担保附社債信託法
法令番号: 法律第五十二號
公布年月日: 明治38年3月13日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル擔保附社債信託法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年三月十一日
內閣總理大臣 伯爵 桂太郞
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
司法大臣 波多野敬直
法律第五十二號
擔保附社債信託法
第一章 總則
第一條 本法ニ於テ信託會社ト稱スルハ擔保附社債ニ關スル信託事業ヲ營ム會社ヲ謂フ
第二條 社債ニ物上擔保ヲ附セムトスルトキハ其ノ社債ヲ發行スル會社ト信託會社トノ信託契約ニ從ヒ之ヲ發行スヘシ
第三條 本法ニ依ル信託ノ引受ハ之ヲ商行爲トス
第四條 社債ニ附スルコトヲ得ヘキ物上擔保ハ左ニ揭クルモノニ限ル
一 動產質
二 證書アル債權質
三 不動產抵當
四 船舶抵當
五 鐵道抵當
六 工場抵當
七 鑛業抵當
第五條 擔保附社債ニ關スル信託事業ハ特別ノ法律ニ依ル場合ヲ除クノ外主務官廳ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
第六條 信託會社ハ銀行事業ヲ除クノ外他ノ事業ヲ兼ヌルコトヲ得ス
第七條 信託會社ノ資本又ハ金錢ヲ目的トスル出資ノ總額ハ百萬圓ヲ下ルコトヲ得ス
第八條 信託會社ハ資本又ハ金錢ヲ目的トスル出資ノ拂込金額カ五十萬圓ニ達スル迄其ノ事業ニ著手スルコトヲ得ス
第九條 信託ノ業務ハ主務官廳ノ監督ニ屬ス
第十條 主務官廳ハ何時ニテモ信託會社ヲシテ其ノ事業ノ報吿ヲ爲サシメ又ハ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第十一條 主務官廳ハ信託會社ノ業務又ハ會社財產ノ狀況カ信託事業ノ執行ニ適セスト認ムルトキハ其ノ事業ノ停止又ハ業務執行方法ノ變更ヲ命シ其ノ他委託會社及社債權者ノ利益ヲ保護スルニ必要ナル命令ヲ發スルコトヲ得
第十二條 信託會社カ法令、定款若ハ主務官廳ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ主務官廳ハ其ノ事業ノ停止若ハ取締役ノ改選ヲ命シ又ハ免許ヲ取消スコトヲ得
第十三條 擔保附社債ニ關スル信託事業ヲ專業トスル會社ハ免許ノ取消ニ因リテ解散ス
第十四條 信託會社カ免許ノ取消ニ因リテ解散シタルトキハ主務官廳ハ利害關係人ノ請求ニ因リ淸算人ヲ選任ス
第十五條 商法第八十八條、第八十九條、第九十六條第二項、第百條、第二百二十六條第二項、第二百二十八條第二項又ハ第二百三十二條ニ定ムル淸算人ノ選任又ハ解任ハ主務官廳ニ於テ之ヲ爲ス
商法第二百二十八條第二項ニ依ル請求ハ委託會社又ハ社債權者集會ニ於テモ之ヲ爲スコトヲ得
第十六條 信託會社ノ淸算ハ主務官廳ノ監督ニ屬ス
主務官廳ハ何時ニテモ前項ノ監督ニ必要ナル檢査ヲ爲スコトヲ得
第十七條 外國ニ於テ物上擔保附社債ヲ募集セムトスル會社ハ主務官廳ノ許可ヲ受ケ外國會社ト信託契約ヲ締結スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ信託ヲ引受ケタル外國會社カ日本ニ支店ヲ有セサルトキハ日本ニ於ケル代表者ヲ定ムヘシ
商事會社ハ前項ノ代表者タルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依リ代表者ヲ定メタルトキハ遲滯ナク其ノ氏名及住所又ハ商號及本店ヲ主務官廳ニ屆出ヘシ
日本ニ於ケル外國會社ノ代表者ハ信託事務ニ關シテハ信託會社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員ト同一ノ權限ヲ有ス
第二章 信託證書
第十八條 信託契約ハ信託證書ニ依リ之ヲ締結スヘシ
第十九條 信託證書ニハ左ノ事項ヲ記載シ委託會社及受託會社ノ代表者之ニ署名スヘシ
一 委託會社及受託會社ノ商號
二 社債ノ總額
三 各社債ノ金額
四 社債發行ノ價額又ハ其ノ最低價額
五 社債ノ利率
六 社債償還ノ方法及期限
七 利息支拂ノ方法及期限
八 債券ニ記載スヘキ事項ノ表示及利札附ナルトキハ其ノ旨ノ表示
九 擔保ノ種類、目的物、順位、先順位ノ擔保ヲ附シタル債權ノ金額其ノ他目的物ニ關シ擔保權者ニ對抗スルコトヲ得ヘキ權利ノ表示
十 第三十二條ニ依ル社債ナルトキハ其ノ事實及各會社ノ負擔部分
十一 委託及受託ノ表示
十二 證書作成ノ年月日
各社債ノ金額ハ均一ナルカ又ハ最低額ヲ以テ整除シ得ヘキモノナルコトヲ要ス
第二十條 信託證書ハ委託會社及受託會社ニ於テ各自其ノ一通ヲ保存スヘシ
前項ノ信託證書ハ其ノ原本ヲ本店ニ、其ノ謄本ヲ各支店ニ備置クヘシ
第二十一條 信託證書ノ原本又ハ謄本ハ委託會社ノ株主、債權者又ハ社債應募者ノ請求アルトキハ營業時間內何時ニテモ之ヲ閱覽セシムヘシ
第三章 社債募集
第二十二條 信託契約ニ依リ物上擔保附社債ヲ募集スル會社ハ左ノ事項ヲ公吿スヘシ
一 第十九條第一項第一號乃至第七號及第十號ニ揭ケタル事項
二 物上擔保附社債ナルコト
三 信託證書ノ表示
四 擔保ノ價格ヲ知ラシムルニ必要ナル程度ニ於テ第十九條第一項第九號ニ揭ケタル事項ノ槪要ノ表示
五 前ニ社債ヲ募集シタルトキハ其ノ償還ヲ了ヘサル總額
六 會社ノ資本及拂込ミタル株金ノ總額
七 最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存スル財產ノ額
八 信託證書若ハ其ノ謄本ヲ應募者ノ閱覽ニ供スヘキ時及場所
前項ノ公吿ハ受託會社ノ承認ヲ得テ之ヲ爲スヘシ
第二十三條 委託會社ハ信託契約ニ依リ社債ノ募集ヲ受託會社ニ委任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ受託會社ハ債券ノ發行、社債ノ償還及利息ノ支拂ニ關スル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
第二十四條 前條ノ場合ニ於テハ第二十二條第一項ニ揭ケタル公吿ハ受託會社ニ於テ之ヲ爲スヘシ
前項ノ公吿ニハ受託會社カ委託會社ニ代リテ社債ノ募集ヲ爲ス旨ヲ記載スヘシ
第二十五條 受託會社ハ信託契約ノ定ムル所ニ依リ社債ノ總額ヲ引受クルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ第二十二條及前條ニ定メタル公吿ヲ爲スコトヲ要セス
第二十六條 前條第一項ノ場合ニ於テ受託會社ハ其ノ引受ケタル社債ヲ分割シテ之ニ相當スル債券ノ發行ヲ委託會社ニ請求スルコトヲ得
受託會社カ信託契約ニ依リ債券發行ノ權限ヲ有スルトキハ委託會社ニ通知シテ前項ノ債券ヲ發行スルコトヲ得
第二十七條 受託會社カ第二十五條第一項ニ依リ引受ケタル社債ヲ讓渡サムトスルトキハ其ノ旨ヲ公吿スヘシ
前項ノ公吿ニ記載スヘキ事項ニ付テハ第二十二條第一項ノ規定ヲ準用ス
受託會社ハ社債ヲ讓受ケムトスル者ノ請求アルトキハ營業時間內何時ニテモ信託證書又ハ其ノ謄本ヲ閱覽セシムヘシ
第二十八條 受託會社カ前條ノ規定ニ依リ社債ヲ讓渡シタル場合ニ於テハ委託會社ニ代リテ其ノ社債ノ償還及利息ノ支拂ニ關スル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
第二十九條 委託會社又ハ受託會社ハ信託契約ノ定ムル所ニ從ヒ第三者ヲシテ社債ノ總額ヲ引受ケシムルコトヲ得
前項ニ依ル社債總額ノ引受ハ之ヲ商行爲トス
第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ハ其ノ引受ケタル社債ヲ分割シテ之ニ相當スル債券ノ發行ヲ委託會社ニ請求スルコトヲ得
受託會社カ信託契約ニ依リ債券發行ノ權限ヲ有スルトキハ受託會社ニ對シテ前項ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第三十條 第二十五條第二項、第二十七條第一項、第二項及第二十八條ノ規定ハ前條第一項ニ依リ第三者カ社債ノ總額ヲ引受ケタル場合ニ之ヲ準用ス
第三十一條 委託會社又ハ受託會社ハ信託證書ノ謄本ヲ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ交付スヘシ
前項ノ謄本ハ委託會社又ハ受託會社ノ代表者之ニ署名シテ原本ト相違ナキコトヲ認證スヘシ
第二十七條第三項ノ規定ハ第一項ノ謄本ニ之ヲ準用ス
第三十二條 會社ハ合同シテ社債ヲ發行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ社債ノ募集ヲ受託會社ニ委任シ又ハ受託會社ヲシテ社債ノ總額ヲ引受ケシムヘシ
第三十三條 前條ノ場合ニ於テハ受託會社ハ債券ノ發行、社債ノ償還及利息ノ支拂ニ關スル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
第三十四條 委託會社ハ商法第二百四條第二項ノ規定ニ從ヒ左ノ事項ヲ登記スヘシ
一 第十九條第一項第一號乃至第三號、第五號乃至第七號、第九號及第十號ニ揭ケタル事項
二 第二十二條第一項第二號及第三號ニ揭ケタル事項
三 第二十三條ニ依ル委任又ハ第二十五條第一項ニ依ル引受アリタルトキハ其ノ事實
四 第二十九條第一項ニ依ル引受アリタルトキハ其ノ事實及引受人ノ氏名又ハ商號
第四章 債券
第三十五條 信託證書ニ依ル債券ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 第十九條第一項第一號乃至第三號、第五號乃至第七號ニ揭ケタル事項
二 第二十二條第一項第二號及第三號ニ揭ケタル事項
三 債券ノ番號
四 前條第三號及第四號ニ揭ケタル事項
第三十六條 受託會社ハ委託會社カ信託契約ノ條款ニ適合スル債券ヲ發行シタルトキハ其ノ請求ニ依リ債券カ信託證書ニ依ル債券ナルコトヲ證明シテ之ヲ委託會社又ハ其ノ指定シタル者ニ引渡スヘシ
前項ノ證明ハ各債券ニ記載シテ受託會社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員之ニ署名スルニ依リテ之ヲ爲ス
第三十七條 信託證書ニ依ル債券ハ前條ノ證明アルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第三十八條 受託會社カ委託會社ニ代リテ債券ヲ發行シタルトキハ其ノ旨ヲ各債券ニ記載シ受託會社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員之ニ署名スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ前二條ノ規定ヲ適用セス
第三十九條 受託會社カ委託會社ニ代リテ債券ヲ發行シタルトキハ商法第二百六條ニ依ル記載ハ受託會社ニ於テ之ヲ爲シ商法第二百七條ニ依ル請求ハ受託會社ニ對シテ之ヲ爲ス
第五章 社債原簿
第四十條 會社カ物上擔保附社債ヲ發行シタルトキハ社債原簿ニ商法第百七十三條ニ揭ケタルモノノ外左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 第十九條第一項第一號、第七號、第九號及第十號ニ揭ケタル事項
二 第三十四條第二號乃至第四號ニ揭ケタル事項
第四十一條 委託會社ハ社債原簿ノ謄本ヲ作成シテ之ヲ受託會社ニ交付スヘシ
前項ノ謄本ハ委託會社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員之ニ署名シテ原本ト相違ナキコトヲ認證スヘシ
第四十二條 受託會社ハ前條ノ謄本ヲ其ノ本店ニ備置キ社債權者ノ請求アルトキハ營業時間內何時ニテモ之ヲ閱覽セシムヘシ
第四十三條 社債原簿ノ記載ニ變更ヲ生シタルトキハ其ノ都度委託會社ハ取締役又ハ之ヲ代表スル社員ノ署名シタル書面ヲ以テ之ヲ受託會社ニ通知スヘシ
受託會社ハ前項ノ書面ヲ受ケタルトキハ之ヲ社債原簿ノ謄本ニ添附シテ保存スヘシ
第四十四條 受託會社カ委託會社ニ代リテ債券ヲ發行シタルトキハ社債原簿ハ受託會社ニ於テ之ヲ作成シ其ノ本店ニ備置クヘシ
商法第百七十一條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十五條 前條第一項ノ場合ニ於テハ受託會社ニ於テ社債原簿ノ謄本ヲ作成シテ之ヲ委託會社ニ交付スヘシ
第四十一條第二項、第四十二條、第四十三條及商法第百七十一條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十六條 委託會社又ハ受託會社カ社債原簿ヲ作成シタルトキハ其ノ謄本ヲ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ交付スヘシ
第四十一條第二項及第四十三條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十七條 委託會社、受託會社又ハ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者カ社債原簿ノ記載ニ變更ヲ生スヘキ取扱ヲ爲シタルトキハ其ノ都度書面ヲ以テ社債原簿ヲ備フル會社ニ之ヲ通知スヘシ
第六章 社債權者集會
第四十八條 受託會社又ハ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ハ必要アルトキハ何時ニテモ社債權者集會ヲ招集スルコトヲ得
第四十九條 委託會社又ハ社債總額ノ十分ノ一ニ當ル社債權者ハ集會ノ目的及其ノ招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ受託會社又ハ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ提出シテ社債權者集會ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求ヲ受ケタル者カ其ノ請求アリタル後二週間內ニ集會招集ノ手續ヲ爲ササルトキハ其ノ請求ヲ爲シタル者ハ主務官廳ノ許可ヲ受ケ其ノ招集ヲ爲スコトヲ得
第五十條 第十五條第二項、第八十九條、第九十四條又ハ第九十九條ニ定メタル集會ハ社債總額ノ十分ノ一ニ當ル社債權者ニ於テ自ラ之ヲ招集スルコトヲ得
前項ノ招集ハ信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ受託會社本店ノ所在地ニ於テ之ヲ爲スヘシ
第九十四條又ハ第九十九條ニ定メタル集會ハ委託會社モ亦自ラ之ヲ招集スルコトヲ得
第五十一條 商法第百五十六條ノ規定ハ社債權者集會ノ招集ニ之ヲ準用ス
第五十二條 社債權者集會ノ決議ハ信託契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外行使セラレタル議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス但シ第六十四條、第六十七條第一項、第七十五條、第八十五條、第八十六條及第九十七條第一項ニ記載シタル事項ノ決議ハ記名債券ヲ有スル者及第二項ノ規定ニ依リ債券ヲ供託シタル者ノ半數以上ニシテ社債總額ノ半數以上ニ當ル社債權者カ議決權ヲ行使シタル場合ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
商法第百六十一條第二項乃至第四項ノ規定ハ社債權者集會ノ決議ニ之ヲ準用ス
集會ニ出席セサル社債權者ハ信託契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外書面ヲ以テ議決權ヲ行フコトヲ得
各社債權者ハ社債ノ最低金額每ニ一箇ノ議決權ヲ有ス但シ社債ノ最低金額ノ十一倍以上ヲ有スル社債權者ノ議決權ハ信託契約ヲ以テ之ヲ制限スルコトヲ得
第五十三條 第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者又ハ其ノ代表者ハ社債權者集會ニ出席シテ發言シ又ハ書面ヲ以テ意見ヲ述フルコトヲ得
第五十四條 受託會社ノ代表者ハ社債權者集會カ第八十九條第二項ニ規定シタル事項ニ付招集セラレタル場合ヲ除クノ外之ニ出席シテ發言シ又ハ書面ヲ以テ意見ヲ述フルコトヲ得
第五十五條 社債權者集會ヲ招集スル者ハ前二條ニ揭ケタル者又ハ其ノ代表者ニ招集ノ通知ヲ發スヘシ
商法第百五十六條第一項及第二項ノ規定ハ前項ノ通知ニ之ヲ準用ス
第五十六條 社債權者集會又ハ之ヲ招集シタル者ニ於テ必要ト認ムルトキハ委託會社ニ通知シテ其ノ代表者ノ出席ヲ求ムルコトヲ得
第五十七條 社債權者集會招集ノ手續又ハ其ノ議決ノ方法カ本法又ハ信託契約ノ條款ニ違反スルトキハ委託會社、受託會社又ハ各社債權者ハ其ノ決議ノ無效ノ宣吿ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
前項ノ請求ハ決議ノ日ヨリ一箇月內ニ之ヲ爲スヘシ
社債權者カ第一項ノ請求ヲ爲ストキハ其ノ債券ヲ供託シ且招集ヲ爲シタル者ノ請求ニ因リ相當ノ擔保ヲ供スヘシ
第五十八條 社債權者集會ニ於テ決議スヘキ事項ハ本法ニ規定アルモノノ外特ニ信託契約ニ定メタルモノニ限ル
第五十九條 社債權者集會ヲ招集シタル者ハ決議錄ヲ作成スヘシ
第六十條 受託會社ハ社債權者集會ノ決議錄ノ原本又ハ謄本ヲ本店及支店ニ備置クヘシ
受託會社ハ委託會社又ハ社債權者ノ請求アルトキハ營業時間內何時ニテモ前項ノ決議錄ヲ閱覽セシムヘシ
第六十一條 受託會社以外ノ者カ決議錄ヲ作成シタルトキハ自ラ其ノ原本ヲ保存シ其ノ謄本ヲ受託會社ニ交付スヘシ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ謄本ニ之ヲ準用ス
第六十二條 社債權者集會ノ費用ハ受託會社又ハ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ於テ招集シタル場合ヲ除クノ外集會ヲ招集シタル者ニ於テ之ヲ負擔ス
第六十三條 社債權者集會ノ決議ハ受託會社之ヲ執行ス但シ其ノ性質カ受託會社ニ於テ執行スルコトヲ許ササルトキハ集會ニ於テ之ヲ執行スヘキ者ヲ定ム
第六十四條 信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ社債權者集會ニ於テ一人又ハ數人ノ代表者ヲ選任シ其ノ決議スヘキ事項ノ決定ヲ之ニ委任スルコトヲ得
代表者ハ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者又ハ社債總額ノ千分ノ一以上ヲ有スル者ノ中ヨリ之ヲ選任ス
代表者數人アル場合ニ於テ集會ニ於テ別段ノ定ヲ爲ササルトキハ代表者ノ權限ニ屬スル事項ハ其ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
第六十五條 代表者ハ第六十三條但書ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ權限ニ屬スル事項ヲ自ラ執行シ又ハ他人ヲシテ執行セシムルコトヲ得
第六十六條 代表者就任シタルトキハ其ノ公吿ヲ爲シ委託會社、受託會社及第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ之ヲ通知スヘシ
第六十七條 社債權者集會ハ何時ニテモ代表者ヲ解任シ又ハ其ノ權限ヲ變更スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ集會ハ其ノ公吿ヲ爲シ委託會社及第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ之ヲ通知スヘシ
第七章 信託契約ノ效力
第六十八條 受託會社ハ公平且誠實ニ信託事務ヲ處理スヘシ
第六十九條 受託會社ハ委託會社及社債權者ニ對シテ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ信託事務ヲ處理スル義務ヲ負フ
第七十條 信託契約ニ依ル物上擔保ハ信託證書ニ記載シタル總社債ノ爲ニ受託會社ニ歸屬ス
受託會社ハ總社債權者ノ爲ニ擔保權ヲ保存シ且實行スルノ義務ヲ負フ
第七十一條 社債權者ハ其ノ債權額ニ應シ平等ニ擔保ノ利益ヲ享受ス
第七十二條 信託契約ニ依ル物上擔保ハ社債成立以前ニ於テモ其ノ效力ヲ生ス
第七十三條 民法第三百四十八條、第三百七十五條及商法第二百七十七條ノ規定ハ信託契約ニ依ル擔保權ニ之ヲ適用セス
第七十四條 受託會社ハ委託會社トノ契約ヲ以テ擔保ヲ追加スルコトヲ得
第七十五條 受託會社ハ社債權者集會ノ決議ニ依リ委託會社トノ契約ヲ以テ擔保ヲ變更スルコトヲ得
第七十六條 前二條ノ契約ハ信託契約ト同一ノ效力ヲ有ス
第七十七條 第七十四條及第七十五條ノ契約ハ委託會社及受託會社ノ代表者ノ署名シタル書面ヲ以テ之ヲ爲シ委託會社及受託會社遲滯ナク各自之ヲ公吿スヘシ但シ知レタル社債權者及第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
前項ノ契約證書ニハ第二十條及第二十一條ノ規定ヲ準用ス
第七十八條 信託契約ニ依ル擔保權ハ總社債權者ノ爲ニノミ之ヲ行使スルコトヲ得
第七十九條 委託會社カ定期ニ社債ノ一部ヲ償還スヘキ場合ニ於テ其ノ償還ヲ遲延シ二箇月ヲ經過シタルトキハ受託會社ハ社債權者集會ノ決議ニ依リ一定ノ期間內ニ支拂ヲ爲スヘキ旨及其ノ期間內ニ支拂ヲ爲ササルトキハ社債ノ總額ニ付期限ノ利益ヲ失ハシムル旨ヲ委託會社ニ催吿スルコトヲ得
委託會社カ前項ノ期間內ニ支拂ヲ爲ササルトキハ社債ノ總額ニ付期限ノ利益ヲ失フ
第一項ノ催吿ハ書面ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第八十條 前條ニ依リ委託會社カ期限ノ利益ヲ失ヒタルトキハ受託會社ハ遲滯ナク之ヲ公吿スヘシ但シ知レタル社債權者及第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
第八十一條 前二條ノ規定ハ委託會社カ社債ノ利息ノ支拂ヲ遲延シ三箇月ヲ經過シタル場合ニ之ヲ準用ス
第八十二條 社債カ期限ニ至リ辨濟セラレス又ハ委託會社カ社債ノ辨濟ヲ完了セスシテ解散シタルトキハ受託會社ハ遲滯ナク社債權者集會ノ決議ニ依リ擔保權ヲ實行スヘシ
民法第三百五十四條ノ規定ハ信託契約ニ依ル動產質ニ之ヲ適用セス
第八十三條 受託會社ハ總社債權者ノ爲ニ付與セラレタル執行力アル正本ニ基キ擔保物ニ付强制執行ヲ爲シ又ハ競賣法ニ依ル競賣ノ申立若ハ委任ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ債權者ニ對スル異議ハ受託會社ニ對シテ之ヲ主張スルコトヲ得
第八十四條 受託會社ハ信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ社債權者ノ爲ニ債權ノ辨濟ヲ得ルニ必要ナル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
第八十五條 受託會社ハ社債權者集會ノ決議ニ依リ總社債ニ付支拂ヲ猶豫シ、不履行ニ因リテ生シタル責任ヲ免除シ又ハ和解ヲ爲スコトヲ得
第八十六條 受託會社ハ社債權者集會ノ決議ニ依リ總社債權者ノ爲ニ訴訟行爲ヲ爲シ又ハ破產手續ニ屬スル一切ノ行爲ヲ爲スコトヲ得
第八十七條 受託會社カ第八十二條、第八十五條又ハ前條ニ揭ケタル行爲ヲ完了シタルトキハ遲滯ナク之ヲ公吿スヘシ但シ知レタル社債權者及第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
第八十八條 受託會社カ社債權者ノ爲ニ辨濟ヲ得タル金額ハ遲滯ナク債權額ニ應シテ各社債權者ニ交付スヘシ
受託會社カ前項ノ金額ヲ自己ノ爲ニ費消シタルトキハ民法第六百四十七條ノ規定ヲ準用ス
社債權者ヲ確知スルコト能ハサルトキ又ハ社債權者カ受領ヲ拒ミ若ハ受領スルコト能ハサルトキハ受託會社ハ其ノ社債權者ノ爲ニ前項ノ金額ヲ供託スヘシ
受託會社ハ必要アル場合ニ於テハ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ第一項及第三項ノ行爲ヲ委任スルコトヲ得
第八十九條 受託會社カ總社債權者ノ爲ニ爲スヘキ行爲ヲ怠リタルトキハ主務官廳ハ社債權者集會ノ申請ニ因リ特別代理人ヲ選任シテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
社債權者ト受託會社トノ利益相反スル場合ニ於テ總社債權者ノ爲ニ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス必要アルトキ亦前項ニ同シ
第九十條 本法ニ依リ總社債權者ニ代リテ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス場合ニ於テハ各別ニ社債權者ヲ表示スルコトヲ要セス
第九十一條 受託會社ハ委託會社ニ對シ信託事務ノ處理ニ付相當ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ民法第六百四十八條第二項及第三項ノ規定ハ信託契約ニ之ヲ準用ス
第九十二條 委託會社ハ受託會社カ信託事務ヲ處理スルニ付正當ニ支出シタル一切ノ費用及支出ノ日以後ニ於ケル其ノ利息ヲ償還シ及過失ナクシテ受ケタル一切ノ損害ヲ賠償スル義務ヲ負フ
受託會社ハ信託事務ヲ處理スルニ付要スル費用ノ前拂ヲ委託會社ニ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニ關シ之ヲ準用ス
第九十三條 信託契約ニ依ル物上擔保ハ前條第一項ノ規定ニ依リ受託會社ニ生スヘキ債權ノ爲ニモ其ノ效力ヲ有ス
受託會社ハ前項ノ債權ニ付社債權者ニ優先シテ擔保物ヨリ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
第九十四條 受託會社カ故意若ハ過失ニ因リ物上擔保ヲ消滅セシメ又ハ其ノ價格ヲ減少セシメタルトキハ主務官廳ハ委託會社又ハ社債權者集會ノ申請ニ因リ受託會社ヲシテ相當ノ金額ヲ供託セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ委託會社カ供託金ノ上ニ質權ヲ設定シタルモノト看做ス
前項ノ質權ハ信託契約ニ依ル物上擔保ト看做ス
第九十五條 委託會社、第六十四條第一項ニ依リ選任セラレタル代表者又ハ社債總額ノ十分ノ一以上ニ當ル社債權者ハ何時ニテモ受託會社ニ於ケル擔保物保管ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
無記名式ノ債券ヲ有スル者ハ其ノ債券ヲ受託會社ニ供託スルニ非サレハ前項ノ檢査ヲ爲スコトヲ得ス
第九十六條 民法第二百九十八條第三項ノ規定ハ信託契約ニ依ル質權ニ之ヲ準用セス
第八章 信託事務ノ承繼及終了
第九十七條 受託會社ハ信託契約ノ定ムル所ニ依リ又ハ委託會社及社債權者集會ノ同意アルトキハ信託事務ヲ承繼スヘキ會社ヲ定メテ辭任スルコトヲ得
信託事務ヲ承繼スヘキ會社カ外國會社ナルトキハ第十七條第一項ノ規定ヲ準用ス
第九十八條 受託會社ハ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ主務官廳ノ許可ヲ受ケ辭任スルコトヲ得
第九十九條 受託會社カ其ノ義務ニ違反シ又ハ信託事務ヲ處理スルニ不適任ナルトキ其ノ他正當ノ事由アルトキハ主務官廳ハ委託會社又ハ社債權者集會ノ申請ニ因リ受託會社ヲ解任スルコトヲ得
第百條 前二條ノ規定ニ依リ受託會社カ辭任シ若ハ解任セラレタルトキ又ハ免許ヲ取消サレ若ハ解散シタルトキハ主務官廳ハ更ニ受託會社ヲ選任シテ信託事務ヲ承繼セシムヘシ
第百一條 第九十七條ニ依ル信託事務ノ承繼ハ委託會社、前受託會社及新受託會社ノ代表者ノ署名シタル契約書ヲ作成スルニ因リテ其ノ效力ヲ生ス
前項ノ契約ヲ締結シタルトキハ各會社ハ遲滯ナク書面ヲ以テ之ヲ主務官廳ニ屆出ヘシ
前條ニ依ル承繼ハ新受託會社ニ對スル主務官廳ノ命令書ヲ交付スルニ因リテ其ノ效力ヲ生ス
第百二條 信託事務ノ承繼ハ第九十七條ニ依ル場合ニ於テハ委託會社、前受託會社及新受託會社、第百條ニ依ル場合ニ於テハ委託會社及新受託會社遲滯ナク各自之ヲ公吿スヘシ但シ知レタル社債權者及第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
第百三條 第九十七條ニ依リ定メラレ又ハ第百條ニ依リ選任セラレタル新受託會社ハ前受託會社ノ締約シタル條款ニ從ヒ信託事務ヲ處理スヘシ
社債權者又ハ委託會社ノ爲ニ前受託會社ニ歸屬シタル權利義務ハ前受託會社ノ辭任、解任、免許ノ取消又ハ解散ノ時ニ遡リテ新受託會社ニ移轉ス但シ前受託會社ノ契約違反又ハ不法行爲ニ因リテ生シタル責任ハ此ノ限ニ在ラス
第百四條 前受託會社ノ不法處分ニ因リ質物ノ占有ヲ得タル者カ惡意ナリシトキハ新受託會社カ其ノ者ノ爲ニ占有ヲ奪ハレタルモノト看做ス
第百五條 前受託會社ノ取締役、之ヲ代表スル社員、淸算人又ハ破產管財人ハ遲滯ナク其ノ委託會社又ハ社債權者ノ爲ニ保管スル物及信託事務ニ關スル書類ヲ新受託會社ニ移付シ其ノ他信託事務ヲ新受託會社ニ引繼ク爲必要ナル一切ノ行爲ヲ爲スヘシ
前項ニ揭ケタル引繼ヲ完了シタルトキハ各會社ハ共同シテ書面ヲ以テ之ヲ主務官廳ニ屆出ヘシ
前項ノ屆書ニハ移付シタル物ノ目錄ヲ添附スヘシ
第百六條 承繼ニ關スル事務ハ主務官廳ノ監督ニ屬ス
第十六條第二項ノ規定ハ前項ノ監督ニ之ヲ準用ス
第百七條 受託會社カ信託事務ヲ終了シタルトキハ總計算書ヲ作成シテ之ヲ公吿スヘシ
第九章 罰則
第百八條 第五條ノ規定ニ違反シテ擔保附社債ニ關スル信託事業ヲ營ム者ハ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
第百九條 左ノ場合ニ於テハ會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、淸算人、破產管財人、第八十九條ノ特別代理人又ハ外國會社ノ代表者ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第六條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第八條ノ規定ニ違反シタルトキ
三 本法ニ依ル主務官廳ノ命令ニ違反シタルトキ
四 本法ニ依ル主務官廳ノ檢査ヲ妨ケタルトキ
五 第十七條第一項又ハ第九十七條第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
六 本法ニ依リ債券ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
七 委託會社ニ於テ債券ヲ發行シタル場合ニ於テ第三十六條ニ定メタル手續ヲ履行セスシテ之ヲ交付シタルトキ
八 第七十條第二項ニ依ル擔保權ノ保存又ハ實行ヲ怠リタルトキ
九 第八十八條第一項又ハ同條第三項ノ規定ニ違反シタルトキ
十 第九十五條第一項ニ依ル檢査ヲ妨ケタルトキ
十一 第百五條第一項ニ定メタル事務ノ引繼ヲ怠リタルトキ
十二 社債權者集會ノ決議ニ依ルヘキ場合ニ於テ之ニ依ラス又ハ之ニ違反シタルトキ
十三 社債權者集會又ハ其ノ代表者ニ對シテ不實ノ報吿ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
第百十條 左ノ場合ニ於テハ會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、淸算人、破算管財人、第二十九條第一項ニ依リ社債ノ總額ヲ引受ケタル者、第六十四條ノ代表者、第八十九條ノ特別代理人又ハ外國會社ノ代表者ヲ五圓以上五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ定メタル屆出、公吿若ハ通知ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公吿若ハ通知ヲ爲シタルトキ
二 本法ニ依リ交付スヘキ書類ヲ交付セス又ハ之ニ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
三 本法ニ依リ閱覽ヲ許スヘキ書類ヲ正當ノ理由ナクシテ閱覽セシメサリシトキ
四 本法ニ依リ備置クヘキ書類ヲ備置カス、之ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
第百十一條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ本章ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第百十二條 本法ニ依リ署名スヘキ場合ニ於テハ記名捺印ヲ以テ署名ニ代フルコトヲ得
第百十三條 擔保附社債ニ關スル信託事業ヲ營ム合名會社及合資會社ノ設立登記ヲ申請スル場合ニ於テハ申請書ニ非訟事件手續法第百七十九條第二項ニ揭ケタル書面ノ外主務官廳ノ免許書又ハ其ノ認證アル謄本ヲ添附スヘシ
旣設ノ會社カ擔保附社債ニ關スル信託事業ヲ營ム免許ヲ受ケタルニ因リ其ノ登記ヲ申請スルトキ亦前項ニ同シ
第百十四條 信託會社ノ登記スヘキ事項ニシテ主務官廳ノ免許ヲ要スルモノニ付テハ免許書ノ到達ノ日ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第百十五條 主務官廳カ第十一條又ハ第十二條ノ規定ニ依リ事業ノ停止ヲ命シ又ハ免許ヲ取消シタルトキハ登記所ハ主務官廳ノ囑託ニ因リテ其ノ登記ヲ爲スヘシ
第百十六條 本法ニ依ル社債ノ登記ノ申請書ニハ非訟事件手續法第百九十一條ニ揭ケタル書面ノ外信託證書ヲ添附スヘシ
第百十七條 本法ニ依ル社債ノ登記事項ニ變更ヲ生シタルトキハ委託會社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員ハ遲滯ナク其ノ登記ヲ申請スヘシ
前項ノ登記ノ申請書ニハ其ノ變更ヲ證スル書類ヲ添附スヘシ
第百十八條 信託契約ニ依ル擔保權設定ノ登記ニ付テハ受託會社ヲ登記權利者トス
第百十九條 信託契約ニ依ル擔保權設定ノ登記ヲ申請スル場合ニ於テハ不動產登記法第百十六條又ハ第百十七條ニ依ル債權額ノ記載ハ社債ノ總額ヲ表示スルヲ以テ足ル
第百二十條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル担保附社債信託法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年三月十一日
内閣総理大臣 伯爵 桂太郎
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
司法大臣 波多野敬直
法律第五十二号
担保附社債信託法
第一章 総則
第一条 本法ニ於テ信託会社ト称スルハ担保附社債ニ関スル信託事業ヲ営ム会社ヲ謂フ
第二条 社債ニ物上担保ヲ附セムトスルトキハ其ノ社債ヲ発行スル会社ト信託会社トノ信託契約ニ従ヒ之ヲ発行スヘシ
第三条 本法ニ依ル信託ノ引受ハ之ヲ商行為トス
第四条 社債ニ附スルコトヲ得ヘキ物上担保ハ左ニ掲クルモノニ限ル
一 動産質
二 証書アル債権質
三 不動産抵当
四 船舶抵当
五 鉄道抵当
六 工場抵当
七 鉱業抵当
第五条 担保附社債ニ関スル信託事業ハ特別ノ法律ニ依ル場合ヲ除クノ外主務官庁ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ営ムコトヲ得ス
第六条 信託会社ハ銀行事業ヲ除クノ外他ノ事業ヲ兼ヌルコトヲ得ス
第七条 信託会社ノ資本又ハ金銭ヲ目的トスル出資ノ総額ハ百万円ヲ下ルコトヲ得ス
第八条 信託会社ハ資本又ハ金銭ヲ目的トスル出資ノ払込金額カ五十万円ニ達スル迄其ノ事業ニ著手スルコトヲ得ス
第九条 信託ノ業務ハ主務官庁ノ監督ニ属ス
第十条 主務官庁ハ何時ニテモ信託会社ヲシテ其ノ事業ノ報告ヲ為サシメ又ハ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
第十一条 主務官庁ハ信託会社ノ業務又ハ会社財産ノ状況カ信託事業ノ執行ニ適セスト認ムルトキハ其ノ事業ノ停止又ハ業務執行方法ノ変更ヲ命シ其ノ他委託会社及社債権者ノ利益ヲ保護スルニ必要ナル命令ヲ発スルコトヲ得
第十二条 信託会社カ法令、定款若ハ主務官庁ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ主務官庁ハ其ノ事業ノ停止若ハ取締役ノ改選ヲ命シ又ハ免許ヲ取消スコトヲ得
第十三条 担保附社債ニ関スル信託事業ヲ専業トスル会社ハ免許ノ取消ニ因リテ解散ス
第十四条 信託会社カ免許ノ取消ニ因リテ解散シタルトキハ主務官庁ハ利害関係人ノ請求ニ因リ清算人ヲ選任ス
第十五条 商法第八十八条、第八十九条、第九十六条第二項、第百条、第二百二十六条第二項、第二百二十八条第二項又ハ第二百三十二条ニ定ムル清算人ノ選任又ハ解任ハ主務官庁ニ於テ之ヲ為ス
商法第二百二十八条第二項ニ依ル請求ハ委託会社又ハ社債権者集会ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得
第十六条 信託会社ノ清算ハ主務官庁ノ監督ニ属ス
主務官庁ハ何時ニテモ前項ノ監督ニ必要ナル検査ヲ為スコトヲ得
第十七条 外国ニ於テ物上担保附社債ヲ募集セムトスル会社ハ主務官庁ノ許可ヲ受ケ外国会社ト信託契約ヲ締結スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ信託ヲ引受ケタル外国会社カ日本ニ支店ヲ有セサルトキハ日本ニ於ケル代表者ヲ定ムヘシ
商事会社ハ前項ノ代表者タルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依リ代表者ヲ定メタルトキハ遅滞ナク其ノ氏名及住所又ハ商号及本店ヲ主務官庁ニ届出ヘシ
日本ニ於ケル外国会社ノ代表者ハ信託事務ニ関シテハ信託会社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員ト同一ノ権限ヲ有ス
第二章 信託証書
第十八条 信託契約ハ信託証書ニ依リ之ヲ締結スヘシ
第十九条 信託証書ニハ左ノ事項ヲ記載シ委託会社及受託会社ノ代表者之ニ署名スヘシ
一 委託会社及受託会社ノ商号
二 社債ノ総額
三 各社債ノ金額
四 社債発行ノ価額又ハ其ノ最低価額
五 社債ノ利率
六 社債償還ノ方法及期限
七 利息支払ノ方法及期限
八 債券ニ記載スヘキ事項ノ表示及利札附ナルトキハ其ノ旨ノ表示
九 担保ノ種類、目的物、順位、先順位ノ担保ヲ附シタル債権ノ金額其ノ他目的物ニ関シ担保権者ニ対抗スルコトヲ得ヘキ権利ノ表示
十 第三十二条ニ依ル社債ナルトキハ其ノ事実及各会社ノ負担部分
十一 委託及受託ノ表示
十二 証書作成ノ年月日
各社債ノ金額ハ均一ナルカ又ハ最低額ヲ以テ整除シ得ヘキモノナルコトヲ要ス
第二十条 信託証書ハ委託会社及受託会社ニ於テ各自其ノ一通ヲ保存スヘシ
前項ノ信託証書ハ其ノ原本ヲ本店ニ、其ノ謄本ヲ各支店ニ備置クヘシ
第二十一条 信託証書ノ原本又ハ謄本ハ委託会社ノ株主、債権者又ハ社債応募者ノ請求アルトキハ営業時間内何時ニテモ之ヲ閲覧セシムヘシ
第三章 社債募集
第二十二条 信託契約ニ依リ物上担保附社債ヲ募集スル会社ハ左ノ事項ヲ公告スヘシ
一 第十九条第一項第一号乃至第七号及第十号ニ掲ケタル事項
二 物上担保附社債ナルコト
三 信託証書ノ表示
四 担保ノ価格ヲ知ラシムルニ必要ナル程度ニ於テ第十九条第一項第九号ニ掲ケタル事項ノ概要ノ表示
五 前ニ社債ヲ募集シタルトキハ其ノ償還ヲ了ヘサル総額
六 会社ノ資本及払込ミタル株金ノ総額
七 最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル財産ノ額
八 信託証書若ハ其ノ謄本ヲ応募者ノ閲覧ニ供スヘキ時及場所
前項ノ公告ハ受託会社ノ承認ヲ得テ之ヲ為スヘシ
第二十三条 委託会社ハ信託契約ニ依リ社債ノ募集ヲ受託会社ニ委任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ受託会社ハ債券ノ発行、社債ノ償還及利息ノ支払ニ関スル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
第二十四条 前条ノ場合ニ於テハ第二十二条第一項ニ掲ケタル公告ハ受託会社ニ於テ之ヲ為スヘシ
前項ノ公告ニハ受託会社カ委託会社ニ代リテ社債ノ募集ヲ為ス旨ヲ記載スヘシ
第二十五条 受託会社ハ信託契約ノ定ムル所ニ依リ社債ノ総額ヲ引受クルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ第二十二条及前条ニ定メタル公告ヲ為スコトヲ要セス
第二十六条 前条第一項ノ場合ニ於テ受託会社ハ其ノ引受ケタル社債ヲ分割シテ之ニ相当スル債券ノ発行ヲ委託会社ニ請求スルコトヲ得
受託会社カ信託契約ニ依リ債券発行ノ権限ヲ有スルトキハ委託会社ニ通知シテ前項ノ債券ヲ発行スルコトヲ得
第二十七条 受託会社カ第二十五条第一項ニ依リ引受ケタル社債ヲ譲渡サムトスルトキハ其ノ旨ヲ公告スヘシ
前項ノ公告ニ記載スヘキ事項ニ付テハ第二十二条第一項ノ規定ヲ準用ス
受託会社ハ社債ヲ譲受ケムトスル者ノ請求アルトキハ営業時間内何時ニテモ信託証書又ハ其ノ謄本ヲ閲覧セシムヘシ
第二十八条 受託会社カ前条ノ規定ニ依リ社債ヲ譲渡シタル場合ニ於テハ委託会社ニ代リテ其ノ社債ノ償還及利息ノ支払ニ関スル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
第二十九条 委託会社又ハ受託会社ハ信託契約ノ定ムル所ニ従ヒ第三者ヲシテ社債ノ総額ヲ引受ケシムルコトヲ得
前項ニ依ル社債総額ノ引受ハ之ヲ商行為トス
第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ハ其ノ引受ケタル社債ヲ分割シテ之ニ相当スル債券ノ発行ヲ委託会社ニ請求スルコトヲ得
受託会社カ信託契約ニ依リ債券発行ノ権限ヲ有スルトキハ受託会社ニ対シテ前項ノ請求ヲ為スコトヲ得
第三十条 第二十五条第二項、第二十七条第一項、第二項及第二十八条ノ規定ハ前条第一項ニ依リ第三者カ社債ノ総額ヲ引受ケタル場合ニ之ヲ準用ス
第三十一条 委託会社又ハ受託会社ハ信託証書ノ謄本ヲ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ交付スヘシ
前項ノ謄本ハ委託会社又ハ受託会社ノ代表者之ニ署名シテ原本ト相違ナキコトヲ認証スヘシ
第二十七条第三項ノ規定ハ第一項ノ謄本ニ之ヲ準用ス
第三十二条 会社ハ合同シテ社債ヲ発行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ社債ノ募集ヲ受託会社ニ委任シ又ハ受託会社ヲシテ社債ノ総額ヲ引受ケシムヘシ
第三十三条 前条ノ場合ニ於テハ受託会社ハ債券ノ発行、社債ノ償還及利息ノ支払ニ関スル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
第三十四条 委託会社ハ商法第二百四条第二項ノ規定ニ従ヒ左ノ事項ヲ登記スヘシ
一 第十九条第一項第一号乃至第三号、第五号乃至第七号、第九号及第十号ニ掲ケタル事項
二 第二十二条第一項第二号及第三号ニ掲ケタル事項
三 第二十三条ニ依ル委任又ハ第二十五条第一項ニ依ル引受アリタルトキハ其ノ事実
四 第二十九条第一項ニ依ル引受アリタルトキハ其ノ事実及引受人ノ氏名又ハ商号
第四章 債券
第三十五条 信託証書ニ依ル債券ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 第十九条第一項第一号乃至第三号、第五号乃至第七号ニ掲ケタル事項
二 第二十二条第一項第二号及第三号ニ掲ケタル事項
三 債券ノ番号
四 前条第三号及第四号ニ掲ケタル事項
第三十六条 受託会社ハ委託会社カ信託契約ノ条款ニ適合スル債券ヲ発行シタルトキハ其ノ請求ニ依リ債券カ信託証書ニ依ル債券ナルコトヲ証明シテ之ヲ委託会社又ハ其ノ指定シタル者ニ引渡スヘシ
前項ノ証明ハ各債券ニ記載シテ受託会社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員之ニ署名スルニ依リテ之ヲ為ス
第三十七条 信託証書ニ依ル債券ハ前条ノ証明アルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス
第三十八条 受託会社カ委託会社ニ代リテ債券ヲ発行シタルトキハ其ノ旨ヲ各債券ニ記載シ受託会社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員之ニ署名スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ前二条ノ規定ヲ適用セス
第三十九条 受託会社カ委託会社ニ代リテ債券ヲ発行シタルトキハ商法第二百六条ニ依ル記載ハ受託会社ニ於テ之ヲ為シ商法第二百七条ニ依ル請求ハ受託会社ニ対シテ之ヲ為ス
第五章 社債原簿
第四十条 会社カ物上担保附社債ヲ発行シタルトキハ社債原簿ニ商法第百七十三条ニ掲ケタルモノノ外左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 第十九条第一項第一号、第七号、第九号及第十号ニ掲ケタル事項
二 第三十四条第二号乃至第四号ニ掲ケタル事項
第四十一条 委託会社ハ社債原簿ノ謄本ヲ作成シテ之ヲ受託会社ニ交付スヘシ
前項ノ謄本ハ委託会社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員之ニ署名シテ原本ト相違ナキコトヲ認証スヘシ
第四十二条 受託会社ハ前条ノ謄本ヲ其ノ本店ニ備置キ社債権者ノ請求アルトキハ営業時間内何時ニテモ之ヲ閲覧セシムヘシ
第四十三条 社債原簿ノ記載ニ変更ヲ生シタルトキハ其ノ都度委託会社ハ取締役又ハ之ヲ代表スル社員ノ署名シタル書面ヲ以テ之ヲ受託会社ニ通知スヘシ
受託会社ハ前項ノ書面ヲ受ケタルトキハ之ヲ社債原簿ノ謄本ニ添附シテ保存スヘシ
第四十四条 受託会社カ委託会社ニ代リテ債券ヲ発行シタルトキハ社債原簿ハ受託会社ニ於テ之ヲ作成シ其ノ本店ニ備置クヘシ
商法第百七十一条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十五条 前条第一項ノ場合ニ於テハ受託会社ニ於テ社債原簿ノ謄本ヲ作成シテ之ヲ委託会社ニ交付スヘシ
第四十一条第二項、第四十二条、第四十三条及商法第百七十一条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十六条 委託会社又ハ受託会社カ社債原簿ヲ作成シタルトキハ其ノ謄本ヲ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ交付スヘシ
第四十一条第二項及第四十三条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十七条 委託会社、受託会社又ハ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者カ社債原簿ノ記載ニ変更ヲ生スヘキ取扱ヲ為シタルトキハ其ノ都度書面ヲ以テ社債原簿ヲ備フル会社ニ之ヲ通知スヘシ
第六章 社債権者集会
第四十八条 受託会社又ハ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ハ必要アルトキハ何時ニテモ社債権者集会ヲ招集スルコトヲ得
第四十九条 委託会社又ハ社債総額ノ十分ノ一ニ当ル社債権者ハ集会ノ目的及其ノ招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ受託会社又ハ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ提出シテ社債権者集会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求ヲ受ケタル者カ其ノ請求アリタル後二週間内ニ集会招集ノ手続ヲ為ササルトキハ其ノ請求ヲ為シタル者ハ主務官庁ノ許可ヲ受ケ其ノ招集ヲ為スコトヲ得
第五十条 第十五条第二項、第八十九条、第九十四条又ハ第九十九条ニ定メタル集会ハ社債総額ノ十分ノ一ニ当ル社債権者ニ於テ自ラ之ヲ招集スルコトヲ得
前項ノ招集ハ信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ受託会社本店ノ所在地ニ於テ之ヲ為スヘシ
第九十四条又ハ第九十九条ニ定メタル集会ハ委託会社モ亦自ラ之ヲ招集スルコトヲ得
第五十一条 商法第百五十六条ノ規定ハ社債権者集会ノ招集ニ之ヲ準用ス
第五十二条 社債権者集会ノ決議ハ信託契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外行使セラレタル議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス但シ第六十四条、第六十七条第一項、第七十五条、第八十五条、第八十六条及第九十七条第一項ニ記載シタル事項ノ決議ハ記名債券ヲ有スル者及第二項ノ規定ニ依リ債券ヲ供託シタル者ノ半数以上ニシテ社債総額ノ半数以上ニ当ル社債権者カ議決権ヲ行使シタル場合ニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
商法第百六十一条第二項乃至第四項ノ規定ハ社債権者集会ノ決議ニ之ヲ準用ス
集会ニ出席セサル社債権者ハ信託契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外書面ヲ以テ議決権ヲ行フコトヲ得
各社債権者ハ社債ノ最低金額毎ニ一箇ノ議決権ヲ有ス但シ社債ノ最低金額ノ十一倍以上ヲ有スル社債権者ノ議決権ハ信託契約ヲ以テ之ヲ制限スルコトヲ得
第五十三条 第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者又ハ其ノ代表者ハ社債権者集会ニ出席シテ発言シ又ハ書面ヲ以テ意見ヲ述フルコトヲ得
第五十四条 受託会社ノ代表者ハ社債権者集会カ第八十九条第二項ニ規定シタル事項ニ付招集セラレタル場合ヲ除クノ外之ニ出席シテ発言シ又ハ書面ヲ以テ意見ヲ述フルコトヲ得
第五十五条 社債権者集会ヲ招集スル者ハ前二条ニ掲ケタル者又ハ其ノ代表者ニ招集ノ通知ヲ発スヘシ
商法第百五十六条第一項及第二項ノ規定ハ前項ノ通知ニ之ヲ準用ス
第五十六条 社債権者集会又ハ之ヲ招集シタル者ニ於テ必要ト認ムルトキハ委託会社ニ通知シテ其ノ代表者ノ出席ヲ求ムルコトヲ得
第五十七条 社債権者集会招集ノ手続又ハ其ノ議決ノ方法カ本法又ハ信託契約ノ条款ニ違反スルトキハ委託会社、受託会社又ハ各社債権者ハ其ノ決議ノ無効ノ宣告ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
前項ノ請求ハ決議ノ日ヨリ一箇月内ニ之ヲ為スヘシ
社債権者カ第一項ノ請求ヲ為ストキハ其ノ債券ヲ供託シ且招集ヲ為シタル者ノ請求ニ因リ相当ノ担保ヲ供スヘシ
第五十八条 社債権者集会ニ於テ決議スヘキ事項ハ本法ニ規定アルモノノ外特ニ信託契約ニ定メタルモノニ限ル
第五十九条 社債権者集会ヲ招集シタル者ハ決議録ヲ作成スヘシ
第六十条 受託会社ハ社債権者集会ノ決議録ノ原本又ハ謄本ヲ本店及支店ニ備置クヘシ
受託会社ハ委託会社又ハ社債権者ノ請求アルトキハ営業時間内何時ニテモ前項ノ決議録ヲ閲覧セシムヘシ
第六十一条 受託会社以外ノ者カ決議録ヲ作成シタルトキハ自ラ其ノ原本ヲ保存シ其ノ謄本ヲ受託会社ニ交付スヘシ
前条第二項ノ規定ハ前項ノ謄本ニ之ヲ準用ス
第六十二条 社債権者集会ノ費用ハ受託会社又ハ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ於テ招集シタル場合ヲ除クノ外集会ヲ招集シタル者ニ於テ之ヲ負担ス
第六十三条 社債権者集会ノ決議ハ受託会社之ヲ執行ス但シ其ノ性質カ受託会社ニ於テ執行スルコトヲ許ササルトキハ集会ニ於テ之ヲ執行スヘキ者ヲ定ム
第六十四条 信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ社債権者集会ニ於テ一人又ハ数人ノ代表者ヲ選任シ其ノ決議スヘキ事項ノ決定ヲ之ニ委任スルコトヲ得
代表者ハ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者又ハ社債総額ノ千分ノ一以上ヲ有スル者ノ中ヨリ之ヲ選任ス
代表者数人アル場合ニ於テ集会ニ於テ別段ノ定ヲ為ササルトキハ代表者ノ権限ニ属スル事項ハ其ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第六十五条 代表者ハ第六十三条但書ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ権限ニ属スル事項ヲ自ラ執行シ又ハ他人ヲシテ執行セシムルコトヲ得
第六十六条 代表者就任シタルトキハ其ノ公告ヲ為シ委託会社、受託会社及第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ之ヲ通知スヘシ
第六十七条 社債権者集会ハ何時ニテモ代表者ヲ解任シ又ハ其ノ権限ヲ変更スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ集会ハ其ノ公告ヲ為シ委託会社及第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ之ヲ通知スヘシ
第七章 信託契約ノ効力
第六十八条 受託会社ハ公平且誠実ニ信託事務ヲ処理スヘシ
第六十九条 受託会社ハ委託会社及社債権者ニ対シテ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ信託事務ヲ処理スル義務ヲ負フ
第七十条 信託契約ニ依ル物上担保ハ信託証書ニ記載シタル総社債ノ為ニ受託会社ニ帰属ス
受託会社ハ総社債権者ノ為ニ担保権ヲ保存シ且実行スルノ義務ヲ負フ
第七十一条 社債権者ハ其ノ債権額ニ応シ平等ニ担保ノ利益ヲ享受ス
第七十二条 信託契約ニ依ル物上担保ハ社債成立以前ニ於テモ其ノ効力ヲ生ス
第七十三条 民法第三百四十八条、第三百七十五条及商法第二百七十七条ノ規定ハ信託契約ニ依ル担保権ニ之ヲ適用セス
第七十四条 受託会社ハ委託会社トノ契約ヲ以テ担保ヲ追加スルコトヲ得
第七十五条 受託会社ハ社債権者集会ノ決議ニ依リ委託会社トノ契約ヲ以テ担保ヲ変更スルコトヲ得
第七十六条 前二条ノ契約ハ信託契約ト同一ノ効力ヲ有ス
第七十七条 第七十四条及第七十五条ノ契約ハ委託会社及受託会社ノ代表者ノ署名シタル書面ヲ以テ之ヲ為シ委託会社及受託会社遅滞ナク各自之ヲ公告スヘシ但シ知レタル社債権者及第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
前項ノ契約証書ニハ第二十条及第二十一条ノ規定ヲ準用ス
第七十八条 信託契約ニ依ル担保権ハ総社債権者ノ為ニノミ之ヲ行使スルコトヲ得
第七十九条 委託会社カ定期ニ社債ノ一部ヲ償還スヘキ場合ニ於テ其ノ償還ヲ遅延シ二箇月ヲ経過シタルトキハ受託会社ハ社債権者集会ノ決議ニ依リ一定ノ期間内ニ支払ヲ為スヘキ旨及其ノ期間内ニ支払ヲ為ササルトキハ社債ノ総額ニ付期限ノ利益ヲ失ハシムル旨ヲ委託会社ニ催告スルコトヲ得
委託会社カ前項ノ期間内ニ支払ヲ為ササルトキハ社債ノ総額ニ付期限ノ利益ヲ失フ
第一項ノ催告ハ書面ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第八十条 前条ニ依リ委託会社カ期限ノ利益ヲ失ヒタルトキハ受託会社ハ遅滞ナク之ヲ公告スヘシ但シ知レタル社債権者及第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
第八十一条 前二条ノ規定ハ委託会社カ社債ノ利息ノ支払ヲ遅延シ三箇月ヲ経過シタル場合ニ之ヲ準用ス
第八十二条 社債カ期限ニ至リ弁済セラレス又ハ委託会社カ社債ノ弁済ヲ完了セスシテ解散シタルトキハ受託会社ハ遅滞ナク社債権者集会ノ決議ニ依リ担保権ヲ実行スヘシ
民法第三百五十四条ノ規定ハ信託契約ニ依ル動産質ニ之ヲ適用セス
第八十三条 受託会社ハ総社債権者ノ為ニ付与セラレタル執行力アル正本ニ基キ担保物ニ付強制執行ヲ為シ又ハ競売法ニ依ル競売ノ申立若ハ委任ヲ為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ債権者ニ対スル異議ハ受託会社ニ対シテ之ヲ主張スルコトヲ得
第八十四条 受託会社ハ信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ社債権者ノ為ニ債権ノ弁済ヲ得ルニ必要ナル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
第八十五条 受託会社ハ社債権者集会ノ決議ニ依リ総社債ニ付支払ヲ猶予シ、不履行ニ因リテ生シタル責任ヲ免除シ又ハ和解ヲ為スコトヲ得
第八十六条 受託会社ハ社債権者集会ノ決議ニ依リ総社債権者ノ為ニ訴訟行為ヲ為シ又ハ破産手続ニ属スル一切ノ行為ヲ為スコトヲ得
第八十七条 受託会社カ第八十二条、第八十五条又ハ前条ニ掲ケタル行為ヲ完了シタルトキハ遅滞ナク之ヲ公告スヘシ但シ知レタル社債権者及第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
第八十八条 受託会社カ社債権者ノ為ニ弁済ヲ得タル金額ハ遅滞ナク債権額ニ応シテ各社債権者ニ交付スヘシ
受託会社カ前項ノ金額ヲ自己ノ為ニ費消シタルトキハ民法第六百四十七条ノ規定ヲ準用ス
社債権者ヲ確知スルコト能ハサルトキ又ハ社債権者カ受領ヲ拒ミ若ハ受領スルコト能ハサルトキハ受託会社ハ其ノ社債権者ノ為ニ前項ノ金額ヲ供託スヘシ
受託会社ハ必要アル場合ニ於テハ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ第一項及第三項ノ行為ヲ委任スルコトヲ得
第八十九条 受託会社カ総社債権者ノ為ニ為スヘキ行為ヲ怠リタルトキハ主務官庁ハ社債権者集会ノ申請ニ因リ特別代理人ヲ選任シテ之ヲ為サシムルコトヲ得
社債権者ト受託会社トノ利益相反スル場合ニ於テ総社債権者ノ為ニ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス必要アルトキ亦前項ニ同シ
第九十条 本法ニ依リ総社債権者ニ代リテ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス場合ニ於テハ各別ニ社債権者ヲ表示スルコトヲ要セス
第九十一条 受託会社ハ委託会社ニ対シ信託事務ノ処理ニ付相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
信託契約ニ別段ノ定ナキトキハ民法第六百四十八条第二項及第三項ノ規定ハ信託契約ニ之ヲ準用ス
第九十二条 委託会社ハ受託会社カ信託事務ヲ処理スルニ付正当ニ支出シタル一切ノ費用及支出ノ日以後ニ於ケル其ノ利息ヲ償還シ及過失ナクシテ受ケタル一切ノ損害ヲ賠償スル義務ヲ負フ
受託会社ハ信託事務ヲ処理スルニ付要スル費用ノ前払ヲ委託会社ニ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニ関シ之ヲ準用ス
第九十三条 信託契約ニ依ル物上担保ハ前条第一項ノ規定ニ依リ受託会社ニ生スヘキ債権ノ為ニモ其ノ効力ヲ有ス
受託会社ハ前項ノ債権ニ付社債権者ニ優先シテ担保物ヨリ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
第九十四条 受託会社カ故意若ハ過失ニ因リ物上担保ヲ消滅セシメ又ハ其ノ価格ヲ減少セシメタルトキハ主務官庁ハ委託会社又ハ社債権者集会ノ申請ニ因リ受託会社ヲシテ相当ノ金額ヲ供託セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ委託会社カ供託金ノ上ニ質権ヲ設定シタルモノト看做ス
前項ノ質権ハ信託契約ニ依ル物上担保ト看做ス
第九十五条 委託会社、第六十四条第一項ニ依リ選任セラレタル代表者又ハ社債総額ノ十分ノ一以上ニ当ル社債権者ハ何時ニテモ受託会社ニ於ケル担保物保管ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
無記名式ノ債券ヲ有スル者ハ其ノ債券ヲ受託会社ニ供託スルニ非サレハ前項ノ検査ヲ為スコトヲ得ス
第九十六条 民法第二百九十八条第三項ノ規定ハ信託契約ニ依ル質権ニ之ヲ準用セス
第八章 信託事務ノ承継及終了
第九十七条 受託会社ハ信託契約ノ定ムル所ニ依リ又ハ委託会社及社債権者集会ノ同意アルトキハ信託事務ヲ承継スヘキ会社ヲ定メテ辞任スルコトヲ得
信託事務ヲ承継スヘキ会社カ外国会社ナルトキハ第十七条第一項ノ規定ヲ準用ス
第九十八条 受託会社ハ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ主務官庁ノ許可ヲ受ケ辞任スルコトヲ得
第九十九条 受託会社カ其ノ義務ニ違反シ又ハ信託事務ヲ処理スルニ不適任ナルトキ其ノ他正当ノ事由アルトキハ主務官庁ハ委託会社又ハ社債権者集会ノ申請ニ因リ受託会社ヲ解任スルコトヲ得
第百条 前二条ノ規定ニ依リ受託会社カ辞任シ若ハ解任セラレタルトキ又ハ免許ヲ取消サレ若ハ解散シタルトキハ主務官庁ハ更ニ受託会社ヲ選任シテ信託事務ヲ承継セシムヘシ
第百一条 第九十七条ニ依ル信託事務ノ承継ハ委託会社、前受託会社及新受託会社ノ代表者ノ署名シタル契約書ヲ作成スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス
前項ノ契約ヲ締結シタルトキハ各会社ハ遅滞ナク書面ヲ以テ之ヲ主務官庁ニ届出ヘシ
前条ニ依ル承継ハ新受託会社ニ対スル主務官庁ノ命令書ヲ交付スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス
第百二条 信託事務ノ承継ハ第九十七条ニ依ル場合ニ於テハ委託会社、前受託会社及新受託会社、第百条ニ依ル場合ニ於テハ委託会社及新受託会社遅滞ナク各自之ヲ公告スヘシ但シ知レタル社債権者及第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者ニハ各別ニ之ヲ通知スヘシ
第百三条 第九十七条ニ依リ定メラレ又ハ第百条ニ依リ選任セラレタル新受託会社ハ前受託会社ノ締約シタル条款ニ従ヒ信託事務ヲ処理スヘシ
社債権者又ハ委託会社ノ為ニ前受託会社ニ帰属シタル権利義務ハ前受託会社ノ辞任、解任、免許ノ取消又ハ解散ノ時ニ遡リテ新受託会社ニ移転ス但シ前受託会社ノ契約違反又ハ不法行為ニ因リテ生シタル責任ハ此ノ限ニ在ラス
第百四条 前受託会社ノ不法処分ニ因リ質物ノ占有ヲ得タル者カ悪意ナリシトキハ新受託会社カ其ノ者ノ為ニ占有ヲ奪ハレタルモノト看做ス
第百五条 前受託会社ノ取締役、之ヲ代表スル社員、清算人又ハ破産管財人ハ遅滞ナク其ノ委託会社又ハ社債権者ノ為ニ保管スル物及信託事務ニ関スル書類ヲ新受託会社ニ移付シ其ノ他信託事務ヲ新受託会社ニ引継ク為必要ナル一切ノ行為ヲ為スヘシ
前項ニ掲ケタル引継ヲ完了シタルトキハ各会社ハ共同シテ書面ヲ以テ之ヲ主務官庁ニ届出ヘシ
前項ノ届書ニハ移付シタル物ノ目録ヲ添附スヘシ
第百六条 承継ニ関スル事務ハ主務官庁ノ監督ニ属ス
第十六条第二項ノ規定ハ前項ノ監督ニ之ヲ準用ス
第百七条 受託会社カ信託事務ヲ終了シタルトキハ総計算書ヲ作成シテ之ヲ公告スヘシ
第九章 罰則
第百八条 第五条ノ規定ニ違反シテ担保附社債ニ関スル信託事業ヲ営ム者ハ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス
第百九条 左ノ場合ニ於テハ会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、清算人、破産管財人、第八十九条ノ特別代理人又ハ外国会社ノ代表者ヲ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス
一 第六条ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第八条ノ規定ニ違反シタルトキ
三 本法ニ依ル主務官庁ノ命令ニ違反シタルトキ
四 本法ニ依ル主務官庁ノ検査ヲ妨ケタルトキ
五 第十七条第一項又ハ第九十七条第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
六 本法ニ依リ債券ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
七 委託会社ニ於テ債券ヲ発行シタル場合ニ於テ第三十六条ニ定メタル手続ヲ履行セスシテ之ヲ交付シタルトキ
八 第七十条第二項ニ依ル担保権ノ保存又ハ実行ヲ怠リタルトキ
九 第八十八条第一項又ハ同条第三項ノ規定ニ違反シタルトキ
十 第九十五条第一項ニ依ル検査ヲ妨ケタルトキ
十一 第百五条第一項ニ定メタル事務ノ引継ヲ怠リタルトキ
十二 社債権者集会ノ決議ニ依ルヘキ場合ニ於テ之ニ依ラス又ハ之ニ違反シタルトキ
十三 社債権者集会又ハ其ノ代表者ニ対シテ不実ノ報告ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
第百十条 左ノ場合ニ於テハ会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、清算人、破算管財人、第二十九条第一項ニ依リ社債ノ総額ヲ引受ケタル者、第六十四条ノ代表者、第八十九条ノ特別代理人又ハ外国会社ノ代表者ヲ五円以上五百円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ定メタル届出、公告若ハ通知ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公告若ハ通知ヲ為シタルトキ
二 本法ニ依リ交付スヘキ書類ヲ交付セス又ハ之ニ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
三 本法ニ依リ閲覧ヲ許スヘキ書類ヲ正当ノ理由ナクシテ閲覧セシメサリシトキ
四 本法ニ依リ備置クヘキ書類ヲ備置カス、之ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
第百十一条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ本章ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第百十二条 本法ニ依リ署名スヘキ場合ニ於テハ記名捺印ヲ以テ署名ニ代フルコトヲ得
第百十三条 担保附社債ニ関スル信託事業ヲ営ム合名会社及合資会社ノ設立登記ヲ申請スル場合ニ於テハ申請書ニ非訟事件手続法第百七十九条第二項ニ掲ケタル書面ノ外主務官庁ノ免許書又ハ其ノ認証アル謄本ヲ添附スヘシ
既設ノ会社カ担保附社債ニ関スル信託事業ヲ営ム免許ヲ受ケタルニ因リ其ノ登記ヲ申請スルトキ亦前項ニ同シ
第百十四条 信託会社ノ登記スヘキ事項ニシテ主務官庁ノ免許ヲ要スルモノニ付テハ免許書ノ到達ノ日ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第百十五条 主務官庁カ第十一条又ハ第十二条ノ規定ニ依リ事業ノ停止ヲ命シ又ハ免許ヲ取消シタルトキハ登記所ハ主務官庁ノ嘱託ニ因リテ其ノ登記ヲ為スヘシ
第百十六条 本法ニ依ル社債ノ登記ノ申請書ニハ非訟事件手続法第百九十一条ニ掲ケタル書面ノ外信託証書ヲ添附スヘシ
第百十七条 本法ニ依ル社債ノ登記事項ニ変更ヲ生シタルトキハ委託会社ノ取締役又ハ之ヲ代表スル社員ハ遅滞ナク其ノ登記ヲ申請スヘシ
前項ノ登記ノ申請書ニハ其ノ変更ヲ証スル書類ヲ添附スヘシ
第百十八条 信託契約ニ依ル担保権設定ノ登記ニ付テハ受託会社ヲ登記権利者トス
第百十九条 信託契約ニ依ル担保権設定ノ登記ヲ申請スル場合ニ於テハ不動産登記法第百十六条又ハ第百十七条ニ依ル債権額ノ記載ハ社債ノ総額ヲ表示スルヲ以テ足ル
第百二十条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム