精神薄弱者福祉法
法令番号: 法律第三十七号
公布年月日: 昭和35年3月31日
法令の形式: 法律
精神薄弱者福祉法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年三月三十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第三十七号
精神薄弱者福祉法
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
精神薄弱者福祉審議会(第四条―第八条)
第三章
援護の機関及び福祉の措置(第九条―第十七条)
第四章
精神薄弱者援護施設(第十八条―第二十一条)
第五章
費用(第二十二条―第二十七条)
第六章
雑則(第二十八条・第二十九条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、精神薄弱者に対し、その更生を援助するとともに必要な保護を行ない、もつて精神薄弱者の福祉を図ることを目的とする。
(国及び地方公共団体の責務)
第二条 国及び地方公共団体は、精神薄弱者の福祉について国民の理解を深めるとともに、精神薄弱者に対する更生の援助と必要な保護の実施につとめなければならない。
(関係職員の協力義務)
第三条 この法律及び児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)による福祉の措置の実施並びにその監督に当たる国及び地方公共団体の職員は、精神薄弱者に対する福祉の措置が児童から成人まで関連性をもつて行なわれるように相互に協力しなければならない。
第二章 精神薄弱者福祉審議会
(設置及び権限)
第四条 厚生大臣の諮問に応じ、精神薄弱者の福祉に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省に、附属機関として精神薄弱者福祉審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、精神薄弱者の福祉に関する重要事項について、関係行政機関に意見を具申することができる。
3 審議会は、精神薄弱者の福祉を図るため、芸能、出版物等を推薦し、又はそれらを製作し、興行し、若しくは販売する者等に対し、必要な勧告をすることができる。
(組織)
第五条 審議会は、委員三十人以内で組織する。
2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
(委員及び臨時委員)
第六条 審議会の委員及び臨時委員は、次の各号に掲げる者のうちから、厚生大臣が任命する。
一 学識経験のある者
二 精神薄弱者の福祉に関する事業に従事する者
三 関係行政機関の職員
2 学識経験のある者又は精神薄弱者の福祉に関する事業に従事する者のうちから任命された委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員及び臨時委員は、非常勤とする。
(会長及び副会長)
第七条 審議会に、委員の互選による会長及び副会長各一人を置く。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、副会長がその職務を代理する。
(政令への委任)
第八条 この法律で定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
第三章 援護の機関及び福祉の措置
(援護の実施機関)
第九条 この法律に定める精神薄弱者に対する援護は、居住地を有する精神薄弱者については、その居住地を管轄する福祉事務所(社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)を管理する都道府県知事又は市町村長が、居住地を有しないか、又は明らかでない精神薄弱者については、その現在地の都道府県知事が行なうものとする。
(精神薄弱者福祉司)
第十条 都道府県は、精神薄弱者福祉司を置かなければならない。
2 市及び福祉事務所を設置する町村は、精神薄弱者福祉司を置くことができる。
3 精神薄弱者福祉司は、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の命を受けて、精神薄弱者の福祉に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 福祉事務所の所員に対し、技術的指導を行なうこと。
二 第十三条第一項第二号に規定する業務のうち、専門的技術を必要とするものを行なうこと。
4 精神薄弱者福祉司が置かれていない福祉事務所の長は、十八歳以上の精神薄弱者に係る前項第二号の業務については、他に置かれている精神薄弱者福祉司の技術的援助及び助言を求めなければならない。
5 精神薄弱者福祉司は、前項の規定により福祉事務所長から技術的援助及び助言を求められたときは、これに協力しなければならない。
第十一条 精神薄弱者福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、次の各号の一に該当する者のうちから、任用しなければならない。
一 社会福祉事業法に定める社会福祉主事たる資格を有する者であつて、精神薄弱者の福祉に関する事業に二年以上従事した経験を有するもの
二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学において、厚生大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
三 医師
四 精神薄弱者の福祉に関する事業に従事する職員を養成する学校その他の施設で厚生大臣の指定するものを卒業した者
五 前各号に準ずる者であつて、精神薄弱者福祉司として必要な学識経験を有するもの
(精神薄弱者更生相談所)
第十二条 都道府県は、精神薄弱者厚生相談所を設けなければならない。
2 精神薄弱者更生相談所は、精神薄弱者の福祉に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 精神薄弱者に関する問題につき、家庭その他からの相談に応ずること。
二 十八歳以上の精神薄弱者の医学的、心理学的及び職能的判定を行ない、並びにこれに付随して必要な指導を行なうこと。
3 精神薄弱者更生相談所は、必要に応じ、巡回して、前項の業務を行なうことができる。
(福祉事務所)
第十三条 福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 精神薄弱者の福祉に関し、必要な実情の把握につとめること。
二 精神薄弱者の福祉に関する相談に応じ、必要な調査及び指導を行なうこと並びにこれらに付随する業務を行なうこと。
2 福祉事務所長は、十八歳以上の精神薄弱者につき前項第二号の業務を行なうに当たつて、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、精神薄弱者更生相談所の判定を求めなければならない。
(協力機関)
第十四条 福祉事務所を設置しない町村(特別区を含む。)の長は、当該町村の区域内に居住地を有する精神薄弱者の援護について、都道府県知事又は福祉事務所長の行なう事務に協力しなければならない。
(民生委員の協力)
第十五条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長、精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
(福祉の措置)
第十六条 援護の実施機関は、十八歳以上の精神薄弱者につき、その福祉を図るため、必要に応じて次の措置をとらなければならない。
一 精神薄弱者又はその保護者(配偶者、親権を行なう者、後見人その他の者で、精神薄弱者を現に監護するものをいう。)を精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事に指導させること。
二 精神薄弱者を当該地方公共団体の設置する精神薄弱者援護施設に入所させ、又は他の地方公共団体の設置する精神薄弱者援護施設に紹介すること。
三 精神薄弱者の援護を職親(精神薄弱者を自己のもとに預かり、その更生に必要な指導訓練を行なうことを希望する者であつて、援護の実施機関が適当と認めるものをいう。)に委託すること。
2 援護の実施機関は、次の各号の一に該当する場合においては、前項第二号の措置に代えて、社会福祉法人の設置する精神薄弱者援護施設に精神薄弱者の援護を委託することができる。
一 前項第二号の措置をとることができないか、又は相当でないとき。
二 当該施設に援護を委託することが、前項第二号の措置をとるよりも、当該精神薄弱者の福祉のために効果的であると認められるとき。
3 援護の実施機関は、第一項第二号若しくは第三号又は前項の措置をとるに当たつて、医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、あらかじめ、精神薄弱者更生相談所の判定を求めなければならない。
4 第一項第二号又は第二項の措置については、援護の実施機関は、厚生大臣が審議会の意見を聞いて定める基準に適合する精神薄弱者援護施設に精神薄弱者を入所させ、若しくは紹介し、又はその援護を委託しなければならない。
(福祉事務所長への委任)
第十七条 援護の実施機関は、前条第一項及び第二項の措置をとる権限の全部又は一部をその管理する福祉事務所長に委任することができる。
第四章 精神薄弱者援護施設
(精神薄弱者援護施設)
第十八条 精神薄弱者援護施設は、十八歳以上の精神薄弱者を入所させて、これを保護するとともに、その更生に必要な指導訓練を行なう施設とする。
(施設の設置)
第十九条 都道府県は、精神薄弱者援護施設を設置することができる。
2 市町村、社会福祉法人その他の者は、社会福祉事業法の定めるところにより、精神薄弱者援護施設を設置することができる。
(紹介による入所)
第二十条 地方公共団体の設置する精神薄弱者援護施設は、援護の実施機関から第十六条第一項第二号の規定による紹介を受けたときは、正当な理由がなければ、その精神薄弱者を入所させなければならない。
(運営の基準)
第二十一条 厚生大臣は、審議会の意見を聞き、精神薄弱者援護施設が第十六条第一項第二号の規定による入所の措置により、若しくは同号の規定による紹介を受けて精神薄弱者を入所させ、又は同条第二項の規定により精神薄弱者の援護の委託を受けた場合におけるその運営について必要な基準を定めなければならない。
第五章 費用
(市町村の支弁)
第二十二条 次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。
一 第十条第二項の規定により市町村が設置する精神薄弱者福祉司に要する費用
二 第十六条の規定により市町村長が行なう行政措置に要する費用(第四号に掲げる費用を除く。)
三 市町村が設置する精神薄弱者援護施設の設置に要する費用
四 市町村が設置する精神薄弱者援護施設の運営に要する費用
(都道府県の支弁)
第二十三条 次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。
一 第十条第一項の規定により都道府県が設置する精神薄弱者福祉司に要する費用
二 第十二条第一項の規定により都道府県が設置する精神薄弱者更生相談所に要する費用
三 第十六条の規定により都道府県知事が行なう行政措置に要する費用(第五号に掲げる費用を除く。)
四 都道府県が設置する精神薄弱者援護施設の設置に要する費用
五 都道府県が設置する精神薄弱者援護施設の運営に要する費用
(繰替え支弁)
第二十四条 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、その長の管理に属する福祉事務所の管轄区域内にある精神薄弱者援護施設で厚生大臣の指定するものに対し他の都道府県知事又は市町村長が第十六条第二項の規定により精神薄弱者の援護を委託した場合においては、その委託に要する費用について一時繰替え支弁をしなければならない。
(都道府県の負担)
第二十五条 都道府県は、第二十二条第三号の規定により市町村が支弁した費用については、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。
(国の負担)
第二十六条 国は、政令の定めるところにより、第二十二条又は第二十三条の規定により市町村又は都道府県が支弁した費用について、次に掲げるものを負担する。
一 第二十二条第二号の費用のうち、第十六条第二項の規定による行政措置に要する費用については、その十分の八
二 第二十二条第四号の費用については、その十分の八
三 第二十三条第二号の費用のうち、精神薄弱者更生相談所で行なう相談、判定及び指導に要する費用については、その十分の八
四 第二十三条第三号の費用のうち、第十六条第二項の規定による行政措置に要する費用については、その十分の八
五 第二十三条第四号の費用については、その十分の五
六 第二十三条第五号の費用については、その十分の八
2 国は、前条の規定により都道府県が負担した費用の三分の二を負担する。
(費用の徴収)
第二十七条 精神薄弱者援護施設を設置する都道府県又は市町村の長は、当該施設に入所中の精神薄弱者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)から、その負担能力に応じて、入所中に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。
2 第十六条第二項の規定による行政措置に要する費用を支弁すべき都道府県又は市町村の長は、当該行政措置により社会福祉法人の設置する精神薄弱者援護施設に入所中の精神薄弱者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じて、入所中に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。
第六章 雑則
(町村の一部事務組合)
第二十八条 町村が一部事務組合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その組合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その組合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。
(援護の実施機関が変更した場合の経過規定)
第二十九条 町村の福祉事務所の設置又は廃止により援護の実施機関に変更があつた場合においては、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により、変更前の援護の実施機関がした処分その他の行為は、変更後の援護の実施機関がした処分その他の行為とみなす。ただし、変更前に行なわれ、又は行なわれるべきであつた援護に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。
(社会福祉事業法附則第七項に関する特例)
2 社会福祉事業法附則第七項の規定に基づき置かれた組織の長は、この法律の適用については、福祉事務所長とみなす。
(児童福祉法の一部改正)
3 児童福祉法の一部を次のように改正する。
第二十五条の二第二号中「社会福祉主事」を「精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事」に改める。
第二十七条第一項第二号中「社会福祉主事」を「精神薄弱者福祉司、社会福祉主事」に改める。
(地方財政法の一部改正)
4 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条第七号の三の次に次の一号を加える。
七の四 精神薄弱者の援護に要する経費
(民生委員法の一部改正)
5 民生委員法の一部を次のように改正する。
第二十五条を次のように改める。
第二十五条 民生委員協議会を組織する民生委員は、その互選により総務一人を定めなければならない。
2 総務は、民生委員協議会の会務をとりまとめ、民生委員協議会を代表する。
3 前二項に定めるもののほか、総務の任期その他総務に関し必要な事項は、政令で定める。
(厚生省設置法の一部改正)
6 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第五十二号の四の次に次の一号を加える。
五十二の五 精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)の定めるところにより、精神薄弱者援護施設の基準を定めること。
第十二条第七号の二の次に次の一号を加える。
七の三 精神薄弱者福祉法を施行すること。
第二十九条第一項の表中
中央身体障害者福祉審議会
厚生大臣の諮問に応じて、身体障害者の福祉に関する事項を審議すること。
中央身体障害者福祉審議会
厚生大臣の諮問に応じて、身体障害者の福祉に関する事項を調査審議すること。
精神薄弱者福祉審議会
厚生大臣の諮問に応じて、精神薄弱者の福祉に関する事項を調査審議すること。
に改める。
(社会福祉事業法の一部改正)
7 社会福祉事業法の一部を次のように改正する。
第一条中「身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)」の下に「、精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)」を加える。
第二条第二項中第六号を削り、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 精神薄弱者福祉法にいう精神薄弱者援護施設を経営する事業
第二条第三項第三号の次に次の一号を加える。
三の二 精神薄弱者の更生相談に応ずる事業
第十三条第六項、第十七条第三項、第十九条及び第二十条中「及び身体障害者福祉法」を「、身体障害者福祉法及び精神薄弱者福祉法」に改める。
(入場税法の一部改正)
8 入場税法(昭和二十九年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
別表の主催者の欄中第十二号を第十三号とし、第十一号の次に次の一号を加える。
一二 精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)による精神薄弱者援護施設(この表において「精神薄弱者援護施設」という。)を設置する者
別表の支出先又は支出の目的の欄中「身体障害者更生援護施設」の下に「、精神薄弱者援護施設」を加える。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 佐藤榮作
厚生大臣 渡邊良夫
精神薄弱者福祉法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年三月三十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第三十七号
精神薄弱者福祉法
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
精神薄弱者福祉審議会(第四条―第八条)
第三章
援護の機関及び福祉の措置(第九条―第十七条)
第四章
精神薄弱者援護施設(第十八条―第二十一条)
第五章
費用(第二十二条―第二十七条)
第六章
雑則(第二十八条・第二十九条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、精神薄弱者に対し、その更生を援助するとともに必要な保護を行ない、もつて精神薄弱者の福祉を図ることを目的とする。
(国及び地方公共団体の責務)
第二条 国及び地方公共団体は、精神薄弱者の福祉について国民の理解を深めるとともに、精神薄弱者に対する更生の援助と必要な保護の実施につとめなければならない。
(関係職員の協力義務)
第三条 この法律及び児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)による福祉の措置の実施並びにその監督に当たる国及び地方公共団体の職員は、精神薄弱者に対する福祉の措置が児童から成人まで関連性をもつて行なわれるように相互に協力しなければならない。
第二章 精神薄弱者福祉審議会
(設置及び権限)
第四条 厚生大臣の諮問に応じ、精神薄弱者の福祉に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省に、附属機関として精神薄弱者福祉審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、精神薄弱者の福祉に関する重要事項について、関係行政機関に意見を具申することができる。
3 審議会は、精神薄弱者の福祉を図るため、芸能、出版物等を推薦し、又はそれらを製作し、興行し、若しくは販売する者等に対し、必要な勧告をすることができる。
(組織)
第五条 審議会は、委員三十人以内で組織する。
2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
(委員及び臨時委員)
第六条 審議会の委員及び臨時委員は、次の各号に掲げる者のうちから、厚生大臣が任命する。
一 学識経験のある者
二 精神薄弱者の福祉に関する事業に従事する者
三 関係行政機関の職員
2 学識経験のある者又は精神薄弱者の福祉に関する事業に従事する者のうちから任命された委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員及び臨時委員は、非常勤とする。
(会長及び副会長)
第七条 審議会に、委員の互選による会長及び副会長各一人を置く。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、副会長がその職務を代理する。
(政令への委任)
第八条 この法律で定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
第三章 援護の機関及び福祉の措置
(援護の実施機関)
第九条 この法律に定める精神薄弱者に対する援護は、居住地を有する精神薄弱者については、その居住地を管轄する福祉事務所(社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)を管理する都道府県知事又は市町村長が、居住地を有しないか、又は明らかでない精神薄弱者については、その現在地の都道府県知事が行なうものとする。
(精神薄弱者福祉司)
第十条 都道府県は、精神薄弱者福祉司を置かなければならない。
2 市及び福祉事務所を設置する町村は、精神薄弱者福祉司を置くことができる。
3 精神薄弱者福祉司は、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の命を受けて、精神薄弱者の福祉に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 福祉事務所の所員に対し、技術的指導を行なうこと。
二 第十三条第一項第二号に規定する業務のうち、専門的技術を必要とするものを行なうこと。
4 精神薄弱者福祉司が置かれていない福祉事務所の長は、十八歳以上の精神薄弱者に係る前項第二号の業務については、他に置かれている精神薄弱者福祉司の技術的援助及び助言を求めなければならない。
5 精神薄弱者福祉司は、前項の規定により福祉事務所長から技術的援助及び助言を求められたときは、これに協力しなければならない。
第十一条 精神薄弱者福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、次の各号の一に該当する者のうちから、任用しなければならない。
一 社会福祉事業法に定める社会福祉主事たる資格を有する者であつて、精神薄弱者の福祉に関する事業に二年以上従事した経験を有するもの
二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学において、厚生大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
三 医師
四 精神薄弱者の福祉に関する事業に従事する職員を養成する学校その他の施設で厚生大臣の指定するものを卒業した者
五 前各号に準ずる者であつて、精神薄弱者福祉司として必要な学識経験を有するもの
(精神薄弱者更生相談所)
第十二条 都道府県は、精神薄弱者厚生相談所を設けなければならない。
2 精神薄弱者更生相談所は、精神薄弱者の福祉に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 精神薄弱者に関する問題につき、家庭その他からの相談に応ずること。
二 十八歳以上の精神薄弱者の医学的、心理学的及び職能的判定を行ない、並びにこれに付随して必要な指導を行なうこと。
3 精神薄弱者更生相談所は、必要に応じ、巡回して、前項の業務を行なうことができる。
(福祉事務所)
第十三条 福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 精神薄弱者の福祉に関し、必要な実情の把握につとめること。
二 精神薄弱者の福祉に関する相談に応じ、必要な調査及び指導を行なうこと並びにこれらに付随する業務を行なうこと。
2 福祉事務所長は、十八歳以上の精神薄弱者につき前項第二号の業務を行なうに当たつて、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、精神薄弱者更生相談所の判定を求めなければならない。
(協力機関)
第十四条 福祉事務所を設置しない町村(特別区を含む。)の長は、当該町村の区域内に居住地を有する精神薄弱者の援護について、都道府県知事又は福祉事務所長の行なう事務に協力しなければならない。
(民生委員の協力)
第十五条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長、精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
(福祉の措置)
第十六条 援護の実施機関は、十八歳以上の精神薄弱者につき、その福祉を図るため、必要に応じて次の措置をとらなければならない。
一 精神薄弱者又はその保護者(配偶者、親権を行なう者、後見人その他の者で、精神薄弱者を現に監護するものをいう。)を精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事に指導させること。
二 精神薄弱者を当該地方公共団体の設置する精神薄弱者援護施設に入所させ、又は他の地方公共団体の設置する精神薄弱者援護施設に紹介すること。
三 精神薄弱者の援護を職親(精神薄弱者を自己のもとに預かり、その更生に必要な指導訓練を行なうことを希望する者であつて、援護の実施機関が適当と認めるものをいう。)に委託すること。
2 援護の実施機関は、次の各号の一に該当する場合においては、前項第二号の措置に代えて、社会福祉法人の設置する精神薄弱者援護施設に精神薄弱者の援護を委託することができる。
一 前項第二号の措置をとることができないか、又は相当でないとき。
二 当該施設に援護を委託することが、前項第二号の措置をとるよりも、当該精神薄弱者の福祉のために効果的であると認められるとき。
3 援護の実施機関は、第一項第二号若しくは第三号又は前項の措置をとるに当たつて、医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、あらかじめ、精神薄弱者更生相談所の判定を求めなければならない。
4 第一項第二号又は第二項の措置については、援護の実施機関は、厚生大臣が審議会の意見を聞いて定める基準に適合する精神薄弱者援護施設に精神薄弱者を入所させ、若しくは紹介し、又はその援護を委託しなければならない。
(福祉事務所長への委任)
第十七条 援護の実施機関は、前条第一項及び第二項の措置をとる権限の全部又は一部をその管理する福祉事務所長に委任することができる。
第四章 精神薄弱者援護施設
(精神薄弱者援護施設)
第十八条 精神薄弱者援護施設は、十八歳以上の精神薄弱者を入所させて、これを保護するとともに、その更生に必要な指導訓練を行なう施設とする。
(施設の設置)
第十九条 都道府県は、精神薄弱者援護施設を設置することができる。
2 市町村、社会福祉法人その他の者は、社会福祉事業法の定めるところにより、精神薄弱者援護施設を設置することができる。
(紹介による入所)
第二十条 地方公共団体の設置する精神薄弱者援護施設は、援護の実施機関から第十六条第一項第二号の規定による紹介を受けたときは、正当な理由がなければ、その精神薄弱者を入所させなければならない。
(運営の基準)
第二十一条 厚生大臣は、審議会の意見を聞き、精神薄弱者援護施設が第十六条第一項第二号の規定による入所の措置により、若しくは同号の規定による紹介を受けて精神薄弱者を入所させ、又は同条第二項の規定により精神薄弱者の援護の委託を受けた場合におけるその運営について必要な基準を定めなければならない。
第五章 費用
(市町村の支弁)
第二十二条 次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。
一 第十条第二項の規定により市町村が設置する精神薄弱者福祉司に要する費用
二 第十六条の規定により市町村長が行なう行政措置に要する費用(第四号に掲げる費用を除く。)
三 市町村が設置する精神薄弱者援護施設の設置に要する費用
四 市町村が設置する精神薄弱者援護施設の運営に要する費用
(都道府県の支弁)
第二十三条 次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。
一 第十条第一項の規定により都道府県が設置する精神薄弱者福祉司に要する費用
二 第十二条第一項の規定により都道府県が設置する精神薄弱者更生相談所に要する費用
三 第十六条の規定により都道府県知事が行なう行政措置に要する費用(第五号に掲げる費用を除く。)
四 都道府県が設置する精神薄弱者援護施設の設置に要する費用
五 都道府県が設置する精神薄弱者援護施設の運営に要する費用
(繰替え支弁)
第二十四条 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、その長の管理に属する福祉事務所の管轄区域内にある精神薄弱者援護施設で厚生大臣の指定するものに対し他の都道府県知事又は市町村長が第十六条第二項の規定により精神薄弱者の援護を委託した場合においては、その委託に要する費用について一時繰替え支弁をしなければならない。
(都道府県の負担)
第二十五条 都道府県は、第二十二条第三号の規定により市町村が支弁した費用については、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。
(国の負担)
第二十六条 国は、政令の定めるところにより、第二十二条又は第二十三条の規定により市町村又は都道府県が支弁した費用について、次に掲げるものを負担する。
一 第二十二条第二号の費用のうち、第十六条第二項の規定による行政措置に要する費用については、その十分の八
二 第二十二条第四号の費用については、その十分の八
三 第二十三条第二号の費用のうち、精神薄弱者更生相談所で行なう相談、判定及び指導に要する費用については、その十分の八
四 第二十三条第三号の費用のうち、第十六条第二項の規定による行政措置に要する費用については、その十分の八
五 第二十三条第四号の費用については、その十分の五
六 第二十三条第五号の費用については、その十分の八
2 国は、前条の規定により都道府県が負担した費用の三分の二を負担する。
(費用の徴収)
第二十七条 精神薄弱者援護施設を設置する都道府県又は市町村の長は、当該施設に入所中の精神薄弱者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)から、その負担能力に応じて、入所中に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。
2 第十六条第二項の規定による行政措置に要する費用を支弁すべき都道府県又は市町村の長は、当該行政措置により社会福祉法人の設置する精神薄弱者援護施設に入所中の精神薄弱者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じて、入所中に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。
第六章 雑則
(町村の一部事務組合)
第二十八条 町村が一部事務組合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その組合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その組合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。
(援護の実施機関が変更した場合の経過規定)
第二十九条 町村の福祉事務所の設置又は廃止により援護の実施機関に変更があつた場合においては、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により、変更前の援護の実施機関がした処分その他の行為は、変更後の援護の実施機関がした処分その他の行為とみなす。ただし、変更前に行なわれ、又は行なわれるべきであつた援護に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。
(社会福祉事業法附則第七項に関する特例)
2 社会福祉事業法附則第七項の規定に基づき置かれた組織の長は、この法律の適用については、福祉事務所長とみなす。
(児童福祉法の一部改正)
3 児童福祉法の一部を次のように改正する。
第二十五条の二第二号中「社会福祉主事」を「精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事」に改める。
第二十七条第一項第二号中「社会福祉主事」を「精神薄弱者福祉司、社会福祉主事」に改める。
(地方財政法の一部改正)
4 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条第七号の三の次に次の一号を加える。
七の四 精神薄弱者の援護に要する経費
(民生委員法の一部改正)
5 民生委員法の一部を次のように改正する。
第二十五条を次のように改める。
第二十五条 民生委員協議会を組織する民生委員は、その互選により総務一人を定めなければならない。
2 総務は、民生委員協議会の会務をとりまとめ、民生委員協議会を代表する。
3 前二項に定めるもののほか、総務の任期その他総務に関し必要な事項は、政令で定める。
(厚生省設置法の一部改正)
6 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第五十二号の四の次に次の一号を加える。
五十二の五 精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)の定めるところにより、精神薄弱者援護施設の基準を定めること。
第十二条第七号の二の次に次の一号を加える。
七の三 精神薄弱者福祉法を施行すること。
第二十九条第一項の表中
中央身体障害者福祉審議会
厚生大臣の諮問に応じて、身体障害者の福祉に関する事項を審議すること。
中央身体障害者福祉審議会
厚生大臣の諮問に応じて、身体障害者の福祉に関する事項を調査審議すること。
精神薄弱者福祉審議会
厚生大臣の諮問に応じて、精神薄弱者の福祉に関する事項を調査審議すること。
に改める。
(社会福祉事業法の一部改正)
7 社会福祉事業法の一部を次のように改正する。
第一条中「身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)」の下に「、精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)」を加える。
第二条第二項中第六号を削り、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 精神薄弱者福祉法にいう精神薄弱者援護施設を経営する事業
第二条第三項第三号の次に次の一号を加える。
三の二 精神薄弱者の更生相談に応ずる事業
第十三条第六項、第十七条第三項、第十九条及び第二十条中「及び身体障害者福祉法」を「、身体障害者福祉法及び精神薄弱者福祉法」に改める。
(入場税法の一部改正)
8 入場税法(昭和二十九年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
別表の主催者の欄中第十二号を第十三号とし、第十一号の次に次の一号を加える。
一二 精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)による精神薄弱者援護施設(この表において「精神薄弱者援護施設」という。)を設置する者
別表の支出先又は支出の目的の欄中「身体障害者更生援護施設」の下に「、精神薄弱者援護施設」を加える。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 佐藤栄作
厚生大臣 渡辺良夫