(南海トラフ地震防災対策推進協議会)
第九条 関係指定行政機関の長及び関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体の長並びに関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関は、共同で、南海トラフ地震が発生した場合における災害応急対策及び当該災害応急対策に係る防災訓練の実施に係る連絡調整その他の南海トラフ地震に係る地震防災対策を相互に連携協力して推進するために必要な協議を行うための協議会(以下この条において単に「協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の規定により協議会を組織する関係指定行政機関の長及び関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体の長並びに関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関は、必要と認めるときは、協議して、協議会に、南海トラフ地震に係る地震防災対策を実施すると見込まれる者その他の協議会が必要と認める者を加えることができる。
3 第一項の協議を行うための会議(以下この条において単に「会議」という。)は、同項の規定により協議会を組織する関係指定行政機関の長及び関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体の長並びに関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関並びに前項の規定により加わった協議会が必要と認める者をもって構成する。
4 協議会は、会議において協議を行うため必要があると認めるときは、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長並びに指定公共機関及び指定地方公共機関その他の関係者に対して、資料の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
5 会議において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
7 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
(南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域の指定等)
第十条 内閣総理大臣は、推進地域のうち、南海トラフ地震に伴い津波が発生した場合に特に著しい津波災害が生ずるおそれがあるため、津波避難対策を特別に強化すべき地域を、南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域(以下「特別強化地域」という。)として指定するものとする。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により特別強化地域を指定するに当たっては、南海トラフ地震として科学的に想定し得る最大規模のものを想定して行うものとする。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による特別強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ中央防災会議に諮問しなければならない。
4 内閣総理大臣は、第一項の規定による特別強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係都府県の意見を聴かなければならない。この場合において、関係都府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係市町村の意見を聴かなければならない。
5 内閣総理大臣は、第一項の規定による特別強化地域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
6 前三項の規定は、内閣総理大臣が第一項の規定による特別強化地域の指定の解除をする場合に準用する。
(津波からの円滑な避難のための居住者等に対する周知のための措置)
第十一条 前条第一項の規定による特別強化地域の指定があったときは、関係市町村長は、居住者、滞在者その他の者の南海トラフ地震に伴い発生する津波からの円滑な避難に資するよう、内閣府令で定めるところにより、当該津波に関する情報の伝達方法、避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項その他特別強化地域における円滑な避難を確保する上で必要な事項を居住者、滞在者その他の者に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、当該特別強化地域において、津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第五十五条に規定する措置が講じられているときは、この限りでない。
(津波避難対策緊急事業計画)
第十二条 第十条第一項の規定による特別強化地域の指定があったときは、関係市町村長は、当該特別強化地域について、市町村防災会議が定める推進計画に基づき、南海トラフ地震に伴い発生する津波から避難するため必要な緊急に実施すべき次に掲げる事業に関する計画(以下「津波避難対策緊急事業計画」という。)を作成することができる。
一 南海トラフ地震に伴い発生する津波からの避難の用に供する避難施設その他の避難場所の整備に関する事業
二 前号の避難場所までの避難の用に供する避難路その他の避難経路の整備に関する事業
三 集団移転促進事業(防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律(昭和四十七年法律第百三十二号。以下「集団移転促進法」という。)第二条第二項に規定する集団移転促進事業をいい、第十六条の規定による特別の措置の適用を受けようとするものを含む。以下同じ。)
四 集団移転促進事業に関連して移転が必要と認められる施設であって、高齢者、障害者、乳幼児、児童、生徒その他の迅速な避難の確保を図るため特に配慮を要する者が利用する施設で政令で定めるものの整備に関する事業
2 前項各号に掲げる事項については、原則として、その具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。
3 第一項各号に掲げる事項には、関係市町村が実施する事業に係る事項を記載するほか、必要に応じ、関係市町村以外の者が実施する事業に係るものを記載することができる。
4 関係市町村長は、津波避難対策緊急事業計画に関係市町村以外の者が実施する事業に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、その者の同意を得なければならない。
5 関係市町村長は、津波避難対策緊急事業計画を作成しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。
6 関係市町村長は、前項の協議をしようとするときは、あらかじめ、都府県知事の意見を聴き、津波避難対策緊急事業計画にその意見を添えて、内閣総理大臣に提出しなければならない。
7 内閣総理大臣は、第五項の同意をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議しなければならない。
8 第二項から前項までの規定は、津波避難対策緊急事業計画の変更について準用する。ただし、内閣府令で定める軽微な変更については、この限りでない。
9 関係市町村長は、前項ただし書の軽微な変更については、内閣総理大臣に届け出なければならない。
(津波避難対策緊急事業に係る国の負担又は補助の特例等)
第十三条 津波避難対策緊急事業計画に基づいて実施される事業(以下この条において「津波避難対策緊急事業」という。)のうち、別表に掲げるもの(当該津波避難対策緊急事業に関する主務大臣の定める基準に適合するものに限る。第三項において同じ。)に要する経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)は、当該津波避難対策緊急事業に関する法令の規定にかかわらず、同表のとおりとする。
2 津波避難対策緊急事業に係る経費に対する他の法令による国の負担割合が、前項の規定による国の負担割合を超えるときは、当該津波避難対策緊急事業に係る経費に対する国の負担割合については、同項の規定にかかわらず、当該他の法令の定める割合による。
3 国は、津波避難対策緊急事業のうち、別表に掲げるものに要する経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費について前二項の規定を適用したとするならば国が負担し、又は補助することとなる割合を参酌して、当該交付金の額を算定するものとする。
(移転が必要と認められる施設の整備に係る財政上の配慮等)
第十四条 国は、第十二条第一項第四号に規定する政令で定める施設の整備に関し、必要な財政上及び金融上の配慮をするものとする。
(集団移転促進事業に係る農地法の特例)
第十五条 市町村が津波避難対策緊急事業計画に基づき集団移転促進事業を実施するため、農地(耕作の目的に供される土地をいう。以下この条において同じ。)を農地以外のものにし、又は農地若しくは採草放牧地(農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。以下この条において同じ。)を農地若しくは採草放牧地以外のものにするためこれらの土地について所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を取得する場合において、都府県知事(当該市町村が同一の事業の目的に供するため四ヘクタールを超える農地を農地以外のものにし、又は四ヘクタールを超える農地若しくはその農地と併せて採草放牧地について所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を取得する場合には、農林水産大臣)は、当該集団移転促進事業が次に掲げる要件に該当するものであると認めるときは、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第四条第二項(第一号に係る部分に限る。)又は第五条第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、同法第四条第一項又は第五条第一項の許可をすることができる。
一 関係市町村における南海トラフ地震に係る地震防災対策の円滑かつ迅速な推進のため必要かつ適当であると認められること。
二 関係市町村の農業の健全な発展に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
(集団移転促進法の特例)
第十六条 津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業を実施する場合における集団移転促進法第三条第二項第三号及び第七条第一号の規定の適用については、集団移転促進法第三条第二項第三号中「住宅団地の」とあるのは「住宅団地(集団移転促進事業に関連して移転が必要と認められる施設であつて、高齢者、障害者、乳幼児、児童、生徒その他の迅速な避難の確保を図るため特に配慮を要する者が利用する施設で政令で定めるものの用に供する土地を含む。第五号並びに第七条第一号及び第三号において同じ。)の」と、集団移転促進法第七条第一号中「場合を除く」とあるのは「場合であつて、当該譲渡に係る対価の額が当該経費の額以上となる場合を除く」とする。
(集団移転促進事業に係る国土利用計画法等による協議等についての配慮)
第十七条 国の行政機関の長又は都府県知事は、津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業の実施のため国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)その他の土地利用に関する法律、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)その他の法律の規定による協議その他の行為又は許可その他の処分を求められたときは、当該集団移転促進事業に係る施設の整備が円滑に行われるよう適切な配慮をするものとする。
(地方債の特例)
第十八条 地方公共団体が第十二条第一項第四号に規定する政令で定める施設その他津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業に関連して移転する公共施設又は公用施設の除却を行うために要する経費(公共的団体又は国若しくは地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものが設置する同号に規定する政令で定める施設その他当該集団移転促進事業に関連して移転する公共施設の除却に係る負担又は助成に要する経費を含む。)については、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の規定にかかわらず、地方債をもってその財源とすることができる。