(事業実施計画)
第十三条 機構は、前条第一項第一号の業務を行おうとするときは、政令で定めるところにより、水資源開発基本計画に基づいて事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、国の関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 機構は、第一項の規定により事業実施計画を作成し、又は変更しようとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供しようとする者(当該事業実施計画の変更に際し、事業からの撤退(当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとした者が、その後の事情の変化により当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとしなくなることをいう。以下同じ。)をする者を含む。)又は当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水をかんがいの用に供しようとする者の組織する土地改良区の意見を聴くとともに、第二十五条第一項の規定による費用の負担について当該費用の負担をする者の同意を得なければならない。
4 土地改良区は、前項の同意をするには、政令で定めるところにより、総会又は総代会の議決を経、かつ、その組合員のうち同項の流水をかんがいの用に供しようとする者(施設の更新のために行う前条第一項第一号の改築の業務で当該改築に係る施設の有している機能の維持を図ることを目的とすることその他当該改築に係る施設を利用して現に流水をかんがいの用に供する者の権利又は利益を侵害するおそれがないことが明らかなものとして政令で定める要件に適合するものにあっては、当該現に流水をかんがいの用に供する者を除く。)の三分の二以上の同意を得なければならない。
5 主務大臣は、かんがい排水に係る前条第一項第一号の業務(特定施設に係るものを除く。)について第一項の規定による事業実施計画の認可をしたときは、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
6 機構は、事業実施計画に基づく事業を廃止しようとするときは、政令で定めるところにより、関係都道府県知事に協議するとともに、主務大臣の認可を受けて、当該事業実施計画を廃止しなければならない。この場合においては、第二項の規定を準用する。
7 機構は、前項の規定により事業実施計画を廃止しようとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、第三項の規定により意見を聴いた者(当該事業実施計画の廃止前に事業からの撤退をした者を除く。)の意見を聴くとともに、第二十五条第二項の規定による費用の負担について当該費用の負担をする者の同意を得なければならない。
(事業の承継等)
第十四条 国土交通大臣又は農林水産大臣は、それぞれ、国土交通大臣が河川法による河川工事として行っている事業(第十二条第一項第一号の業務に該当するものに限る。)又は国が土地改良事業として行っている事業(同号の業務に該当するものに限る。)のうち、水資源開発基本計画に基づき機構が引き継いで行うべきであると認めるものについては、機構に対し、その実施を求めることができる。
2 農林水産大臣は、都道府県が土地改良事業として行っている事業(第十二条第一項第一号の業務に該当するものに限る。)のうち、当該都道府県から機構において行うべき旨の申出があり、かつ、水資源開発基本計画に基づき機構が引き継いで行うべきであると認めるものについては、機構に対し、その実施を求めることができる。
3 国土交通大臣又は農林水産大臣は、第一項の規定によりその実施を求めた事業(以下この条及び第二十六条において「国の水資源開発事業」という。)又は前項の規定によりその実施を求めた事業(以下この条において「都道府県の水資源開発事業」という。)について、機構がその求めに応じて第十二条第一項第一号の業務を行おうとする場合において前条第一項の規定による事業実施計画の認可をしたときは、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
4 機構は、前項の規定による公示があった日の翌日から、その業務として国の水資源開発事業又は都道府県の水資源開発事業を行うものとする。
5 前項の規定により機構が国の水資源開発事業をその業務として行うこととなった時において当該国の水資源開発事業に関し国が有する権利及び義務(当該国の水資源開発事業に関する治水特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定又は国営土地改良事業特別会計の財政融資資金からの負債を含み、政令で定める権利又は義務を除く。)は、その時において機構が承継する。
6 第四項の規定により機構が国の水資源開発事業をその業務として行う場合において、国土交通大臣が当該国の水資源開発事業と密接な関連を有する工事(以下この項において「関連工事」という。)で発電に係るものを行っているとき、又は国が委託に基づき関連工事を行っているときは、機構が当該国の水資源開発事業をその業務として行うこととなった時において当該関連工事に関し国が有する権利及び義務(政令で定める権利又は義務を除く。)は、その時において機構が承継する。ただし、当該関連工事が委託に基づくものである場合において、国がその委託をしている者の同意を得ることができなかったときは、この限りでない。
7 第四項の規定により機構が都道府県の水資源開発事業をその業務として行うこととなった時において当該都道府県の水資源開発事業に関し当該都道府県が有する権利及び義務の機構への承継については、当該都道府県と機構とが協議して定めるものとする。
8 第四項の規定により機構がその業務として行う国の水資源開発事業が土地改良事業に係るものであるときは、機構は、政令で定めるところにより、第二十五条第一項、第二十六条第一項又は第二十七条の規定による負担金の額のうち、当該国の水資源開発事業を行うにつき国が要した費用の一部に相当する金額を国庫に納付しなければならない。
(土地改良法の準用)
第十五条 機構がかんがい排水に係る第十二条第一項第一号の業務(特定施設に係るものを除く。)を行う場合については、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第百二十二条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「第十条第三項、第四十八条第十一項(第九十五条の二第三項及び第九十六条の三第五項において準用する場合を含む。)、第八十七条第五項(第八十七条の二第十項並びに第八十七条の三第六項、第十項及び第十三項において準用する場合を含む。)、第九十五条第四項、第九十六条の二第七項、第九十八条第十項又は第九十九条第十二項(第百条の二第二項(第百十一条において準用する場合を含む。)及び第百十一条において準用する場合を含む。)の規定による公告」とあるのは、「独立行政法人水資源機構法第十三条第五項の規定による公示」と読み替えるものとする。
(施設管理規程)
第十六条 機構は、水資源開発施設について第十二条第一項第二号の業務を行おうとする場合においては、施設管理規程を作成し、関係都道府県知事(操作を伴う特定施設で政令で定めるもの(以下「操作特定施設」という。)に係る施設管理規程にあっては、政令で定めるところにより、関係都道府県知事又は関係都道府県知事及び関係市町村長)及び当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用について第十三条第三項の規定による同意をした者(事業からの撤退をした者を除く。)に協議するとともに、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 機構は、愛知豊川用水施設について第十二条第一項第二号の業務を行おうとする場合においては、施設管理規程を作成し、関係県知事、愛知豊川用水施設を利用して流水を発電、水道又は工業用水道の用に供しようとする者及び愛知豊川用水施設を利用して流水をかんがいの用に供しようとする者の組織する土地改良区に協議するとともに、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 前二項の施設管理規程には、政令で定める事項(操作特定施設、河川法第四十四条に規定するダム(以下「利水ダム」という。)その他操作を伴う施設に係るものにあっては、政令で定める操作に関する事項を含む。)を定めなければならない。
4 主務大臣は、第一項又は第二項の認可をしようとするときは、あらかじめ、国の関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 主務大臣は、第一項又は第二項の認可をしようとする場合において、当該施設管理規程が利水ダムに係るものであるときは、あらかじめ、河川管理者に協議しなければならない。
6 河川管理者は、操作特定施設又は利水ダムに係る施設管理規程の操作に関する事項についての定めによっては、当該操作特定施設若しくは利水ダムに関する工事又は河川の状況の変化その他当該河川に関する特別の事情により、河川管理上支障を生ずると認める場合においては、当該操作に関する事項の変更を要請することができる。
7 河川管理者は、前項の要請をしようとする場合において、当該施設管理規程が利水ダムに係るものであるときは、あらかじめ、主務大臣に協議しなければならない。
8 機構は、河川管理者から第六項の規定による要請があったときは、速やかに、その要請に応じなければならない。
(河川法の特例)
第十七条 特定施設は、河川管理施設とし、機構は、河川法第九条及び第十条の規定にかかわらず、河川管理施設である特定施設の新築若しくは改築を行い、又は当該新築若しくは改築に係る特定施設若しくは水資源開発公団による旧水公団法第十八条第一項第一号の業務の実施により生じた施設で附則第二条第一項の規定により機構が承継した特定施設の管理を行うことができる。
2 機構は、前項の規定により特定施設の新築若しくは改築又は管理を行う場合においては、政令で定めるところにより、河川法に規定する河川管理者の権限を行うことができる。
3 機構は、特定施設の新築又は改築の工事を開始しようとするとき、及び当該工事を完了したときは、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
4 河川法第四十七条の規定は、機構が設置する利水ダムについては、適用しない。
5 河川管理者は、特に必要があると認めるときは、河川管理施設である第十二条第一項第二号ハに掲げる施設の管理を、機構に委託することができる。
(特定施設の操作に関する国土交通大臣の指揮)
第十八条 国土交通大臣は、洪水を防ぐため緊急の必要があると認めるときは、その必要の範囲内において、特定施設の操作に関し、政令で定めるところにより、機構を指揮することができる。
2 機構は、国土交通大臣から前項の規定による指揮があったときは、その指揮に従わなければならない。
(危害防止のための通知等)
第十九条 機構は、水資源開発施設又は愛知豊川用水施設を操作することによって流水の状況に著しい変化を生ずると認める場合において、これによって生ずる危害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、関係都道府県知事、関係市町村長及び関係警察署長に通知するとともに、一般に周知させるため必要な措置をとらなければならない。
(環境の保全)
第二十条 機構は、第十二条に規定する業務の実施に当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。