産業投資特別会計法
法令番号: 法律第122号
公布年月日: 昭和28年8月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

産業投資特別会計を新設し、財政投資の充実強化を図る。この会計は、米国対日援助見返資金特別会計の資産と一般会計の日本開発銀行及び日本輸出入銀行への出資金を承継して資本とする。運用収入と特別減税国債発行収入を主要財源として投資を行う。昭和28年度予算では、特別減税国債収入200億円を含む約400億円の財源で、日本開発銀行と電源開発株式会社への資金供給を予定し、重要基礎産業への投資に重点を置く。歳入は国債発行収入、出資・貸付金収入等とし、歳出は出資金、貸付金、国債償還費等とする。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号

審議経過

第16回国会

衆議院
(昭和28年6月30日)
参議院
(昭和28年6月30日)
(昭和28年7月1日)
衆議院
(昭和28年7月7日)
(昭和28年7月10日)
(昭和28年7月14日)
(昭和28年7月15日)
(昭和28年7月16日)
(昭和28年7月18日)
(昭和28年7月21日)
(昭和28年7月22日)
(昭和28年7月23日)
(昭和28年7月24日)
(昭和28年7月25日)
(昭和28年7月28日)
(昭和28年7月29日)
参議院
(昭和28年7月30日)
(昭和28年7月30日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
産業投資特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十二号
産業投資特別会計法
(設置)
第一条 経済の再建、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもつて投資(出資及び資金の貸付をいう。以下同じ。)を行うため、産業投資特別会計を設置する。
2 この会計においては、前項に掲げる目的を達成するため、特別減税国債の発行に因る収入金及び米国対日援助見返資金特別会計からの承継資産から生ずる収入金等を財源として、投資を行うものとする。
(管理)
第二条 この会計は、大蔵大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。
(資本)
第三条 この会計においては、米国対日援助見返資金特別会計の廃止の際における同会計の資産の価額から負債の金額を控除した額と、この法律施行の日の前日における一般会計の日本開発銀行及び日本輸出入銀行に対する出資金の額との合計額に相当する金額をもつて資本とする。
(歳入及び歳出)
第四条 この会計においては、特別減税国債の発行に因る収入金、出資に対する配当金、出資の回収金、貸付金の償還金及び利子、この会計に帰属する国庫納付金並びに附属雑収入をもつてその歳入とし、出資の払込金、貸付金、特別減税国債の償還金及び利子、一時借入金の利子、特別減税国債の発行及び償還に関する諸費並びにその他の諸費をもつてその歳出とする。
(歳入歳出予定計算書の作製)
第五条 大蔵大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第六条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第七条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書
二 前前年度の貸借対照表及び損益計算書
三 前年度及び当該年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書
四 前年度及び当該年度の投資の計画表
(損益の処理)
第八条 この会計において、毎会計年度の損益計算上利益を生じたときは、これを積立金に組み入れて整理し、損失を生じたときは、積立金を減額してこれを整理するものとする。
(剰余金の繰入)
第九条 この会計において、毎会計年度の決算上剰余金が生じたときは、当該剰余金を翌年度の歳入に繰り入れなければならない。
(歳入歳出決定計算書の作製)
第十条 大蔵大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十一条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書並びに当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。
(余裕金の預託)
第十二条 この会計において、支払上現金に余裕があるときは、資金運用部に預託することができる。
(一時借入金)
第十三条 この会計において、支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をすることができる。
2 前項の規定による一時借入金は、当該年度内に償還しなければならない。
3 第一項の規定による一時借入金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。
(国債整理基金特別会計への繰入)
第十四条 特別減税国債の償還金及び利子、一時借入金の利子並びに特別減税国債の発行及び償還に関する諸費は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(支出未済額の繰越)
第十五条 この会計において、毎会計年度の歳出予算における支出残額は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 大蔵大臣は、前項の規定による繰越をしたときは、会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定による繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(実施規定)
第十六条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 米国対日援助見返資金特別会計法(昭和二十四年法律第四十号)は、廃止する。
3 米国対日援助見返資金特別会計の昭和二十七年度及び昭和二十八年度の決算に関しては、なお従前の例による。
4 この法律施行の際米国対日援助見返資金特別会計に属する資産及び負債は、この法律施行の際、この会計に帰属するものとする。
5 昭和二十八年度における米国対日援助見返資金特別会計の歳出予算のうち、この法律施行の際までに支出済とならなかつたものは、この会計に移して使用することができる。
6 大蔵大臣は、前項の規定により米国対日援助見返資金特別会計の歳出予算を移したときは、これを会計検査院に通知しなければならない。
7 附則第四項の規定によりこの会計に帰属した米国対日援助見返資金特別会計の運用資産のうち、国債及び大蔵省証券、食糧証券その他の政府の発行する短期証券(以下「短期証券」という。)は、昭和二十九年三月末日まで、この会計において保有することができる。
8 この会計において、支払上現金に余裕があるときは、昭和二十八年九月末日までの間を限り、資金運用部資金法(昭和二十六年法律第百号)第三条の規定にかかわらず、当該余裕金をもつて、短期証券を一時保有することができる。
9 附則第四項の規定によりこの会計に帰属した現金、同項の規定によりこの会計に帰属したその他の資産から生ずる収入金及び当該資産の処分代金(短期証券の処分代金については、その買入価額に達するまでの金額に相当する部分を除く。)並びに前項の規定により保有する資産から生ずる収入金は、この会計の歳入とする。
10 附則第四項の規定によりこの会計に帰属した短期証券の買入価額に相当する金額は、この法律施行の際、この会計の歳入とみなして整理するものとする。
11 この法律施行の際一般会計が日本輸出入銀行及び日本開発銀行に対して有する出資に係る権利は、この法律施行の際、この会計に帰属する。
12 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十五号を次のように改める。
三十五 削除
第十条第十四号を次のように改める。
十四 産業投資特別会計を管理すること。
第十一条第五号中「国の出資」の下に「(産業投資特別会計からの出資を除く。)」を加える。
13 資金運用部資金法(昭和二十六年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第一条中「米国対日援助見返資金特別会計以外の」を削る。
第三条中「米国対日援助見返資金特別会計及び」を削る。
14 日本輸出入銀行法(昭和二十五年法律第二百六十八号)の一部を次のように改正する。
第四条中「一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計」を「産業投資特別会計」に改める。
第八条第二項中「第四条の規定による出資の割合に応じ、一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計に」を「別に法律で定めるところにより、国庫に」に改める。
第三十八条第四項中「前項」を「前項に定めるものの外、第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に、次の一項を加える。
4 政府は、前項の規定による国庫納付金の一部を、政令で定めるところにより、当該事業年度中において概算で納付させることができる。
15 日本開発銀行法(昭和二十六年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第四条中「一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計からの出資金三百億円」を「産業投資特別会計からの出資金千百五十二億二千万円」に改め、「第四十八条第一項及び」を削り、「政府の一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計から出資があつた」を「同特別会計から出資があつた」に改め、同条に次の一項を加える。
2 前項の出資金千百五十二億二千万円のうちには、第四十七条第一項及び第三項並びに第四十八条第一項の規定により出資があつたものとされた金額を含むものとする。
第三十六条第四項中「前項」を「前項に定めるものの外、第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に、次の一項を加える。
4 政府は、前項の規定による国庫納付金の一部を、政令で定めるところにより、当該事業年度中において概算で納付させることができる。
第四十九条の二第四項中「米国対日援助見返資金特別会計」を「産業投資特別会計」に改める。
16 農林漁業金融公庫法(昭和二十七年法律第三百五十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「米国対日援助見返資金特別会計」を「産業投資特別会計」に改める。
第三十二条第二項中「同特別会計の日本開発銀行に対する貸付金」を「政府の貸付金」に、「同特別会計に」を「政府の産業投資特別会計に」に改め、同条第五項中「米国対日援助見返資金特別会計」を「産業投資特別会計」に改める。
17 日本製鉄株式会社法廃止法(昭和二十五年法律第二百四十号)の一部を次のように改正する。
附則第六項を削り、附則第七項を附則第六項とし、附則第八項中「前三項」を「前二項」に改め、同項を附則第七項とし、以下一項づつ繰り上げる。
18 電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律(昭和二十五年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。
題名中「米国対日援助見返資金等」を「日本開発銀行から」に改める。
第一条第一項を削り、同条第二項を同条第一項とし、同条第三項中「前二項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とする。
第二条第一項及び第二項中「又は第二項」を削る。
19 帝都高速度交通営団法(昭和十六年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。
第二十九条第二項中「国ハ帝都高速度交通営団ニ対スル米国対日援助見返資金ノ運用ニ依ル貸付金」を「日本開発銀行ハ帝都高速度交通営団ニ対スル貸付金」に改める。
大蔵大臣 小笠原三九郎
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 岡野清豪
運輸大臣 石井光次郎
内閣総理大臣 吉田茂