朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル大日本育英會法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年二月十六日
內閣總理大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
內務大臣 安藤紀三郞
文部大臣 子爵 岡部長景
法律第三十號
大日本育英會法
第一章 總則
第一條 大日本育英會ハ優秀ナル學徒ニシテ經濟的理由ニ因リ修學困難ナルモノニ對シ學資ノ貸與其ノ他之ガ育英上必要ナル業務ヲ行ヒ以テ國家有用ノ人材ヲ育成スルコトヲ目的トス
大日本育英會ハ法人トス
第二條 大日本育英會ハ主タル事務所ヲ東京都ニ置ク
大日本育英會ハ必要ノ地ニ從タル事務所ヲ置クコトヲ得
第三條 大日本育英會ノ基金ハ百萬圓トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
政府ハ大日本育英會ノ基金トシテ百萬圓ヲ支出スベシ
前項ノ規定ニ依ル支出ハ國債證券ヲ交付シテ之ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第四條 大日本育英會ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 基金及資產ニ關スル事項
五 役員ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 會計ニ關スル事項
八 公吿ノ方法
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第五條 大日本育英會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第六條 大日本育英會ニハ所得稅、法人稅及營業稅ヲ課セズ
東京都、北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ大日本育英會ノ事業ニ對シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ內務大臣及大藏大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七條 大日本育英會ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 大日本育英會ニ非ザル者ハ大日本育英會又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第九條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ規定ハ大日本育英會ニ之ヲ準用ス
第二章 職員
第十條 大日本育英會ニ役員トシテ會長一人、理事長一人、理事三人以上、監事二人以上及評議員若干人ヲ置ク
第十一條 會長ハ大日本育英會ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
理事長ハ定款ノ定ムル所ニ依リ大日本育英會ヲ代表シ會長ヲ輔佐シテ大日本育英會ノ業務ヲ掌理ス
理事長ハ會長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ大日本育英會ヲ代表シ會長及理事長ヲ輔佐シテ大日本育英會ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ會長及理事長共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長及理事長共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ大日本育英會ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ業務ニ關スル重要ナル事項ニ付會長ノ諮問ニ應ジ又ハ會長ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十二條 會長、理事長、理事、監事及評議員ハ主務大臣之ヲ命ズ
會長、理事長及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十三條 會長、理事長及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十四條 會長、理事長及理事ハ他ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十五條 大日本育英會ノ役員其ノ他ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
第三章 業務
第十六條 大日本育英會ハ左ノ業務ヲ行フ
一 學資ノ貸與
二 學資ノ貸與ヲ受クル學徒ノ輔導
三 修學上必要ナル施設ノ設置及經營
四 前各號ノ業務ニ附帶スル業務
大日本育英會ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項ニ揭グル業務ノ外其ノ目的達成上必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第十七條 前條第一項第一號ノ業務ニ要スル資金ハ大藏省預金部其ノ他ヨリノ借入金、寄附金等ヲ以テ之ニ充ツルモノトス
第四章 會計
第十八條 大日本育英會ノ事業年度ハ每年四月ヨリ翌年三月迄トス
第十九條 大日本育英會ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ餘裕金ノ運用ヲ爲スコトヲ得ズ
一 國債、地方債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル有價證券ノ取得
二 大藏省預金部ヘノ預金又ハ郵便貯金
三 銀行ヘノ預金又ハ信託會社ヘノ金錢信託
第二十條 大日本育英會ハ設立ノ時及每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照表及損益計算書ヲ作成シ主務大臣ノ承認ヲ受クベシ
第五章 監督及補助
第二十一條 大日本育英會ハ主務大臣之ヲ監督ス
第二十二條 主務大臣ハ大日本育英會ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ必要ナル業務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第二十三條 大日本育英會ハ大藏省預金部ヨリ借入金ヲ爲ス場合其ノ他主務大臣ノ定ムル場合ヲ除クノ外其ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ借入金ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十四條 大日本育英會ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
大日本育英會ハ事業年度每ニ事業計畫及收支豫算ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル變更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第二十五條 主務大臣ハ大日本育英會ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十六條 主務大臣ハ役員ノ行爲ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害シタルトキ其ノ他大日本育英會ノ業務運營上役員ヲ不適當ナリト認ムルトキハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十七條 政府ハ第十六條第一項第一號ノ業務ノ爲借入レタル借入金中二億七千四百萬圓ヲ限リ其ノ元本ノ償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ得
第二十八條 政府ハ大日本育英會ニ對シ每年度左ノ各號ノ金額ノ年百分ノ三・二ノ割合ニ相當スル金額ノ補助金ヲ交付スルコトヲ得
一 第十六條第一項第一號ノ業務ノ爲借入レタル借入金ノ額
二 第十六條第一項第一號ノ規定ニ依リ貸與シタル學資ノ返還金ヲ基礎トシテ勅令ノ定ムル所ニ依リ算出シタル金額
前項ノ補助金計算ノ基礎ト爲スベキ金額ハ同項第一號ノ借入金ノ額ニ付テハ二億七千四百萬圓ヲ限度トシ同項第二號ノ金額ニ付テハ九千百萬圓ヲ限度トス
前二項ニ規定スルモノノ外政府ハ大日本育英會ニ對シ第十六條第一項第一號ノ業務ニ關シ每年度豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第六章 罰則
第二十九條 左ノ場合ニ於テハ大日本育英會ノ會長、理事長、理事又ハ監事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタルトキ
三 第十九條ノ規定ニ違反シ業務上ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
四 主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分ニ違反シタルトキ
第三十條 左ノ場合ニ於テハ大日本育英會ノ會長、理事長、理事又ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二 第二十條ノ規定ニ依ル書類ヲ作成セザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ又ハ其ノ書類ニ付主務大臣ノ承認ヲ受ケザルトキ
第三十一條 第八條ノ規定ニ違反シ大日本育英會又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附 則
第三十二條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三條 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ大日本育英會ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
第三十四條 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十五條 前條ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ大日本育英會會長ニ引繼グベシ
會長前項ノ事務ノ引繼ヲ受ケタルトキハ設立ノ登記ヲ爲スベシ
大日本育英會ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第三十六條 主務大臣ハ第三十四條ノ認可ヲ爲シタルトキハ財團法人大日本育英會ニ對シ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ヲ受ケタル財團法人大日本育英會ハ大日本育英會成立ノ時解散スルモノトシ其ノ權利義務ハ大日本育英會之ヲ承繼ス此ノ場合ニ於テハ他ノ法令中解散及淸算ニ關スル規定ハ之ヲ適用セズ
前二項ニ規定スルモノヲ除クノ外財團法人大日本育英會ノ解散ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十七條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「恩給金庫、」ノ下ニ「大日本育英會、」ヲ、「恩給金庫法、」ノ下ニ「大日本育英會法、」ヲ、同條第十八號中「國民更生金庫」ノ上ニ「大日本育英會、」ヲ加フ
同條ニ左ノ一號ヲ加フ
二十 大日本育英會カ大日本育英會法第十六條第一項第二號又ハ第三號ノ業務ノ爲ニスル建物又ハ土地ノ權利ノ取得又ハ所有權ノ保存ノ登記
第三十八條 印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ七ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
六ノ八 大日本育英會ノ業務ニ關スル證書帳簿
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル大日本育英会法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年二月十六日
内閣総理大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
内務大臣 安藤紀三郎
文部大臣 子爵 岡部長景
法律第三十号
大日本育英会法
第一章 総則
第一条 大日本育英会ハ優秀ナル学徒ニシテ経済的理由ニ因リ修学困難ナルモノニ対シ学資ノ貸与其ノ他之ガ育英上必要ナル業務ヲ行ヒ以テ国家有用ノ人材ヲ育成スルコトヲ目的トス
大日本育英会ハ法人トス
第二条 大日本育英会ハ主タル事務所ヲ東京都ニ置ク
大日本育英会ハ必要ノ地ニ従タル事務所ヲ置クコトヲ得
第三条 大日本育英会ノ基金ハ百万円トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得
政府ハ大日本育英会ノ基金トシテ百万円ヲ支出スベシ
前項ノ規定ニ依ル支出ハ国債証券ヲ交付シテ之ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
第四条 大日本育英会ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 基金及資産ニ関スル事項
五 役員ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 会計ニ関スル事項
八 公告ノ方法
定款ノ変更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第五条 大日本育英会ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第六条 大日本育英会ニハ所得税、法人税及営業税ヲ課セズ
東京都、北海道、府県、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ大日本育英会ノ事業ニ対シテハ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ内務大臣及大蔵大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七条 大日本育英会ニ付解散ヲ必要トスル事由発生シタル場合ニ於テ其ノ処置ニ関シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 大日本育英会ニ非ザル者ハ大日本育英会又ハ之ニ類似スル名称ヲ用フルコトヲ得ズ
第九条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及第五十七条並ニ非訟事件手続法第三十五条第一項ノ規定ハ大日本育英会ニ之ヲ準用ス
第二章 職員
第十条 大日本育英会ニ役員トシテ会長一人、理事長一人、理事三人以上、監事二人以上及評議員若干人ヲ置ク
第十一条 会長ハ大日本育英会ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
理事長ハ定款ノ定ムル所ニ依リ大日本育英会ヲ代表シ会長ヲ輔佐シテ大日本育英会ノ業務ヲ掌理ス
理事長ハ会長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ会長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ大日本育英会ヲ代表シ会長及理事長ヲ輔佐シテ大日本育英会ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ会長及理事長共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ会長及理事長共ニ欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ大日本育英会ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ業務ニ関スル重要ナル事項ニ付会長ノ諮問ニ応ジ又ハ会長ニ対シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十二条 会長、理事長、理事、監事及評議員ハ主務大臣之ヲ命ズ
会長、理事長及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十三条 会長、理事長及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ従タル事務所ノ業務ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十四条 会長、理事長及理事ハ他ノ職業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十五条 大日本育英会ノ役員其ノ他ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看做ス
第三章 業務
第十六条 大日本育英会ハ左ノ業務ヲ行フ
一 学資ノ貸与
二 学資ノ貸与ヲ受クル学徒ノ輔導
三 修学上必要ナル施設ノ設置及経営
四 前各号ノ業務ニ附帯スル業務
大日本育英会ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項ニ掲グル業務ノ外其ノ目的達成上必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第十七条 前条第一項第一号ノ業務ニ要スル資金ハ大蔵省預金部其ノ他ヨリノ借入金、寄附金等ヲ以テ之ニ充ツルモノトス
第四章 会計
第十八条 大日本育英会ノ事業年度ハ毎年四月ヨリ翌年三月迄トス
第十九条 大日本育英会ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ余裕金ノ運用ヲ為スコトヲ得ズ
一 国債、地方債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル有価証券ノ取得
二 大蔵省預金部ヘノ預金又ハ郵便貯金
三 銀行ヘノ預金又ハ信託会社ヘノ金銭信託
第二十条 大日本育英会ハ設立ノ時及毎事業年度ノ初ニ於テ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ主務大臣ノ承認ヲ受クベシ
第五章 監督及補助
第二十一条 大日本育英会ハ主務大臣之ヲ監督ス
第二十二条 主務大臣ハ大日本育英会ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ必要ナル業務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ変更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第二十三条 大日本育英会ハ大蔵省預金部ヨリ借入金ヲ為ス場合其ノ他主務大臣ノ定ムル場合ヲ除クノ外其ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ借入金ヲ為スコトヲ得ズ
第二十四条 大日本育英会ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
大日本育英会ハ事業年度毎ニ事業計画及収支予算ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル変更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第二十五条 主務大臣ハ大日本育英会ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ、検査ヲ為シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第二十六条 主務大臣ハ役員ノ行為ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害シタルトキ其ノ他大日本育英会ノ業務運営上役員ヲ不適当ナリト認ムルトキハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十七条 政府ハ第十六条第一項第一号ノ業務ノ為借入レタル借入金中二億七千四百万円ヲ限リ其ノ元本ノ償還及利息ノ支払ニ付保証スルコトヲ得
第二十八条 政府ハ大日本育英会ニ対シ毎年度左ノ各号ノ金額ノ年百分ノ三・二ノ割合ニ相当スル金額ノ補助金ヲ交付スルコトヲ得
一 第十六条第一項第一号ノ業務ノ為借入レタル借入金ノ額
二 第十六条第一項第一号ノ規定ニ依リ貸与シタル学資ノ返還金ヲ基礎トシテ勅令ノ定ムル所ニ依リ算出シタル金額
前項ノ補助金計算ノ基礎ト為スベキ金額ハ同項第一号ノ借入金ノ額ニ付テハ二億七千四百万円ヲ限度トシ同項第二号ノ金額ニ付テハ九千百万円ヲ限度トス
前二項ニ規定スルモノノ外政府ハ大日本育英会ニ対シ第十六条第一項第一号ノ業務ニ関シ毎年度予算ノ範囲内ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第六章 罰則
第二十九条 左ノ場合ニ於テハ大日本育英会ノ会長、理事長、理事又ハ監事ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ規定セザル業務ヲ営ミタルトキ
三 第十九条ノ規定ニ違反シ業務上ノ余裕金ヲ運用シタルトキ
四 主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ処分ニ違反シタルトキ
第三十条 左ノ場合ニ於テハ大日本育英会ノ会長、理事長、理事又ハ監事ヲ五百円以下ノ過料ニ処ス
一 本法又ハ本法ニ基キテ発スル勅令ニ違反シ登記ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ為シタルトキ
二 第二十条ノ規定ニ依ル書類ヲ作成セザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ又ハ其ノ書類ニ付主務大臣ノ承認ヲ受ケザルトキ
第三十一条 第八条ノ規定ニ違反シ大日本育英会又ハ之ニ類似スル名称ヲ用ヒタル者ハ五百円以下ノ過料ニ処ス
附 則
第三十二条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三条 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ大日本育英会ノ設立ニ関スル事務ヲ処理セシム
第三十四条 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十五条 前条ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク其ノ事務ヲ大日本育英会会長ニ引継グベシ
会長前項ノ事務ノ引継ヲ受ケタルトキハ設立ノ登記ヲ為スベシ
大日本育英会ハ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第三十六条 主務大臣ハ第三十四条ノ認可ヲ為シタルトキハ財団法人大日本育英会ニ対シ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ヲ受ケタル財団法人大日本育英会ハ大日本育英会成立ノ時解散スルモノトシ其ノ権利義務ハ大日本育英会之ヲ承継ス此ノ場合ニ於テハ他ノ法令中解散及清算ニ関スル規定ハ之ヲ適用セズ
前二項ニ規定スルモノヲ除クノ外財団法人大日本育英会ノ解散ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十七条 登録税法中左ノ通改正ス
第十九条第七号中「恩給金庫、」ノ下ニ「大日本育英会、」ヲ、「恩給金庫法、」ノ下ニ「大日本育英会法、」ヲ、同条第十八号中「国民更生金庫」ノ上ニ「大日本育英会、」ヲ加フ
同条ニ左ノ一号ヲ加フ
二十 大日本育英会カ大日本育英会法第十六条第一項第二号又ハ第三号ノ業務ノ為ニスル建物又ハ土地ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記
第三十八条 印紙税法中左ノ通改正ス
第五条第六号ノ七ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
六ノ八 大日本育英会ノ業務ニ関スル証書帳簿