台湾総督府条例
法令番号: 勅令第八十八號
公布年月日: 明治29年3月31日
法令の形式: 勅令
朕臺灣總督府條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月三十日
內閣總理大臣臨時代理 樞密院議長 伯爵 黑田淸隆
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
陸軍大臣 侯爵 大山巖
勅令第八十八號
臺灣總督府條例
第一條 臺灣ニ臺灣總督ヲ置キ臺灣島及澎湖列島ヲ管轄セシム
第二條 總督ハ親任トス陸海軍大將若クハ中將ヲ以テ之ニ充ツ
第三條 總督ハ委任ノ範圍內ニ於テ陸海軍ヲ統率シ拓殖務大臣ノ監督ヲ承ケ諸般ノ政務ヲ統理ス
第四條 總督ハ主任ノ事務ニ付其ノ職權若クハ特別ノ委任ニ依リ總督府令ヲ發シ之ニ禁錮二十五日又ハ罰金二十五圓以內ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第五條 總督ハ其ノ管轄區域內ノ防備ノ事ヲ掌ル
第六條 總督ハ其ノ管轄區域內ノ安寧秩序ヲ保持スル爲ニ必要ト認ムルトキハ兵力ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ直ニ陸軍大臣海軍大臣拓殖務大臣參謀總長及海軍軍令部長ニ之ヲ報吿スヘシ
第七條 總督ハ必要ト認ムル地域內ニ於テ其ノ地ノ守備隊長若クハ駐在武官ヲシテ民政事務ヲ兼掌セシムルコトヲ得
第八條 總督ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任文官ノ進退ハ拓殖務大臣ニ由リ內閣總理大臣ヲ經テ之ヲ上奏シ判任官以下ハ之ヲ專行ス
第九條 總督ハ知事ノ命令又ハ處分ノ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ處分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第十條 總督ハ拓殖務大臣ニ由リ內閣總理大臣ヲ經テ所部文官ノ敍位敍勳ヲ上奏ス
第十一條 總督ハ所部文官ヲ懲戒ス其ノ勅任官ニ係ルモノ竝ニ奏任官ノ免官ニ係ルモノハ拓殖務大臣ニ由リ內閣總理大臣ヲ經テ上奏シ其ノ他ハ之ヲ專行ス
第十二條 總督事故アルトキハ民政局長軍務局長ノ中官等高キ者其ノ職務ヲ代理ス
第十三條 總督府ニ總督官房ヲ置ク
總督官房ニ副官二人及專任祕書官二人ヲ置ク總督ノ命ヲ承ケ機密事務及文書ノ取扱ヲ掌ル
副官ハ陸海軍佐尉官ノ內各一人ヲ以テ之ニ充ツ
祕書官ハ奏任トス
第十四條 總督府ニ民政軍務ノ二局ヲ置ク其ノ官制ハ別ニ之ヲ定ム
附 則
第十五條 本令ハ明治二十九年四月一日ヨリ施行ス
朕台湾総督府条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月三十日
内閣総理大臣臨時代理 枢密院議長 伯爵 黒田清隆
海軍大臣 侯爵 西郷従道
陸軍大臣 侯爵 大山巌
勅令第八十八号
台湾総督府条例
第一条 台湾ニ台湾総督ヲ置キ台湾島及澎湖列島ヲ管轄セシム
第二条 総督ハ親任トス陸海軍大将若クハ中将ヲ以テ之ニ充ツ
第三条 総督ハ委任ノ範囲内ニ於テ陸海軍ヲ統率シ拓殖務大臣ノ監督ヲ承ケ諸般ノ政務ヲ統理ス
第四条 総督ハ主任ノ事務ニ付其ノ職権若クハ特別ノ委任ニ依リ総督府令ヲ発シ之ニ禁錮二十五日又ハ罰金二十五円以内ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第五条 総督ハ其ノ管轄区域内ノ防備ノ事ヲ掌ル
第六条 総督ハ其ノ管轄区域内ノ安寧秩序ヲ保持スル為ニ必要ト認ムルトキハ兵力ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ直ニ陸軍大臣海軍大臣拓殖務大臣参謀総長及海軍軍令部長ニ之ヲ報告スヘシ
第七条 総督ハ必要ト認ムル地域内ニ於テ其ノ地ノ守備隊長若クハ駐在武官ヲシテ民政事務ヲ兼掌セシムルコトヲ得
第八条 総督ハ所部ノ官吏ヲ統督シ奏任文官ノ進退ハ拓殖務大臣ニ由リ内閣総理大臣ヲ経テ之ヲ上奏シ判任官以下ハ之ヲ専行ス
第九条 総督ハ知事ノ命令又ハ処分ノ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ処分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第十条 総督ハ拓殖務大臣ニ由リ内閣総理大臣ヲ経テ所部文官ノ叙位叙勲ヲ上奏ス
第十一条 総督ハ所部文官ヲ懲戒ス其ノ勅任官ニ係ルモノ並ニ奏任官ノ免官ニ係ルモノハ拓殖務大臣ニ由リ内閣総理大臣ヲ経テ上奏シ其ノ他ハ之ヲ専行ス
第十二条 総督事故アルトキハ民政局長軍務局長ノ中官等高キ者其ノ職務ヲ代理ス
第十三条 総督府ニ総督官房ヲ置ク
総督官房ニ副官二人及専任秘書官二人ヲ置ク総督ノ命ヲ承ケ機密事務及文書ノ取扱ヲ掌ル
副官ハ陸海軍佐尉官ノ内各一人ヲ以テ之ニ充ツ
秘書官ハ奏任トス
第十四条 総督府ニ民政軍務ノ二局ヲ置ク其ノ官制ハ別ニ之ヲ定ム
附 則
第十五条 本令ハ明治二十九年四月一日ヨリ施行ス