朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル貯蓄銀行法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月十三日
內閣總理大臣 原敬
大藏大臣 子爵 高橋是淸
法律第七十四號
貯蓄銀行法
第一條 左ニ揭クル業務ヲ營ム者ハ之ヲ貯蓄銀行トス
一 複利ノ方法ニ依リ預金ヲ受入ルルコト
二 一囘十圓未滿ノ金額ヲ預金トシテ受入ルルコト
三 豫メ拂戾ノ期限ヲ定メ定期ニ又ハ一定ノ期間內ニ於テ數囘ニ預金ヲ受入ルルコト
四 期限ヲ定メテ一定金額ノ給付ヲ爲スコトヲ約シ定期ニ又ハ一定ノ期間內ニ於テ數囘ニ金錢ヲ受入ルルコト
貯蓄銀行ニ非サルモノハ前項ノ業務ヲ營ムコトヲ得ス但シ貯蓄銀行ニ非サル銀行カ預金取引ヲ有スル者ヨリ其ノ者トノ取引ノ結果生シタル十圓未滿ノ金額ヲ其ノ預金ニ受入レ又ハ小切手ニ依リ支拂ヲ爲スヘキ預金取引ヲ有スル者ヨリ十圓未滿ノ金額ヲ其ノ預金ニ受入ルル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二條 貯蓄銀行業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
前項ノ免許ヲ受ケムトスル者ハ申請書ニ定款及業務ノ種類及方法ヲ記載シタル書面ヲ添附シ之ヲ主務大臣ニ提出スヘシ
第三條 貯蓄銀行業ハ資本金五十萬圓以上ノ株式會社ニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
第四條 貯蓄銀行ハ其ノ商號中ニ貯蓄銀行ナル文字ヲ用ウヘシ
貯蓄銀行ニ非サルモノハ其ノ商號中ニ貯蓄銀行タルコトヲ示スヘキ文字ヲ用ウルコトヲ得ス
第五條 貯蓄銀行ハ第一條第一項ノ業務ノ外左ニ揭クル業務ヲ併セ營ムコトヲ得
一 定期預リ金
二 保護預リ
三 債權ノ取立
四 公共團體又ハ產業組合ノ金錢出納事務ノ取扱
五 公共團體又ハ產業組合ヨリノ要求拂預リ金
第六條 貯蓄銀行ハ本法ニ規定セサル業務ヲ營ムコトヲ得ス
第七條 貯蓄銀行カ貯蓄銀行ノ營ムコトヲ得サル業務ニ屬スル契約ニ基ク權利義務ヲ合併ニ因リテ承繼シタル場合ニ於テハ其ノ契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ノ屬スル業務ニ限リ之ヲ繼續スルコトヲ妨ケス
第八條 貯蓄銀行ハ小切手ニ依リ支拂ヲ爲ス第一條第一項第一號第二號ノ預金取引ヲ爲スコトヲ得ス
第九條 貯蓄銀行ハ第一條第一項及第五條第一號第五號ノ規定ニ依リ受入レタル金額ノ三分ノ一以上ノ金額ニ相當スル國債ヲ供託スヘシ但シ供託金額中受入金額ノ五分ノ一ヲ超ユル額ニ付テハ第十一條第一項第一號ノ有價證券ヲ以テ國債ニ代フルコトヲ得
前項ノ受入金額ハ每半年末日現在ニ依リ之ヲ定ム
第十條 預金者及第一條第一項第四號ノ規定ニ依ル給付金ノ債權者ハ其ノ預金及給付金ニ關シテハ前條ノ規定ニ依リテ供託シタル國債及有價證券ニ付他ノ債權者ニ先チ辨濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
第十一條 貯蓄銀行ハ左ノ方法ニ依ルノ外其ノ資金ヲ運用スルコトヲ得ス
一 國債、地方債、社債又ハ株式ノ應募、引受又ハ買入
二 國債其ノ他前號ニ揭クル有價證券ヲ質トスル貸付
三 不動產ヲ抵當トスル貸付
四 預金者ニ對シ其ノ預金額ヲ限度トスル貸付
五 第一條第一項第四號ノ規定ニ依ル給付金ノ債權者ニ對シ其ノ給付金額ヲ限度トスル貸付
六 銀行ヘノ預ケ金又ハ郵便貯金
七 銀行引受手形ノ買入
前項ニ規定スル社債及株式ニ付テハ其ノ種類ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十二條 貯蓄銀行ノ所有シ又ハ貸付金若ハ預ケ金ノ擔保トシテ受入ルル一會社ノ株式ハ該會社ノ總株式ノ五分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第十三條 一人ニ對スル貸付金額ハ拂込資本金及準備金ノ十分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第十一條第一項第三號ノ規定ニ依ル貸付金ノ總額ハ拂込資本金及準備金ノ總額ヲ超ユルコトヲ得ス
第十一條第一項第五號ノ貸付金額中旣ニ受入レタル金額ヲ超過スル額ニ付テハ確實ナル擔保又ハ保證アルコトヲ要ス
第十四條 一銀行ニ對スル預ケ金及其ノ銀行ノ引受ケタル手形ノ買入高ノ總額ハ第一條第一項及第五條第一號第五號ニ規定スル受入金ノ十分ノ一ヲ限度トシ且該銀行ノ拂込資本金及準備金ノ四分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス但シ其ノ總額中國債其ノ他第十一條第一項第一號ニ揭クル有價證券ヲ以テ擔保セラレタル額ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第九條第二項ノ規定ハ前項ノ受入金ノ額ニ付之ヲ準用ス
第十五條 貯蓄銀行カ其ノ財產ヲ以テ債務ヲ完濟スルコト能ハサルニ至リタルトキハ第一條第一項及第五條第一號第五號ノ規定ニ依ル契約ニ基ク銀行ノ債務ニ付各取締役ハ連帶シテ其ノ辨償ノ責ニ任ス
前項ノ責任ハ取締役ノ退任登記前ノ債務ニ付退任登記後二年間仍存續ス
第十六條 貯蓄銀行ハ左ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
一 定款ヲ變更セムトスルトキ
二 業務ノ種類又ハ方法ヲ變更セムトスルトキ
三 代理店ヲ設置セムトスルトキ
主務大臣ハ必要ト認ムルトキハ業務ノ種類若ハ方法ヲ制限シ又ハ其ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第十七條 貯蓄銀行ノ解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第十八條 主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ貯蓄銀行業ヲ營ミタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十九條 左ノ場合ニ於テハ貯蓄銀行ノ取締役、監查役又ハ淸算人ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第六條、第八條、第九條、第十一條乃至第十四條及第十六條第一項ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第十六條第二項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
第二十條 第四條第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ十圓以上百圓以下ノ過料ニ處ス
第二十一條 本法ニ別段ノ規定ヲ設ケサル事項ニ付テハ銀行條例ニ依ル
銀行條例第二條ノ三ノ規定ノ適用ニ付テハ第一條第一項第四號ノ規定ニ依ル給付金ノ債權者ハ之ヲ預金者ト看做ス
第二十二條 貯蓄銀行業ヲ營ム者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ營業稅額ノ二分ノ一ヲ免除ス
附 則
第二十三條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四條 貯蓄銀行條例ハ之ヲ廢止ス
舊法ニ依リテ營業ノ認可ヲ受ケタル貯蓄銀行ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ本法ニ依リテ免許ヲ受ケタル貯蓄銀行ト看做ス
舊法ニ依リテ爲シタル認可、處分其ノ他ノ行爲ハ本法中之ニ相當スル規定アル場合ニ於テハ本法ニ依リテ之ヲ爲シタルモノト看做ス
第二十五條 前條第二項ノ貯蓄銀行ノ資本金ニ付テハ本法施行後五年ヲ限リ仍舊法ニ依ル
第二十六條 第二十四條第二項ノ貯蓄銀行ニシテ現ニ其ノ商號中ニ貯藏銀行又ハ貯金銀行ナル文字ヲ用ウルモノニ限リ第四條第一項ノ規定ニ拘ラス仍其ノ商號ヲ用ウルコトヲ得
第二十七條 第二十四條第二項ノ貯蓄銀行カ第九條ノ規定ニ依リテ爲スヘキ供託ニ付テハ本法施行後二年ヲ限リ仍舊法ニ依ル但シ其ノ期間內ニ於テ新ニ供託ヲ爲ス場合ニ於テハ第一條第一項ノ規定ニ依リ受入レタル金額ノ四分ノ一迄ハ國債ニ限ル
第二十八條 本法施行前貯蓄銀行ノ爲シタル契約ニシテ本法ニ依リ貯蓄銀行ノ爲スコトヲ得サル業務ニ屬スルモノニ付テハ其ノ契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ノ屬スル業務ニ限リ之ヲ繼續スルコトヲ得
第二十九條 本法施行ノ際現ニ貯蓄銀行ノ所有スル公債、社債又ハ株式ニシテ第十一條第一項第一號ノ規定ニ依リ應募、引受又ハ買入ヲ爲スコトヲ得サルモノハ本法施行後三年ヲ限リ仍之ヲ所有スルコトヲ得
本法施行ノ際現ニ貯蓄銀行ノ所有スル株式ニシテ第十二條ノ規定ニ依ル限度ヲ超ユルモノニ付テハ本法施行後三年內ニ之ヲ其ノ限度ニ適合セシムヘシ
第三十條 本法施行ノ際一銀行ニ對スル預ケ金及其ノ銀行ノ引受ケタル手形ノ買入高ノ總額カ第十四條第一項ノ規定ニ依ル限度ヲ超ユル場合ニ於テハ本法施行後二年內ニ之ヲ其ノ限度ニ適合セシムヘシ
第三十一條 貯蓄銀行ノ取締役ニシテ本法施行前退任シタル者ノ貯蓄銀行條例第三條ノ規定ニ依ル責任ニ付テハ仍舊法ニ依ル
第三十二條 本法施行前貯蓄銀行條例第一條ノ事業ヲ廢止シタル者ハ旣ニ締結シタル契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ノ屬スル業務ニ限リ之ヲ繼續スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ貯蓄銀行條例第三條乃至第六條ノ二及第九條ノ二ノ規定ヲ準用ス
第三十三條 本法施行ノ際貯蓄銀行ニ非スシテ現ニ大正四年法律第二十三號附則第四項ノ規定ニ依リ本法第一條第一項第三號第四號ノ業務ヲ繼續スル者ニ關シテハ仍舊法ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル貯蓄銀行法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月十三日
内閣総理大臣 原敬
大蔵大臣 子爵 高橋是清
法律第七十四号
貯蓄銀行法
第一条 左ニ掲クル業務ヲ営ム者ハ之ヲ貯蓄銀行トス
一 複利ノ方法ニ依リ預金ヲ受入ルルコト
二 一回十円未満ノ金額ヲ預金トシテ受入ルルコト
三 予メ払戻ノ期限ヲ定メ定期ニ又ハ一定ノ期間内ニ於テ数回ニ預金ヲ受入ルルコト
四 期限ヲ定メテ一定金額ノ給付ヲ為スコトヲ約シ定期ニ又ハ一定ノ期間内ニ於テ数回ニ金銭ヲ受入ルルコト
貯蓄銀行ニ非サルモノハ前項ノ業務ヲ営ムコトヲ得ス但シ貯蓄銀行ニ非サル銀行カ預金取引ヲ有スル者ヨリ其ノ者トノ取引ノ結果生シタル十円未満ノ金額ヲ其ノ預金ニ受入レ又ハ小切手ニ依リ支払ヲ為スヘキ預金取引ヲ有スル者ヨリ十円未満ノ金額ヲ其ノ預金ニ受入ルル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二条 貯蓄銀行業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ営ムコトヲ得ス
前項ノ免許ヲ受ケムトスル者ハ申請書ニ定款及業務ノ種類及方法ヲ記載シタル書面ヲ添附シ之ヲ主務大臣ニ提出スヘシ
第三条 貯蓄銀行業ハ資本金五十万円以上ノ株式会社ニ非サレハ之ヲ営ムコトヲ得ス
第四条 貯蓄銀行ハ其ノ商号中ニ貯蓄銀行ナル文字ヲ用ウヘシ
貯蓄銀行ニ非サルモノハ其ノ商号中ニ貯蓄銀行タルコトヲ示スヘキ文字ヲ用ウルコトヲ得ス
第五条 貯蓄銀行ハ第一条第一項ノ業務ノ外左ニ掲クル業務ヲ併セ営ムコトヲ得
一 定期預リ金
二 保護預リ
三 債権ノ取立
四 公共団体又ハ産業組合ノ金銭出納事務ノ取扱
五 公共団体又ハ産業組合ヨリノ要求払預リ金
第六条 貯蓄銀行ハ本法ニ規定セサル業務ヲ営ムコトヲ得ス
第七条 貯蓄銀行カ貯蓄銀行ノ営ムコトヲ得サル業務ニ属スル契約ニ基ク権利義務ヲ合併ニ因リテ承継シタル場合ニ於テハ其ノ契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ノ属スル業務ニ限リ之ヲ継続スルコトヲ妨ケス
第八条 貯蓄銀行ハ小切手ニ依リ支払ヲ為ス第一条第一項第一号第二号ノ預金取引ヲ為スコトヲ得ス
第九条 貯蓄銀行ハ第一条第一項及第五条第一号第五号ノ規定ニ依リ受入レタル金額ノ三分ノ一以上ノ金額ニ相当スル国債ヲ供託スヘシ但シ供託金額中受入金額ノ五分ノ一ヲ超ユル額ニ付テハ第十一条第一項第一号ノ有価証券ヲ以テ国債ニ代フルコトヲ得
前項ノ受入金額ハ毎半年末日現在ニ依リ之ヲ定ム
第十条 預金者及第一条第一項第四号ノ規定ニ依ル給付金ノ債権者ハ其ノ預金及給付金ニ関シテハ前条ノ規定ニ依リテ供託シタル国債及有価証券ニ付他ノ債権者ニ先チ弁済ヲ受クルノ権利ヲ有ス
第十一条 貯蓄銀行ハ左ノ方法ニ依ルノ外其ノ資金ヲ運用スルコトヲ得ス
一 国債、地方債、社債又ハ株式ノ応募、引受又ハ買入
二 国債其ノ他前号ニ掲クル有価証券ヲ質トスル貸付
三 不動産ヲ抵当トスル貸付
四 預金者ニ対シ其ノ預金額ヲ限度トスル貸付
五 第一条第一項第四号ノ規定ニ依ル給付金ノ債権者ニ対シ其ノ給付金額ヲ限度トスル貸付
六 銀行ヘノ預ケ金又ハ郵便貯金
七 銀行引受手形ノ買入
前項ニ規定スル社債及株式ニ付テハ其ノ種類ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十二条 貯蓄銀行ノ所有シ又ハ貸付金若ハ預ケ金ノ担保トシテ受入ルル一会社ノ株式ハ該会社ノ総株式ノ五分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第十三条 一人ニ対スル貸付金額ハ払込資本金及準備金ノ十分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第十一条第一項第三号ノ規定ニ依ル貸付金ノ総額ハ払込資本金及準備金ノ総額ヲ超ユルコトヲ得ス
第十一条第一項第五号ノ貸付金額中既ニ受入レタル金額ヲ超過スル額ニ付テハ確実ナル担保又ハ保証アルコトヲ要ス
第十四条 一銀行ニ対スル預ケ金及其ノ銀行ノ引受ケタル手形ノ買入高ノ総額ハ第一条第一項及第五条第一号第五号ニ規定スル受入金ノ十分ノ一ヲ限度トシ且該銀行ノ払込資本金及準備金ノ四分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス但シ其ノ総額中国債其ノ他第十一条第一項第一号ニ掲クル有価証券ヲ以テ担保セラレタル額ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第九条第二項ノ規定ハ前項ノ受入金ノ額ニ付之ヲ準用ス
第十五条 貯蓄銀行カ其ノ財産ヲ以テ債務ヲ完済スルコト能ハサルニ至リタルトキハ第一条第一項及第五条第一号第五号ノ規定ニ依ル契約ニ基ク銀行ノ債務ニ付各取締役ハ連帯シテ其ノ弁償ノ責ニ任ス
前項ノ責任ハ取締役ノ退任登記前ノ債務ニ付退任登記後二年間仍存続ス
第十六条 貯蓄銀行ハ左ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
一 定款ヲ変更セムトスルトキ
二 業務ノ種類又ハ方法ヲ変更セムトスルトキ
三 代理店ヲ設置セムトスルトキ
主務大臣ハ必要ト認ムルトキハ業務ノ種類若ハ方法ヲ制限シ又ハ其ノ変更ヲ命スルコトヲ得
第十七条 貯蓄銀行ノ解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス
第十八条 主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ貯蓄銀行業ヲ営ミタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第十九条 左ノ場合ニ於テハ貯蓄銀行ノ取締役、監査役又ハ清算人ヲ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス
一 第六条、第八条、第九条、第十一条乃至第十四条及第十六条第一項ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第十六条第二項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ為シタル命令ニ違反シタルトキ
第二十条 第四条第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ十円以上百円以下ノ過料ニ処ス
第二十一条 本法ニ別段ノ規定ヲ設ケサル事項ニ付テハ銀行条例ニ依ル
銀行条例第二条ノ三ノ規定ノ適用ニ付テハ第一条第一項第四号ノ規定ニ依ル給付金ノ債権者ハ之ヲ預金者ト看做ス
第二十二条 貯蓄銀行業ヲ営ム者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ営業税額ノ二分ノ一ヲ免除ス
附 則
第二十三条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四条 貯蓄銀行条例ハ之ヲ廃止ス
旧法ニ依リテ営業ノ認可ヲ受ケタル貯蓄銀行ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ本法ニ依リテ免許ヲ受ケタル貯蓄銀行ト看做ス
旧法ニ依リテ為シタル認可、処分其ノ他ノ行為ハ本法中之ニ相当スル規定アル場合ニ於テハ本法ニ依リテ之ヲ為シタルモノト看做ス
第二十五条 前条第二項ノ貯蓄銀行ノ資本金ニ付テハ本法施行後五年ヲ限リ仍旧法ニ依ル
第二十六条 第二十四条第二項ノ貯蓄銀行ニシテ現ニ其ノ商号中ニ貯蔵銀行又ハ貯金銀行ナル文字ヲ用ウルモノニ限リ第四条第一項ノ規定ニ拘ラス仍其ノ商号ヲ用ウルコトヲ得
第二十七条 第二十四条第二項ノ貯蓄銀行カ第九条ノ規定ニ依リテ為スヘキ供託ニ付テハ本法施行後二年ヲ限リ仍旧法ニ依ル但シ其ノ期間内ニ於テ新ニ供託ヲ為ス場合ニ於テハ第一条第一項ノ規定ニ依リ受入レタル金額ノ四分ノ一迄ハ国債ニ限ル
第二十八条 本法施行前貯蓄銀行ノ為シタル契約ニシテ本法ニ依リ貯蓄銀行ノ為スコトヲ得サル業務ニ属スルモノニ付テハ其ノ契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ノ属スル業務ニ限リ之ヲ継続スルコトヲ得
第二十九条 本法施行ノ際現ニ貯蓄銀行ノ所有スル公債、社債又ハ株式ニシテ第十一条第一項第一号ノ規定ニ依リ応募、引受又ハ買入ヲ為スコトヲ得サルモノハ本法施行後三年ヲ限リ仍之ヲ所有スルコトヲ得
本法施行ノ際現ニ貯蓄銀行ノ所有スル株式ニシテ第十二条ノ規定ニ依ル限度ヲ超ユルモノニ付テハ本法施行後三年内ニ之ヲ其ノ限度ニ適合セシムヘシ
第三十条 本法施行ノ際一銀行ニ対スル預ケ金及其ノ銀行ノ引受ケタル手形ノ買入高ノ総額カ第十四条第一項ノ規定ニ依ル限度ヲ超ユル場合ニ於テハ本法施行後二年内ニ之ヲ其ノ限度ニ適合セシムヘシ
第三十一条 貯蓄銀行ノ取締役ニシテ本法施行前退任シタル者ノ貯蓄銀行条例第三条ノ規定ニ依ル責任ニ付テハ仍旧法ニ依ル
第三十二条 本法施行前貯蓄銀行条例第一条ノ事業ヲ廃止シタル者ハ既ニ締結シタル契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ノ属スル業務ニ限リ之ヲ継続スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ貯蓄銀行条例第三条乃至第六条ノ二及第九条ノ二ノ規定ヲ準用ス
第三十三条 本法施行ノ際貯蓄銀行ニ非スシテ現ニ大正四年法律第二十三号附則第四項ノ規定ニ依リ本法第一条第一項第三号第四号ノ業務ヲ継続スル者ニ関シテハ仍旧法ニ依ル