第一條 本法ニ於テ農業倉庫業者トハ農業ヲ營ム者カ其ノ生產シタル穀物若ハ繭ヲ、又ハ土地ニ付權利ヲ有スル者カ小作料トシテ受ケタル穀物ヲ所有スル場合ニ於テ其ノ者ノ爲ニ本法ニ依リ之ヲ倉庫ニ保管スル者ヲ謂フ
前項ニ規定スル寄託物ニ付所有權ノ移轉アリタルトキト雖農業倉庫業者ハ其ノ寄託物ノ保管期間內ニ限リ之ヲ保管スルコトヲ得
農業倉庫業者ハ他ノ農業倉庫業者カ前二項ノ規定ニ依リ寄託ヲ受ケタル物品ヲ保管スルコトヲ得
農業倉庫業者ハ前三項ノ規定ニ依ル保管ニ支障ナキ場合ニ限リ業務規程ノ定ムル所ニ依リ前三項ノ規定ニ依ラス物品ノ保管ヲ爲スコトヲ得
第二條 農業倉庫業者ハ業務規程ノ定ムル所ニ依リ前條ノ事業ノ外左ノ事業ヲ爲スコトヲ得
四 自己ノ作成シタル農業倉庫證券ヲ擔保トシテ貸付ヲ爲スコト
五 他ノ農業倉庫業者カ擔保トシテ受取リタル農業倉庫證券ヲ擔保トシテ貸付ヲ爲スコト
第三條 農業倉庫業者ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事業ヲ爲スコトヲ得ス
第四條 產業組合、農會、農業ノ發達ヲ目的トスル公益法人竝市町村及之ニ準スヘキモノニ非サレハ農業倉庫業者タルコトヲ得ス
第五條 產業組合カ農業倉庫業者タルトキハ產業組合法ニ規定スルモノノ外第一條及第二條ニ規定スル事業ヲ目的ト爲スコトヲ得
產業組合ハ組合員ノ爲ニ前項ノ事業ヲ爲スノ外附隨トシテ組合員ニ非サル者ノ爲ニ之ヲ爲スコトヲ得但シ第二條第四號及第五號ノ事業ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
農會又ハ公益法人カ農業倉庫業者タルトキハ第二條第四號及第五號ノ事業ヲ爲スコトヲ得ス
第六條 農業倉庫業者タラムトスル者ハ業務規程ヲ具シ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第七條 農業倉庫業者ハ業務規程ノ定ムル所ニ依リ種類及品位ノ同一ナル寄託物ヲ混合シテ保管スルコトヲ得
第八條 農業倉庫業者ノ作成スル預證券及質入證券又ハ倉荷證券ニハ農業倉庫證券ナル文字ヲ記載スルコトヲ要ス
農業倉庫業者ニ非サル者ノ作成スル預證券及質入證券又ハ倉荷證券ニハ農業倉庫證券ナル文字ヲ記載スルコトヲ得ス
第九條 混合保管ノ場合ニ於テハ農業倉庫業者ハ農業倉庫證券ニ其ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第十條 寄託物ノ保管期間ハ寄託ノ日ヨリ六月以內トス
第一條第一項又ハ第三項ニ規定スル寄託物ニ付テハ保管期間ヲ更新スルコトヲ得但シ寄託者ハ更新ノ際同條第一項又ハ第三項ニ揭クル者タルコトヲ要シ其ノ期間ハ六月ヲ超ユルコトヲ得ス
第一條第四項ニ規定スル寄託物ニ付テハ同條第一項乃至第三項ノ規定ニ依ル保管ニ支障ナキ場合ニ限リ保管期間ヲ更新スルコトヲ得其ノ期間ハ前項但書ニ同シ
第十一條 商法第三編第五章乃至第七章及第九章第二節ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外農業倉庫業者ニ之ヲ準用ス
第十二條 商法第三百七十六條ノ規定ハ受寄物ノ調製、改裝又ハ荷造ニ關シ農業倉庫業者ニ之ヲ準用ス
第十三條 農業倉庫業者業務規程ヲ變更セムトスルトキハ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第十五條 行政官廳公益上必要ト認ムルトキハ農業倉庫業者ニ對シ其ノ指定スル穀物又ハ繭ノ寄託ヲ受ケ、受寄物ノ檢査其ノ他ノ行爲ヲ爲スヘキコトヲ命スルコトヲ得
第十六條 行政官廳ハ農業倉庫業者ニ對シ事業ニ關スル報吿ヲ爲サシメ書類、帳簿又ハ業務執行若ハ財產ノ狀況ヲ檢査シ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第十七條 行政官廳農業倉庫業者ノ業務執行若ハ財產ノ狀況ニ依リ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ、農業倉庫業者ノ行爲カ法令若ハ業務規程ニ違反シタルトキ又ハ其ノ行爲カ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ事業ノ停止ヲ命シ又ハ認可ヲ取消スコトヲ得
第十八條 農業倉庫業者タル法人ノ理事又ハ之ニ準スヘキ者本法又ハ本法ニ基キテ爲ス命令又ハ處分ニ違反シタルトキハ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス