(漁船船主責任保険事業等)
第三条 漁船保険組合は、漁船損害補償法第四条の規定により漁船保険事業を行うほか、この法律で定めるところにより、漁船船主責任保険事業及び漁船乗組船主保険事業を行うことができる。ただし、漁船乗組船主保険事業は、漁船船主責任保険事業と併せて行うのでなければ、これを行うことができない。
(認可)
第四条 漁船保険組合は、漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業を行おうとするときは、農林省令で定めるところにより、事業計画及び漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款を定め、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 漁船保険組合は、前項の認可の申請をするには、あらかじめ、その事業計画及び漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款につき、総会又は総代会の議決を経なければならない。
3 第一項の認可は、漁船保険組合が行う漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業が第一条に規定する制度の確立に資することとなるように効率的に行われることを旨としてしなければならない。
(事業計画の遵守)
第五条 前条第一項の認可を受けた漁船保険組合(以下「認可組合」という。)は、その事業計画に従つて漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業を行わなければならない。
(事業計画等の変更)
第六条 認可組合は、その事業計画又は漁船船主責任保険約款若しくは漁船乗組船主保険約款を変更しようとするときは、その変更につき、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 第四条第二項及び第三項の規定は、前項の認可について準用する。
(認可の取消し)
第七条 農林大臣は、認可組合が漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業に係る業務又は会計につき法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は漁船船主責任保険約款若しくは漁船乗組船主保険約款に違反したときは、第四条第一項の認可を取り消すことができる。
(被保険者の資格)
第八条 漁船船主責任保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船の所有者又は借受人(これらの者が当該漁船以外の漁船を用船し又は当該漁船以外の漁船につき回航を請け負う者であるときは、漁船船主責任保険約款で定める要件に該当する場合に限る。)とする。
2 漁船乗組船主保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船の所有者又は借受人であつてその所有し又は借り受ける漁船の乗組員であるものとする。
(保険契約者の資格)
第九条 漁船船主責任保険の保険契約を認可組合との間に締結することができる者は、漁船の所有者又は借受人であつて次の各号のいずれかに該当する者であるものとし、当該保険契約の成立によつて被保険者となる者に限るものとする。
一 当該認可組合の組合員(漁船損害補償法第九十六条第二項(同条第三項及び同法第九十六条の二第三項において準用する場合を含む。)又は同法第九十六条の三第二項の規定により組合員とみなされる者を含む。次号において同じ。)
二 当該認可組合の組合員以外の者であつて、当該認可組合の区域内にその者の住所又は当該漁船の主たる根拠地があるもの
2 漁船乗組船主保険の保険契約を認可組合との間に締結することができる者は、漁船乗組船主保険の被保険者たる資格を有する者であつて前項各号のいずれかに該当する者であるものとし、当該保険契約の成立によつて被保険者となる者に限るものとする。
(漁船乗組船主保険の保険契約の締結の制限)
第十条 認可組合は、漁船船主責任保険を申し込む者が併せて漁船乗組船主保険を申し込む場合又は漁船船主責任保険を当該認可組合との間で締結している者(第十二条の規定によりその者の当該保険関係に関して有する権利義務を承継した者を含む。)が漁船乗組船主保険を申し込む場合でなければ、その者と漁船乗組船主保険の保険契約を締結してはならない。
(保険契約の成立)
第十一条 漁船船主責任保険の保険契約又は漁船乗組船主保険の保険契約は、当該保険契約を認可組合との間に締結することができる者から当該認可組合が保険料(漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款の定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、保険料のうちその第一回の支払に係るもの)を受け取つた時に成立する。
(漁船船主責任保険の保険関係に関する権利義務の承継)
第十二条 漁船船主責任保険の保険契約に係る漁船の譲受人は、認可組合に通知して、譲渡人が当該漁船に係る当該保険関係に関して有する権利義務を承継することができる。ただし、認可組合が、正当な事由により、当該通知を受けた後直ちに当該譲受人に通知してその承継を拒んだときは、この限りでない。
2 前項の規定は、漁船船主責任保険の保険契約に係る漁船につき、相続その他の包括承継又は遺贈があつた場合について準用する。
(保険期間)
第十三条 漁船船主責任保険の保険期間及び漁船乗組船主保険の保険期間は、それぞれ一年とする。ただし、認可組合は、農林省令で定めるところにより、漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款で別段の定めをすることができる。
(純保険料率)
第十四条 漁船船主責任保険の純保険料率及び漁船乗組船主保険の純保険料率は、認可組合が、漁船船主責任保険の保険責任及び漁船乗組船主保険の保険責任に係る危険の態様を勘案して、漁船船主責任保険約款及び漁船乗組船主保険約款でそれぞれ定める割合とする。
(認可組合の責任)
第十五条 認可組合は、漁船船主責任保険においては、戦争、変乱その他第二条第二項の農林省令で定める特殊な事由によるものを除き、漁船の所有者又は借受人が、その所有し、借り受け、若しくは用船し、若しくは回航を請け負う漁船の運航に伴つて生じた費用で自己が負担しなければならないものを負担し、又は当該漁船の運航に伴つて生じた損害につき自己の賠償責任に基づき賠償することによる損害をてん補する。
2 認可組合は、漁船乗組船主保険においては、漁船の所有者又は借受人であつてその所有し又は借り受ける漁船の乗組員であるものにつき当該漁船の運航に伴つて死亡その他の第二条第三項の農林省令で定める事故が生じた場合に一定の金額を支払う。
3 前二項の規定によりてん補すべき損害の範囲及び支払うべき金額の基準に関して必要な事項は、農林省令で定める。
(経理の区分)
第十六条 認可組合は、漁船損害補償法第百五条の二の規定によるほか、漁船船主責任保険事業と漁船乗組船主保険事業とを区分して経理するとともに、これらの事業を他の事業と区分して経理しなければならない。
(漁船損害補償法及び商法の準用等)
第十七条 漁船損害補償法第四十四条第四項及び第五項の規定は、漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 漁船損害補償法第五十一条、第九十三条から第九十五条まで、第九十七条から第百四条まで及び第百七条から第百九条まで並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百四十四条、第六百四十五条、第六百四十七条、第六百四十八条、第六百五十二条、第六百六十二条及び第六百六十三条の規定は、漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 認可組合が漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業を行う場合における漁船損害補償法第八十五条及び第八十六条第一項の規定の適用については、同法第八十五条第一項中「又は定款」とあるのは「、定款、漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款」と、同条第二項及び同法第八十六条第一項中「若しくは定款」とあるのは「、定款、漁船船主責任保険約款若しくは漁船乗組船主保険約款」とする。