国有林野事業特別会計法
法令番号: 法律第三十八号
公布年月日: 昭和22年3月31日
法令の形式: 法律
朕は、帝國議会の協賛を経た國有林野事業特別会計法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
大藏大臣 石橋湛山
農林大臣 木村小左衞門
法律第三十八号
國有林野事業特別会計法
第一條 國有林野事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
この法律において、國有林野事業とは、國有林野法第一條に規定する國有林野及び北海道における國有林野の管理経営の事業、林業に関する試驗、研究及び調査並びにこれらの附帶業務をいう。
第二條 この会計は、農林大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 この会計においては、從來の國有林野(北海道における國有林野を含む。)の事業に属する土地、森林、原野、建物、工作物 機械その他の設備、貯藏物品等の資產及び將來との会計に所属する資產の金額を以て資本とする。
第四條 この会計においては、國有林野事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、財產の増減及び異動を、その発生の事実に基いて計理する。
この会計に属する資產及び負債については、政令の定めるところに從い、その内容を明らかにしなければならない。
第五條 この会計において、事業施設費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項の規定による公債及び借入金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第六條 この会計において、運轉資金に充てるため必要があるときは、この会計の負担において、一時借入金をなし又は融通証券を発行することができる。
前項に規定する一時借入金及び融通証券は、当該年度内にこれを償還しなければならない。
第一項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第七條 前二條に規定する公債、借入金、一時借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大藏大臣がこれを行う。
第八條 この会計の負担に属する公債及び借入金の償還金及び利子、一時借入金及び融通証券の利子並びに公債及び融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、これを國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第九條 農林大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出の予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを款及び項に区分する。
第十一條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出の予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財產目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 國庫債務負担行爲で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
第十二條 この会計においては、森林資源の維持のため積立金を保有することができる。
前項の積立金は、予算の定めるところにより、この会計の決算上生じた利益金のうちから、これを積み立てるものとする。
第一項の積立金は、予算の定めるところにより、これを使用しなければならない。
第十三條 この会計において、決算上利益を生じたときは、当該利益の額から、前條第二項の規定により積立金として積み立てる額を控除した額に相当する金額は、これを当該利益を生じた年度の一般会計の歳入に納付しなければならない。
第十四條 農林大臣は、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十五條 内閣は、毎会計年度この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財產目録
三 債務に関する計算書
第十六條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で、当該年度内に支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越は、財政法第四十三條の規定にかかわらず、大藏大臣の承認を経ることを要しない。
農林大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第十七條 第十二條の規定による積立金は、國債を以てこれを保有し、又は大藏省預金部に預け入れ運用することができる。
この会計に余裕金があるときは、これを大藏省預金部に預け入れることができる。
第十八條 國有林野事業の運営に妨げのない限り、この会計の負担において、一般の委託により、森林の管理経営、木材の加工若しくは林業に関する機械施設の工作又は林業に関する試驗、檢査及び調査をなすことができる。
第十九條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二條 從來の國有林野(北海道における國有林野を含む。)の事業に属する負債は、これをこの会計に帰属せしめる。
第三條 財產税等收入金特別会計に所属する資產のうち從來帝室林野の事業の用に供したものについては、これを無償を以て、この会計の所属に移すことができる。
第四條 從來の帝室林野の事業に属する資產及び負債で國に引継がれたものは、これをこの会計に帰属せしめる。
第五條 この会計においては、当分の間、第十三條の規定にかかわらず、予算の定めるところにより、一般会計に納付金を繰り入れることができる。
前項の場合において、決算上の利益の額が、第十二條第二項の規定により積立金として積み立てる額及び納付金の額の合計額を超過するときは、その超過額は、これを損失補填のための積立金として積み立てるものとする。
第六條 昭和二十一年度における一般会計歳出予算中國有林野事業に係るもので、年度内に契約をなし、昭和二十二年四月三十日までに支出を終らなかつた経費の金額については、これをこの会計に繰り越して使用することができる。
第七條 この法律中「國会」、「内閣」及び「政令」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、これを「帝國議会」、「政府」及び「勅令」と続み替えるものとする。
朕は、帝国議会の協賛を経た国有林野事業特別会計法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 石橋湛山
農林大臣 木村小左衛門
法律第三十八号
国有林野事業特別会計法
第一条 国有林野事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
この法律において、国有林野事業とは、国有林野法第一条に規定する国有林野及び北海道における国有林野の管理経営の事業、林業に関する試験、研究及び調査並びにこれらの附帯業務をいう。
第二条 この会計は、農林大臣が、法令の定めるところに従い、これを管理する。
第三条 この会計においては、従来の国有林野(北海道における国有林野を含む。)の事業に属する土地、森林、原野、建物、工作物 機械その他の設備、貯蔵物品等の資産及び将来との会計に所属する資産の金額を以て資本とする。
第四条 この会計においては、国有林野事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、財産の増減及び異動を、その発生の事実に基いて計理する。
この会計に属する資産及び負債については、政令の定めるところに従い、その内容を明らかにしなければならない。
第五条 この会計において、事業施設費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項の規定による公債及び借入金の限度額については、予算を以て、国会の議決を経なければならない。
第六条 この会計において、運転資金に充てるため必要があるときは、この会計の負担において、一時借入金をなし又は融通証券を発行することができる。
前項に規定する一時借入金及び融通証券は、当該年度内にこれを償還しなければならない。
第一項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額については、予算を以て、国会の議決を経なければならない。
第七条 前二条に規定する公債、借入金、一時借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大蔵大臣がこれを行う。
第八条 この会計の負担に属する公債及び借入金の償還金及び利子、一時借入金及び融通証券の利子並びに公債及び融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、これを国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第九条 農林大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出の予定計算書及び国庫債務負担行為要求書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第十条 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、これを款及び項に区分する。
第十一条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを国会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出の予定計算書及び国庫債務負担行為要求書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 国庫債務負担行為で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
第十二条 この会計においては、森林資源の維持のため積立金を保有することができる。
前項の積立金は、予算の定めるところにより、この会計の決算上生じた利益金のうちから、これを積み立てるものとする。
第一項の積立金は、予算の定めるところにより、これを使用しなければならない。
第十三条 この会計において、決算上利益を生じたときは、当該利益の額から、前条第二項の規定により積立金として積み立てる額を控除した額に相当する金額は、これを当該利益を生じた年度の一般会計の歳入に納付しなければならない。
第十四条 農林大臣は、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第十五条 内閣は、毎会計年度この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを国会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 債務に関する計算書
第十六条 この会計において、支払義務の生じた歳出金で、当該年度内に支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越は、財政法第四十三条の規定にかかわらず、大蔵大臣の承認を経ることを要しない。
農林大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
第十七条 第十二条の規定による積立金は、国債を以てこれを保有し、又は大蔵省預金部に預け入れ運用することができる。
この会計に余裕金があるときは、これを大蔵省預金部に預け入れることができる。
第十八条 国有林野事業の運営に妨げのない限り、この会計の負担において、一般の委託により、森林の管理経営、木材の加工若しくは林業に関する機械施設の工作又は林業に関する試験、検査及び調査をなすことができる。
第十九条 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第一条 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二条 従来の国有林野(北海道における国有林野を含む。)の事業に属する負債は、これをこの会計に帰属せしめる。
第三条 財産税等収入金特別会計に所属する資産のうち従来帝室林野の事業の用に供したものについては、これを無償を以て、この会計の所属に移すことができる。
第四条 従来の帝室林野の事業に属する資産及び負債で国に引継がれたものは、これをこの会計に帰属せしめる。
第五条 この会計においては、当分の間、第十三条の規定にかかわらず、予算の定めるところにより、一般会計に納付金を繰り入れることができる。
前項の場合において、決算上の利益の額が、第十二条第二項の規定により積立金として積み立てる額及び納付金の額の合計額を超過するときは、その超過額は、これを損失補填のための積立金として積み立てるものとする。
第六条 昭和二十一年度における一般会計歳出予算中国有林野事業に係るもので、年度内に契約をなし、昭和二十二年四月三十日までに支出を終らなかつた経費の金額については、これをこの会計に繰り越して使用することができる。
第七条 この法律中「国会」、「内閣」及び「政令」とあるのは、日本国憲法施行の日までは、これを「帝国議会」、「政府」及び「勅令」と続み替えるものとする。