自動車抵当法施行法
法令番号: 法律第188号
公布年月日: 昭和26年6月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

自動車運送事業の発展と自動車輸送の振興のため、老朽車を新車に更新し車両の保安度を向上させることが必要だが、現行の金融取引では自動車を担保にする際、所有権留保か譲渡担保の形式しかなく、取引の安全性に問題がある。この課題を解決するため、道路運送車両法による車両検査・登録制度と関連させた動産抵当制度を確立する。登録自動車を抵当権の目的とし、民法の物権規定を基本としながら、自動車登録原簿への登録による対抗力の付与など、制度の円滑な運用を図るための規定を整備する。

参照した発言:
第10回国会 衆議院 運輸委員会 第19号

審議経過

第10回国会

衆議院
(昭和26年3月31日)
参議院
(昭和26年3月31日)
(昭和26年5月10日)
衆議院
(昭和26年5月15日)
参議院
衆議院
(昭和26年5月19日)
(昭和26年5月21日)
(昭和26年5月24日)
参議院
(昭和26年5月24日)
(昭和26年5月25日)
衆議院
(昭和26年5月26日)
(昭和26年5月26日)
参議院
(昭和26年5月26日)
(昭和26年5月28日)
衆議院
(昭和26年6月5日)
参議院
(昭和26年6月6日)
自動車抵当法施行法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十八号
自動車抵当法施行法
(鉄道抵当法の改正)
第一條 鉄道抵当法(明治三十八年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第四條第三項但書を次のように改める。
但シ不動産ニ関スル権利ニ付其ノ登記ナキトキ又ハ自動車ノ抵当権ニ付其ノ登録ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十六條第一項中「管轄登記所ニ通知」を「管轄登記所又ハ管轄陸運局長ニ通知」に改め、同項但書を次のように改める。
但シ第二号ノ場合ニ於テハ新ナル管轄登記所ニ、第三号ノ場合ニ於テハ新ナル管轄陸運局長ニノミ通知スベシ
第三十六條第一項第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)ニ依ル自動車ニシテ軽自動車及二輪ノ小型自動車以外ノモノガ新ニ鉄道財団ニ属シタルトキ
第三十六條第二項中「第三号」を「第四号」に改める。
第三十七條第一項中「第三号」を「第四号」に改め、同項の次に次の一項を加える。
前項ノ規定ハ陸運局長ガ前條第一号又ハ第三号ノ通知ヲ受ケタル場合ニ之ヲ準用ス
(工場抵当法の改正)
第二條 工場抵当法(明治三十八年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第十三條の次に次の一條を加える。
第十三條ノ二 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)ニ依ル自動車ニシテ軽自動車及二輪ノ小型自動車以外ノモノ(以下自動車ト称ス)ハ同法ニ依リ登録ヲ受クルニ非ザレバ工場財団ニ属セシムルコトヲ得ズ
第二十三條第四項中「工業所有権」の下に「又ハ自動車」を加え、「特許局」を「特許庁又ハ管轄陸運局長」に改める。
第二十六條の次に次の一條を加える。
第二十六條ノ二 前三條ノ規定ハ登記又ハ登録アル動産ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十八條第二項及び第三項中「又ハ特許局」を「、特許庁又ハ陸運局長」に改める。
第三十條中「競売申立ノ登記」の下に「又ハ登録」を加える。
第三十一條中「仮処分ノ登記」の下に「若ハ登録」を加える。
第三十二條中「登記」の下に「又ハ登録」を加える。
第三十七條第二項中「及第三項」を「乃至第四項」に、「登記簿謄本」を「登記簿又ハ登録ニ関スル原簿ノ謄本」に改める。
第四十四條第四項中「工業所有権」の下に「若ハ自動車」を加え、「特許局」を「特許庁又ハ陸運局長」に改める。
第四十七條第一項中「又ハ工業所有権」を「、工業所有権又ハ自動車」に、「又ハ特許局」を「、特許庁又ハ管轄陸運局長」に改める。
(農業動産信用法施行令の改正)
第三條 農業動産信用法施行令(昭和八年勅令第三百七号)の一部を次のように改正する。
第一條但書中「第五号」を「第五号及第六号」に改め、第五号の次に次の一号を加える。
六 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)ニ依ル自動車ニシテ軽自動車及二輪ノ小型自動車以外ノモノ
(経過規定)
第四條 この法律施行の際、現に鉄道抵当法による鉄道財団に属している自動車(道路運送車両法による自動車で軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものをいう。以下同じ。)については、この法律の規定による改正前の鉄道抵当法の規定を適用する。但し、その自動車について次項の規定による鉄道財団目録の表示の変更の登録をした後は、この限りでない。
2 前項本文の自動車の所有者は、その自動車が道路運送車両法による登録を受けたときは、鉄道財団目録に記載された自動車の表示の変更の登録を申請しなければならない。
3 前項の変更の登録の申請書には、当該自動車登録原簿の謄本を添付しなければならない。
4 第二項の変更の登録をした場合には、運輸大臣は、その自動車が鉄道財団に属している旨を管轄陸運局長に通報しなければならない。
5 陸運局長は、前項の規定による通報があつたときは、自動車登録原簿にその自動車が鉄道財団に属する旨の登録をしなければならない。
第五條 前條の規定は、工場抵当法による工場財団、鉱業抵当法(明治三十八年法律第五十五号)による鉱業財団、軌道ノ抵当ニ関スル法律(明治四十二年法律第二十八号)による軌道財団、運河法(大正二年法律第十六号)による運河財団、漁業財団抵当法(大正十四年法律第九号)による漁業財団、道路運送法施行法(昭和二十六年法律第百八十四号)による自動車交通事業財団及び港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)による港湾運送事業財団について準用する。
第六條 この法律施行の際、現に登記ある農業動産信用法(昭和八年法律第三十号)による抵当権で自動車を目的とするものは、この法律施行後二箇月間は、なおその効力を有する。但し、次項の規定による登録を受けた場合には、その時からその効力を失う。
2 前項の期間内に、抵当権者は、登記簿の謄本を添え、管轄陸運局長に対し、その自動車が農業動産信用法による抵当権の目的となつている旨の登録の申請をすることができる。
3 前項の登録は、自動車抵当法(昭和二十六年法律第百八十七号。以下「法」という。)の規定に準じ、登記簿の記載事項を自動車登録原簿に記載することによつて行う。
4 第二項の登録を受けたときは、法の規定による登録を受けたものとみなし、その抵当権は、法の規定による抵当権とみなす。
5 抵当権設定者が、この法律施行の日から二箇月以内に抵当権の目的となつている自動車について道路運送車両法による登録を受けなかつたときは、抵当権者は、直ちに、その権利を実行することができる。
6 前項の規定により抵当権を実行しようとするときは、抵当権者は、この法律施行の日から四箇月以内に、その手続をしなければならない。
7 前項の規定により抵当権の実行の手続をすることができる期間内及び抵当権の実行の終るまでの間は、抵当権は、なおその効力を有するものとみなす。
8 数個の債権を担保するため同一の自動車について第四項の規定により法の規定によるものとみなされた抵当権が設定されているときは、これらの抵当権の順位は、第一項の登記の前後による。
9 第四項の規定により法の規定によるものとみなされた抵当権は、法の規定による抵当権に優先する。
第七條 法施行の際、現に存する質権で法第二條の自動車を目的とするものは、法施行の日から二箇月以内に自動車登録原簿にその旨の登録を受けたときは、法第二十條の規定にかかわらず、なおその効力を有する。
2 前項の規定により、なお効力を有する質権は、法の規定による抵当権に優先する。
(登録税法の改正)
第八條 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三條ノ五の次に次の一條を加える。
第三條ノ六 自動車ノ抵当権ニ関スル登録ヲ受クルトキハ左ノ区別ニ従ヒ登録税ヲ納ムベシ
一 抵当権ノ取得 債権金額 千分ノ三
二 抹消シタル登録ノ回復 自動車毎一両 金十五円
三 登録ノ更正、変更又ハ抹消 自動車毎一両 金十五円
(担保附社債信託法の改正)
第九條 担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第四條第一項第四号の次に次の一号を加える。
四ノ二 自動車抵当
附 則
この法律は、法施行の日から施行する。
法務総裁 大橋武夫
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 広川弘禪
通商産業大臣 横尾龍
運輸大臣 山崎猛
建設大臣 増田甲子七
内閣総理大臣 吉田茂
自動車抵当法施行法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十八号
自動車抵当法施行法
(鉄道抵当法の改正)
第一条 鉄道抵当法(明治三十八年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第三項但書を次のように改める。
但シ不動産ニ関スル権利ニ付其ノ登記ナキトキ又ハ自動車ノ抵当権ニ付其ノ登録ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十六条第一項中「管轄登記所ニ通知」を「管轄登記所又ハ管轄陸運局長ニ通知」に改め、同項但書を次のように改める。
但シ第二号ノ場合ニ於テハ新ナル管轄登記所ニ、第三号ノ場合ニ於テハ新ナル管轄陸運局長ニノミ通知スベシ
第三十六条第一項第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)ニ依ル自動車ニシテ軽自動車及二輪ノ小型自動車以外ノモノガ新ニ鉄道財団ニ属シタルトキ
第三十六条第二項中「第三号」を「第四号」に改める。
第三十七条第一項中「第三号」を「第四号」に改め、同項の次に次の一項を加える。
前項ノ規定ハ陸運局長ガ前条第一号又ハ第三号ノ通知ヲ受ケタル場合ニ之ヲ準用ス
(工場抵当法の改正)
第二条 工場抵当法(明治三十八年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第十三条の次に次の一条を加える。
第十三条ノ二 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)ニ依ル自動車ニシテ軽自動車及二輪ノ小型自動車以外ノモノ(以下自動車ト称ス)ハ同法ニ依リ登録ヲ受クルニ非ザレバ工場財団ニ属セシムルコトヲ得ズ
第二十三条第四項中「工業所有権」の下に「又ハ自動車」を加え、「特許局」を「特許庁又ハ管轄陸運局長」に改める。
第二十六条の次に次の一条を加える。
第二十六条ノ二 前三条ノ規定ハ登記又ハ登録アル動産ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十八条第二項及び第三項中「又ハ特許局」を「、特許庁又ハ陸運局長」に改める。
第三十条中「競売申立ノ登記」の下に「又ハ登録」を加える。
第三十一条中「仮処分ノ登記」の下に「若ハ登録」を加える。
第三十二条中「登記」の下に「又ハ登録」を加える。
第三十七条第二項中「及第三項」を「乃至第四項」に、「登記簿謄本」を「登記簿又ハ登録ニ関スル原簿ノ謄本」に改める。
第四十四条第四項中「工業所有権」の下に「若ハ自動車」を加え、「特許局」を「特許庁又ハ陸運局長」に改める。
第四十七条第一項中「又ハ工業所有権」を「、工業所有権又ハ自動車」に、「又ハ特許局」を「、特許庁又ハ管轄陸運局長」に改める。
(農業動産信用法施行令の改正)
第三条 農業動産信用法施行令(昭和八年勅令第三百七号)の一部を次のように改正する。
第一条但書中「第五号」を「第五号及第六号」に改め、第五号の次に次の一号を加える。
六 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)ニ依ル自動車ニシテ軽自動車及二輪ノ小型自動車以外ノモノ
(経過規定)
第四条 この法律施行の際、現に鉄道抵当法による鉄道財団に属している自動車(道路運送車両法による自動車で軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものをいう。以下同じ。)については、この法律の規定による改正前の鉄道抵当法の規定を適用する。但し、その自動車について次項の規定による鉄道財団目録の表示の変更の登録をした後は、この限りでない。
2 前項本文の自動車の所有者は、その自動車が道路運送車両法による登録を受けたときは、鉄道財団目録に記載された自動車の表示の変更の登録を申請しなければならない。
3 前項の変更の登録の申請書には、当該自動車登録原簿の謄本を添付しなければならない。
4 第二項の変更の登録をした場合には、運輸大臣は、その自動車が鉄道財団に属している旨を管轄陸運局長に通報しなければならない。
5 陸運局長は、前項の規定による通報があつたときは、自動車登録原簿にその自動車が鉄道財団に属する旨の登録をしなければならない。
第五条 前条の規定は、工場抵当法による工場財団、鉱業抵当法(明治三十八年法律第五十五号)による鉱業財団、軌道ノ抵当ニ関スル法律(明治四十二年法律第二十八号)による軌道財団、運河法(大正二年法律第十六号)による運河財団、漁業財団抵当法(大正十四年法律第九号)による漁業財団、道路運送法施行法(昭和二十六年法律第百八十四号)による自動車交通事業財団及び港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)による港湾運送事業財団について準用する。
第六条 この法律施行の際、現に登記ある農業動産信用法(昭和八年法律第三十号)による抵当権で自動車を目的とするものは、この法律施行後二箇月間は、なおその効力を有する。但し、次項の規定による登録を受けた場合には、その時からその効力を失う。
2 前項の期間内に、抵当権者は、登記簿の謄本を添え、管轄陸運局長に対し、その自動車が農業動産信用法による抵当権の目的となつている旨の登録の申請をすることができる。
3 前項の登録は、自動車抵当法(昭和二十六年法律第百八十七号。以下「法」という。)の規定に準じ、登記簿の記載事項を自動車登録原簿に記載することによつて行う。
4 第二項の登録を受けたときは、法の規定による登録を受けたものとみなし、その抵当権は、法の規定による抵当権とみなす。
5 抵当権設定者が、この法律施行の日から二箇月以内に抵当権の目的となつている自動車について道路運送車両法による登録を受けなかつたときは、抵当権者は、直ちに、その権利を実行することができる。
6 前項の規定により抵当権を実行しようとするときは、抵当権者は、この法律施行の日から四箇月以内に、その手続をしなければならない。
7 前項の規定により抵当権の実行の手続をすることができる期間内及び抵当権の実行の終るまでの間は、抵当権は、なおその効力を有するものとみなす。
8 数個の債権を担保するため同一の自動車について第四項の規定により法の規定によるものとみなされた抵当権が設定されているときは、これらの抵当権の順位は、第一項の登記の前後による。
9 第四項の規定により法の規定によるものとみなされた抵当権は、法の規定による抵当権に優先する。
第七条 法施行の際、現に存する質権で法第二条の自動車を目的とするものは、法施行の日から二箇月以内に自動車登録原簿にその旨の登録を受けたときは、法第二十条の規定にかかわらず、なおその効力を有する。
2 前項の規定により、なお効力を有する質権は、法の規定による抵当権に優先する。
(登録税法の改正)
第八条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条ノ五の次に次の一条を加える。
第三条ノ六 自動車ノ抵当権ニ関スル登録ヲ受クルトキハ左ノ区別ニ従ヒ登録税ヲ納ムベシ
一 抵当権ノ取得 債権金額 千分ノ三
二 抹消シタル登録ノ回復 自動車毎一両 金十五円
三 登録ノ更正、変更又ハ抹消 自動車毎一両 金十五円
(担保附社債信託法の改正)
第九条 担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第四号の次に次の一号を加える。
四ノ二 自動車抵当
附 則
この法律は、法施行の日から施行する。
法務総裁 大橋武夫
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 横尾龍
運輸大臣 山崎猛
建設大臣 増田甲子七
内閣総理大臣 吉田茂