(首都中枢機能維持基盤整備等計画の認定)
第八条 前条第一項の規定による基盤整備等地区の指定があったときは、その全部又は一部の区域が基盤整備等地区である地方公共団体(以下この章において「関係地方公共団体」という。)は、共同して、基盤整備等地区について、首都直下地震が発生した場合における首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備及び滞在者等の安全の確保を図るために必要な安全確保施設の整備等に関する計画(以下「基盤整備等計画」という。)を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができる。
2 基盤整備等計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 首都中枢機能の維持を図るために必要な次に掲げる事項
イ ロ(1)から(4)までに掲げる事業(以下「基盤整備事業」という。)を通じた首都中枢機能の維持に関する基本的な方針
ロ 首都中枢機能の維持を図るために必要な次に掲げる事業並びにその実施主体及び実施期間に関する事項
(1) 電気、ガス、水道等の供給体制に係る基盤の整備に関する事業
(2) 情報通信システムに係る基盤の整備に関する事業
(3) 道路、公園、広場その他政令で定める公共の用に供する施設その他の公益的施設(ハにおいて「公共公益施設」という。)の整備に関する事業
(4) (1)から(3)までに掲げるもののほか、首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備に関する事業
ハ ロ(3)及び(4)に掲げる事業により整備された公共公益施設の適切な管理のために必要な事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、首都中枢機能の維持を図るために必要な事項
二 滞在者等の安全の確保を図るために必要な次に掲げる事項
イ 安全確保施設の整備等を通じた滞在者等の安全の確保に関する基本的な方針
ロ 安全確保施設の整備に関する事業並びにその実施主体及び実施期間に関する事項
ハ ロに規定する事業により整備された安全確保施設の適切な管理のために必要な事項
ニ 安全確保施設を有する建築物の耐震改修(建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成七年法律第百二十三号)第二条第二項に規定する耐震改修をいう。)その他の滞在者等の安全の確保を図るために必要な事業及びその実施主体に関する事項
ホ 滞在者等の誘導、滞在者等に対する情報提供その他の滞在者等の安全の確保を図るために必要な事務及びその実施主体に関する事項
ヘ イからホまでに掲げるもののほか、滞在者等の安全の確保を図るために必要な事項
3 基盤整備事業に関する事項には、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三十二条第一項第一号、第二号又は第七号に掲げる施設、工作物又は物件(次項並びに第十九条第一項及び第三項において「施設等」という。)のうち、首都中枢機能の維持を図るためのものとして政令で定めるものの設置であって、同法第三十二条第一項又は第三項の許可に係るものに関する事項を記載することができる。
4 関係地方公共団体は、基盤整備等計画に前項の施設等の設置に関する事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、同項の許可の権限を有する道路管理者(道路法第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。第十九条第一項から第三項までにおいて同じ。)及び都道府県公安委員会に協議し、その同意を得なければならない。
5 基盤整備等計画は、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第九号に規定する防災業務計画及び同条第十号に規定する地域防災計画との調和が保たれたものでなければならない。
6 次に掲げる者は、関係地方公共団体に対して、第一項の規定による申請(以下この条及び次条第一項において単に「申請」という。)をすることについての提案をすることができる。
一 当該提案に係る基盤整備等地区において基盤整備事業及び第二項第二号ロ又はニに規定する事業(以下この章において「基盤整備事業等」という。)を実施しようとする者
二 前号に掲げる者のほか、当該提案に係る基盤整備等地区における基盤整備事業等の実施に関し密接な関係を有する者
7 前項の提案を受けた関係地方公共団体は、当該提案に基づき申請をするか否かについて、遅滞なく、当該提案をした者に通知しなければならない。この場合において、申請をしないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。
8 関係地方公共団体は、基盤整備等計画を作成しようとするときは、当該基盤整備等計画に定める事項について第十五条第一項の首都中枢機能維持基盤整備等協議会における協議をしなければならない。
9 申請には、次に掲げる事項を記載した書面を添付しなければならない。
一 第六項の提案を踏まえた申請をする場合にあっては、当該提案の概要
10 内閣総理大臣は、申請があった基盤整備等計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。
一 緊急対策推進基本計画に適合するものであること。
二 当該基盤整備等計画の実施が当該基盤整備等地区における首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備及び滞在者等の安全の確保を図るために必要な安全確保施設の整備等の円滑かつ迅速な推進に寄与するものであると認められること。
三 円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
11 内閣総理大臣は、前項の認定(次項、次条及び第十条第一項において単に「認定」という。)をしようとするときは、基盤整備等計画に定められた基盤整備事業等に関する事項について、当該基盤整備事業等に係る関係行政機関の長(以下この節において単に「関係行政機関の長」という。)の同意を得なければならない。
12 内閣総理大臣は、認定をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。
(認定に関する処理期間)
第九条 内閣総理大臣は、申請を受理した日から三月以内において速やかに、認定に関する処分を行わなければならない。
2 関係行政機関の長は、内閣総理大臣が前項の処理期間中に認定に関する処分を行うことができるよう、速やかに、前条第十一項の同意について同意又は不同意の旨を通知しなければならない。
(認定基盤整備等計画の変更)
第十条 認定を受けた関係地方公共団体は、認定を受けた基盤整備等計画(以下この章において「認定基盤整備等計画」という。)の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 第八条第五項から第十二項まで及び前条の規定は、認定基盤整備等計画の変更について準用する。
(報告の徴収)
第十一条 内閣総理大臣は、第八条第十項の認定(前条第一項の変更の認定を含む。第十三条第一項において単に「認定」という。)を受けた関係地方公共団体(以下この節において「認定地方公共団体」という。)に対し、認定基盤整備等計画(認定基盤整備等計画の変更があったときは、その変更後のもの。以下この章において同じ。)の実施の状況について報告を求めることができる。
2 関係行政機関の長は、認定地方公共団体に対し、認定基盤整備等計画に定められた基盤整備事業等の実施の状況について報告を求めることができる。
(措置の要求)
第十二条 内閣総理大臣は、認定基盤整備等計画の適正な実施のため必要があると認めるときは、認定地方公共団体に対し、当該認定基盤整備等計画の実施に関し必要な措置を講ずることを求めることができる。
2 関係行政機関の長は、認定基盤整備等計画に定められた基盤整備事業等の適正な実施のため必要があると認めるときは、認定地方公共団体に対し、当該基盤整備事業等の実施に関し必要な措置を講ずることを求めることができる。
(認定の取消し)
第十三条 内閣総理大臣は、認定基盤整備等計画が第八条第十項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。この場合において、内閣総理大臣は、あらかじめ関係行政機関の長にその旨を通知しなければならない。
2 関係行政機関の長は、内閣総理大臣に対し、前項の規定による認定の取消しに関し必要と認める意見を申し出ることができる。
3 第八条第十二項の規定は、第一項の規定による認定基盤整備等計画の認定の取消しについて準用する。
(認定地方公共団体への援助等)
第十四条 内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、認定地方公共団体に対し、認定基盤整備等計画の円滑かつ確実な実施に関し必要な情報の提供、助言その他の援助を行うように努めなければならない。
2 関係行政機関の長その他の執行機関は、認定基盤整備等計画に係る基盤整備事業等の実施に関し、法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該基盤整備事業等が円滑かつ迅速に実施されるよう、適切な配慮をするものとする。
3 前二項に定めるもののほか、内閣総理大臣、国の関係行政機関その他の関係機関の長、認定地方公共団体及び基盤整備事業等の実施主体は、認定基盤整備等計画の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
(首都中枢機能維持基盤整備等協議会)
第十五条 関係地方公共団体は、第八条第一項の規定により作成しようとする基盤整備等計画並びに認定基盤整備等計画及びその実施に関し必要な事項について協議するため、首都中枢機能維持基盤整備等協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織するものとする。
2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。
三 基盤整備事業等を実施し、又は実施すると見込まれる者
3 第一項の規定により協議会を組織する関係地方公共団体は、必要があると認めるときは、前項各号に掲げる者のほか、協議会に、次に掲げる者を構成員として加えることができる。
一 当該関係地方公共団体が作成しようとする基盤整備等計画又は認定基盤整備等計画及びその実施に関し密接な関係を有する者
二 前号に掲げる者のほか、当該関係地方公共団体が必要と認める者
4 関係地方公共団体は、前項の規定により協議会の構成員を加えるに当たっては、協議会の構成員の構成が、当該関係地方公共団体が作成しようとする基盤整備等計画又は認定基盤整備等計画及びその実施に関する多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。
5 次に掲げる者であって協議会の構成員でないものは、第一項の規定により協議会を組織する関係地方公共団体に対して、自己を協議会の構成員として加えるよう申し出ることができる。
一 基盤整備事業等を実施し、又は実施しようとする者
二 前号に掲げる者のほか、当該関係地方公共団体が作成しようとする基盤整備等計画又は認定基盤整備等計画及びその実施に関し密接な関係を有する者
6 前項の規定による申出を受けた関係地方公共団体は、正当な理由がある場合を除き、当該申出に応じなければならない。
7 第一項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
8 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。