(排出基準)
第八条 ダイオキシン類の排出基準は、特定施設に係る排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の排出の削減に係る技術水準を勘案し、特定施設の種類及び構造に応じて、総理府令で定める。
2 前項の排出基準は、排出ガスに係るもの(以下「大気排出基準」という。)にあっては第一号、排出水に係るもの(以下「水質排出基準」という。)にあっては第二号に掲げる許容限度とする。
一 排出ガスに含まれるダイオキシン類の量(総理府令で定める方法により測定されるダイオキシン類の量を二・三・七・八―四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシンの毒性に総理府令で定めるところにより換算した量をいう。以下同じ。)について定める許容限度
二 排出水に含まれるダイオキシン類の量について定める許容限度
3 都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、その自然的社会的条件から判断して、第一項の排出基準によっては、人の健康を保護することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域における特定施設から排出される排出ガス又はその区域に排出される排出水に含まれるダイオキシン類の量について、政令で定めるところにより、条例で、同項の排出基準に代えて適用すべき同項の排出基準で定める許容限度より厳しい許容限度を定める排出基準を定めることができる。
4 前項の条例においては、併せて当該区域の範囲を明らかにしなければならない。
5 都道府県が、第三項の規定により排出基準を定める場合には、当該都道府県知事は、あらかじめ、環境庁長官及び関係都道府県知事(同項の排出基準のうち、排出水に係るものを定める場合に限る。)に通知しなければならない。
(排出基準に関する勧告)
第九条 環境庁長官は、ダイオキシン類による大気の汚染又は公共用水域の水質の汚濁の防止のため特に必要があると認めるときは、都道府県に対し、前条第三項の規定により排出基準を定め、又は同項の規定により定められた排出基準を変更すべきことを勧告することができる。
(総量規制基準)
第十条 都道府県知事は、大気排出基準(第八条第三項の規定により定められる排出基準のうち、排出ガスに係るものを含む。以下この項において同じ。)が適用される特定施設(以下「大気基準適用施設」という。)が集合している地域で、大気排出基準のみによっては第七条の基準のうち大気の汚染に関する基準の確保が困難であると認められる地域として政令で定める地域(以下「指定地域」という。)にあっては、当該指定地域に設置されている特定事業場で大気基準適用施設を設置しているもの(以下「総量規制基準適用事業場」という。)から大気中に排出されるダイオキシン類について、総量削減計画を作成し、これに基づき、総理府令で定めるところにより、総量規制基準を定めなければならない。
2 都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該指定地域を二以上の区域に区分し、それらの区域ごとに前項の総量規制基準を定めることができる。
3 都道府県知事は、新たに大気基準適用施設が設置された総量規制基準適用事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに総量規制基準適用事業場となったものを含む。)及び新たに設置された総量規制基準適用事業場について、第一項の総量削減計画に基づき、総理府令で定めるところにより、同項の総量規制基準に代えて適用すべき特別の総量規制基準を定めることができる。
4 第一項又は前項の総量規制基準は、総量規制基準適用事業場につき当該総量規制基準適用事業場に設置されているすべての大気基準適用施設の排出口(大気基準適用施設から排出ガスを大気中に排出するために設けられた煙突その他の施設の開口部をいう。以下同じ。)から排出されるダイオキシン類の量の合計量について定める許容限度とする。
5 都道府県知事は、第一項の政令で定める地域の要件に該当すると認められる一定の地域があるときは、同項の政令の立案について、内閣総理大臣に対し、その旨の申出をすることができる。
6 住民は、その住所地を管轄する都道府県知事に対し、前項の申出をするよう申し出ることができる。
7 内閣総理大臣は、第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
8 都道府県知事は、第一項又は第三項の総量規制基準を定めるときは、公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
(総量削減計画)
第十一条 前条第一項の総量削減計画は、当該指定地域について、第一号に掲げる総量を第二号に掲げる総量までに削減させることを目途として、大気基準適用施設の種類及び規模等を勘案し、政令で定めるところにより、第三号及び第四号に掲げる事項を定めるものとする。この場合において、当該指定地域における大気基準適用施設の分布の状況により計画の達成上当該指定地域を二以上の区域に区分する必要があるときは、第一号及び第二号に掲げる総量は、区分される区域ごとのそれぞれのダイオキシン類の量の総量とする。
一 当該指定地域におけるすべての大気基準適用施設から大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量
二 第七条の基準のうち大気の汚染に関する基準に照らし総理府令で定めるところにより算定される当該指定地域における大気基準適用施設から大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量
三 第一号の総量についての削減目標量(中間目標としての削減目標量を定める場合にあっては、その削減目標量を含む。)
2 都道府県知事は、前条第一項の総量削減計画を定めようとするときは、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関及び関係市町村長の意見を聴くとともに、公聴会を開き、指定地域の住民の意見を聴かなければならない。
3 都道府県知事は、前条第一項の総量削減計画を定めようとするときは、あらかじめ、環境庁長官に協議し、その同意を得なければならない。
4 都道府県知事は、前条第一項の総量削減計画を定めたときは、第一項各号に掲げる事項を公告しなければならない。
5 都道府県知事は、当該指定地域における大気の汚染の状況の変動等により必要が生じたときは、前条第一項の総量削減計画を変更することができる。
6 第二項から第四項までの規定は、前項の規定による計画の変更について準用する。
(特定施設の設置の届出)
第十二条 特定施設を設置しようとする者は、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
六 大気基準適用施設にあっては発生ガス(大気基準適用施設において発生するガスをいう。以下同じ。)、水質排出基準(第八条第三項の規定により定められる排出基準のうち、排出水に係るものを含む。)に係る特定施設(以下「水質基準対象施設」という。)にあっては当該水質基準対象施設から排出される汚水又は廃液の処理の方法
2 前項の規定による届出には、特定施設の種類若しくは構造又は発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法等から見込まれるダイオキシン類の排出量(大気基準適用施設にあっては排出ガスに含まれるダイオキシン類の量とし、水質基準対象施設にあってはその水質基準対象施設が設置される特定事業場(以下「水質基準適用事業場」という。)の排出水に含まれるダイオキシン類の量とする。)その他総理府令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
(経過措置)
第十三条 一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。次項において同じ。)であって、排出ガスを排出し、又は排出水を排出するものは、当該施設が特定施設となった日から三十日以内に、総理府令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
2 次の表の上欄に掲げる者は、総理府令で定めるところにより、同表の中欄に掲げる事項を、同表の下欄に定める日から三十日以内に、都道府県知事に届け出なければならない。
一の水質基準対象施設が大気基準適用施設となった際現にその施設を設置している者 |
その発生ガスに係る前条第一項第六号に掲げる事項 |
その水質基準対象施設が大気基準適用施設となった日 |
一の大気基準適用施設が水質基準対象施設となった際現にその施設を設置している者 |
その汚水又は廃液に係る前条第一項第六号に掲げる事項 |
その大気基準適用施設が水質基準対象施設となった日 |
3 前条第二項の規定は、前二項の規定による届出について準用する。
(特定施設の構造等の変更の届出)
第十四条 第十二条第一項又は前条第一項若しくは第二項の規定による届出をした者は、その届出に係る第十二条第一項第四号から第六号までに掲げる事項又は前条第二項の表の中欄に掲げる事項の変更をしようとするときは、総理府令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 第十二条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
(計画変更命令等)
第十五条 都道府県知事は、第十二条第一項又は前条第一項の規定による届出があった場合において、その届出に係る特定施設に係る排出ガスにあっては当該特定施設の排出口、排出水にあっては当該特定施設が設置されている水質基準適用事業場の排水口(排出水を排出する場所をいう。以下同じ。)において、その排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量が第八条第一項の排出基準(同条第三項の規定により排出基準が定められた場合にあっては、その排出基準を含む。以下単に「排出基準」という。)に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内において、その届出をした者に対し、当該特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは当該特定施設に係る発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法に関する計画の変更(前条第一項の規定による届出に係る計画の廃止を含む。)又は第十二条第一項の規定による届出に係る特定施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができる。
第十六条 都道府県知事は、第十二条第一項又は第十四条第一項の規定による届出があった場合において、その届出に係る大気基準適用施設が設置される総量規制基準適用事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに総量規制基準適用事業場となるものを含む。以下この条において同じ。)について、当該総量規制基準適用事業場に設置されるすべての大気基準適用施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計量が総量規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内において、当該総量規制基準適用事業場の設置者に対し、当該総量規制基準適用事業場における発生ガスの処理の方法の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(実施の制限)
第十七条 第十二条第一項の規定による届出をした者又は第十四条第一項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から六十日を経過した後でなければ、それぞれ、その届出に係る特定施設を設置し、又はその届出に係る特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法の変更をしてはならない。
2 都道府県知事は、第十二条第一項又は第十四条第一項の規定による届出に係る事項の内容が相当であると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。
(氏名の変更等の届出)
第十八条 第十二条第一項又は第十三条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第十二条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があったとき、又はその届出に係る特定施設の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(承継)
第十九条 第十二条第一項又は第十三条第一項の規定による届出をした者からその届出に係る特定施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該特定施設に係る当該届出をした者の地位を承継する。
2 第十二条第一項又は第十三条第一項の規定による届出をした者について相続又は合併があったときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、当該届出をした者の地位を承継する。
3 前二項の規定により第十二条第一項又は第十三条第一項の規定による届出をした者の地位を承継した者は、その承継があった日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 特定事業場に設置されるすべての大気基準適用施設について、第一項又は第二項の規定により届出をした者の地位を承継した者は、第十六条又は第二十二条第三項の規定の適用については、特定事業場の設置者の地位を承継するものとする。
(排出の制限)
第二十条 排出ガスを排出し、又は排出水を排出する者(以下「排出者」という。)は、当該排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量が、大気基準適用施設にあっては排出ガスの排出口、水質基準対象施設にあっては当該水質基準対象施設を設置している水質基準適用事業場の排水口において、排出基準に適合しない排出ガス又は排出水を排出してはならない。
2 前項の規定は、一の施設が特定施設となった際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。次項において同じ。)の当該施設から排出される排出ガス又は当該施設に係る排出水については、当該施設が特定施設となった日から一年間は、適用しない。ただし、当該施設が水質基準対象施設となった際既に当該工場又は事業場が水質基準適用事業場であるとき、及びその者に適用されている地方公共団体の条例の規定で前項の規定に相当するものがあるとき(当該規定の違反行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
3 第一項の規定は、一の水質基準対象施設が大気基準適用施設となった際現にその施設を設置している者の当該施設から排出される排出ガス又は一の大気基準適用施設が水質基準対象施設となった際現にその施設を設置している者の当該施設に係る排出水については、それぞれ、当該施設が大気基準適用施設又は水質基準対象施設となった日から一年間は、適用しない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
(総量規制基準に係る排出の制限)
第二十一条 総量規制基準適用事業場において大気中に排出ガスを排出する者は、当該総量規制基準適用事業場に設置されているすべての大気基準適用施設の排出口から排出されるダイオキシン類の量の合計量が総量規制基準に適合しない排出ガスを排出してはならない。
2 前項の規定は、第二条第二項の政令の改正、第八条第一項の総理府令の改正又は第十条第一項の政令の改正により新たに総量規制基準適用事業場となった工場又は事業場に設置されている大気基準適用施設から大気中に排出ガスを排出する者については、当該工場又は事業場が総量規制基準適用事業場となった日から一年間は、適用しない。
(改善命令等)
第二十二条 都道府県知事は、排出者が、その設置している大気基準適用施設の排出口又は水質基準適用事業場の排水口において排出基準に適合しない排出ガス又は排出水を継続して排出するおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは当該特定施設に係る発生ガス若しくは汚水若しくは廃液の処理の方法の改善を命じ、又は当該特定施設の使用の一時停止を命ずることができる。
2 第二十条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による命令について準用する。
3 都道府県知事は、総量規制基準に適合しない排出ガスが継続して排出されるおそれがあると認めるときは、当該排出ガスに係る総量規制基準適用事業場の設置者に対し、期限を定めて、当該総量規制基準適用事業場における発生ガスの処理の方法の改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
4 前項の規定は、第二条第二項の政令の改正、第八条第一項の総理府令の改正又は第十条第一項の政令の改正により新たに総量規制基準適用事業場となった工場又は事業場については、当該工場又は事業場が総量規制基準適用事業場となった日から一年間は、適用しない。
(事故時の措置)
第二十三条 特定施設を設置している者は、特定施設の故障、破損その他の事故が発生し、ダイオキシン類が大気中又は公共用水域に多量に排出されたときは、直ちに、その事故について応急の措置を講じ、かつ、その事故を速やかに復旧するように努めなければならない。
2 前項の場合には、同項に規定する者は、直ちに、その事故の状況を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第二十三条第一項の規定による通報をした場合は、この限りでない。
3 都道府県知事は、第一項に規定する事故が発生した場合において、当該事故に係る特定事業場の周辺の区域における人の健康が損なわれ、又は損なわれるおそれがあると認めるときは、その事故に係る同項に規定する者に対し、その事故の拡大又は再発の防止のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
4 都道府県知事は、第二項の規定による通報を受け、又は前項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を環境庁長官に報告しなければならない。