消防組織法
法令番号: 法律第二百二十六号
公布年月日: 昭和22年12月23日
法令の形式: 法律
消防組織法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十三日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百二十六号
消防組織法目次
第一章
総則
第二章
國家機関
第三章
自治体の機関
第四章
雜則
附則
消防組織法
第一章 総則
第一條 消防は、その施設及び人員を活用して、國民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害に因る被害を軽減することを以て、その任務とする。
第二章 國家機関
第二條 國家公安委員会に國家消防廳を置く。
第三條 國家消防廳に長官を置く。
長官は、國家公務員法の規定に基き、國家公安委員会がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
長官は、國家公安委員会の指揮監督を受け、國家消防廳の廳務を掌理する。
第四條 國家消防廳は、左に掲げる事務を掌る。
一 消防に関する市街地の等級化に関する事項
二 消防準則の研究及び立案に関する事項
三 防火査察(放火及び失火犯の搜査を含む。)制度の確立に関する事項
四 放火及び失火犯の搜査技術の研究並びに搜査員の訓練に関する事項
五 消防操法訓練の基準の研究及び立案に関する事項
六 消防技術及び火災予防に関する出版に関する事項
七 消防統計及び消防情報に関する事項
八 消防指導員の養成に関する事項
九 消防設備及び機械器具の檢定に関する事項
十 消防に関する試驗研究に関する事項
第五條 國家消防廳に消防研究所及び管理局を置く。
國家消防廳に、國家公安委員会の承認を得て國家消防廳の定めるところにより、所長一人、局長一人その他所要の職員及び機関を置く。
前項の職員は、國家公務員法の規定に基き、國家消防廳長官がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
第三章 自治体の機関
第六條 市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果すべき責任を有する。
第七條 市町村の消防は、條例に從い、市町村長がこれを管理する。
第八條 市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない。
第九條 市町村の消防事務を処理するため、市町村に、消防團の外、その必要に應じ、左に掲げる機関の全部又は一部を設けることができる。
一 消防本部
二 消防署
三 消防職員及び消防團員の訓練機関
第十條 消防本部の設置、名称及び組織は、市町村がこれを定める。
消防本部を置く市町村は、一又は二以上の消防署を置くことができる。
消防署の設置、名称、組織及び管轄区域は、市町村がこれを定める。
第十一條 消防本部を置く市町村に、消防長及びこの法律の規定に從い、有効に消防を行うに必要且つ適当な階級の消防吏員を置く。
消防吏員は、上司の指揮監督を受け、消防の事務を掌る。
市町村の消防吏員の定員は、地方的要求に應じて、その市町村がこれを定める。
第十二條 市町村の消防長は、條例に從い、市町村長がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
第十三條 市町村の消防長は、市町村長の定める基準により、当該市町村の消防職員を任命し、一定の事由により罷免する。市町村の消防長は、これらの職員を指揮監督する。
第十四條 消防署長は、上司の指揮監督を受け、管轄区域内における消防事務を執行し、部下の職員を指揮監督する。
第十五條 消防職員の任免、給與、服務その他の事項は、國家公務員法の精神に則り、市町村條例でこれを定める。
消防職員の宣誓、訓練、礼式及び服制に関する事項は、國家消防廳の定める準則に則り、市町村規則でこれを定める。
第十六條 特別区の存する区域においては、特別区が連合してその区域内における第六條に規定する責任を有する。
第十七條 前條の特別区の消防は、都知事がこれを管理する。
特別区の消防長は、都條例に從い、都知事がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
第十八條 前二條に規定するものの外、特別区の存する区域における消防については、特別区の存する区域を以て一の市とみなし、市町村の消防に関する規定を準用する。
第四章 雜則
第十九條 市町村の消防は、國家消防廳の運営管理又は行政管理に服することはない。
第二十條 國家消防廳は、市町村長又は市町村の消防長から要求があつた場合は、消防に関する事項について助言を與え、及び設備、資材の斡旋をすることができる。
第二十一條 市町村長は、消防の相互應援に関して協定することができる。
第二十二條 市町村長は、國家消防廳の定める形式及び方法により、消防統計を、都道府縣知事を通じて、國家消防廳に報告しなければならない。
第二十三條 國家消防廳及び地方公共團体は、消防事務のために警察通信施設を使用することができる。
第二十四條 消防及び警察は、國民の生命、身体及び財産の保護のために相互に協力をしなければならない。
國家消防廳、國家地方警察、都道府縣知事及び市町村長は、相互間において、地震、颱風、水火災等の非常事態の場合における災害防禦の措置に関し予め協定することができる。これらの災害に際して消防が警察を應援する場合は、運営管理は警察がこれを留保し、消防職員は、警察権を行使してはならない。これらの災害に際して警察が消防を應援する場合は、災害区域内の消防に関係のある警察の指揮は、消防がこれを行う。
第二十五條 市町村の消防に要する費用に対する補助金に関しては、法律でこれを定める。
第二十六條 都道府縣は、必要に應じ、市町村の消防職員及び消防團員の訓練を行うために所要の機関を存置し、又は設置することができる。
附 則
第二十七條 この法律施行の期日は、その成立の日から九十日を超えない期間内において、各規定について、政令で、これを定める。
第二十八條 國家公務員法は、この法律の適用に必要な範囲内においては、既に施行されたものとみなす。
前項の場合においては、國家公務員法による人事委員会の設置に至るまで、その職権は、同法附則第二條の例により、臨時人事委員会がこれを行う。
第二十九條 この法律施行後一年間は、任用候補者名簿がない場合その他特に必要がある場合においては、國家消防廳の職員又は市町村の消防職員は、現在の法令により、夫々当該職員に相應する官吏又は吏員に必要な資格を有する者の中から、臨時に、これを任命することができる。
第三十條 國家消防廳の職員の任免、給與、服務その他必要な事項に関しては、國家公務員法に規定する人事委員会規則が定められるまでは、当分の間、これらの職員に相当する政府職員に適用される從前の法令の例による。
第三十一條 この法律施行の際現に警視廳又は道府縣警察部若しくは特設消防署に勤務する官吏が、引き続き都道府縣の消防訓練機関の職員又は市町村の消防職員となつた場合には、これを從前の身分のまま勤務するものとみなし、当分の間、これに恩給法の規定を準用する。
第三十二條 この法律施行の際現に警視廳又は道府縣警察部若しくは特設消防署の権限に属する消防事務で、この法律により市町村又は都道府縣に属することとなつたものに要する市町村の費用又は都道府縣の消防訓練機関に要する都道府縣の費用は、地方自治財政が確立される時まで、政令の定めるところにより、國庫及び都道府縣がこれを負担する。
國庫と都道府縣の消防事務に要する費用の負担区分については、前項の時まで、從前の例による。
第三十三條 この法律施行の際現に消防の用に供する國有財産若しくは都道府縣有財産又は國の所有若しくは都道府縣有に属する物品で國家地方警察に不必要なものは、市町村消防に必要な場合は、無償でこれを当該市町村に讓與するものとする。但し現に警視廳又は道府縣警察部の消防訓練機関の使用しているものは、無償でこれを当該都道府縣に讓與するものとする。
前項の場合において、これに伴う負債のあるものは、その処分については相互の協議により、これを定める。
第三十四條 町村の全部事務組合及び役場事務組合でこの法律施行の際現に存するものは、この法律の適用については、これを一の町村とみなす。
第三十五條 行政執行法第四條の当該行政官廳には、市町村長、第十二條の消防長及び第十四條の消防署長を含むものとする。
内務大臣 木村小左衞門
内閣総理大臣 片山哲
消防組織法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十三日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百二十六号
消防組織法目次
第一章
総則
第二章
国家機関
第三章
自治体の機関
第四章
雑則
附則
消防組織法
第一章 総則
第一条 消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害に因る被害を軽減することを以て、その任務とする。
第二章 国家機関
第二条 国家公安委員会に国家消防庁を置く。
第三条 国家消防庁に長官を置く。
長官は、国家公務員法の規定に基き、国家公安委員会がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
長官は、国家公安委員会の指揮監督を受け、国家消防庁の庁務を掌理する。
第四条 国家消防庁は、左に掲げる事務を掌る。
一 消防に関する市街地の等級化に関する事項
二 消防準則の研究及び立案に関する事項
三 防火査察(放火及び失火犯の捜査を含む。)制度の確立に関する事項
四 放火及び失火犯の捜査技術の研究並びに捜査員の訓練に関する事項
五 消防操法訓練の基準の研究及び立案に関する事項
六 消防技術及び火災予防に関する出版に関する事項
七 消防統計及び消防情報に関する事項
八 消防指導員の養成に関する事項
九 消防設備及び機械器具の検定に関する事項
十 消防に関する試験研究に関する事項
第五条 国家消防庁に消防研究所及び管理局を置く。
国家消防庁に、国家公安委員会の承認を得て国家消防庁の定めるところにより、所長一人、局長一人その他所要の職員及び機関を置く。
前項の職員は、国家公務員法の規定に基き、国家消防庁長官がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
第三章 自治体の機関
第六条 市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果すべき責任を有する。
第七条 市町村の消防は、条例に従い、市町村長がこれを管理する。
第八条 市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない。
第九条 市町村の消防事務を処理するため、市町村に、消防団の外、その必要に応じ、左に掲げる機関の全部又は一部を設けることができる。
一 消防本部
二 消防署
三 消防職員及び消防団員の訓練機関
第十条 消防本部の設置、名称及び組織は、市町村がこれを定める。
消防本部を置く市町村は、一又は二以上の消防署を置くことができる。
消防署の設置、名称、組織及び管轄区域は、市町村がこれを定める。
第十一条 消防本部を置く市町村に、消防長及びこの法律の規定に従い、有効に消防を行うに必要且つ適当な階級の消防吏員を置く。
消防吏員は、上司の指揮監督を受け、消防の事務を掌る。
市町村の消防吏員の定員は、地方的要求に応じて、その市町村がこれを定める。
第十二条 市町村の消防長は、条例に従い、市町村長がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
第十三条 市町村の消防長は、市町村長の定める基準により、当該市町村の消防職員を任命し、一定の事由により罷免する。市町村の消防長は、これらの職員を指揮監督する。
第十四条 消防署長は、上司の指揮監督を受け、管轄区域内における消防事務を執行し、部下の職員を指揮監督する。
第十五条 消防職員の任免、給与、服務その他の事項は、国家公務員法の精神に則り、市町村条例でこれを定める。
消防職員の宣誓、訓練、礼式及び服制に関する事項は、国家消防庁の定める準則に則り、市町村規則でこれを定める。
第十六条 特別区の存する区域においては、特別区が連合してその区域内における第六条に規定する責任を有する。
第十七条 前条の特別区の消防は、都知事がこれを管理する。
特別区の消防長は、都条例に従い、都知事がこれを任命し、一定の事由により罷免する。
第十八条 前二条に規定するものの外、特別区の存する区域における消防については、特別区の存する区域を以て一の市とみなし、市町村の消防に関する規定を準用する。
第四章 雑則
第十九条 市町村の消防は、国家消防庁の運営管理又は行政管理に服することはない。
第二十条 国家消防庁は、市町村長又は市町村の消防長から要求があつた場合は、消防に関する事項について助言を与え、及び設備、資材の斡旋をすることができる。
第二十一条 市町村長は、消防の相互応援に関して協定することができる。
第二十二条 市町村長は、国家消防庁の定める形式及び方法により、消防統計を、都道府県知事を通じて、国家消防庁に報告しなければならない。
第二十三条 国家消防庁及び地方公共団体は、消防事務のために警察通信施設を使用することができる。
第二十四条 消防及び警察は、国民の生命、身体及び財産の保護のために相互に協力をしなければならない。
国家消防庁、国家地方警察、都道府県知事及び市町村長は、相互間において、地震、颱風、水火災等の非常事態の場合における災害防禦の措置に関し予め協定することができる。これらの災害に際して消防が警察を応援する場合は、運営管理は警察がこれを留保し、消防職員は、警察権を行使してはならない。これらの災害に際して警察が消防を応援する場合は、災害区域内の消防に関係のある警察の指揮は、消防がこれを行う。
第二十五条 市町村の消防に要する費用に対する補助金に関しては、法律でこれを定める。
第二十六条 都道府県は、必要に応じ、市町村の消防職員及び消防団員の訓練を行うために所要の機関を存置し、又は設置することができる。
附 則
第二十七条 この法律施行の期日は、その成立の日から九十日を超えない期間内において、各規定について、政令で、これを定める。
第二十八条 国家公務員法は、この法律の適用に必要な範囲内においては、既に施行されたものとみなす。
前項の場合においては、国家公務員法による人事委員会の設置に至るまで、その職権は、同法附則第二条の例により、臨時人事委員会がこれを行う。
第二十九条 この法律施行後一年間は、任用候補者名簿がない場合その他特に必要がある場合においては、国家消防庁の職員又は市町村の消防職員は、現在の法令により、夫々当該職員に相応する官吏又は吏員に必要な資格を有する者の中から、臨時に、これを任命することができる。
第三十条 国家消防庁の職員の任免、給与、服務その他必要な事項に関しては、国家公務員法に規定する人事委員会規則が定められるまでは、当分の間、これらの職員に相当する政府職員に適用される従前の法令の例による。
第三十一条 この法律施行の際現に警視庁又は道府県警察部若しくは特設消防署に勤務する官吏が、引き続き都道府県の消防訓練機関の職員又は市町村の消防職員となつた場合には、これを従前の身分のまま勤務するものとみなし、当分の間、これに恩給法の規定を準用する。
第三十二条 この法律施行の際現に警視庁又は道府県警察部若しくは特設消防署の権限に属する消防事務で、この法律により市町村又は都道府県に属することとなつたものに要する市町村の費用又は都道府県の消防訓練機関に要する都道府県の費用は、地方自治財政が確立される時まで、政令の定めるところにより、国庫及び都道府県がこれを負担する。
国庫と都道府県の消防事務に要する費用の負担区分については、前項の時まで、従前の例による。
第三十三条 この法律施行の際現に消防の用に供する国有財産若しくは都道府県有財産又は国の所有若しくは都道府県有に属する物品で国家地方警察に不必要なものは、市町村消防に必要な場合は、無償でこれを当該市町村に譲与するものとする。但し現に警視庁又は道府県警察部の消防訓練機関の使用しているものは、無償でこれを当該都道府県に譲与するものとする。
前項の場合において、これに伴う負債のあるものは、その処分については相互の協議により、これを定める。
第三十四条 町村の全部事務組合及び役場事務組合でこの法律施行の際現に存するものは、この法律の適用については、これを一の町村とみなす。
第三十五条 行政執行法第四条の当該行政官庁には、市町村長、第十二条の消防長及び第十四条の消防署長を含むものとする。
内務大臣 木村小左衛門
内閣総理大臣 片山哲