(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律)
法令番号: 法律第四十三號
公布年月日: 昭和18年3月11日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル普通銀行等ノ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ノ兼營等ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月十日
內閣總理大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
法律第四十三號
第一條 銀行法ニ依リ銀行業ノ免許ヲ受ケタル銀行(以下普通銀行ト稱ス)ハ他ノ法律ニ拘ラズ主務大臣ノ認可ヲ受ケ貯蓄銀行法ニ依リ貯蓄銀行ノ營ム業務(以下貯蓄銀行業務ト稱ス)又ハ信託業法ニ依リ信託會社ノ營ム業務(以下信託業務ト稱ス)ヲ營ムコトヲ得
普通銀行前項ノ認可ヲ受ケントスルトキハ申請書ニ業務ノ種類及方法ヲ記載シタル書面ヲ添附シ之ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第二條 貯蓄銀行業務ヲ營ム普通銀行ハ貯蓄銀行法第一條第一項及第五條第六號ニ揭グル業務ニ依リ受入レタル金額ノ三分ノ一以上ノ金額ニ相當スル國債ヲ供託スベシ但シ供託金額中受入金額ノ五分ノ一ヲ超ユル額ニ付テハ主務大臣ノ指定スル有價證券ヲ以テ國債ニ代フルコトヲ得
前項ノ普通銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ大藏省預金部ヘノ預ケ金ヲ以テ同項ノ供託ニ代フルコトヲ得
第一項ノ受入金額ハ每營業年度末日現在ニ依リ之ヲ定ム
貯蓄銀行法第十條ノ規定ハ第一項ノ普通銀行ノ同法第一條第一項ニ揭グル業務ニ依ル預金者及給付金ノ債權者竝ニ同法第五條第六號ニ揭グル業務ニ依ル有價證券ノ給付ヲ受クベキ債權者ニ付之ヲ準用ス
第三條 有價證券割賦販賣業法第八條乃至第十一條ノ規定ハ普通銀行ガ貯蓄銀行法第五條第六號ニ揭グル業務ヲ營ム場合ニ之ヲ準用ス
第四條 信託業法第七條乃至第十條ノ規定ハ普通銀行ガ信託業務ヲ營ム場合ニ之ヲ準用ス
第五條 普通銀行ガ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ營ム場合ニ於テ當該業務ノ種類又ハ方法ヲ變更セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
主務大臣必要アリト認ムルトキハ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ營ム普通銀行ニ對シ當該業務ノ種類若ハ方法ヲ制限シ又ハ其ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第六條 信託會社又ハ信託業務ヲ營ム普通銀行ガ合併ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テ商法第百條第一項ノ規定ニ依リテ爲スベキ催吿ハ金錢信託ノ受益者ニ對シテハ之ヲ爲スコトヲ要セズ
信託會社ガ合併ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テ商法第百條第一項但書ノ期間ハ一月迄之ヲ下スコトヲ得合併ニ因ル株式併合ノ場合ニ於テ商法第三百七十七條第一項但書ノ期間ニ付亦同ジ
第七條 信託業務ヲ營ム普通銀行ト信託會社又ハ信託業務ヲ營ム普通銀行トガ合併シタルトキハ合併後存續シ又ハ合併ニ因リテ設立シタル信託業務ヲ營ム普通銀行ハ合併ニ因リテ消滅シタル信託會社又ハ信託業務ヲ營ム普通銀行ノ信託ニ關スル權利義務ヲ承繼ス
信託業法第十六條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八條 普通銀行ノ營ム貯蓄銀行業務ハ租稅ニ關スル法令ノ適用ニ關シ之ヲ貯蓄銀行ノ營ム業務ト看做ス
信託業務ヲ營ム普通銀行ハ其ノ信託業務ニ付テハ租稅ニ關スル法令ノ適用ニ關シ之ヲ信託會社ト看做ス
第九條 特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル銀行ニシテ主務大臣ノ指定スルモノ(以下指定銀行ト稱ス)ハ他ノ法律ニ拘ラズ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ營ムコトヲ得
指定銀行貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ營マントスルトキハ業務ノ種類及方法ニ付主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二條乃至前條ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十條 左ノ場合ニ於テハ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ營ム普通銀行又ハ指定銀行ノ役員又ハ淸算人ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第二條第一項(前條第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三條(前條第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ於テ準用スル有價證券割賦販賣業法第十條及第四條(前條第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム以下同ジ)ニ於テ準用スル信託業法第七條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第四條ニ於テ準用スル信託業法第九條ノ規定又ハ同法同條ニ基ク命令ニ違反シテ信託ニ付補塡又ハ補足ノ契約ヲ爲シタルトキ
三 第四條ニ於テ準用スル信託業法第十條ノ規定ニ違反シテ信託財產ヲ固有財產ト爲シタルトキ
四 第五條(前條第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム以下同ジ)第一項ノ規定ニ違反シタルトキ
五 第五條第二項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ命令ニ違反シタルトキ
六 前條第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
七 信託法第二十八條ノ規定ニ依リテ爲スベキ信託財產ノ管理ヲ爲サザルトキ
八 信託法第三十九條ニ規定スル事務ノ處理若ハ計算ヲ爲サズ又ハ財產目錄ヲ作成セザルトキ
九 正當ノ理由ナクシテ信託法第四十條ノ規定ニ依ル閱覽ヲ拒ミ又ハ說明ヲ爲サザルトキ
附 則
第十一條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 貯蓄銀行法中左ノ通改正ス
第十一條第一項第七號中「一年內」ヲ「五年內」ニ改メ同條同項第十號中「信託會社」ノ上ニ「信託業務ヲ營ム銀行又ハ」ヲ加ヘ同條同項第十一號中「銀行又ハ信託會社ノ引受アル」ヲ削ル
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
第一項第十一號ニ規定スル手形ニシテ銀行又ハ信託會社ノ引受アルモノ以外ノモノニ付亦前項ニ同シ
第十三條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十四條第一項中「預ケ金」ノ下ニ「、信託財產」ヲ加フ
第十三條 無盡業法中左ノ通改正ス
第十條第一項第五號ヲ左ノ如ク改ム
五 信託業務ヲ營ム銀行又ハ信託會社ヘ命令ノ定ムル所ニ依リ爲ス金錢信託
第二十一條ノ四第三項中「信託會社」ノ上ニ「信託業務ヲ營ム銀行若ハ」ヲ加フ
第十四條 國民貯蓄組合法中左ノ通改正ス
第二條第一項第三號中「信託會社」ノ上ニ「信託業務ヲ營ム銀行又ハ」ヲ加フ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル普通銀行等ノ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ノ兼営等ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月十日
内閣総理大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
法律第四十三号
第一条 銀行法ニ依リ銀行業ノ免許ヲ受ケタル銀行(以下普通銀行ト称ス)ハ他ノ法律ニ拘ラズ主務大臣ノ認可ヲ受ケ貯蓄銀行法ニ依リ貯蓄銀行ノ営ム業務(以下貯蓄銀行業務ト称ス)又ハ信託業法ニ依リ信託会社ノ営ム業務(以下信託業務ト称ス)ヲ営ムコトヲ得
普通銀行前項ノ認可ヲ受ケントスルトキハ申請書ニ業務ノ種類及方法ヲ記載シタル書面ヲ添附シ之ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第二条 貯蓄銀行業務ヲ営ム普通銀行ハ貯蓄銀行法第一条第一項及第五条第六号ニ掲グル業務ニ依リ受入レタル金額ノ三分ノ一以上ノ金額ニ相当スル国債ヲ供託スベシ但シ供託金額中受入金額ノ五分ノ一ヲ超ユル額ニ付テハ主務大臣ノ指定スル有価証券ヲ以テ国債ニ代フルコトヲ得
前項ノ普通銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ大蔵省預金部ヘノ預ケ金ヲ以テ同項ノ供託ニ代フルコトヲ得
第一項ノ受入金額ハ毎営業年度末日現在ニ依リ之ヲ定ム
貯蓄銀行法第十条ノ規定ハ第一項ノ普通銀行ノ同法第一条第一項ニ掲グル業務ニ依ル預金者及給付金ノ債権者並ニ同法第五条第六号ニ掲グル業務ニ依ル有価証券ノ給付ヲ受クベキ債権者ニ付之ヲ準用ス
第三条 有価証券割賦販売業法第八条乃至第十一条ノ規定ハ普通銀行ガ貯蓄銀行法第五条第六号ニ掲グル業務ヲ営ム場合ニ之ヲ準用ス
第四条 信託業法第七条乃至第十条ノ規定ハ普通銀行ガ信託業務ヲ営ム場合ニ之ヲ準用ス
第五条 普通銀行ガ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ営ム場合ニ於テ当該業務ノ種類又ハ方法ヲ変更セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
主務大臣必要アリト認ムルトキハ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ営ム普通銀行ニ対シ当該業務ノ種類若ハ方法ヲ制限シ又ハ其ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第六条 信託会社又ハ信託業務ヲ営ム普通銀行ガ合併ノ決議ヲ為シタル場合ニ於テ商法第百条第一項ノ規定ニ依リテ為スベキ催告ハ金銭信託ノ受益者ニ対シテハ之ヲ為スコトヲ要セズ
信託会社ガ合併ノ決議ヲ為シタル場合ニ於テ商法第百条第一項但書ノ期間ハ一月迄之ヲ下スコトヲ得合併ニ因ル株式併合ノ場合ニ於テ商法第三百七十七条第一項但書ノ期間ニ付亦同ジ
第七条 信託業務ヲ営ム普通銀行ト信託会社又ハ信託業務ヲ営ム普通銀行トガ合併シタルトキハ合併後存続シ又ハ合併ニ因リテ設立シタル信託業務ヲ営ム普通銀行ハ合併ニ因リテ消滅シタル信託会社又ハ信託業務ヲ営ム普通銀行ノ信託ニ関スル権利義務ヲ承継ス
信託業法第十六条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八条 普通銀行ノ営ム貯蓄銀行業務ハ租税ニ関スル法令ノ適用ニ関シ之ヲ貯蓄銀行ノ営ム業務ト看做ス
信託業務ヲ営ム普通銀行ハ其ノ信託業務ニ付テハ租税ニ関スル法令ノ適用ニ関シ之ヲ信託会社ト看做ス
第九条 特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル銀行ニシテ主務大臣ノ指定スルモノ(以下指定銀行ト称ス)ハ他ノ法律ニ拘ラズ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ営ムコトヲ得
指定銀行貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ営マントスルトキハ業務ノ種類及方法ニ付主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二条乃至前条ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十条 左ノ場合ニ於テハ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ヲ営ム普通銀行又ハ指定銀行ノ役員又ハ清算人ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
一 第二条第一項(前条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三条(前条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ於テ準用スル有価証券割賦販売業法第十条及第四条(前条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム以下同ジ)ニ於テ準用スル信託業法第七条ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第四条ニ於テ準用スル信託業法第九条ノ規定又ハ同法同条ニ基ク命令ニ違反シテ信託ニ付補填又ハ補足ノ契約ヲ為シタルトキ
三 第四条ニ於テ準用スル信託業法第十条ノ規定ニ違反シテ信託財産ヲ固有財産ト為シタルトキ
四 第五条(前条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム以下同ジ)第一項ノ規定ニ違反シタルトキ
五 第五条第二項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ命令ニ違反シタルトキ
六 前条第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
七 信託法第二十八条ノ規定ニ依リテ為スベキ信託財産ノ管理ヲ為サザルトキ
八 信託法第三十九条ニ規定スル事務ノ処理若ハ計算ヲ為サズ又ハ財産目録ヲ作成セザルトキ
九 正当ノ理由ナクシテ信託法第四十条ノ規定ニ依ル閲覧ヲ拒ミ又ハ説明ヲ為サザルトキ
附 則
第十一条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二条 貯蓄銀行法中左ノ通改正ス
第十一条第一項第七号中「一年内」ヲ「五年内」ニ改メ同条同項第十号中「信託会社」ノ上ニ「信託業務ヲ営ム銀行又ハ」ヲ加ヘ同条同項第十一号中「銀行又ハ信託会社ノ引受アル」ヲ削ル
同条ニ左ノ一項ヲ加フ
第一項第十一号ニ規定スル手形ニシテ銀行又ハ信託会社ノ引受アルモノ以外ノモノニ付亦前項ニ同シ
第十三条第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十四条第一項中「預ケ金」ノ下ニ「、信託財産」ヲ加フ
第十三条 無尽業法中左ノ通改正ス
第十条第一項第五号ヲ左ノ如ク改ム
五 信託業務ヲ営ム銀行又ハ信託会社ヘ命令ノ定ムル所ニ依リ為ス金銭信託
第二十一条ノ四第三項中「信託会社」ノ上ニ「信託業務ヲ営ム銀行若ハ」ヲ加フ
第十四条 国民貯蓄組合法中左ノ通改正ス
第二条第一項第三号中「信託会社」ノ上ニ「信託業務ヲ営ム銀行又ハ」ヲ加フ