船主相互保険組合法
法令番号: 法律第百七十七号
公布年月日: 昭和25年5月11日
法令の形式: 法律
船主相互保險組合法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百七十七号
船主相互保險組合法
目次
第一章
総則(第一條―第十一條)
第二章
設立(第十二條―第二十條)
第三章
組合員(第二十一條―第二十九條)
第四章
機関(第三十條―第四十條)
第五章
計算(第四十一條―第四十四條)
第六章
解散及び清算(第四十五條―第四十八條)
第七章
監督(第四十九條―第五十四條)
第八章
雑則(第五十五條)
第九章
罰則(第五十六條―第六十一條)
附則
第一章 総則
(目的)
第一條 この法律は、船主相互保險組合の行う相互保險たる損害保險事業の健全な経営を確保し、その組合員及び組合の一般債権者の利益を保護することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「船主相互保險組合」(以下「組合」という。)とは、木船相互保險組合及び船主責任相互保險組合をいう。
2 この法律において「木船相互保險組合」とは、漁船(漁船保險法(昭和十二年法律第二十三号)第一條第二項に定める漁船をいう。以下第七條第一項において同じ。)以外の木船の所有者又は賃借人がその所有又は賃借する船舶並びにその運航に伴つて生ずる船舶所有者(船舶賃借人を含む。以下「船主」という。)の費用及び責任に関する相互保險たる損害保險事業を行うため、この法律に基いて設立した組合をいう。
3 この法律において「船主責任相互保險組合」とは、木船以外の船舶の所有者又は賃借人がその所有又は賃借する船舶の運航に伴つて生ずる船主の費用及び責任に関する相互保險たる損害保險事業を行うため、この法律に基いて設立した組合をいう。
4 この法律において「船舶の運航に伴つて生ずる船主の費用及び責任」とは、左の各号に掲げるものをいう。
一 船舶がその運航に伴つて浮標、さん橋、ドツク、海底電線、漁具その他の物に加えた損害についての船主の賠償責任
二 船舶の運航に伴つて生ずる人命救助費及び傷害疾病に対する療養費であつて、船主が負担又は賠償しなければならないもの
三 船舶に伝染病が発生した場合において、海港検疫法(明治三十二年法律第十九号)第九條第二項の規定に基き、船主が負担すべき消毒その他の措置に要する費用
四 前各号に掲げるものの外、船舶の運航に伴つて生ずる費用で船主の負担しなければならないもの及び船舶の運航に伴つて生ずる損害についての船主の賠償責任
(出資の最低限度)
第三條 組合員の組合に対する出資の総額は、二百万円以上でなければならない。
(兼業の禁止)
第四條 木船相互保險組合は、第二條第二項に定める損害保險事業以外の事業を、船主責任相互保險組合は、同條第三項に定める損害保險事業以外の事業を行うことができない。
(募集の制限)
第五條 組合は、手数料、報酬その他の対価を支拂つて、その役員、組合員及び使用人以外の者に組合員の募集を委託してはならない。
(保險契約の移転等の禁止)
第六條 組合は、その保險契約を移転し、又はその事業を讓渡することができない。
(組合員の資格)
第七條 木船相互保險組合の組合員たる資格を有する者は、漁船以外の木船の所有者又は賃借人で定款で定める者に限る。
2 船主責任相互保險組合の組合員たる資格を有する者は、木船以外の船舶の所有者又は賃借人で定款で定める者に限る。
(事業主体の制限)
第八條 この法律に基いて設立された組合以外の者は、第二條第二項又は第三項に定める損害保險事業を行つてはならない。但し、保險業法(昭和十四年法律第四十一号)第一條第一項(保險事業の免許)又は外国保險事業者に関する法律(昭和二十四年法律第百八十四号)第三條第一項(免許)の規定に基いてこれを行う者は、この限りでない。
(名称)
第九條 組合は、その名称中に、左の文字を用いなければならない。
一 木船相互保險組合にあつては、木船相互保險組合
二 船主責任相互保險組合にあつては、船主責任相互保險組合
2 この法律に基いて設立された組合以外の者は、その名称中に、前項に掲げる文字又はこれに類似する文字を用いてはならない。
(法人格及び住所)
第十條 組合は、法人とする。
2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(登記)
第十一條 組合は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記後でなければ、これをもつて第三者に対抗することはできない。
第二章 設立
(発起人及び組合員)
第十二條 組合を設立するには、組合員になろうとする七人以上の者が発起人であることを要する。
2 組合は、十五人以上の組合員及びその組合員の所有又は賃借する百隻以上の保險の目的たる船舶(船舶の運航に伴つて生ずる船主の費用及び責任を保險契約の目的とする場合においては、その船舶。以下同じ。)がなければ設立することができない。
(定款記載事項)
第十三條 発起人は、組合の定款を作成し、これに左の事項を記載して署名しなければならない。
一 名称
二 事務所の所在地
三 組合員の資格に関する規定
四 組合員の加入及び脱退に関する規定
五 組合員に対する通知又は催告に関する規定
六 出資一口の金額及びその拂込の時期
七 保險金の支拂をすべき事由
八 保險金の削減及び保險料の追徴に関する規定
九 前二号に掲げるものの外保險契約に関する規定
十 組合員総会(以下「総会」という。)に関する規定
十一 役員及び参事に関する規定
十二 剩余金の処分及び損失の処理に関する規定
十三 事業年度
十四 公告の方法
十五 組合の負担に帰すべき設立費用及び発起人が受くべき報酬の額
十六 存立の時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
(加入申込証)
第十四條 組合に加入しようとする者は、加入申込証二通に出資口数並びに保險の目的たる船舶及び保險契約の目的について第十六條第二項第二号の事業方法書で定める事項及び保險金額を記載して署名しなければならない。
2 設立の際の加入申込証は、発起人が作り、左の事項を記載しなければならない。
一 定款に記載した事項
二 発起人の氏名又は名称及び住所
三 出資及び保險料の拂込の方法、期限及び場所
四 一定の時期までに創立総会が終らなかつたときは、加入の申込を取り消すことができること。
3 組合の成立後の加入申込証は、理事が作り、左の事項を記載しなければならない。
一 設立の認可を受けた年月日
二 定款に記載した事項
三 役員の氏名及び住所
四 出資及び保險料の拂込の方法、期限及び場所
(創立総会)
第十五條 発起人は、定款作成後、組合員になろうとする者を募り、出資の全額及び保險料の全部若しくは一部の拂込が終了した者の数及びその所有又は賃借する保險の目的たる船舶の数が第十二條第二項に定める数以上に達したときは、加入申込証に定める出資及び保險料の拂込の期限経過後、遅滯なく、創立総会を開かなければならない。
2 定款の承認、理事及び監事の選任その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の決議によらなければならない。
3 創立総会においては、定款を修正することができる。但し、組合員の資格に関する規定については、この限りでない。
4 理事及び監事は、組合員になろうとする者(法人たる組合員にあつては、その業務を執行する役員)のうちから選任する。
5 創立総会における議事は、組合員になろうとする者(その出資の全額及び保險料の全部若しくは一部の拂込を終了した者に限る。以下第六項において同じ。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上で決定する。
6 組合員になろうとする者は、創立総会において、各自一個の議決権を有する。
7 第三十三條及び第三十五條第二項但書並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百三十九條第四項及び第二百四十條(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四條(株主総会の議事録)及び第二百四十七條から第二百五十三條まで(株主総会の決議の取消)の規定は、創立総会に準用する。この場合において、商法第二百四十七條第一項中「第三百四十三條」とあるのは、「船主相互保險組合法第十五條第五項」と読み替えるものとする。
(設立の認可申請)
第十六條 発起人は、創立総会終了の後、遅滯なく、主務大臣に設立の認可を申請してその認可を受けなければならない。
2 前項の場合において、発起人は、設立認可申請書に左に掲げる書類を添付して、主務大臣に提出しなければならない。
一 定款
二 事業方法書
三 保險料及び責任準備金算出方法書
四 加入申込証
五 出資及び保險料の拂込のあつたことを証する書面
六 役員の氏名、住所及びその資格を証する書面
七 第三十八條第二項に定める組合員名簿
八 創立総会の議事録
九 事業開始後三年間の事業計画書
十 その他主務大臣が必要と認める書類
3 前項第二号及び第三号に掲げる書類に記載すべき事項は、主務省令で定める。
4 組合が第二項第一号から第三号までに掲げる書類に記載した事項を変更するには、主務大臣の認可を受けなければならない。
(設立の認可)
第十七條 主務大臣は、前條第一項の設立の認可申請があつたときは、左の各号の一に該当する場合を除き、且つ、その事業が健全に行われ公益に反しないと認められる場合には、その設立を認可しなければならない。
一 設立の手続又は前條第二項に掲げる書類の内容が法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反するとき。
二 前條第二項に掲げる書類に重要な事項につき虚僞の記載があり、若しくは重要な事項の記載が欠けているとき。
三 発起人、理事及び監事のうちに左の各号の一に該当する者があるとき。
イ 破産者で復権を得ないもの
ロ 禁こ以上の刑又はこの法律により罰金の刑に処せられ、その執行の終つた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの者
ハ 組合がこの法律の規定により設立の認可を取り消された場合において、当該処分のあつた日の三十日以前に当該組合の理事又は監事であつた者で当該組合がその取消処分を受けた日から五年を経過するまでのもの
ニ 第五十三條第一項の規定により解任された役員でその処分の日から五年を経過するまでのもの
ホ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者でその法定代理人が前各号の一に該当するもの
2 保險業法第二條(免許に際しての供託金)の規定は、前項の設立の認可をしようとする場合に準用する。
3 主務大臣は、前項の設立の認可をし、又はしなかつたときは、遅滯なく、その旨を書面をもつて、設立認可申請者に通知しなければならない。
(成立の時期)
第十八條 組合は、前條第一項の設立の認可に因つて成立する。
(理事への事務引継)
第十九條 発起人は、第十七條第一項の設立の認可があつたときは、遅滯なく、その事務を理事に引き継がなければならない。
(商法の準用)
第二十條 商法第百九十三條、第百九十四條及び第百九十六條(発起人の責任)並びに第百九十七條(発起人に対する訴)の規定は、組合の発起人に準用する。この場合において、第百九十六條中「第三百四十三條」とあるのは「船主相互保險組合法第三十二條第四項」と、第百九十七條中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
第三章 組合員
(加入及び保險契約の成立)
第二十一條 組合の設立の際組合員になろうとする者で、その引き受けた出資の全額の拂込が終了し、且つ、保險料の全部又は一部の拂込が終了したものについては、組合の成立の時、その者と組合との間に保險契約が成立し、その者は、組合員となる。
2 組合の設立の際組合員になろうとする者で、組合成立の時までに前項に定める拂込を終了しないものについては、その加入の申込を取り消したものとみなす。
3 成立後の組合に加入しようとする者は、定款で定めるところにより、加入につき組合の承諾を得て、その引き受けた出資の全額の拂込が終了し、又は組合員の持分の全部若しくは一部の讓渡を受け、且つ、保險料の全部又は一部の拂込が終了した時、その者と組合との間に保險契約が成立し、その者は、組合員となる。
4 組合員は、組合員でない者を被保險者とする保險契約を、当該組合との間に成立させることができない。
5 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当の理由がないのに、その加入を拒んではならない。
(出資)
第二十二條 組合員は、出資一口以上を持たなければならない。
2 組合に加入しようとする者は、その引き受けた出資の全額を一時に拂い込まなければならない。
3 出資は、金銭以外の財産ですることはできない。
4 出資一口の金額は、均一でなければならない。
5 一組合員の出資口数は、出資総口数の百分の十をこえてはならない。
6 組合員は、出資口数にかかわらず、総会において各自一個の議決権を有する。
7 組合の債務に関する組合員の責任は、この法律で別に定める場合を除いては、その出資額及び保險料を限度とする。
8 組合員は、出資及び保險料の拂込について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(持分及び保險の目的等の讓渡)
第二十三條 組合員は、組合の承諾を得て、組合員又は組合員たる資格を有する者に持分の全部又は一部を讓渡することができる。
2 前項の場合において、讓受人が組合員たる資格を有する者であるときはその者は、加入につき組合の承諾を得て、遅滯なく、定款で定めるところにより、保險料の全部又は一部を拂い込まなければならない。但し、保險の目的たる船舶を讓り受け、又は承継し、且つ、その船舶について、讓渡人又は被承継人の保險契約に基く権利義務を承継したときは、この限りでない。
3 持分の讓受人は、その持分について、讓渡人の権利義務を承継する。
4 組合員が保險の目的たる船舶を讓渡した場合において、讓受人が組合員であるときは、讓受人は、その船舶について、讓渡人の保險契約に基く権利義務を承継する。この場合においては、讓受人は、遅滯なく、その旨を組合に通知しなければならない。
5 前項の場合において、讓受人が組合員たる資格を有する者であるときは、讓受人は、加入につき組合の承諾を得て、その保險の目的たる船舶について、保險契約に基く讓渡人の権利義務を承継することができる。この場合においては、讓受人は、遅滯なく、定款で定めるところにより、その引き受けた出資の全額を拂い込まなければならない。但し、持分を讓り受け、又は承継したときは、この限りでない。
6 前二項の場合において、讓受人が組合員及び組合員たる資格を有する者以外の者であるときは、商法第六百五十條第一項(保險の目的の讓渡)の規定は、準用しない。
(持分及び保險の目的等の承継)
第二十四條 組合員が死亡し、又は合併に因り解散した場合において、その相続人若しくは受遺者又は合併後存続する法人が組合員であるときは、その者は、被承継人の持分及びその持分についての被承継人の権利義務を承継する。この場合においては、承継人は、遅滯なく、その旨を組合に通知しなければならない。
2 前項の場合において、その相続人若しくは受遺者又は合併後存続する法人若しくは合併に因り設立された法人が組合員たる資格を有する者であるときは、その者は、加入につき組合の承諾を得て、被承継人の持分及びその持分についての被承継人の権利義務を承継することができる。この場合においては、承継人は、遅滯なく、定款で定めるところにより、保險料の全部又は一部を拂い込まなければならない。但し、保險の目的たる船舶を讓り受け、又は承継し、且つ、その船舶について、讓渡人又は被承継人の保險契約に基く権利義務を承継したときは、この限りでない。
3 第一項の場合において、保險の目的たる船舶を承継した相続人若しくは受遺者又は合併後存続する法人若しくは合併に因り設立された法人が組合員でないときは、承継人は、加入につき組合の承諾を得て、組合員となることができる。この場合においては、遅滯なく、定款で定めるところにより、その引き受けた出資の全額を拂い込まなければならない。但し、持分を讓り受け、又は承継したときは、この限りでない。
4 前二項の場合において、承継人は、被承継人の死亡又は解散の時において、組合員になつたものとみなす。
5 第三項の場合において、承継人が組合員とならなかつたときは、その承継した保險の目的たる船舶についての保險契約は、被承継人の死亡又は解散の時において消滅する。
(持分共有の禁止)
第二十五條 組合員は、持分を共有することができない。
2 前條第一項又は第二項の場合において、相続人又は受遺者が数人あるときは、その相続人は受遺者の同意をもつて選定された一人の相続人又は受遺者に対してのみ同條第一項又は第二項の規定を適用する。
(組合の持分取得禁止)
第二十六條 組合は、組合員の持分を取得し、若しくは質権の目的として受けることができない。但し、組合が権利を実行するため必要なときは、この限りでない。
2 組合が前項但書の規定によつて組合員の持分を取得し、若しくは質権の目的として受けたときは、なるべく速かに、これを処分しなければならない。
(脱退)
第二十七條 組合員は、三月前までに予告し、事業年度末において、組合を脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
3 組合員は、第一項及び第二十九條第一項に定める場合の外、左の事由に因つて脱退する。
一 定款で定める組合員たる資格の喪失
二 除名
三 死亡又は解散
四 持分全部の讓渡
五 保險期間の経過若しくは保險事故の発生又は保險の目的たる船舶の讓渡に因る保險契約全部の消滅
4 除名は、定款で定める理由のある組合員につき、第三十二條第四項に定める総会の決議によつてするものとする。この場合においては、組合は、その総会の会日の十日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、且つ、総会において弁明する機会を與えなければならない。
5 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその者に対抗することができない。
6 組合員が、第一項若しくは第三項(第五号に掲げる事由に因る脱退の場合を除く。)及び第二十九條第一項の規定によつて脱退したときは、その組合員の保險契約は、消滅する。但し、第三項第三号に掲げる事由に因る脱退の場合において、その組合員の保險契約に基く権利義務の承継人があるときは、この限りでない。
(持分の拂戻)
第二十八條 脱退した組合員は、定款で定めるところにより、その持分の拂戻を受けることができる。
2 前項の持分は、脱退した日の属する事業年度末における組合の財産によつて定める。
3 前項の持分を計算するにあたり、組合の財産をもつてその債務を完済するに足りないときは、組合は、定款で定めるところにより、脱退した組合員に対し、その負担に帰すべき損失額の拂込を請求することができる。
4 第一項及び第三項に規定する請求権は、脱退後二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
5 脱退した組合員が組合に対しまだ弁済期に達していない債務を負担する場合には、組合は、その債務が弁済期に達するまでは、持分の拂戻を停止することができる。
(持分の差押に因る脱退)
第二十九條 組合員の持分を差し押えた債権者は、事業年度末において、その組合員を脱退させることができる。この場合において、債権者は、組合及びその組合員に対して三月前までに予告しなければならない。
2 商法第九十條(持分の差押)及び第九十一條第二項(予告の失効)の規定は、前項の場合について準用する。
第四章 機関
(総会の招集)
第三十條 理事は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
2 理事は、必要があると認めるときは、定款で定めるところにより、いつでも臨時総会を招集することができる。
3 五分の一以上の組合員が会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して、総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。
4 前項の場合において、同項の期間内に、正当の理由がないのに、理事が臨時総会招集の手続きをしないときは、監事は、直ちにその手続きをしなければならない。
5 監事が正当の理由がないのに、前項の手続をしないときは、第三項の組合員は、主務大臣の認可を受けて、臨時総会の招集をすることができる。
6 総会の招集は、会日より十日前までに、会議の目的たる事項を示して、組合員に通知しなければならない。但し、第二項から第五項までの場合にあつては、定款でこの期間を短縮することができる。
(総会の決議事項)
第三十一條 この法律及び定款で定めるものの外、左の事項は、総会の決議を経なければならない。
一 第十六條第二項第一号から第三号までに掲げる書類の記載事項の変更
二 保險金の削減及び保險料の追徴
三 解散
四 財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書、剩余金処分案及び損失処理案
(総会の決議手続)
第三十二條 総会の決議は、この法律又は定款に特別の定のある場合を除いて、出席した組合員の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の決議に加わる権利を有しない。
4 定款の記載事項の変更並びに前條第二号及び第三号に掲げる事項は、組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による決議を経なければならない。
(議決権の代理行使)
第三十三條 組合員は、定款で定めるところにより、代理人をもつて、議決権を行うことができる。
2 前項の規定により議決権を行う者は、総会において決議をする場合に、出席者とみなす。
3 第一項の代理人は、組合員でなければならない。
4 前項の代理人は、代理権を証する書面を組合に差し出さなければならない。
(商法の準用)
第三十四條 商法第二百三十九條第四項及び第二百四十條(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四條(株主総会の議事録)、第二百四十五條(第一項第一号から第三号までを除く。)(取締役又は監査役の責任の免除の特別決議)及び第二百四十七條から第二百五十三條まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定は、総会に準用する。この場合において、商法第二百四十五條第一項及び第二百四十七條第一項中「第三百四十三條」とあるのは「船主相互保險組合法第三十二條第四項」と、同法第二百四十五條第二項において準用する第二百六十八條及び第二百七十九條中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
(役員)
第三十五條 組合に、役員として理事三人以上及び監事一人以上を置く。
2 役員は、定款で定めるところにより、総会において、組合員(法人たる組合員にあつては、その業務を執行する役員。)のうちから選任する。但し、主務大臣の認可を受けて、組合員以外の者を選任することができる。
3 役員の任期は、定款で定める。但し、理事の任期は、三年、監事の任期は、二年をこえてはならない。
4 組合が役員を選任し、又は解任したときは、遅滯なく、その氏名及び住所を主務大臣に届け出なければならない。
(役員の兼職及び兼業の禁止)
第三十六條 理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。
2 保險業法第六條(常務役員の專業主義)の規定は、組合の常務に従事する役員に準用する。
(理事の自己契約等の禁止)
第三十七條 組合が理事と契約するときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同様とする。
(定款等書類の備置義務)
第三十八條 理事は、定款及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数、出資金額、保險金額及び保險料
3 組合員及び組合の一般の債権者は、組合の事業時間内いつでも第一項に掲げる書類の閲覧を求めることができる。
(参事)
第三十九條 組合は、理事の過半数の決議により参事を選任し、その主たる事務所又は従たる事務所において、その業務を行わせることができる。
(商法等の準用)
第四十條 商法第二百五十四條第二項(取締役と会社との関係)、第二百六十六條(取締役の連帶責任)及び第二百八十四條(取締役及び監査役の責任の解除)の規定は、組合の理事及び監事に、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十五條(代表権の委任)並びに商法第二百六十條から第二百六十二條まで(取締役の業務の執行及び会社の代表)、第二百六十七條及び第二百六十八條(取締役に対する訴)並びに第二百六十九條(取締役の報酬)の規定は、理事に、同法第二百七十四條及び第二百七十五條(報告徴收及び書類調査等)、第二百七十八條(取締役と監査役の連帶責任)並びに第二百七十九條(監査役に対する訴)の規定は、監事に、同法第三十八條第一項及び第三項、第三十九條、第四十一條並びに第四十二條(支配人)の規定は、参事に準用する。この場合において。商法第二百六十八條及び第二百七十九條中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
第五章 計算
(決算書類の提出)
第四十一條 組合は、毎年三月末日においてその帳簿を閉鎖し、総会終了の後、遅滯なく、財産目録、貸借対照表、事業報告書、損益計算書及び剩余金処分若しくは損失処理に関する決議書を主務大臣に提出しなければならない。
2 前項の書類の様式は、主務省令で定める。
(剩余金の分配)
第四十二條 剩余金の分配は、設立費用及び当初の五事業年度の事業費の全額を償却し、損失をてん補し、且つ、第四十四條第二項において準用する保險業法第六十三條(損失てん補準備金)に定める準備金を控除した後でなければ、してはならない。
2 剩余金の分配は、定款で定めるところにより、年六分をこえない範囲内において組合員の出資額の割合に応じてし、なお剩余があるときは、組合員の事業の利用分量の割合に応じてしなければならない。
(保險金の削減及び保險料の追徴)
第四十三條 組合は、保險金の削減又は保險料の追徴を行う場合においては、主務大臣の認可を受けなければならない。
(商法等の準用)
第四十四條 商法第二百八十一條から第二百八十五條まで(会社の計算)の規定は、組合の計算に準用する。この場合において、商法第二百八十一條第五号中「準備金及利益又ハ利息ノ配当ニ関スル議案」とあるのは「剩余金処分案若しくは損失処理案」と読み替えるものとする。
2 保險業法第六十三條(損失てん補準備金)、第六十六條(剩余金の分配を受ける者)、第八十五條第一項、第八十八條及び第九十一條(保險会社の計算)の規定は、組合の計算に準用する。この場合において、これらの規定中「保險会社」又は「会社」とあるのは「組合」と、「監査役」とあるのは「監事」と読み替えるものとする。
第六章 解散及び清算
(解散)
第四十五條 組合は、左の事由に因つて解散する。但し、第五号に該当する場合において、組合が主務大臣の認可を受けて、同号に該当するに至つた時から三月以内に、出資の額又は組合員の数若しくは保險の目的たる船舶の数を第三條又は第十二條第二項に定める額又は数以上にしたときは、この限りでない。
一 定款で定める存立時期の満了又は解散事由の発生
二 総会の決議
三 組合の破産
四 設立認可の取消
五 出資の総額が第三條に定める額を欠き、又は組合員の数若しくは保險の目的たる船舶の数が第十二條第二項に定める数を欠くに至つたこと
2 前項第二号に定める解散の決議は、主務大臣の認可を受けなければ効力を生じない。
3 保險業法第七十二條(解散決議の公告等)の規定は、組合が解散の決議をした場合に準用する。
4 組合は、解散したとき、又は第一項第五号に該当する場合において同項但書の規定による措置をしたときは、遅滯なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(清算人の選任)
第四十六條 組合が解散したときは、破産又は設立認可の取消に因る解散の場合を除いては、理事がその清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
2 前項の場合において、清算人となる者がないとき、及び組合が設立認可の取消に因り解散したときは、主務大臣が清算人を選任する。
(保險金の削減及び保險料の追徴)
第四十七條 清算人は、組合に現存する財産がその債務を完済するのに不足する場合には、主務大臣の認可を受けて、保險金の削減又は保險料の追徴をすることができる。
(商法等の準用)
第四十八條 商法第百十六條、第百二十二條、第百二十四條、第百二十五條、第百二十八條、第百二十九條第二項及び第三項並びに第百三十一條(合名会社の清算関係)、第四百十八條から第四百二十四條まで、第四百二十六條第一項及び第四百二十七條(株式会社の清算関係)並びに保險業法第七十五條、第七十六條、第百三十二條第二項(商法第百二十二條に関する部分に限る。)から第五項まで及び第百三十三條から第百三十五條まで(保險会社の清算関係)の規定は、組合の清算に準用する。この場合において、商法第百二十二條中「第九十四條第四号又ハ第六号」とあるのは「船主相互保險組合法第四十五條第一項第四号」と読み替えるものとする。
2 第三十條及び第三十六條から第三十八條第一項まで、商法第二百四十四條第二項(議事録署名義務者)、第二百四十五條第一項第四号(取締役の責任の免除に関する部分に限る。)、第二百四十七條及び第二百四十九條(総会決議取消の訴)、第二百五十四條第二項(会社と取締役との委任関係)、第二百六十一條(取締役の代表権)、第二百六十六條から第二百六十九條まで(取締役の責任及び取締役に対する訴)、第二百七十四條及び第二百七十五條(監査役の調査権限等)、第二百七十八條(監査役及び取締役の連帶責任)並びに第二百八十二條から第二百八十四條まで取締役の計算書類の公示及び総会への提出義務並びに取締役又は監査役に対する責任解除)の規定は、清算人に準用する。この場合において、商法第二百四十五條第一項及び第二百四十七條第一項中「第三百四十三條」とあるのは「船主相互保險組合法第三十二條第四項」と、同法第二百六十八條中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
第七章 監督
(報告及び帳簿書類の提出命令)
第四十九條 主務大臣は、組合の業務の監督上必要があると認めるときは、主務省令で定めるところにより、組合に対し、その業務及び財産の状況に関し報告をさせ、又は資料の提出を命ずることができる。
(検査)
第五十條 主務大臣は、組合の健全な経営を確保し、又は組合員及び組合の一般債権者を保護するため、部下の職員をして、組合の業務及び財産の状況を検査させることができる。
2 前項の場合において、当該職員は、検査のため必要があると認めるときは、組合の事務所に立ち入り、その役員若しくは使用人に対して質問し、又はその帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査することができる。
3 前項の場合において、当該職員は、その身分を示す証票を携帶し、関係人にこれを呈示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(定款等の変更命令等)
第五十一條 主務大臣は、組合の健全な経営を確保し、又は組合員及び組合の一般債権者を保護するため、組合の業務若しくは財産の状況又は事情の変更によつて必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、組合に対し、第十六條第二項第一号から第三号までに掲げる書類に定めた事項の変更、業務執行の方法の変更若しくは財産の供託を命じ、又は財産の処分を禁止し、若しくは制限することができる。
(事業停止及び強制管理命令)
第五十二條 主務大臣は、組合の業務若しくは財産の状況によりその健全な経営を確保することが困難であると認めるとき又は組合の業務若しくは財産の状況が著しく不良で組合員及び組合の一般債権者を保護するためその事業を継続させることが著しく不適当と認めるときは、政令で定めるところにより、事業の停止を命じ、又は業務及び財産の管理の命令をすることができる。
2 保險業法第十二條第二項から第四項まで(聽聞)の規定は、主務大臣が前項の命令をしようとする場合に、同法第百一條から第百三條まで、第百四條第一項及び第三項前段並びに第百六條(業務及び財産の管理関係)の規定は、前項の業務及び財産の管理の命令があつた場合に準用する。この場合において、これらの規定中「保險会社」又は「会社」とあるのは「組合」と読み替えるものとする。
(法令等の違反に対する処分)
第五十三條 組合がこの法律若しくはこの法律において準用する保險業法の規定若しくは第四十九條、第五十一條若しくは前條第一項の主務大臣の命令若しくは第十六條第二項第一号から第三号までに掲げる書類に定めた特に重要な事項に違反し、又は公益を害する行為をした場合において、組合の健全な経営を確保し、又は組合員及び組合の一般債権者を保護するため必要があると認めるときは、主務大臣は、理事若しくは監事の解任若しくは事業の停止を命じ、又は設立の認可を取り消すことができる。
2 保險業法第十二條第二項から第四項まで(聽聞)の規定は、主務大臣が前項の処分をしようとする場合に準用する。この場合において、同條第三項及び第四項の規定中「保險会社」とあるのは「組合」と読み替えるものとする。
(主務大臣及び権限の委任)
第五十四條 この法律及びこの法律において準用する保險業法中「主務大臣」とあるのは、木船相互保險組合については、大蔵大臣及び運輸大臣とする。但し、第十六條第四項(同條第二項第三号に掲げる書類に定めた事項の変更の場合に限る。)、第三十五條第二項但書(第十五條第七項において準用する場合を含む。)、第四十一條第一項、第五十條第一項及び第五十一條(第十六條第二項第三号に掲げる書類に定めた事項の変更の場合に限る。)中「主務大臣」とあるのは、大蔵大臣とする。
2 この法律及びこの法律において準用する保險業法中「主務大臣」とあるのは、船主責任相互保險組合については、大蔵大臣とする。
3 大蔵大臣は、政令で定めるところにより、前二項の規定による権限の全部又は一部を財務局長又は財務部長に、運輸大臣は、政令で定めるところにより、第一項の規定による権限の全部又は一部を海運局長又は海運局支局長に行わせることができる。
4 この法律において「主務省令」とあるのは、大蔵省令、運輸省令とする。
第八章 雑則
(私的独占禁止法等との関係)
第五十五條 この法律の規定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)第三條の規定の適用並びに組合の行為がその固有の業務を遂行するに必要な範囲をこえる場合若しくは組合の事業活動が組合員の間における競争を減殺することとなる場合における事業者団体法(第三條を除く。)の適用又はこれらの法律に基き公正取引委員会が行使する権限を排除し、変更し、又はこれらに影響を及ぼすものと解釈してはならない。
第九章 罰則
第五十六條 組合の役員がいかなる名義をもつてするを問わず、組合の事業の範囲外において、貸付をし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)の正條がある場合には、適用しない。
第五十七條 第八條の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下本項において同じ。)の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその法人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人に対して同項の罰金刑を科する。但し、法人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人については、この限りでない。
3 前項の規定により法人でない社団又は財団を処罰する場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表する外、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第五十八條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第四十九條の規定による報告をせず、若しくは帳簿書類を提出せず、又は虚僞の報告をし、若しくは虚僞の記載をした帳簿書類を提出した者
二 第五十條第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して虚僞の答弁をした者
第五十九條 左の各号の一に該当する場合においては、組合の発起人、理事、監事、参事、清算人又は第五十二條第二項において準用する保險業法第百一條第一項の規定により選任された保險管理人は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律又はこの法律において準用する保險業法の規定に基いてする主務大臣の命令に違反したとき。
二 第四條の規定に違反したとき。
三 第五條の規定に違反したとき。
四 第六條の規定に違反したとき。
五 第十六條第四項の規定に違反して、認可を受けないで同條第二項第一号から第三号までに掲げる書類に記載した事項を変更したとき。
六 第三十五條第二項但書(第十五條第七項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、認可を受けないで理事又は監事を選任したとき。
七 第四十一條第一項の規定に違反して書類を提出しなかつたとき。
八 第四十二條、第四十八條第一項において準用する商法第百三十一條、保險業法第七十五條若しくは第七十六條の規定又は定款の定に違反して、剩余金若しくは残余財産を分配し、又は組合財産を処分したとき。
九 第四十三條又は第四十七條の規定に違反して、認可を受けないで保險金を削減し、又は保險料を追徴したとき。
十 第四十四條第二項において準用する保險業法第六十三條の規定に違反して、準備金を積み立てず、又は使用したとき。
十一 第四十四條第二項において準用する保險業法第八十八條の規定に違反して、責任準備金の計算をせず、又はこれを帳簿に記載しなかつたとき。
十二 第四十八條第一項において準用する商法第百二十四條第三項の規定に違反して破産宣告を請求することを怠つたとき。
十三 清算の結了を遅延せしめる目的で、第四十八條第一項において準用する商法第四百二十一條第一項の期間を不当に定めたとき。
十四 第四十八條第一項において準用する商法第四百二十三條の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
第六十條 左の各号の一に該当する場合においては、組合の発起人、理事、監事、参事、清算人又は第五十二條第二項において準用する保險業法第百一條第一項の規定により選任された保險管理人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律又はこの法律において準用する保險業法若しくは商法の規定に定める公告若しくは届出をすることを怠り、又は不正の公告若しくは届出をしたとき。
二 第十一條第一項の規定は基く政令に違反して、登記をすることを怠り、又は不正の登記をしたとき。
三 第十五條第七項若しくは第三十四條において準用する商法第二百四十四條、第四十四條第二項において準用する保險業法第九十一條又は第四十八條第一項において準用する商法第四百十九條若しくは第四百二十七條の規定に違反して、書類を作成せず、若しくはその書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
四 第二十一條第五項の規定に違反したとき。
五 第二十六條第一項の規定に違反して、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
六 第二十六條第二項の規定に違反して処分することを怠つたとき。
七 第二十七條第四項の規定に違反して弁明の機会を與えなかつたとき。
八 第三十條第一項の規定(第四十八條第二項において準用する場合を含む。)に違反して総会を招集しなかつたとき。
九 第三十六條第一項の規定(第四十八條第二項において準用する場合を含む。)又は同條第二項(第四十八條第二項において準用する場合を含む。)において準用する保險業法第六條の規定に違反したとき。
十 第三十八條第一項(第四十八條第二項において準用する場合を含む。)、第四十四條第一項若しくは第四十八條第二項において準用する商法第二百八十二條第一項又は第四十四條第二項において準用する保險業法第九十一條の規定に違反して書類を備えて置かなかつたとき。
十一 第三十八條第二項の規定に違反して、組合員名簿に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十二 第三十八條第三項又は第四十四條第一項若しくは第四十八條第二項において準用する商法第二百八十二條第二項の規定に違反して、正当の理由がないのに、書類の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付を拒んだとき。
十三 第五十二條第二項において準用する保險業法第百一條第二項の規定に違反して、正当の理由がないのに、保險管理人となることを拒否したとき。
第六十一條 第九條第二項の規定に違反した者は、五千円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 事業者団体法の一部を次のように改正する。
第六條第一項第四号ホの次に次のように加える。
ヘ 船主相互保險組合法(昭和二十五年法律第百七十七号)の規定に基いて設立された船主相互保險組合
3 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第九條第六項中「中小企業等協同組合(企業組合を除く。)、」の下に「船主相互保險組合、」を加える。
4 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九條第七号中「水産業協同組合、」の下に「木船相互保險組合、」を、「水産業協同組合法、」の下に「船主相互保險組合法、」を加える。
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
運輸大臣 大屋晋三
内閣総理大臣 吉田茂
船主相互保険組合法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百七十七号
船主相互保険組合法
目次
第一章
総則(第一条―第十一条)
第二章
設立(第十二条―第二十条)
第三章
組合員(第二十一条―第二十九条)
第四章
機関(第三十条―第四十条)
第五章
計算(第四十一条―第四十四条)
第六章
解散及び清算(第四十五条―第四十八条)
第七章
監督(第四十九条―第五十四条)
第八章
雑則(第五十五条)
第九章
罰則(第五十六条―第六十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、船主相互保険組合の行う相互保険たる損害保険事業の健全な経営を確保し、その組合員及び組合の一般債権者の利益を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「船主相互保険組合」(以下「組合」という。)とは、木船相互保険組合及び船主責任相互保険組合をいう。
2 この法律において「木船相互保険組合」とは、漁船(漁船保険法(昭和十二年法律第二十三号)第一条第二項に定める漁船をいう。以下第七条第一項において同じ。)以外の木船の所有者又は賃借人がその所有又は賃借する船舶並びにその運航に伴つて生ずる船舶所有者(船舶賃借人を含む。以下「船主」という。)の費用及び責任に関する相互保険たる損害保険事業を行うため、この法律に基いて設立した組合をいう。
3 この法律において「船主責任相互保険組合」とは、木船以外の船舶の所有者又は賃借人がその所有又は賃借する船舶の運航に伴つて生ずる船主の費用及び責任に関する相互保険たる損害保険事業を行うため、この法律に基いて設立した組合をいう。
4 この法律において「船舶の運航に伴つて生ずる船主の費用及び責任」とは、左の各号に掲げるものをいう。
一 船舶がその運航に伴つて浮標、さん橋、ドツク、海底電線、漁具その他の物に加えた損害についての船主の賠償責任
二 船舶の運航に伴つて生ずる人命救助費及び傷害疾病に対する療養費であつて、船主が負担又は賠償しなければならないもの
三 船舶に伝染病が発生した場合において、海港検疫法(明治三十二年法律第十九号)第九条第二項の規定に基き、船主が負担すべき消毒その他の措置に要する費用
四 前各号に掲げるものの外、船舶の運航に伴つて生ずる費用で船主の負担しなければならないもの及び船舶の運航に伴つて生ずる損害についての船主の賠償責任
(出資の最低限度)
第三条 組合員の組合に対する出資の総額は、二百万円以上でなければならない。
(兼業の禁止)
第四条 木船相互保険組合は、第二条第二項に定める損害保険事業以外の事業を、船主責任相互保険組合は、同条第三項に定める損害保険事業以外の事業を行うことができない。
(募集の制限)
第五条 組合は、手数料、報酬その他の対価を支払つて、その役員、組合員及び使用人以外の者に組合員の募集を委託してはならない。
(保険契約の移転等の禁止)
第六条 組合は、その保険契約を移転し、又はその事業を譲渡することができない。
(組合員の資格)
第七条 木船相互保険組合の組合員たる資格を有する者は、漁船以外の木船の所有者又は賃借人で定款で定める者に限る。
2 船主責任相互保険組合の組合員たる資格を有する者は、木船以外の船舶の所有者又は賃借人で定款で定める者に限る。
(事業主体の制限)
第八条 この法律に基いて設立された組合以外の者は、第二条第二項又は第三項に定める損害保険事業を行つてはならない。但し、保険業法(昭和十四年法律第四十一号)第一条第一項(保険事業の免許)又は外国保険事業者に関する法律(昭和二十四年法律第百八十四号)第三条第一項(免許)の規定に基いてこれを行う者は、この限りでない。
(名称)
第九条 組合は、その名称中に、左の文字を用いなければならない。
一 木船相互保険組合にあつては、木船相互保険組合
二 船主責任相互保険組合にあつては、船主責任相互保険組合
2 この法律に基いて設立された組合以外の者は、その名称中に、前項に掲げる文字又はこれに類似する文字を用いてはならない。
(法人格及び住所)
第十条 組合は、法人とする。
2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(登記)
第十一条 組合は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記後でなければ、これをもつて第三者に対抗することはできない。
第二章 設立
(発起人及び組合員)
第十二条 組合を設立するには、組合員になろうとする七人以上の者が発起人であることを要する。
2 組合は、十五人以上の組合員及びその組合員の所有又は賃借する百隻以上の保険の目的たる船舶(船舶の運航に伴つて生ずる船主の費用及び責任を保険契約の目的とする場合においては、その船舶。以下同じ。)がなければ設立することができない。
(定款記載事項)
第十三条 発起人は、組合の定款を作成し、これに左の事項を記載して署名しなければならない。
一 名称
二 事務所の所在地
三 組合員の資格に関する規定
四 組合員の加入及び脱退に関する規定
五 組合員に対する通知又は催告に関する規定
六 出資一口の金額及びその払込の時期
七 保険金の支払をすべき事由
八 保険金の削減及び保険料の追徴に関する規定
九 前二号に掲げるものの外保険契約に関する規定
十 組合員総会(以下「総会」という。)に関する規定
十一 役員及び参事に関する規定
十二 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
十三 事業年度
十四 公告の方法
十五 組合の負担に帰すべき設立費用及び発起人が受くべき報酬の額
十六 存立の時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
(加入申込証)
第十四条 組合に加入しようとする者は、加入申込証二通に出資口数並びに保険の目的たる船舶及び保険契約の目的について第十六条第二項第二号の事業方法書で定める事項及び保険金額を記載して署名しなければならない。
2 設立の際の加入申込証は、発起人が作り、左の事項を記載しなければならない。
一 定款に記載した事項
二 発起人の氏名又は名称及び住所
三 出資及び保険料の払込の方法、期限及び場所
四 一定の時期までに創立総会が終らなかつたときは、加入の申込を取り消すことができること。
3 組合の成立後の加入申込証は、理事が作り、左の事項を記載しなければならない。
一 設立の認可を受けた年月日
二 定款に記載した事項
三 役員の氏名及び住所
四 出資及び保険料の払込の方法、期限及び場所
(創立総会)
第十五条 発起人は、定款作成後、組合員になろうとする者を募り、出資の全額及び保険料の全部若しくは一部の払込が終了した者の数及びその所有又は賃借する保険の目的たる船舶の数が第十二条第二項に定める数以上に達したときは、加入申込証に定める出資及び保険料の払込の期限経過後、遅滞なく、創立総会を開かなければならない。
2 定款の承認、理事及び監事の選任その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の決議によらなければならない。
3 創立総会においては、定款を修正することができる。但し、組合員の資格に関する規定については、この限りでない。
4 理事及び監事は、組合員になろうとする者(法人たる組合員にあつては、その業務を執行する役員)のうちから選任する。
5 創立総会における議事は、組合員になろうとする者(その出資の全額及び保険料の全部若しくは一部の払込を終了した者に限る。以下第六項において同じ。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上で決定する。
6 組合員になろうとする者は、創立総会において、各自一個の議決権を有する。
7 第三十三条及び第三十五条第二項但書並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百三十九条第四項及び第二百四十条(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四条(株主総会の議事録)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(株主総会の決議の取消)の規定は、創立総会に準用する。この場合において、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは、「船主相互保険組合法第十五条第五項」と読み替えるものとする。
(設立の認可申請)
第十六条 発起人は、創立総会終了の後、遅滞なく、主務大臣に設立の認可を申請してその認可を受けなければならない。
2 前項の場合において、発起人は、設立認可申請書に左に掲げる書類を添付して、主務大臣に提出しなければならない。
一 定款
二 事業方法書
三 保険料及び責任準備金算出方法書
四 加入申込証
五 出資及び保険料の払込のあつたことを証する書面
六 役員の氏名、住所及びその資格を証する書面
七 第三十八条第二項に定める組合員名簿
八 創立総会の議事録
九 事業開始後三年間の事業計画書
十 その他主務大臣が必要と認める書類
3 前項第二号及び第三号に掲げる書類に記載すべき事項は、主務省令で定める。
4 組合が第二項第一号から第三号までに掲げる書類に記載した事項を変更するには、主務大臣の認可を受けなければならない。
(設立の認可)
第十七条 主務大臣は、前条第一項の設立の認可申請があつたときは、左の各号の一に該当する場合を除き、且つ、その事業が健全に行われ公益に反しないと認められる場合には、その設立を認可しなければならない。
一 設立の手続又は前条第二項に掲げる書類の内容が法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反するとき。
二 前条第二項に掲げる書類に重要な事項につき虚偽の記載があり、若しくは重要な事項の記載が欠けているとき。
三 発起人、理事及び監事のうちに左の各号の一に該当する者があるとき。
イ 破産者で復権を得ないもの
ロ 禁こ以上の刑又はこの法律により罰金の刑に処せられ、その執行の終つた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの者
ハ 組合がこの法律の規定により設立の認可を取り消された場合において、当該処分のあつた日の三十日以前に当該組合の理事又は監事であつた者で当該組合がその取消処分を受けた日から五年を経過するまでのもの
ニ 第五十三条第一項の規定により解任された役員でその処分の日から五年を経過するまでのもの
ホ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者でその法定代理人が前各号の一に該当するもの
2 保険業法第二条(免許に際しての供託金)の規定は、前項の設立の認可をしようとする場合に準用する。
3 主務大臣は、前項の設立の認可をし、又はしなかつたときは、遅滞なく、その旨を書面をもつて、設立認可申請者に通知しなければならない。
(成立の時期)
第十八条 組合は、前条第一項の設立の認可に因つて成立する。
(理事への事務引継)
第十九条 発起人は、第十七条第一項の設立の認可があつたときは、遅滞なく、その事務を理事に引き継がなければならない。
(商法の準用)
第二十条 商法第百九十三条、第百九十四条及び第百九十六条(発起人の責任)並びに第百九十七条(発起人に対する訴)の規定は、組合の発起人に準用する。この場合において、第百九十六条中「第三百四十三条」とあるのは「船主相互保険組合法第三十二条第四項」と、第百九十七条中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
第三章 組合員
(加入及び保険契約の成立)
第二十一条 組合の設立の際組合員になろうとする者で、その引き受けた出資の全額の払込が終了し、且つ、保険料の全部又は一部の払込が終了したものについては、組合の成立の時、その者と組合との間に保険契約が成立し、その者は、組合員となる。
2 組合の設立の際組合員になろうとする者で、組合成立の時までに前項に定める払込を終了しないものについては、その加入の申込を取り消したものとみなす。
3 成立後の組合に加入しようとする者は、定款で定めるところにより、加入につき組合の承諾を得て、その引き受けた出資の全額の払込が終了し、又は組合員の持分の全部若しくは一部の譲渡を受け、且つ、保険料の全部又は一部の払込が終了した時、その者と組合との間に保険契約が成立し、その者は、組合員となる。
4 組合員は、組合員でない者を被保険者とする保険契約を、当該組合との間に成立させることができない。
5 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当の理由がないのに、その加入を拒んではならない。
(出資)
第二十二条 組合員は、出資一口以上を持たなければならない。
2 組合に加入しようとする者は、その引き受けた出資の全額を一時に払い込まなければならない。
3 出資は、金銭以外の財産ですることはできない。
4 出資一口の金額は、均一でなければならない。
5 一組合員の出資口数は、出資総口数の百分の十をこえてはならない。
6 組合員は、出資口数にかかわらず、総会において各自一個の議決権を有する。
7 組合の債務に関する組合員の責任は、この法律で別に定める場合を除いては、その出資額及び保険料を限度とする。
8 組合員は、出資及び保険料の払込について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(持分及び保険の目的等の譲渡)
第二十三条 組合員は、組合の承諾を得て、組合員又は組合員たる資格を有する者に持分の全部又は一部を譲渡することができる。
2 前項の場合において、譲受人が組合員たる資格を有する者であるときはその者は、加入につき組合の承諾を得て、遅滞なく、定款で定めるところにより、保険料の全部又は一部を払い込まなければならない。但し、保険の目的たる船舶を譲り受け、又は承継し、且つ、その船舶について、譲渡人又は被承継人の保険契約に基く権利義務を承継したときは、この限りでない。
3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
4 組合員が保険の目的たる船舶を譲渡した場合において、譲受人が組合員であるときは、譲受人は、その船舶について、譲渡人の保険契約に基く権利義務を承継する。この場合においては、譲受人は、遅滞なく、その旨を組合に通知しなければならない。
5 前項の場合において、譲受人が組合員たる資格を有する者であるときは、譲受人は、加入につき組合の承諾を得て、その保険の目的たる船舶について、保険契約に基く譲渡人の権利義務を承継することができる。この場合においては、譲受人は、遅滞なく、定款で定めるところにより、その引き受けた出資の全額を払い込まなければならない。但し、持分を譲り受け、又は承継したときは、この限りでない。
6 前二項の場合において、譲受人が組合員及び組合員たる資格を有する者以外の者であるときは、商法第六百五十条第一項(保険の目的の譲渡)の規定は、準用しない。
(持分及び保険の目的等の承継)
第二十四条 組合員が死亡し、又は合併に因り解散した場合において、その相続人若しくは受遺者又は合併後存続する法人が組合員であるときは、その者は、被承継人の持分及びその持分についての被承継人の権利義務を承継する。この場合においては、承継人は、遅滞なく、その旨を組合に通知しなければならない。
2 前項の場合において、その相続人若しくは受遺者又は合併後存続する法人若しくは合併に因り設立された法人が組合員たる資格を有する者であるときは、その者は、加入につき組合の承諾を得て、被承継人の持分及びその持分についての被承継人の権利義務を承継することができる。この場合においては、承継人は、遅滞なく、定款で定めるところにより、保険料の全部又は一部を払い込まなければならない。但し、保険の目的たる船舶を譲り受け、又は承継し、且つ、その船舶について、譲渡人又は被承継人の保険契約に基く権利義務を承継したときは、この限りでない。
3 第一項の場合において、保険の目的たる船舶を承継した相続人若しくは受遺者又は合併後存続する法人若しくは合併に因り設立された法人が組合員でないときは、承継人は、加入につき組合の承諾を得て、組合員となることができる。この場合においては、遅滞なく、定款で定めるところにより、その引き受けた出資の全額を払い込まなければならない。但し、持分を譲り受け、又は承継したときは、この限りでない。
4 前二項の場合において、承継人は、被承継人の死亡又は解散の時において、組合員になつたものとみなす。
5 第三項の場合において、承継人が組合員とならなかつたときは、その承継した保険の目的たる船舶についての保険契約は、被承継人の死亡又は解散の時において消滅する。
(持分共有の禁止)
第二十五条 組合員は、持分を共有することができない。
2 前条第一項又は第二項の場合において、相続人又は受遺者が数人あるときは、その相続人は受遺者の同意をもつて選定された一人の相続人又は受遺者に対してのみ同条第一項又は第二項の規定を適用する。
(組合の持分取得禁止)
第二十六条 組合は、組合員の持分を取得し、若しくは質権の目的として受けることができない。但し、組合が権利を実行するため必要なときは、この限りでない。
2 組合が前項但書の規定によつて組合員の持分を取得し、若しくは質権の目的として受けたときは、なるべく速かに、これを処分しなければならない。
(脱退)
第二十七条 組合員は、三月前までに予告し、事業年度末において、組合を脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
3 組合員は、第一項及び第二十九条第一項に定める場合の外、左の事由に因つて脱退する。
一 定款で定める組合員たる資格の喪失
二 除名
三 死亡又は解散
四 持分全部の譲渡
五 保険期間の経過若しくは保険事故の発生又は保険の目的たる船舶の譲渡に因る保険契約全部の消滅
4 除名は、定款で定める理由のある組合員につき、第三十二条第四項に定める総会の決議によつてするものとする。この場合においては、組合は、その総会の会日の十日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
5 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその者に対抗することができない。
6 組合員が、第一項若しくは第三項(第五号に掲げる事由に因る脱退の場合を除く。)及び第二十九条第一項の規定によつて脱退したときは、その組合員の保険契約は、消滅する。但し、第三項第三号に掲げる事由に因る脱退の場合において、その組合員の保険契約に基く権利義務の承継人があるときは、この限りでない。
(持分の払戻)
第二十八条 脱退した組合員は、定款で定めるところにより、その持分の払戻を受けることができる。
2 前項の持分は、脱退した日の属する事業年度末における組合の財産によつて定める。
3 前項の持分を計算するにあたり、組合の財産をもつてその債務を完済するに足りないときは、組合は、定款で定めるところにより、脱退した組合員に対し、その負担に帰すべき損失額の払込を請求することができる。
4 第一項及び第三項に規定する請求権は、脱退後二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
5 脱退した組合員が組合に対しまだ弁済期に達していない債務を負担する場合には、組合は、その債務が弁済期に達するまでは、持分の払戻を停止することができる。
(持分の差押に因る脱退)
第二十九条 組合員の持分を差し押えた債権者は、事業年度末において、その組合員を脱退させることができる。この場合において、債権者は、組合及びその組合員に対して三月前までに予告しなければならない。
2 商法第九十条(持分の差押)及び第九十一条第二項(予告の失効)の規定は、前項の場合について準用する。
第四章 機関
(総会の招集)
第三十条 理事は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
2 理事は、必要があると認めるときは、定款で定めるところにより、いつでも臨時総会を招集することができる。
3 五分の一以上の組合員が会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して、総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。
4 前項の場合において、同項の期間内に、正当の理由がないのに、理事が臨時総会招集の手続きをしないときは、監事は、直ちにその手続きをしなければならない。
5 監事が正当の理由がないのに、前項の手続をしないときは、第三項の組合員は、主務大臣の認可を受けて、臨時総会の招集をすることができる。
6 総会の招集は、会日より十日前までに、会議の目的たる事項を示して、組合員に通知しなければならない。但し、第二項から第五項までの場合にあつては、定款でこの期間を短縮することができる。
(総会の決議事項)
第三十一条 この法律及び定款で定めるものの外、左の事項は、総会の決議を経なければならない。
一 第十六条第二項第一号から第三号までに掲げる書類の記載事項の変更
二 保険金の削減及び保険料の追徴
三 解散
四 財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書、剰余金処分案及び損失処理案
(総会の決議手続)
第三十二条 総会の決議は、この法律又は定款に特別の定のある場合を除いて、出席した組合員の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の決議に加わる権利を有しない。
4 定款の記載事項の変更並びに前条第二号及び第三号に掲げる事項は、組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による決議を経なければならない。
(議決権の代理行使)
第三十三条 組合員は、定款で定めるところにより、代理人をもつて、議決権を行うことができる。
2 前項の規定により議決権を行う者は、総会において決議をする場合に、出席者とみなす。
3 第一項の代理人は、組合員でなければならない。
4 前項の代理人は、代理権を証する書面を組合に差し出さなければならない。
(商法の準用)
第三十四条 商法第二百三十九条第四項及び第二百四十条(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四条(株主総会の議事録)、第二百四十五条(第一項第一号から第三号までを除く。)(取締役又は監査役の責任の免除の特別決議)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定は、総会に準用する。この場合において、商法第二百四十五条第一項及び第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「船主相互保険組合法第三十二条第四項」と、同法第二百四十五条第二項において準用する第二百六十八条及び第二百七十九条中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
(役員)
第三十五条 組合に、役員として理事三人以上及び監事一人以上を置く。
2 役員は、定款で定めるところにより、総会において、組合員(法人たる組合員にあつては、その業務を執行する役員。)のうちから選任する。但し、主務大臣の認可を受けて、組合員以外の者を選任することができる。
3 役員の任期は、定款で定める。但し、理事の任期は、三年、監事の任期は、二年をこえてはならない。
4 組合が役員を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その氏名及び住所を主務大臣に届け出なければならない。
(役員の兼職及び兼業の禁止)
第三十六条 理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。
2 保険業法第六条(常務役員の専業主義)の規定は、組合の常務に従事する役員に準用する。
(理事の自己契約等の禁止)
第三十七条 組合が理事と契約するときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同様とする。
(定款等書類の備置義務)
第三十八条 理事は、定款及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数、出資金額、保険金額及び保険料
3 組合員及び組合の一般の債権者は、組合の事業時間内いつでも第一項に掲げる書類の閲覧を求めることができる。
(参事)
第三十九条 組合は、理事の過半数の決議により参事を選任し、その主たる事務所又は従たる事務所において、その業務を行わせることができる。
(商法等の準用)
第四十条 商法第二百五十四条第二項(取締役と会社との関係)、第二百六十六条(取締役の連帯責任)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定は、組合の理事及び監事に、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十五条(代表権の委任)並びに商法第二百六十条から第二百六十二条まで(取締役の業務の執行及び会社の代表)、第二百六十七条及び第二百六十八条(取締役に対する訴)並びに第二百六十九条(取締役の報酬)の規定は、理事に、同法第二百七十四条及び第二百七十五条(報告徴収及び書類調査等)、第二百七十八条(取締役と監査役の連帯責任)並びに第二百七十九条(監査役に対する訴)の規定は、監事に、同法第三十八条第一項及び第三項、第三十九条、第四十一条並びに第四十二条(支配人)の規定は、参事に準用する。この場合において。商法第二百六十八条及び第二百七十九条中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
第五章 計算
(決算書類の提出)
第四十一条 組合は、毎年三月末日においてその帳簿を閉鎖し、総会終了の後、遅滞なく、財産目録、貸借対照表、事業報告書、損益計算書及び剰余金処分若しくは損失処理に関する決議書を主務大臣に提出しなければならない。
2 前項の書類の様式は、主務省令で定める。
(剰余金の分配)
第四十二条 剰余金の分配は、設立費用及び当初の五事業年度の事業費の全額を償却し、損失をてん補し、且つ、第四十四条第二項において準用する保険業法第六十三条(損失てん補準備金)に定める準備金を控除した後でなければ、してはならない。
2 剰余金の分配は、定款で定めるところにより、年六分をこえない範囲内において組合員の出資額の割合に応じてし、なお剰余があるときは、組合員の事業の利用分量の割合に応じてしなければならない。
(保険金の削減及び保険料の追徴)
第四十三条 組合は、保険金の削減又は保険料の追徴を行う場合においては、主務大臣の認可を受けなければならない。
(商法等の準用)
第四十四条 商法第二百八十一条から第二百八十五条まで(会社の計算)の規定は、組合の計算に準用する。この場合において、商法第二百八十一条第五号中「準備金及利益又ハ利息ノ配当ニ関スル議案」とあるのは「剰余金処分案若しくは損失処理案」と読み替えるものとする。
2 保険業法第六十三条(損失てん補準備金)、第六十六条(剰余金の分配を受ける者)、第八十五条第一項、第八十八条及び第九十一条(保険会社の計算)の規定は、組合の計算に準用する。この場合において、これらの規定中「保険会社」又は「会社」とあるのは「組合」と、「監査役」とあるのは「監事」と読み替えるものとする。
第六章 解散及び清算
(解散)
第四十五条 組合は、左の事由に因つて解散する。但し、第五号に該当する場合において、組合が主務大臣の認可を受けて、同号に該当するに至つた時から三月以内に、出資の額又は組合員の数若しくは保険の目的たる船舶の数を第三条又は第十二条第二項に定める額又は数以上にしたときは、この限りでない。
一 定款で定める存立時期の満了又は解散事由の発生
二 総会の決議
三 組合の破産
四 設立認可の取消
五 出資の総額が第三条に定める額を欠き、又は組合員の数若しくは保険の目的たる船舶の数が第十二条第二項に定める数を欠くに至つたこと
2 前項第二号に定める解散の決議は、主務大臣の認可を受けなければ効力を生じない。
3 保険業法第七十二条(解散決議の公告等)の規定は、組合が解散の決議をした場合に準用する。
4 組合は、解散したとき、又は第一項第五号に該当する場合において同項但書の規定による措置をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(清算人の選任)
第四十六条 組合が解散したときは、破産又は設立認可の取消に因る解散の場合を除いては、理事がその清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
2 前項の場合において、清算人となる者がないとき、及び組合が設立認可の取消に因り解散したときは、主務大臣が清算人を選任する。
(保険金の削減及び保険料の追徴)
第四十七条 清算人は、組合に現存する財産がその債務を完済するのに不足する場合には、主務大臣の認可を受けて、保険金の削減又は保険料の追徴をすることができる。
(商法等の準用)
第四十八条 商法第百十六条、第百二十二条、第百二十四条、第百二十五条、第百二十八条、第百二十九条第二項及び第三項並びに第百三十一条(合名会社の清算関係)、第四百十八条から第四百二十四条まで、第四百二十六条第一項及び第四百二十七条(株式会社の清算関係)並びに保険業法第七十五条、第七十六条、第百三十二条第二項(商法第百二十二条に関する部分に限る。)から第五項まで及び第百三十三条から第百三十五条まで(保険会社の清算関係)の規定は、組合の清算に準用する。この場合において、商法第百二十二条中「第九十四条第四号又ハ第六号」とあるのは「船主相互保険組合法第四十五条第一項第四号」と読み替えるものとする。
2 第三十条及び第三十六条から第三十八条第一項まで、商法第二百四十四条第二項(議事録署名義務者)、第二百四十五条第一項第四号(取締役の責任の免除に関する部分に限る。)、第二百四十七条及び第二百四十九条(総会決議取消の訴)、第二百五十四条第二項(会社と取締役との委任関係)、第二百六十一条(取締役の代表権)、第二百六十六条から第二百六十九条まで(取締役の責任及び取締役に対する訴)、第二百七十四条及び第二百七十五条(監査役の調査権限等)、第二百七十八条(監査役及び取締役の連帯責任)並びに第二百八十二条から第二百八十四条まで取締役の計算書類の公示及び総会への提出義務並びに取締役又は監査役に対する責任解除)の規定は、清算人に準用する。この場合において、商法第二百四十五条第一項及び第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「船主相互保険組合法第三十二条第四項」と、同法第二百六十八条中「資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員である五分の一以上の者」と読み替えるものとする。
第七章 監督
(報告及び帳簿書類の提出命令)
第四十九条 主務大臣は、組合の業務の監督上必要があると認めるときは、主務省令で定めるところにより、組合に対し、その業務及び財産の状況に関し報告をさせ、又は資料の提出を命ずることができる。
(検査)
第五十条 主務大臣は、組合の健全な経営を確保し、又は組合員及び組合の一般債権者を保護するため、部下の職員をして、組合の業務及び財産の状況を検査させることができる。
2 前項の場合において、当該職員は、検査のため必要があると認めるときは、組合の事務所に立ち入り、その役員若しくは使用人に対して質問し、又はその帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査することができる。
3 前項の場合において、当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(定款等の変更命令等)
第五十一条 主務大臣は、組合の健全な経営を確保し、又は組合員及び組合の一般債権者を保護するため、組合の業務若しくは財産の状況又は事情の変更によつて必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、組合に対し、第十六条第二項第一号から第三号までに掲げる書類に定めた事項の変更、業務執行の方法の変更若しくは財産の供託を命じ、又は財産の処分を禁止し、若しくは制限することができる。
(事業停止及び強制管理命令)
第五十二条 主務大臣は、組合の業務若しくは財産の状況によりその健全な経営を確保することが困難であると認めるとき又は組合の業務若しくは財産の状況が著しく不良で組合員及び組合の一般債権者を保護するためその事業を継続させることが著しく不適当と認めるときは、政令で定めるところにより、事業の停止を命じ、又は業務及び財産の管理の命令をすることができる。
2 保険業法第十二条第二項から第四項まで(聴聞)の規定は、主務大臣が前項の命令をしようとする場合に、同法第百一条から第百三条まで、第百四条第一項及び第三項前段並びに第百六条(業務及び財産の管理関係)の規定は、前項の業務及び財産の管理の命令があつた場合に準用する。この場合において、これらの規定中「保険会社」又は「会社」とあるのは「組合」と読み替えるものとする。
(法令等の違反に対する処分)
第五十三条 組合がこの法律若しくはこの法律において準用する保険業法の規定若しくは第四十九条、第五十一条若しくは前条第一項の主務大臣の命令若しくは第十六条第二項第一号から第三号までに掲げる書類に定めた特に重要な事項に違反し、又は公益を害する行為をした場合において、組合の健全な経営を確保し、又は組合員及び組合の一般債権者を保護するため必要があると認めるときは、主務大臣は、理事若しくは監事の解任若しくは事業の停止を命じ、又は設立の認可を取り消すことができる。
2 保険業法第十二条第二項から第四項まで(聴聞)の規定は、主務大臣が前項の処分をしようとする場合に準用する。この場合において、同条第三項及び第四項の規定中「保険会社」とあるのは「組合」と読み替えるものとする。
(主務大臣及び権限の委任)
第五十四条 この法律及びこの法律において準用する保険業法中「主務大臣」とあるのは、木船相互保険組合については、大蔵大臣及び運輸大臣とする。但し、第十六条第四項(同条第二項第三号に掲げる書類に定めた事項の変更の場合に限る。)、第三十五条第二項但書(第十五条第七項において準用する場合を含む。)、第四十一条第一項、第五十条第一項及び第五十一条(第十六条第二項第三号に掲げる書類に定めた事項の変更の場合に限る。)中「主務大臣」とあるのは、大蔵大臣とする。
2 この法律及びこの法律において準用する保険業法中「主務大臣」とあるのは、船主責任相互保険組合については、大蔵大臣とする。
3 大蔵大臣は、政令で定めるところにより、前二項の規定による権限の全部又は一部を財務局長又は財務部長に、運輸大臣は、政令で定めるところにより、第一項の規定による権限の全部又は一部を海運局長又は海運局支局長に行わせることができる。
4 この法律において「主務省令」とあるのは、大蔵省令、運輸省令とする。
第八章 雑則
(私的独占禁止法等との関係)
第五十五条 この法律の規定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)第三条の規定の適用並びに組合の行為がその固有の業務を遂行するに必要な範囲をこえる場合若しくは組合の事業活動が組合員の間における競争を減殺することとなる場合における事業者団体法(第三条を除く。)の適用又はこれらの法律に基き公正取引委員会が行使する権限を排除し、変更し、又はこれらに影響を及ぼすものと解釈してはならない。
第九章 罰則
第五十六条 組合の役員がいかなる名義をもつてするを問わず、組合の事業の範囲外において、貸付をし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)の正条がある場合には、適用しない。
第五十七条 第八条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下本項において同じ。)の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその法人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人に対して同項の罰金刑を科する。但し、法人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人については、この限りでない。
3 前項の規定により法人でない社団又は財団を処罰する場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表する外、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第五十八条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第四十九条の規定による報告をせず、若しくは帳簿書類を提出せず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした帳簿書類を提出した者
二 第五十条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して虚偽の答弁をした者
第五十九条 左の各号の一に該当する場合においては、組合の発起人、理事、監事、参事、清算人又は第五十二条第二項において準用する保険業法第百一条第一項の規定により選任された保険管理人は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律又はこの法律において準用する保険業法の規定に基いてする主務大臣の命令に違反したとき。
二 第四条の規定に違反したとき。
三 第五条の規定に違反したとき。
四 第六条の規定に違反したとき。
五 第十六条第四項の規定に違反して、認可を受けないで同条第二項第一号から第三号までに掲げる書類に記載した事項を変更したとき。
六 第三十五条第二項但書(第十五条第七項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、認可を受けないで理事又は監事を選任したとき。
七 第四十一条第一項の規定に違反して書類を提出しなかつたとき。
八 第四十二条、第四十八条第一項において準用する商法第百三十一条、保険業法第七十五条若しくは第七十六条の規定又は定款の定に違反して、剰余金若しくは残余財産を分配し、又は組合財産を処分したとき。
九 第四十三条又は第四十七条の規定に違反して、認可を受けないで保険金を削減し、又は保険料を追徴したとき。
十 第四十四条第二項において準用する保険業法第六十三条の規定に違反して、準備金を積み立てず、又は使用したとき。
十一 第四十四条第二項において準用する保険業法第八十八条の規定に違反して、責任準備金の計算をせず、又はこれを帳簿に記載しなかつたとき。
十二 第四十八条第一項において準用する商法第百二十四条第三項の規定に違反して破産宣告を請求することを怠つたとき。
十三 清算の結了を遅延せしめる目的で、第四十八条第一項において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
十四 第四十八条第一項において準用する商法第四百二十三条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
第六十条 左の各号の一に該当する場合においては、組合の発起人、理事、監事、参事、清算人又は第五十二条第二項において準用する保険業法第百一条第一項の規定により選任された保険管理人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律又はこの法律において準用する保険業法若しくは商法の規定に定める公告若しくは届出をすることを怠り、又は不正の公告若しくは届出をしたとき。
二 第十一条第一項の規定は基く政令に違反して、登記をすることを怠り、又は不正の登記をしたとき。
三 第十五条第七項若しくは第三十四条において準用する商法第二百四十四条、第四十四条第二項において準用する保険業法第九十一条又は第四十八条第一項において準用する商法第四百十九条若しくは第四百二十七条の規定に違反して、書類を作成せず、若しくはその書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
四 第二十一条第五項の規定に違反したとき。
五 第二十六条第一項の規定に違反して、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
六 第二十六条第二項の規定に違反して処分することを怠つたとき。
七 第二十七条第四項の規定に違反して弁明の機会を与えなかつたとき。
八 第三十条第一項の規定(第四十八条第二項において準用する場合を含む。)に違反して総会を招集しなかつたとき。
九 第三十六条第一項の規定(第四十八条第二項において準用する場合を含む。)又は同条第二項(第四十八条第二項において準用する場合を含む。)において準用する保険業法第六条の規定に違反したとき。
十 第三十八条第一項(第四十八条第二項において準用する場合を含む。)、第四十四条第一項若しくは第四十八条第二項において準用する商法第二百八十二条第一項又は第四十四条第二項において準用する保険業法第九十一条の規定に違反して書類を備えて置かなかつたとき。
十一 第三十八条第二項の規定に違反して、組合員名簿に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十二 第三十八条第三項又は第四十四条第一項若しくは第四十八条第二項において準用する商法第二百八十二条第二項の規定に違反して、正当の理由がないのに、書類の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付を拒んだとき。
十三 第五十二条第二項において準用する保険業法第百一条第二項の規定に違反して、正当の理由がないのに、保険管理人となることを拒否したとき。
第六十一条 第九条第二項の規定に違反した者は、五千円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 事業者団体法の一部を次のように改正する。
第六条第一項第四号ホの次に次のように加える。
ヘ 船主相互保険組合法(昭和二十五年法律第百七十七号)の規定に基いて設立された船主相互保険組合
3 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第九条第六項中「中小企業等協同組合(企業組合を除く。)、」の下に「船主相互保険組合、」を加える。
4 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「水産業協同組合、」の下に「木船相互保険組合、」を、「水産業協同組合法、」の下に「船主相互保険組合法、」を加える。
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
運輸大臣 大屋晋三
内閣総理大臣 吉田茂