種馬統制法
法令番号: 法律第七十五號
公布年月日: 昭和14年4月7日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル種馬統制法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月六日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
陸軍大臣 板垣征四郞
拓務大臣 八田嘉明
農林大臣 櫻內幸雄
法律第七十五號
種馬統制法
第一條 本法ハ種馬ヲ整備シ其ノ配合ヲ統制シ以テ馬ノ改良增殖ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條 馬ノ種付事業ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ管掌ス
北海道、府縣、畜產組合、畜產組合聯合會其ノ他政府ノ適當ト認ムル者ニ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ特許ヲ受ケ馬ノ種付事業ヲ行フコトヲ得
第三條 種牡馬ハ總テ國ニ於テ之ヲ所有スルモノトス但シ第七條ノ規定ニ依リ指定セラレタル種牡馬ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四條 政府ハ種牡馬タルベキ資質アル馬ヲ選定スル爲命令ノ定ムル所ニ依リ每年公共團體又ハ私人ノ所有(以下民有ト稱ス)ニ係ル牡馬ノ檢定ヲ行ヒ之ニ合格シタルモノヲ候補種牡馬ニ指定スルコトヲ得
第五條 政府ハ國有ノ種牡馬ヲ整備スル爲每年度豫算ノ範圍內ニ於テ所要ノ頭數ヲ限リ民有ノ候補種牡馬ヲ購買ス
第六條 政府ハ必要ニ應ジ國有ノ牡馬ヲ候補種牡馬ニ、國有ノ牡馬又ハ候補種牡馬ヲ種牡馬ニ決定ス
第七條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ第二條第二項ノ特許ヲ受ケタル者ノ所有スル牡馬又ハ候補種牡馬ヲ種牡馬ニ指定スルコトヲ得
第八條 種牡馬ニ非ザレバ種付ニ供用スルコトヲ得ズ
第九條 種牡馬又ハ候補種牡馬ニハ去勢ヲ行フコトヲ得ズ
第十條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ國有ノ種牡馬又ハ候補種牡馬ヲ北海道、府縣、畜產組合又ハ畜產組合聯合會ニシテ第二條第二項ノ特許ヲ受ケタルモノニ無償ニテ貸付スルコトヲ得
第十一條 政府必要アリト認ムルトキハ第二條第二項ノ特許ヲ受ケタル者ニ對シ種牡馬ノ飼養管理又ハ種付ニ關スル設備ノ改善ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第十二條 政府ハ第二條第二項ノ特許ヲ受ケタル者ノ行爲ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ特許ヲ取消シ又ハ種牡馬ノ種付ニ關スル業務ヲ停止シ若ハ制限スルコトヲ得
第十三條 政府ハ優良種牝馬タルベキ資質アル馬ヲ選定スル爲命令ノ定ムル所ニ依リ每年明ケ二歲ノ民有ノ牝馬ノ檢定ヲ行ヒ之ニ合格シタルモノヲ候補優良種牝馬ニ指定スルコトヲ得
政府ハ前項ノ檢定ヲ受クル者ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ手當及旅費ヲ給ス
第十四條 政府必要アリト認ムルトキハ所有者又ハ命令ヲ以テ定ムル者ノ申請ニ依リ明ケ三歲以上ノ民有ノ牝馬ノ檢定ヲ行フ
政府ハ前項ノ檢定ニ合格シタル馬ヲ優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ニ指定スルコトヲ得
第十五條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ候補優良種牝馬ヲ優良種牝馬ニ指定スルコトヲ得
第十六條 政府馬ノ改良增殖ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ馬ノ配合ノ統制上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第十七條 政府ハ種付ヲ爲スコト不適當ト認ムル牝馬ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ種付ヲ制限スルコトヲ得
第十八條 政府必要アリト認ムルトキハ優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ノ所有者其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ニ對シ當該馬ノ飼養管理又ハ種付ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十九條 政府ハ學術硏究ノ爲ニスル馬ノ種付ニ付テハ命令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第二十條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年度豫算ノ範圍內ニ於テ政府ノ貸付シタル種牡馬若ハ候補種牡馬ヲ飼養スル者又ハ優良種牝馬若ハ候補優良種牝馬ヲ飼養スル者ニ對シ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第二十一條 種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ハ政府ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ輸出シ又ハ移出スルコトヲ得ズ
第二十二條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年民有ノ種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ノ檢査ヲ行ヒ之ニ合格セザルモノニ付其ノ指定ヲ取消スコトヲ得
第二十三條 民有ノ種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ指定ハ效力ヲ失フ
一 國有ト爲リタルトキ
二 輸出又ハ移出セラレタルトキ
三 前二號ノ外命令ヲ以テ定ムル場合
第二十四條 市町村長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ニ指定セラレタル馬ニ付馬籍ニ其ノ旨記載スベシ其ノ指定ヲ取消サレタル馬又ハ其ノ指定ノ效力ヲ失ヒタル馬ニ付亦同ジ
前項ノ市町村長トハ市制第六條ノ市及市制第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ區長トシ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ町村長ニ準ズベキモノトス
第二十五條 第二十一條ノ規定ニ違反シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二條第二項ノ特許ヲ受ケズシテ馬ノ種付事業ヲ行ヒタル者
二 第八條ノ規定ニ違反シタル者
三 第二條第二項ノ特許ヲ受ケタル者ニシテ第十六條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルモノ
四 第二條第二項ノ特許ヲ受ケタル者ニシテ第十六條ノ規定ニ依ル處分ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルモノ
第二十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第九條ノ規定ニ違反シタル者
二 第十一條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
三 第十一條ノ規定ニ依ル處分ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
四 第十二條ノ規定ニ依ル業務ノ停止又ハ制限ニ違反シタル者
第二十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第十三條第一項ノ檢定又ハ第二十二條ノ檢査ニ應ゼザル者
二 第十三條第一項ノ檢定又ハ第二十二條ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
三 第二條第二項ノ特許ヲ受ケタル者以外ノ者ニシテ第十六條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルモノ
四 第二條第二項ノ特許ヲ受ケタル者以外ノ者ニシテ第十六條ノ規定ニ依ル處分ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルモノ
五 第十七條ノ規定ニ依ル種付ノ制限ニ違反シタル者
六 第十八條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
第二十九條 法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第二十五條、第二十六條第二號若ハ第三號、第二十七條第一號、第二號若ハ第四號又ハ前條第一號、第三號、第五號若ハ第六號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第三十條 第二十五條、第二十六條第二號及第三號、第二十七條第一號、第二號及第四號竝ニ第二十八條第一號、第三號、第五號及第六號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十一條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ處スルコトヲ得ズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
政府ハ當分ノ內勅令ノ定ムル所ニ依リ島嶼ヲ指定シ本法ノ全部又ハ一部ヲ施行セザルコトヲ得
種牡馬檢査法ハ之ヲ廢止ス
本法施行前種牡馬檢査法ニ依ル檢査ニ合格シ本法施行ノ際現ニ同法ノ種牡馬タルモノハ第七條ノ規定ニ依リ種牡馬ニ指定セラレタルモノト看做ス
本法施行ノ際現ニ馬ノ種付事業ヲ行フ者又ハ其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ一年間ヲ限リ引續キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受ケ前項ノ期間經過後引續キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル許可ノ申請ヲ爲シタル者ハ其ノ申請ニ對スル許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄引續キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
政府ハ勅令ヲ以テ定ムル期間內ニ限リ第十條ノ規定ニ拘ラズ國有ノ種牡馬又ハ候補種牡馬ヲ北海道、府縣、畜產組合又ハ畜產組合聯合會ニ無償ニテ貸付スルコトヲ得
本法施行前種牡馬檢査法ノ罰則ヲ適用スベカリシ行爲ニ付テハ仍其ノ罰則ニ依ル
馬匹去勢法第一條中「種牡馬」ノ下ニ「又ハ候補種牡馬」ヲ加フ
馬匹去勢法第二條ヲ左ノ如ク改ム
第二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル牡馬ニハ去勢ノ施行ヲ猶豫ス
一 疾病又ハ發育不全ニ因リ去勢ヲ行フニ堪ヘスト認メタルモノ
二 學術硏究ノ爲行政官廳ノ許可ヲ得タルモノ
三 前二號ノ外命令ヲ以テ定ムルモノ
馬匹去勢法第四條第三號中「種牡馬ニシテ檢査合格ノ證明ノ效力ヲ失ヒタルモノ」ヲ「種牡馬又ハ候補種牡馬ニシテ其ノ指定ヲ取消サレ又ハ指定ノ效力ヲ失ヒタルモノ」ニ改ム
馬匹去勢法第九條中「種牡馬檢査法」ヲ「種馬統制法中種牡馬又ハ候補種牡馬ニ關スル規定」ニ改ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル種馬統制法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月六日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
陸軍大臣 板垣征四郎
拓務大臣 八田嘉明
農林大臣 桜内幸雄
法律第七十五号
種馬統制法
第一条 本法ハ種馬ヲ整備シ其ノ配合ヲ統制シ以テ馬ノ改良増殖ヲ図ルコトヲ目的トス
第二条 馬ノ種付事業ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ管掌ス
北海道、府県、畜産組合、畜産組合連合会其ノ他政府ノ適当ト認ムル者ニ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ特許ヲ受ケ馬ノ種付事業ヲ行フコトヲ得
第三条 種牡馬ハ総テ国ニ於テ之ヲ所有スルモノトス但シ第七条ノ規定ニ依リ指定セラレタル種牡馬ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四条 政府ハ種牡馬タルベキ資質アル馬ヲ選定スル為命令ノ定ムル所ニ依リ毎年公共団体又ハ私人ノ所有(以下民有ト称ス)ニ係ル牡馬ノ検定ヲ行ヒ之ニ合格シタルモノヲ候補種牡馬ニ指定スルコトヲ得
第五条 政府ハ国有ノ種牡馬ヲ整備スル為毎年度予算ノ範囲内ニ於テ所要ノ頭数ヲ限リ民有ノ候補種牡馬ヲ購買ス
第六条 政府ハ必要ニ応ジ国有ノ牡馬ヲ候補種牡馬ニ、国有ノ牡馬又ハ候補種牡馬ヲ種牡馬ニ決定ス
第七条 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ第二条第二項ノ特許ヲ受ケタル者ノ所有スル牡馬又ハ候補種牡馬ヲ種牡馬ニ指定スルコトヲ得
第八条 種牡馬ニ非ザレバ種付ニ供用スルコトヲ得ズ
第九条 種牡馬又ハ候補種牡馬ニハ去勢ヲ行フコトヲ得ズ
第十条 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ国有ノ種牡馬又ハ候補種牡馬ヲ北海道、府県、畜産組合又ハ畜産組合連合会ニシテ第二条第二項ノ特許ヲ受ケタルモノニ無償ニテ貸付スルコトヲ得
第十一条 政府必要アリト認ムルトキハ第二条第二項ノ特許ヲ受ケタル者ニ対シ種牡馬ノ飼養管理又ハ種付ニ関スル設備ノ改善ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第十二条 政府ハ第二条第二項ノ特許ヲ受ケタル者ノ行為ガ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ特許ヲ取消シ又ハ種牡馬ノ種付ニ関スル業務ヲ停止シ若ハ制限スルコトヲ得
第十三条 政府ハ優良種牝馬タルベキ資質アル馬ヲ選定スル為命令ノ定ムル所ニ依リ毎年明ケ二歳ノ民有ノ牝馬ノ検定ヲ行ヒ之ニ合格シタルモノヲ候補優良種牝馬ニ指定スルコトヲ得
政府ハ前項ノ検定ヲ受クル者ニ対シ勅令ノ定ムル所ニ依リ手当及旅費ヲ給ス
第十四条 政府必要アリト認ムルトキハ所有者又ハ命令ヲ以テ定ムル者ノ申請ニ依リ明ケ三歳以上ノ民有ノ牝馬ノ検定ヲ行フ
政府ハ前項ノ検定ニ合格シタル馬ヲ優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ニ指定スルコトヲ得
第十五条 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ候補優良種牝馬ヲ優良種牝馬ニ指定スルコトヲ得
第十六条 政府馬ノ改良増殖ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ馬ノ配合ノ統制上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第十七条 政府ハ種付ヲ為スコト不適当ト認ムル牝馬ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ種付ヲ制限スルコトヲ得
第十八条 政府必要アリト認ムルトキハ優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ノ所有者其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ニ対シ当該馬ノ飼養管理又ハ種付ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第十九条 政府ハ学術研究ノ為ニスル馬ノ種付ニ付テハ命令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第二十条 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ毎年度予算ノ範囲内ニ於テ政府ノ貸付シタル種牡馬若ハ候補種牡馬ヲ飼養スル者又ハ優良種牝馬若ハ候補優良種牝馬ヲ飼養スル者ニ対シ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第二十一条 種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ハ政府ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ輸出シ又ハ移出スルコトヲ得ズ
第二十二条 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ毎年民有ノ種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ノ検査ヲ行ヒ之ニ合格セザルモノニ付其ノ指定ヲ取消スコトヲ得
第二十三条 民有ノ種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ガ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ指定ハ効力ヲ失フ
一 国有ト為リタルトキ
二 輸出又ハ移出セラレタルトキ
三 前二号ノ外命令ヲ以テ定ムル場合
第二十四条 市町村長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ種牡馬、候補種牡馬、優良種牝馬又ハ候補優良種牝馬ニ指定セラレタル馬ニ付馬籍ニ其ノ旨記載スベシ其ノ指定ヲ取消サレタル馬又ハ其ノ指定ノ効力ヲ失ヒタル馬ニ付亦同ジ
前項ノ市町村長トハ市制第六条ノ市及市制第八十二条第三項ノ市ニ在リテハ区長トシ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ町村長ニ準ズベキモノトス
第二十五条 第二十一条ノ規定ニ違反シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第二十六条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二条第二項ノ特許ヲ受ケズシテ馬ノ種付事業ヲ行ヒタル者
二 第八条ノ規定ニ違反シタル者
三 第二条第二項ノ特許ヲ受ケタル者ニシテ第十六条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルモノ
四 第二条第二項ノ特許ヲ受ケタル者ニシテ第十六条ノ規定ニ依ル処分ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルモノ
第二十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第九条ノ規定ニ違反シタル者
二 第十一条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
三 第十一条ノ規定ニ依ル処分ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
四 第十二条ノ規定ニ依ル業務ノ停止又ハ制限ニ違反シタル者
第二十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第十三条第一項ノ検定又ハ第二十二条ノ検査ニ応ゼザル者
二 第十三条第一項ノ検定又ハ第二十二条ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
三 第二条第二項ノ特許ヲ受ケタル者以外ノ者ニシテ第十六条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルモノ
四 第二条第二項ノ特許ヲ受ケタル者以外ノ者ニシテ第十六条ノ規定ニ依ル処分ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルモノ
五 第十七条ノ規定ニ依ル種付ノ制限ニ違反シタル者
六 第十八条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
第二十九条 法人又ハ人ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第二十五条、第二十六条第二号若ハ第三号、第二十七条第一号、第二号若ハ第四号又ハ前条第一号、第三号、第五号若ハ第六号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第三十条 第二十五条、第二十六条第二号及第三号、第二十七条第一号、第二号及第四号並ニ第二十八条第一号、第三号、第五号及第六号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十一条 前二条ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ処スルコトヲ得ズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
政府ハ当分ノ内勅令ノ定ムル所ニ依リ島嶼ヲ指定シ本法ノ全部又ハ一部ヲ施行セザルコトヲ得
種牡馬検査法ハ之ヲ廃止ス
本法施行前種牡馬検査法ニ依ル検査ニ合格シ本法施行ノ際現ニ同法ノ種牡馬タルモノハ第七条ノ規定ニ依リ種牡馬ニ指定セラレタルモノト看做ス
本法施行ノ際現ニ馬ノ種付事業ヲ行フ者又ハ其ノ事業ヲ承継シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ一年間ヲ限リ引続キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受ケ前項ノ期間経過後引続キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル許可ノ申請ヲ為シタル者ハ其ノ申請ニ対スル許可又ハ不許可ノ処分ノ日迄引続キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
政府ハ勅令ヲ以テ定ムル期間内ニ限リ第十条ノ規定ニ拘ラズ国有ノ種牡馬又ハ候補種牡馬ヲ北海道、府県、畜産組合又ハ畜産組合連合会ニ無償ニテ貸付スルコトヲ得
本法施行前種牡馬検査法ノ罰則ヲ適用スベカリシ行為ニ付テハ仍其ノ罰則ニ依ル
馬匹去勢法第一条中「種牡馬」ノ下ニ「又ハ候補種牡馬」ヲ加フ
馬匹去勢法第二条ヲ左ノ如ク改ム
第二条 左ノ各号ノ一ニ該当スル牡馬ニハ去勢ノ施行ヲ猶予ス
一 疾病又ハ発育不全ニ因リ去勢ヲ行フニ堪ヘスト認メタルモノ
二 学術研究ノ為行政官庁ノ許可ヲ得タルモノ
三 前二号ノ外命令ヲ以テ定ムルモノ
馬匹去勢法第四条第三号中「種牡馬ニシテ検査合格ノ証明ノ効力ヲ失ヒタルモノ」ヲ「種牡馬又ハ候補種牡馬ニシテ其ノ指定ヲ取消サレ又ハ指定ノ効力ヲ失ヒタルモノ」ニ改ム
馬匹去勢法第九条中「種牡馬検査法」ヲ「種馬統制法中種牡馬又ハ候補種牡馬ニ関スル規定」ニ改ム