郵便年金法
法令番号: 法律第69号
公布年月日: 昭和24年5月16日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

法の民主化を図るため、従来の法体系を改め、保険年金契約に関する基本的事項以外を郵便年金約款に委ねることとした。また、最近の経済事情の推移と民法改正に対応するため、従来の郵便年金法を廃止し新法を制定する。新法では、法律の目的を明示し、国の非営利事業であることと郵政省が管理経営主体であることを規定。約款の制定・改正には簡易生命保険郵便年金事業審議会の議を経ることとし、物価高騰に対応して年金最高制限額を十三万円に引き上げ、最低年金金額を六千円とする。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 逓信委員会 第7号

審議経過

第5回国会

衆議院
(昭和24年4月23日)
(昭和24年5月6日)
参議院
(昭和24年5月7日)
衆議院
(昭和24年5月9日)
(昭和24年5月10日)
参議院
(昭和24年5月11日)
(昭和24年5月16日)
衆議院
(昭和24年5月31日)
参議院
(昭和24年6月1日)
郵便年金法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月十六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十九号
郵便年金法
目次
第一章
総則(第一條―第四條)
第二章
契約(第五條―第三十九條)
第三章
簡易生命保險郵便年金審査会の審査(第四十條・第四十一條)
第四章
積立金の運用(第四十二條)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一條 この法律は、國民に、簡易に利用できる年金保險を、確実な経営により、なるべく安い掛金で提供し、もつて國民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。
(郵便年金の國営)
第二條 この法律の規定により國が行う年金保險(以下「郵便年金」という。)は、営利を目的としない事業であつて、郵政省が、これをつかさどる。
(代表機関)
第三條 郵便年金の契約の締結及び契約上の権利義務に関する事項は、郵政省簡易保險局長が行う。
2 郵政省簡易保險局長は、前項に定める職権のうち細目の事項に関するものを地方簡易保險局長、地方郵政局長又は郵便局長に委任することができる。
(印紙税の免除)
第四條 郵便年金に関する書類には、印紙税を課さない。
第二章 契約
(年金契約)
第五條 郵便年金契約(以下「年金契約」という。)においては、國が年金契約者又は第三者の生存についてその者に年金を支拂うことを約し、年金契約者が國に掛金を支拂うことを約するものとする。
2 前項の年金契約においては、年金支拂の事由が発生した日から一定の期間内に年金受取人が死亡してもなおその残存期間中年金受取人の指定した者又は年金受取人の指定した者がないときは第二十二條に規定する者に継続して年金を支拂うことを約することができる。
(年金約款)
第六條 年金契約は、この法律に定めるものの外、左の事項を定めた郵便年金約款(以下「年金約款」という。)による。
一 年金額及び掛金額に関する事項(予定利率に関する事項を含む。)
二 年金支拂期間及び年金支拂開始年齢に関する事項
三 加入年齢に関する事項
四 年金契約の成立に関する事項
五 掛金の拂込及びその拂込猶予期間並びに掛金の返還に関する事項
六 年金の支拂に関する事項
七 年金契約の変更及び解除、年金契約関係者の異動及び変更並びに年金受取人の年齢の錯誤に関する事項
八 返還金の支拂に関する事項
九 年金契約者等に対する貸付に関する事項
十 剩余金の分配に関する事項
2 年金約款は、簡易生命保險郵便年金事業審議会の議を経て、郵政大臣が定める。
3 年金約款は、官報で公示しなければならない。
4 この法律及び年金約款は、郵便局に備えて、年金契約の申込をする者の閲覽に供しなければならない。
(第三者の利益享受)
第七條 年金受取人、第五條第二項の規定により年金を受け取るべき者(以下「年金継続受取人」という。)又は第二十八條若しくは第二十九條の規定により返還金を受け取るべき者(以下「返還金受取人」という。)が第三者であるときは、その第三者は、当然年金契約の利益を受ける。
(契約関係者の代表者)
第八條 同一の年金契約につき年金契約者、年金継続受取人又は返還金受取人が数人あるときは、それらの者は、各代表者一人を定めなければならない。この場合には、その代表者は、当該年金契約につき、それぞれ他の年金契約者、年金継続受取人又は返還金受取人を代理するものとする。
2 前項の代表者が定まらないとき、又はその所在が不明であるときは、当該年金契約につき年金契約者の一人に対してした行爲は、他の者に対しても、その効力を有する。
(債務の連帶)
第九條 同一の年金契約につき年金契約者又は年金継続受取人が数人あるときは、当該年金契約に関する未拂掛金、貸付金その他國に弁済すべき債務は、連帶とする。
(年金の種類)
第十條 郵便年金は、保証期間附即時終身年金(以下「保証即時年金」という。)、保証期間附すえ置終身年金(以下「保証すえ置年金」という。)及び定期年金とする。
(保証即時年金)
第十一條 保証即時年金とは、年金契約の効力が発生した日から年金受取人の死亡に至るまで年金の支拂をする外、一定の期間内に年金受取人が死亡したときは、その残存期間中年金継続受取人に継続して年金の支拂をするものをいう。
(保証すえ置年金)
第十二條 保証すえ置年金とは、年金受取人が年金支拂開始年齢に達した日からその死亡に至るまで年金の支拂をする外、一定の期間内に年金受取人が死亡したときは、その残存期間中年金継続受取人に継続して年金の支拂をするものをいう。
(定期年金)
第十三條 定期年金とは、年金受取人が年金支拂開始年齢に達した日から一定の期間、年金受取人の生存中に限り、年金の支拂をするものをいう。
(年金額)
第十四條 年金の額は、年金受取人一人につき年額十二万円をこえてはならない。
2 年金の額は、年金契約一件につき年額六千円以上でなければならない。但し、第三十條の規定により、貸付金の弁済に代えて年金額の減額をしたときは、この限りでない。
(掛金計算の基礎)
第十五條 掛金は、左の基礎によつて計算する。
一 保証即時年金及び保証すえ置年金にあつては、男子については昭和十一年内閣統計局の発表した第五回生命表の男子死亡率からその百分の二十を減じて作成した死亡生残表、女子については同表の女子死亡率からその百分の三十を減じて作成した死亡生残表
定期年金にあつては、昭和十一年内閣統計局の発表した第五回生命表の男子死亡率からその百分の二十を減じて死亡した死亡生残表
二 年金約款で定める予定利率
三 掛金を一時に拂い込む年金契約にあつては、前二号により計算した純掛金の額の百分の十に相当する額をこえない額、掛金を分割して拂い込む年金契約にあつては、前二号により計算した純掛金の額の百分の十五に相当する額をこえない額による附加掛金
(積立金計算の方法)
第十六條 年金受取人のために積み立てるべき金額は、前條の基礎によつて、純保險料式で計算する。
(契約の成立及び効力の発生)
第十七條 年金契約は、その申込を承諾したときは、申込の日において成立したものとみなし、且つ、その日から効力を生ずる。
(年金証書及び標準約款)
第十八條 年金契約の申込を承諾したときは、年金証書を作成し、これを年金契約者に交付する。
2 年金証書には、左の事項を記載することを要する。
一 年金の種類
二 保証すえ置年金及び定期年金にあつては、年金支拂開始年齢
三 保証即時年金及び保証すえ置年金にあつては、第十一條又は第十二條の規定により年金継続受取人に継続して年金の支拂をすべき期間
四 定期年金にあつては、年金支拂期間
五 年金額
六 掛金の額及びその拂込の方法
七 年金契約者の氏名又は名称
八 年金受取人の氏名、生年月日及び男女の別
九 年金契約の効力発生年月日
十 年金証書作成の年月日
3 年金約款のうち左に掲げる事項(標準約款)は、年金証書に記載しなければならない。但し、年金証書に記載することに代え、これを記載した書面を年金証書に添附することを妨げない。
一 掛金拂込猶予期間に関する事項
二 年齢の錯誤に関する事項
三 返還金の支拂に関する事項
四 年金契約者等に対する貸付に関する事項
五 剩余金の分配に関する事項
(契約の失効)
第十九條 年金契約者が掛金を拂い込まないで年金約款の定める拂込猶予期間を経過したときは、年金契約は、その効力を失う。
(掛金拂済年金契約)
第二十條 年金契約者は、前條の規定にかかわらず、同條の拂込猶予期間経過後三箇月以内に限り、年金約款の定めるところにより、その年金契約を掛金拂済年金契約に変更することを請求することができる。
(年金契約者破産の場合における掛金の拂込)
第二十一條 年金受取人が第三者である場合において、年金契約者が破産の宣告を受けたときは、國は、年金受取人に対して掛金の拂込を請求することができる。但し、年金受取人がその権利を放棄したときは、この限りでない。
(無指定の場合の年金継続受取人)
第二十二條 年金受取人の指定した年金継続受取人がないとき(年金受取人の指定した年金継続受取人が死亡し更に年金継続受取人の指定がない場合を含む。)は、年金受取人の配偶者(届出がなくても事実上婚姻関係と同樣の事情にある者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人の死亡当時年金受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人の生計を維持していた者を年金継続受取人とする。
2 前項に規定する年金継続受取人が数人あるときは、同項に掲げる順序により先順位にある者を年金継続受取人とする。
3 第一項に掲げる者であつて故意に年金受取人、年金継続受取人、先順位者又は同順位者を殺したもの、年金受取人の配偶者であつて新たに婚姻したもの(届出がなくても事実上婚姻関係と同樣の事情に入つた者を含む。)及び年金受取人の子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつてその親族関係の消滅したものは、年金継続受取人となることができない。
4 年金受取人の指定した年金継続受取人が年金の支拂を受けるに至つた後において保証期間内に死亡したときは、前三項の規定を準用する。
(未拂年金の受取人)
第二十三條 年金受取人又は年金継続受取人が死亡した場合において、その者が支拂を受けるべき年金でまだその支拂を受けなかつたものは、左の各号の区分に從い、当該各号に定める者に支拂う。
一 保証即時年金及び保証すえ置年金の場合
第十一條又は第十二條の規定により年金継続受取人に継続して年金の支拂をすべき期間内に年金受取人が死亡した場合にあつては、年金継続受取人(年金継続受取人が死亡した場合にあつては、次順位の年金継続受取人)
第十一條又は第十二條の規定により年金継続受取人に継続して年金の支拂をすべき期間経過後に年金受取人又は年金継続受取人が死亡した場合にあつては、年金受取人又は年金継続受取人の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人又は年金継続受取人の死亡当時年金受取人又は年金継続受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人又は年金継続受取人の生計を維持していた者
二 定期年金の場合
年金受取人の配偶者、子、父母、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人の死亡当時年金受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人の生計を維持していた者
2 前項の場合には、前條第二項及び第三項の規定を準用する。
(年金契約者の地位の任意承継)
第二十四條 年金契約者は、年金受取人の同意を得て、第三者に年金契約に因る権利義務を承継させることができる。
2 前項の承継は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
(年金契約者の地位の法定承継)
第二十五條 年金契約者が死亡した場合において、その者に相続人がないときは、年金受取人が、年金契約者の年金契約に因る権利義務を承継する。
(年金継続受取人の指定又はその変更)
第二十六條 年金受取人は、年金支拂の事由が発生した後に限り、年金継続受取人を指定し、又はその指定を変更することができる。但し、年金受取人が指定の変更をしない旨の意思を國に対して表示したときは、この限りでない。
2 前項の指定又はその変更は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
3 第一項の指定を受けた年金継続受取人が故意に年金受取人を殺したときは、当該指定は、その効力を失う。
(返還金の支拂)
第二十七條 年金受取人の死亡又は年金契約の解除、失効若しくは変更の場合には、返還金受取人は、年金約款の定めるところにより、左の各号の区分に從い、当該各号に定める額の返還金の支拂を請求することができる。
一 年金受取人が死亡した場合
保証すえ置年金であつて年金支拂の事由が発生する前のものについては、死亡の日までに拂い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額
定期年金にあつては、死亡の日までに拂い込むべき掛金に相当する額(年金支拂の事由が発生した後にあつては、死亡の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額)
二 年金契約が解除され、又は失効した場合
保証即時年金にあつては、拂い込まれた掛金の額の百分の八十に相当する額以上の額で年金約款で定める額から解除の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額保証すえ置年金にあつては、年金契約の解除又は失効の日までに拂い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額(年金支拂の事由が発生した後にあつては、解除の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額)
定期年金にあつては、年金契約の解除又は失効の日までに拂い込むべき掛金に相当する額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額(年金支拂の事由が発生した後にあつては、解除の日までに支拂うべき年金の額を差し引いた残額)
三 年金契約が変更された場合
保証すえ置年金にあつては、年金契約の変更の日までに拂い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額から、変更後の年金契約について当初から変更の日までに拂い込むべきであつた掛金の額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額を差し引いた残額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額
定期年金にあつては、年金契約の変更の日までに拂い込むべき掛金に相当する額から、変更後の年金契約について当初から変更の日までに拂い込むべきであつた掛金の額を差し引いた残額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額
(返還金受取人の指定又はその変更)
第二十八條 年金契約者は、年金支拂の事由が発生する前に限り、前條の規定による返還金支拂の事由(前條の規定により年金契約の変更に因る返還金を支拂う場合を除く。)が発生するまでは、返還金受取人を指定し、又はその指定を変更することができる。但し、年金契約者の指定した返還金受取人が第三者である場合において、年金契約者が指定の変更をしない旨の意思を國に対して表示したときは、この限りでない。
2 年金契約者は、前項の指定又はその変更により年金受取人以外の第三者を返還金受取人とするには、年金受取人の同意を得なければならない。
3 第一項の指定又はその変更は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
4 返還金受取人には、第二十六條第三項の規定を準用する。
(無指定の場合の返還金受取人)
第二十九條 年金契約者が返還金受取人を指定しないとき(年金契約者の指定した返還金受取人が死亡し更に返還金受取人を指定しない場合を含む。)は、年金受取人(年金継続受取人が年金の支拂を受けるに至つた後においては年金継続受取人)を返還金受取人とする。
2 前項の規定による返還金受取人がないときは、第二十二條の規定により年金継続受取人となるべき者(定期年金にあつては、第二十三條第一項第二号に規定する者)を返還金受取人とする。
(貸付金の法定弁済)
第三十條 國が年金約款の定めるところにより年金契約者に対して貸付をした場合において、年金契約者が貸付金の弁済をしないで弁済期後四年を経過したときは、國は、年金約款の定めるところにより、年金支拂の事由が発生する前に限り、貸付金の弁済に代えて年金額及び返還金額の減額をすることができる。
(剩余金の分配)
第三十一條 郵便年金事業の経営上剩余を生じたときは、年金約款の定めるところにより、年金受取人又は年金継続受取人にこれを分配する。
(掛金の返還)
第三十二條 年金契約の全部又は一部が無効である場合において、年金契約者が善意で且つ重大な過失のないときは、年金契約者は、掛金の全部又は一部の返還を請求することができる。
(讓渡禁止)
第三十三條 年金、返還金又は剩余金を受け取るべき権利は、讓り渡すことができない。
(差押禁止)
第三十四條 年金又は返還金を受け取るべき権利は、差し押えることができない。但し、年金については、その年額が一万二千円をこえるときはそのこえる額の二分の一に相当する額、返還金については、その額が五万円をこえるときはそのこえる額については、この限りでない。
(年金受取人の介入権)
第三十五條 年金支拂の事由が発生する前に年金契約者が破産の宣告を受けた場合(年金契約者以外の者を返還金受取人とする年金契約において第二十八條第一項但書の意思表示があつた場合を除く。)において、年金受取人が年金契約者の同意を得て、当該年金契約が解除されたとすれば第二十七條の規定により支拂われるべき返還金のうち前條但書の規定により差押ができる部分に相当する額を破産管財人に交付して、年金契約者の年金契約に因る権利義務を承継する旨の意思を表示するときは、当該年金受取人は、当該権利義務を承継するものとする。
2 前項の承継は、國に通知しなければ、これをもつて國に対抗することができない。
3 第一項の規定により破産管財人が交付を受けた金額は、破産財團に属するものとする。
(控除支拂)
第三十六條 年金、返還金、剩余金又は年金契約者に返還する掛金を支拂う場合において、当該年金契約に関し未拂掛金、貸付金その他國が弁済を受けるべき金額があるときは、支拂金額からこれを控除する。
(正規の支拂)
第三十七條 年金、返還金、貸付金、剩余金又は年金契約者に返還する掛金をこの法律及び年金約款に定める手続によつて支拂つたときは、その支拂は有効とする。
(年金約款改正の効力)
第三十八條 年金約款の改正は、既に存する年金契約に対してその効力を及ぼさない。
2 郵政大臣は、年金約款を改正する場合において、年金契約者、年金受取人、年金継続受取人及び返還金受取人の全体の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、既に存する年金契約についても、剩余金の分配に関する事項を除いて、將來に向かつてその改正の効力が及ぶものとすることができる。
(時効)
第三十九條 年金、返還金及び剩余金の支拂義務並びに掛金の返還義務は五年、掛金の拂込義務は一年を経過したときは、時効に因つて消滅する。
第三章 簡易生命保險郵便年金審査会の審査
(審査会の審査)
第四十條 年金契約者、年金受取人、年金継続受取人又は返還金受取人が、郵便年金の契約上の権利義務に関する事項について、國を被告として民事訴訟を提起するには、簡易生命保險郵便年金審査会(以下「審査会」という。)の審査を経なければならない。
2 年金契約者、年金受取人、年金継続受取人又は返還金受取人が審査請求書を審査会に提出した後六箇月を経過しても審査会が裁決をしないときは、前項の規定にかかわらず、その審査請求書を提出した者は、民事訴訟を提起することができる。
3 第一項の審査請求書を提出した者が前項の規定により民事訴訟を提起したときは、審査会は、当該審査請求につき審査をしない。
(審査の手続)
第四十一條 前條の審査については、簡易生命保險法(昭和二十四年法律第六十八号)第五十六條及び第五十八條から第六十七條までの規定を準用する。但し、同法第五十八條第二項第三号中「保險契約者、被保險者及び保險金受取人」とあるのは「年金契約者、年金受取人及び返還金受取人」と、同項第四号中「保險証書」とあるのは「年金証書」と読み替えるものとする。
第四章 積立金の運用
(積立金の運用)
第四十二條 積立金は、年金契約者、年金受取人又は年金継続受取人に貸付をする場合を除いては、簡易生命保險郵便年金事業審議会に諮問し、有利確実に、且つ、公共の利益のために、左の方法により運用しなければならない。
一 公共團体に対する貸付
二 國債、地方債、社債その他の有價証券の應募、引受又は買入
2 積立金は、前項の規定にかかわらず、同項の規定による運用をするまで一時これを大藏省預金部に預け入れることができる。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。但し、第五項の規定は、公布の日から施行する。
2 郵便年金法(大正十五年法律第三十九号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
3 この法律の規定(第十條から第十六條までの規定を除く。)は、この法律施行前の郵便年金契約についても適用する。
4 この法律施行前の郵便年金契約に係る年金の種類、掛金及び年金受取人のために積み立てるべき金額の計算の基礎並びにこの法律施行前の郵便年金契約で随時に掛金の拂込をすべきものの掛金の拂込に関しては、なお從前の例による。
5 郵政大臣は、この法律施行前において、旧法第二十二條ノ二に規定する簡易生命保險及郵便年金事業委員会の議を経て第六條第一項の郵便年金約款を定めることができる。
逓信大臣 小澤佐重喜
内閣総理大臣 吉田茂
郵便年金法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月十六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十九号
郵便年金法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
契約(第五条―第三十九条)
第三章
簡易生命保険郵便年金審査会の審査(第四十条・第四十一条)
第四章
積立金の運用(第四十二条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、国民に、簡易に利用できる年金保険を、確実な経営により、なるべく安い掛金で提供し、もつて国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。
(郵便年金の国営)
第二条 この法律の規定により国が行う年金保険(以下「郵便年金」という。)は、営利を目的としない事業であつて、郵政省が、これをつかさどる。
(代表機関)
第三条 郵便年金の契約の締結及び契約上の権利義務に関する事項は、郵政省簡易保険局長が行う。
2 郵政省簡易保険局長は、前項に定める職権のうち細目の事項に関するものを地方簡易保険局長、地方郵政局長又は郵便局長に委任することができる。
(印紙税の免除)
第四条 郵便年金に関する書類には、印紙税を課さない。
第二章 契約
(年金契約)
第五条 郵便年金契約(以下「年金契約」という。)においては、国が年金契約者又は第三者の生存についてその者に年金を支払うことを約し、年金契約者が国に掛金を支払うことを約するものとする。
2 前項の年金契約においては、年金支払の事由が発生した日から一定の期間内に年金受取人が死亡してもなおその残存期間中年金受取人の指定した者又は年金受取人の指定した者がないときは第二十二条に規定する者に継続して年金を支払うことを約することができる。
(年金約款)
第六条 年金契約は、この法律に定めるものの外、左の事項を定めた郵便年金約款(以下「年金約款」という。)による。
一 年金額及び掛金額に関する事項(予定利率に関する事項を含む。)
二 年金支払期間及び年金支払開始年齢に関する事項
三 加入年齢に関する事項
四 年金契約の成立に関する事項
五 掛金の払込及びその払込猶予期間並びに掛金の返還に関する事項
六 年金の支払に関する事項
七 年金契約の変更及び解除、年金契約関係者の異動及び変更並びに年金受取人の年齢の錯誤に関する事項
八 返還金の支払に関する事項
九 年金契約者等に対する貸付に関する事項
十 剰余金の分配に関する事項
2 年金約款は、簡易生命保険郵便年金事業審議会の議を経て、郵政大臣が定める。
3 年金約款は、官報で公示しなければならない。
4 この法律及び年金約款は、郵便局に備えて、年金契約の申込をする者の閲覧に供しなければならない。
(第三者の利益享受)
第七条 年金受取人、第五条第二項の規定により年金を受け取るべき者(以下「年金継続受取人」という。)又は第二十八条若しくは第二十九条の規定により返還金を受け取るべき者(以下「返還金受取人」という。)が第三者であるときは、その第三者は、当然年金契約の利益を受ける。
(契約関係者の代表者)
第八条 同一の年金契約につき年金契約者、年金継続受取人又は返還金受取人が数人あるときは、それらの者は、各代表者一人を定めなければならない。この場合には、その代表者は、当該年金契約につき、それぞれ他の年金契約者、年金継続受取人又は返還金受取人を代理するものとする。
2 前項の代表者が定まらないとき、又はその所在が不明であるときは、当該年金契約につき年金契約者の一人に対してした行為は、他の者に対しても、その効力を有する。
(債務の連帯)
第九条 同一の年金契約につき年金契約者又は年金継続受取人が数人あるときは、当該年金契約に関する未払掛金、貸付金その他国に弁済すべき債務は、連帯とする。
(年金の種類)
第十条 郵便年金は、保証期間附即時終身年金(以下「保証即時年金」という。)、保証期間附すえ置終身年金(以下「保証すえ置年金」という。)及び定期年金とする。
(保証即時年金)
第十一条 保証即時年金とは、年金契約の効力が発生した日から年金受取人の死亡に至るまで年金の支払をする外、一定の期間内に年金受取人が死亡したときは、その残存期間中年金継続受取人に継続して年金の支払をするものをいう。
(保証すえ置年金)
第十二条 保証すえ置年金とは、年金受取人が年金支払開始年齢に達した日からその死亡に至るまで年金の支払をする外、一定の期間内に年金受取人が死亡したときは、その残存期間中年金継続受取人に継続して年金の支払をするものをいう。
(定期年金)
第十三条 定期年金とは、年金受取人が年金支払開始年齢に達した日から一定の期間、年金受取人の生存中に限り、年金の支払をするものをいう。
(年金額)
第十四条 年金の額は、年金受取人一人につき年額十二万円をこえてはならない。
2 年金の額は、年金契約一件につき年額六千円以上でなければならない。但し、第三十条の規定により、貸付金の弁済に代えて年金額の減額をしたときは、この限りでない。
(掛金計算の基礎)
第十五条 掛金は、左の基礎によつて計算する。
一 保証即時年金及び保証すえ置年金にあつては、男子については昭和十一年内閣統計局の発表した第五回生命表の男子死亡率からその百分の二十を減じて作成した死亡生残表、女子については同表の女子死亡率からその百分の三十を減じて作成した死亡生残表
定期年金にあつては、昭和十一年内閣統計局の発表した第五回生命表の男子死亡率からその百分の二十を減じて死亡した死亡生残表
二 年金約款で定める予定利率
三 掛金を一時に払い込む年金契約にあつては、前二号により計算した純掛金の額の百分の十に相当する額をこえない額、掛金を分割して払い込む年金契約にあつては、前二号により計算した純掛金の額の百分の十五に相当する額をこえない額による附加掛金
(積立金計算の方法)
第十六条 年金受取人のために積み立てるべき金額は、前条の基礎によつて、純保険料式で計算する。
(契約の成立及び効力の発生)
第十七条 年金契約は、その申込を承諾したときは、申込の日において成立したものとみなし、且つ、その日から効力を生ずる。
(年金証書及び標準約款)
第十八条 年金契約の申込を承諾したときは、年金証書を作成し、これを年金契約者に交付する。
2 年金証書には、左の事項を記載することを要する。
一 年金の種類
二 保証すえ置年金及び定期年金にあつては、年金支払開始年齢
三 保証即時年金及び保証すえ置年金にあつては、第十一条又は第十二条の規定により年金継続受取人に継続して年金の支払をすべき期間
四 定期年金にあつては、年金支払期間
五 年金額
六 掛金の額及びその払込の方法
七 年金契約者の氏名又は名称
八 年金受取人の氏名、生年月日及び男女の別
九 年金契約の効力発生年月日
十 年金証書作成の年月日
3 年金約款のうち左に掲げる事項(標準約款)は、年金証書に記載しなければならない。但し、年金証書に記載することに代え、これを記載した書面を年金証書に添附することを妨げない。
一 掛金払込猶予期間に関する事項
二 年齢の錯誤に関する事項
三 返還金の支払に関する事項
四 年金契約者等に対する貸付に関する事項
五 剰余金の分配に関する事項
(契約の失効)
第十九条 年金契約者が掛金を払い込まないで年金約款の定める払込猶予期間を経過したときは、年金契約は、その効力を失う。
(掛金払済年金契約)
第二十条 年金契約者は、前条の規定にかかわらず、同条の払込猶予期間経過後三箇月以内に限り、年金約款の定めるところにより、その年金契約を掛金払済年金契約に変更することを請求することができる。
(年金契約者破産の場合における掛金の払込)
第二十一条 年金受取人が第三者である場合において、年金契約者が破産の宣告を受けたときは、国は、年金受取人に対して掛金の払込を請求することができる。但し、年金受取人がその権利を放棄したときは、この限りでない。
(無指定の場合の年金継続受取人)
第二十二条 年金受取人の指定した年金継続受取人がないとき(年金受取人の指定した年金継続受取人が死亡し更に年金継続受取人の指定がない場合を含む。)は、年金受取人の配偶者(届出がなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人の死亡当時年金受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人の生計を維持していた者を年金継続受取人とする。
2 前項に規定する年金継続受取人が数人あるときは、同項に掲げる順序により先順位にある者を年金継続受取人とする。
3 第一項に掲げる者であつて故意に年金受取人、年金継続受取人、先順位者又は同順位者を殺したもの、年金受取人の配偶者であつて新たに婚姻したもの(届出がなくても事実上婚姻関係と同様の事情に入つた者を含む。)及び年金受取人の子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつてその親族関係の消滅したものは、年金継続受取人となることができない。
4 年金受取人の指定した年金継続受取人が年金の支払を受けるに至つた後において保証期間内に死亡したときは、前三項の規定を準用する。
(未払年金の受取人)
第二十三条 年金受取人又は年金継続受取人が死亡した場合において、その者が支払を受けるべき年金でまだその支払を受けなかつたものは、左の各号の区分に従い、当該各号に定める者に支払う。
一 保証即時年金及び保証すえ置年金の場合
第十一条又は第十二条の規定により年金継続受取人に継続して年金の支払をすべき期間内に年金受取人が死亡した場合にあつては、年金継続受取人(年金継続受取人が死亡した場合にあつては、次順位の年金継続受取人)
第十一条又は第十二条の規定により年金継続受取人に継続して年金の支払をすべき期間経過後に年金受取人又は年金継続受取人が死亡した場合にあつては、年金受取人又は年金継続受取人の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人又は年金継続受取人の死亡当時年金受取人又は年金継続受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人又は年金継続受取人の生計を維持していた者
二 定期年金の場合
年金受取人の配偶者、子、父母、祖父母及び兄弟姉妹並びに年金受取人の死亡当時年金受取人の扶助によつて生計を維持していた者及び年金受取人の生計を維持していた者
2 前項の場合には、前条第二項及び第三項の規定を準用する。
(年金契約者の地位の任意承継)
第二十四条 年金契約者は、年金受取人の同意を得て、第三者に年金契約に因る権利義務を承継させることができる。
2 前項の承継は、国に通知しなければ、これをもつて国に対抗することができない。
(年金契約者の地位の法定承継)
第二十五条 年金契約者が死亡した場合において、その者に相続人がないときは、年金受取人が、年金契約者の年金契約に因る権利義務を承継する。
(年金継続受取人の指定又はその変更)
第二十六条 年金受取人は、年金支払の事由が発生した後に限り、年金継続受取人を指定し、又はその指定を変更することができる。但し、年金受取人が指定の変更をしない旨の意思を国に対して表示したときは、この限りでない。
2 前項の指定又はその変更は、国に通知しなければ、これをもつて国に対抗することができない。
3 第一項の指定を受けた年金継続受取人が故意に年金受取人を殺したときは、当該指定は、その効力を失う。
(返還金の支払)
第二十七条 年金受取人の死亡又は年金契約の解除、失効若しくは変更の場合には、返還金受取人は、年金約款の定めるところにより、左の各号の区分に従い、当該各号に定める額の返還金の支払を請求することができる。
一 年金受取人が死亡した場合
保証すえ置年金であつて年金支払の事由が発生する前のものについては、死亡の日までに払い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額
定期年金にあつては、死亡の日までに払い込むべき掛金に相当する額(年金支払の事由が発生した後にあつては、死亡の日までに支払うべき年金の額を差し引いた残額)
二 年金契約が解除され、又は失効した場合
保証即時年金にあつては、払い込まれた掛金の額の百分の八十に相当する額以上の額で年金約款で定める額から解除の日までに支払うべき年金の額を差し引いた残額保証すえ置年金にあつては、年金契約の解除又は失効の日までに払い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額(年金支払の事由が発生した後にあつては、解除の日までに支払うべき年金の額を差し引いた残額)
定期年金にあつては、年金契約の解除又は失効の日までに払い込むべき掛金に相当する額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額(年金支払の事由が発生した後にあつては、解除の日までに支払うべき年金の額を差し引いた残額)
三 年金契約が変更された場合
保証すえ置年金にあつては、年金契約の変更の日までに払い込むべき掛金に相当する額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額から、変更後の年金契約について当初から変更の日までに払い込むべきであつた掛金の額とこれに対する複利計算による年二分の利息に相当する額との合計額を差し引いた残額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額
定期年金にあつては、年金契約の変更の日までに払い込むべき掛金に相当する額から、変更後の年金契約について当初から変更の日までに払い込むべきであつた掛金の額を差し引いた残額の百分の九十に相当する額以上の額で年金約款で定める額
(返還金受取人の指定又はその変更)
第二十八条 年金契約者は、年金支払の事由が発生する前に限り、前条の規定による返還金支払の事由(前条の規定により年金契約の変更に因る返還金を支払う場合を除く。)が発生するまでは、返還金受取人を指定し、又はその指定を変更することができる。但し、年金契約者の指定した返還金受取人が第三者である場合において、年金契約者が指定の変更をしない旨の意思を国に対して表示したときは、この限りでない。
2 年金契約者は、前項の指定又はその変更により年金受取人以外の第三者を返還金受取人とするには、年金受取人の同意を得なければならない。
3 第一項の指定又はその変更は、国に通知しなければ、これをもつて国に対抗することができない。
4 返還金受取人には、第二十六条第三項の規定を準用する。
(無指定の場合の返還金受取人)
第二十九条 年金契約者が返還金受取人を指定しないとき(年金契約者の指定した返還金受取人が死亡し更に返還金受取人を指定しない場合を含む。)は、年金受取人(年金継続受取人が年金の支払を受けるに至つた後においては年金継続受取人)を返還金受取人とする。
2 前項の規定による返還金受取人がないときは、第二十二条の規定により年金継続受取人となるべき者(定期年金にあつては、第二十三条第一項第二号に規定する者)を返還金受取人とする。
(貸付金の法定弁済)
第三十条 国が年金約款の定めるところにより年金契約者に対して貸付をした場合において、年金契約者が貸付金の弁済をしないで弁済期後四年を経過したときは、国は、年金約款の定めるところにより、年金支払の事由が発生する前に限り、貸付金の弁済に代えて年金額及び返還金額の減額をすることができる。
(剰余金の分配)
第三十一条 郵便年金事業の経営上剰余を生じたときは、年金約款の定めるところにより、年金受取人又は年金継続受取人にこれを分配する。
(掛金の返還)
第三十二条 年金契約の全部又は一部が無効である場合において、年金契約者が善意で且つ重大な過失のないときは、年金契約者は、掛金の全部又は一部の返還を請求することができる。
(譲渡禁止)
第三十三条 年金、返還金又は剰余金を受け取るべき権利は、譲り渡すことができない。
(差押禁止)
第三十四条 年金又は返還金を受け取るべき権利は、差し押えることができない。但し、年金については、その年額が一万二千円をこえるときはそのこえる額の二分の一に相当する額、返還金については、その額が五万円をこえるときはそのこえる額については、この限りでない。
(年金受取人の介入権)
第三十五条 年金支払の事由が発生する前に年金契約者が破産の宣告を受けた場合(年金契約者以外の者を返還金受取人とする年金契約において第二十八条第一項但書の意思表示があつた場合を除く。)において、年金受取人が年金契約者の同意を得て、当該年金契約が解除されたとすれば第二十七条の規定により支払われるべき返還金のうち前条但書の規定により差押ができる部分に相当する額を破産管財人に交付して、年金契約者の年金契約に因る権利義務を承継する旨の意思を表示するときは、当該年金受取人は、当該権利義務を承継するものとする。
2 前項の承継は、国に通知しなければ、これをもつて国に対抗することができない。
3 第一項の規定により破産管財人が交付を受けた金額は、破産財団に属するものとする。
(控除支払)
第三十六条 年金、返還金、剰余金又は年金契約者に返還する掛金を支払う場合において、当該年金契約に関し未払掛金、貸付金その他国が弁済を受けるべき金額があるときは、支払金額からこれを控除する。
(正規の支払)
第三十七条 年金、返還金、貸付金、剰余金又は年金契約者に返還する掛金をこの法律及び年金約款に定める手続によつて支払つたときは、その支払は有効とする。
(年金約款改正の効力)
第三十八条 年金約款の改正は、既に存する年金契約に対してその効力を及ぼさない。
2 郵政大臣は、年金約款を改正する場合において、年金契約者、年金受取人、年金継続受取人及び返還金受取人の全体の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、既に存する年金契約についても、剰余金の分配に関する事項を除いて、将来に向かつてその改正の効力が及ぶものとすることができる。
(時効)
第三十九条 年金、返還金及び剰余金の支払義務並びに掛金の返還義務は五年、掛金の払込義務は一年を経過したときは、時効に因つて消滅する。
第三章 簡易生命保険郵便年金審査会の審査
(審査会の審査)
第四十条 年金契約者、年金受取人、年金継続受取人又は返還金受取人が、郵便年金の契約上の権利義務に関する事項について、国を被告として民事訴訟を提起するには、簡易生命保険郵便年金審査会(以下「審査会」という。)の審査を経なければならない。
2 年金契約者、年金受取人、年金継続受取人又は返還金受取人が審査請求書を審査会に提出した後六箇月を経過しても審査会が裁決をしないときは、前項の規定にかかわらず、その審査請求書を提出した者は、民事訴訟を提起することができる。
3 第一項の審査請求書を提出した者が前項の規定により民事訴訟を提起したときは、審査会は、当該審査請求につき審査をしない。
(審査の手続)
第四十一条 前条の審査については、簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第五十六条及び第五十八条から第六十七条までの規定を準用する。但し、同法第五十八条第二項第三号中「保険契約者、被保険者及び保険金受取人」とあるのは「年金契約者、年金受取人及び返還金受取人」と、同項第四号中「保険証書」とあるのは「年金証書」と読み替えるものとする。
第四章 積立金の運用
(積立金の運用)
第四十二条 積立金は、年金契約者、年金受取人又は年金継続受取人に貸付をする場合を除いては、簡易生命保険郵便年金事業審議会に諮問し、有利確実に、且つ、公共の利益のために、左の方法により運用しなければならない。
一 公共団体に対する貸付
二 国債、地方債、社債その他の有価証券の応募、引受又は買入
2 積立金は、前項の規定にかかわらず、同項の規定による運用をするまで一時これを大蔵省預金部に預け入れることができる。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。但し、第五項の規定は、公布の日から施行する。
2 郵便年金法(大正十五年法律第三十九号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
3 この法律の規定(第十条から第十六条までの規定を除く。)は、この法律施行前の郵便年金契約についても適用する。
4 この法律施行前の郵便年金契約に係る年金の種類、掛金及び年金受取人のために積み立てるべき金額の計算の基礎並びにこの法律施行前の郵便年金契約で随時に掛金の払込をすべきものの掛金の払込に関しては、なお従前の例による。
5 郵政大臣は、この法律施行前において、旧法第二十二条ノ二に規定する簡易生命保険及郵便年金事業委員会の議を経て第六条第一項の郵便年金約款を定めることができる。
逓信大臣 小沢佐重喜
内閣総理大臣 吉田茂