(目的)
第一条 この法律は、育児休業等に関する制度を設けて子を養育する国家公務員の継続的な勤務を促進し、もってその福祉を増進するとともに、公務の円滑な運営に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「職員」とは、第十三条を除き、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する国家公務員をいう。
2 この法律において「任命権者」とは、国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにその委任を受けた者をいう。
3 この法律において「各庁の長」とは、一般職の職員の給与等に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「給与法」という。)第七条に規定する各庁の長及びその委任を受けた者をいう。
(育児休業の承認)
第三条 職員(常時勤務することを要しない職員、臨時的に任用された職員、配偶者がこの法律により育児休業をしている職員その他の人事院規則で定める職員を除く。)は、任命権者の承認を受けて、当該職員の一歳に満たない子を養育するため、当該子が一歳に達する日まで、育児休業をすることができる。ただし、当該子について、既に育児休業をしたことがあるときは、人事院規則で定める特別の事情がある場合を除き、この限りでない。
2 育児休業の承認を受けようとする職員は、育児休業をしようとする期間の初日及び末日を明らかにして、任命権者に対し、その承認を請求するものとする。
3 任命権者は、前項の規定による請求があったときは、当該請求に係る期間について当該請求をした職員の業務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、これを承認しなければならない。
(育児休業の期間の延長)
第四条 育児休業をしている職員は、任命権者に対し、当該育児休業の期間の延長を請求することができる。
2 育児休業の期間の延長は、人事院規則で定める特別の事情がある場合を除き、一回に限るものとする。
3 前条第二項及び第三項の規定は、育児休業の期間の延長について準用する。
(育児休業の効果)
第五条 育児休業をしている職員は、職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。
2 育児休業をしている期間については、給与を支給しない。
(育児休業の承認の失効等)
第六条 育児休業の承認は、当該育児休業をしている職員が産前の休業を始め、若しくは出産した場合、当該職員が休職若しくは停職の処分を受けた場合又は当該育児休業に係る子が死亡し、若しくは当該職員の子でなくなった場合には、その効力を失う。
2 任命権者は、育児休業をしている職員が当該育児休業に係る子を養育しなくなったことその他人事院規則で定める事由に該当すると認めるときは、当該育児休業の承認を取り消すものとする。
(育児休業に伴う臨時的任用)
第七条 任命権者は、第三条第二項又は第四条第一項の規定による請求があった場合において、当該請求に係る期間について職員の配置換えその他の方法によって当該請求をした職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、当該期間を任用の期間の限度として、臨時的任用を行うものとする。
2 前項の規定に基づき臨時的任用を行う場合には、国家公務員法第六十条第一項から第三項までの規定は、適用しない。
(職務復帰後における給与等の取扱い)
第八条 育児休業をした職員が職務に復帰した場合には、当該育児休業をした期間の二分の一に相当する期間を引き続き勤務したものとみなして、人事院規則の定めるところにより、俸給月額を調整し、又は昇給期間を短縮することができる。
第九条 国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第七条第四項の規定の適用については、育児休業をした期間は、同項に規定する現実に職務を執ることを要しない期間に該当するものとする。
(不利益取扱いの禁止)
第十条 職員は、育児休業を理由として、不利益な取扱いを受けない。
(部分休業)
第十一条 各庁の長は、職員(常時勤務することを要しない職員、配偶者がこの法律により育児休業をしている職員その他の人事院規則で定める職員を除く。)が請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、人事院規則の定めるところにより、当該職員がその一歳に満たない子を養育するため一日の勤務時間の一部について勤務しないこと(以下この条において「部分休業」という。)を承認することができる。
2 職員が部分休業の承認を受けて勤務しない場合には、給与法第十五条の規定にかかわらず、その勤務しない一時間につき、給与法第十九条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額して給与を支給する。
3 第六条及び前条の規定は、部分休業について準用する。
(人事院規則への委任)
第十二条 この法律(次条を除く。)の実施に関し必要な事項は、人事院規則で定める。
(防衛庁の職員への準用)
第十三条 この法律(第二条及び第七条第二項を除く。)の規定は、国家公務員法第二条第三項第十六号に掲げる防衛庁の職員について準用する。この場合において、これらの規定中「人事院規則」とあるのは「政令」と、第三条第一項中「任命権者」とあるのは「自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十一条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員の任免について権限を有する者(以下「任命権者」という。)」と、第十一条第一項中「各庁の長」とあるのは「防衛庁長官又はその委任を受けた者」と、同条第二項中「給与法第十五条の規定にかかわらず、その勤務しない一時間につき、給与法第十九条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額して給与を」とあるのは「防衛庁の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号。以下「給与法」という。)第十一条第二項、第十六条第二項又は第十八条第三項の規定による減額をして、俸給、航空手当、乗組手当、落下傘隊員手当又は営外手当を」と読み替えるものとする。