(鉱山保安局及び保安監督部)
第三十二條 この法律を施行するために、商工省に内部部局として鉱山保安局を、並びに地方支分部局として鉱山保安監督部及び炭鉱保安監督部を置く。
2 鉱山保安局は、鉱業の保安に関する事務をつかさどる。
3 鉱山保安監督部は、鉱山保安局の所掌事務のうち、石炭鉱業以外の鉱業の保安に関する事務を、炭鉱保安監督部は、鉱山保安局の所掌事務のうち、石炭鉱業の保安に関する事務を分掌する。
4 鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部は、商工大臣の直接の管理に属し、それぞれ商工局又は石炭局に附置する。
5 鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部の管轄区域は、その附置された商工局又は石炭局の管轄区域によるものとし、その名称は、商工大臣が定める。
6 鉱山保安監督部及び炭鉱保安監督部の内部組織は、省令で定める。
(職員)
第三十三條 鉱山保安局に置かれる職員の種類及びその定員は、別表第一の通りとする。
2 鉱山保安監督部及び炭鉱保安監督部に置かれる職員の種類及びその定員は、通じて別表第二の通りとする。
第三十四條 鉱山保安局の長は、鉱山保安局長とし、鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部の長は、それぞれ鉱山保安監督部長又は炭鉱保安監督部長(以下「保安監督部長」という。)とする。
(鉱務監督官の権限)
第三十五條 鉱務監督官は、保安の監督上必要があるときは、鉱山及び鉱業の附属施設に立ち入り、保安に関する業務若しくは施設の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を檢査し、又は関係人に対して質問することができる。
2 鉱務監督官が前項の規定により立入檢査をし、又は質問する場合は、その身分を示す証票を携帶し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第三十六條 鉱業上使用する機械、器具、建設物、工作物その他の施設の使用又は火藥類その他の材料、動力若しくは火氣の取扱その他鉱業の実施の方法が、この法律に基く省令に違反し、且つ、保安に関し急迫の危險があるときは、鉱務監督官は、第二十五條第一項に規定する保安監督部長の権限を行うことができる。
2 前項の規定により鉱務監督官がした命令は、保安監督部長が第二十五條第一項の規定によりしたものとみなす。
第三十七條 鉱務監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。
(保安監督部長又は鉱務監督官に対する申告)
第三十八條 鉱山にこの法律又はこの法律に基く省令に違反する事実があり、且つ、危害を生じ、又はそのおそれが多いときは、鉱山労働者は、その事実を保安監督部長又は鉱務監督官に申告することができる。
2 鉱業権者は、前項の申告をしたことを理由として、鉱山労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
(鉱山保安試驗審査会)
第三十九條 保安技術職員の國家試驗を行い、及び保安技術職員の資格に関する事項を調査審議するため、商工省に鉱山保安試驗審査会(以下「審査会」という。)を置く。
第四十條 審査会の委員は、十人とし、左の各号に掲げる資格を有する者のうちから、商工大臣が委嘱する。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学若しくは旧專門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による專門学校を卒業した者又は人事院がこれと同等以上の学力及び技能があると認めた者であること。
二 十年以上鉱業又は鉱業に関する研究に從事したこと。
2 商工大臣は、必要があると認めるときは、前項の資格を有する者のうちから、臨時委員を委嘱することができる。
第四十一條 審査会の委員の任期は、三年とする。但し、再任を妨げない。
第四十二條 審査会に会長を置く。会長は、商工大臣が委員のうちから命ずる。
3 会長に事故があるときは、商工大臣の指名する委員が、その職務を代理する。
第四十三條 審査会の庶務は、鉱山保安局において処理する。
第四十四條 審査会の委員及び臨時委員に対しては、手当及び旅費を支給することができる。但し、他の國家公務員の職にある者に対する手当については、この限りでない。
(保安協議会)
第四十五條 商工省に中央鉱山保安協議会(以下「中央協議会」という。)を、鉱山保安監督部に地方鉱山保安協議会を、炭鉱保安監督部に地方炭鉱保安協議会を置く。
第四十六條 商工大臣は、第六條第二項、第七條第一項、第八條第一項若しくは第二項、第九條、第十條第一項、第十三條第一項、第十四條第四項(第十五條第三項において準用する場合を含む。)、第十五條第一項、第十六條第一項、第十八條、第十九條第一項、第二十三條第一項若しくは第三十條の規定による省令の制定若しくは改廃を行うとき、又は第二十四條の規定による命令をするときは、中央協議会の議に附さなければならない。
2 保安監督部長は、第十條第四項又は第二十三條第一項の規定による認可の基準を定めるときは、地方鉱山保安協議会又は地方炭鉱保安協議会(以下「地方協議会」という。)の議に附さなければならない。
3 中央協議会及び地方協議会は、商工大臣又は保安監督部長の諮問を受けて、保安に関する重要事項について調査審議し、且つ、商工大臣又は保安監督部長に建議することができる。
第四十七條 中央協議会及び地方協議会は、それぞれ会長一人及び委員三十人以内をもつて組織する。
第四十八條 中央協議会の会長は、商工大臣をもつて、地方協議会の会長は、保安監督部長をもつて充てる。
2 中央協議会及び地方協議会の委員は、学識経驗のある者、鉱業権者を代表する者及び鉱山労働者を代表する者について、各々同数を、中央協議会にあつては商工大臣が、地方協議会にあつては保安監督部長が委嘱する。
第四十九條 中央協議会の庶務は、鉱山保安局において、地方協議会の庶務は、鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部において処理する。
第五十條 関係行政機関の職員は、会長の承認を受けて、中央協議会又は地方協議会に出席し、意見を述べることができる。
第五十一條 第四十二條第二項及び第四十四條の規定は、中央協議会及び地方協議会に準用する。
(鉱務監督官研修所)
第五十二條 鉱務監督官に対して、必要な技術及び実務を教授するため、商工省に鉱務監督官研修所を置く。
2 鉱務監督官研修所の名称、位置その他必要な事項は、省令で定める。
(保安技術講習所)
第五十三條 保安技術職員又は保安技術職員になろうとする者に対して、必要な技術及び実務を教授するため、商工省に保安技術講習所を置く。
2 保安技術講習所の名称、位置その他必要な事項は、省令で定める。
(労働大臣及び労働基準局長の勧告)
第五十四條 労働大臣は、鉱山における危害の防止に関し、商工大臣に勧告することができる。
2 労働省労働基準局長は、鉱山における危害の防止に関し、鉱山保安局長に勧告することができる。