酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律
法令番号: 法律第七号
公布年月日: 昭和28年2月28日
法令の形式: 法律
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年二月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第七号
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
酒類業組合
第一節
総則(第三条―第八条)
第二節
組合員(第九条―第十三条)
第三節
設立(第十四条―第二十二条)
第四節
管理(第二十三条―第四十一条)
第五節
事業(第四十二条―第五十二条)
第六節
解散及び清算(第五十三条―第五十八条)
第七節
登記(第五十九条―第七十八条)
第三章
連合会及び中央会(第七十九条―第八十三条)
第四章
酒税保全措置(第八十四条―第八十六条)
第五章
監督(第八十七条―第九十一条)
第六章
雑則(第九十二条―第九十五条)
第七章
罰則(第九十六条―第百一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、酒税が国税収入のうちにおいて占める地位にかんがみ、酒税の保全のため、酒類製造業者等が組合を設立して酒類の適切な需給調整等を行うことができることとするとともに、政府が酒類製造業者等に対して必要な措置を講ずることができるようにし、もつて酒税の確保及び酒類の取引の安定を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「酒類」とは、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類をいい、その種類については、同法の規定によるものとする。但し、雑酒のうち政令で定めるものは、この法律の適用については、焼ちゆうとみなす。
2 この法律において「酒類製造業者」とは、酒税法第七条第一項の規定により酒類の製造免許を受けて酒類の製造を業とする者をいう。
3 この法律において「酒類販売業者」とは、酒税法第九条の規定により酒類の販売業免許を受けた者をいう。
4 この法律において「酒類卸売業者」とは、酒類販売業者又は酒類製造業者に対する酒類の販売(販売の代理又は媒介を含む。以下同じ。)を業とする酒類販売業者をいう。
5 この法律において「酒類小売業者」とは、酒類卸売業者以外の酒類販売業者をいう。
6 この法律において「酒造年度」とは、酒税法第三条第十二号に規定する酒造年度をいう。
第二章 酒類業組合
第一節 総則
(酒類業組合)
第三条 酒類製造業者又は酒類販売業者は、酒税の保全に協力し、及び共同の利益を増進するため、それぞれ酒造組合又は酒販組合(以下「酒類業組合」と総称する。)を組織することができる。
(法人格及び住所)
第四条 酒類業組合は、法人とする。
2 酒類業組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(原則)
第五条 酒類業組合は、この法律に別段の定がある場合を除く外、左の要件を備えなければならない。
一 営利を目的としないこと。
二 組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
三 組合員の議決権が平等であること。
(名称)
第六条 酒造組合は、その名称中に、酒造組合という文字を用い、且つ、その組合員が製造する酒類の種類(焼ちゆう及び味りんについては、政令で定める種別。以下同じ。)を明らかにしなければならない。
2 酒販組合は、その名称中に、酒販組合という文字を用い、且つ、その組合員の業態により卸売、小売の別及び第九条第五項の規定に該当する酒販組合にあつては、その組合員が販売する酒類の種類を明らかにしなければならない。
3 酒類業組合、第七十九条に規定する連合会及び第八十条に規定する中央会でない者は、その名称中に酒造組合又は酒販組合という文字を用いてはならない。
4 酒類業組合は、政令で定めるところにより大蔵大臣の承認を受けた場合においては、第一項又は第二項の規定にかかわらず、酒造組合にあつては、酒類の種類を、酒販組合にあつては、卸売、小売の別をその名称中に明らかにすることを要しない。
(組合の地区)
第七条 酒類業組合の地区は、税務署の管轄区域とする。但し、政令で定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けたときは、特別の区域によることができる。
(地区の重複禁止)
第八条 酒造組合の地区は、その組合員の製造する酒類と同一種類の種類の製造者を組合員とする他の酒造組合の地区と重複してはならない。
2 酒類卸売業者を組合員とする酒販組合の地区は、相互に重複してはならない。但し、第九条第五項の規定に該当する酒販組合の地区と他の酒販組合の地区との重複を妨げない。
3 酒類小売業者を組合員とする酒販組合の地区は、相互に重複してはならない。
第二節 組合員
(組合員の資格)
第九条 酒造組合の組合員たる資格を有する者は、当該酒造組合の地区内において定款で定める酒類を製造する酒類製造業者とする。
2 前項の定款で定める酒類の種類は、二以上であつてはならない。但し、政令で定めるところにより大蔵大臣の承認を受けた場合においては、この限りでない。
3 酒販組合の組合員たる資格を有する者は、当該酒販組合の地区内において販売場(販売場を有しない場合は、住所)を有する酒類販売業者のうち定款で定める業態に属するものとする。
4 前項の定款で定める業態は、卸売又は小売のいずれか一でなければならない。但し、政令で定めるところにより大蔵大臣の承認を受けた場合においては、卸売及び小売とすることができる。
5 酒類卸売業者を組合員とする酒販組合にあつては、その組合員を第三項の規定により組合員たる資格を有する者のうち政令で定める種類の酒類を販売するものに限ることができる。この場合においては、当該酒販組合の組合員たる資格を有する者で当該種類の酒類のみを販売する酒類卸売業者は、他の酒販組合の組合員となることができない。
(加入の自由)
第十条 組合員たる資格を有する者が酒類業組合に加入しようとするときは、酒類業組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。
(加入の時期)
第十一条 酒類業組合に加入しようとする者は、定款で定めるところにより加入につき酒類業組合の承諾を得た時に組合員となる。
2 死亡した組合員の相続人で組合員たる資格を有する者が酒類業組合に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは、前項の規定にかかわらず、相続開始の時に組合員となつたものとみなす。
3 死亡した組合員の相続人が数人あるときは、相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り、前項の規定を適用する。
(任意脱退)
第十二条 組合員は、九十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。
(法定脱退)
第十三条 前条に規定する場合の外、組合員は、左の事由によつて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
2 除名は、左に掲げる組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合においては、酒類業組合は、その総会の会日の十日前までにその組合員に対してその旨を通知し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
一 酒類業組合の事業を妨げ、又は妨げようとする行為のあつた組合員
二 経費の支払その他酒類業組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事由に該当する組合員
3 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
第三節 設立
(組合の構成要件)
第十四条 酒造組合は、その組合員の総数が当該酒造組合の組合員たる資格を有する者の総数の三分の二以上で、且つ、その組合員が前酒造年度において当該酒造組合の地区内にある製造場から移出した酒類(当該酒造組合の組合員たる資格に係る種類の酒類に限る。以下本項において同じ。)の石数の合計が、当該酒造組合の組合員たる資格を有する者が前酒造年度においてその地区内にある製造場から移出した酒類の石数の合計の二分の一以上でなければ、設立することができない。
2 第九条第二項但書の規定の適用を受ける酒造組合について前項の規定を適用する場合には、同一種類の酒類を製造する酒類製造業者ごとにその人数及び石数を計算する。
3 酒販組合は、その組合員の総数が当該酒販組合の組合員たる資格を有する者の総数の三分の二以上でなければ、設立することができない。
4 第九条第四項但書の規定の適用を受ける酒販組合について前項の規定を適用する場合には、同一業態に属する酒類販売業者ごとにその人数を計算する。
(発起人)
第十五条 酒類業組合を設立するには、その組合員になろうとする者三人以上が発起人となることを要する。
(定款)
第十六条 発起人は、酒類業組合の定款を作成し、これに左に掲げる事項を記載して署名しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に関する規定
六 組合員の加入及び脱退に関する規定
七 役員の定数及び任期に関する規定
八 事業年度
九 会計に関する規定
十 解散の場合における残余財産の処分に関する規定
十一 公告の方法
2 酒類業組合の負担に帰すべき設立費用又は発起人が受けるべき報酬の額を定めたときは、これを定款に記載しなければ、その効力を有しない。
(組合員の募集)
第十七条 発起人は、酒類業組合の設立趣意書を作成し、これを定款とともに当該酒類業組合の組合員たる資格を有する者に通知し、又は公告して、賛成者を募らなければならない。
(創立総会)
第十八条 発起人は、第十四条の要件を満たすに足る賛成者ができたときは、組合員たる資格を有する者に通知して、創立総会を招集しなければならない。
2 前項の通知は、必要があるときは、公告をもつてこれに代えることができる。
3 発起人が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、第一項の創立総会の議決によらなければならない。
4 第一項の創立総会においては、発起人が作成した定款を変更することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 第一項の創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者でその会日までに発起人に対して設立の同意を申し出たものの半数以上が出席して、その議決権の三分の二以上で決する。
(設立の認可)
第十九条 発起人は、前条第一項の創立総会の終了後遅滞なく、定款、組合員名簿、第六十条第二項第六号から第八号までに掲げる事項を記載した書類その他政令で定める書類を大蔵大臣に提出して、設立の認可を受けなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、設立しようとする酒類業組合が左の各号に適合していると認めるときは、認可をしなければならない。
一 第五条に規定する要件を備えていること。
二 設立の手続及び定款の内容が法令に違反しないこと。
三 第十四条の要件を備えていること。
(理事への事務引継)
第二十条 発起人は、設立の認可を受けた後遅滞なく、その事務を理事に引き継がなければならない。
(成立の時期)
第二十一条 酒類業組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(商法等の準用)
第二十二条 第十八条第一項の創立総会については、第三十五条並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第百八十二条(創立事項の報告)、第百八十三条(取締役及び監査役の選任)、第二百三十二条第一項及び第二項(招集通知)、第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(延期又は続行の決議)、第二百四十四条(株主総会の議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条並びに第二百五十三条(株主総会の決議の取消又は無効の訴)の規定を、発起人については、同法第百九十三条、第百九十四条及び第百九十六条(発起人の責任)の規定を準用する。この場合において、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「発起人」と、同法第二百四十七条第一項中「株主又ハ取締役」とあるのは「創立総会ノ会日迄ニ発起人ニ対シ設立ノ同意ヲ申出タル者、理事又ハ監事」と、「第三百四十三条」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第十八条第五項」と、同法第二百四十九条第一項中「株主」とあるのは「創立総会ノ会日迄ニ発起人ニ対シ設立ノ同意ヲ申出タル者」と、「取締役」とあるのは「理事又ハ監事」と読み替えるものとする。
第四節 管理
(役員)
第二十三条 酒類業組合に、役員として理事二人以上及び監事一人以上を置かなければならない。
(役員の任期)
第二十四条 役員の任期は、三年をこえることができない。
2 設立当初の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、一年をこえることができない。
(業務の執行)
第二十五条 酒類業組合の業務の執行は、定款に特別の定がないときは、理事の過半数で決する。
(組合の代表)
第二十六条 理事は、各自酒類業組合を代表する。
2 前項の規定は、定款若しくは総会の議決で酒類業組合を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して酒類業組合を代表すべきことを定め、又は定款の規定に基き理事の互選で酒類業組合を代表すべき理事を定めることを妨げない。
第二十七条 酒類業組合が理事と契約するときは、監事が酒類業組合を代表する。酒類業組合と理事との訴訟についても、また同様とする。
(定款その他の書類の備付等)
第二十八条 理事は、定款及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員及び酒類業組合の債権者は、何時でも、理事に対して前項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
(組合員名簿)
第二十九条 組合員名簿には、各組合員について左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 酒類の製造場又は販売場の所在地
三 製造若しくは販売する酒類の種類又は販売業の業態
四 加入の年月日
2 商法第二百二十四条第一項及び第二項(株主名簿の効力)の規定は、組合員に対する通知又は催告について、準用する。
(理事の責任)
第三十条 理事がその任務を怠つたときは、その理事は、酒類業組合に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。
2 理事が法令又は定款に違反する行為をしたときは、総会の議決によつた場合でも、その理事は、第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。
(監事の権限)
第三十一条 監事は、酒類業組合の業務を監査する。
2 監事は、何時でも、理事に対して業務の報告を求め、又は酒類業組合の業務及び財産の状況を調査することができる。
3 監事は、理事が総会に提出しようとする書類を調査し、総会にその意見を報告しなければならない。
(役員の兼職禁止)
第三十二条 監事は、理事又は酒類業組合の使用人と兼ねてはならない。
(役員についての商法等の準用)
第三十三条 理事及び監事については、商法第二百五十四条第一項及び第三項(取締役の選任及び取締役と会社との関係)、第二百五十七条第一項(取締役の解任)、第二百五十八条(欠員の場合の処置)、第二百六十六条第四項(取締役の責任の免除)、第二百六十七条から第二百六十八条ノ三まで(取締役に対する責任追及の訴)並びに第二百六十九条(取締役の報酬)の規定を、理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項(法人の不法行為能力)、第五十四条(代表権の制限)及び第五十五条(代表権の委任)並びに商法第三十九条第二項(共同支配人)、第七十八条第一項(代表社員の権限)、第二百五十四条ノ二(取締役の忠実義務)及び第二百六十二条(表見代表取締役の行為についての責任)の規定を、監事については、第三十条及び商法第二百七十八条(取締役と監査役との連帯責任)の規定を準用する。この場合において、商法第二百五十八条第二項中「裁判所」とあるのは、「大蔵大臣」と、同法第二百六十六条第四項中「第一項」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第三十条第一項」と読み替えるものとする。
(総会の招集)
第三十四条 理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
2 理事は、必要があると認めるときは、何時でも臨時総会を招集することができる。
3 臨時総会は、監事もまた招集することができる。
4 総組合員の五分の一以上の者は、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求することができる。
5 前項の請求があつた日から十日以内に理事が総会招集の通知を発しないときは、監事は、遅滞なく、総会を招集しなければならない。
6 前項の場合において、監事の職務を行う者がないとき、又は監事が正当な理由がないのに前項の手続をしないときは、第四項の組合員は、大蔵大臣の承認を得て総会を招集することができる。
7 理事又は監事の総会の招集は、各その過半数で決する。
8 総会を招集するには、会日の十日前までに、会議の目的たる事項を示して、各組合員に対し、その通知書を発しなければならない。但し、第二項から第六項までの規定による場合においては、定款でこの期間を短縮することができる。
(議決権)
第三十五条 組合員は、各一個の議決権を有する。
2 組合員は、定款で定めるところにより、前条第八項の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、代理人をもつて、議決権を行うことができる。この場合は、その組合員の親族若しくは使用人又は他の組合員でなければ、代理人となることができない。
3 代理人は、代理権を証する書面を酒類業組合に差し出さなければならない。
(総会の議事)
第三十六条 総会の議事は、この法律又は定款に特別の定がある場合を除く外、出席した組合員の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(総会の議決事項)
第三十七条 この法律に特別の定があるものの外、毎事業年度の事業計画並びに収支予算の設定及び変更その他定款で定める事項は、総会の議決を経なければならない。
(特別の議決)
第三十八条 左に掲げる事項は、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 第五十三条第一号の規定による解散
三 合併
四 組合員の除名
五 第四十三条第一項に規定する協定の設定、変更又は廃止
2 酒造組合は、定款で、前項に規定する出席組合員の三分の二以上の多数による議決(同項第四号に掲げる事項についての議決を除く。)につき、これらの多数の者が前酒造年度において当該酒造組合の地区内にある製造場から移出した酒類(当該酒造組合の組合員たる資格に係る種類の酒類に限る。以下本項において同じ。)の石数の合計が、その総組合員が前酒造年度において当該酒造組合の地区内の製造場から移出した酒類の石数の合計の三分の一以上に達していることを要する旨を定めることができる。
3 第一項の場合においては、その議案の要領を第三十四条第八項に規定する通知書に記載しなければならない。
4 定款の変更は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(総会についての商法の準用)
第三十九条 総会については、商法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(延期又は続行の決議)、第二百四十四条(株主総会の議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条(株主総会の決議の取消又は無効の訴)の規定を準用する。この場合において、同法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第三十四条第八項」と、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「理事及監事」と、同法第二百四十七条第一項中「又ハ取締役」とあるのは「、理事又ハ監事」と、「第三百四十三条」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第三十八条」と読み替えるものとする。
(事業報告書等の提出及び備付等)
第四十条 理事は、通常総会の会日の二週間前までに、事業報告書、財産目録及び収支計算書を監事に提出しなければならない。
2 理事は、通常総会の会日の一週間前から前項に規定する書類及び監事の意見書を主たる事務所に備えて置かなければならない。
3 組合員及び酒類業組合の債権者は、何時でも、理事に対して前項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
4 理事は、監事の意見書を添えて第一項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
5 商法第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定は、前項の承認があつた場合について、準用する。
(会計帳簿等の閲覧等)
第四十一条 総組合員の十分の一以上の者は、何時でも、理事に対して会計の帳薄及び書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
第五節 事業
(事業)
第四十二条 酒類業組合は、左に掲げる事業を行うことができる。
一 酒税法第五十一条第一項に規定する酒税証紙に関する制度の実施に対する協力
二 酒税法の規定により組合員が提出する申告書等の取りまとめ
三 前二号に掲げるものの外、国が組合員に対して発する通知の組合員への伝達その他国の行う酒税の保全に関する措置に対する協力
四 酒税法違反の自発的予防
五 組合員の製造又は販売する酒類の需給が均衡を失したことに因り、酒類の価格がその酒税額及び原価に照らして低下し、又は酒類の代金の回収が遅れる等組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となつたため、酒税の納付が困難となり、又は困難となる虞があると認められる場合において、左に掲げる規制を行うこと。
イ 組合員が製造する酒類の製造石数、原材料の購入数量又はその製造若しくは貯蔵の設備に関する規制
ロ 組合員が販売する酒類の販売石数又はその価格、代金決済の期限その他の取引条件に関する規制
六 組合員の製造する酒類の原材料の購入のあつ旋
七 組合員の資金借入のあつ旋
八 前二号に掲げるものの外、組合員の事業の経営の合理化に関する指導及びあつ旋
九 組合員の製造する酒類の品質の向上に関する研究及び指導
十 前各号に掲げる事業を行うために必要な調査、研究、製品の検査その他の事業
(協定の設定及び変更)
第四十三条 酒類業組合は、前条第五号に掲げる規制を行おうとするときは、総会の議決により規制の内容及びその実施に関する定(以下「協定」という。)を定めて大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更(第四十五条第一項の命令に基く変更を除く。)しようとするときも、同様とする。
2 大蔵大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、当該協定の内容が左の各号の一に該当すると認められるときは、認可をしてはならない。
一 前条第五号に規定する事態を解消するための必要、且つ、最少限度の範囲をこえていること。
二 不当に差別的であること。
三 消費者及び取引の相手方の利益を著しく害すること。
(協定の実施の予告)
第四十四条 酒類業組合の組合員たる事業主は、協定の実施期日の少くとも十五日前に、その従業員に対し、その実施について予告しなければならない。但し、緊急やむを得ない場合においては、この限りでない。
(協定の変更命令等)
第四十五条 大蔵大臣は、第四十三条第一項の認可をした後において、当該協定の内容が同条第二項各号の一に該当するに至つたと認めるときは、遅滞なく、当該酒類業組合に対し、これを変更すべきことを命じなければならない。
2 大蔵大臣は、第四十三条第一項の認可をした後において、当該協定が不必要となつたと認めるときは、遅滞なく、その認可を取り消さなければならない。
3 大蔵大臣は、酒類業組合が第一項の命令に従わないときは、当該協定の認可を取り消すことができる。
(協定の廃止)
第四十六条 協定の廃止は、総会の議決によらなければならない。
2 酒類業組合は、協定を廃止したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
(協定の設定等の公告)
第四十七条 酒類業組合は、協定を設立し、又は変更したときは、その内容の要旨を、協定を廃止したとき、若しくはその認可を取り消されたときは、その旨を、遅滞なく公告しなければならない。
2 前項の公告の方法は、大蔵省令で定める。
(過怠金)
第四十八条 酒類業組合は、定款で定めるところにより、第四十三条第一項の認可を受けた協定に違反した組合員に対し、過怠金を課することができる。
(検査員)
第四十九条 酒類業組合は、定款で定めるところにより、協定の実施を検査するために検査員を置くことができる。
2 検査員は、前項の規定により検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(離職従業員の優先雇用)
第五十条 酒類業組合の組合員たる事業主は、協定の実施がその従業員の離職を招来した場合においては、その後の従業員の採用については、当該離職者の希望によりその者を優先的に雇い入れるように努めなければならない。
(経費の賦課)
第五十一条 酒類業組合は、定款で定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支払について、相殺をもつて酒類業組合に対抗することができない。
(使用料及び手数料)
第五十二条 酒類業組合は、定款で定めるところにより、使用料及び手数料を徴収することができる。
第六節 解散及び清算
(解散の事由)
第五十三条 酒類業組合は、左に掲げる事由によつて解散する。
一 総会の議決
二 合併
三 破 産
四 定款で定める存立時期の満了又は解散事由の発生
五 第九十条の規定による大蔵大臣の解散命令
(合併)
第五十四条 酒類業組合は、合併することができる。
第五十五条 合併をする酒類業組合の一方が合併後存続する場合においては、その理事は、第五十七条第二項において準用する商法第百条(債権者の異議)の手続の終了後、遅滞なく総会を招集して、これに合併に関する事項を報告しなければならない。
2 合併に因り消滅する酒類業組合の組合員は、前項の総会については、合併後存続する酒類業組合の組合員と同一の権利を有する。
第五十六条 合併によつて酒類業組合を設立するには、各酒類業組合がそれぞれ総会において組合員のうちから選任した設立委員が共同して定款を作成しなければならない。
2 設立委員は、第五十七条第二項において準用する商法第百条(債権者の異議)の手続の終了後、遅滞なく、前項の定款を会議の日時及び場所とともに合併に因り消滅する酒類業組合の組合員に通知して、創立総会を招集しなければならない。
3 前項の創立総会においては、設立委員が作成した定款を変更することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定の変更並びに合併の議決の趣旨に反する変更は、できない。
4 第二項の創立総会の議事は、合併に因り消滅する酒類業組合の組合員の総数の半数以上が出席して、その議決権の三分の二以上で決する。
5 第三十八条の規定は、第一項の規定による設立委員の選任について準用する。
(合併についこの商法等の準用)
第五十七条 前条第二項の創立総会については、第十八条第三項及び第三十五条並びに商法第百八十二条(創立事項の報告)、第百八十三条(取締役及び監査役の選任)、第二百三十二条第一項及び第二項(招集通知)、第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(延期又は続行の決議)、第二百四十四条(株主総会の議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条並びに第二百五十三条(株主総会の決議の取消又は無効の訴)の規定を準用する。この場合において、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「設立委員」と、同法第二百四十七条第一項中「又ハ取締役」とあるのは「、理事又ハ監事」と、「第三百四十三条」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第五十六条第四項」と、同法第二百四十九条第一項但書中「取締役」とあるのは「理事又ハ監事」と読み替えるものとする。
2 酒類業組合の合併については、第十九条並びに商法第九十八条第二項(解散会社の合併)、第九十九条(財産目録及び貸借対照表の作成)、第百条(債権者の異議)、第百二条から第百六条まで及び第百八条から百十一条まで(合併の効力発生時期、効果及び無効)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十五条ノ八(債務の負拒部分の決定)の規定を準用する。この場合において、第十九条第一項中「発起人」とあるのは「合併をしようとする酒類業組合の理事」と、「前条第一項の創立総会」とあるのは「第五十五条第一項の総会又は第五十六条第二項の創立総会」と、商法第九十九条中「財産目録及貸借対照表」とあるのは「財産目録」と、同法第百二条中「前条」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第六十五条」と、同法第百四条第二項中「各会社ノ社員」とあるのは「各酒類業組合ノ組合員、理事、監事」と読み替えるものとする。
(清算等についての商法等の準用)
第五十八条 酒類業組合の清算については、商法第百十六条、第百二十二条、第百二十四条、第百二十五条、第百二十九条第二項及び第三項、第百三十一条、第四百十七条から第四百二十三条まで、第四百二十四条第一項、第四百二十六条第一項、第四百二十七条(合名会社及び株式会社の清算)及び第四百二十九条(書類の保存)並びに非訟事件手続法第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五、第百三十六条及び第百三十七条から第百三十八条まで(法人の清算の監督)の規定を、酒類業組合の清算人については、第二十五条から第三十条まで、第三十一条第二項及び第三項、第三十二条、第三十四条(第三項を除く。)、第四十条及び第四十一条並びに民法第四十四条第一項(法人の不法行為能力)、第五十四条(代表権の制限)及び第五十五条(代表権の委任)並びに商法第三十九条第二項(共同支配人)、第七十八条第一項(代表社員の権限)、第二百四十四条第二類(株主総会の議事録)、第二百四十七条、第二百四十九条(株主総会の決議の取消の訴)、第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)、第二百五十四条ノ二(取締役の忠実義務)、第二百五十八条(欠員の場合の措置)、第二百六十六条第四項(取締役の責任の免除)、第二百六十七条から第二百六十八条ノ三まで(取締役に対する責任追及の訴)、第二百六十九条(取締役の報酬)、第二百七十八条(取締役と監査役との連帯責任)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を準用する。この場合において、同法第百二十二条中「第九十四条第四号又ハ第六号」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第五十三条第五号」と、「法務大臣」とあるのは「大蔵大臣」と、同法第百二十四条第一項第三号中「分配」とあるのは「処分」と、同法第百三十一条中「社員ニ分配」とあるのは「処分」と、「財産ヲ分配」とあるのは「財産ヲ処分」と、同法第四百十九条中「財産目録及貸借対照表」とあるのは「財産目録」と、同法第四百二十条中「貸借対照表」とあるのは「収支計算書」と、同法第四百二十四条第一項中「分配」とあるのは「処分」と、同法第二百六十六条第四項中「第一項」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第五十八条第一項において準用する同法第三十条第一項」と、同法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第五十八条第一項ニ於テ準用スル同法第四十条第四項」と読み替えるものとする。
2 酒類業組合の設立の無効については、商法第四百二十八条(株式会社の設立の無効)の規定を準用する。この場合において、同条第二項中「又ハ取締役」とあるものは、「、理事又ハ監事」と読み替えるものとする。
第七節 登記
(登記)
第五十九条 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(設立の登記)
第六十条 酒類業組合は、第二十条の規定による事務の引継があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左に掲げる事項を掲げなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
六 役員の氏名及び住所
七 酒類業組合を代表しない理事があるときは、酒類業組合を代表すべき理事の氏名
八 数人の理事が共同して酒類業組合を代表すべきことを定めたときは、その規定
九 公告の方法
3 酒類業組合は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項に掲げる事項を登記しなければならない。
(従たる事務所の新設の登記)
第六十一条 酒類業組合の成立後従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に前条第二項に掲げる事項を登記し、他の従たる事務所の所在地においては同期間内に従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において新たに従たる事務所を設けたときは、従たる事務所を設けたことを登記することをもつて足りる。
(事務所の移転の登記)
第六十二条 酒類業組合が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第六十条第二項に掲げる事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項に掲げる事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすることをもつて足りる。
(変更の登記)
第六十三条 第六十条第二項に掲げる事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
(解散の登記)
第六十四条 酒類業組合が解散したときは、合併及び破産の場合を除く外、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の登記)
第六十五条 酒類業組合が合併をしたときは、第五十七条第二項において準用する第十九条第一項の認可があつた日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する酒類業組合については変更の登記、合併に因り消滅する酒類業組合については解散の登記、合併に因り成立する酒類業組合については第六十条に規定する登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第六十六条 清算人は、その就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に左に掲げる事項を登記しなければならない。
一 清算人の氏名及び住所
二 酒類業組合を代表しない清算人があるときは、酒類業組合を代表すべき清算人の氏名
三 数人の清算人が共同して酒類業組合を代表すべきことを定めたときは、その規定
2 第六十三条の規定は、前項の規定により登記した事項の変更の登記について準用する。
(清算結了の登記)
第六十七条 酒類業組合の清算が結了したときは、第五十八条第一項において準用する商法第四百二十七条第一項(清算の終了)の承認があつた日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第六十八条 酒類業組合の登記については、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所を管轄登記所とする。
2 各登記所に、酒類業組合登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第六十九条 酒類業組合の設立の登記は、役員の全員の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、定款及び役員たることを証する書面を添附しなければならない。
3 合併に因る酒類業組合の設立の登記の申請書には、第五十七条第二項において準用する商法第百条第一項(債権者の異議)の規定による公告及び催告をしたこと、若し異議を述べた債権者があるときは、これに対して弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面をも添附しなければならない。
第七十条 第六十条第三項の規定による登記は、理事の申請によつてする。
(変更の登記等の申請)
第七十一条 酒類業組合の事務所の新設若しくは移転の登記又は第六十条第二項に掲げる事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設若しくは移転又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 第六十九条第三項の規定は、合併に因る変更の登記の申請について、準用する。
(一時理事の職務を行うべき者の登記の手続)
第七十二条 第三十三条及び第五十八条第一項において準用する商法第二百五十八条第一項(欠員の場合の処置)の規定による登記は、大蔵大臣の嘱託によつてする。
(解散の登記の申請)
第七十三条 第六十四条の規定による酒類業組合の解散の登記は、第四項に規定する場合を除く外、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
3 理事が清算人でないときは、第一項の登記の申請書には、申請人の資格を証する書面をも添附しなければならない。
4 第九十条の規定による命令に基く解散の登記は、大蔵大臣の嘱託によつてする。
第七十四条 第六十五条の規定による酒類業組合の解散の登記は、合併に因り消滅する酒類業組合の理事の申請によってする。
2 第六十九条第三項及び前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
(清算人の登記の申請)
第七十五条 第六十六条第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でないときは、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第六十六条第二項の規定による登記は、清算人の申請によつてするものとし、その登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第七十六条 酒類業組合の清算結了の登記は、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、清算人が第五十八条第一項において準用する商法第四百二十七条第一項(清算の終了)の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(設立無効等の登記の手続)
第七十七条 酒類業組合の設立若しくは合併を無効とし、又は総会の議決を取り消し、若しくは無効とする判決が確定した場合については、非訟事件手続法第百三十五条ノ六(裁判による会社の設立無効の登記)の規定を準用する。
(非訟事件手続法等の準用)
第七十八条 酒類業組合の登記については、商法第十一条(登記事項の公告)及び第六十一条(登記期間の起算)並びに非訟事件手続法第百三十九条ノ二、第百四十二条から第百五十一条ノ六まで及び第百五十四条から第百五十七条まで(商業登記の通則)の規定を準用する。
第三章 連合会及び中央会
(連合会)
第七十九条 第九条第一項の規定により定款で定める酒類の種類を同じくする酒造組合又は同条第三項の規定により定款で定める業態を同じくする酒販組合は、それぞれ、その地区の属する都道府県の区域を地区とする酒造組合連合会又は酒販組合連合会(以下「連合会」と総称する。)を組織することができる。但し、政令で定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けたときは、特別の区域によることができる。
2 酒類卸売業者を組合員とする酒販組合の組織する連合会は、その会員を第九条第五項の規定に該当する酒販組合に限ることができる。この場合においては、当該連合会の会員たる資格を有する当該酒販組合は、他の連合会の会員となることができない。
3 連合会は、その会員の総数がその地区内において前二項の規定により会員たる資格を有する酒類業組合の総数の三分の二以上でなければ、設立することができない。
(中央会)
第八十条 酒造組合連合会及び二以上の税務署の管轄区域をその地区とする酒造組合で加入すべき連合会がないもののうち、同一種類の酒類に係るものは、全国をその地区とする酒造組合中央会を組織することができる。
2 酒販組合連合会及び二以上の税務署の管轄区域をその地区とする酒販組合で加入すべき連合会がないもののうち、同一業態に係るものは、全国をその地区とする酒販組合中央会を組織することができる。
3 前項の場合において、酒販組合中央会は、その会員を前条第二項の規定に該当する酒販組合連合会及び第九条第五項の規定に該当する酒販組合に限ることができる。この場合において、当該酒販組合連合会及び当該酒販組合は、他の酒販組合中央会の会員となることができない。
4 酒造組合中央会及び酒販組合中央会(以下「中央会」と総称する。)は、その会員の総数が前三項の規定により会員たる資格を有する連合会及び酒類業組合の三分の二以上でなければ、設立することができない。
(連合会及び中央会の会員の議決権)
第八十一条 連合会の会員の議決権の数は、会員たる酒類業組合の組合員の数とする。
2 中央会の会員の議決権の数は、会員たる連合会を組織する酒類業組合の組合員又は会員たる酒類業組合の組合員の数とする。
3 連合会若しくは中央会の会員たる酒類業組合又は中央会の会員たる連合会を組織する酒類業組合が第九条第二項但書又は同条第四項但書の規定の適用を受けるものである場合には、当該連合会若しくは中央会に係る第七十九条第一項若しくは前条第一項に規定する酒類の種類と異なる種類の酒類の酒類製造業者である組合員の数又は当該連合会若しくは中央会に係る第七十九条第一項若しくは前条第二項に規定する業態と異なる業態の酒類販売業者である組合員の数は、前二項の規定の適用については、当該酒類業組合の組合員の数に算入しない。
(連合会及び中央会の事業)
第八十二条 連合会は、左に掲げる事業を行うことができる。
一 酒税法第五十一条第一項に規定する酒税証紙に関する制度の実施その他国の行う酒税の保全に関する措置に対する協力
二 酒税法違反の自発的予防
三 会員たる酒類業組合が行う第四十二条第五号に規定する規制についての総合調整計画の設定及びその実施
四 会員たる酒類業組合の組合員の製造する酒類の原材料の購入のあつ旋
五 会員たる酒類業組合及びその組合員の資金の借入のあつ旋
六 前二号に掲げるものの外、会員たる酒類業組合の組合員の事業の経営の合理化に関する指導及びあつ旋
七 会員たる酒類業組合の組合員の製造する酒類の品質の向上に関する研究及び指導
八 前各号に掲げる事業を行うために必要な調査、研究、製品の検査その他の事業
2 前項の規定は、中央会について準用する。この場合において、同項第三号中「規制」とあるのは「規制又は会員たる連合会がその会員のする規制について行う調整事業」と、第四号から第七号まで中「会員たる酒類業組合」とあるのは「会員たる酒類業組合又は会員たる連合会の構成員たる酒類業組合」と読み替えるものとする。
(準用)
第八十三条 第四条、第五条、第六条(第三項を除く。)第八条、第十条、第十一条第一項、第十二条、第十三条、第十五条から第二十八条まで、第二十九条(第一項第二号及び第三号を除く。)、第三十条から第三十四条まで、第三十五条(第一項を除く。)、第三十六条から第四十一条まで、第四十三条、第四十五条から第四十八条まで、第五十一条から第七十八条までの規定は、連合会及び中央会について準用する。この場合において、第十五条第一項中「その組合員となろうとする者三人以上」とあるのは連合会については「その会員となろうとする酒類業組合二以上」と、中央会については「その会員となろうとする連合会又は酒類業組合二以上」と、第十九条第二項第三号中「第十四条」とあるのは、連合会については「第七十九条第三項」と、中央会については「第八十条第四項」と、第三十四条第四項中「総組合員の五分の一以上の者」とあるのは「議決権の総数の五分の一以上に相当する議決権を有する会員」と、第四十一条中「総組合員の十分の一以上の者」とあるのは「議決権の総数の十分の一以上に相当する議決権を有する会員」と、第四十三条第一項中「前条第五号に掲げる規制」とあるのは、連合会については「第八十二条第一項第三号の事業」と、中央会については「第八十二条第二項において準用する同条第一項第三号の事業」と、「規制の内容」とあるのは「総合調整計画の内容」と、第六十八条第二項中「酒類業組合登記簿」とあるのは、連合会については「酒類業組合連合会登記簿」と、中央会については「酒類業組合中央会登記簿」と読み替えるものとする。
第四章 酒税保全措置
(酒税保全のための勧告又は命令)
第八十四条 大蔵大臣は、酒類の需給が均衡を失したことに因り、酒類の価格が酒税額及び原価に照らして低下し、又は酒類の代金の回収が遅れているため、酒税の滞納若しくは脱税が行われ、又は行われる虞があると認められる場合においては、左に掲げる事項につき内容を定めて、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会又は酒造組合に加入していない酒類製造業者に対し、これに従うべき旨の勧告をすることができる。
一 酒類の製造石数、原材料の購入数量又はその製造若しくは貯蔵の設備に関する規制
二 酒類の販売石数又はその価格、代金決済の期限その他の販売条件に関する規制
2 大蔵大臣は、前項の規定に該当する場合において、勧告によつては同項に規定する事態を解消することができないと認めるときは、同項の規定による勧告をした後又は当該勧告に代えて、大蔵省令をもつて、酒類製造業者に対し、同項各号に掲げる事項につき命令することができる。
3 大蔵大臣は、第一項の規定に該当する場合において、前二項の規定による勧告又は命令によつては第一項に規定する事態を解消することができないと認めるときは、当該勧告若しくは命令をした後又は当該勧告若しくは命令と同時に、あるいは、酒類販売業者の取引の状況により特に必要があると認めるときは、当該勧告若しくは命令をしないで、同項第二号に掲げる事項につき内容を定めて、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会若しくは酒販組合に加入していない酒類販売業者に対し、これに従うべき旨の勧告をし、又は前項の規定に準じ、酒類販売業者に対し命令することができる。
4 前三項の規定による勧告又は命令の内容は、第四十三条第二項各号の一に該当するものであつてはならない。
5 第一項又は第三項の規定による勧告は、その相手方に対する個個の通知に代えて、官報にその内容を公告することによつて、することができる。
6 酒類製造業者が、事業経営の著しい不健全のため、酒税を滞納し、又は滞納する虞がある場合において、その者に担保の提供の能力がないときその他酒税の保全のため必要があると認められるときは、大蔵大臣は、その者に対し、適正な減価償却、経費の節約その他経理に関する改善をなすべきことを勧告することができる。
(酒類審議会への諮問)
第八十五条 大蔵大臣は、前条第二項又は第三項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、酒税法第三十七条の規定による中央酒類審議会に諮問しなければならない。
(酒類の種類等の表示義務)
第八十六条 酒類製造業者又は酒類販売業者は、政令で定めるところにより、酒税法の規定による酒類の種類、類別及び級別その他政令で定める事項を容易に識別することができる方法でその販売する酒類の容器の見やすい所に表示しなければならない。
第五章 監督
(届出)
第八十七条 酒類業組合、連合会及び中央会(以下「酒類業組合等」という。)は、左に掲げる場合においては、政令で定めるところにより、二週間以内に、当該各号に規定する事項を大蔵大臣に届け出なければならない。
一 酒類業組合等が成立し、又は解散したときは、その旨
二 組合員名簿又は会員名薄の記載事項に異動を生じたときは、異動事項
三 第六十条第二項第六号から第八号までに掲げる事項に異動を生じたときは、異動事項
(役員の解任命令)
第八十八条 大蔵大臣は、酒類業組合等の役員がこの法律又はこの法律に基く政令若しくは省令に違反したときは、当該酒類業組合等に対し、当該役員を解任すべきことを命ずることができる。
(業務等の改善命令)
第八十九条 大蔵大臣は、酒類業組合等の業務又は会計が法令又は定款に違反していると認めるときは、酒類業組合等に対し、期間を定めてその業務又は会計を是正すべきことを命ずることができる。
2 大蔵大臣は、酒類業組合等の運営が著しく適正を欠くと認めるときは、酒類業組合等に対し、改善のための適切な措置を講ずべきことを勧告することができる。
(解散命令)
第九十条 大蔵大臣は、酒類業組合等が左の各号の一に該当すると認めるときは、その解散を命ずることができる。
一 第五条(第八十三条において準用する場合を含む。)に規定する要件を欠くに至つたとき。
二 第十四条、第七十九条第三項又は第八十条第四項の要件を欠くに至つたとき。
三 定款に定める事業以外の事業を行つた場合において、前条第一項の命令をなしたにもかかわらずこれに従わないとき。
2 大蔵大臣は、前項の規定により解散を命じようとするときは、あらかじめ酒類業組合等にその旨を理由を附して通知し、当該酒類業組合等を代表する役員又はその代理人の出頭を求め、釈明のための証拠を提出する機会を与えるため、部下の職員をして聴聞をさせなければならない。
(質問検査権)
第九十一条 大蔵大臣は、この法律の施行に必要な限度において、酒類業組合等、酒類製造業者若しくは酒類販売業者に対し、その業務若しくは財産に関し必要な報告を求め、又は当該職員をして、これらの者に対し質問し、若しくはその事務所若しくは事業所に立ち入り、業務若しくは財産の状況、帳簿書類、設備、原材料若しくは酒類の検査をさせることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(交付金の交付)
第九十二条 国は、酒類業組合に対し、組合の事務に必要な使用人の給料、帳簿書類の購入費、事務所の使用料その他欠くことのできない事務費を補うため、予算の範囲内において、交付金を交付することができる。
2 国は、酒類業組合に対し、組合の役員又は組合員の報酬の支払に充てるため、交付金を交付してはならない。
3 第一項の規定による交付金の交付の手続については、政令で定める。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の適用除外)
第九十三条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の規定は、酒類業組合等又はその組合員若しくは会員が第四十三条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)の認可を受けた協定に基いて行う行為及び第八十四条第一項から第三項までの規定による勧告又は命令を受けた者が当該勧告又は命令に基いて行う行為には、適用しない。但し、不公正な競争方法を用いるときは、この限りでない。
(公正取引委員会との関係)
第九十四条 大蔵大臣は、第四十三条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)の認可をしようとするときは、あらかじめ、公正取引委員会の同意を得なければならない。
2 大蔵大臣は、第八十四条第一項から第三項までの規定による勧告又は命令をしようとするときは、あらかじめ、公正取引委員会に協議しなければならない。
3 公正取引委員会は、第四十三条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)の認可を受けた協定の内容が第四十三条第二項各号(第八十三条において準用する場合を含む。)の一に該当するに至つたと認めるときは、大蔵大臣に対し、第四十五条(第八十三条において準用する場合を含む。)の規定による処分を請求することができる。
(実施規定)
第九十五条 この法律に特に規定するものの外、この法律の実施のための手続その他その施行について必要な事項は、大蔵省令で定める。
第七章 罰則
第九十六条 第八十四条第二項又は第三項の規定による命令に違反した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
第九十七条 第四十三条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けない協定を実施した場合においては、酒類業組合等の理事でその行為をした者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第九十八条 左の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第八十六条の規定に違反した者
二 第九十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して偽りの陳述をし、若しくはその職務の執行を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第九十九条 第六条第三項(第八十三条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
第百条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第九十六条又は前二条の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対して、各本案の罰金刑を科する。
第百一条 左の各号の一に該当する場合においては、酒類業組合等の発起人、理事、監事又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定に基いて酒類業組合等が行うことができる事業以外の事業を営んだとき。
二 この法律に定める登記を怠つたとき。
三 この法律に定める公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
四 第十条(第八十三条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
五 第十三条第二項(第八十三条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第二十二条若しくは第三十九条(これらの規定を第八十三条において準用する場合を含む。)において準用する商法第二百四十四条、第五十七条第二項(第八十三条において準用する場合を含む。)において準用する商法第九十九条又は第五十八条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)において準用する商法第四百十九条の規定に違反して議事録若しくは財産目録を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは偽りの記載をしたとき。
七 第二十八条、第二十九条又は第四十条第二項若しくは第三項(これらの規定を第五十八条第一項及び第八十三条において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは偽りの記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覧若しくは謄写を拒んだとき。
八 この法律又は定款で定めた理事又は監事の定数を欠くに至つた場合において、その選任手続をすることを怠つたとき。
九 第三十一条第二項又は第三項(第五十八条第一項及び第八十三条において準用する場合を含む。)の規定による調査を妨げたとき。
十 第三十四条第一項(第五十八条第一項及び第八十三条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十一 第四十一条(第五十八条第一項及び第八十三条において準用する場合を含む。)の規定に違反して正当な理由がないのに帳簿又は書類の閲覧又は謄写を拒んだとき。
十二 第四十六条第二項(第八十三条において準用する場合を含む。)又は第八十七条の規定による届出を怠つたとき。
十三 第五十八条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)において準用する商法第百三十一条の規定に違反して財産を処分したとき。
十四 第五十八条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
十五 第五十八条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)において準用する商法第四百二十三条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
十六 第五十八条第一項(第八十三条において準用する場合を含む。)において準用する商法第百二十四条第三項の規定に違反して破産宣告の請求をすることを怠つたとき。
十七 裁判所の選任した清算人に事務の引渡をしないとき。
附 則
1 この法律は、昭和二十八年三月一日から施行する。
2 酒類業組合等がその設立に際し酒類製造業者又は酒類販売業者が組織する民法第三十四条の規定により設立された法人又は中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)の規定により設立された事業協同組合から資産の贈与を受けた場合においては、当該酒類業組合等の設立の日を含む事業年度の所得に対する法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の適用については、当該資産の価額は、当該事業年度の所得の計算上、益金に算入しない。
3 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「塩業組合中央会」の下に「、酒類業組合、酒造組合連合会、酒販組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合中央会」を、「塩専売法」の下に「、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」を加える。
4 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十三号中「これらを営む者」を「並びにこれらを営む者並びに酒類業組合、その連合会及びその中央会」に改める。
第九条第一項第一号中「制度」の下に「及び酒類業組合等に関する制度」を加える。
第三十四条第三号中「これを営む者」を「並びにこれらを営む者並びに酒類業組合、その連合会及びその中央会」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 犬養健
大蔵大臣 向井忠晴