(年金契約)
第五條 郵便年金契約(以下「年金契約」という。)においては、國が年金契約者又は第三者の生存についてその者に年金を支拂うことを約し、年金契約者が國に掛金を支拂うことを約するものとする。
2 前項の年金契約においては、年金支拂の事由が発生した日から一定の期間内に年金受取人が死亡してもなおその残存期間中年金受取人の指定した者又は年金受取人の指定した者がないときは第二十二條に規定する者に継続して年金を支拂うことを約することができる。
(年金約款)
第六條 年金契約は、この法律に定めるものの外、左の事項を定めた郵便年金約款(以下「年金約款」という。)による。
一 年金額及び掛金額に関する事項(予定利率に関する事項を含む。)
五 掛金の拂込及びその拂込猶予期間並びに掛金の返還に関する事項
七 年金契約の変更及び解除、年金契約関係者の異動及び変更並びに年金受取人の年齢の錯誤に関する事項
2 年金約款は、簡易生命保險郵便年金事業審議会の議を経て、郵政大臣が定める。
4 この法律及び年金約款は、郵便局に備えて、年金契約の申込をする者の閲覽に供しなければならない。
(第三者の利益享受)
第七條 年金受取人、第五條第二項の規定により年金を受け取るべき者(以下「年金継続受取人」という。)又は第二十八條若しくは第二十九條の規定により返還金を受け取るべき者(以下「返還金受取人」という。)が第三者であるときは、その第三者は、当然年金契約の利益を受ける。
(契約関係者の代表者)
第八條 同一の年金契約につき年金契約者、年金継続受取人又は返還金受取人が数人あるときは、それらの者は、各代表者一人を定めなければならない。この場合には、その代表者は、当該年金契約につき、それぞれ他の年金契約者、年金継続受取人又は返還金受取人を代理するものとする。
2 前項の代表者が定まらないとき、又はその所在が不明であるときは、当該年金契約につき年金契約者の一人に対してした行爲は、他の者に対しても、その効力を有する。
(債務の連帶)
第九條 同一の年金契約につき年金契約者又は年金継続受取人が数人あるときは、当該年金契約に関する未拂掛金、貸付金その他國に弁済すべき債務は、連帶とする。
(年金の種類)
第十條 郵便年金は、保証期間附即時終身年金(以下「保証即時年金」という。)、保証期間附すえ置終身年金(以下「保証すえ置年金」という。)及び定期年金とする。
(保証即時年金)
第十一條 保証即時年金とは、年金契約の効力が発生した日から年金受取人の死亡に至るまで年金の支拂をする外、一定の期間内に年金受取人が死亡したときは、その残存期間中年金継続受取人に継続して年金の支拂をするものをいう。
(保証すえ置年金)
第十二條 保証すえ置年金とは、年金受取人が年金支拂開始年齢に達した日からその死亡に至るまで年金の支拂をする外、一定の期間内に年金受取人が死亡したときは、その残存期間中年金継続受取人に継続して年金の支拂をするものをいう。
(定期年金)
第十三條 定期年金とは、年金受取人が年金支拂開始年齢に達した日から一定の期間、年金受取人の生存中に限り、年金の支拂をするものをいう。
(年金額)
第十四條 年金の額は、年金受取人一人につき年額十二万円をこえてはならない。
2 年金の額は、年金契約一件につき年額六千円以上でなければならない。但し、第三十條の規定により、貸付金の弁済に代えて年金額の減額をしたときは、この限りでない。
(積立金計算の方法)
第十六條 年金受取人のために積み立てるべき金額は、前條の基礎によつて、純保險料式で計算する。
(契約の成立及び効力の発生)
第十七條 年金契約は、その申込を承諾したときは、申込の日において成立したものとみなし、且つ、その日から効力を生ずる。
(年金証書及び標準約款)
第十八條 年金契約の申込を承諾したときは、年金証書を作成し、これを年金契約者に交付する。
2 年金証書には、左の事項を記載することを要する。
二 保証すえ置年金及び定期年金にあつては、年金支拂開始年齢
三 保証即時年金及び保証すえ置年金にあつては、第十一條又は第十二條の規定により年金継続受取人に継続して年金の支拂をすべき期間
3 年金約款のうち左に掲げる事項(標準約款)は、年金証書に記載しなければならない。但し、年金証書に記載することに代え、これを記載した書面を年金証書に添附することを妨げない。
(契約の失効)
第十九條 年金契約者が掛金を拂い込まないで年金約款の定める拂込猶予期間を経過したときは、年金契約は、その効力を失う。
(掛金拂済年金契約)
第二十條 年金契約者は、前條の規定にかかわらず、同條の拂込猶予期間経過後三箇月以内に限り、年金約款の定めるところにより、その年金契約を掛金拂済年金契約に変更することを請求することができる。
(年金契約者破産の場合における掛金の拂込)
第二十一條 年金受取人が第三者である場合において、年金契約者が破産の宣告を受けたときは、國は、年金受取人に対して掛金の拂込を請求することができる。但し、年金受取人がその権利を放棄したときは、この限りでない。
(無指定の場合の年金継続受取人)
第二十二條 年金受取人の指定した年金継続受取人がないとき(年金受取人の指定した年金継続受取人が死亡し更に年金継続受取人の指定がない場合を含む。)は、年金受取人の配偶者(届出がなくても事実上婚姻関係と同樣の事情にある者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人の死亡当時年金受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人の生計を維持していた者を年金継続受取人とする。
2 前項に規定する年金継続受取人が数人あるときは、同項に掲げる順序により先順位にある者を年金継続受取人とする。
3 第一項に掲げる者であつて故意に年金受取人、年金継続受取人、先順位者又は同順位者を殺したもの、年金受取人の配偶者であつて新たに婚姻したもの(届出がなくても事実上婚姻関係と同樣の事情に入つた者を含む。)及び年金受取人の子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつてその親族関係の消滅したものは、年金継続受取人となることができない。
4 年金受取人の指定した年金継続受取人が年金の支拂を受けるに至つた後において保証期間内に死亡したときは、前三項の規定を準用する。
(未拂年金の受取人)
第二十三條 年金受取人又は年金継続受取人が死亡した場合において、その者が支拂を受けるべき年金でまだその支拂を受けなかつたものは、左の各号の区分に從い、当該各号に定める者に支拂う。
一 保証即時年金及び保証すえ置年金の場合
第十一條又は第十二條の規定により年金継続受取人に継続して年金の支拂をすべき期間内に年金受取人が死亡した場合にあつては、年金継続受取人(年金継続受取人が死亡した場合にあつては、次順位の年金継続受取人)
第十一條又は第十二條の規定により年金継続受取人に継続して年金の支拂をすべき期間経過後に年金受取人又は年金継続受取人が死亡した場合にあつては、年金受取人又は年金継続受取人の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人又は年金継続受取人の死亡当時年金受取人又は年金継続受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人又は年金継続受取人の生計を維持していた者
二 定期年金の場合
年金受取人の配偶者、子、父母、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人の死亡当時年金受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人の生計を維持していた者
2 前項の場合には、前條第二項及び第三項の規定を準用する。
(年金契約者の地位の任意承継)
第二十四條 年金契約者は、年金受取人の同意を得て、第三者に年金契約に因る権利義務を承継させることができる。
2 前項の承継は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
(年金契約者の地位の法定承継)
第二十五條 年金契約者が死亡した場合において、その者に相続人がないときは、年金受取人が、年金契約者の年金契約に因る権利義務を承継する。
(年金継続受取人の指定又はその変更)
第二十六條 年金受取人は、年金支拂の事由が発生した後に限り、年金継続受取人を指定し、又はその指定を変更することができる。但し、年金受取人が指定の変更をしない旨の意思を國に対して表示したときは、この限りでない。
2 前項の指定又はその変更は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
3 第一項の指定を受けた年金継続受取人が故意に年金受取人を殺したときは、当該指定は、その効力を失う。
(返還金の支拂)
第二十七條 年金受取人の死亡又は年金契約の解除、失効若しくは変更の場合には、返還金受取人は、年金約款の定めるところにより、左の各号の区分に從い、当該各号に定める額の返還金の支拂を請求することができる。
一 年金受取人が死亡した場合
保証すえ置年金であつて年金支拂の事由が発生する前のものについては、死亡の日までに拂い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額
定期年金にあつては、死亡の日までに拂い込むべき掛金に相当する額(年金支拂の事由が発生した後にあつては、死亡の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額)
二 年金契約が解除され、又は失効した場合
保証即時年金にあつては、拂い込まれた掛金の額の百分の八十に相当する額以上の額で年金約款で定める額から解除の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額保証すえ置年金にあつては、年金契約の解除又は失効の日までに拂い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額(年金支拂の事由が発生した後にあつては、解除の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額)
定期年金にあつては、年金契約の解除又は失効の日までに拂い込むべき掛金に相当する額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額(年金支拂の事由が発生した後にあつては、解除の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額)
三 年金契約が変更された場合
保証すえ置年金にあつては、年金契約の変更の日までに拂い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額から、変更後の年金契約について当初から変更の日までに拂い込むべきであつた掛金の額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額を差し引いた残額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額
定期年金にあつては、年金契約の変更の日までに拂い込むべき掛金に相当する額から、変更後の年金契約について当初から変更の日までに拂い込むべきであつた掛金の額を差し引いた残額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額
(返還金受取人の指定又はその変更)
第二十八條 年金契約者は、年金支拂の事由が発生する前に限り、前條の規定による返還金支拂の事由(前條の規定により年金契約の変更に因る返還金を支拂う場合を除く。)が発生するまでは、返還金受取人を指定し、又はその指定を変更することができる。但し、年金契約者の指定した返還金受取人が第三者である場合において、年金契約者が指定の変更をしない旨の意思を國に対して表示したときは、この限りでない。
2 年金契約者は、前項の指定又はその変更により年金受取人以外の第三者を返還金受取人とするには、年金受取人の同意を得なければならない。
3 第一項の指定又はその変更は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
4 返還金受取人には、第二十六條第三項の規定を準用する。
(無指定の場合の返還金受取人)
第二十九條 年金契約者が返還金受取人を指定しないとき(年金契約者の指定した返還金受取人が死亡し更に返還金受取人を指定しない場合を含む。)は、年金受取人(年金継続受取人が年金の支拂を受けるに至つた後においては年金継続受取人)を返還金受取人とする。
2 前項の規定による返還金受取人がないときは、第二十二條の規定により年金継続受取人となるべき者(定期年金にあつては、第二十三條第一項第二号に規定する者)を返還金受取人とする。
(貸付金の法定弁済)
第三十條 國が年金約款の定めるところにより年金契約者に対して貸付をした場合において、年金契約者が貸付金の弁済をしないで弁済期後四年を経過したときは、國は、年金約款の定めるところにより、年金支拂の事由が発生する前に限り、貸付金の弁済に代えて年金額及び返還金額の減額をすることができる。
(剩余金の分配)
第三十一條 郵便年金事業の経営上剩余を生じたときは、年金約款の定めるところにより、年金受取人又は年金継続受取人にこれを分配する。
(掛金の返還)
第三十二條 年金契約の全部又は一部が無効である場合において、年金契約者が善意で且つ重大な過失のないときは、年金契約者は、掛金の全部又は一部の返還を請求することができる。
(讓渡禁止)
第三十三條 年金、返還金又は剩余金を受け取るべき権利は、讓り渡すことができない。
(差押禁止)
第三十四條 年金又は返還金を受け取るべき権利は、差し押えることができない。但し、年金については、その年額が一万二千円をこえるときはそのこえる額の二分の一に相当する額、返還金については、その額が五万円をこえるときはそのこえる額については、この限りでない。
(年金受取人の介入権)
第三十五條 年金支拂の事由が発生する前に年金契約者が破産の宣告を受けた場合(年金契約者以外の者を返還金受取人とする年金契約において第二十八條第一項但書の意思表示があつた場合を除く。)において、年金受取人が年金契約者の同意を得て、当該年金契約が解除されたとすれば第二十七條の規定により支拂われるべき返還金のうち前條但書の規定により差押ができる部分に相当する額を破産管財人に交付して、年金契約者の年金契約に因る権利義務を承継する旨の意思を表示するときは、当該年金受取人は、当該権利義務を承継するものとする。
2 前項の承継は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
3 第一項の規定により破産管財人が交付を受けた金額は、破産財團に属するものとする。
(控除支拂)
第三十六條 年金、返還金、剩余金又は年金契約者に返還する掛金を支拂う場合において、当該年金契約に関し未拂掛金、貸付金その他國が弁済を受けるべき金額があるときは、支拂金額からこれを控除する。
(正規の支拂)
第三十七條 年金、返還金、貸付金、剩余金又は年金契約者に返還する掛金をこの法律及び年金約款に定める手続によつて支拂つたときは、その支拂は有効とする。
(年金約款改正の効力)
第三十八條 年金約款の改正は、既に存する年金契約に対してその効力を及ぼさない。
2 郵政大臣は、年金約款を改正する場合において、年金契約者、年金受取人、年金継続受取人及び返還金受取人の全体の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、既に存する年金契約についても、剩余金の分配に関する事項を除いて、將來に向かつてその改正の効力が及ぶものとすることができる。
(時効)
第三十九條 年金、返還金及び剩余金の支拂義務並びに掛金の返還義務は五年、掛金の拂込義務は一年を経過したときは、時効に因つて消滅する。