朝鮮総督府官制
法令番号: 勅令第三百五十四號
公布年月日: 明治43年9月30日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ朝鮮總督府官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年九月二十九日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
陸軍大臣 子爵 寺內正毅
海軍大臣 男爵 齋藤實
勅令第三百五十四號
朝鮮總督府官制
第一條 朝鮮總督府ニ朝鮮總督ヲ置ク
總督ハ朝鮮ヲ管轄ス
第二條 總督ハ親任トス陸海軍大將ヲ以テ之ニ充ツ
第三條 總督ハ天皇ニ直隸シ委任ノ範圍內ニ於テ陸海軍ヲ統率シ及朝鮮防備ノ事ヲ掌ル
總督ハ諸般ノ政務ヲ統轄シ內閣總理大臣ヲ經テ上奏ヲ爲シ及裁可ヲ受ク
第四條 總督ハ其ノ職權又ハ特別ノ委任ニ依リ朝鮮總督府令ヲ發シ之ニ一年以下ノ懲役若ハ禁錮、拘留、二百圓以下ノ罰金又ハ科料ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第五條 總督ハ所轄官廳ノ命令又ハ處分ニシテ制規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第六條 總督ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任文官ノ進退ハ內閣總理大臣ヲ經テ之ヲ上奏シ判任文官以下ノ進退ハ之ヲ專行ス
第七條 總督ハ內閣總理大臣ヲ經テ所部文官ノ敍位敍勳ヲ上奏ス
第八條 總督府ニ政務總監ヲ置ク
政務總監ハ親任トス
政務總監ハ總督ヲ輔佐シ府務ヲ統理シ各部局ノ事務ヲ監督ス
第九條 總督府ニ官房及左ノ五部ヲ置ク
總務部
內務部
度支部
農商工部
司法部
第十條 總務部ニ人事局、外事局、會計局、內務部ニ地方局、學務局、度支部ニ司稅局、司計局、農商工部ニ殖產局、商工局ヲ置ク
官房、各部及各局ノ事務ノ分掌ハ總督之ヲ定ム
第十一條 總督府ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 五人 勅任
局長 九人 勅任又ハ奏任
參事官 專任二人 奏任內一人ヲ勅任ト爲スコトヲ得
祕書官 專任二人 奏任
書記官 專任十九人 奏任
事務官 專任十九人 奏任
技師 專任三十人 奏任內二人ヲ勅任ト爲スコトヲ得
通譯官 專任六人 奏任
技手
通譯生
專任三百三十七人 判任
第十二條 長官ハ各部ノ長ト爲リ總督及政務總監ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十三條 局長ハ上官ノ命ヲ承ケ局務ヲ掌理ス
第十四條 參事官ハ上官ノ命ヲ承ケ審議立案ヲ掌リ又ハ各部局ノ事務ヲ助ク
第十五條 祕書官ハ總督ノ命ヲ承ケ機密ニ關スル事務ヲ掌ル
第十六條 書記官ハ上官ノ命ヲ承ケ府務ヲ掌ル
第十七條 事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ府務ヲ助ク
第十八條 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十九條 通譯官ハ上官ノ命ヲ承ケ通譯ヲ掌ル
第二十條 屬、技手及通譯生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、技術及通譯ニ從事ス
第二十一條 總督府ニ總督附武官二人及專屬副官一人ヲ置ク
總督附武官ハ陸海軍少將又ハ佐官ヲ以テ之ニ補ス
總督附武官ハ參謀トス
副官ハ陸海軍佐尉官ヲ以テ之ニ補ス
總督附武官及副官ハ總督ノ命ヲ承ケ事務ニ服ス
附 則
本令ハ明治四十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
明治四十三年勅令第三百十九號ハ其ノ官立學校ニ關スルモノヲ除クノ外之ヲ廢止ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ朝鮮総督府官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年九月二十九日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
陸軍大臣 子爵 寺内正毅
海軍大臣 男爵 斎藤実
勅令第三百五十四号
朝鮮総督府官制
第一条 朝鮮総督府ニ朝鮮総督ヲ置ク
総督ハ朝鮮ヲ管轄ス
第二条 総督ハ親任トス陸海軍大将ヲ以テ之ニ充ツ
第三条 総督ハ天皇ニ直隷シ委任ノ範囲内ニ於テ陸海軍ヲ統率シ及朝鮮防備ノ事ヲ掌ル
総督ハ諸般ノ政務ヲ統轄シ内閣総理大臣ヲ経テ上奏ヲ為シ及裁可ヲ受ク
第四条 総督ハ其ノ職権又ハ特別ノ委任ニ依リ朝鮮総督府令ヲ発シ之ニ一年以下ノ懲役若ハ禁錮、拘留、二百円以下ノ罰金又ハ科料ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第五条 総督ハ所轄官庁ノ命令又ハ処分ニシテ制規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ処分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第六条 総督ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任文官ノ進退ハ内閣総理大臣ヲ経テ之ヲ上奏シ判任文官以下ノ進退ハ之ヲ専行ス
第七条 総督ハ内閣総理大臣ヲ経テ所部文官ノ叙位叙勲ヲ上奏ス
第八条 総督府ニ政務総監ヲ置ク
政務総監ハ親任トス
政務総監ハ総督ヲ輔佐シ府務ヲ統理シ各部局ノ事務ヲ監督ス
第九条 総督府ニ官房及左ノ五部ヲ置ク
総務部
内務部
度支部
農商工部
司法部
第十条 総務部ニ人事局、外事局、会計局、内務部ニ地方局、学務局、度支部ニ司税局、司計局、農商工部ニ殖産局、商工局ヲ置ク
官房、各部及各局ノ事務ノ分掌ハ総督之ヲ定ム
第十一条 総督府ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 五人 勅任
局長 九人 勅任又ハ奏任
参事官 専任二人 奏任内一人ヲ勅任ト為スコトヲ得
秘書官 専任二人 奏任
書記官 専任十九人 奏任
事務官 専任十九人 奏任
技師 専任三十人 奏任内二人ヲ勅任ト為スコトヲ得
通訳官 専任六人 奏任
技手
通訳生
専任三百三十七人 判任
第十二条 長官ハ各部ノ長ト為リ総督及政務総監ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十三条 局長ハ上官ノ命ヲ承ケ局務ヲ掌理ス
第十四条 参事官ハ上官ノ命ヲ承ケ審議立案ヲ掌リ又ハ各部局ノ事務ヲ助ク
第十五条 秘書官ハ総督ノ命ヲ承ケ機密ニ関スル事務ヲ掌ル
第十六条 書記官ハ上官ノ命ヲ承ケ府務ヲ掌ル
第十七条 事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ府務ヲ助ク
第十八条 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十九条 通訳官ハ上官ノ命ヲ承ケ通訳ヲ掌ル
第二十条 属、技手及通訳生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、技術及通訳ニ従事ス
第二十一条 総督府ニ総督附武官二人及専属副官一人ヲ置ク
総督附武官ハ陸海軍少将又ハ佐官ヲ以テ之ニ補ス
総督附武官ハ参謀トス
副官ハ陸海軍佐尉官ヲ以テ之ニ補ス
総督附武官及副官ハ総督ノ命ヲ承ケ事務ニ服ス
附 則
本令ハ明治四十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
明治四十三年勅令第三百十九号ハ其ノ官立学校ニ関スルモノヲ除クノ外之ヲ廃止ス