第一條 國有林野事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
この法律において、國有林野事業とは、國有林野法第一條に規定する國有林野及び北海道における國有林野の管理経営の事業、林業に関する試驗、研究及び調査並びにこれらの附帶業務をいう。
第二條 この会計は、農林大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 この会計においては、從來の國有林野(北海道における國有林野を含む。)の事業に属する土地、森林、原野、建物、工作物 機械その他の設備、貯藏物品等の資產及び將來との会計に所属する資產の金額を以て資本とする。
第四條 この会計においては、國有林野事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、財產の増減及び異動を、その発生の事実に基いて計理する。
この会計に属する資產及び負債については、政令の定めるところに從い、その内容を明らかにしなければならない。
第五條 この会計において、事業施設費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項の規定による公債及び借入金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第六條 この会計において、運轉資金に充てるため必要があるときは、この会計の負担において、一時借入金をなし又は融通証券を発行することができる。
前項に規定する一時借入金及び融通証券は、当該年度内にこれを償還しなければならない。
第一項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第七條 前二條に規定する公債、借入金、一時借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大藏大臣がこれを行う。
第八條 この会計の負担に属する公債及び借入金の償還金及び利子、一時借入金及び融通証券の利子並びに公債及び融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、これを國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第九條 農林大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出の予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを款及び項に区分する。
第十一條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出の予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 國庫債務負担行爲で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
第十二條 この会計においては、森林資源の維持のため積立金を保有することができる。
前項の積立金は、予算の定めるところにより、この会計の決算上生じた利益金のうちから、これを積み立てるものとする。
第一項の積立金は、予算の定めるところにより、これを使用しなければならない。
第十三條 この会計において、決算上利益を生じたときは、当該利益の額から、前條第二項の規定により積立金として積み立てる額を控除した額に相当する金額は、これを当該利益を生じた年度の一般会計の歳入に納付しなければならない。
第十四條 農林大臣は、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十五條 内閣は、毎会計年度この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
第十六條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で、当該年度内に支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越は、財政法第四十三條の規定にかかわらず、大藏大臣の承認を経ることを要しない。
農林大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第十七條 第十二條の規定による積立金は、國債を以てこれを保有し、又は大藏省預金部に預け入れ運用することができる。
この会計に余裕金があるときは、これを大藏省預金部に預け入れることができる。
第十八條 國有林野事業の運営に妨げのない限り、この会計の負担において、一般の委託により、森林の管理経営、木材の加工若しくは林業に関する機械施設の工作又は林業に関する試驗、檢査及び調査をなすことができる。
第十九條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。