消防法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第五十五号
公布年月日: 昭和63年5月24日
法令の形式: 法律
消防法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和六十三年五月二十四日
内閣総理大臣 竹下登
法律第五十五号
消防法の一部を改正する法律
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第七項を次のように改める。
危険物とは、別表の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。
第九条の三中「別表の品名欄に掲げる危険物の区分に応じ同表の数量欄に定める数量」を「危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量」に、「、油かすその他政令で定める危険物に準ずる可燃性の物品(以下「準危険物」という。)又は」を「及び」に、「その他これらに類する物品」を「その他の物品」に、「若しくは」を「又は」に改め、「困難となるもの」の下に「として政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品」を加え、「貯蔵又は」を「貯蔵及び」に改める。
第十条第二項中「別表に掲げる品名」の下に「(第十一条の四第一項において単に「品名」という。)又は指定数量」を加え、「危険物の品名ごとの数量をそれぞれ」を「それぞれの危険物の数量を当該危険物」に改める。
第十一条の四第一項中「種類又は数量」を「品名、数量又は指定数量の倍数(当該製造所、貯蔵所又は取扱所において貯蔵し、又は取り扱う危険物の数量を当該危険物の指定数量で除して得た値(品名又は指定数量を異にする二以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合には、当該貯蔵又は取扱いに係るそれぞれの危険物の数量を当該危険物の指定数量で除して得た値の和)をいう。)」に改め、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
前項の場合において、別表の品名欄に掲げる物品のうち同表第一類の項第十一号、第二類の項第八号、第三類の項第十二号、第五類の項第九号又は第六類の項第五号の危険物は、当該物品に含有されている当該品名欄の物品が異なるときは、それぞれ異なる品名の危険物とみなす。
第十二条の二中「取扱所について、」の下に「第十一条第一項の許可を取り消し、又は」を加え、同条第一号中「第十一条第一項」を「第十一条第一項後段」に改め、同条中第三号を削り、第四号を第三号とし、第四号の二及び第五号を削り、第六号を第四号とし、第七号を第五号とし、同条に次の二項を加える。
市長村長等は、製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者が次の各号の一に該当するときは、当該製造所、貯蔵所又は取扱所について、期間を定めてその使用の停止を命ずることができる。
一 第十一条の五第一項又は第二項の規定による命令に違反したとき。
二 第十二条の七第一項の規定に違反したとき。
三 第十三条第一項の規定に違反したとき。
四 第十三条の二十四の規定による命令に違反したとき。
市町村長等は、第一項の規定により許可を取り消そうとするときは、あらかじめ、その製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者にその理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
第十二条の七第一項中「当該事業所における危険物の保安に関する業務を統括管理する者を定めなければならない」を「危険物保安統括管理者を定め、当該事業所における危険物の保安に関する業務を統括管理させなければならない」に改め、同条第二項中「危険物の保安に関する業務を統括管理する者」を「危険物保安統括管理者」に改める。
第十三条第一項中「のうちから危険物の保安の監督をする者」を「で、六月以上危険物取扱いの実務経験を有するもののうちから危険物保安監督者」に改め、同条第二項中「危険物の保安の監督をする者」を「危険物保安監督者」に改める。
第十三条の三第四項中「左の」を「次の」に改め、同項第一号中「で、六月以上危険物取扱の実務経験を有するもの」を削り、同条第五項を削る。
第十三条の二十三の次に次の一条を加える。
第十三条の二十四 市町村長等は、危険物保安統括管理者若しくは危険物保安監督者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定に違反したとき、又はこれらの者にその業務を行わせることが公共の安全の維持若しくは災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、第十二条の七第一項又は第十三条第一項に規定する製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者に対し、危険物保安統括管理者又は危険物保安監督者の解任を命ずることができる。
第十四条の二に次の一項を加える。
第一項に規定する製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者及びその従業者は、予防規程を守らなければならない。
第十六条の十中「準危険物」を「指定可燃物」に改める。
第四十二条第一項第三号中「第十二条の二」を「第十二条の二第一項又は第二項」に、同項第四号中「危険物の保安の監督をする者」を「危険物保安監督者」に改める。
第四十四条第六号中「第八条第二項」の下に「、第九条の二第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第十一条第六項」を、「第十一条の四第一項」の下に「、第十二条の六」を加える。
別表を次のように改める。
別表(第二条、第十条、第十一条の四関係)
類  別
性   質
品        名
第一類
酸化性固体
一 塩素酸塩類二 過塩素酸塩類三 無機過酸化物四 亜塩素酸塩類五 臭素酸塩類六 硝酸塩類七 よう素酸塩類八 過マンガン酸塩類九 重クロム酸塩類十 その他のもので政令で定めるもの十一 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第二類
可燃性固体
一 硫化りん二 赤りん三 硫黄四 鉄粉五 金属粉六 マグネシウム七 その他のもので政令で定めるもの八 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの九 引火性固体
第三類
自然発火性物質及び禁水性物質
一 カリウム二 ナトリウム三 アルキルアルミニウム四 アルキルリチウム五 黄りん六 アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く。)及びアルカリ土類金属七 有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く。)八 金属の水素化物九 金属のりん化物十 カルシウム又はアルミニウムの炭化物十一 その他のもので政令で定めるもの十二 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第四類
引火性液体
一 特殊引火物二 第一石油類三 アルコール類四 第二石油類五 第三石油類六 第四石油類七 動植物油類
第五類
自己反応性物質
一 有機過酸化物二 硝酸エステル類三 ニトロ化合物四 ニトロソ化合物五 アゾ化合物六 ジアゾ化合物七 ヒドラジンの誘導体八 その他のもので政令で定めるもの九 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第六類
酸化性液体
一 過塩素酸二 過酸化水素三 硝酸四 その他のもので政令で定めるもの五 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
備考
一 酸化性固体とは、固体(液体(一気圧において、温度二〇度で液状であるもの又は温度二〇度を超え四〇度以下の間において液状となるものをいう。以下同じ。)又は気体(一気圧において、温度二〇度で気体状であるものをいう。)以外のものをいう。以下同じ。)であつて、酸化力の潜在的な危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は衝撃に対する敏感性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
二 可燃性固体とは、固体であつて、火災による着火の危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は引火の危険性を判断するための政令で定める試験において引火性を示すものであることをいう。
三 鉄粉とは、鉄の粉をいい、粒度等を勘案して自治省令で定めるものを除く。
四 硫化りん、赤りん、硫黄及び鉄粉は、備考第二号に規定する性状を示すものとみなす。
五 金属粉とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄及びマグネシウム以外の金属の粉をいい、粒度等を勘案して自治省令で定めるものを除く。
六 マグネシウム及び第二類の項第八号の物品のうちマグネシウムを含有するものにあつては、形状等を勘案して自治省令で定めるものを除く。
七 引火性固体とは、固形アルコールその他一気圧において引火点が四〇度未満のものをいう。
八 自然発火性物質及び禁水性物質とは、固体又は液体であつて、空気中での発火の危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は水と接触して発火し、若しくは可燃性ガスを発生する危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
九 カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム及び黄りんは、前号に規定する性状を示すものとみなす。
十 引火性液体とは、液体(第三石油類、第四石油類及び動植物油類にあつては、一気圧において、温度二〇度で液状であるものに限る。)であつて、引火の危険性を判断するための政令で定める試験において引火性を示すものであることをいう。
十一 特殊引火物とは、ジエチルエーテル、二硫化炭素その他一気圧において、発火点が一〇〇度以下のもの又は引火点が零下二〇度以下で沸点が四〇度以下のものをいう。
十二 第一石油類とは、アセトン、ガソリンその他一気圧において引火点が二一度未満のものをいう。
十三 アルコール類とは、一分子を構成する炭素の原子の数が一個から三個までの飽和一価アルコール(変性アルコールを含む。)をいい、組成等を勘案して自治省令で定めるものを除く。
十四 第二石油類とは、灯油、軽油その他一気圧において引火点が二一度以上七〇度未満のものをいい、塗料類その他の物品であつて、組成等を勘案して自治省令で定めるものを除く。
十五 第三石油類とは、重油、クレオソート油その他一気圧において引火点が七〇度以上二〇〇度未満のものをいい、塗料類その他の物品であつて、組成を勘案して自治省令で定めるものを除く。
十六 第四石油類とは、ギヤー油、シリンダー油その他一気圧において引火点が二〇〇度以上のものをいい、塗料類その他の物品であつて、組成を勘案して自治省令で定めるものを除く。
十七 動植物油類とは、動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉から抽出したものをいい、自治省令で定めるところにより貯蔵保管されているものを除く。
十八 自己反応性物質とは、固体又は液体であつて、爆発の危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は加熱分解の激しさを判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
十九 第五類の項第九号の物品にあつては、有機過酸化物を含有するもののうち不活性の固体を含有するもので、自治省令で定めるものを除く。
二十 酸化性液体とは、液体であつて、酸化力の潜在的な危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
二十一 この表の性質欄に掲げる性状の二以上を有する物品の属する品名は、自治省令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第十三条の三の改正規定は昭和六十四年四月一日から、第二条第七項、第九条の三、第十条第二項、第十一条の四、第十六条の十及び別表の改正規定並びに附則第三条から第七条までの規定は公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「一部施行日」という。)から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の日(第十三条の三の改正規定にあつては昭和六十四年四月一日、第二条第七項、第十条第二項、第十一条の四及び別表の改正規定にあつては一部施行日)前に改正前の消防法(以下「旧法」という。)の規定に基づいてされている許可の申請、届出その他の手続又は旧法の規定に基づいてされた許可その他の処分は、別段の定めがあるものを除き、改正後の消防法(以下「新法」という。)の相当規定に基づいてされた手続又は処分とみなす。
第三条 一部施行日において現に設置されている製造所、貯蔵所若しくは取扱所又は現に旧法第十一条第一項の規定により許可を受けて設置されている製造所、貯蔵所若しくは取扱所で、新たに新法第十一条第一項の規定による許可を受けなければならないこととなるものについては、一部施行日から起算して一年間は、同項の規定による許可を受けることを要しない。
第四条 一部施行日において現に旧法第十一条第一項の規定により許可を受けて設置されている製造所、貯蔵所又は取扱所で、その位置、構造及び設備が新法第十条第四項の技術上の基準に適合しないものに係る同項の技術上の基準については、同項の規定にかかわらず、一部施行日から起算して一年以内において新たに新法第十一条第一項の規定による許可を受けるまでの間、なお従前の例による。
第五条 一部施行日の前日において現に旧法第十一条第一項の規定により許可を受けて設置されている製造所、貯蔵所又は取扱所で、新法第十一条第一項の規定による許可を受けることを要しないこととなるものの所有者、管理者又は占有者は、一部施行日から起算して三月以内にその旨を新法第十一条第二項に規定する市町村長等(以下「市町村長等」という。)に届け出なければならない。ただし、次項に規定する届出をする場合は、この限りでない。
2 前項の所有者、管理者又は占有者で、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しないで、引き続き新法第九条の三に規定する指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱おうとするものは、一部施行日から起算して三月以内にその旨を市町村長等に届け出なければならない。
3 前項の場合において、旧法第十一条第一項の規定による許可は、新法第十一条第一項の規定による許可とみなす。
第六条 一部施行日において現に旧法第十一条第一項の規定により許可を受けて設置されている製造所、貯蔵所又は取扱所で、新法第十一条の四に規定する指定数量の倍数が旧法第十一条第一項の規定による許可又は旧法第十一条の四の規定による届出に係る指定数量の倍数(当該製造所、貯蔵所又は取扱所において貯蔵し、又は取り扱う危険物の数量を当該危険物の指定数量で除して得た値(旧法別表に掲げる品名を異にする二以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合には、当該貯蔵又は取扱いに係るそれぞれの危険物の数量を当該危険物の指定数量で除して得た値の和)をいう。)を超えることとなるものの所有者、管理者又は占有者は、一部施行日から起算して三月以内にその旨を市町村長等に届け出なければならない。
第七条 一部施行日において現に旧法第十三条の二第三項の規定により乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者で、新法第十三条の二第二項の規定によりその者が取り扱うことができる危険物以外の危険物(以下この項において「対象外危険物」という。)を一部施行日の前日において当該乙種危険物取扱者免状に基づき取り扱い、又は当該危険物の取扱作業に関して立ち会い、若しくは保安の監督をしているものは、一部施行日から起算して二年を経過する日までの間に限り、新法第十三条第一項及び第三項、第十三条の二第二項並びに第十六条の二第一項の規定にかかわらず、当該対象外危険物(次項において「取扱危険物」という。)を取り扱い、又は当該危険物の取扱作業に関して立ち会い、若しくは保安の監督をすることができる。
2 前項の危険物取扱者が、一部施行日から起算して二年を経過する日までの間において都道府県知事(当該都道府県知事が旧法第十三条の五第一項の規定により危険物取扱者試験事務を旧法第十三条の七第二項に規定する指定試験機関(以下この条において「指定試験機関」という。)に行わせている場合にあつては、当該指定試験機関。以下同じ。)の指定する講習(以下この条において「指定講習」という。)を修了したときは、その者は、新法第十三条の三第三項に規定する試験に合格した者とみなされ、取扱危険物を取り扱うことのできる乙種危険物取扱者免状の交付を受けることができる。
3 新法第十三条の十二第一項、第十三条の十五から第十三条の十七まで、第十三条の十八第二項第四号、同条第三項及び第四項、第十三条の二十から第十三条の二十二まで並びに第十六条の四の規定は、指定試験機関の指定講習の実施に関する事務について準用する。
4 都道府県知事は、指定講習を、一部施行日から起算して二年を経過する日までの間において、少なくとも二回以上(指定試験機関にあつては、都道府県の区域ごとに少なくとも二回以上)行うように努めなければならない。
第八条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(罰則に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(消防組織法の一部改正)
第十条 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第十一号の次に次の一号を加える。
十一の二 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第七項に規定する危険物の判定に係る試験の方法の研究及び立案に関する事項
第四条第十八号中「(昭和二十三年法律第百八十六号)」を削る。
自治大臣 梶山静六
内閣総理大臣 竹下登