第一條 民生委員は、社会奉仕の精神をもつて、保護指導のことに当り、社会福祉の増進に努めるものとする。
第二條 民生委員は、常に、人格識見の向上と、その職務を行う上に必要な知識及び技術の修得に努めなければならない。
第三條 民生委員は、市(特別区を含む。以下同じ。)町村の区域にこれを置く。
第四條 民生委員の定数は、厚生大臣の定める基準に從い、都道府縣知事が、前條の区域ごとに、その区域を管轄する市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の意見をきいて、これを定める。
第五條 民生委員は、都道府縣知事の推薦によつて、厚生大臣がこれを委嘱する。
2 前項の都道府縣知事の推薦は、市町村に設置された民生委員推薦会が推薦した者について、都道府縣に設置された民生委員審査会の意見をきいてこれを行う。
第六條 民生委員推薦会が、民生委員を推薦するに当つては、当該市町村の議会(特別区の議会を含む。以下同じ。)の議員の選挙権を有する者のうち、人格識見高く、廣く社会の実情に通じ、且つ、社会福祉の増進に熱意のある者であつて兒童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の兒童委員としても、適当である者について、これを行わなければならない。
第七條 都道府縣知事は、民生委員推薦会の推薦した者が、民生委員として適当でないと認めるときは、民生委員審査会の意見をきいて、その民生委員推薦会に対し、民生委員の再推薦を命ずることができる。
2 前項の規定により都道府縣知事が再推薦を命じた場合において、その日から二十日以内に民生委員推薦会が再推薦をしないときは、都道府縣知事は、当該市町村長及び民生委員審査会の意見をきいて、民生委員として適当と認める者を定め、これを厚生大臣に推薦することができる。
第八條 民生委員推薦会は、委員長一人及び委員若干人でこれを組織する。
2 委員は、市町村長が市町村の議会の議員、社会事業の実施に関係のある者、その他学識経驗のある者の中から、市町村の議会の意見をきいて、これを委嘱する。但し、議会の議員の中から委嘱される委員の数は、委員総数の四分の一以内でなければならない。
3 委員は、当該市町村の議会の議員の選挙権を有する者でなければならない。
5 前四項で定めるものの外、委員長及び委員の任期並びに委員長の職務その他民生委員推薦会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第九條 民生委員審査会は、委員長一人及び委員九人以内でこれを組織する。
2 委員は、都道府縣知事が都道府縣の議会の議員、社会事業の実施又は兒童労働に関係のある者、その他学識経驗のある者の中からこれを委嘱する。但し、議会の議員の中から委嘱される委員の数は、三人以内でなければならない。
3 委員は、当該都道府縣の議会の議員の選挙権を有する者でなければならない。
5 前四項で定めるものの外、委員長及び委員の任期並びに委員長の職務その他民生委員審査会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第十條 民生委員は、名誉職とし、その任期は、三年とする。
第十一條 民生委員が左の各号の一に該当する場合においては、厚生大臣は、前條の規定にかかわらず、都道府縣知事の具申に基いて、これを解嘱することができる。
一 職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
2 都道府縣知事が前項の具申をするに当つては、民生委員審査会の同意を経なければならない。
第十二條 前條第二項の場合において、民生委員審査会は、審査をなすに際して、あらかじめ本人に対してその旨を通告しなければならない。
2 前項の通告を受けた民生委員は、通告を受けた日から二週間以内に、民生委員審査会に対して意見を述べることができる。
3 前項の規定により民生委員が意見を述べた場合には、民生委員審査会は、その意見をきいた後でなければ審査をなすことができない。
第十三條 民生委員は、その市町村の区域内において、担当の区域又は事項を定めて、その職務を行うものとする。
第十四條 民生委員の職務は、左の通りとする。
一 常に調査を行い、生活状態を審かにして置くこと。
三 社会施設と密接に連絡し、その機能を助けること。
2 民生委員は、前項の職務を行う外、必要に應じて、生活の指導を行う。
第十五條 民生委員は、その職務を遂行するに当つては、個人の人格を尊重し、その身上に関する祕密を守り、人種、信條、性別、社会的身分又は門地によつて、差別的又は優先的な取扱をすることなく、且つ、その処理は、実情に即して合理的にこれを行わなければならない。
第十六條 民生委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
2 前項の規定に違反した民生委員は、第十一條及び第十二條の規定に從い解嘱せられるものとする。
第十七條 民生委員は、その職務に関して、都道府縣知事の指揮監督を受ける。
2 市町村長は、民生委員に対し、保護を要する者に関する必要な資料の作製を命じ、その他民生委員の職務に関して必要な指示をすることができる。
第十八條 都道府縣知事は、厚生大臣の定めるところにより、民生委員の指導訓練に関して計画を樹立し、これを実施しなければならない。
第十九條 都道府縣は、民生委員の指導訓練に從事する吏員を置かなければならない。
2 前項の吏員は、社会事業に関する学識経驗のある者の中からこれを任用しなければならない。
3 第一項の吏員に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第二十條 民生委員は、都道府縣知事が市町村長の意見をきいて定める区域ごとに、民生委員協議会を組織しなければならない。
2 前項の規定による民生委員協議会を組織する区域を定める場合においては、特別の事情のあるときの外、市においてはその区域を数区域に分けた区域をもつて、町村においてはその区域をもつて一区域としなければならない。
第二十一條 民生委員協議会に、常務委員一人を置く。
2 常務委員は、当該民生委員協議会を組織する民生委員の互選とする。
3 常務委員の任期は一年とする。但し、再任することができる。
4 常務委員は、民生委員協議会の常務を掌り、民生委員協議会を代表し、その会議の議長となる。
5 前四項で定めるものの外、常務委員に関し必要なる事項は、政令でこれを定める。
6 常務委員は、政令の定めるところにより、常務委員協議会を組織する。
第二十二條 都道府縣知事は、必要があると認めるときは、関係市町村長(京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市においては区長とする。以下同じ。)その他適当な者を民生委員協議会の組織に加わらせることができる。
2 関係市町村長又はその委任を受けた者は、民生委員協議会に出席し、意見を述べなければならない。
第二十三條 民生委員協議会は、毎月一回以上、これを開催しなければならない。
第二十四條 民生委員協議会の任務は、左の通りとする。
二 民生委員の職務に関する連絡及び統制をすること。
四 民生委員をして、その職務に関して互に励まし、研究及び修養をさせること。
五 その他民生委員が職務を遂行するに必要な事項を処理すること。
2 民生委員協議会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見を関係各廳に具申することができる。
第二十五條 厚生大臣の指定する市は、民生委員協議会の事務の処理と、保護を要する者の便宜とを図るために、民生委員協議会の区域ごとに、政令の定めるところにより、民生委員事務所を設置しなければならない。
2 前項の民生委員事務所には、專任の吏員を置かなければならない。
3 前項の吏員に関しては、第十九條第二項及び第三項の規定を準用する。
第二十六條 民生委員、民生委員推薦会、民生委員審査会、民生委員協議会、常務委員協議会及び民生委員の指導訓練に関する費用は、都道府縣の負担とする。
第二十七條 第二十五條の規定による民生委員事務所に関する費用は、市の負担とする。
第二十八條 國庫は、左に掲げる費用のうち、厚生大臣の定める事項に関するものについては、その定める基準に從い、その二分の一を補助する。
第二十九條 都道府縣は、第二十七條の規定により市が負担した費用のうち、厚生大臣の定める事項に関するものについては、その定める基準に從い、その四分の一を補助する。