銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第80号
公布年月日: 昭和41年6月7日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

最近の銃砲による犯罪・事故の状況を踏まえ、猟銃及び空気銃の所持に関する規制を強化する必要がある。具体的には、所持許可に関する講習会制度の新設、許可更新制度の導入、猟銃所持の制限年齢引き上げ、銃砲の適正保管義務の新設等の規制強化を行う。また、猟銃等に使用される実包等に関する取り締まりの実効性を確保するため、その譲渡、譲り受け、輸入及び消費の許可に関する権限を都道府県知事から都道府県公安委員会に移管する。

参照した発言:
第51回国会 参議院 地方行政委員会 第10号

審議経過

第51回国会

参議院
(昭和41年3月17日)
(昭和41年3月22日)
(昭和41年4月12日)
(昭和41年4月14日)
(昭和41年4月19日)
(昭和41年4月20日)
衆議院
(昭和41年4月21日)
参議院
(昭和41年4月28日)
衆議院
(昭和41年5月10日)
(昭和41年5月27日)
(昭和41年5月31日)
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十一年六月七日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第八十号
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律
(銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正)
第一条 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第二号中「研究のため」の下に「、第五条の三第一項若しくは鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三十二号)第七条ノ二第一項の講習会の教材の用に供するため」を加え、同項第三号の二中「第十条の二」を「第十条の四」に、「銃砲」を「けん銃」に改め、同項第六号中「所持する者」の下に「又は国若しくは地方公共団体」を加え、同項第八号中「又は運動競技用信号銃」を「、運動競技用信号銃又は第四条第一項第二号の政令で定める銃砲」に改め、同項第九号中「所持する者」の下に「又は国若しくは地方公共団体」を加え、同条第二項中「第一号」を「第二号」に改める。
第三条の二第三号中「第二号又は第三号」を「第三号又は第四号」に改める。
第四条第一項第一号を次のように改める。
一 狩猟、有害鳥獣駆除又は標的射撃の用途に供するため、猟銃又は空気銃を所持しようとする者
第四条第一項第五号を同項第七号とし、同項第四号中「必要な銃砲」を「、運動競技用信号銃又はけん銃」に改め、同号を同項第五号とし、同号の次に次の一号を加える。
六 狩猟、有害鳥獣駆除、と殺、漁業又は建設業の用途に供するため必要な刀剣類を所持しようとする者
第四条第一項第三号中「必要な銃砲」を「、けん銃」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。
二 人命救助又はと殺若しくは漁業、建設業その他の産業の用途に供するため、それぞれ、救命索発射銃、救命用信号銃又はと殺銃若しくは捕鯨砲、もり銃、捕鯨用標識銃、建設用びよう打銃、建設用綱索発射銃その他の産業の用途に供するため必要な銃砲で政令で定めるものを所持しようとする者
第四条第三項中「第三号に規定する」を「第四号の」に改め、同条第四項中「第三号に掲げる銃砲」を「第四号のけん銃」に改める。
第五条第二項中「変装銃砲刀剣類」の下に「又はその構造若しくは機能が政令で定める基準に適合しない銃砲」を加え、同条の次に次の二条を加える。
(猟銃及び空気銃の許可の基準の特例)
第五条の二 都道府県公安委員会は、第四条第一項第一号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可を受けようとする者が次のいずれかに該当する場合でなければ、許可をしてはならない。
一 次条第一項の講習会の講習を受け、その課程を修了した者
二 猟銃及び空気銃の取扱いに関し、前号に掲げる者と同等以上の知識を有する者として政令で定める者
2 都道府県公安委員会は、第四条第一項第一号の規定による猟銃の所持の許可を受けようとする者が二十歳(政令で定めるところにより政令で定める者から推薦された者にあつては、十八歳)に満たない場合には、許可をしてはならない。
(猟銃及び空気銃の取扱いに関する講習会)
第五条の三 都道府県公安委員会は、政令で定めるところにより、その管轄区域内に住所を有する者で第四条第一項第一号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可を受けようとするものを受講者として、次に掲げる事項に関し必要な知識を修得させるための講習会を開催するものとする。
一 猟銃及び空気銃の所持に関する法令
二 猟銃及び空気銃の使用、保管等の取扱い
2 都道府県公安委員会は、政令で定めるところにより、前項の講習会の講習を受け、その課程を修了した者に対し、証明書を交付しなければならない。
3 都道府県公安委員会は、政令で定めるところにより、第一項の講習会の開催に関する事務の一部を政令で定める者に行なわせることができる。
第七条の次に次の一条を加える。
(猟銃及び空気銃の許可の更新)
第七条の二 第四条第一項第一号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可は、五年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
2 前項の更新を受けるための手続その他更新に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第八条第一項第六号中「第三号若しくは第四号」を「第四号若しくは第五号」に改め、「満たないもの」の下に「若しくは猟銃の所持の許可を受けた者で二十歳に満たないもの」を、「第五条第一項第一号」の下に「若しくは第五条の二第二項」を加える。
第十条第一項中「第四条又は第六条に掲げる用途に供するか」を「当該許可に係る用途に供する場合」に改め、同条第二項第一号中「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」の上に「第四条第一項第一号の規定により狩猟又は有害鳥獣駆除(政令で定めるものを除く。)の用途に供するため猟銃又は空気銃の所持の許可を受けた者が、当該用途に供するため、」を加え、「(大正七年法律第三十二号)」を削り、同項第二号を削り、同項第三号中「指定射撃場において」の上に「第四条第一項第一号の規定により標的射撃の用途に供するため猟銃若しくは空気銃の所持の許可を受けた者又は同項第四号若しくは第六条の規定による銃砲の所持の許可を受けた者が、」を加え、同号を同項第二号とし、同項に次の一号を加える。
三 第四条の規定による銃砲の所持の許可を受けた者(前二号に規定する者を除く。)が、当該許可に係る用途に供するため使用する場合
第十条第三項中「安全装置をする等直ちに発射できないようにして」を「当該銃砲に実包、空包又は金属性弾丸を装てんしないで」に、「容器」を「当該銃砲を容器」に改める。
第十条の二の見出しを削り、同条第一項中「第三号」を「第四号」に、「銃砲」を「けん銃」に改め、同条第二項及び第三項中「銃砲」を「けん銃」に改め、同条を第十条の四とし、同条の次に次の一条を加える。
(消音器等の所持の制限)
第十条の五 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、許可に係る銃砲に取り付けて使用することができる政令で定める消音器、弾倉又は替え銃身を所持してはならない。ただし、第四条第一項第三号の規定による許可を受けた者が許可に係る用途に供するため所持する場合は、この限りでない。
第十条の次に次の二条を加える。
(銃砲の構造及び機能の維持)
第十条の二 第四条の規定による許可を受けた者は、許可に係る銃砲を当該銃砲に係る第五条第二項の政令で定める基準に適合するように維持しなければならない。ただし、第四条第一項第三号の規定による許可を受けた者が許可に係る銃砲を許可に係る用途に供する場合は、この限りでない。
(銃砲の保管)
第十条の三 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、次条の規定により保管の委託をする場合その他正当な理由がある場合を除き、許可に係る銃砲を自ら保管するものとし、その保管に当たつては、当該銃砲に実包、空包又は金属性弾丸を装てんしておいてはならない。
第十一条第九項中「第四項」を「第五項」に改め、同項を同条第十項とし、同条第八項を同条第九項とし、同条第七項を同条第八項とし、同条第六項中「第四項」を「第五項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 第四条又は第六条の規定によるけん銃等又は猟銃の所持の許可を受けた者が、火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第五十条の二第一項の規定の適用を受ける火薬類について、同法の規定又は同法に基づく処分に違反した場合には、都道府県公安委員会は、その許可を取り消すことができる。
第十二条中「第三項」を「第四項」に改める。
第二十一条中「第十条の規定」を「第十条(第二項各号を除く。)の規定」に、「第四条又は第六条に掲げる用途に供するか」を「当該許可に係る用途に供する場合」に、「第四条又は第六条に掲げる用途に供するため使用する」を「次の各号の一に該当する」に改め、「正当な理由に基いて使用する」」の下に「と、同条第三項中「前項各号の一に該当する」とあるのは「使用する」」を加える。
第二十四条の二第八項及び第二十七条第三項中「第七項及び第八項」を「第八項及び第九項」に、「同条第七項」を「同条第八項」に改める。
第二十九条中「第七条」を「第五条の三第一項の講習会の開催若しくは同条第二項の証明書の再交付、第七条」に、「再交付又は」を「再交付若しくは第七条の二の許可の更新又は」に改め、「五百円」の下に「(証明書の再交付にあつては百円とし、許可の更新にあつては四百円とする。)」を加える。
第三十五条第四号中「第四項」を「第五項」に改める。
(火薬類取締法の一部改正)
第二条 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の一部を次のように改正する。
第四十五条中「その他による運搬」の下に「又は第五十条の二第一項の規定の適用を受ける火薬類の消費」を加える。
第五十条の次に次の一条を加える。
(猟銃用火薬類等の特則)
第五十条の二 実包又は政令で定める火薬であつて、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)に規定するけん銃等又は猟銃にもつぱら使用されるものに関しては、第十七条(第一項第四号を除く。)、第二十四条及び第二十五条中「通商産業省令」とあるのは、「総理府令」と、「都道府県知事」とあるのは、「都道府県公安委員会」と読み替えるものとする。けん銃等、猟銃又は古式銃砲に使用し又は使用させることを目的とする空包、銃用雷管又は政令で定める火薬の譲渡、譲受け、輸入又は消費についても、同様とする。
2 前項の規定は、製造業者若しくは販売業者が業務のため行ない、又は銃砲刀剣類所持等取締法第四条第一項第二号の規定による銃砲の所持の許可を受けた者が許可に係る用途に関して行なう譲渡、譲受け、輸入又は消費については、適用しない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十二年一月一日から施行する。
(経過規定)
2 改正前の銃砲刀剣類所持等取締法(以下「旧法」という。)の規定による銃砲又は刀剣類の所持の許可で次の表の上欄に掲げるものは、それぞれ同表の下欄に掲げる改正後の銃砲刀剣類所持等取締法(以下「新法」という。)の規定による銃砲又は刀剣類の所持の許可とみなす。
旧法第四条第一項第一号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可
新法第四条第一項第一号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可
旧法第四条第一項第一号の規定による猟銃及び空気銃以外の銃砲の所持の許可
新法第四条第一項第二号の規定による救命索発射銃、救命用信号銃、と殺銃、捕鯨砲、もり銃、捕鯨用標識銃、建設用びよう打銃、建設用綱索発射銃又は政令で定める銃砲の所持の許可
旧法第四条第一項第一号の規定による刀剣類の所持の許可
新法第四条第一項第六号の規定による刀剣類の所持の許可
旧法第四条第一項第二号の規定による銃砲の所持の許可
新法第四条第一項第三号の規定による銃砲の所持の許可
旧法第四条第一項第三号の規定による銃砲の所持の許可
新法第四条第一項第四号の規定によるけん銃の所持の許可
旧法第四条第一項第四号の規定による銃砲の所持の許可
新法第四条第一項第五号の規定による運動競技用信号銃又はけん銃の所持の許可
旧法第四条第一項第五号の規定による刀剣類の所持の許可
新法第四条第一項第七号の規定による刀剣類の所持の許可
3 この法律の施行の際現に都道府県公安委員会に対し旧法の規定によりされている申請で、前項の表の上欄に掲げる許可に係るものは、それぞれ同表の下欄に掲げる許可に係る申請とみなす。
4 この法律の施行の際現に都道府県公安委員会に対し旧法の規定による銃砲の所持の許可の申請をしている者に対する許可の基準については、新法第五条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
5 この法律の施行の際現に旧法第四条第一項第一号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可を受けている者は、総理府令で定めるところにより次の表の上欄に掲げる許可証の交付を受けた日の属する年の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる日に更新を受けなければ、許可は、その日限りその効力を失う。
許可証の交付を受けた日の属する年
許可の失効の日
昭和二十一年から昭和二十九年まで
昭和四十二年四月三十日
昭和三十年から昭和三十一年まで
昭和四十二年十月三十一日
昭和三十二年から昭和三十三年まで
昭和四十三年四月三十日
昭和三十四年から昭和三十五年まで
昭和四十三年十月三十一日
昭和三十六年
昭和四十四年四月三十日
昭和三十七年
昭和四十四年十月三十一日
昭和三十八年
昭和四十五年四月三十日
昭和三十九年
昭和四十五年十月三十一日
昭和四十年
昭和四十六年四月三十日
昭和四十一年
昭和四十六年十二月三十一日
6 この法律の施行の際現に旧法第四条第一項第一号の規定による猟銃又は空気銃の所持の許可(当該許可に係る前項の表の下欄に掲げる許可の失効の日が異なるものに限る。)を二以上受けている者は、最初に受けることとなる許可の更新を申請するに当たり、あわせて他の許可についても、同時の更新を申請することができる。
7 この法律の施行の際現に旧法第四条第一項第一号の規定により狩猟又は有害鳥獣駆除の用途に供するため猟銃又は空気銃の所持の許可を受けている者に対する新法第十条第一項及び第二項の規定の適用については、当該許可に係る用途は、新法第四条第一項第一号の標的射撃の用途を含むものとする。
8 この法律の施行の際現に旧法第四条の規定による許可に係る銃砲で新法第五条第二項の政令で定める基準に適合しないものを所持している者は、この法律の施行後二月以内に、政令で定めるところにより、その銃砲を当該基準に適合するように措置しなければならない。この場合において、その措置がとられたときは、当該銃砲について新法第十条の二の規定を適用する。
9 この法律の施行の際現に都道府県知事に対してされている火薬類取締法第十七条第一項、第二十四条第一項又は第二十五条第一項の規定による許可の申請については、改正後の火薬類取締法第五十条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
10 この法律の施行前にされた火薬類取締法第十七条第一項、第二十四条第一項若しくは第二十五条第一項の規定による許可又はこの法律の施行後に前項の規定に基づいてされる許可に係る行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てについては、なお従前の例による。
11 この法律の施行前にされた火薬類取締法第十七条第一項若しくは第二十五条第一項の規定による許可又はこの法律の施行後に附則第九項の規定に基づいてされる許可に係る同法第十七条第三項、第七項若しくは第八項又は第二十五条第三項の規定の適用については、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは、「都道府県知事の属する都道府県に置かれる公安委員会」とする。
12 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 石井光次郎
通商産業大臣 三木武夫
自治大臣 永山忠則