第五條 農會ハ農業ニ關スル事項ニ付行政廳ニ建議スルコトヲ得
第六條 行政官廳ハ農會ニ對シ農業ニ關スル報告書ノ提出及農業ニ關スル事項ノ調查ヲ命スルコトヲ得
第七條 政府ハ農會ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第八條 農會ハ町村農會、市農會、郡農會、道府縣農會及帝國農會トス
第九條 農會ノ地區ハ町村農會ニ在リテハ町村又ハ町村組合、市農會ニ在リテハ市、郡農會ニ在リテハ郡又ハ島司ヲ置キタル島嶼、道府縣農會ニ在リテハ道府縣、帝國農會ニ在リテハ內地ノ區域ニ依ル
特別ノ事由アルトキハ農會ノ地區ハ前項ノ區域ニ依ラサルコトヲ得
第一項ノ區域ニ增減アリタルトキハ其ノ區域ヲ地區トスル農會ノ地區モ亦之ニ應シテ增減アリタルモノトス
町村カ市ト爲リタルトキハ其ノ町村ノ區域ヲ地區トスル町村農會ハ市農會ト爲リタルモノトス
第十條 農會ノ名稱ニハ町若ハ村農會、市農會、郡農會、道、府若ハ縣農會又ハ帝國農會ナル文字ヲ用井ルヘシ但シ農會ノ地區カ町、村、市、郡、道、府又ハ縣ノ區域ニ依ラサルトキハ其ノ名稱中ニ此等ノ區域ヲ示スヘキ文字ヲ用井サルコトヲ得
本法ニ依リ設立シタル農會ニ非サレハ其ノ名稱中ニ前項ニ揭クル文字ヲ用井ルコトヲ得ス
第十一條 農會ハ町村農會及市農會ニ在リテハ國、公共團體及命令ヲ以テ規定シタル者ヲ除クノ外其ノ地區內ノ耕地、牧場又ハ原野ヲ所有スル者及其ノ地區內ニ於テ農業ヲ營ム者、郡農會ニ在リテハ其ノ地區內ノ町村農會、道府縣農會ニ在リテハ其ノ地區內ノ市農會、郡農會及郡農會ノ會員ニ非サル町村農會、帝國農會ニ在リテハ道府縣農會ヲ以テ其ノ會員トス
第十二條 農會ヲ設立セムトスルトキハ其ノ地區內ノ會員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ會則ヲ議定シ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
町村農會及市農會ニ在リテハ前項ノ同意ヲ爲シタル者ノ所有シ又ハ占有スル其ノ地區內ノ耕地、牧場及原野ノ面積ハ私用ニ供スル其ノ地區內ノ耕地、牧場及原野ノ面積ノ二分ノ一以上ナルコトヲ要ス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ此ノ條件ニ依ラサルコトヲ得
第十三條 郡農會、道府縣農會又ハ帝國農會ヲ設立セムトスルトキハ其ノ農會ノ會員タルヘキ農會ハ其ノ總會ニ於テ創立委員各一人ヲ其ノ役員中ヨリ選任スヘシ但シ道府縣農會ヲ設立スル場合ニ於テ郡農會ノ會員ニ非サル町村農會カ選任スル創立委員ノ選出ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第十四條 町村農會及市農會ノ創立總會ニ於テハ其ノ會員タル資格ヲ有スル者ノ中ヨリ其ノ役員竝其ノ組織スヘキ農會ノ議員及豫備議員ト爲ルヘキ者ヲ、其ノ他ノ農會ノ創立總會ニ於テハ其ノ創立委員中ヨリ其ノ役員竝其ノ組織スヘキ農會ノ議員及豫備議員ト爲ルヘキ者ヲ選任スヘシ但シ第二十七條第二項但書及第三項ノ規定ハ此ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十六條 農會成立シタルトキハ其ノ地區內ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ總テ之ニ加入シタルモノト看做ス但シ行政官廳カ特別ノ事由ニ依リ加入ノ必要ナシト認メタル者ハ此ノ限ニ在ラス
總會ハ町村農會及市農會ニ在リテハ會長副會長及會員、其ノ他ノ農會ニ在リテハ會長副會長議員及特別議員ヲ以テ之ヲ組織ス
郡農會、道府縣農會又ハ帝國農會ノ議員ハ其ノ農會ノ會員タル農會ニ於テ各一人ヲ其ノ役員中ヨリ選任スヘシ但シ郡農會ノ會員ニ非サル町村農會カ選任スル議員ノ選出ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依ル
郡農會、道府縣農會及帝國農會ノ設立ノ場合ニ於テハ創立委員其ノ農會ノ議員ト爲ル
第十八條 郡農會、道府縣農會又ハ帝國農會ノ會員タル農會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ豫備議員各一人ヲ其ノ役員中ヨリ選任スヘシ
豫備議員ハ議員事故アルトキハ之ヲ代理シ議員闕ケタルトキハ議員ト爲ル
第十九條 行政官廳ハ農業ニ關スル學識經驗アル者ヲ郡農會、道府縣農會又ハ帝國農會ノ特別議員ニ任命スルコトヲ得
特別議員ノ員數ハ議員定數ノ三分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第二十條 左ニ揭クル事項ハ總會ノ議決ヲ經ヘシ
八 第十二條第一項、第二十四條第二項及第三十五條ノ同意
前項第一號、第二號、第四號及第六號ニ揭クル事項ノ決議ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
總會ヲ組織スル者ハ其ノ總數ノ三分ノ一以上ノ同意ヲ得テ會議ノ目的タル事項及招集ノ事由ヲ記載シタル書面ヲ提出シ總會ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
會長正當ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル請求アリタル後十四日以內ニ總會ヲ招集セサルトキハ請求者ハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ之ヲ招集スルコトヲ得
前三項ノ規定ニ依リ總會ヲ招集スルコト能ハサルトキハ行政官廳ハ會員又ハ議員若ハ特別議員ヲ指定シテ總會ヲ招集セシムルコトヲ得
第二十二條 總會ノ議長ハ會長、會長事故アルトキハ副會長ヲ以テ之ニ充ツ會長及副會長共ニ事故アルトキ又ハ前條第三項若ハ第四項ノ場合ニ於テハ出席者ノ互選ニ依リ議長ヲ定ム
第二十三條 總會ノ議事ハ本法ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十四條 會則ノ變更ハ總會ニ於テ之ヲ組織スル者半數以上出席シ出席者ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ議決ス
會則ノ變更カ地區ノ增減ニ關スルトキハ前項ノ規定ニ依ル議決ノ外新ニ編入セラレ又ハ削除セラルヘキ區域內ノ會員タル資格ヲ有スル者又ハ會員ノ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
第二十五條 總會ノ議決ヲ經ヘキ事項ニシテ輕微ナルモノニ付テハ會則ノ定ムル所ニ依リ書面ヲ以テ其ノ總會ヲ組織スル者ノ意見ヲ徵シ總會ノ議決ニ代フルコトヲ得但シ町村農會及市農會ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十六條 町村農會及市農會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ總代會ヲ置キ總會ニ代フルコトヲ得
總代會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ會員ノ選擧シタル總代ヲ以テ之ヲ組織ス
役員ハ町村農會及市農會ニ在リテハ會員中ヨリ、其ノ他ノ農會ニ在リテハ議員及特別議員中ヨリ之ヲ選任ス但シ會長及副會長ハ其ノ他ノ者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ妨ケス
前項但書ノ規定ニ依ル選任ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
副會長ハ會長ヲ補佐シ會長事故アルトキ其ノ職務ヲ代埋ス
副會長ハ會則ノ定ムル所ニ依リ會長ノ職務ノ一部ヲ分掌スルコトヲ得
評議員ハ會長ノ諮問ニ應シ竝會務執行及財產ノ狀況ヲ監查ス
第二十九條 總會ノ議決ヲ經ヘキ事項ニシテ臨時急施ヲ要シ總會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルモノハ會長之ヲ專決處分スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ會長ハ次ノ總會ニ於テ其ノ承認ヲ求ムヘシ
第三十條 農會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ分賦シ及過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
町村農會及市農會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ物件ヲ以テ經費ノ負擔ヲ爲サシムルコトヲ得
町村農會及市農會ノ經費又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ其ノ會長ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ農會ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スヘシ
前項ニ規定スル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノノ徵收金ニ次キ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
經費ノ分賦又ハ過怠金ノ徵收ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、訴願及行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第三十一條 農會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ使用料及手數料ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ使用料及手數料ノ徵收ニ關シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十二條 行政官廳ハ農會ニ對シ會務ニ關スル報告ヲ爲サシメ、會務執行又ハ財產ノ狀況ヲ檢查シ、會則收支豫算又ハ經費ノ分賦收入方法ノ變更ヲ命シ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十三條 農會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員タル農會ニ對シ農業ニ關スル報告書ノ提出及農業ニ關スル事項ノ調查ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十四條 行政官廳ハ農會ノ決議又ハ役員ノ行爲カ法令若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ決議ヲ取消シ、役員若ハ特別議員ヲ解任シ、議員豫備議員若ハ總代ノ改選ヲ命シ、農會ノ事業ヲ停止シ又ハ農會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
第三十五條 農會解散又ハ合併ヲ爲サムトスルトキハ其ノ會員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得、道府縣農會ニ在リテハ尙其ノ會員タル郡農會及市農會ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得且合併ノ場合ニ於テハ會則ヲ議定シ事由ヲ具シ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
農會分割ヲ爲サムトスルトキハ前項ノ規定ニ準スル同意ノ外分割ノ各農會ノ會員又ハ會員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得農會ノ權利義務ノ限度ヲ定メ且會則ヲ議定シ事由ヲ具シ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第十二條第二項、第十三條乃至第十五條及第十七條第四項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十六條 合併後存續スル農會又ハ合併ニ因リテ設立シタル農會ハ合併ニ因リテ消滅シタル農會ノ權利義務ヲ承繼ス
分割ニ因リテ設立シタル農會ハ前條ノ規定ニ依リテ定リタル限度ニ於テ從前ノ農會ノ權利義務ヲ承繼ス
第三十七條 農會ハ解散ノ後ト雖淸算ノ目的ノ範圍內ニ於テハ仍存續スルモノト看做ス
第三十八條 農會解散シタルトキハ會長及副會長ヲ以テ其ノ淸算人トス但シ會則ニ別段ノ規定アルトキ又ハ總會ニ於テ選任シタル者アルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ淸算人タル者ナキトキハ行政官廳淸算人ヲ選任ス淸算人闕ケタルトキ亦同シ
第三十九條 淸算人ハ農會ヲ代表シ淸算ヲ爲スニ必要ナル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
淸算方法及財產處分ニ付テハ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第四十條 行政官廳必要ト認ムルトキハ淸算方法及財產處分ノ變更ヲ命シ又ハ淸算人ヲ解任スルコトヲ得
第四十一條 本法ニ於テ市町村トアルハ市制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ之ニ準スヘキモノトシ郡トアルハ北海道ニ在リテハ北海道廳支廳長管轄區域トス