高圧ガス取締法
法令番号: 法律第204号
公布年月日: 昭和26年6月7日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法は大正11年の制定以来、内務省から通商産業省へと所管が移管されてきた。その後、①日本国憲法施行に伴う法体系の整備、②高圧ガス工業の進歩発達に伴う技術基準の再検討、③行政組織の変革に基づく取締り担当機関の明確化という観点から全面改正を検討。新法では、省令に委任していた規制を法律で明確化し、行政救済制度を整備。また、製造施設・方法の規制、容器検査制度、作業主任者資格等の技術的規定を整備。さらに、通商産業省、都道府県、警察の権限を明確化。これにより高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保することを目的とする。

参照した発言:
第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第21号

審議経過

第10回国会

衆議院
(昭和26年3月30日)
参議院
(昭和26年3月30日)
(昭和26年3月31日)
(昭和26年5月9日)
(昭和26年5月10日)
(昭和26年5月11日)
(昭和26年5月15日)
(昭和26年5月17日)
(昭和26年5月18日)
(昭和26年5月21日)
衆議院
(昭和26年5月23日)
参議院
(昭和26年5月23日)
衆議院
(昭和26年5月24日)
(昭和26年5月25日)
(昭和26年5月26日)
(昭和26年6月5日)
高圧ガス取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月七日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四号
高圧ガス取締法
目次
第一章
総則(第一條―第四條)
第二章
事業(第五條―第二十五條)
第三章
保安(第二十六條―第三十九條)
第四章
容器、機器及び原料ガス(第四十條―第五十九條)
第五章
雑則(第六十條―第七十九條)
第六章
罰則(第八十條―第八十四條)
附則
第一章 総則
(目的)
第一條 この法律は、高圧ガスの製造、販売、貯蔵、移動その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制することにより、高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律で「高圧ガス」とは、左の各号に掲げるものをいう。
一 常用の温度において圧力(ゲージ圧力をいう。以下同じ。)が十キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮ガスであつて現にその圧力が十キログラム毎平方センチメートル以上であるもの又は温度三十五度において圧力が十キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮ガス(圧縮アセチレンガスを除く。)
二 常用の温度において圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮アセチレンガスであつて現にその圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上であるもの又は温度十五度において圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮アセチレンガス
三 温度三十五度において圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上となる液化ガス
四 前号に掲げるものを除く外、温度三十五度において圧力零キログラム毎平方センチメートルをこえる液化ガスのうち、シアン化水素ガス、フレオン十一ガス、ブロムメチルガス又はその他の液化ガスであつて、政令で定めるもの
(適用除外)
第三條 この法律の規定は、左の各号に掲げる高圧ガスについては、適用しない。
一 高圧ボイラー及びその導管内における高圧蒸気
二 圧力式ケーブル内における高圧窒素ガス
三 内燃機関の始動、自動車用タイヤの空気の充てん、びよう打若しくはさく岩又は道路工事若しくは鉄道工事の用に供する圧縮裝置内における圧縮空気
四 一馬力以下の動力を使用する冷凍設備内における高圧ガス
五 その他災害の発生のおそれがない高圧ガスであつて、政令で定めるもの
2 第四十條から第五十六條まで、第五十九條から第六十三條までの規定は、内容積一デシリツトル以下の容器及び密閉しないで用いられる容器については、適用しない。
(国に対する適用)
第四條 この法律の規定は、第七十三條及び第六章の規定を除き、国に適用があるものとする。この場合において「許可」又は「認可」とあるのは、「承認」と読み替えるものとする。
第二章 事業
(製造の許可等)
第五條 左の各号の一に該当する者は、事業所ごとに、都道府県知事の許可を受けなければならない。
一 圧縮、液化その他の方法で処理することができるガスの容積(温度零度、圧力零キログラム毎平方センチメートルの状態に換算した容積をいう。以下同じ。)が一日三十立方メートル以上である設備を使用して高圧ガスの製造(容器に充てんすることを含む。以下同じ。)をしようとする者(次号及び第三項に規定する者を除く。)
二 一日の冷凍能力が二十トン以上の設備を使用して冷凍(冷凍設備を使用してする暖房を含む。以下同じ。)のためガスを圧縮し、又は液化して高圧ガスの製造をしようとする者
2 高圧ガスの製造の事業を行う者(前項第一号に掲げる者及び冷凍のため高圧ガスの製造をする者を除く。)は、事業所ごとに、事業開始の日から三十日以内に、製造をする高圧ガスの種類及び製造のための設備を記載した書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 冷凍のためガスを圧縮し、又は液化して高圧ガスの製造をする者(第一項第二号に掲げる者を除く。以下「第二種製造者」という。)は、事業所ごとに、製造開始の日の二十日前までに、製造をする高圧ガスの種類、製造のための施設の位置、構造及び設備並びに製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 第一項第二号の冷凍能力は、通商産業省令で定める基準に従つて算定するものとする。
(販売事業の許可)
第六條 高圧ガスの販売の事業を営もうとする者は、販売所ごとに、都道府県知事の許可を受けなければならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。
一 前條第一項の許可を受けた者(以下「第一種製造者」という。)であつて、同項第一号に規定する者がその製造をした高圧ガスをその事業所において販売するとき。
二 医療用の圧縮酸素の販売の事業を営む者が貯蔵数量が常時五立方メートル未満の販売所において販売するとき。
(許可の欠格事由)
第七條 左の各号の一に該当する者は、第五條第一項又は前條の許可を受けることができない。
一 第三十八條第一項の規定により許可を取り消され、取消の日から二年を経過しない者
二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
三 禁治産者
四 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前各号の一に該当する者があるもの
(許可の基準)
第八條 都道府県知事は、第五條第一項又は第六條の許可の申請があつた場合には、その申請を審査し、第五條第一項の許可の申請については左の各号に適合し、第六條の許可の申請については第三号に適合していると認めるときは、許可を與えなければならない。
一 製造のための施設の位置、構造及び設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
二 製造の方法が通商産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
三 その他製造又は販売が公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがないものであること。
(許可の取消)
第九條 都道府県知事は、第一種製造者又は第六條の許可を受けた者(以下「販売業者」という。)が正当な事由がないのに、一年以内に製造若しくは販売の事業を開始せず、又は一年以上引き続き製造若しくは販売の事業を休止したときは、その許可を取り消すことができる。
(承継)
第十條 第一種製造者又は販売業者について相続又は合併があつた場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、第一種製造者又は販売業者の地位を承継する。
2 前項の規定により第一種製造者又は販売業者の地位を承継した者は、遅滯なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(製造のための施設及び製造の方法)
第十一條 第一種製造者は、製造のための施設を、その位置、構造及び設備が第八條第一号の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 第一種製造者は、第八條第二号の技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をしなければならない。
3 都道府県知事は、第一種製造者の製造のための施設又は製造の方法が第八條第一号又は第二号の技術上の基準に適合していないと認めるときは、その技術上の基準に適合するように製造のための施設を修理し、改造し、若しくは移転し、又はその技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をすべきことを命ずることができる。
第十二條 第二種製造者は、製造のための施設を、その位置、構造及び設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 第二種製造者は、通商産業省令で定める技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をしなければならない。
3 都道府県知事は、第二種製造者の製造のための施設又は製造の方法が前二項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、その技術上の基準に適合するように製造のための施設を修理し、改造し、若しくは移転し、又はその技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をすべきことを命ずることができる。
第十三條 第五條第二項に規定する者は、第八條第二号の技術上の基準に従つて高圧ガスを容器に充てんしなければならない。
(製造のための施設等の変更)
第十四條 第一種製造者は、製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事をし、又は製造をする高圧ガスの種類若しくは製造の方法を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 第八條の規定は、前項の許可に準用する。
3 第二種製造者は、製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事をし、又は製造をする高圧ガスの種類若しくは製造の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に届け出なければならない。
(貯蔵)
第十五條 高圧ガスの貯蔵は、通商産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。但し、通商産業省令で定める容積以下の高圧ガスについては、この限りでない。
2 都道府県知事は、高圧ガスの貯蔵が前項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、高圧ガスを貯蔵する者に対し、その技術上の基準に従つて高圧ガスを貯蔵すべきことを命ずることができる。
(貯蔵所)
第十六條 容積三百立方メートル以上の高圧ガスを貯蔵するときは、あらかじめ都道府県知事の許可を受けて設置する貯蔵所(以下「高圧ガス貯蔵所」という。)においてしなければならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、その高圧ガス貯蔵所の位置、構造及び設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、許可を與えなければならない。
3 第一項の場合において、貯蔵する高圧ガスが液化ガス又は液化ガス及び圧縮ガスであるときは、液化ガス十キログラムをもつて容積一立方メートルとみなして、同項の規定を適用する。
第十七條 高圧ガス貯蔵所の讓渡又は引渡があつたときは、讓受人又は引渡を受けた者は、高圧ガス貯蔵所の設置の許可を受けた者の地位を承継する。
2 前項の規定により高圧ガス貯蔵所の設置の許可を受けた者の地位を承継した者は、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第十八條 高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者は、高圧ガス貯蔵所を、その位置、構造及び設備が第十六條第二項の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 都道府県知事は、高圧ガス貯蔵所の位置、構造及び設備が第十六條第二項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、所有者又は占有者に対し、その技術上の基準に適合するように、高圧ガス貯蔵所を修理し、改造し、又は移転すべきことを命ずることができる。
第十九條 高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者は、高圧ガス貯蔵所の位置、構造又は設備の変更の工事をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 第十六條第二項の規定は、前項の許可に準用する。
(完成検査)
第二十條 第五條第一項、第十四條第一項、第十六條第一項又は前條第一項の許可を受けた者は、高圧ガスの製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所の設置又はその位置、構造若しくは設備の変更の工事を完成したときは、製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所につき、都道府県知事が行う完成検査を受け、これらが第八條第一号又は第十六條第二項の技術上の基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。
(製造等の廃止等の届出)
第二十一條 第一種製造者は、高圧ガスの製造を開始し、又は廃止したときは、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 第五條第二項に規定する者又は第二種製造者は、高圧ガスの製造を廃止したときは、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 販売業者は、高圧ガスの販売の事業を廃止したときは、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者は、高圧ガス貯蔵所の用途を廃止したときは、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(輸入)
第二十二條 高圧ガスの輸入をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、輸入をしようとする高圧ガスの性状及びその容器が通商産業省令で定める技術上の基準に適合し、且つ、その輸入が公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項の許可を與えなければならない。
3 第一項の許可を受けて高圧ガスの輸入をした者は、遅滯なく、その高圧ガス及びその容器につき、都道府県知事が行う検査を受けなければならない。
(移動)
第二十三條 高圧ガスを移動するには、その容器について、通商産業省令で定める保安上必要な措置を講じなければならない。
2 導管により高圧ガスを輸送するには、通商産業省令で定める技術上の基準に従つてその導管を設置し、及び維持しなければならない。
(詰替)
第二十四條 高圧ガスの詰替は、詰替の場所、使用すべき計量器その他の機械器具その他詰替の方法について通商産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
(消費及び廃棄)
第二十五條 通商産業省令で定める高圧ガスの消費及び廃棄は、消費及び廃棄の場所、数量その他消費及び廃棄の方法について通商産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
第三章 保安
(危害予防規程)
第二十六條 第一種製造者は、危害予防規程を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
2 都道府県知事は、危害予防規程が第八條第一号及び第二号の技術上の基準に適合していないとき、その他公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、前項の認可をしてはならない。
3 都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、危害予防規程の変更を命ずることができる。
4 第一種製造者及びその従業者は、危害予防規程を守らなければならない。
(保安教育)
第二十七條 第一種製造者、第二種製造者、販売業者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者は、従業者に高圧ガスによる災害の発生の防止に必要な教育を施さなければならない。
(作業主任者)
第二十八條 第一種製造者(一日に製造をする高圧ガスの容積が通商産業省令で定める容積以下である者その他通商産業省令で定める者を除く。以下この條、第三十三條及び第三十四條において同じ。)は、事業所ごとに、通商産業省令で定める区分に従い、高圧ガス作業主任者免状(以下「作業主任者免状」という。)の交付を受けている者のうちから、高圧ガス作業主任者(以下「作業主任者」という。)を選任し、高圧ガスの製造の作業に係る保安について監督を行わせなければならない。
2 第一種製造者は、前項の規定により作業主任者を選任したときは、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
(作業主任者免状)
第二十九條 作業主任者免状の種類は、甲種化学主任者免状、乙種化学主任者免状、甲種機械主任者免状、乙種機械主任者免状、第一種冷凍機械主任者免状、第二種冷凍機械主任者免状及び第三種冷凍機械主任者免状とする。
2 作業主任者免状の交付を受けている者がその保安について監督を行うことができる高圧ガスの製造の作業の範囲は、前項に掲げる作業主任者免状の種類に応じて通商産業省令で定める。
3 作業主任者免状は、高圧ガス作業主任者国家試験(以下「国家試験」という。)に合格した者であつて、通商産業省令で定める高圧ガスの製造の作業に関する経験を有する者でなければ、その交付を受けることができない。
4 左の各号の一に該当する者に対しては、作業主任者免状の交付を行わないことができる。
一 作業主任者免状の返納を命ぜられ、その日から二年を経過しない者
二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
5 作業主任者免状の交付に関する手続的事項は、通商産業省令で定める。
第三十條 通商産業大臣は、作業主任者免状の交付を受けている者がこの法律又はこの法律に基く命令の規定に違反したときは、その作業主任者免状の返納を命ずることができる。
(国家試験)
第三十一條 国家試験は、高圧ガスの製造及び高圧ガスによる災害の発生の防止に関して必要な知識及び技能について行う。
2 国家試験は、第二十九條第一項に規定する作業主任者免状の種類ごとに、毎年少くとも一回、通商産業大臣が行う。
3 国家試験の試験科目、受験手続その他国家試験の実施細目は、通商産業省令で定める。
(作業主任者等の義務)
第三十二條 作業主任者は、誠実にその職務を行わなければならない。
2 高圧ガスの製造に従事する者は、作業主任者がこの法律又はこの法律に基く命令及び危害予防規程の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。
(作業主任者の代理者)
第三十三條 第一種製造者は、第二十八條第一項の区分に従い、作業主任者免状を有する者のうちから、あらかじめ、作業主任者の代理者を選任し、作業主任者が旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合に、その職務を代行させなければならない。
2 第一種製造者は、前項の代理者を選任したときは、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
3 第一項の代理者は、作業主任者の職務を代行する場合は、この法律の規定の適用については、作業主任者とみなす。
(作業主任者等の解任命令)
第三十四條 都道府県知事は、作業主任者若しくはその代理者がこの法律若しくはこの法律に基く命令の規定に違反したとき、又はこれらの者にその職務を行わせることが公共の安全の維持若しくは災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、第一種製造者に対し、作業主任者又はその代理者の解任を命ずることができる。
(保安検査)
第三十五條 第一種製造者は、高圧ガスの爆発その他災害が発生するおそれがある製造のための施設であつて、通商産業省令で定めるものについて、都道府県知事が毎年定期に行う保安検査を受けなければならない。但し、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 前項の保安検査は、その施設が第八條第一号の技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。
(危險時の措置及び届出)
第三十六條 高圧ガスの製造のための施設、高圧ガス貯蔵所又は高圧ガスを充てんした容器が危險な状態となつたときは、高圧ガスの製造のための施設、高圧ガス貯蔵所又は高圧ガスを充てんした容器の所有者又は占有者は、直ちに、通商産業省令で定める災害の発生の防止のための応急の措置を講じなければならない。
2 前項の事態を発見した者は、直ちに、その旨を都道府県知事又は警察官若しくは警察吏員に届け出なければならない。
(火気等の制限)
第三十七條 何人も、第五條第一項若しくは第三項の事業所又は高圧ガス貯蔵所においては、第一種製造者若しくは第二種製造者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者が指定する場所で火気を取り扱つてはならない。
2 何人も、第一種製造者若しくは第二種製造者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者の承諾を得ないで、発火しやすい物を携帶して、前項に規定する場所に立ち入つてはならない。
(許可の取消等)
第三十八條 都道府県知事は、第一種製造者、販売業者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者が左の各号の一に該当するときは、第五條第一項、第六條若しくは第十六條第一項の許可を取り消し、又は期間を定めてその製造、販売若しくは貯蔵の停止を命ずることができる。但し、高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者にあつては、第六号の規定については、この限りでない。
一 第十一條第三項、第十二條第三項、第十五條第二項、第十八條第二項、第二十六條第三項、第三十四條若しくは次條第一号若しくは第三号の規定による命令又は次條第二号の規定による禁止若しくは制限に違反したとき。
二 第十四條第一項、第十九條第一項又は第二十二條第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。
三 第十六條第一項又は第二十八條第一項の規定に違反したとき。
四 第二十條の完成検査を受けないで、高圧ガスの製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所を使用したとき。
五 第六十五條第一項の條件に違反したとき。
六 第七條第二号から第四号までに該当するに至つたとき。
2 都道府県知事は、第二種製造者が左の各号の一に該当するときは、期間を定めてその製造の停止を命ずることができる。
一 第十二條第三項若しくは次條第一号若しくは第三号の規定による命令又は次條第二号の規定による禁止若しくは制限に違反したとき。
二 第二十二條第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。
(緊急措置)
第三十九條 通商産業大臣又は都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、左に掲げる措置をすることができる。
一 第一種製造者、第二種製造者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者に対し、製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所の全部又は一部の使用を一時停止すべきことを命ずること。
二 第一種製造者、第二種製造者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者その他高圧ガスを取り扱う者に対し、製造、引渡、貯蔵、移動、詰替、消費又は廃棄を一時禁止し、又は制限すること。
三 高圧ガス又はこれを充てんした容器の所有者又は占有者に対し、その廃棄又は所在場所の変更を命ずること。
第四章 容器、機器及び原料ガス
(製造事業の届出)
第四十條 高圧ガスを充てんするための容器(以下單に「容器」という。)の製造の事業を行う者(以下「容器製造業者」という。)は、事業所ごとに、事業開始の日の二十日前までに、製造をする容器の種類、製造のための設備及び製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(製造のための設備及び製造の方法)
第四十一條 容器製造業者は、製造のための設備を、通商産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 容器製造業者は、通商産業省令で定める技術上の基準に従つて容器の製造をしなければならない。
3 通商産業大臣は、容器製造業者の製造のための設備又は製造の方法が前二項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、その技術上の基準に適合するように製造のための設備を修理し、若しくは改造し、又はその技術上の基準に従つて容器の製造をすべきことを命ずることができる。
(製造のための設備等の変更)
第四十二條 容器製造業者は、製造のための設備の変更の工事をし、又は製造をする容器の種類若しくは製造の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、通商産業大臣に届け出なければならない。
(容器の輸入)
第四十三條 容器(高圧ガスを充てんした容器を除く。)の輸入をした者は、遅滯なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(容器検査)
第四十四條 容器の製造又は輸入をした者は、通商産業大臣が行う容器検査を受け、これに合格したものでなければ、当該容器を讓渡し、又は引き渡してはならない。但し、輸出その他の用途に供する容器であつて、通商産業大臣の許可を受けたもの及び高圧ガスを充てんして輸入されたものであつて、高圧ガスを充てんしてあるものについては、この限りでない。
2 前項の容器検査を受けようとする者は、その容器に充てんしようとする高圧ガスの種類及び圧力を明らかにしなければならない。
3 第一項の容器検査においては、その容器が通商産業省令で定める高圧ガスの種類及び圧力の大きさ別の容器の規格に適合するときは、これを合格とする。
(容器証明書)
第四十五條 通商産業大臣は、容器が容器検査に合格したときは、容器検査を受けた者に対し、容器証明書を交付しなければならない。
2 容器証明書は、他人に讓渡し、又は貸與してはならない。但し、容器とともに讓渡する場合は、この限りでない。
3 容器証明書の交付を受けている者がこれをよごし、損じ、又は失つたときは、その容器の所在場所を管轄する都道府県知事を経由して通商産業大臣に申請し、その再交付を受けることができる。
4 容器証明書の様式は、通商産業省令で定める。
(容器の表示)
第四十六條 容器検査を受けた者は、前條第一項の規定により容器証明書の交付を受けたときは、遅滯なく、その容器に、通商産業省令で定める方式による刻印及び表示をしなければならない。
2 何人も、前項又は第五十四條第三項に規定する場合の外、容器に、前項の刻印若しくは表示又はこれらと紛らわしい刻印若しくは表示をしてはならない。
(容器の讓渡等)
第四十七條 容器は、容器証明書とともにするのでなければ、讓渡し、又は讓り受けてはならない。但し、第二十二條第一項の許可を受け高圧ガスを充てんして輸入された容器であつて、当該高圧ガスを充てんしてあるものを讓渡し、若しくは讓り受ける場合、容器を輸出し、若しくは容器(高圧ガスを充てんしたものを除く。)を輸入する場合又はくず化し、その他容器として使用することができないように処分したものを讓渡し、若しくは讓り受ける場合は、この限りでない。
2 容器(前項但書に規定するものを除く。)を讓り受けた者は、遅滯なく、通商産業省令で定めるところにより、容器証明書に、裏書をしなければならない。
(充てん)
第四十八條 高圧ガスを容器に充てんする場合は、その容器は、左の各号に該当するものでなければならない。
一 その所有者が容器証明書の交付を受けているものであること。
二 通商産業省令で定める規格に適合するバルブを裝置してあること。
三 溶接その他第四十四條第三項の容器の規格に適合することを困難にするおそれがある方法で加工をした容器にあつては、その加工が通商産業省令で定める技術上の基準に従つてなされたものであること。
四 容器検査又は容器再検査を受けた後通商産業省令で定める期間を経過した容器又は損傷を受けた容器にあつては、容器再検査を受け、これに合格し、且つ、容器証明書にその旨の記載がされているものであること。
2 容器に充てんする高圧ガスは、容器証明書に記載された種類のものでなければならず、且つ、圧縮ガスにあつては、容器証明書に記載された圧力以上のものであり、液化ガスにあつては、通商産業省令で定める方法により、容器証明書に記載された内容積に応じて計算した質量以下のものでなければならない。
3 通商産業大臣が危險のおそれがないと認め、條件を附して許可した場合において、その條件に従つて高圧ガスを充てんするときは、前二項の規定は、適用しない。
(容器再検査)
第四十九條 容器再検査は、通商産業大臣又は通商産業大臣が行う容器検査所の登録を受けた者が行う。
2 容器再検査においては、その容器が通商産業省令で定める高圧ガスの種類及び圧力の大きさ別の規格に適合しているときは、これを合格とする。
3 通商産業大臣又は容器検査所の登録を受けた者は、容器が容器再検査に合格したときは、これに通商産業省令で定める方式による刻印をし、且つ、通商産業省令で定めるところにより、容器証明書に、裏書をしなければならない。
4 何人も、前項に規定する場合の外、容器に、前項の刻印又はこれと紛らわしい刻印をしてはならない。
5 容器検査所の登録を受けた者が容器再検査を行うべき場所は、その登録を受けた容器検査所とする。
(容器検査所の登録)
第五十條 容器検査所の登録は、三年ごとにその更新を受けなければ、効力を失う。
2 第七條各号の一に該当する者又は第五十三條の規定により登録を取り消され、取消の日から二年を経過しない者は、容器検査所の登録又はその更新を受けることができない。
3 通商産業大臣は、容器検査所の登録又はその更新の申請があつた場合において、その容器検査所の検査設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、登録又はその更新をしなければならない。
4 通商産業大臣は、容器再検査の実施を適正にするため特に必要があると認めるときは、容器検査所の登録又はその更新に際し、その容器検査所において容器再検査を行うことができる容器の種類を制限することができる。
(登録を受けた者の義務)
第五十一條 容器検査所の登録を受けた者は、容器再検査を行うべきことを求められたときは、正当な事由がある場合を除き、遅滯なく、容器再検査を行わなければならない。
2 容器検査所の登録を受けた者は、容器検査所の検査設備を、前條第三項の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
(検査主任者)
第五十二條 容器検査所の登録を受けた者は、容器検査所ごとに、通商産業省令で定める容器の製造の作業に関する知識及び経験を有する者又は作業主任者免状の交付を受けている者のうちから、検査主任者を選任し、容器再検査の実施について監督させなければならない。
2 容器検査所の登録を受けた者は、前項の規定により検査主任者を選任したときは、遅滯なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
3 検査主任者は、誠実にその職務を行わなければならない。
4 通商産業大臣は、検査主任者がこの法律若しくはこの法律に基く命令の規定に違反したとき、又はその者にその職務を行わせることが容器再検査の適正な実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、容器検査所の登録を受けた者に対し、検査主任者の解任を命ずることができる。
(登録の取消等)
第五十三條 通商産業大臣は、容器検査所の登録を受けた者が左の各号の一に該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて容器再検査の停止を命ずることができる。
一 第七條第二号から第四号までに該当するに至つたとき。
二 第四十九條第三項若しくは第四項、第五十一條又は前條第一項の規定に違反したとき。
三 第五十條第四項の規定による制限又は前條第四項の規定による命令に違反したとき。
四 第六十條の規定による帳簿の記載をせず、又は帳簿に虚僞の記載をしたとき。
五 容器検査所の登録を受けた者が第一種製造者である場合において、第三十八條第一項第一号から第五号までの規定により第五條第一項の許可を取り消されたとき。
(容器証明書の記載事項の書換)
第五十四條 容器の所有者は、その容器に充てんしようとする高圧ガスの種類又は圧力を変更しようとするときは、通商産業大臣に申請し、容器証明書の書換を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の書換の申請があつた場合において、変更後においてもその容器が第四十四條第三項の規格に適合すると認めるときは、書換を行わなければならない。
3 前項の書換を受けた者は、遅滯なく、当該容器に、第四十六條第一項に規定する刻印及び表示をしなければならない。
(容器証明書の返納)
第五十五條 容器証明書の交付を受けている者は、左に掲げる場合は、遅滯なく、その容器証明書を通商産業大臣に返納しなければならない。
一 容器再検査に合格しなかつた容器について三箇月以内に前條第一項の書換を受けることができなかつたとき。
二 容器を失つたとき。
三 容器を輸出したとき。
四 容器をくず化し、その他容器として使用することができないように処分したとき。
五 容器証明書の再交付を受けた場合において、その失つた容器証明書を回復するに至つたとき。
(くず化その他の処分)
第五十六條 通商産業大臣は、容器検査に合格しなかつた容器がこれに充てんする高圧ガスの種類又は圧力を変更しても第四十四條第三項の規格に適合しないと認めるときは、その所有者に対し、これをくず化し、その他容器として使用することができないように処分すべきことを命ずることができる。
2 容器の所有者は、容器再検査に合格しなかつた容器について三箇月以内に第五十四條第一項の書換を受けることができなかつたときは、遅滯なく、これをくず化し、その他容器として使用することができないように処分しなければならない。
(冷凍設備に用いる機器)
第五十七條 もつぱら冷凍設備に用いる機器であつて、通商産業省令で定めるもの(以下「機器」という。)の製造の事業を行う者(以下「機器製造業者」という。)は、事業所ごとに、事業開始の日から三十日以内に、製造をする機器の種類及び製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
2 前項の規定により届け出た者は、その製造をする機器の種類又は製造の方法を変更したときは、遅滯なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 機器の製造の技術上の基準は、その機器を用いた設備が第八條第一号又は第十二條第一項の技術上の基準に適合することを確保するように通商産業省令で定める。
(原料ガス)
第五十八條 第一種製造者に対し、その製造をする高圧ガスの原料として、導管により供給するため、可燃性又は支燃性のガスであつて通商産業省令で定めるものの製造の事業を行う者は、事業所ごとに、事業開始の日から三十日以内に、供給するガスの種類及びその製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定により届け出た者は、その供給するガスの種類又はその製造の方法を変更したときは、遅滯なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 第一項に規定する者は、同項のガスを原料とする高圧ガスの製造が第八條第二号の技術上の基準に適合することを確保するように通商産業省令で定める技術上の基準に従つて同項のガスの製造をしなければならない。
(容器製造等の廃止の届出)
第五十九條 容器製造業者、機器製造業者若しくは前條第一項に規定する者又は容器検査所の登録を受けた者は、製造の事業又は容器再検査の業務を廃止したときは、遅滯なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
第五章 雑則
(帳簿)
第六十條 第一種製造者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者、容器製造業者及び容器検査所の登録を受けた者は、帳簿を備え、高圧ガス若しくは容器の製造、販売若しくは出納又は容器再検査について、通商産業省令で定める事項を記載しなければならない。
(報告の徴收)
第六十一條 通商産業大臣又は都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、第一種製造者、第二種製造者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者、高圧ガスの輸入をした者、容器製造業者、容器の輸入をした者、容器検査所の登録を受けた者又は機器製造業者に対し、その業務に関し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第六十二條 通商産業大臣又は都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、その職員に、高圧ガスの製造をする者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者、高圧ガスを貯蔵し、若しくは消費する者、高圧ガスの輸入をした者、容器の製造をする者、容器の輸入をした者又は容器検査所の登録を受けた者の事務所、営業所、工場、事業場、高圧ガス若しくは容器の保管場所又は容器検査所に立ち入り、その者の帳簿書類その他必要な物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最少限度の容積に限り高圧ガスを收去させることができる。
2 警察官又は警察吏員は、人の生命、身体又は財産に対する危害を予防するため特に必要があるときは、高圧ガスの製造若しくは消費の場所又は高圧ガス貯蔵所その他の高圧ガスの保管場所に立ち入り、関係者に質問することができる。
3 前二項の職員は、その身分を示す証票を携帶し、関係者に呈示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査、質問及び收去の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(事故届)
第六十三條 第一種製造者、第二種製造者、販売業者、高圧ガスを貯蔵し、又は消費する者、容器製造業者、容器の輸入をした者その他高圧ガス又は容器を取り扱う者は、左に掲げる場合は、遅滯なく、その旨を都道府県知事又は警察官若しくは警察吏員に届け出なければならない。
一 その所有し、又は占有する高圧ガスについて災害が発生したとき。
二 その所有し、若しくは占有する高圧ガス若しくは容器又は容器証明書を喪失し、又は盜取されたとき。
2 通商産業大臣又は都道府県知事は、前項第一号の場合は、所有者又は占有者に対し、災害発生の日時、場所及び原因、高圧ガスの種類及び数量、被害の程度その他必要な事項につき報告を命ずることができる。
(現状変更の禁止)
第六十四條 何人も、高圧ガスによる災害が発生したときは、交通の確保その他公共の利益のためやむを得ない場合を除き、通商産業大臣、都道府県知事又は警察官若しくは警察吏員の指示なく、その現状を変更してはならない。但し、第三十六條第一項の規定による措置を講ずる場合は、この限りでない。
(許可の條件)
第六十五條 第五條第一項、第六條、第十六條第一項又は第二十二條第一項の許可には、條件を附することができる。
2 前項の條件は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止を図るため必要な最少限度のものに限り、且つ、許可を受ける者に不当の義務を課することとならないものでなければならない。
(保安管理員)
第六十六條 第六十二條第一項に規定する職員の職務を行わせるために、通商産業省及び都道府県に保安管理員を置く。
(高圧ガス保安審議会)
第六十七條 通商産業省に、高圧ガス保安審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第六十八條 審議会は、国家試験その他高圧ガスの保安に関する重要な事項について、通商産業大臣の諮問に応じて答申し、又は通商産業大臣に建議する。
第六十九條 審議会は、会長一人及び委員三十人以内で組織する。
2 会長及び委員は、関係行政機関の職員及び高圧ガスの保安に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。
第七十條 学識経験のある者のうちから任命された会長及び委員の任期は、六箇月とする。但し、再任を妨げない。
第七十一條 会長及び委員は、非常勤とする。
第七十二條 前五條に定めるものの外、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
(手数料)
第七十三條 左の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
手数料を納付すべき者
金額
一 第五條第一項の許可を受けようとする者
七千円
二 第六條の許可を受けようとする者
五千円
三 第十四條第一項の許可を受けようとする者
五千円
四 第十六條第一項の許可を受けようとする者
二千円
五 第十九條第一項の許可を受けようとする者
千円
六 第二十條の完成検査を受けようとする者
三千円
七 第二十二條第一項の許可を受けようとする者
二千円
八 国家試験を受けようとする者
八百円
九 作業主任者免状の再交付を受けようとする者
二百円
十 容器検査又は容器再検査(容器検査所の登録を受けた者が行うものを除く。)を受けようとする者
イ 内容積五百リツトル未満の容器
一個につき
六十円
ロ 内容積五百リツトル以上千リツトル未満の容器
一個につき
千円
ハ 内容積千リツトル以上の容器
一個につき
千円に千リツトル又はその端数を増すごとに五十円を加算した額
十一 第四十五條第三項の規定による容器証明書の再交付を受けようとする者
六十円
十二 容器検査所の登録又はその更新を受けようとする者
千円
2 前項の手数料は、国家試験を受けようとする者、作業主任者免状の再交付を受けようとする者及び通商産業大臣が行う容器検査、容器再検査又は容器検査所の登録若しくはその更新を受けようとする者の納付するものについては、国庫の、その他のものについては、当該都道府県(同項の表第十一号に掲げる者の納付する手数料にあつては、その容器が所在する都道府県)の收入とする。
(通商産業大臣と公安委員会との関係等)
第七十四條 通商産業大臣又は都道府県知事は、第五條第一項、第六條若しくは第十六條第一項の許可をし、第五條第三項若しくは第二十一條第一項、第二項(第二種製造者に係る部分に限る。)、第三項若しくは第四項の規定による届出を受理し、又は第三十八條第一項の規定により許可の取消をしたときは、政令で定める区分により、その旨を都道府県公安委員会、市町村公安委員会又は特別区公安委員会に通報しなければならない。
2 警察官又は警察吏員は、第三十六條第二項又は第六十三條第一項の規定による届出を受理したときは、すみやかに、その旨を当該都道府県知事に通報しなければならない。
(公聽会)
第七十五條 通商産業大臣は、第八條第一号若しくは第二号、第十二條第一項若しくは第二項、第十五條第一項、第十六條第二項、第二十二條第二項、第二十三條から第二十五條まで、第四十一條第一項若しくは第二項、第四十四條第三項、第四十九條第二項、第五十條第三項、第五十七條第三項又は第五十八條第三項の命令を制定しようとするときは、公聽会を開き、広く一般の意見を聞かなければならない。
(聽聞)
第七十六條 行政庁は、第九條、第三十條、第三十四條、第三十八條、第五十二條第四項又は第五十三條の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対して相当な期間を置いて予告した上、公開による聽聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聽聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を與えなければならない。
(不服の申立)
第七十七條 この法律又はこの法律に基く命令の規定による行政庁の処分に対して不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて、当該行政庁に不服の申立をすることができる。
(決定)
第七十八條 行政庁は、前條の不服の申立があつたときは、第七十六條の例により公開の聽聞をした後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
(権限の委任)
第七十九條 この法律又はこの法律に基く命令の規定により通商産業大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、他の行政機関(都道府県知事を含む。)に行わせることができる。
第六章 罰則
第八十條 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五條第一項の許可を受けないで高圧ガスの製造をした者
二 第二十二條第一項の許可を受けないで高圧ガスの輸入をした者
三 第三十八條第一項の規定による製造の停止の命令に違反した者
四 第三十九條第一号の規定による製造のための施設の使用の停止の命令又は同條第二号の規定による製造の禁止若しくは制限に違反した者
五 第五十三條の規定による命令に違反した者
第八十一條 左の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第六條の許可を受けないで高圧ガスの販売の事業を営んだ者
二 第十四條第一項の許可を受けないで製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事をし、又は製造をする高圧ガスの種類若しくは製造の方法を変更した者
三 第十六條第一項、第二十條、第二十八條第一項、第三十三條第一項、第四十八條第一項若しくは第二項、第五十一條第一項又は第五十二條第一項の規定に違反した者
四 第十九條第一項の許可を受けないで高圧ガス貯蔵所の位置、構造又は設備の変更の工事をした者
五 第二十六條第一項の認可を受けないで高圧ガスの製造をした者
六 第三十八條第一項の規定による販売若しくは貯蔵の停止又は同條第二項の規定による製造の停止の命令に違反した者
七 第三十九條第一号の規定による高圧ガス貯蔵所の使用の停止の命令、同條第二号の規定による引渡、貯蔵、移動、詰替、消費若しくは廃棄の禁止若しくは制限又は同條第三号の規定による命令に違反した者
八 第四十六條第一項、第四十九條第三項又は第五十四條第三項の規定による刻印若しくは表示をせず、又は虚僞の刻印若しくは表示をした者
九 第四十七條第二項又は第四十九條第三項の規定による裏書をせず、又は虚僞の裏書をした者
十 第五十條第四項の制限に違反した者
十一 第六十五條の條件に違反した者
第八十二條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十一條第一項若しくは第二項、第十五條第一項、第十八條第一項、第二十三條から第二十五條まで、第三十七條、第四十四條第一項、第四十五條第二項、第四十六條第二項、第四十九條第四項又は第五十一條第二項の規定に違反した者
二 第二十二條第三項の規定による検査を受けない者
三 第四十一條第三項の規定による命令に違反した者
第八十三條 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第五條第二項若しくは第三項、第十條第二項、第十四條第三項、第十七條第二項、第二十一條、第二十八條第二項、第三十三條第二項、第四十條、第四十二條、第四十三條、第五十二條第二項、第五十七條第一項若しくは第二項、第五十八條第一項若しくは第二項、第五十九條又は第六十三條第一項の規定による届出をせず、又は虚僞の届出をした者
二 第十二條第一項若しくは第二項、第十三條、第三十六條第一項、第四十七條第一項、第五十五條、第五十六條第二項、第五十八條第三項又は第六十四條の規定に違反した者
三 第三十條又は第五十六條第一項の規定による命令に違反した者
四 第三十五條第一項又は第六十二條第一項の規定による検査又は收去を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 第六十條の規定による帳簿の記載をせず、又は虚僞の記載をした者
六 第六十一條又は第六十三條第二項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
七 第六十二條第一項又は第二項の規定による質問に対し、答弁をせず又は虚僞の答弁をした者
(両罰規定)
第八十四條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して六箇月をこえない期間内において政令で定める。但し、第七十五條の規定は、公布の日から施行する。
2 圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法(大正十一年法律第三十一号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
3 旧法の規定によつてした処分、手続その他の行為は、この法律中にこれに相当する規定があるときは、この法律によつてしたものとみなす。
4 この法律の施行の際、現に旧法第一條の許可を受けて貯蔵室又は貯蔵所を有している者は、第十六條第一項の許可を受けたものとみなす。
5 旧圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法施行令(昭和十一年内務省令第二十三号。以下「旧令」という。)の規定により交付された丙種機械主任者免状は、この法律の規定による第三種冷凍機械主任者免状とみなす。
6 この法律の施行の際、現に高圧ガスの製造をしている者(第五條第一項各号に掲げる者を除く。)、容器の製造の事業を行つている者、機器の製造の事業を行つている者又は第五十八條第一項に規定する事業を行つている者が第五條第二項若しくは第三項、第四十條、第五十七條第一項又は第五十八條第一項の規定によりなすべき届出については、第五條第二項、第五十七條第一項及び第五十八條第一項において「事業開始の日から三十日以内に、」とあり、第五條第三項において「製造開始の日の二十日前までに、」とあり、並びに第四十條中「事業開始の日の二十日前までに、」とあるのは、「この法律の施行後三箇月以内に、」と読み替えるものとする。
7 この法律の施行の際、現に旧法第一條の許可を受け、高圧ガスの製造をしている者については、この法律の施行の日から五箇月間は、第二十六條第一項の規定は、適用しない。
8 通商産業省設置法(昭和二十四年法律第百二号)の一部を次のように改正する。
第四條第一項第二十九号中「圧縮ガス若しくは液化ガス」及び第十四條第一項第七号中「圧縮ガス及び液化ガス」を「高圧ガス」に改める。
9 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 吉田茂
通商産業大臣 横尾龍
高圧ガス取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月七日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四号
高圧ガス取締法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
事業(第五条―第二十五条)
第三章
保安(第二十六条―第三十九条)
第四章
容器、機器及び原料ガス(第四十条―第五十九条)
第五章
雑則(第六十条―第七十九条)
第六章
罰則(第八十条―第八十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、高圧ガスの製造、販売、貯蔵、移動その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制することにより、高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「高圧ガス」とは、左の各号に掲げるものをいう。
一 常用の温度において圧力(ゲージ圧力をいう。以下同じ。)が十キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮ガスであつて現にその圧力が十キログラム毎平方センチメートル以上であるもの又は温度三十五度において圧力が十キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮ガス(圧縮アセチレンガスを除く。)
二 常用の温度において圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮アセチレンガスであつて現にその圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上であるもの又は温度十五度において圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上となる圧縮アセチレンガス
三 温度三十五度において圧力が二キログラム毎平方センチメートル以上となる液化ガス
四 前号に掲げるものを除く外、温度三十五度において圧力零キログラム毎平方センチメートルをこえる液化ガスのうち、シアン化水素ガス、フレオン十一ガス、ブロムメチルガス又はその他の液化ガスであつて、政令で定めるもの
(適用除外)
第三条 この法律の規定は、左の各号に掲げる高圧ガスについては、適用しない。
一 高圧ボイラー及びその導管内における高圧蒸気
二 圧力式ケーブル内における高圧窒素ガス
三 内燃機関の始動、自動車用タイヤの空気の充てん、びよう打若しくはさく岩又は道路工事若しくは鉄道工事の用に供する圧縮装置内における圧縮空気
四 一馬力以下の動力を使用する冷凍設備内における高圧ガス
五 その他災害の発生のおそれがない高圧ガスであつて、政令で定めるもの
2 第四十条から第五十六条まで、第五十九条から第六十三条までの規定は、内容積一デシリツトル以下の容器及び密閉しないで用いられる容器については、適用しない。
(国に対する適用)
第四条 この法律の規定は、第七十三条及び第六章の規定を除き、国に適用があるものとする。この場合において「許可」又は「認可」とあるのは、「承認」と読み替えるものとする。
第二章 事業
(製造の許可等)
第五条 左の各号の一に該当する者は、事業所ごとに、都道府県知事の許可を受けなければならない。
一 圧縮、液化その他の方法で処理することができるガスの容積(温度零度、圧力零キログラム毎平方センチメートルの状態に換算した容積をいう。以下同じ。)が一日三十立方メートル以上である設備を使用して高圧ガスの製造(容器に充てんすることを含む。以下同じ。)をしようとする者(次号及び第三項に規定する者を除く。)
二 一日の冷凍能力が二十トン以上の設備を使用して冷凍(冷凍設備を使用してする暖房を含む。以下同じ。)のためガスを圧縮し、又は液化して高圧ガスの製造をしようとする者
2 高圧ガスの製造の事業を行う者(前項第一号に掲げる者及び冷凍のため高圧ガスの製造をする者を除く。)は、事業所ごとに、事業開始の日から三十日以内に、製造をする高圧ガスの種類及び製造のための設備を記載した書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 冷凍のためガスを圧縮し、又は液化して高圧ガスの製造をする者(第一項第二号に掲げる者を除く。以下「第二種製造者」という。)は、事業所ごとに、製造開始の日の二十日前までに、製造をする高圧ガスの種類、製造のための施設の位置、構造及び設備並びに製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 第一項第二号の冷凍能力は、通商産業省令で定める基準に従つて算定するものとする。
(販売事業の許可)
第六条 高圧ガスの販売の事業を営もうとする者は、販売所ごとに、都道府県知事の許可を受けなければならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。
一 前条第一項の許可を受けた者(以下「第一種製造者」という。)であつて、同項第一号に規定する者がその製造をした高圧ガスをその事業所において販売するとき。
二 医療用の圧縮酸素の販売の事業を営む者が貯蔵数量が常時五立方メートル未満の販売所において販売するとき。
(許可の欠格事由)
第七条 左の各号の一に該当する者は、第五条第一項又は前条の許可を受けることができない。
一 第三十八条第一項の規定により許可を取り消され、取消の日から二年を経過しない者
二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
三 禁治産者
四 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前各号の一に該当する者があるもの
(許可の基準)
第八条 都道府県知事は、第五条第一項又は第六条の許可の申請があつた場合には、その申請を審査し、第五条第一項の許可の申請については左の各号に適合し、第六条の許可の申請については第三号に適合していると認めるときは、許可を与えなければならない。
一 製造のための施設の位置、構造及び設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
二 製造の方法が通商産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
三 その他製造又は販売が公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがないものであること。
(許可の取消)
第九条 都道府県知事は、第一種製造者又は第六条の許可を受けた者(以下「販売業者」という。)が正当な事由がないのに、一年以内に製造若しくは販売の事業を開始せず、又は一年以上引き続き製造若しくは販売の事業を休止したときは、その許可を取り消すことができる。
(承継)
第十条 第一種製造者又は販売業者について相続又は合併があつた場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、第一種製造者又は販売業者の地位を承継する。
2 前項の規定により第一種製造者又は販売業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(製造のための施設及び製造の方法)
第十一条 第一種製造者は、製造のための施設を、その位置、構造及び設備が第八条第一号の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 第一種製造者は、第八条第二号の技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をしなければならない。
3 都道府県知事は、第一種製造者の製造のための施設又は製造の方法が第八条第一号又は第二号の技術上の基準に適合していないと認めるときは、その技術上の基準に適合するように製造のための施設を修理し、改造し、若しくは移転し、又はその技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をすべきことを命ずることができる。
第十二条 第二種製造者は、製造のための施設を、その位置、構造及び設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 第二種製造者は、通商産業省令で定める技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をしなければならない。
3 都道府県知事は、第二種製造者の製造のための施設又は製造の方法が前二項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、その技術上の基準に適合するように製造のための施設を修理し、改造し、若しくは移転し、又はその技術上の基準に従つて高圧ガスの製造をすべきことを命ずることができる。
第十三条 第五条第二項に規定する者は、第八条第二号の技術上の基準に従つて高圧ガスを容器に充てんしなければならない。
(製造のための施設等の変更)
第十四条 第一種製造者は、製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事をし、又は製造をする高圧ガスの種類若しくは製造の方法を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 第八条の規定は、前項の許可に準用する。
3 第二種製造者は、製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事をし、又は製造をする高圧ガスの種類若しくは製造の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に届け出なければならない。
(貯蔵)
第十五条 高圧ガスの貯蔵は、通商産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。但し、通商産業省令で定める容積以下の高圧ガスについては、この限りでない。
2 都道府県知事は、高圧ガスの貯蔵が前項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、高圧ガスを貯蔵する者に対し、その技術上の基準に従つて高圧ガスを貯蔵すべきことを命ずることができる。
(貯蔵所)
第十六条 容積三百立方メートル以上の高圧ガスを貯蔵するときは、あらかじめ都道府県知事の許可を受けて設置する貯蔵所(以下「高圧ガス貯蔵所」という。)においてしなければならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、その高圧ガス貯蔵所の位置、構造及び設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、許可を与えなければならない。
3 第一項の場合において、貯蔵する高圧ガスが液化ガス又は液化ガス及び圧縮ガスであるときは、液化ガス十キログラムをもつて容積一立方メートルとみなして、同項の規定を適用する。
第十七条 高圧ガス貯蔵所の譲渡又は引渡があつたときは、譲受人又は引渡を受けた者は、高圧ガス貯蔵所の設置の許可を受けた者の地位を承継する。
2 前項の規定により高圧ガス貯蔵所の設置の許可を受けた者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第十八条 高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者は、高圧ガス貯蔵所を、その位置、構造及び設備が第十六条第二項の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 都道府県知事は、高圧ガス貯蔵所の位置、構造及び設備が第十六条第二項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、所有者又は占有者に対し、その技術上の基準に適合するように、高圧ガス貯蔵所を修理し、改造し、又は移転すべきことを命ずることができる。
第十九条 高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者は、高圧ガス貯蔵所の位置、構造又は設備の変更の工事をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 第十六条第二項の規定は、前項の許可に準用する。
(完成検査)
第二十条 第五条第一項、第十四条第一項、第十六条第一項又は前条第一項の許可を受けた者は、高圧ガスの製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所の設置又はその位置、構造若しくは設備の変更の工事を完成したときは、製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所につき、都道府県知事が行う完成検査を受け、これらが第八条第一号又は第十六条第二項の技術上の基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。
(製造等の廃止等の届出)
第二十一条 第一種製造者は、高圧ガスの製造を開始し、又は廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 第五条第二項に規定する者又は第二種製造者は、高圧ガスの製造を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 販売業者は、高圧ガスの販売の事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者は、高圧ガス貯蔵所の用途を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(輸入)
第二十二条 高圧ガスの輸入をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、輸入をしようとする高圧ガスの性状及びその容器が通商産業省令で定める技術上の基準に適合し、且つ、その輸入が公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項の許可を与えなければならない。
3 第一項の許可を受けて高圧ガスの輸入をした者は、遅滞なく、その高圧ガス及びその容器につき、都道府県知事が行う検査を受けなければならない。
(移動)
第二十三条 高圧ガスを移動するには、その容器について、通商産業省令で定める保安上必要な措置を講じなければならない。
2 導管により高圧ガスを輸送するには、通商産業省令で定める技術上の基準に従つてその導管を設置し、及び維持しなければならない。
(詰替)
第二十四条 高圧ガスの詰替は、詰替の場所、使用すべき計量器その他の機械器具その他詰替の方法について通商産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
(消費及び廃棄)
第二十五条 通商産業省令で定める高圧ガスの消費及び廃棄は、消費及び廃棄の場所、数量その他消費及び廃棄の方法について通商産業省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
第三章 保安
(危害予防規程)
第二十六条 第一種製造者は、危害予防規程を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
2 都道府県知事は、危害予防規程が第八条第一号及び第二号の技術上の基準に適合していないとき、その他公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、前項の認可をしてはならない。
3 都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、危害予防規程の変更を命ずることができる。
4 第一種製造者及びその従業者は、危害予防規程を守らなければならない。
(保安教育)
第二十七条 第一種製造者、第二種製造者、販売業者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者は、従業者に高圧ガスによる災害の発生の防止に必要な教育を施さなければならない。
(作業主任者)
第二十八条 第一種製造者(一日に製造をする高圧ガスの容積が通商産業省令で定める容積以下である者その他通商産業省令で定める者を除く。以下この条、第三十三条及び第三十四条において同じ。)は、事業所ごとに、通商産業省令で定める区分に従い、高圧ガス作業主任者免状(以下「作業主任者免状」という。)の交付を受けている者のうちから、高圧ガス作業主任者(以下「作業主任者」という。)を選任し、高圧ガスの製造の作業に係る保安について監督を行わせなければならない。
2 第一種製造者は、前項の規定により作業主任者を選任したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
(作業主任者免状)
第二十九条 作業主任者免状の種類は、甲種化学主任者免状、乙種化学主任者免状、甲種機械主任者免状、乙種機械主任者免状、第一種冷凍機械主任者免状、第二種冷凍機械主任者免状及び第三種冷凍機械主任者免状とする。
2 作業主任者免状の交付を受けている者がその保安について監督を行うことができる高圧ガスの製造の作業の範囲は、前項に掲げる作業主任者免状の種類に応じて通商産業省令で定める。
3 作業主任者免状は、高圧ガス作業主任者国家試験(以下「国家試験」という。)に合格した者であつて、通商産業省令で定める高圧ガスの製造の作業に関する経験を有する者でなければ、その交付を受けることができない。
4 左の各号の一に該当する者に対しては、作業主任者免状の交付を行わないことができる。
一 作業主任者免状の返納を命ぜられ、その日から二年を経過しない者
二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
5 作業主任者免状の交付に関する手続的事項は、通商産業省令で定める。
第三十条 通商産業大臣は、作業主任者免状の交付を受けている者がこの法律又はこの法律に基く命令の規定に違反したときは、その作業主任者免状の返納を命ずることができる。
(国家試験)
第三十一条 国家試験は、高圧ガスの製造及び高圧ガスによる災害の発生の防止に関して必要な知識及び技能について行う。
2 国家試験は、第二十九条第一項に規定する作業主任者免状の種類ごとに、毎年少くとも一回、通商産業大臣が行う。
3 国家試験の試験科目、受験手続その他国家試験の実施細目は、通商産業省令で定める。
(作業主任者等の義務)
第三十二条 作業主任者は、誠実にその職務を行わなければならない。
2 高圧ガスの製造に従事する者は、作業主任者がこの法律又はこの法律に基く命令及び危害予防規程の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。
(作業主任者の代理者)
第三十三条 第一種製造者は、第二十八条第一項の区分に従い、作業主任者免状を有する者のうちから、あらかじめ、作業主任者の代理者を選任し、作業主任者が旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合に、その職務を代行させなければならない。
2 第一種製造者は、前項の代理者を選任したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
3 第一項の代理者は、作業主任者の職務を代行する場合は、この法律の規定の適用については、作業主任者とみなす。
(作業主任者等の解任命令)
第三十四条 都道府県知事は、作業主任者若しくはその代理者がこの法律若しくはこの法律に基く命令の規定に違反したとき、又はこれらの者にその職務を行わせることが公共の安全の維持若しくは災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、第一種製造者に対し、作業主任者又はその代理者の解任を命ずることができる。
(保安検査)
第三十五条 第一種製造者は、高圧ガスの爆発その他災害が発生するおそれがある製造のための施設であつて、通商産業省令で定めるものについて、都道府県知事が毎年定期に行う保安検査を受けなければならない。但し、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 前項の保安検査は、その施設が第八条第一号の技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。
(危険時の措置及び届出)
第三十六条 高圧ガスの製造のための施設、高圧ガス貯蔵所又は高圧ガスを充てんした容器が危険な状態となつたときは、高圧ガスの製造のための施設、高圧ガス貯蔵所又は高圧ガスを充てんした容器の所有者又は占有者は、直ちに、通商産業省令で定める災害の発生の防止のための応急の措置を講じなければならない。
2 前項の事態を発見した者は、直ちに、その旨を都道府県知事又は警察官若しくは警察吏員に届け出なければならない。
(火気等の制限)
第三十七条 何人も、第五条第一項若しくは第三項の事業所又は高圧ガス貯蔵所においては、第一種製造者若しくは第二種製造者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者が指定する場所で火気を取り扱つてはならない。
2 何人も、第一種製造者若しくは第二種製造者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者の承諾を得ないで、発火しやすい物を携帯して、前項に規定する場所に立ち入つてはならない。
(許可の取消等)
第三十八条 都道府県知事は、第一種製造者、販売業者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者が左の各号の一に該当するときは、第五条第一項、第六条若しくは第十六条第一項の許可を取り消し、又は期間を定めてその製造、販売若しくは貯蔵の停止を命ずることができる。但し、高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者にあつては、第六号の規定については、この限りでない。
一 第十一条第三項、第十二条第三項、第十五条第二項、第十八条第二項、第二十六条第三項、第三十四条若しくは次条第一号若しくは第三号の規定による命令又は次条第二号の規定による禁止若しくは制限に違反したとき。
二 第十四条第一項、第十九条第一項又は第二十二条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。
三 第十六条第一項又は第二十八条第一項の規定に違反したとき。
四 第二十条の完成検査を受けないで、高圧ガスの製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所を使用したとき。
五 第六十五条第一項の条件に違反したとき。
六 第七条第二号から第四号までに該当するに至つたとき。
2 都道府県知事は、第二種製造者が左の各号の一に該当するときは、期間を定めてその製造の停止を命ずることができる。
一 第十二条第三項若しくは次条第一号若しくは第三号の規定による命令又は次条第二号の規定による禁止若しくは制限に違反したとき。
二 第二十二条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。
(緊急措置)
第三十九条 通商産業大臣又は都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、左に掲げる措置をすることができる。
一 第一種製造者、第二種製造者又は高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者に対し、製造のための施設又は高圧ガス貯蔵所の全部又は一部の使用を一時停止すべきことを命ずること。
二 第一種製造者、第二種製造者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者その他高圧ガスを取り扱う者に対し、製造、引渡、貯蔵、移動、詰替、消費又は廃棄を一時禁止し、又は制限すること。
三 高圧ガス又はこれを充てんした容器の所有者又は占有者に対し、その廃棄又は所在場所の変更を命ずること。
第四章 容器、機器及び原料ガス
(製造事業の届出)
第四十条 高圧ガスを充てんするための容器(以下単に「容器」という。)の製造の事業を行う者(以下「容器製造業者」という。)は、事業所ごとに、事業開始の日の二十日前までに、製造をする容器の種類、製造のための設備及び製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(製造のための設備及び製造の方法)
第四十一条 容器製造業者は、製造のための設備を、通商産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 容器製造業者は、通商産業省令で定める技術上の基準に従つて容器の製造をしなければならない。
3 通商産業大臣は、容器製造業者の製造のための設備又は製造の方法が前二項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、その技術上の基準に適合するように製造のための設備を修理し、若しくは改造し、又はその技術上の基準に従つて容器の製造をすべきことを命ずることができる。
(製造のための設備等の変更)
第四十二条 容器製造業者は、製造のための設備の変更の工事をし、又は製造をする容器の種類若しくは製造の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、通商産業大臣に届け出なければならない。
(容器の輸入)
第四十三条 容器(高圧ガスを充てんした容器を除く。)の輸入をした者は、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(容器検査)
第四十四条 容器の製造又は輸入をした者は、通商産業大臣が行う容器検査を受け、これに合格したものでなければ、当該容器を譲渡し、又は引き渡してはならない。但し、輸出その他の用途に供する容器であつて、通商産業大臣の許可を受けたもの及び高圧ガスを充てんして輸入されたものであつて、高圧ガスを充てんしてあるものについては、この限りでない。
2 前項の容器検査を受けようとする者は、その容器に充てんしようとする高圧ガスの種類及び圧力を明らかにしなければならない。
3 第一項の容器検査においては、その容器が通商産業省令で定める高圧ガスの種類及び圧力の大きさ別の容器の規格に適合するときは、これを合格とする。
(容器証明書)
第四十五条 通商産業大臣は、容器が容器検査に合格したときは、容器検査を受けた者に対し、容器証明書を交付しなければならない。
2 容器証明書は、他人に譲渡し、又は貸与してはならない。但し、容器とともに譲渡する場合は、この限りでない。
3 容器証明書の交付を受けている者がこれをよごし、損じ、又は失つたときは、その容器の所在場所を管轄する都道府県知事を経由して通商産業大臣に申請し、その再交付を受けることができる。
4 容器証明書の様式は、通商産業省令で定める。
(容器の表示)
第四十六条 容器検査を受けた者は、前条第一項の規定により容器証明書の交付を受けたときは、遅滞なく、その容器に、通商産業省令で定める方式による刻印及び表示をしなければならない。
2 何人も、前項又は第五十四条第三項に規定する場合の外、容器に、前項の刻印若しくは表示又はこれらと紛らわしい刻印若しくは表示をしてはならない。
(容器の譲渡等)
第四十七条 容器は、容器証明書とともにするのでなければ、譲渡し、又は譲り受けてはならない。但し、第二十二条第一項の許可を受け高圧ガスを充てんして輸入された容器であつて、当該高圧ガスを充てんしてあるものを譲渡し、若しくは譲り受ける場合、容器を輸出し、若しくは容器(高圧ガスを充てんしたものを除く。)を輸入する場合又はくず化し、その他容器として使用することができないように処分したものを譲渡し、若しくは譲り受ける場合は、この限りでない。
2 容器(前項但書に規定するものを除く。)を譲り受けた者は、遅滞なく、通商産業省令で定めるところにより、容器証明書に、裏書をしなければならない。
(充てん)
第四十八条 高圧ガスを容器に充てんする場合は、その容器は、左の各号に該当するものでなければならない。
一 その所有者が容器証明書の交付を受けているものであること。
二 通商産業省令で定める規格に適合するバルブを装置してあること。
三 溶接その他第四十四条第三項の容器の規格に適合することを困難にするおそれがある方法で加工をした容器にあつては、その加工が通商産業省令で定める技術上の基準に従つてなされたものであること。
四 容器検査又は容器再検査を受けた後通商産業省令で定める期間を経過した容器又は損傷を受けた容器にあつては、容器再検査を受け、これに合格し、且つ、容器証明書にその旨の記載がされているものであること。
2 容器に充てんする高圧ガスは、容器証明書に記載された種類のものでなければならず、且つ、圧縮ガスにあつては、容器証明書に記載された圧力以上のものであり、液化ガスにあつては、通商産業省令で定める方法により、容器証明書に記載された内容積に応じて計算した質量以下のものでなければならない。
3 通商産業大臣が危険のおそれがないと認め、条件を附して許可した場合において、その条件に従つて高圧ガスを充てんするときは、前二項の規定は、適用しない。
(容器再検査)
第四十九条 容器再検査は、通商産業大臣又は通商産業大臣が行う容器検査所の登録を受けた者が行う。
2 容器再検査においては、その容器が通商産業省令で定める高圧ガスの種類及び圧力の大きさ別の規格に適合しているときは、これを合格とする。
3 通商産業大臣又は容器検査所の登録を受けた者は、容器が容器再検査に合格したときは、これに通商産業省令で定める方式による刻印をし、且つ、通商産業省令で定めるところにより、容器証明書に、裏書をしなければならない。
4 何人も、前項に規定する場合の外、容器に、前項の刻印又はこれと紛らわしい刻印をしてはならない。
5 容器検査所の登録を受けた者が容器再検査を行うべき場所は、その登録を受けた容器検査所とする。
(容器検査所の登録)
第五十条 容器検査所の登録は、三年ごとにその更新を受けなければ、効力を失う。
2 第七条各号の一に該当する者又は第五十三条の規定により登録を取り消され、取消の日から二年を経過しない者は、容器検査所の登録又はその更新を受けることができない。
3 通商産業大臣は、容器検査所の登録又はその更新の申請があつた場合において、その容器検査所の検査設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、登録又はその更新をしなければならない。
4 通商産業大臣は、容器再検査の実施を適正にするため特に必要があると認めるときは、容器検査所の登録又はその更新に際し、その容器検査所において容器再検査を行うことができる容器の種類を制限することができる。
(登録を受けた者の義務)
第五十一条 容器検査所の登録を受けた者は、容器再検査を行うべきことを求められたときは、正当な事由がある場合を除き、遅滞なく、容器再検査を行わなければならない。
2 容器検査所の登録を受けた者は、容器検査所の検査設備を、前条第三項の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
(検査主任者)
第五十二条 容器検査所の登録を受けた者は、容器検査所ごとに、通商産業省令で定める容器の製造の作業に関する知識及び経験を有する者又は作業主任者免状の交付を受けている者のうちから、検査主任者を選任し、容器再検査の実施について監督させなければならない。
2 容器検査所の登録を受けた者は、前項の規定により検査主任者を選任したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
3 検査主任者は、誠実にその職務を行わなければならない。
4 通商産業大臣は、検査主任者がこの法律若しくはこの法律に基く命令の規定に違反したとき、又はその者にその職務を行わせることが容器再検査の適正な実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、容器検査所の登録を受けた者に対し、検査主任者の解任を命ずることができる。
(登録の取消等)
第五十三条 通商産業大臣は、容器検査所の登録を受けた者が左の各号の一に該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて容器再検査の停止を命ずることができる。
一 第七条第二号から第四号までに該当するに至つたとき。
二 第四十九条第三項若しくは第四項、第五十一条又は前条第一項の規定に違反したとき。
三 第五十条第四項の規定による制限又は前条第四項の規定による命令に違反したとき。
四 第六十条の規定による帳簿の記載をせず、又は帳簿に虚偽の記載をしたとき。
五 容器検査所の登録を受けた者が第一種製造者である場合において、第三十八条第一項第一号から第五号までの規定により第五条第一項の許可を取り消されたとき。
(容器証明書の記載事項の書換)
第五十四条 容器の所有者は、その容器に充てんしようとする高圧ガスの種類又は圧力を変更しようとするときは、通商産業大臣に申請し、容器証明書の書換を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の書換の申請があつた場合において、変更後においてもその容器が第四十四条第三項の規格に適合すると認めるときは、書換を行わなければならない。
3 前項の書換を受けた者は、遅滞なく、当該容器に、第四十六条第一項に規定する刻印及び表示をしなければならない。
(容器証明書の返納)
第五十五条 容器証明書の交付を受けている者は、左に掲げる場合は、遅滞なく、その容器証明書を通商産業大臣に返納しなければならない。
一 容器再検査に合格しなかつた容器について三箇月以内に前条第一項の書換を受けることができなかつたとき。
二 容器を失つたとき。
三 容器を輸出したとき。
四 容器をくず化し、その他容器として使用することができないように処分したとき。
五 容器証明書の再交付を受けた場合において、その失つた容器証明書を回復するに至つたとき。
(くず化その他の処分)
第五十六条 通商産業大臣は、容器検査に合格しなかつた容器がこれに充てんする高圧ガスの種類又は圧力を変更しても第四十四条第三項の規格に適合しないと認めるときは、その所有者に対し、これをくず化し、その他容器として使用することができないように処分すべきことを命ずることができる。
2 容器の所有者は、容器再検査に合格しなかつた容器について三箇月以内に第五十四条第一項の書換を受けることができなかつたときは、遅滞なく、これをくず化し、その他容器として使用することができないように処分しなければならない。
(冷凍設備に用いる機器)
第五十七条 もつぱら冷凍設備に用いる機器であつて、通商産業省令で定めるもの(以下「機器」という。)の製造の事業を行う者(以下「機器製造業者」という。)は、事業所ごとに、事業開始の日から三十日以内に、製造をする機器の種類及び製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
2 前項の規定により届け出た者は、その製造をする機器の種類又は製造の方法を変更したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 機器の製造の技術上の基準は、その機器を用いた設備が第八条第一号又は第十二条第一項の技術上の基準に適合することを確保するように通商産業省令で定める。
(原料ガス)
第五十八条 第一種製造者に対し、その製造をする高圧ガスの原料として、導管により供給するため、可燃性又は支燃性のガスであつて通商産業省令で定めるものの製造の事業を行う者は、事業所ごとに、事業開始の日から三十日以内に、供給するガスの種類及びその製造の方法を記載した書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定により届け出た者は、その供給するガスの種類又はその製造の方法を変更したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 第一項に規定する者は、同項のガスを原料とする高圧ガスの製造が第八条第二号の技術上の基準に適合することを確保するように通商産業省令で定める技術上の基準に従つて同項のガスの製造をしなければならない。
(容器製造等の廃止の届出)
第五十九条 容器製造業者、機器製造業者若しくは前条第一項に規定する者又は容器検査所の登録を受けた者は、製造の事業又は容器再検査の業務を廃止したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
第五章 雑則
(帳簿)
第六十条 第一種製造者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者又は占有者、容器製造業者及び容器検査所の登録を受けた者は、帳簿を備え、高圧ガス若しくは容器の製造、販売若しくは出納又は容器再検査について、通商産業省令で定める事項を記載しなければならない。
(報告の徴収)
第六十一条 通商産業大臣又は都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、第一種製造者、第二種製造者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者、高圧ガスの輸入をした者、容器製造業者、容器の輸入をした者、容器検査所の登録を受けた者又は機器製造業者に対し、その業務に関し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第六十二条 通商産業大臣又は都道府県知事は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、その職員に、高圧ガスの製造をする者、販売業者、高圧ガス貯蔵所の所有者若しくは占有者、高圧ガスを貯蔵し、若しくは消費する者、高圧ガスの輸入をした者、容器の製造をする者、容器の輸入をした者又は容器検査所の登録を受けた者の事務所、営業所、工場、事業場、高圧ガス若しくは容器の保管場所又は容器検査所に立ち入り、その者の帳簿書類その他必要な物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最少限度の容積に限り高圧ガスを収去させることができる。
2 警察官又は警察吏員は、人の生命、身体又は財産に対する危害を予防するため特に必要があるときは、高圧ガスの製造若しくは消費の場所又は高圧ガス貯蔵所その他の高圧ガスの保管場所に立ち入り、関係者に質問することができる。
3 前二項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に呈示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査、質問及び収去の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(事故届)
第六十三条 第一種製造者、第二種製造者、販売業者、高圧ガスを貯蔵し、又は消費する者、容器製造業者、容器の輸入をした者その他高圧ガス又は容器を取り扱う者は、左に掲げる場合は、遅滞なく、その旨を都道府県知事又は警察官若しくは警察吏員に届け出なければならない。
一 その所有し、又は占有する高圧ガスについて災害が発生したとき。
二 その所有し、若しくは占有する高圧ガス若しくは容器又は容器証明書を喪失し、又は盗取されたとき。
2 通商産業大臣又は都道府県知事は、前項第一号の場合は、所有者又は占有者に対し、災害発生の日時、場所及び原因、高圧ガスの種類及び数量、被害の程度その他必要な事項につき報告を命ずることができる。
(現状変更の禁止)
第六十四条 何人も、高圧ガスによる災害が発生したときは、交通の確保その他公共の利益のためやむを得ない場合を除き、通商産業大臣、都道府県知事又は警察官若しくは警察吏員の指示なく、その現状を変更してはならない。但し、第三十六条第一項の規定による措置を講ずる場合は、この限りでない。
(許可の条件)
第六十五条 第五条第一項、第六条、第十六条第一項又は第二十二条第一項の許可には、条件を附することができる。
2 前項の条件は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止を図るため必要な最少限度のものに限り、且つ、許可を受ける者に不当の義務を課することとならないものでなければならない。
(保安管理員)
第六十六条 第六十二条第一項に規定する職員の職務を行わせるために、通商産業省及び都道府県に保安管理員を置く。
(高圧ガス保安審議会)
第六十七条 通商産業省に、高圧ガス保安審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第六十八条 審議会は、国家試験その他高圧ガスの保安に関する重要な事項について、通商産業大臣の諮問に応じて答申し、又は通商産業大臣に建議する。
第六十九条 審議会は、会長一人及び委員三十人以内で組織する。
2 会長及び委員は、関係行政機関の職員及び高圧ガスの保安に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。
第七十条 学識経験のある者のうちから任命された会長及び委員の任期は、六箇月とする。但し、再任を妨げない。
第七十一条 会長及び委員は、非常勤とする。
第七十二条 前五条に定めるものの外、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
(手数料)
第七十三条 左の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
手数料を納付すべき者
金額
一 第五条第一項の許可を受けようとする者
七千円
二 第六条の許可を受けようとする者
五千円
三 第十四条第一項の許可を受けようとする者
五千円
四 第十六条第一項の許可を受けようとする者
二千円
五 第十九条第一項の許可を受けようとする者
千円
六 第二十条の完成検査を受けようとする者
三千円
七 第二十二条第一項の許可を受けようとする者
二千円
八 国家試験を受けようとする者
八百円
九 作業主任者免状の再交付を受けようとする者
二百円
十 容器検査又は容器再検査(容器検査所の登録を受けた者が行うものを除く。)を受けようとする者
イ 内容積五百リツトル未満の容器
一個につき
六十円
ロ 内容積五百リツトル以上千リツトル未満の容器
一個につき
千円
ハ 内容積千リツトル以上の容器
一個につき
千円に千リツトル又はその端数を増すごとに五十円を加算した額
十一 第四十五条第三項の規定による容器証明書の再交付を受けようとする者
六十円
十二 容器検査所の登録又はその更新を受けようとする者
千円
2 前項の手数料は、国家試験を受けようとする者、作業主任者免状の再交付を受けようとする者及び通商産業大臣が行う容器検査、容器再検査又は容器検査所の登録若しくはその更新を受けようとする者の納付するものについては、国庫の、その他のものについては、当該都道府県(同項の表第十一号に掲げる者の納付する手数料にあつては、その容器が所在する都道府県)の収入とする。
(通商産業大臣と公安委員会との関係等)
第七十四条 通商産業大臣又は都道府県知事は、第五条第一項、第六条若しくは第十六条第一項の許可をし、第五条第三項若しくは第二十一条第一項、第二項(第二種製造者に係る部分に限る。)、第三項若しくは第四項の規定による届出を受理し、又は第三十八条第一項の規定により許可の取消をしたときは、政令で定める区分により、その旨を都道府県公安委員会、市町村公安委員会又は特別区公安委員会に通報しなければならない。
2 警察官又は警察吏員は、第三十六条第二項又は第六十三条第一項の規定による届出を受理したときは、すみやかに、その旨を当該都道府県知事に通報しなければならない。
(公聴会)
第七十五条 通商産業大臣は、第八条第一号若しくは第二号、第十二条第一項若しくは第二項、第十五条第一項、第十六条第二項、第二十二条第二項、第二十三条から第二十五条まで、第四十一条第一項若しくは第二項、第四十四条第三項、第四十九条第二項、第五十条第三項、第五十七条第三項又は第五十八条第三項の命令を制定しようとするときは、公聴会を開き、広く一般の意見を聞かなければならない。
(聴聞)
第七十六条 行政庁は、第九条、第三十条、第三十四条、第三十八条、第五十二条第四項又は第五十三条の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対して相当な期間を置いて予告した上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(不服の申立)
第七十七条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による行政庁の処分に対して不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて、当該行政庁に不服の申立をすることができる。
(決定)
第七十八条 行政庁は、前条の不服の申立があつたときは、第七十六条の例により公開の聴聞をした後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
(権限の委任)
第七十九条 この法律又はこの法律に基く命令の規定により通商産業大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、他の行政機関(都道府県知事を含む。)に行わせることができる。
第六章 罰則
第八十条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五条第一項の許可を受けないで高圧ガスの製造をした者
二 第二十二条第一項の許可を受けないで高圧ガスの輸入をした者
三 第三十八条第一項の規定による製造の停止の命令に違反した者
四 第三十九条第一号の規定による製造のための施設の使用の停止の命令又は同条第二号の規定による製造の禁止若しくは制限に違反した者
五 第五十三条の規定による命令に違反した者
第八十一条 左の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第六条の許可を受けないで高圧ガスの販売の事業を営んだ者
二 第十四条第一項の許可を受けないで製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事をし、又は製造をする高圧ガスの種類若しくは製造の方法を変更した者
三 第十六条第一項、第二十条、第二十八条第一項、第三十三条第一項、第四十八条第一項若しくは第二項、第五十一条第一項又は第五十二条第一項の規定に違反した者
四 第十九条第一項の許可を受けないで高圧ガス貯蔵所の位置、構造又は設備の変更の工事をした者
五 第二十六条第一項の認可を受けないで高圧ガスの製造をした者
六 第三十八条第一項の規定による販売若しくは貯蔵の停止又は同条第二項の規定による製造の停止の命令に違反した者
七 第三十九条第一号の規定による高圧ガス貯蔵所の使用の停止の命令、同条第二号の規定による引渡、貯蔵、移動、詰替、消費若しくは廃棄の禁止若しくは制限又は同条第三号の規定による命令に違反した者
八 第四十六条第一項、第四十九条第三項又は第五十四条第三項の規定による刻印若しくは表示をせず、又は虚偽の刻印若しくは表示をした者
九 第四十七条第二項又は第四十九条第三項の規定による裏書をせず、又は虚偽の裏書をした者
十 第五十条第四項の制限に違反した者
十一 第六十五条の条件に違反した者
第八十二条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項若しくは第二項、第十五条第一項、第十八条第一項、第二十三条から第二十五条まで、第三十七条、第四十四条第一項、第四十五条第二項、第四十六条第二項、第四十九条第四項又は第五十一条第二項の規定に違反した者
二 第二十二条第三項の規定による検査を受けない者
三 第四十一条第三項の規定による命令に違反した者
第八十三条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第五条第二項若しくは第三項、第十条第二項、第十四条第三項、第十七条第二項、第二十一条、第二十八条第二項、第三十三条第二項、第四十条、第四十二条、第四十三条、第五十二条第二項、第五十七条第一項若しくは第二項、第五十八条第一項若しくは第二項、第五十九条又は第六十三条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十二条第一項若しくは第二項、第十三条、第三十六条第一項、第四十七条第一項、第五十五条、第五十六条第二項、第五十八条第三項又は第六十四条の規定に違反した者
三 第三十条又は第五十六条第一項の規定による命令に違反した者
四 第三十五条第一項又は第六十二条第一項の規定による検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 第六十条の規定による帳簿の記載をせず、又は虚偽の記載をした者
六 第六十一条又は第六十三条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
七 第六十二条第一項又は第二項の規定による質問に対し、答弁をせず又は虚偽の答弁をした者
(両罰規定)
第八十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して六箇月をこえない期間内において政令で定める。但し、第七十五条の規定は、公布の日から施行する。
2 圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法(大正十一年法律第三十一号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
3 旧法の規定によつてした処分、手続その他の行為は、この法律中にこれに相当する規定があるときは、この法律によつてしたものとみなす。
4 この法律の施行の際、現に旧法第一条の許可を受けて貯蔵室又は貯蔵所を有している者は、第十六条第一項の許可を受けたものとみなす。
5 旧圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法施行令(昭和十一年内務省令第二十三号。以下「旧令」という。)の規定により交付された丙種機械主任者免状は、この法律の規定による第三種冷凍機械主任者免状とみなす。
6 この法律の施行の際、現に高圧ガスの製造をしている者(第五条第一項各号に掲げる者を除く。)、容器の製造の事業を行つている者、機器の製造の事業を行つている者又は第五十八条第一項に規定する事業を行つている者が第五条第二項若しくは第三項、第四十条、第五十七条第一項又は第五十八条第一項の規定によりなすべき届出については、第五条第二項、第五十七条第一項及び第五十八条第一項において「事業開始の日から三十日以内に、」とあり、第五条第三項において「製造開始の日の二十日前までに、」とあり、並びに第四十条中「事業開始の日の二十日前までに、」とあるのは、「この法律の施行後三箇月以内に、」と読み替えるものとする。
7 この法律の施行の際、現に旧法第一条の許可を受け、高圧ガスの製造をしている者については、この法律の施行の日から五箇月間は、第二十六条第一項の規定は、適用しない。
8 通商産業省設置法(昭和二十四年法律第百二号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第二十九号中「圧縮ガス若しくは液化ガス」及び第十四条第一項第七号中「圧縮ガス及び液化ガス」を「高圧ガス」に改める。
9 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 吉田茂
通商産業大臣 横尾龍