(酒税保全のための勧告又は命令)
第八十四条 大蔵大臣は、酒類の需給が均衡を失したことに因り、酒類の価格が酒税額及び原価に照らして低下し、又は酒類の代金の回収が遅れているため、酒税の滞納若しくは脱税が行われ、又は行われる虞があると認められる場合においては、左に掲げる事項につき内容を定めて、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会又は酒造組合に加入していない酒類製造業者に対し、これに従うべき旨の勧告をすることができる。
一 酒類の製造石数、原材料の購入数量又はその製造若しくは貯蔵の設備に関する規制
二 酒類の販売石数又はその価格、代金決済の期限その他の販売条件に関する規制
2 大蔵大臣は、前項の規定に該当する場合において、勧告によつては同項に規定する事態を解消することができないと認めるときは、同項の規定による勧告をした後又は当該勧告に代えて、大蔵省令をもつて、酒類製造業者に対し、同項各号に掲げる事項につき命令することができる。
3 大蔵大臣は、第一項の規定に該当する場合において、前二項の規定による勧告又は命令によつては第一項に規定する事態を解消することができないと認めるときは、当該勧告若しくは命令をした後又は当該勧告若しくは命令と同時に、あるいは、酒類販売業者の取引の状況により特に必要があると認めるときは、当該勧告若しくは命令をしないで、同項第二号に掲げる事項につき内容を定めて、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会若しくは酒販組合に加入していない酒類販売業者に対し、これに従うべき旨の勧告をし、又は前項の規定に準じ、酒類販売業者に対し命令することができる。
4 前三項の規定による勧告又は命令の内容は、第四十三条第二項各号の一に該当するものであつてはならない。
5 第一項又は第三項の規定による勧告は、その相手方に対する個個の通知に代えて、官報にその内容を公告することによつて、することができる。
6 酒類製造業者が、事業経営の著しい不健全のため、酒税を滞納し、又は滞納する虞がある場合において、その者に担保の提供の能力がないときその他酒税の保全のため必要があると認められるときは、大蔵大臣は、その者に対し、適正な減価償却、経費の節約その他経理に関する改善をなすべきことを勧告することができる。
(酒類審議会への諮問)
第八十五条 大蔵大臣は、前条第二項又は第三項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、酒税法第三十七条の規定による中央酒類審議会に諮問しなければならない。
(酒類の種類等の表示義務)
第八十六条 酒類製造業者又は酒類販売業者は、政令で定めるところにより、酒税法の規定による酒類の種類、類別及び級別その他政令で定める事項を容易に識別することができる方法でその販売する酒類の容器の見やすい所に表示しなければならない。