台湾総督府官制
法令番号: 勅令第三百六十二號
公布年月日: 明治30年10月21日
法令の形式: 勅令
朕臺灣總督府官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年十月十三日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
陸軍大臣 子爵 高島鞆之助
勅令第三百六十二號
臺灣總督府官制
第一條 臺灣總督府ニ臺灣總督ヲ置ク
總督ハ臺灣及澎湖列島ヲ管轄ス
第二條 總督ハ親任トス陸海軍大將若ハ中將ヲ以テ之ニ充ツ
第三條 總督ハ委任ノ範圍內ニ於テ陸海軍ヲ統率シ內閣總理大臣ノ監督ヲ承ケ諸般ノ政務ヲ統理ス
第四條 總督ハ軍政及陸海軍軍人軍屬ノ人事ニ關シテハ陸軍大臣若ハ海軍大臣、防禦作戰竝動員計畫ニ關シテハ參謀總長若ハ海軍軍令部長、陸軍軍隊敎育ニ關シテハ監軍ノ區處ヲ承ク
第五條 總督ハ其ノ職權若ハ特別ノ委任ニ依リ總督府令ヲ發シ之ニ禁錮一年以下又ハ罰金二百圓以內ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第六條 總督ハ其ノ管轄區域內ノ防備ノ事ヲ掌ル
第七條 總督ハ其ノ管轄區域內ノ安寧秩序ヲ保持スル爲ニ必要ト認ムルトキハ兵力ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ直ニ內閣總理大臣陸軍大臣海軍大臣參謀總長及海軍軍令部長ニ之ヲ報吿スヘシ
第八條 明治二十九年法律第六十三號第二條又ハ第四條ノ勅裁ヲ請フトキハ內閣總理大臣ヲ經由スヘシ
第九條 總督ハ必要ト認ムル地域內ニ於テ其ノ地ノ守備隊長若ハ駐在武官ヲシテ民政事務ヲ兼掌セシムルコトヲ得
第十條 總督ハ知事若ハ廳長ノ命令又ハ處分ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ處分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第十一條 總督ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任文官ノ進退ハ內閣總理大臣ヲ經テ之ヲ上奏シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第十二條 總督ハ內閣總理大臣ヲ經テ所部文官ノ敍位敍勳ヲ上奏ス
第十三條 總督ハ所部文官ヲ懲戒ス其ノ勅任官ニ係ルモノ竝ニ奏任官ノ免官ハ內閣總理大臣ヲ經テ上奏シ其ノ他ハ之ヲ專行ス
第十四條 總督府ニ總督官房ヲ置ク
總督官房ニ副官二人及專任祕書官二人ヲ置ク機密事務及文書ノ取扱ヲ掌ル
副官ハ陸海軍佐尉官ノ內各一人ヲ以テ之ニ充ツ
祕書官ハ奏任トス
第十五條 總督府ニ陸軍幕僚海軍幕僚民政局財務局ヲ置ク
陸海軍幕僚條例ハ別ニ之ヲ定ム
第十六條 民政局ハ民政及司法ニ關スル一般ノ事務ヲ掌ル
第十七條 財務局ハ財務ニ關スル事務ヲ掌ル
第十八條 各局中ノ部課ハ總督之ヲ定ム
第十九條 總督府ニ左ノ職員ヲ置ク
民政局長
財務局長
事務官
參事官
技師
通譯官
技手
通譯官補
第二十條 民政局長財務局長ハ各一人勅任トス總督ノ命ヲ承ケ局務ヲ整理ス
第二十一條 事務官ハ專任十八人勅任又ハ奏任トス民政局又ハ財務局ニ屬シ總督又ハ局長ノ命ヲ承ケ各部課ノ事務ヲ掌ル
第二十二條 參事官ハ專任二人勅任又ハ奏任トス總督又ハ民政局長ノ命ヲ承ケ審議立案ヲ掌リ及臨時命ヲ承ケ各部課ノ事務ヲ助ク
第二十三條 技師ハ二十人奏任トス上官ノ命ヲ承ケ技術ニ關スル事ヲ掌ル
第二十四條 通譯官ハ專任二人奏任トス上官ノ命ヲ承ケ文書翻譯及通譯ノ事ヲ掌ル
第二十五條 屬、技手及通譯官補ハ通シテ三百人判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ庶務技術及通譯等ニ從事ス
附 則
第二十六條 本令ハ明治三十年十一月一日ヨリ施行ス
第二十七條 明治二十九年勅令第八十八號臺灣總督府條例同年勅令第九十號臺灣總督府民政局官制同年勅令第百十六號臺灣總督府軍務局官制竝ニ同年勅令第百六十九號臺灣總督府民政局臨時土木部官制ハ本令施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
朕台湾総督府官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年十月十三日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 侯爵 西郷従道
陸軍大臣 子爵 高島鞆之助
勅令第三百六十二号
台湾総督府官制
第一条 台湾総督府ニ台湾総督ヲ置ク
総督ハ台湾及澎湖列島ヲ管轄ス
第二条 総督ハ親任トス陸海軍大将若ハ中将ヲ以テ之ニ充ツ
第三条 総督ハ委任ノ範囲内ニ於テ陸海軍ヲ統率シ内閣総理大臣ノ監督ヲ承ケ諸般ノ政務ヲ統理ス
第四条 総督ハ軍政及陸海軍軍人軍属ノ人事ニ関シテハ陸軍大臣若ハ海軍大臣、防禦作戦並動員計画ニ関シテハ参謀総長若ハ海軍軍令部長、陸軍軍隊教育ニ関シテハ監軍ノ区処ヲ承ク
第五条 総督ハ其ノ職権若ハ特別ノ委任ニ依リ総督府令ヲ発シ之ニ禁錮一年以下又ハ罰金二百円以内ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第六条 総督ハ其ノ管轄区域内ノ防備ノ事ヲ掌ル
第七条 総督ハ其ノ管轄区域内ノ安寧秩序ヲ保持スル為ニ必要ト認ムルトキハ兵力ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ直ニ内閣総理大臣陸軍大臣海軍大臣参謀総長及海軍軍令部長ニ之ヲ報告スヘシ
第八条 明治二十九年法律第六十三号第二条又ハ第四条ノ勅裁ヲ請フトキハ内閣総理大臣ヲ経由スヘシ
第九条 総督ハ必要ト認ムル地域内ニ於テ其ノ地ノ守備隊長若ハ駐在武官ヲシテ民政事務ヲ兼掌セシムルコトヲ得
第十条 総督ハ知事若ハ庁長ノ命令又ハ処分ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ処分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第十一条 総督ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任文官ノ進退ハ内閣総理大臣ヲ経テ之ヲ上奏シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第十二条 総督ハ内閣総理大臣ヲ経テ所部文官ノ叙位叙勲ヲ上奏ス
第十三条 総督ハ所部文官ヲ懲戒ス其ノ勅任官ニ係ルモノ並ニ奏任官ノ免官ハ内閣総理大臣ヲ経テ上奏シ其ノ他ハ之ヲ専行ス
第十四条 総督府ニ総督官房ヲ置ク
総督官房ニ副官二人及専任秘書官二人ヲ置ク機密事務及文書ノ取扱ヲ掌ル
副官ハ陸海軍佐尉官ノ内各一人ヲ以テ之ニ充ツ
秘書官ハ奏任トス
第十五条 総督府ニ陸軍幕僚海軍幕僚民政局財務局ヲ置ク
陸海軍幕僚条例ハ別ニ之ヲ定ム
第十六条 民政局ハ民政及司法ニ関スル一般ノ事務ヲ掌ル
第十七条 財務局ハ財務ニ関スル事務ヲ掌ル
第十八条 各局中ノ部課ハ総督之ヲ定ム
第十九条 総督府ニ左ノ職員ヲ置ク
民政局長
財務局長
事務官
参事官
技師
通訳官
技手
通訳官補
第二十条 民政局長財務局長ハ各一人勅任トス総督ノ命ヲ承ケ局務ヲ整理ス
第二十一条 事務官ハ専任十八人勅任又ハ奏任トス民政局又ハ財務局ニ属シ総督又ハ局長ノ命ヲ承ケ各部課ノ事務ヲ掌ル
第二十二条 参事官ハ専任二人勅任又ハ奏任トス総督又ハ民政局長ノ命ヲ承ケ審議立案ヲ掌リ及臨時命ヲ承ケ各部課ノ事務ヲ助ク
第二十三条 技師ハ二十人奏任トス上官ノ命ヲ承ケ技術ニ関スル事ヲ掌ル
第二十四条 通訳官ハ専任二人奏任トス上官ノ命ヲ承ケ文書翻訳及通訳ノ事ヲ掌ル
第二十五条 属、技手及通訳官補ハ通シテ三百人判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ庶務技術及通訳等ニ従事ス
附 則
第二十六条 本令ハ明治三十年十一月一日ヨリ施行ス
第二十七条 明治二十九年勅令第八十八号台湾総督府条例同年勅令第九十号台湾総督府民政局官制同年勅令第百十六号台湾総督府軍務局官制並ニ同年勅令第百六十九号台湾総督府民政局臨時土木部官制ハ本令施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス