中小企業振興資金助成法
法令番号: 法律第115号
公布年月日: 昭和31年5月22日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中小企業等協同組合の共同施設設置と中小企業の設備近代化を促進するため、従来の都道府県への国庫貸与制度を法定化・拡充する必要がある。そこで、都道府県ごとに特別会計を設け、国が都道府県の負担額と同額以内の補助金を交付し、両者を一つの特別会計として回転運用する制度を確立する。これにより、資金の反復利用を可能にし、国の産業政策と地域特性の調整を図りながら、中小企業の育成・振興を図るものである。なお、1955年度までの政府補助金・貸付金の回収分も各都道府県の特別会計に繰り入れることとする。

参照した発言:
第24回国会 衆議院 商工委員会 第18号

審議経過

第24回国会

衆議院
(昭和31年3月15日)
参議院
(昭和31年3月15日)
(昭和31年3月23日)
衆議院
(昭和31年3月28日)
(昭和31年3月30日)
(昭和31年3月30日)
参議院
(昭和31年4月19日)
(昭和31年4月20日)
(昭和31年4月23日)
衆議院
(昭和31年6月3日)
参議院
(昭和31年6月3日)
中小企業振興資金助成法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年五月二十二日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百十五号
中小企業振興資金助成法
(目的)
第一条 この法律は、中小企業等協同組合の施設及び中小企業者の経営の合理化のための設備の設置に必要な資金の貸付を行う都道府県に対し補助金を交付することにより、中小企業等協同組合の活動を盛んにするとともに中小企業の合理化を促進し、もつて中小企業の振興を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「中小企業者」とは、資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、三十人)以下の会社及び個人をいう。
(国の補助)
第三条 国は、都道府県が次に掲げる資金の貸付の事業を行うときは、その都道府県に対し、予算の範囲内において、その事業に必要な資金の一部に充てるため補助金を交付することができる。ただし、第十条第一項の規定により設置する特別会計においてその事業に運用することができる資金の額がその事業を行うのに必要かつ適当と認められる一定額に達した都道府県については、この限りでない。
一 事業協同組合又は協同組合連合会の施設であつて、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第一項第一号又は第九条の九第一項第三号に掲げるものの設置に必要な資金
二 企業組合の経営の合理化のための施設の設置に必要な資金
三 中小企業者の経営の合理化のための設備であつて、中小企業の振興に著しく寄与すると認められるものの設置に必要な資金
2 前項ただし書の一定額は、都道府県ごとに、通商産業大臣が大蔵大臣と協議して定める。
(貸付金の限度)
第四条 一の中小企業等協同組合又は中小企業者に対し前条第一項に規定する貸付をすることができる額は、都道府県が中小企業等協同組合の施設又は中小企業者の経営の合理化のための設備の設置に必要と認めた金額の二分の一以内とする。
(貸付金の利率及び償還期間)
第五条 第三条第一項に規定する貸付に係る貸付金は、無利子とし、その償還期間は、五年をこえない範囲内で政令で定める期間とする。
(保証人)
第六条 都道府県は、第三条第一項に規定する貸付については、借主に対し、保証人を立てさせなければならない。
2 前項の保証人は、借主と連帯して債務を負担するものとする。
(期限前償還)
第七条 都道府県は、第三条第一項に規定する貸付をした場合において、借主が次の各号の一に該当するときは、第五条に規定する償還期間の満了前に、その借主に対し、貸付金の全部又は一部の償還を請求することができる。
一 貸付金を貸付の目的以外の目的に使用したとき。
二 貸付金の償還を怠つたとき。
三 その他正当な理由がないのに貸付の条件に違反したとき。
(償還の免除)
第八条 都道府県は、次の各号に掲げる場合において、やむを得ないと認められるときは、通商産業大臣の承認を受けて、第三条第一項に規定する貸付に係る貸付金の全部又は一部の償還を免除することができる。
一 災害その他借主の責に帰することができない理由により、借主が貸付を受けて設置した施設又は設備が滅失したとき。
二 経済事情の著しい変動により、借主が第三条第一項第一号又は第二号に掲げる資金の貸付を受けて設置した施設であつて政令で定める用途に供されるものの利用が利益を生じなくなつたとき。
(違約金)
第九条 都道府県は、借主が支払期日までに貸付金を償還せず、又は第七条の規定による請求を受けた金額を支払わなかつたときは、支払期日の翌日から支払の日までの日数に応じその延滞した額百円につき一日三銭の割合で計算した違約金を支払うべきことを請求することができる。
(特別会計)
第十条 都道府県は、特別会計を設置して第三条第一項に規定する事業の経理を行わなければならない。
2 前項の特別会計(以下「特別会計」という。)においては、一般会計からの繰入金、第三条第一項の規定による補助金、償還金(第七条の規定による請求に係る償還金及び前条の違約金を含む。)及び附属雑収入をもつてその歳入とし、貸付金及び第十三条の規定による納付金その他の諸費をもつてその歳出とする。
(補助金の額)
第十一条 国が第三条第一項の規定により交付する補助金の額は、都道府県が貸付金の財源に充てるため一般会計から特別会計に繰り入れる金額と同額以内とする。
(事業計画)
第十二条 都道府県は、第三条第一項の規定による補助金の交付を受けた後は、毎年度、通商産業大臣があらかじめ定める基準に従つて同項に規定する事業に関する事業計画を作成しなければならない。
2 都道府県は、前項の事業計画によらなければ、第三条第一項に規定する事業を行つてはならない。
(貸付事業の廃止)
第十三条 都道府県は、第三条第一項に規定する事業を廃止したときは、政令で定めるところにより、貸付金の未貸付額及びその後において支払を受ける貸付金の償還額の合計額に、同項の規定による補助金の額及びその都道府県が貸付金の財源に充てるため一般会計から特別会計に繰り入れた金額の合計額に対する同項の規定による補助金の額の割合を乗じて得た額の全部又は一部を国に納付しなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第二条及び第三条の規定は、昭和三十二年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 都道府県は、第三条第一項の規定による補助金の交付を受けたときは、国が昭和二十二年度から昭和二十八年度までに共同施設の設置のための補助金であつて政令で定めるものを交付した者に対して有する債権を承継するものとする。
2 都道府県は、前項の規定により承継した債権に係る債務を免除しようとするときは、政令で定めるところにより、通商産業大臣の承認を受けなければならない。
3 第一項の規定により承継した債権に係る収入金は、第三条第一項の規定による補助金とみなして第十条第二項及び第十三条の規定を適用する。
第三条 道府県が第三条第一項の規定による補助金の交付を受けたときは、国が昭和二十九年度及び昭和三十年度において中小企業等協同組合の共同施設の設置及び中小企業の設備の近代化のために交付した補助金に係るその道府県の国に対する義務は、免除されたものとなるものとする。ただし、通商産業大臣は、道府県がその補助金の交付の条件に違反したときは、その補助金の返還を命ずることができる。
2 第八条の規定は、道府県が前項に規定する昭和二十九年度及び昭和三十年度における国からの補助金を財源の一部として交付した資金に係る債務を免除しようとする場合に準用する。
3 第一項に規定する昭和二十九年度及び昭和三十年度における国からの補助金を財源の一部として交付した資金に係る収入金は、特別会計の歳入とする。
4 前項に規定する収入金は、政令で定めるところにより、二の部分に分けてそれぞれ第三条第一項の規定による補助金及び道府県が貸付金の財源に充てるため一般会計から特別会計に繰り入れた金額とみなして第十三条の規定を適用する。
大蔵大臣 一万田尚登
通商産業大臣 石橋湛山
内閣総理大臣 鳩山一郎