第一條 本法ニ於テ國民貯蓄組合トハ左ノ各號ノ一ニ揭グル者ヲ以テ組織シ戰時(戰爭ニ準ズベキ事變ノ場合ヲ含ム)ニ於ケル國民貯蓄ノ增强ニ資スル爲組合員ノ貯蓄ノ斡旋ヲ爲スモノヲ謂フ
一 市町村(町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノ)ノ一部ニシテ命令ヲ以テ定ムル區域內ニ居住スル者
二 官公署、學校、事務所、營業所、工場、事業場又ハ之ニ準ズベキモノニ勤務スル者
三 產業組合、商業組合、工業組合其ノ他同業者ノ組織スル團體ノ構成員
第二條 國民貯蓄組合ノ斡旋ヲ爲ス貯蓄ハ左ノ方法ニ依ルベシ
一 郵便貯金又ハ郵便年金ノ掛金若ハ簡易生命保險ノ保險料ノ拂込
四 產業組合其ノ他命令ヲ以テ定ムル產業團體ヘノ貯金
第三條 國民貯蓄組合ヲ組織シタルトキハ組合ノ代表者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合規約ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ組合規約ヲ變更シタルトキ亦同ジ
國民貯蓄組合解散シタルトキハ組合ノ代表者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ
第四條 國民貯蓄組合ノ斡旋ニ依ル銀行預金又ハ合同運用信託ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ元本ガ三千圓ヲ超エザルトキハ其ノ利子又ハ利益ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ免除ス國民貯蓄組合ノ斡旋ニ依リ買入レ命令ノ定ムル所ニ依リ郵便官署ニ保管ヲ委託シ又ハ登錄ヲ爲シタル國債ニシテ額面金額三千圓ヲ超エザルモノノ利子ニ付亦同ジ
國民貯蓄組合ノ斡旋ニ依ル銀行貯蓄預金、產業組合貯金其ノ他ノ預金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ元本ガ五千圓ヲ超エザルトキハ其ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ免除ス
前二項ノ場合ニ於テ預金又ハ合同運用信託ガ組合ノ代表者ノ名義ヲ以テ爲サルルトキハ元本ハ組合員每ニ其ノ預金又ハ合同運用信託ニ付之ヲ計算ス
前項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ於テ國債ノ保管ノ委託又ハ登錄ガ組合ノ代表者ノ名義ヲ以テ爲サルル場合ノ額面金額ノ計算ニ之ヲ準用ス
前四項ノ元本及額面金額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第五條 政府ハ豫算ノ範圍內ニ於テ國民貯蓄組合ニ補助金又ハ奬勵金ヲ交付スルコトヲ得
第六條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ第一條各號ノ一ニ揭グル者ニ對シ國民貯蓄組合ヲ組織スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七條 主務大臣ハ國民貯蓄組合ノ代表者ニ對シ貯蓄ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲シ又ハ組合ノ代表者ノ改任其ノ他監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第八條 主務大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ定ムル職權ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
地方長官ハ前項ノ規定ニ依リ委任ヲ受ケタル職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ市町村長(市制第六條及第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ區長、町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノ)ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
第九條 貯蓄銀行ニ非ザル銀行ハ貯蓄銀行法第一條ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ムル所ニ依リ國民貯蓄組合ノ斡旋ニ依ル場合ニ限リ同法第一條第一項第一號又ハ第三號ニ揭グル業務ヲ營ムコトヲ得
第四條第二項及第三項竝ニ所得稅法第十一條、第二十一條及第二十九條中銀行貯蓄預金ニ關スル規定ハ前項ノ規定ニ依リ受入レタル預金ニハ之ヲ適用セズ
第十條 貯蓄銀行ニ非ザル銀行ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條第一項ノ規定ニ依リ受入レタル金額ノ三分ノ一以上ノ金額ニ相當スル國債ヲ供託スベシ
前條第二項ノ預金ヲ爲シタル者ハ其ノ預金ニ關シテハ前項ノ規定ニ依リテ供託シタル國債ニ付他ノ債權者ニ先チ辨濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
前項ノ規定ニ依リ優先辨濟ヲ受クル範圍ハ預金額ヲ限度トス
第十一條 國民貯蓄組合ノ代表者本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ三百圓以下ノ過料ニ處ス
第十二條 本法ニ規定スルモノノ外國民貯蓄組合ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム