九条 港湾運送事業者が港湾運送事業を譲渡したときは、譲受人は、譲渡人のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前条第二項の規定は、前項の譲渡があつた場合に準用する。
(事業の廃止)
第二十条 港湾運送事業者は、その事業を廃止したときは、三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(登録のまつ消)
第二十一条 運輸大臣は、左の各号に掲げる場合においては、当該港湾運送事業者の登録をまつ消しなければならない。
一 前条の規定による届出があつた場合
二 次条の規定により港湾運送事業の登録を取り消した場合
(事業の停止及び登録の取消)
第二十二条 運輸大臣は、港湾運送事業者が左の各号の一に該当するときは、三箇月以内において当該事業の停止を命じ、又は当該港湾運送事業の登録を取り消すことができる。
一 この法律又はこれに基く処分に違反したとき。
二 第七条第一項第一号又は第三号の規定に該当するに至つたとき。
2 第七条第二項の規定は前項の処分をする場合に準用する。
第三章 港湾運送事業抵当
(港湾運送事業財団の設定)
第二十三条 港湾運送事業者は、抵当権の目的とするため、港湾運送事業財団を設けることができる。
(財団の組成)
第二十四条 港湾運送事業財団は、左に掲げるものであつて、同一の港湾運送事業者に属し、且つ、港湾運送事業に関するものの全部又は一部をもつて組成することができる。
一 上屋、荷役機械その他の荷さばき施設及びその敷地
二 はしけ及び引船
三 事務所その他港湾運送事業のため必要な建物及びその敷地
四 第一号又は前号に掲げる工作物を所有し、又は使用するため他人の不動産の上に存する地上権、登記した賃借権及び第一号又は前号に掲げる土地のために存する地役権
五 港湾運送事業の経営のため必要な器具及び機械
(財団設定の制限)
第二十五条 前条第一号又は第三号に掲げる不動産のいずれもが存しないときは、港湾運送事業者は、港湾運送事業財団を設けることができない。
(工場抵当法の準用)
第二十六条 港湾運送事業財団については、この法律に規定するものの外、工場抵当法(明治三十八年法律第五十四号)中工場財団に関する規定を準用する。この場合において、同法第十七条及び同法第四十五条中「工場所在地」とあるのは、「港湾運送事業法第二十四条第一号又ハ第三号ニ掲クル不動産ノ所在地」と読みかえるものとする。
(財団設定の届出)
第二十七条 港湾運送事業者は、港湾運送事業財団を設定したときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(財団の存続)
第二十八条 港湾運送事業財団は、その所有者が港湾運送事業者でない者になつたことにより消滅することがない。
第四章 雑則
(訴願)
第二十九条 この法律又はこの法律に基く命令の規定により行政官庁のした処分に不服のある者は、訴願することができる。
(職権の委任)
第三十条 この法律に規定する運輸大臣の職権の一部であつて政令で定めるものは、海運局長(運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第三十九条の海運局の長をいう。)が行う。
(運輸審議会の意見の尊重)
第三十一条 運輸大臣は、第七条第一項の登録の拒否、第九条若しくは第十一条の規定による運賃及び料金若しくは港湾運送約款の変更に係る事項又は第二十二条の処分に関しては、運輸審議会にはかり、その決定を尊重して、処理しなければならない。
(港湾管理者に対する通知等)
第三十二条 運輸大臣は、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港湾管理者(以下単に「港湾管理者」という。)が設立された港湾における第九条又は第十一条の規定による運賃及び料金又は港湾運送約款の変更に係る事項に関しては、当該港湾管理者の意見を聞かなければならない。
2 運輸大臣は、港湾管理者が設立された港湾における港湾運送事業に関し第六条第一項の規定による登録をした場合及び第二十一条の規定による登録のまつ消をした場合においては、その旨を当該港湾管理者に通知しなければならない。
(報告徴収等)
第三十三条 運輸大臣は、この法律の施行を確保するため必要があると認めるときは、港湾運送事業者に、はしけの使用その他事業に関し報告をさせることができる。
2 運輸大臣は、この法律の施行を確保するため必要があると認めるときは、その職員に、港湾運送事業者の事務所若しくは事業場又ははしけ若しくは引船に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 当該職員は、前項の規定により検査をするときは、その身分を示す証票を携帯し、関係人に呈示しなければならない。
4 第二項の検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第五章 罰則
第三十四条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定に違反して港湾運送事業を営んだ者
二 第十四条の規定に違反した者
第三十五条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項の規定による届出をしないで、又は同条第三項の延期の命令若しくは同条第四項の変更の命令に違反して、運賃又は料金を収受した者
二 第十条の規定に違反した者
三 第十一条第一項の規定による届出をしないで、又は同条第三項の延期の命令若しくは同条第四項の変更の命令に違反して港湾運送約款を実施した者
四 第十六条の規定に違反した者
五 第二十二条第一項の規定による事業の停止の処分に違反した者
第三十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、この限りでない。
第三十七条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の過料に処する。
一 第九条第一項、第十一条第一項又は第十二条の規定による掲示をせず、又は虚偽の掲示をした者
二 第十七条第一項若しくは同条第三項、第十八条第二項(第十九条第二項において準用する場合を含む。)又は第二十条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第三十三条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
四 第三十三条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
附 則
(施行期日)
1 この法律施行の期日は、公布の日から九十日をこえない期間内において、政令で定める。
(他の法律の改廃)
2 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条ノ四中「又ハ自動車交通事業財団登記簿」を「、自動車交通事業財団登記簿又ハ港湾運送事業財団登記簿」に改める。
3 担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十一号の次に次の一号を加える。
十二 港湾運送事業抵当
4 運輸省設置法の一部を次のように改正する。
第四条第一項第二十七号の次に次の一号を加える。
二十七の二 港湾運送事業の登録をすること。
第六条第一項第十一号の四の次に次の一号を加える。
十一の五 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)の規定により運輸審議会にはかることを要する事項
第二十六条第一項第八号の次に次の一号を加える。
八の二 港湾運送事業の登録に関すること。
第四十条第一項第二十一号の次に次の一号を加える。
二十一の二 港湾運送事業の登録に関すること。
5 海事代理士法(昭和二十六年法律第三十二号)の一部を次のように改正する。
別表第二中第五号の次に次の一号を加える。
五の二 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)
(経過規定)
6 この法律施行の際現に港湾運送事業を営んでいる者は、この法律施行の日から六十日以内は、第四条の規定にかかわらず、当該事業を引き続き営むことができる。その期間内に第五条の規定により登録を申請した場合において、その申請について登録をした旨又は登録を拒否する旨の通知を受ける日までも同様とする。
7 港湾運送事業者又は前項の規定により港湾運送事業を営む者は、第九条及び第十条の規定にかかわらず、この法律施行の日から五箇月間は、第九条の手続を経て定めた運賃及び料金によらないで運賃若しくは料金を収受し、又は収受した運賃若しくは料金の割戻をしてもよい。
8 一般港湾運送事業者又は附則第六項の規定により一般港湾運送事業を営む者は、第十一条の規定にかかわらず、この法律施行の日から五箇月間は、第十一条の規定による手続を経て定めた港湾運送約款によらないで港湾運送の引受をしてもよい。
法務総裁 大橋武夫
大蔵大臣 池田勇人
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂