第一條 信託業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
前項ノ免許ヲ受ケムトスル者ハ申請書ニ定款竝業務ノ種類及方法ヲ記載シタル書面ヲ添附シ之ヲ主務大臣ニ提出スヘシ
第二條 信託業ハ資本金百萬圓以上ノ株式會社ニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
第三條 信託會社ハ其ノ商號中ニ信託ナル文字ヲ用ウヘシ
信託會社ニ非サルモノハ其ノ商號中ニ信託業者タルコトヲ示スヘキ文字ヲ用ウルコトヲ得ス但シ擔保附社債ニ關スル信託業ヲ營ム者ハ此ノ限ニ在ラス
第四條 信託會社ハ左ニ揭クル財產以外ノモノノ信託ノ引受ヲ爲スコトヲ得ス
第五條 信託會社ハ左ニ揭クル業務ニ限リ之ヲ併セ營ムコトヲ得
三 不動產賣買ノ媒介又ハ金錢若ハ不動產ノ貸借ノ媒介
四 公債社債若ハ株式ノ募集、其ノ拂込金ノ受入又ハ其ノ元利金若ハ配當金ノ支拂ノ取扱
主務大臣ハ債務ノ保證ニ付命令ヲ以テ必要ナル制限ヲ設クルコトヲ得
第六條 信託會社ハ擔保附社債信託法ニ依リ擔保附社債ニ關スル信託業ヲ營ムコトヲ得
第七條 信託會社ハ信託義務ノ違反ニ因リテ受益者ニ生スルコトアルヘキ損害ノ擔保トシテ命令ノ定ムル所ニ依リ資本金ノ十分ノ一以上ノ金額ニ相當スル國債ヲ供託スヘシ但シ其ノ金額ハ百萬圓ヲ超ユルコトヲ要セス
第八條 受益者ハ信託會社カ前條ノ規定ニ依リテ供託シタル國債ニ付他ノ債權者ニ先チ辨濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
第九條 信託會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ運用方法ノ特定セサル金錢信託ニ限リ元本ニ損失ヲ來シタル場合又ハ豫メ一定シタル額ノ利益ヲ得サリシ場合ニ於テ之ヲ補塡シ又ハ補足スル契約ヲ爲スコトヲ得
第十條 信託法第二十二條第一項但書ノ規定ハ信託會社ニ之ヲ適用セス
信託會社ハ金錢信託ニ付其ノ運用ニ依リ取得シタル財產カ取引所ノ相場アルモノナルトキハ信託行爲ニ依リ受益者ニ對シ負擔スル債務ヲ履行スル爲必要ナル場合ニ限リ信託行爲ノ定ムル所ニ依リ之ヲ固有財產ト爲スコトヲ得
第十一條 信託會社ハ左ノ方法ニ依ルノ外其ノ營業上ノ資金ヲ運用スルコトヲ得ス
五 不動產又ハ法令ニ依リテ設定シタル財團ヲ抵當トスル貸付
前項第三號ニ規定スル動產ニ付テハ其ノ種類ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第一項第四號ノ規定ニ依ル不動產ノ買入價格ノ總額ハ拂込資本金及準備金ノ三分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第十二條 信託會社ハ資本ノ總額ニ達スル迄ハ利益ヲ配當スル每ニ準備金トシテ其ノ利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツヘシ
第十三條 信託會社ハ每半年業務報告書ヲ作リ之ヲ主務大臣ニ提出スヘシ
第十四條 信託會社ノ合併ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第十五條 信託會社ハ左ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十六條 合併後存續スル信託會社又ハ合併ニ因リテ設立シタル信託會社ハ合併ニ因リテ消滅シタル信託會社ノ信託ニ關スル權利義務ヲモ承繼ス
信託會社ノ合併ニ付異議ヲ述ヘタル受益者アルトキハ其ノ信託ニ付テハ信託法第四十二條及第四十九條第一項第三項ノ規定ヲ準用ス
第十七條 主務大臣ハ何時ニテモ信託會社ヲシテ其ノ業務ノ報告ヲ爲サシメ又ハ業務及財產ノ狀況ヲ檢查スルコトヲ等
第十八條 主務大臣ハ信託會社ノ業務又ハ財產ノ狀況ニ依リ必要ト認ムルトキハ業務ノ種類若ハ方法ノ變更又ハ業務ノ停止ヲ命シ其ノ他必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十九條 信託會社カ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スヘキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ業務ノ停止若ハ取締役監查役ノ改任ヲ命シ又ハ營業ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第二十條 主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ信託業ヲ營ミタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 左ノ場合ニ於テハ信託會社ノ取締役、監查役又ハ淸算人ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第四條、第五條第一項、第七條、第十一條乃至第十三條及第十五條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第九條ノ規定又ハ同條ニ基ク命令ニ違反シテ信託ニ付補塡又ハ補足ノ契約ヲ爲シタルトキ
三 第十條ノ規定ニ違反シテ信託財產ヲ固有財產ト爲シタルトキ
四 第十七條ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サス又ハ檢查ヲ妨ケタルトキ
五 本法ノ命令又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキ
六 信託會社カ信託法第二十八條ノ規定ニ依リテ爲スヘキ信託財產ノ管理ヲ爲ササルトキ
七 信託會社カ信託法第三十九條ニ規定スル事務ノ處理若ハ計算ヲ爲サス又ハ財產目錄ヲ作ラサルトキ
八 信託會社カ正當ノ理由ナクシテ信託法第四十條ノ規定ニ依ル閱覽ノ請求ヲ拒ミ又ハ說明ヲ爲ササルトキ
第二十二條 第三條第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ十圓以上百圓以下ノ過料ニ處ス
第二十三條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ本法ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス