(規制地域)
第三条 都道府県知事は、住民の生活環境を保全するため悪臭を防止する必要があると認める住居が集合している地域その他の地域を、工場その他の事業場(以下単に「事業場」という。)における事業活動に伴つて発生する悪臭物質の排出(漏出を含む。以下同じ。)を規制する地域(以下「規制地域」という。)として指定しなければならない。
(規制基準)
第四条 都道府県知事は、規制地域について、その自然的、社会的条件を考慮して、必要に応じ当該地域を区分し、悪臭物質の種類ごとに次の各号の規制基準を当該各号に掲げるところにより定めなければならない。
一 事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭物質で当該事業場から排出されるものの当該事業場の敷地の境界線の地表における規制基準 総理府令で定める範囲内において、大気中の濃度の許容限度として定めること。
二 事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭物質で当該事業場の煙突その他の気体排出施設から排出されるものの当該施設の排出口における規制基準 前号の許容限度を基礎として、総理府令で定める方法により、排出口の高さに応じて、流量又は排出気体中の濃度の許容限度として定めること。
三 事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭物質で当該事業場から排出される排出水に含まれるものの当該事業場の敷地外における規制基準 第一号の許容限度を基礎として、総理府令で定める方法により、排出水中の濃度の許容限度として定めること。
(市町村長の意見の聴取)
第五条 都道府県知事は、規制地域の指定をし、及び規制基準を定めようとするときは、当該規制地域を管轄する市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の意見をきかなければならない。これらを変更し、規制地域の指定を解除し、又は規制基準を廃止しようとするときも、同様とする。
2 都道府県知事は、前項の場合において、必要があると認めるときは、同項に規定する市町村長のほか、当該規制地域の周辺地域を管轄する市町村長の意見をきくものとする。
(規制地域の指定等の公示)
第六条 都道府県知事は、規制地域の指定をし、及び規制基準を定めるときは、総理府令で定めるところにより、公示しなければならない。これらを変更し、規制地域の指定を解除し、又は規制基準を廃止するときも、同様とする。
(規制基準の遵守義務)
第七条 規制地域内に事業場を設置している者は、当該規制地域についての規制基準を遵守しなければならない。
(改善勧告及び改善命令)
第八条 都道府県知事は、規制地域内の事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭物質の排出が規制基準に適合しないことにより住民の生活環境がそこなわれていると認めるときは、当該事業場を設置している者に対し、相当の期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、悪臭物質を発生させている施設の運用の改善、悪臭物質の排出防止設備の改良その他悪臭物質の排出を減少させるための措置をとるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、相当の期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による措置は、当該事業場の存する地域が規制地域となつた日から一年間は当該事業場を設置している者について、当該事業場において発生する悪臭物質の排出についての規制基準が新たに設けられた日から一年間は当該事業場を設置している者の当該悪臭物質の排出について、とることができない。
4 第二項の規定による措置は、当該事業場において発生する悪臭物質の排出についての規制基準が強化されたときは、その日から一年間、その排出が強化される前の規制基準に適合している場合について、とることができない。
5 都道府県知事は、小規模の事業者に対して第一項又は第二項の規定による措置をとるときは、その者の事業活動に及ぼす影響についても配慮しなければならない。
(都道府県知事に対する要請)
第九条 市町村長は、当該市町村の住民の生活環境を保全するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事に対し、規制地域を指定し、若しくは規制基準を設定し、若しくは強化すべきこと、又は悪臭物質を排出する事業場について前条第一項若しくは第二項の規定による措置をとるべきことを要請することができる。
(事故時の措置)
第十条 規制地域内に事業場を設置している者は、当該事業場において事故が発生し、悪臭物質の排出が規制基準に適合せず、又は適合しないおそれが生じたときは、ただちに、その事故について応急措置を講じ、かつ、その事故をすみやかに復旧するように努めなければならない。
(悪臭の測定)
第十一条 都道府県知事は、住民の生活環境を保全するため、規制地域における大気中の悪臭物質の濃度について必要な測定を行なわなければならない。
(水路等における悪臭の防止)
第十二条 下水溝、河川、池沼、港湾その他の汚水が流入する水路又は場所を管理する者は、その管理する水路又は場所から悪臭が発生し、周辺地域における住民の生活環境がそこなわれることのないよう、その水路又は場所を適切に管理しなければならない。
(悪臭が生ずる物の焼却の禁止)
第十三条 何人も、住居が集合している地域においては、みだりに、ゴム、皮革、合成樹脂、廃油その他の燃焼に伴つて悪臭が生ずる物を野外で多量に焼却してはならない。