(設置)
第一条 石炭対策に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
2 この法律において「石炭対策」とは、石炭鉱業の現状及びその動向がもたらす国民経済的影響にかんがみ、石炭鉱業の合理化及び安定、これに関連する雇用の安定、産炭地域の振興並びに石炭鉱害の復旧のためにとられる総合的な施策に関する財政上の措置であつて、次に掲げるものをいう。
一 石炭鉱業合理化臨時措置法(昭和三十年法律第百五十六号)、石炭鉱業再建整備臨時措置法(昭和四十二年法律第四十九号)その他の法令に基づき、又は予算の範囲内において行なう補助(交付金の交付を含む。以下この項において同じ。)又は出資で、次に掲げる事業に係るもの
イ 石炭鉱業合理化臨時措置法第三条に規定する石炭鉱業合理化基本計画に従い、石炭鉱業の生産の合理化を図るために行なう事業
ロ 石炭鉱業の経営経理の改善又は安定を図るために行なう事業
ハ 石炭の需要の確保又はその流通の合理化を図るために行なう事業
二 炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)その他の法令に基づき、又は予算の範囲内において行なう炭鉱離職者のための緊急就労対策事業、職業訓練の実施若しくは再就職援護業務に係る補助又は炭鉱離職者に対する就職促進手当の支給
三 産炭地域振興臨時措置法(昭和三十六年法律第二百十九号)に基づき産炭地域における鉱工業等の振興を図るために行なう事業に係る補助で政令で定めるもの又は産炭地域振興事業団に対する出資
四 臨時石炭鉱害復旧法(昭和二十七年法律第二百九十五号)に基づく鉱害復旧工事に係る補助又は鉱害基金に対する出資
五 前各号に掲げる措置に附帯し、又は密接に関連する財政上の措置で政令で定めるもの(以下「附帯事務等に関する措置」という。)
(管理)
第二条 この会計は、大蔵大臣、通商産業大臣及び労働大臣(以下「所管大臣」という。)が、法令で定めるところに従い、管理する。
2 この会計の管理に関する事務は、政令で定めるところにより、会計全体の計算整理に関するものについては通商産業大臣が、その他のものについては、所掌事務の区分に応じ、所管大臣の全部又は一部が行なうものとする。
(歳入及び歳出)
第三条 この会計においては、次に掲げる収入及び附属雑収入をもつてその歳入とする。
一 次条の規定により石炭対策に要する費用の財源に充てられる関税収入
二 石炭鉱業再建整備臨時措置法第六条又は第十一条第二項の規定による納付金
四 第十二条第三項ただし書の規定による一時借入金の借換えによる収入金
2 この会計においては、次に掲げる費用及び附属諸費をもつてその歳出とする。
一 石炭鉱業合理化事業団の業務の運営に要する資金に充てるための補助金及び出資金
二 坑道展開の効率化、保安の確保、鉱業技術の開発その他石炭鉱業の生産の合理化を図るための補助金
三 石炭鉱業再建整備臨時措置法第四条第一項に規定する元利補給契約に基づく元利補給金、同法第十条第一項の規定による補償金その他石炭鉱業の経営経理の改善又は安定を図るための補助金
四 電力業又は鉄鋼製造業の用に供する石炭の需要を確保するための交付金及び電源開発株式会社の事業施設で石炭の需要の増加に資するものの整備に要する資金に充てるための出資金
六 第一条第二項第三号又は第四号の補助金及び出資金
八 第十二条第一項の規定による一時借入金の利子並びに同条第三項ただし書の規定により借り換えた一時借入金の償還金及び利子
(石油に係る関税収入の帰属)
第四条 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)別表第二七・〇九号に掲げる石油及び歴青油の原油(以下この条において「原油」という。)並びに同表第二七・一〇号の一の(四)に掲げる重油及び粗油(以下この条において「重油等」という。)に係る関税収入のうち、次に掲げる金額に相当するものは、石炭対策に要する費用の財源に充てるため、この会計の歳入に組み入れるものとする。
一 原油及び関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)別表第二七・一〇号の一の(四)に掲げる製油の原料として使用される重油等に係る関税収入にあつては、その関税の毎年度の収納済額から、当該年度におけるその関税についての還付すべき金額(同法第七条の五第一項の規定により還付すべき金額を除く。)と払い戻すべき金額として政令で定めるところにより算定した額との合計額を控除した金額の六百四十分の五百三十に相当する額
二 重油等(前号に規定するものを除く。)に係る関税収入のうち、関税暫定措置法別表第二七・一〇号の一の(四)のAの(2)に掲げる重油等に係るものにあつてはその全額、同号の一の(四)のBの(2)に掲げる重油等に係るものにあつてはその七百三十分の三百二十に相当する額、同号の一の(四)のCの(2)に掲げる重油等に係るものにあつてはその六百六十分の二百九十に相当する額
(歳入歳出予定計算書の作成及び送付)
第五条 所管大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第六条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第七条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、第五条に規定する歳入歳出予定計算書を添附しなければならない。
(剰余金の繰入れ)
第八条 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余金を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
(歳入歳出決定計算書の作成及び送付)
第九条 所管大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、前条に規定する歳入歳出決定計算書を添附しなければならない。
(余裕金の預託)
第十一条 この会計において、支払上現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。
(一時借入金等)
第十二条 この会計において、支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は国庫余裕金を繰り替えて使用することができる。
2 前項の規定による一時借入金及び繰替金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。
3 第一項の規定による一時借入金及び繰替金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。ただし、歳入不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額を限り、一時借入金の借換えをすることができる。
4 前項ただし書の規定により借り換えた一時借入金は、その借換えをしたときから一年内に償還しなければなちない。
(一時借入金の借入れ及び償還の事務)
第十三条 前条の規定による一時借入金の借入れ及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行なう。
(国債整理基金特別会計への繰入れ)
第十四条 第十二条第一項の規定による一時借入金の利子並びに同条第三項ただし書の規定により借換えた一時借入金の償還金及び利子の支出に必要な金額は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(支出残額の繰越し)
第十五条 この会計において、毎会計年度の歳出予算における支出残額は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 所管大臣は、前項の規定による繰越しをしたときは、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定による繰越しをしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があったものとみなす。この場合においては、同条第三項の規定による通知は、必要としない。
(実施規定)
第十六条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。