(危害予防規程)
第二十八條 製造業者は、災害の発生を防止するため、危害予防規程を定め、通商産業大臣の許可を受けなければならない。これを変更するときも同様である。
2 通商産業大臣は、危害予防規程が、第七條第一号及び第二号の技術上の基準に適合していないときその他災害の発生の防止に適当でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。
3 通商産業大臣は、災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、危害予防規程の変更を命ずることができる。
4 製造業者及びその従業者は、危害予防規程を守らなければならない。
(保安教育)
第二十九條 製造業者、販売業者及び消費者は、従業者に火薬類による災害の防止に必要な教育を施さなければならない。
(作業主任者及び取扱主任者)
第三十條 製造業者は、通商産業省令で定める区分により、次條の火薬類作業主任者免状を有する者のうちから、火薬類作業主任者(以下「作業主任者」という。)を選任し、火薬類の製造作業に係る保安について監督を行わせなければならない。
2 火薬庫の所有者若しくは占有者又は通商産業省令で定める数量以上の火薬類を消費する者は、通商産業省令で定める区分により、次條の火薬類取扱主任者免状を有する者のうちから、火薬類取扱主任者(以下「取扱主任者」という。)を選任し、火薬類の貯蔵又は消費に係る保安について監督を行わせなければならない。
3 第一項又は前項の規定により、製造業者、火薬庫の所有者若しくは占有者又は前項の消費者が、作業主任者又は取扱主任者を選任したときは、その旨を通商産業大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。これを解任したときも同様である。
(作業主任者免状及び取扱主任者免状)
第三十一條 火薬類作業主任者免状は、甲種火薬類作業主任者免状、乙種火薬類作業主任者免状及び丙種火薬類作業主任者免状とする。
2 火薬類取扱主任者免状は、甲種火薬類取扱主任者免状及び乙種火薬類取扱主任者免状とする。
3 甲種火薬類作業主任者免状及び乙種火薬類作業主任者免状は、通商産業大臣の行う試験に合格した者に対し、丙種火薬類作業主任者免状、甲種火薬類取扱主任者免状及び乙種火薬類取扱主任者免状は、都道府県知事の行う試験に合格した者に対し交付する。
4 通商産業大臣又は都道府県知事は、火薬類作業主任者免状又は火薬類取扱主任者免状の交付を受けた者が、この法律又はこの法律に基く省令の規定に違反したときは、その火薬類作業主任者免状又は火薬類取扱主任者免状の返納を命ずることができる。
5 第三項の試験の課目、受験手続その他試験の実施細目並びに火薬類作業主任者免状及び火薬類取扱主任者免状の交付及び返納に関する手続的事項は、通商産業省令で定める。
(作業主任者等の義務)
第三十二條 作業主任者及び取扱主任者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。
2 火薬類を取り扱う者は、作業主任者及び取扱主任者が、この法律又はこの法律に基く省令及び危害予防規程の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。
(作業主任者の代理者)
第三十三條 製造業者は、通商産業省令で定める区分により、火薬類作業主任者免状を有する者のうちから、あらかじめ作業主任者の代理者を選任し、作業主任者が旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合に、その職務を代行させなければならない。
2 製造業者が、前項の代理者を選任したときは、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。これを解任したときも同様である。
3 第一項の代理者は、作業主任者の職務を代行する場合は、この法律及びこの法律に基く省令の規定の適用については、これを作業主任者とみなす。
(作業主任者等の解任命令)
第三十四條 通商産業大臣は、作業主任者若しくはその代理者又は取扱主任者が、この法律又はこの法律に基く省令の規定に違反したとき又は保安上その職務を遂行させることが不適当であると認めるときは、これらの者を選任した者又はその承継人に対し、作業主任者若しくはその代理者又は取扱主任者の解任を命ずることができる。
(保安検査)
第三十五條 製造業者又は火薬庫の所有者若しくは占有者は、火薬類の爆発又は発火の危險がある製造施設であつて通商産業省令で定めるもの又は火薬庫について、通商産業大臣が、毎年定期に行う保安検査を受けなければならない。
2 前項の保安検査は、その施設又は火薬庫が、第七條第一号又は第十二條第二項の技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。
(安定度試験)
第三十六條 火薬類を輸入した者又はその製造後通商産業省令で定める期間を経過した火薬類を所有する者は、通商産業省令で定める方法により、その火薬類につき安定度試験を実施し、且つ、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。
2 通商産業大臣又は都道府県知事は、災害の防止のため必要があると認めるときは、火薬類の所有者に対し、前項の安定度試験を実施すべきことを命ずることができる。
(不良火薬類の措置)
第三十七條 火薬類の所有者は、前條の安定度試験の結果通商産業省令で定める技術上の基準に適合しない火薬類があつたときは、その火薬類を廃棄しなければならない。
(火薬類の混包等の禁止)
第三十八條 火薬類は、他の物と混包し、又は火薬類でないようにみせかけて、これを所持し、運搬し、若しくは託送してはならない。
(危險時の措置及び届出)
第三十九條 火薬庫が近隣の火災その他の事情により危險な状態となり、又は火薬類が煙若しくは異臭を発し、その他安定度に異常を呈したときは、その火薬庫又は火薬類の所有者又は占有者は、直ちに通商産業省令で定める応急の措置を講じなければならない。
2 前項の事態を発見した者は、直ちにその旨を都道府県知事、警察官又は警察吏員に届け出なければならない。
(喫煙等の制限)
第四十條 何人も、火薬類の製造所又は火薬庫においては、製造業者又は火薬庫の所有者若しくは占有者の指定する場所以外の場所で、喫煙し、又は火気を取り扱つてはならない。
2 何人も、製造業者又は火薬庫の所有者若しくは占有者の承諾を得ないで、発火し易い物を携帶して火薬類の製造所又は火薬庫に立ち入つてはならない。
(帳簿)
第四十一條 製造業者、販売業者及び火薬庫の所有者若しくは占有者は、帳簿を備え、火薬類の製造、販売及び出納について通商産業省令で定める事項を記載しなければならない。
(報告の徴收)
第四十二條 通商産業大臣は、災害を防止し、又は公共の安全の維持をはかるため、必要があると認めるときは、製造業者、販売業者又は火薬庫の所有者若しくは占有者に対し、事業に関し、報告をさせることができる。
(立入検査等)
第四十三條 通商産業大臣又は都道府県知事は、災害の防止又は公共の安全の維持のため必要があると認めるときは、その職員に、製造業者、販売業者、消費者又は火薬類を保管する者の製造所、販売所、火薬庫、消費場所又は保管場所に立ち入り、その者の帳簿書類その他必要な物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最少限度の分量に限り火薬類を收去させることができる。
2 警察官、警察吏員又は海上保安官は、人の生命、身体又は財産に対する危害を予防するため特に必要がある場合には、火薬庫その他火薬類の保管場所又は火薬類の製造場所若しくは消費場所に立ち入り、関係者に質問することができる。
3 前二項の職員は、その身分を示す証票を携帶し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査は、関係者の正当な業務又は行為を妨害するものであつてはならず、且つ、犯罪搜査のために認められたものと解してはならない。
(許可の取消等)
第四十四條 通商産業大臣は、製造業者又は販売業者が、左の各号の一に該当するときは、第三條若しくは第五條の許可を取り消し、又は期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。
一 第十一條第一項、第十三條、第十八條、第二十三條第二項、第三十條第一項若しくは第二項又は第三十八條の規定に違反したとき。
二 第十條第一項、第十二條第一項又は第二十四條第二項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。
三 第十五條の規定による完成検査を受けないで、火薬類の製造施設又は火薬庫を使用したとき。
四 第二十四條第一項の規定による届出をしないで火薬類を輸出したとき。
五 第三十六條第一項の規定による安定度試験を実施しなかつたとき。
六 第九條第三項、第十一條第三項、第十四條第二項、第二十八條第三項、第三十四條、第三十六條第二項若しくは次條第一号の命令又は同條第二号の禁止若しくは制限に違反したとき。
七 第六條第二号から第四号までの規定に該当するに至つたとき。
(緊急措置)
第四十五條 通商産業大臣(鉄道、軌道、索道、無軌條電車、自動車、軽車両及び船舶による運搬については、運輸大臣)は、災害の発生の防止又は公共の安全の維持のため緊急の必要があると認めるときは、左に掲げる措置をすることができる。
一 製造業者、販売業者又は消費者に対して、製造施設又は火薬庫の全部若しくは一部の使用を一時停止すべきことを命ずること。
二 製造業者、販売業者、消費者その他火薬類を取り扱う者に対して、製造、販売、貯蔵、運搬又は消費を一時禁止し、又は制限すること。
三 火薬類の所有者又は占有者に対して、火薬類の所在場所の変更又はその廃棄を命ずること。